○堺市安全・安心・快適な市民協働のまちづくり条例
平成21年9月14日
条例第26号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第8条)
第2章 安全・安心・快適なまちづくり(第9条―第19条)
第3章 路上喫煙等の禁止(第20条―第23条)
第4章 雑則(第24条)
附則
安全、かつ、安心で快適なまちに暮らすことは、市民共通の願いである。また、安心して日常生活を営むことができる住んでみたいまち、住み続けたいまちを築き、将来に引き継ぐことは、私たちの責務であり、堺が全国に誇れるまちとして発展していくための基盤である。
しかし、都市化や情報化の進展及び価値観や生活様式の多様化に伴う規範意識の低下を背景に、私たちの周辺では安全が脅かされる事件、事故及び犯罪が後を絶たず、平穏な生活環境を妨げる行為が多く見受けられる。
安全に、安心して快適に暮らすことができる地域社会を実現するためには、自分たちのまちは自分たちで良くするという住民自治の精神に基づき、市、市民及び事業者が緊密に連携し、課題に取り組まなければならない。また、市民一人ひとりが安全・安心・快適なまちづくりを自らの問題としてとらえ、地域の安全確保やまちの美化に主体的に関わることが必要であり、さらに、防犯、防災、事故防止、環境美化等の活動が地域において市民との協働により展開されることが重要である。
全国に先駆けて人権尊重社会の実現に取り組み、人を大切にする心をはぐくんできた私たちは、人を大切にすることを基本に、環境や美化に配慮し、犯罪や事故が起こりにくい、あらゆる暴力を許さない安全・安心・快適なまちづくりを市民協働で進めることを決意し、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、安全・安心・快適なまちづくりについて、施策の基本となる事項を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにすることにより、互いの自主性を尊重しながら協働して取組を進め、市民が安全に、安心して快適に暮らすことができる地域社会の実現に資することを目的とする。
(1) 市民 本市の区域内に居住し、又は本市の区域内に存する学校、事業所等に通勤し、若しくは通学する者をいう。
(2) 事業者 本市の区域内において事業活動を行う者をいう。
(3) 子ども青少年 おおむね18歳未満の者をいう。
(4) 公共的団体 国及び地方公共団体並びにこれらの関係機関以外の団体で、本市の区域内において公共的な活動を行うものをいう。
(5) 学校等 本市の区域内に存する学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条第1項に規定する保育所その他これらに類する施設で、子ども青少年を保育し、教育し、又は育成するものをいう。
(6) 交通法規 道路交通法(昭和35年法律第105号)その他の交通安全に関する法令をいう。
(7) 道路 道路法(昭和27年法律第180号)第2条第1項に規定する道路をいう。
(8) 自動車 道路交通法第2条第1項第9号に規定する自動車をいう。
(9) 自転車 道路交通法第2条第1項第11号の2に規定する自転車をいう。
(10) 原動機付自転車 道路交通法第2条第1項第10号に規定する原動機付自転車をいう。
(11) 空き缶等 空き缶、空き瓶、ペットボトルその他の容器(内容物の入ったもの並びに栓及びふたを含む。)、たばこの吸い殻、包装紙、チューインガムのかみかす、紙くずその他容易に捨てることができるものをいう。
(12) 印刷物等 ビラ、ちらし、パンフレットその他これらに類するものをいう。
(13) 公共の場所 道路、公園、広場、河川、池その他屋外の公共の用に供する場所をいう。
(14) 落書き 道路、公園その他の公共の施設又は他人が所有し、占有し、若しくは管理する建物その他の工作物に、承諾を得ることなく、文字、図形、絵画等を書くことをいう。
(15) 喫煙 火のついたたばこを吸うこと及び所持することをいう。
(16) 要援護者 高齢者(65歳以上の者をいう。)、障害者(障害者基本法(昭和45年法律第84号)第2条に規定する者をいう。)、難病患者(原因が不明で、治療法が確立されていない疾病で、後遺症を残すおそれが少なくないもの又は慢性の疾病で、経済的負担のみならず、介護等に著しく人手を要する等の家族の負担が大きく、精神的負担も大きいものにり患している者をいう。)、発達障害者(発達障害者支援法(平成16年法律第167号)第2条第2項に規定する者をいう。)、子ども青少年、外国人、妊産婦等で、援護を要する状態にあるものをいう。
