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男性も育児・家事を楽しもう ~子育てパパの本音トーク~

更新日:2012年12月19日

講師
桂 あやめ(かつら あやめ)
(落語家)
コーディネーター
船木 成記(ふなき しげのり)
(株式会社博報堂・前内閣府男女共同参画局政策企画調査官)
パネリスト
中村 喜一郎(なかむら きいちろう)
(経営・人財コンサルタント)
平野 哲郎(ひらの てつろう)
(龍谷大学法科大学院准教授)
ミュラー・クリストファー
(公文教育研究会グループ広報室)

まだまだ「男は仕事」という意識があり、男性の育児.家事への参画はなかなか進んでいません。そんな中、『育休や短時間勤務制度は、自分にとってマイナスではない』と、主体的に育児にかかわった男性たちがいます。仕事と生活の調和が大切という視点でさまざまな局面に立ち向かっていきました。そんな4人の男性の本音トークから、男性が育児.家事に参画することの難しさ、子どもと向き合う楽しさ、自分らしく生きることのすばらしさを学びました。

男の世界といわれる落語界で活躍する桂あやめさんの落語やお話とともに熱いメ届セージをお届けしました。

落語家としての歩みから

桂 あやめ

 私がこの世界に入る前というのは、女の方も4、5人いらっしゃったと聞くんですけど、今から30年、40年前となりますと、女の人というのはとにかくもう結婚したらやめるもんやと、女を採ってもあかんでというような感じがあったんです。

 私が入門するころなんかも、もうだれに聞いても、女の子やろう、無理やて、やめときと言うんです。でも、私自身は別に力仕事するわけでもないし、男がやっても女がやってもー緒やんかと、女にもできんことないやろうと思っていました。

 落語家になる方法は、昔も今も、とにかくその師匠のところに通って、弟子にしてくださいと頼むと。この方法しかないんです。師匠のかばんを3年間もって歩いて、内弟子修行というのをしまして、この方法しか今もないんです。

 あるとき、京都の落語会を見に行ってまして、楽屋口で待ってましたら、師匠がたった1人で出てこられて、私が近づいて弟子にと言おうと思ったら、師匠が、「あんたよう見に来るけど、あんたー体どこから来てんのや?」と言うてくれまして、「わしは今日は電車で来てんのや、まあここは車があったら便利やけどな、うちは車あんねんけど、わしは免許をもってないし、今ついてる弟子も免許がないから、最近は車、ほこりかぶってるわ」って師匠がおっしゃったんで、「免許取ってきたら師匠の弟子にしてもらえますか」と言いましたら、「そうか、ほんなら君、わしの運転手やってくれるんかいな、ははは」って笑いながら師匠は帰っていったんです。

 免許を取ってきて師匠のとこ行って、「約束どおり免許を取ってきましたので、今日から弟子にしてください」「ほんならまあ一遍来てみるか?」なんて言われまして、「ほんならまあせっかく来てくれたんやさかいに、今日から車で仕事行こか」と言われまして。昨日、今、取ってきたと言うてるのに、その恐ろしい車に師匠は乗ると言うんです。

 それでクラウンという大きな車を、初めて座る車を私が運転、師匠が横に乗っかって発進となったんですが、高速道路は合流というのがあります。環状線に合流せなあかんのです。合流、これ怖いですね。北浜合流地点、これが難関ですわ。右から左へ入らなあかんのですね。左から右やったら、まだ自分が窓あけて顔出して、済みませんとか言えるんですけども、右から左となりますと、これができませんから、もう、チカチカ、ウィンカー出しても、大阪のドライパーはみんな自分の前に1台でも入れたら損やってなもんで、18の女が運転してるクラウン、かかわりたくないというのが人情でございますので、だれも入れてくれないんです。どないかせなあかんというので、師匠が窓あけて、後ろから来る車に、「えらい済んまへん、落語家の小文枝でございまして、済んまへんけど、ちょっと入れてくんなはれ」というふうに子を振って、何とかとめてくれまして、師匠を初日から方向指示器として使いまして。そのときに、もう早くも27年前に車内では男女共同参画は始まっておりまして、助け合わねば死んでまうということで。

