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ワーク・ライフ・バランスはすてきな経済対策~女性の能力発揮で不況をふっとばそう~

更新日:2012年12月19日

対談
岩田 喜美枝(いわた きみえ)
(株式会社資生堂代表取締役副社長)
遙 洋子(はるか ようこ)
(作家・タレント)

ワーク・ライフ・バランスを導入することは、企業にとってコス卜高のイメージが持たれるが実は逆です。企業にとってのワーク・ライフ・バランス実現のメリッ卜を現状の分析を踏まえて企業経営に携わる岩田喜美枝さんと作家・タレン卜の遙洋子さんのお二人に実経験も交えてお話しいただきました。

企業にとってのワーク・ライフ・バランス実現のメリッ卜は「効率性」と「価値創造」

岩田 喜美枝

 それでは、なぜワーク・ライフ・バランスの実現が必要かということを、企業経営をする立場からお話をします。

 まず、ワーク・ライフ・バランスとは何か。ワークは文字どおり仕事で、ライフは仕事以外のすべての活動や生活です。例えば育児や介護などの家族との生活、生涯学習あるいはスポーツや趣味の活動、社会貢献活動、これらすべてがライフです。そして、ワークとライフのどちらかを犠牲にするのではなく、それぞれを充実させて両立を図ることができるように働き方の見直しをする、これが企業経営の立場から見たワーク・ライフ・バランスの課題です。

 ワーク・ライフ・バランスというと、子どもが小さい女性のための仕事と子育ての両立支援の課題だと思う方が多くいらっしゃいます。しかし、子育てとの両立支援はワーク・ライフ・バランスの中で非常に重要な領域ではありますが、これがすべてではありません。男女に関係なく、そして年齢、既婚・未婚、子どもの有無、そういうものも関係なく、すべての社員の仕事と仕事以外の生活の関係の問題、これがワーク・ライフ・バランスであると理解しています。

 ワーク・ライフ・バランスというのは、女性にとっては子育て期も仕事が継続できるということ、そしてそれだけではなく、キャリアアップをずっと続けることができること。そのためにワーク・ライフ・バランスというのは不可欠であるということをご理解いただいたと思いますが、実はこれは働いている人のためだけではなく、企業経営にとっても大変重要であると思います。それは効率性の観点と価値創造の観点、その両方から言えることです。

 効率性の観点から申し上げます。ワーク・ライフ・バランスとは、今以上に働かなくてもいいよということではなく、もっとメリハリをつけて、効率よく働こうということです。1時間当たりの生産性を高めることによって個人の時間を生み出し、それを仕事以外の生活に使うということです。

 価値創造の観点では、労働時間を短縮することによって職場以外の場で、職場以外の人間関係で生きてほしい、生活してほしいということです。そうすると、社員は社内にはない情報や価値観に出会います。そういう多様な情報、価値観を持った社員が会社に集い、そこでさまざまな価値観、情報がまじり合って、場合によっては対立しながら、新しい価値というのは生まれるのではないかと思います。ですから、ワーク・ライフ・バランスというのは、企業が常に新しい価値を生み続けるために、企業が成長するために大変大事なことなのです。

 多くの企業は、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、まず「ノー残業デー」をつくったりします。それも一つですが、まずは仕事の棚卸しをして不要不急の業務はやめる、やめる勇気を持つということの方が重要と言えます。また、同じアウトプットを出すために使う時間を少なくするため、IT投資や決裁権限を現場におろすなど、プロセスの見直しをして業務の簡素化を図ることも重要です。つまり、業務改革をやらないと、ワーク・ライフ・バランスは実現できないということです。

女性の人生の充実には、企業や社会の支えが重要

遙 洋子

 今のワーク・ライフ・バランスのお話を聞いて、大変うらやましいなと思いました。何がといいますと、女性が働くということについて、企業がともに試行錯誤してくれる、いろんな制度を考えて保障してくれる。こういう大きな支えがあるもとで働けている女性というのは、何とうらやましいんだろうと思いました。

 労働以外に大事なものがあるのかもしれないと気づいたときに、必要になってきたのが時間の効率化、むだを省く、簡素化というもので、それがどうもキーポイントだなということに気づきました。だから、組織がワーク・ライフ・バランスを考えてくれる、提案してくれる、協力してくれるというのであれば、あと10歳早くワーク・ライフ・バランスを実践できていたんじゃないのかなと思い悔しくてなりません。時間がかかっても自分1人で探り当てられた人はいいです。探り当てられなかった人は、何かを犠牲にせざるを得ない。そのことに後悔がなく人生を歩めたらいいんですけども、そのことにじくじたる思いを抱きながら仕事をやめてしまった女性とか、仕事しか残らなかった女性とかいうのが、私の周りにはいっぱいいます。そういうのを見ていますと、企業なり社会なり組織がワーク・ライフ・バランスを提言してあげる、協力してくれるということが、いかに人の人生を10年早く気づかせてくれ充実させてくれるところにつながることだろうと、岩田さんのお話をお伺いしました。