(基本理念)
第3条 市、市民及び事業者は、人権に配慮し、人を思いやり、支えあう心を大切にするとともに、暴力を決して認めないという強い意志を持って、安全・安心・快適なまちづくりを進めるものとする。
2 市、市民及び事業者は、犯罪及び事故の防止、防災、地域の美化活動等を協働して行うことにより、安全・安心・快適なまちづくりを進めるものとする。
3 市、市民及び事業者は、安全・安心・快適なまちづくりを進めるに当たり、要援護者に十分配慮するとともに、子ども青少年をはぐくむ環境づくりに留意するものとする。
(関係条例の定め)
第4条 この条例は、安全・安心・快適なまちづくりについて、施策の基本となる事項を定めるものであり、その推進については、この条例に定めるもののほか、堺市違法駐車等の防止に関する条例(平成8年条例第25号)、堺市自転車等の放置防止に関する条例(昭和62年条例第9号)、堺市まちの美化を推進する条例(平成13年条例第20号)、堺市屋外広告物条例(平成7年条例第38号)その他関係条例の定めるところによる。
(市の責務)
第5条 市は、この条例の目的を達成するために必要な施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
2 市は、国、大阪府及び関係機関と連携し、安全・安心・快適なまちづくりに関する市民の意識の啓発を行うとともに、市民や事業者が行う安全・安心・快適なまちづくりに関する活動の積極的な支援を行うものとする。
(市民の責務)
第6条 市民は、互いに協力して、犯罪及び事故の防止、防災等の地域の安全に関する活動の推進に努めなければならない。
2 市民は、地域における美化活動への参加等の美しいまちづくりの推進に努めなければならない。
3 市民は、市及び関係機関が行う安全・安心・快適なまちづくりに関する活動に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第7条 事業者は、安全管理を最重点として事業活動を展開し、その所有若しくは管理に係る土地若しくは建物その他の工作物を適切に管理し、及び地域社会を構成する一員として地域の安全の推進に貢献するよう努めなければならない。
2 事業者は、事業を行う地域の美化を推進する活動に協力し、従業員及び関係者に対して美しいまちづくりに関する意識を啓発し、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
3 事業者は、市及び関係機関の行う安全・安心・快適なまちづくりに関する活動に協力するよう努めなければならない。
(条例の推進体制)
第8条 市、市民、事業者及び関係機関は、区ごとに協働して安全・安心・快適なまちづくりに関する活動を行うための組織を整備するものとする。
2 市は、前項に定めるもののほか、安全・安心・快適なまちづくりの推進に関する体制を整備するものとする。
第2章 安全・安心・快適なまちづくり
(防犯等に対する取組)
第9条 市は、国、大阪府及び関係機関と連携し、犯罪(配偶者等からの暴力を含む。)の防止に関する啓発及び環境の整備を行うとともに、公共的団体が実施する犯罪の防止等の活動及び市民又は事業者が行う暴力を排除する活動を支援するものとする。
2 市民及び事業者は、常に安全に関する意識を高め、自らの安全の確保に努めるとともに、市が実施する犯罪の防止に関する施策に協力するよう努めなければならない。
3 学校等を設置し、又は管理する者(以下「学校の設置者等」という。)は、学校等の敷地内における生徒等の安全を確保するよう努めなければならない。
4 市、学校の設置者等及び市民は、地域及び通学時における子ども青少年の安全を確保するよう努めなければならない。
(防災に対する取組)
第10条 市は、国、大阪府及び関係機関と連携し、災害から市民の生命、身体及び財産を守るため、防災対策を推進するものとする。
2 市民は、災害から自らの生命、身体及び財産を守るよう努めるとともに、地域の自主防災活動を推進するため、その活動に協力するよう努めなければならない。
3 事業者は、従業員及び関係者の安全を確保する等の防災体制の充実を図るとともに、地域の自主防災活動に積極的に協力するよう努めなければならない。
(交通安全に対する取組)
第11条 市は、国、大阪府及び関係機関と連携し、市民の交通安全意識の高揚及び交通安全の確保のための施策を実施するとともに、公共的団体又は事業者が行う交通安全に関する活動を支援するものとする。
