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堺環濠都市遺跡出土 銭貨鋳造資料

更新日:2020年12月24日

指定区分

堺市指定有形文化財

説明

 堺環濠都市遺跡の計11箇所の発掘調査地点から、16世紀中頃~後半の銭鋳型(ぜにいがた)や銭貨鋳造に伴う未製品・不要品が出土しています。
 堺出土の銭鋳型の種類は、片面に中国銭と同じ銭名を持つ模鋳銭(もちゅうせん)鋳型と、表裏両面ともに文字の存在しない無文銭(むもんせん)鋳型に大別できます。前者の鋳型から鋳造される銭貨は、開元(かいげん)通宝(唐・621年初鋳)~洪武(こうぶ)通宝(明・1368年初鋳)の21種にも及びますが、その上位銭種は開元通宝が最も多く、以下、皇宋(こうそう)通宝(北宋・1039年初鋳)・元祐(げんゆう)通宝(北宋・1093年初鋳)・政和(せいわ)通宝(北宋・1111年初鋳)・元豊(げんぽう)通宝(北宋・1078年初鋳)の順に続き、中世の大量出土銭(埋蔵銭・備蓄銭)の上位銭種ランキングに比例しています。
 従来の教科書的認識では、中世の日本では通貨を生産しておらず、もっぱら中国銭を使用していたので、中世は「渡来銭の時代」であると考えられていましたが、銭貨鋳造資料の出土は、製品として生産地から流通し、様々な目的で実際に使用された銭貨が出土することとは全く意味が異なり、中世にも銭貨を国内生産していた事実を考古学的に実証するものであり、中世貨幣経済史上も極めて重要な意味を持っています。
 また、堺で中国銭と同じ銭名の銭貨が鋳造されていた事実は、中世の出土銭貨の中にはたとえ中国銭の銭名が存在しても、中国で生産された中国銭と、堺をはじめとする日本で生産された模鋳銭の両者が混在していることを示唆しており、従来の銭名だけによる中国銭の認定に再考を促すだけでなく、中国銭の本来の初鋳年を用いた遺跡の年代決定法に警鐘を鳴らすものです。
 堺環濠都市遺跡出土 銭貨鋳造資料は、当時の商業や経済の中心地であった堺を特徴付ける資料であるのみならず、わが国の中世後期の流通貨幣の実態をも具体的に示す物証です。

模鋳銭鋳型(開元通宝)の画像模鋳銭鋳型(開元通宝)

出土地

 堺市堺区甲斐町西1丁・宿院町西1丁ほか

所在地

 堺市南区稲葉1-3142 文化財課分室

所有者

 堺市 (文化財課分室保管)

時代

 室町時代~安土桃山時代 (16世紀中頃~後半)

指定年月日

 平成30年2月16日

このページの作成担当

文化観光局 歴史遺産活用部 文化財課

電話番号:072-228-7198

ファクス:072-228-7228

〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所高層館5階
(文化財課分室)〒590-0156 堺市南区稲葉1丁3142

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