 では、早速、私の方から質問させていただきます。未来も踏まえて、女性の生き方と女性の化粧というものは時代によって変わってきましたか。それと、生き方と化粧に関連性ってありましたか。

「化粧」は、社会性の強い人間の営み

岩田 喜美枝

 人類は、男性の方が華やかな化粧をするという歴史が長くありました。化粧品は本当に高価なものでしたので、権力と富の象徴でした。権力と富をもつのは男性でしたから、化粧の歴史はまず男性から始まったのです。その後、市民社会がしっかり発達して、女性の地位が社会の中にでき、また、化粧品が大量に生産できるようになり一般の人がそこそこの値段で買えるようになったことから、女性が主役の化粧になりました。

 化粧にはいろいろな側面がありますが、最も基本で大きなウェイトを占めているのは、社会生活を円滑に営むための身だしなみとしての役割だと思います。化粧というのは、社会とかかわったときに社会からよく見られたい、対人関係をスムーズにしたいという、非常に社会性の強い人間の営みだと思います。ですから、女性がいろいろな人と出会って活動するという、その歴史が進めば進むほど、化粧は進化し続けると思います。

遙 洋子

 化粧法とか、スキンケアも含めてですが、タイムマネジメントと切り離して考えられませんよね。例えば、化粧品でも7種類塗らなあかんのと1瓶でいけるのもある。タイムマネジメントとお化粧は切って切り離せないように思いますが。

岩田 喜美枝

 自分の時間の優先順位で、どれだけ化粧に時間がかけられるかという問題もあると思いますね。ですから、職業としてきっちり化粧をしないといけないというときには時間をかけて、気合いを入れて化粧をする、そうではないときには自分が納得する程度にするということでいいと思います。

遙 洋子

 もうTPOはその人のニーズに合わせて、化粧は柔軟に対応されればいいと。

岩田 喜美枝

 はい。

遙 洋子

 時代とか女性のありようと化粧というものをつなげて考えますと、余りにも国際基準と日本基準がちがうなと思いますのが、いろんなモード系の女性誌を見ますと、格好いい海外の女性のモデルが格好いいメイクをされています。でも、難波や心斎橋付近を歩きますと、やっぱりコギャルが度肝を抜くような化粧をしております。「きれいになりたいんか汚くなりたいんかどっちやの!」みたいな化粧をしています。口紅だけの女性もいます。幅広くていいとおっしゃるご意見でしたけれども、余りにも国際基準とかけ離れ過ぎている、この幅の広さをどういうふうにごらんになっていますか。

岩田 喜美枝

 化粧というのは、やはりいろいろな場面でいろいろな目的のためにするものだと思います。私は多様でいいと思います。

遙 洋子

 私は、化粧が人に与える効果とか自分に与える効果も含めて、化粧にはけたちがいの可能性をはらんでいると思います。やっぱり化粧したときに気持ちが晴れやかになる、前向きになる、高齢者施設でもそういうことはよく聞きます。化粧でカジュアルにもなればクラシカルにもなる。自由に解放もされれば、しゃきっともすると、化粧の可能性・効果というものに対して、どういうふうに夢を描いていますか。

岩田 喜美枝

 化粧というのは単に外面を飾るということだけではなく、人の心に深く働きかける、心理的な、精神的な営みだと思います。

 自分自身を振り返ってみますと、公務員時代の私は、いかに短時間で化粧をするかということにしか関心はなかったのですが、大事なプレゼンテーションや難しい折衝ごとに出かけるときには、当時は無意識ですが、トイレに行って、もう一回鏡を見て、いつもより濃い目に口紅をきっと引いてと化粧直しをしていました。あれは、ああいう形で自分自身を鼓舞する、自分自身を勇気づけるということをやっていたんだなと思います。化粧と心はとても関係が深いということです。

 化粧には、健康でお元気な方も、顔に傷のある方なども、化粧を通じて元気になれる、あるいは自分はこれでいいんだという自信を持つことができるといった、とても不思議な力があると思います。ですから、かつては権力や富の象徴だったというそれ以上に、個人的に自分自身を納得させたり、リラックスしたり、逆に自分自身を力づけたりという、そういうことと結びついていると思うと、この仕事に携わっていてよかったなと思います。