 私が高座に上がって、始めは、いわゆるまくらの、落語のストーリーに入らない部分というのは、私として皆さんにしゃべってるわけです。この部分は割と受け入れてくれるんです。ところが、落語に入ったらお客さんがみんな、「んっ?」てなるんです。この人が女の人やというのはわかった。ほんなら今、落語の中で、「こんにちは」言うて入ってきた人は、男か女かどっちやろうと悩むんです。これではいかん、受けへん。

 次に考えるのが、この古典落語、女に入れかえたらええのやと台本を書き直そうと思ったときに、またぴっと筆がとまるんです。この「時うどん」というのは、真夜中に男2人が、足して1杯の素うどんも食べられないくらいお金がないんですけど、あと1文足らないんです。それでもうまいことごまかして食べようかという話なんです。何でお金がないかと言いましたら、その日の日当をもうて、1杯飲んだりなんかして、遊郭を冷やかして歩いて、それでおなかがすいたからうどんを食べようかという話やね。これを入れかえて、大工のおうめさんと植木屋のおたけさんが一杯飲んで遊郭冷やかして、うどん食べましょかて、そんな生活はしてないわけですよ。やっぱり女の人を描くなら、女の人の生活を描かんとどうしようもない。

 どうしようと思ってたときに、先輩が新作の会に出えへんかと誘ってくれて、じゃあ一遍つくってみようかなと。当時まだ19、20歳ですから、女子大生が学校の帰りに喫茶店で、ああでもない、こうでもないってむだ話してるような話をつくろうかなと思いまして、艶姿ナニワ娘という新作をつくってみたんです。

 今から考えたら、そんなできのいい話でもないんですけど、女の子が普通にしゃべってるという話なので、お客さんが何かすっと楽に入ってきてくれて、気がついたら笑いがわっと起こってるんです。

 そんなんで、落語というもんは男向きにできているなというのをつくづく思ったんですけど、逆に言うたら、女もんの落語は今まで一個もなかったわけですから、幾らでもネタが、題材が転がっていて、手つかずの状態だということがわかりまして、新作をいろいろつくってやるようになりまして。

 きょうは高座を用意していただいておりますので、この後、では座布団に座りまして、自分のつくりました落語を聞いていただきたいなと思います。

(落語:義理ギリコミュニケーション)

 聞いていただきましたのは、義理人情の義理とギリギリの関係というのを掛けまして、「義理ギリコミュニケーション」と言うんですけど、もう価値観は本当にいろいろでして、今のお母さん世代というのは、夫が家事もせえへん、洗濯もせえへん、家の中、何があるかわからへんみたいな夫で来たから、息子はそうしたくないと思って、随分ここ10年、20年ぐらいで、男の子が料理をするとか、本当に一緒に家事を分担するとかということが一般的になってきたなという気はするんですよね。

 ここから先は、そういった実際のお父さんの立場の声を聞かせていただけるということですので、まず私のほうはいろんな考えや価値観の人がいて、それでもそれで仲よく、いつの間にかやっていけたらええなということで、「義理ギリコミュニケーション」というのを聞いていただきました。どうもきょうはありがとうございました。

はじめに、自己紹介から

船木 成記

 皆様、はじめまして。船木成記と申します。本日はコーディネーターを務めさせて頂きます。よろしくお願いいたします。ついこの聞、8月末まで内閣府の男女共同参画局におりました。私自身、女性の方の落語をお聞きしたのは実は初めてですけど、非常に楽しく聞かせていただきました。桂あやめさん、ありがとうございました。それでは、第二部を始めさせていただきます。まず、パネリストの皆さんに、自己紹介をお願いいたしましょう。

