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あなたの“からだ"守れていますか? ~世代をつなぐリプロダクティブ・ヘルス/ライツ~(性と生殖に関する健康と権利)

更新日:2012年12月19日

パフォーマー
るるくめいと
(大阪府立松原高等学校)
コーディネーター
谷田 寿美江(たにだ すみえ)
(ウィメンズセンター大阪)
パネリスト
浅村 里紗(あさむら りさ)
(財団法人 ジョイセフ人材育成グループ プログラムマネージャー)
加藤 治子(かとう はるこ)
(阪南中央病院産婦人科医師)
小山 敦子(こやま あつこ)
(近畿大学医学部堺病院心療内科医師・准教授)

女性の健康を考えるときに欠かせない概念がリプロダクティプ・ヘルス/ライツです。この分科会では若い世代と共にリプロダクティプ・ヘルス/ライツについて考えました。最初は、エイズ・ピア・エデュケーション(エイズについて学び合う若者たちの啓発活動)に取り組んでいる高校生たちのパフォーマンスでした。続いて、産婦人科と心療内科の医療の現場で見られる若い世代の現状をご報告いただきました。最後にジョイセフの活動から見える健康をめぐる世界の若者の動きをご報告いただきました。若い世代へのメッセージともなるこれらの報告は、すべての年代、あらゆる生活形態の女性たちへのメッセージでもあります。リプロダクティプ・ヘルス/ライツの概念を世代をつなぐ財産として、みなさんに届けます。

パフォーマンス

  • 紙人形劇 「免疫四兄弟」~HIV感染のしくみについて~
  • 寸劇 「Lovin' you」~セックスをするかどうか二人の心の葛藤を描いたもの~

るるくめいと

 私たちは松原高校るるくめいとです。るるくは、今から10年前、松原保健所と松原高校の連携で生まれました。るるくの意味は、知るの「る」、考えるの「る」、動くの「く」です。これは松原保健所の飯沼さんが名づけてくれました。HIV・エイズについて理解を広めるため、私たちは活動しています。るるくめいとから大事な三つのメッセージがあります。まず、私たちは公演をしていて、コンドームを使ったらセックスしていいと言っているように聞こえると言われたことがありますが、私たちはセックスを進めているわけでも、否定しているわけでもありません。大切なのはお互いにきちんと話し合うことだと思っています。

 二つめに、今回の物語の設定は男女のカップルの設定でしたが、女性同士、男性同士というさまざまな愛のかたちがあることを知っておいてください。

 三つめに、私たちは、コンドームはHIVに感染しないためとか、妊娠しないためとかだけではなく、セックスをするならコンドームをつけるのがマナーになればいいなと思っています。そうすれば、HIVに感染している人も、そうでない人も一緒に心地よく生きていけると思います。

《パネルディスカッション》

産婦人科医師から見る現在の若者の現状

加藤 治子

 私はるるくめいとさんの高校と同じ松原市にある阪南中央病院で30数年間産婦人科の医者をやってきました。全国展開ができる、るるくめいとのような人たちが育っているのを、すごく誇りに思います。

 思春期の女の子が病院に来る理由ですが、産婦人科は本当に行きにくいところです。それでも行かなければいけないという理由があるときは、本当にここまでしんどい思いをして来なくても、もっと早くくればいいのにと思うような状況で来られます。その理由を大きく分けると五つあると思います。

 一つめは妊娠の問題、二つめが性感染症の問題、三つめが月経の問題、四つめが身体の悩み、五つめが性被害の問題があります。性被害の問題はなかなか表に出てこない問題ですので、ちょっと重点を置いてお話ししたいと思います。