2 市民及び事業者は、高齢者をはじめとする要援護者の円滑な移動及び事故防止に配慮するよう努めなければならない。
3 事業者は、安全運転の確保のため、その事業に使用する車両(自動車、自転車及び原動機付自転車をいう。以下同じ。)の点検及び整備を十分に行い、その運転者に交通法規を遵守させなければならない。
4 車両を運転する者は、交通法規を遵守し、歩行者及び他の車両の運行に十分注意を払い、安全に運転しなければならない。
5 歩行者は、道路を通行するに当たり、交通法規を遵守し、交通の危険を生じさせてはならない。
(違法駐車等の禁止)
第12条 自動車の運転者及び所有者は、違法駐車等(堺市違法駐車等の防止に関する条例第2条第2号に規定する行為をいう。)の防止に努めなければならない。
(自転車等の放置の禁止)
第13条 自転車又は原動機付自転車(以下「自転車等」という。)の利用者及び所有者は、自転車等をみだりに放置して良好な都市環境を悪化させてはならない。
(美しいまちづくりのための取組)
第14条 市は、美しいまちづくりを推進するため、市民及び事業者の意識の啓発等環境美化の促進に必要な施策を実施するとともに、公共的団体又は事業者が行う環境美化に関する活動等に対する支援を行うものとする。
2 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
(1) 公共の場所において、空き缶等及び印刷物等をみだりに捨てること。
(2) 落書きをすること。
(飼い犬等のふんの放置禁止)
第15条 犬等の飼い主(その所有者以外で犬等を飼育し、又は保管している者を含む。)は、当該飼い犬等のふんを公共の場所に放置してはならない。
(喫煙の制限)
第16条 何人も、公共の場所(当該公共の場所を管理する権限を有する者が設置し、又は設置を許可した吸い殻入れその他これに類する設備が設けられた場所を除く。)において、喫煙しないよう努めなければならない。
(屋外広告物の掲出)
第17条 屋外広告物(屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定するものをいう。)を掲出する者は、美しい街並みの形成及び安全に配慮して掲出するよう努めなければならない。
(緑化の推進)
第18条 市、市民及び事業者は、相互に協力し、植樹、草花の植栽等を積極的に行い、緑を保全し、快適な生活環境の維持に努めなければならない。
(要援護者に対する取組)
第19条 市は、公共的団体が行う地域における要援護者の安全と安心に係る活動を積極的に支援するものとする。
2 市民及び事業者は、市及び関係機関と連携し、要援護者が地域において安心して暮らせるよう配慮しなければならない。
3 市及び事業者は、大阪府、関係機関及び市民と連携し、要援護者に対する虐待の早期発見に努めなければならない。
第3章 路上喫煙等の禁止
(路上喫煙等禁止区域の指定等)
第20条 市長は、公共の場所のうち、他人の身体を害するおそれのある喫煙の防止及び環境美化の促進を図るため特に必要があると認める区域を、路上喫煙等禁止区域に指定することができる。
2 市長は、路上喫煙等禁止区域を指定しようとするときは、あらかじめ、当該地域の住民及び関係団体の意見を聴かなければならない。
3 市長は、必要があると認めるときは、路上喫煙等禁止区域を変更し、又は廃止することができる。
4 市長は、路上喫煙等禁止区域を指定し、変更し、又は廃止したときは、その旨を告示するものとする。
(喫煙の禁止)
第21条 何人も、路上喫煙等禁止区域において、喫煙(自動車(道路交通法第3条に規定する大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除く。)の車内において行う喫煙を除く。)をしてはならない。ただし、市長が喫煙所として指定する場所において喫煙する場合は、この限りでない。
2 市長は、前項ただし書に規定する喫煙所を指定したときは、その旨を告示するものとする。
(空き缶等及び印刷物等の投棄の禁止)
第22条 何人も、路上喫煙等禁止区域において、空き缶等及び印刷物等をみだりに捨ててはならない。
(過料)
第23条 前2条の規定に違反した者は、1,000円の過料に処する。
第4章 雑則
(委任)
第24条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
附則 抄
(平成23年規則第2号で平成23年4月1日から施行)
(堺市民の安全の推進に関する条例の廃止)
2 堺市民の安全の推進に関する条例(平成10年条例第22号)は、廃止する。