女性が働く環境の向上と若い世代のやる気

遙 洋子

 岩田さんのご経験を踏まえて、次の世代の女性たちの意識と、出会われたときに驚いたことや憤ったことがありましたら教えてほしいと思います。

岩田 喜美枝

 今の若い世代を見ていて、うらやましいな、いいなと思うこともたくさんあります。例えば、私や私よりもさらに上の世代は、相当、肩ひじを張って頑張ってきましたが、今は、非常に能力の高い女性たちが、本当に自然体で個性豊かに活躍していて、とてもうれしいと思います。また、その一方で歯がゆいこともあります。

 私の時代と比べると、今は仕事が継続しやすい社会的条件や企業の制度などが格段に整備がされています。私のときには産前産後休業しかありませんでしたが、今は育児休業制度で長くお休みが取れ、そして戻った後も、短時間勤務をしながら子どもを育てることができるというように、社内のサポートも随分ちがってきていると思います。それから、保育所一つとっても、今でも待機児童の問題は大きな課題ですが、私が子どもを産んだときはもうそれどころではなく、本当に深刻でした。

 そういうことを考えると、私の世代より今の世代は、困難ももちろんありますが、仕事をもっと継続をしようと思えば絶対にできないことはないと思います。次の若い世代について歯がゆく思うことは、それにも関わらず、仕事を割合あっさりとやめてしまわれる方が世の中を見ていると多いので、残念に思うということです。

遙 洋子

 そうしますと、そこまで成功された、そしてそこまで持って運んでこられた岩田さんにお伺いしたいのですが、その要は何だったと思いますか。

岩田 喜美枝

 やっぱり人生観や職業観と結びついていることだと思います。私の人生観は、せっかく生を受けてこの世の中に生まれてきたのだから、少しでも世の中のお役に立ちたい、少しでも世の中をよくするための力になりたいということです。中学生ぐらいのときから、そういう職業観をもっていました。ですから、自分の人生にとって仕事というのはとても大事だということ、人生と仕事というのは一緒、あるいは仕事が人生そのものという、職業観、人生観でした。ですので、やめたいと思ったことは一度もありませんし、やめるという選択肢はありませんでした。仕事を続けるということについての意思が、非常に強かったのだと思います。

 また、子育てをしながらの仕事は1人でできるわけではありませんので、地域の保育所や学童保育のサービス、ある時期は自分の給料すべてをお手伝いさんやベビーシッターのために使ったりもしました。しかし、何と言っても夫の母、私の母など、周りの人たちに頼ったり、助けてもらうという能力は要るかもしれません。

 ですから、やはり自分の人生にとって仕事がいかに大事かという、その意識が強かったのと、周りの人たちに本当に助けてもらえたという、そういうことでしょうね。

仕事自体があなたを育てる

遙 洋子

 強い職業観、明確な人生観というのは、恐らくはたった1人で成立するものではなく、周りの環境ごと長い時間をかけて作り上げてこられるものだと思います。

 では、次に願うことというのはどういうことでしょうか。

岩田 喜美枝

 出産しても、仕事は続けられるようになりました。しかし、全く男性と同じように能力が発揮できているかというと、残念ながらそうではありません。そういう方もいますが、やはりそうではない人のほうが多いと思います。ですから、子育てをしていようがしていまいが、仕事が単に辛うじて続くということだけではなく、もっと能力アップできる、アップしたその能力をもっと発揮できる、そういうことができる次のステージに向かいたいなと思っています。

 そのために大事なことの一つが、働き方のスタンダードを変えることです。毎日9時、10時まで働くのが当たり前で、そうではない人は評価が下がるということでは、やはり女性は活躍しにくいと思います。働くということについての価値観、社内の価値基準を一旦壊して、また作り直すということが必要ではないかと思います。

遙 洋子

 じゃあ、女性1人、個人の努力目標としては、どういうところを心がけたらそういう能力アップができるというふうに助言いただけますか。

岩田 喜美枝

 一つは、仕事上の能力というのはどうやったら身につくかということです。それは、仕事自体があなたを育てるということだと思います。

 日々どういう仕事をするか、与えられた仕事を最高のレベルで仕上げるということについて努力をしているか、ということだと思います。また、同じ仕事をずっと続けていると、あるところで頭打ちになります。今の仕事が要求する能力よりもあなたの能力がオーバーしたら、もうそれ以上は伸びない、仕事があなたを育てるということはないのです。ですから、ちがう領域の仕事をする、もう一段上の仕事をするというふうに、何年かに一度は異動をすることが大事だと思います。日々の仕事、そして異動をポジティブに受けとめて、仕事を通じて育つということが基本だと思います。