 10代の子たちが妊娠した場合に、好きな彼氏と性交をもって妊娠したから産みたいという気持ちがまず膨らんできます。産もうという気持ちで産む人たちもいます。阪南中央病院では、出産7,700人のうち、10代の出産が2.3%、182人です。全国的には全体の1.4%ぐらいですが、やっぱり産んでみるととても大変という事例が多いですね。産んでから育てていく過程も、しっかりと周りのサポートがなかったら無事に母も子も生きていけないという状況にあります。産んだからにはしっかりと育てていってもらわなければいけないので、今ある社会資源を全部使いながら、援助して育ってもらうことが必要だと思います。

 それから、どうしても継続できないということで中絶を選ぶ場合も結構多いです。中期まで迷って中絶する場合が、10代は比率的には多いです。おろせるぎりぎりのときに本当にばたばたと結論を出して中絶するという場合も多いです。中絶はとてもつらいことですが、女の子にとって中絶を自分で選んで決めて手術を受けるという過程はとても大事ですね。妊娠をどうするのかをしっかり考えて、結論を出して、中絶手術を受けていくことでその女の子はとても成長するというのが私の実感です。そこに、その後ろにいる男の子が一緒に成長してくれたらいいんです。一緒に考えて、一緒にその子と中絶について悩むという状態であれば、男の子も女の子もこれからのつき合い方が変わってきますが、そこに出てこない場合にはその男の子は同じことを繰り返すという事態が起こるわけで、その辺はとても問題だと思います。

 コンドームが面倒くさいとか、大丈夫や1回ぐらいというのでセックスをして妊娠してしまうということが起こります。それから、コンドームをつけないセックスの場合の性感染症、一番大きな問題はエイズ・HIV感染ですが、若い人に多いのがクラミジア感染です。それから淋菌、性器へルペスなど、いろいろなものがあります。

 性感染症にならないためには一番安全なのはセックスをしない、セックスをとても慎重に考えることがまず初めに大事です。それから不特定多数の人たちとセックスをすることも危険です。それから、セックスをするときには、より安全な方法でコンドームを使ってセックスをするという、この三つは、高校生になったらいろんなお付き合いが始まるということを前提にして、中学生から伝えていくことが大事だと思います。

 性暴力の問題には、DV、レイプ、性虐待という三つの種類があります。このいずれもが、女性や女の子にとってその人の人権を侵害し、あるいは心と身体に及ぼす影響は非常に大きい深刻な問題です。

 性暴力の事例は、この2年間で22例あります。多くは10代で、22歳未満が77%。被害を受ける時間は、昼間と夕方明るい時間を入れると50%。場所は屋外もありますが、自宅というのもあります。性虐待は、子どもにとって保護的な立場にある人が性的な行為をすることで、私の病院には大阪府の子ども家庭センターを通じて紹介されますので多いです。被害を受けている年数は、長いのは9年、10年というように本当に長い間、その被害について誰にも言えずに我慢していたという状況です。自分の一番信頼できるはずの相手からそういうことをされると、人間に対する信頼感が育ってこない。相手は実父が多い。これはほんの氷山の一角です。

 私から性暴力に遭った人に言いたいことはこの四つです。あなたは悪くない、一人で悩まないで。あなたはつらいことを乗り越えてきたサバイバーです。だから自分のことを誇りに思ってほしい。そして、あなたの心と身体は決して汚れてはいないので自分のことを好きになりましょう。このメッセージを伝えたいと思います。

心療内科からみる現在の若者の現状

小山 敦子

 心療内科で一番のキーワードは、心身相関です。私たちは心だけで生きているわけでもないし、身体だけで生きているわけでもないのです。心つきの身体で生きているわけであって、どちらかが調子が悪いと、当然、もう片一方も調子が悪くなります。ここからが心だとか、ここからが身体だと分けずに、人間としてトータルに見ていこうというのが心療内科の観点です。女性の症例を診る場合には、DVや性暴力の被害者、性別役割意識からの重圧、妊娠・出産に伴うストレス、更年期障害などの要素をふまえて、まず身体の面で、それから、この人が今、一生の中でどういうライフサイクルの中にいるかを含め、心理面、社会的な面、経済的なことと、やはりジェンダーという見方をもって総合的に見ていく必要があると思います。

