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文字瓦に見える名前

更新日:2020年3月17日

 文字瓦のほとんど(96%)は人名です。残り4%は、年紀・寺名・文章・瓦の製作に関わる数字などです。瓦に残された名前は、どの様な人々なのでしょうか。現在最も有力な説は、行基に従って土塔築造に協力した人々(知識)が、自らの名前を記したものだという説です。実際、文字瓦を観察すると、ごく一部を除いて名前も筆跡も全て異なっており、一人一枚ずつ自分で自分の名前を書いたと考えられます。

 文字瓦に見える名前は様々です。「國恵」(こくけい)、「志光」(しこう)といった僧侶の他、尼僧〔「善智尼」(ぜんちに)〕、姓を持つ氏族〔「秦連虫麻呂」(はたのむらじむしまろ)〕、姓を持たない氏族〔「凡河内倭麻呂」(おおしこうちのやまとまろ)〕、名前のみを記すもの〔「石足」(いわたり)、「妹女」(いもめ)〕などがあり、男女を問わず、様々な人が土塔築造に参加していたことが伺えます。ただ、気を付けなければいけないのは、姓がないから、名前しか書いていないからといってその人が身分の低い人だとは限らないことです。文字瓦の中には名前の一部を略して書いていると思われるものが見受けられるからです。例えば「藁」と書かれた文字瓦があります。これは「藁」という名前と考えるよりは「藁麻呂」(わらまろ)という名前の人が「麻呂」の部分を略して書いた、と考える方が自然でしょう。「長」「伯」と書かれた文字瓦も同様な例と考えられます。この他、「鳥連」と書かれた文字瓦があります。「鳥連」という氏族名はないことから、「鳥取連」(ととりのむらじ)が氏名の「取」を略して書いたと考えられます。この様な例は「高史」(高志史・こしのふひと)や「土宿」(土師宿祢・はじのすくね)などにも見られます。この様な例から、全ての人が必ず自分の名前をフルネームで書いていたとは言えないことが分かります。
 文字瓦からは様々なことが読みとれますが、反対に文字瓦だけから安易に判断するのは慎重にならなければいけません。

文字瓦「長」の写真「長」

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