 それからもう一つはワーク・ライフ・バランスとの関係ですが、仕事以外のさまざまな活動や生活が仕事と全く無関係かというと、そんなことはありません。例えば育児を一生懸命する、あるいは育児期に地域のお母さんたちとしっかり交わるということは、仕事に返ってきます。趣味の活動もそうです。会社の人間とはちがう人たちと一緒に趣味の活動をするということもとてもいいことです。要は、毎日どんな活動をしようと、それをやるからには一生懸命やるという、そういうことかなと思います。

遙 洋子

 いろいろとご丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございます。

「浮き浮きすること」を最優先に

岩田 喜美枝

 それでは、私から遙さんに質問させていただきます。

 遙さんはさまざまな活動をされていますが、ご自分の生活の中で、または人生の中で、優先順位というものはありますか。あるいは、たくさんのことを一度にすると時間がたりず大変だと思いますが、たくさんのことを一度にするための工夫のようなものはありますか。

遙 洋子

 何かを選び取るときには、自分が一番やりたいこと、浮き浮きすること、心ひかれることというものに優先順位をつけています。あとは何とかなるみたいなところで、最後後悔しないのはやりたいことをやったかどうかということです。やるべきことからやるのではなくて、自分が納得する人生を過ごすためには、やりたかったことができたかどうか。今どっちがやりたいかみたいな、やりたさは自分の中の浮き浮き度合いですね。何をしたら浮き浮きするかというのが、すべての自分の選択の基本のような気がします。

 工夫は、自分でなくても、人に頼れること、甘えられることをいかに頼っていって、自分が浮き浮きするもので自分の1日の時間を埋めているかということで選択してきたような気がします。

岩田 喜美枝

 ビジネスでは「選択と集中」という言葉がありまして、これをはかるものは利益です。高い利益率のところに経営資源を集中投下して、利益が余り出ないところからは撤退するというのが選択と集中というのですが、今のお話を伺っていると、遙さんの基準は利益ではなくて浮き浮き度。

遙 洋子

 浮き浮きです。

岩田 喜美枝

 やりたいことに時間を使って、やりたくないことはアウトソースするというのか、自分の時間の使い方としては切り捨てるということで、まさに選択と集中というのをやっていらっしゃるんだと思いました。自分にとって何が大事で、何はどうでもいいかという、そこは思い切ることですよね。

遙 洋子

 そうですね。

岩田 喜美枝

 思い切らないと、生きたいような生活、生きたいような人生というのは難しいと思います。時間は限られていますので。

遙 洋子

 やっぱり浮き浮きというのは、実はすごく大事な感覚じゃないかなと思います。

仕事以外は「自分磨き」の時間

岩田 喜美枝

 引き続いて、生活の忙しさについてですが、マルチにいろいろなお仕事をこなしておられるので、さぞやほかの方は想像がつかないほど忙しい毎日を過ごされていらっしゃることと思います。仕事以外の時間は、どういうふうに過ごしていらっしゃいますか。

遙 洋子

 ストイックに過ごしております。

 これも浮き浮きにつながることなんですが、仕事をしていないときは自分を磨いております。車に乗っているときは英会話のテープを流し、クラシックバレエを習い、テレビはニュースを主に見て、知らない分野、勉強すべき分野があったら東京までも出かけます。ファッション雑誌もよく見ます。今の流行を勉強したいのと、今のはやりのお化粧を勉強したいのとで。

 やっぱり格好いい女をめざしています。自分を磨くということも、浮き浮きしてというか、人ってそれしか努力できないんじゃないかと思います。人のことは、夫にもっとこういう夫になってほしいとか、子どもにもっとこういうふうに育ってほしいとか託しても、自分以外の人間なのでなかなかままならないんですが、自分のことだけは、ままなるんですね。そしたら、自己投資が大変楽しいので、ストイックといいましてもつらいことではないんですね。

岩田 喜美枝

 ワーク・ライフ・バランスというテーマから、今の日本のサラリーマン、特に男性の働き方、生き方をどのようにご覧になっていますか。

遙 洋子

 楽しんでいますかと問いたいです。楽しむというトレーニングは余りしてこられてないんじゃないのかなと。恐らく、使命感、責任感、そこを第一義で生きてしまったので、「何のために生まれて、何のために神さまから人生80年プレゼントしてもらっているのか」といった“謳歌する”ということが、企業に埋没してしまっているんじゃないのかなと。ビジネスマンたちを見ているときに、「つまらないんじゃないんですか、それでは人生が」と思って見ています。