 DVは、女性の被害者が圧倒的に多いです。その根底にあるのは、やはり性別役割意識だと思います。それがある種の権力構造につながって、世代間連鎖が起こります。DVというものは非常に根深い問題ではないかと思います。DV症例に対するサポートは、医療機関だけでは難しく、長期にわたってのカウンセリング、それから家を出る場合の社会資源、シェルターや生活保護など三位一体でやっていくことが必要です。

 DVに限らず、いろいろな身体の症状というのは、実は心のSOSなのです。最初に患者さんが病院を訪れる場合には身体症状を訴えて来られます。純粋な身体の病気の領域があるとして、純粋な精神疾患の領域があるとして、その両方が必ず重なっているので、両方の悪循環を絶つように心身両面から治療していく必要があると思います。

 うつに関しては、精神面では、要するにエネルギー不足になるので、感情的にも、意欲的にも、思考的にも、とにかくダウンしてしまいます。身体の方では食欲がなかったり、眠れなかったり、性欲減退の三大症状があります。それに対してどういうふうに治療をしていくか?これはガス欠状態ですので、これ以上エネルギーを使わないようにまず休んでもらう、そしてガソリンを補給するのが薬物療法かと思います。これが従来のうつ病です。

 一方、最近、注目されているのが若者のうつで、新しいタイプのうつ病と呼ばれています。青年層に多くて、一見、軽症なのですが、実は治りにくい。慢性化することも多く、いろいろな規範よりも自由を尊重してきた風潮と過酷な現代社会のギャップを反映したものです。現代の傾向としてこれが増えてきました。学生時代は男女平等ですよね。しかし社会に出てみると、まだまだ古い体質が残っていますし、学生時代までは、あなたの価値観で自由に生きなさいと育てられてきたのに、社会に出てみると社会がそうはなっていなくて、とまどってしまい、どうするかという葛藤が出てくると思います。

グローバルな視点からのリプロダクティブ・ヘルスの状況

浅村 里紗

 今日は、グローバルな視点から全体的な話、また、思春期のリプロダクティブ・ヘルスでのジョイセフの活動の一端をご紹介したいと思います。ジョイセフは1968年に設立、妊産婦と女性を守るための活動を15か国以上で今まで活動しています。では、グローバルなリプロダクティブ・ヘルスの状況ということで、一体何が起こっているでしょうか。

 WHO(世界保健機関)の推計では、1分間に世界中で380人の女性が妊娠しています。そして1分間に190人の女性が妊娠を望まず妊娠しています(全妊娠の約半数)。そして1分間に40人は危険な人工妊娠中絶を受けています。「危険な」というのは、特に開発途上国の多くの国では、中絶が非合法な国が多いため、とても危険な方法で中絶が行われていたりします。最後に、1分間に1人の女性が亡くなっています。それだけたくさんの女性が命を落としている現実があります。これがグローバルな視点から見たリプロダクティブ・ヘルスの状況です。

 なぜ、1分間に1人の女性が命を落とさなくてはならないのか。それはヘルスシステム、搬送などの道、重労働、栄養状態、お産の場所、早婚、多産などの要因、文化・社会的影響があります。情報や教育が不足している、自分の身体をわかっていない、自分を肯定できるような環境にないことも、とても大きなポイントです。

 今、グローバルに毎日多くの女性が亡くなっている事態を重く受けとめられはじめています。世界の189か国が署名した開発途上国の特に貧困削減をめざす「ミレニアム開発目標」があり、8つのゴールのうち4つがリプロダクティブ・ヘルスに関わっています。開発途上国の国家保健政策のほとんどがこの目標に向けて動いているという状況です。健康に関して知る権利とサービスを受ける権利は、全女性に、ライフサイクルを通してとても大切です。

