木造 千手観音立像
更新日:2020年6月2日
指定区分
堺市指定有形文化財
説明
本像は、明治43年(1910)に櫻井神社(南区片蔵)に合祀された式内社山井神社(やまいじんじゃ)の神宮寺山井寺の本尊であったと伝えられています。
頭上に変化面をあらわして十一面とし、合掌手(がっしょうしゅ)、宝鉢手(ほうはつしゅ)を合わせて脇に四十二臂(ひ)を、さらに各脇手の間に数多くの板状の小さな脇手を貼り付けて千手を表現しています。
ヒノキの縦一材から彫り出され、頭部をやや大きめに配するバランスや、全体に通じる瑞々しい張りなど幼児を思わせるプロポーションを持っています。長い弧線の眉、切れ長だが杏仁(あんにん)形にやや見開いた眼、短く通った鼻筋などからは厳しい印象を受けますが、やや張り出し気味の鼻翼やアルカイックな微笑をうかべた口元、ふっくらとした顎や頬の線によってこの厳しさは和らぎ、神秘的な印象を受けます。
膝下にかかる裳(も)には翻波式衣文(ほんぱしきえもん)があらわされ、裳をたくし上げて大きく足首をみせる特徴は、9~10世紀の観音像に見られる表現で、本像も10世紀頃の作と考えられます。
神宮寺本尊である可能性が高い点も含め、堺市内でも最古例に属する千手観音の作例として、大変貴重です。
木造 千手観音立像
所有者
栂(とが)自治会
法量
像高 80.4センチメートル
時代
平安時代
指定年月日
平成31年2月22日
このページの作成担当
文化観光局 歴史遺産活用部 文化財課
電話番号:072-228-7198
ファクス:072-228-7228
〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所高層館5階
(文化財課分室)〒590-0156 堺市南区稲葉1丁3142