岩田 喜美枝

 とても鋭い観察をなさっていると思いましたね。楽しむということを知らない人が多いというご指摘だと。

 私のワーク・ライフ・バランスの持論は、「仕事以外の活動が人生を豊かにする」ですが、遙さんご自身、あるいはご友人や周りの方で、仕事以外の生活や活動がこんなことで仕事に生きたとか、そういうことを見聞きされたことはありますか。

遙 洋子

 あります。仕事以外で、世代を超え、性別を超え、職業を超え、大勢の人たちと時間をともにし、楽しみ、いろんなものを共有し情報を得るかということが、実はすべて仕事につながるということを経験しました。自分の持たない視点を性別も世代もちがう人は持っています。時代がちがうので、8割役に立たない説教だったとしても、2割にダイヤモンドがまざっていたりします。あと、成功した人ほど、聞いたら全部答えてくれます。

人生の質が問われるのが、介護の時期

岩田 喜美枝

 ワーク・ライフ・バランスのライフの中で、最後に介護のお話をお尋ねしたいと思います。ご自分にとって、介護というのがどんなものだったのか、そのことをお聞かせいただければと思います。

遙 洋子

 介護は何がつらいかというと、実際、物的なものをしてあげなきゃいけない、というつらさも確かにありましたけども、それよりもこの人の人生の晩年の締め、人生80年の後始末と向き合うにあたり、その人の80年の人生は取り返しがつきませんので、そこをしくじった親の何とも言えない気づらさというものを子どもの立場で感じました。過ぎ去った人生の質が問われる、そこが凝縮して本人と家族にはね返ってくるのが介護の時期であるということを一番痛感しました。

岩田 喜美枝

 ご両親を介護なさって、介護という経験が遙さんご自分にとっては何だったでしょうか。

遙 洋子

 私にとって介護の経験は、ますます今の生き方に反映することでした。

 人は死ぬということです。ということは、「やりたいことをやれるうちに、ちゃっちゃっとやらないと死ぬのだ」ということです。親の介護を体験して思いますのは、「でも死ぬんだよ」と、「やっとかなくていいの?死ぬよ」と。そう思うと、やろうと思うんですね。永遠に生きると思うから、問題を先送りにもできるし、辛抱もしちゃうんですね。常に死というものがいや応なしにやってくるんだということを忘れないことで、やりたいことを最優先できる。私は胸張って迷惑をかける生き方をしようと思いましたし、また他人からもしていただきたいということを親の介護で学びました。

これから私たちはどう生きるか

岩田 喜美枝

 これから私たちはどう生きるか、ということを一言ずつお話しして締めましょう。

遙 洋子

 いろんな生き方を試行錯誤してまいりまして、いや応なしにやってくるのが老いと死であることを実感しました。それは、まだ私が元気なうちにいろんなものの覚悟をさせてくれました。私は、結婚もしていませんし、子どももおりませんので、老後も恐らく1人です。となると、1人でぎりぎりまで好きなことができる体力づくりを今から努力しております。たった1人きりになって、部屋を出れなくなっても、部屋で1人で楽しめる趣味も今から頑張ってます。ですので、何をやっても楽しめることを元気なうちから探しております。ですから、もう既に心は老後です。いつ介護になってもいい準備を今から心がけております。そうやって死ぬ直前にええ人生やったなと、人様から思ってもらえ、「迷惑かけられたけど、好きに生きよったな」と書いていただけるような人生にしたいと思っております。

岩田 喜美枝

 職業上のキャリアも人生そのものも、振り返ってみたらできている軌跡だと私は思います。

 振り返ってみますと、20代から30代になるときには、若さを失うので嫌だなと思いましたが、今は50代よりも60代の方がきっと充実したいい生活、いい人生になるという確信があります。ですから、60代がすごく楽しみですね。そして、70代、80代も、60代と比べて70代の方がもっと楽しいと言えたら、もう最高にいいだろうなと思います。60代はこう生きたいという目標はありませんが、毎日毎日、本当に精いっぱい生きて、60代を振り返ったときに、やはり60代は50代よりよかった、70代はもっと楽しいにちがいないと言えるような、そういう生活を送りたいと思います。

遙 洋子

 ありがとうございました。

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