 若い人の状況では、世界中で1分間に約26人の10代の女の子たちが出産しています。死亡率は高く、また、1分間に約4人の若者がHIVに感染していると言われています。余りに多くの若者が、正しい情報とサービスを得ることができない環境にいますが、若い時点から教育、情報、そして若者にやさしい、適切なサービスが提供されるべきであり、その権利があるとおとなが理解する必要があります。

 開発途上国ではまだまだ生物学の授業のような性教育が多く、人と人の関係性や権利等を含む包括的教育をパッケージとしてつくり、提供する必要性があります。これは、その国やその地域の社会的、文化的な背景が生かされた、その国の状況に合わせたものにしていく必要があります。

 さて、ジョイセフの活動については、一つはタンザニアの活動で、HIV・エイズに関連する教材を村の人たちと一緒に作りました。村の中ではエイズに関する偏見があり、その偏見に対し「感じ」、「考える」紙芝居です。

 次に、ニカラグアですが、女の子が自分の身体の中がどうなっているのかがわかるエプロン型の教材です。とても簡単で紙芝居のようになっています。感情に訴えるような状況設定(物語)、科学に裏付けられた知識、そして若者自身が若者に働きかける行動を支援する環境づくりのための活動をしています。つまり、若者はどんどん卒業していきますから、若者だけが育つのではなく、おとな側も育っていくことが大変重要で、おとながしっかりと若い人たちを支援できる環境づくりをめざしています。

 ここでのポイントはピア(仲間同士)の活動で、開発途上国でたくさん使われている、とても有効なアプローチです。

 思春期保健プログラムの策定には、ジェンダーの視点を基盤にもつことがとても重要であり、権利もとても重要なポイントです。また、若者が自分たちの活動の記録を残し、広報し、宣伝することもとても重要だと思います。

 最後に、若い人が性に関して正しく知る事は早過ぎることはなく、ライフサイクルを通じてリプロダクティブ・ヘルスというのは基本的な人権であり、推進していかなくてはならないと常々感じています。

参加者からの質問

参加者

 インターセックス(男女どちらでもない性器官をもっていること)について、グローバルなことも含めて、どのようにかかわっておられますか。

参加者

 るるくめいとの方で講習受けられて今までそういうリーダー的に活動されている総数、どれぐらい卒業生を出しているか知りたいです。

参加者

 私たちのグループでは、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点で環境を考える活動を何年もしていますが、そこら辺の位置づけを何かご助言いただきたい。

るるくめいと

 10年間で40人ぐらいです。

加藤 治子

 インターセックスについては、他の女性の患者さんたちと一緒に産婦人科で診させていただくところにとどまり、それ以上のことは何もできていません。

小山 敦子

 医学界では性同一性障害については、性転換の手術など、今はその人の実情に応じてその人がよりよくこれからの人生も生きていけるように医学的な面でも、心理的な面でもサポートするように、まだ完全ではありませんが、少しずつ流れが変わってきています。私たち一人ずつが自分の価値観というか、自分の好みや自分の人生観に従ってよりよく自由に生きていけるようにサポートしていく一環の流れとして、遅々としてではありますが、いい方向に来ているのではないかなと思います。

浅村 里紗

 開発途上国では、まだまだ性に関してこの人は男性、女性と分けられている役割が強いところがあります。性の役割、ジェンダーですが、虹のようになっていて、みんなちがってよいですし、いろんなタイプの方がおられることを受けとめることをおとなから、そして、そこからまた若い人たちにも伝えていくという方向で、包括的性教育の中にもセクシュアルアイデンティティ(自分の性に関する自己認識)とか権利も入っていますので、そのようなアプローチを通して、地道ですけれども少しずつ活動は進めています。

谷田 寿美江

 セクシュアル・ライツ(性的権利)及びリプロダクティブ・ライツに関する国際家族計画連盟憲章について、一言つけ加えていただけますか。

浅村 里紗

 1994年に国際人口開発会議(ICPD)があり、その年にリプロダクティブ・ヘルスという言葉が世の中に広まりました。その後、国際家族計画連盟(IPPF)が人権に関する国際的文書に基づくセクシャル・ライツ及びリプロダクティブ・ライツに関する憲章を1995年に127か国の加盟国団体とともに承認しました。この12の憲章を基盤として進める努力がおこなわれています。

谷田 寿美江

 性のバリエーションの問題は、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの問題やセクシュアル・ライツの問題ともかかわりますが、実際の出産の現場ではどうですか。

加藤 治子

 超音波がよく見えるようになったので、妊娠中から男の子か女の子か言ってくれ、病院によってはどっちですよと言うところもわりとあります。ちょっと前まで私の病院では、男の子か女の子かは医学的に別に言うようなことではありませんので言いませんというふうに言っていたんです。かなり頑張っていましたが、流れにはなかなか逆らえなくて、ご希望の方には言うようになりました。インターセックスの人たちが、どっちの性で生きていくかということはゆっくり考えていけばいいことで、どっちかに決めなければいけない世の中というのは、生きにくい世の中ですね。今、女か男かは妊娠中からみんな知っていて、名前までしっかり決まっていて、ということはよくあるんですけれども、やっぱり変な世の中だと思っています。

 環境問題については、枯れ葉剤の影響はとても大きな問題で、その結果、多くの先天異常をもった子どもたちが生まれています。それから、女性に対しては絨毛性の病気をたくさん起こして子宮をとらざるを得ない実態もあります。何か過去のことのようになっていますが、ダイオキシンの影響はまだまだ日本においても解決されているとは思えません。環境問題は、世界の問題として私たちは考えていかなければならないと思います。

 身近なことで考えますと、今、新型インフルエンザのワクチンについては、回数が1回なのか、2回なのか、だれが優先順位なのかということばかりで、そのワクチンが安全なのか、有効性についてはどうなのかということをもっと議論がされなければいけないわけで、今の流れはとても危ないと思います。お上から言われたから即打ちますというかたちでどんどん打っていくことにとても現場は心配だし、怖さを感じています。そういう意味で、そういう世の中の動きに沿って母子に対して対処するべきことは、一つ一つ私たちは検証しながら見ていくことが必要だと思います。

あなたの“からだ”守れていますか? ~世代をつなぐリプロダクティブ・ヘルス/ライツ~(性と生殖に関する健康と権利)の写真2

小山 敦子

 グローパル的にはWHO(世界保健機構)がQOL(生活の質)を規定するものとして、いろいろ心理的な面や、身体的な面や、社会的関係など6つの要素に分けて提唱していますが、その中の一つに環境因子を掲げております。例えば、食の安全の問題とか、中国のミルクの問題とか、そういう大きなQOLに関しても、国が何とかしてくれるだろうと思っていると、時としてちょっととんでもない方向に行くことがありますので、小さな力を結集しないといけないと思うんですね。今、世の中がどういう方向に行っているかを見極めることも大事ですし、見極めつつ一人ずつの力を結集して大きな流れにしていくことが、ひいては私たち一人ひとりの未来、次の世代の一人ずつのQOLに即、かかわってくるという意識をもって、今後行動していくことが大事ではないかと思います。

浅村 里紗

 開発途上国の視点からですが、今、先進国からの薬のダンピング(不当廉価)が多く起こっています。先進国で売れなくなったような薬等が多くの開発途上国の市場で売られていて、それによる影響が非常に今心配されています。

 また、農薬の使用も非常に管理が悪く、開発途上国の野菜はさぞおいしいであろうかと思うと、実は先進国で食べる野菜よりも濃度の高い農薬が使われているケースも多く、今後、大きな影響が出てくるのではないかと心配されています。

谷田 寿美江

 最後に「あなたの“からだ”守れていますか?」ということでまとめをお願いいたします。

性暴力のない社会の実現に向けて

加藤 治子

 産婦人科にいますと、産婦人科に来る若い子たちが輝いて生きてない。自分のやりたいこと、こう生きていきたいということがなかなかない。だから、妊娠した場合には、急遽、自分の存在意義が出てくるわけです。なぜ子どもができた場合に産みたいという気持ちになるかというと、その子が生きている意味というのが、子どもを産むということによっての生きている存在、意義が出てくる、子どもを産むということができるんだ、私にも、ということが思えて急に輝き出すわけですね。実際産んでみると、すごくしんどくて育てられないということになる場合もあるんですけれども。自分が女性として自立して生きていけるようになってから、妊娠・出産してほしいです。

 だけど、今の世の中はそういったことを順調には許してくれません。子どもに対する虐待防止法ができてからは、本当に親からの身体的虐待が見つかれば、子どもはかなりのスピードで一時保護されるようになりました。それから、DV法が成立してからは、本人が訴えればある程度その場から逃げるあるいは保護するということができるようになりました。

 でも、性暴力に関しては、あるいは性虐待に関しては、まだまだ法律的にも整備されていません。相談の場所もまだまだ少ないですね。そういう意味で、性暴力に対する女性への支援あるいは救援の手だてを早急に考えなければいけないと思います。

 そこで、大阪で性暴力救援センターをつくろうと今準備をしています。趣旨をお読みいただきまして、また応援していただけたらと思います。

自分の心と身体を大切にする

小山 敦子

 私からのメッセージとしては、一つめとして、いろいろ大変なことがあるのも事実だとは思いますが、やはり “この人生は生きるに値するものである”ということを最後にお伝えしたいと思います。未来に希望をもって頑張っていただきたいと思います。

 二つめは、とにかくどの年代であっても、自分の身体を自分でいたわってあげることです。自分の身体、自分の心を大切にするのはご自分しかないです。身体のいろいろな症状は、いろいろな意味での警告というか、心や身体のSOSだったりするので、その自分の身体の声を聞いてあげてほしいと思います。自分の身体と心を大事にすることは、もちろんパートナーとか周りの人の心と身体を大事にすることにつながっていくと思います。その二つのメッセージを私からは皆様に贈りたいと思います。

行動することの大切さ

浅村 里紗

 若い方へのメッセージですが、いろんなことを知って、蓄積していき、いずれそれが自分の行動につながっていくということを信じてもらえたらと思います。行動することの大切さ、長い人生を生きて最後に行動しなかったからと後悔したくないということを若いころから知っていただき、いろいろとアンテナを張っていろんなことをるるくめいとさんのように知ることから始まり、自分のことだと考えて、そして行動を起こしていってほしいというのがメッセージです。

 リプロダクティブ・ヘルスという視点からすると、自分の身体、そして産むとか産まないも含めて、すばらしいものをもっていると思うんですね。明るい側面もしっかりと受けとめつつ、一方で暗い側面もあるということを受けとめて、他の仲間にもそれを伝えていき、生涯いい人生を送るためには、じゃあ、どういう力を自分がもって、それを権利として生きていく必要があるかということを日々感じていっていただけたらと思います。人生つらいこととか耐えれないぐらいの悲しみということもあると思うんですけれども、人生は素晴らしいものだと思っています。若い人には、ぜひそういう素晴らしい人生を生きるために、セクシュアル・ヘルス、それからリプロダクティブ・ヘルス/ライツをしっかり受けとめて生きていっていただきたいと思います。

コーディネーターまとめ

谷田 寿美江

 まず、知るためにはいろんなところにアクセスする。そして、考え、気づくこと。きちんとうれしいな、悲しいな、怒りなどしっかりと感じ、受けとめて行動に移していくことが大事です。今の若者が抱える問題は、若者だけでなく全世代の女性の健康に共通の問題でもあります。生涯にわたって、私たちが自分の身体のことを知っていたかどうか。自分の身体と心のSOSに気づいていますか。

 今日は情報としての栄養をもらわれたと思います。そこから自分の健康を守れているか考え、だれかに伝えていく、つなげていけるようなつながりをもっていってくだされば、本日の分科会がいきていくと思います。

このページの作成担当

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