中村 喜一郎

 中村喜一郎と申します。私も女性の落語家の高座を直接見たのは初めてで、特にやはり前説でおっしゃってた男社会、私の場合はその男社会にどっぷりとつかっていたいわゆる体育会で、一言で言ってしまえば男尊女卑的な考えでずっと大学院まで行ってました。ただ、その後、P&Gという外資系の会社に入りまして、多様性の薫陶を多々受けまして、最終的には育児休暇を取るに至ったりとか、それまでの自分には想像できなかった世界をいろいろ経験させていただきました。

平野 哲郎

 平野哲郎といいます。裁判官をしていたときに育児休業を取ったので、今日、こちらに呼んでいただいてるわけです。

 前説のところで、女性の落語家がもともと5%というのが印象に残りました。それで、女に落語なんかできるわけがないからやめとけと言われたというのが、僕が育児休業を取ろうとしたときに、男に育児なんかできるわけがないからやめとけと言われたのと重なるなというふうに思いました。女性の落語家が増えているように、育児休業を取るという形ではなくても、いろいろな形で育児に参加する男性の割合が増えてくればいいなというふうに思いながらお話を伺っていました。

ミュラー・クリストファー

 ミュラー・クリストファーです。オーストラリア出身です。

 今日、落語そのものを生で見るというのは初めての経験でした。話の中では、共通点は幾つかありまして、自分も外国人ということで、少数派で日本で生活しているという点において、何かわかるなという気持ちを持ちながら話を伺いました。

それぞれの育児・家事体験から

船木 成記

 それでは、本日はパネリストの皆様方が、どんな風にお子さんと向き合ったり、毎日を過ごされたり、ワーク・ライフ・バランスをどのように実践されているのかというようなことをお伺いしながら進めて行きたいと思います。

外資系企業の中で~正解主義ではなく修正主義~

中村 喜一郎

 今回、「男性も育児・家事を楽しもう」と。ただ、ワーク・ライフ・バランス実践セミナーということですので、子育てだけではなく、このワーク・ライフ・バランスについてもうちょっとお話をさせていただこうと思っています。

 実は育児休暇を12年ほど前に取りました。そのとき、まだ日本では育休お父さんというのが少なくて、いろんなところで声がけをいただいたんですが、そのうちの一つの大きな例として、この「育休お父さん」の成長日誌というのが朝日新聞で連載され、ここで半年ほどコラムを書いていたことがあります。

 育児休暇を取るきっかけというのは、妻のつわりだったんです。妻のつわりが本当にひどかったんです。その間も彼女は、当然、仕事は待ってくれないわけなので一生懸命仕事をやると。そういうふうに頑張ってる妻を見たときに、何かもっとできることないのかなと考えまして、育児休暇を決意しました。

 ちなみに上司はアメリカ人の男性だったんですけれども、僕の不安を見透かしたかのように、わかったと。君が本当にそういうふうに考えてるんだったら応援するよということで、すごく背中を押していただいたんです。

 実際、育休を取ってみて何が起こったかというと、一言で言えば、玉砕だったんです。もう朝から泣きっ放し、全く寝ない、ミルクは吐き出す、しかもおむつをかえるのが下手だったんです。ところが、だんだんできるようになってくると、子どもの笑顔というのが、もう本当何物にもかえがたいです。ということで、本当、最初は大変だったんですけれども、任務はうまくやりおおすことができたんじゃないかなというふうに思います。

 ワーク・ライフ・バランスについて、生活と仕事の調和というふうに言われていますが、現状はアンバランスの是正と。男性ばかりが外で残業まみれになってるという状況を是正しないといけないということで進んでることが多いんじゃないかなと。ただ、バランスといったときに、50、50がいいのかと。そういう意味においては、あちらを立てればこちらが立たずというものではなく、仕事も家庭も与え合いながら、より充実感というものを増していく存在になっていく必要があるんじゃないかなと思います。

 もう一つの気づきとしましては、少子化対策や男女共同参画とセットにされることが多いんじゃないかなと。セットにすること自体が悪いとは思わないけれども、女性、もしくは両立支援を必要とする人になりがちなところを、もう少し全員が含まれる、一人ひとりちがっていいんだよというふうに仕向けていければいいかなと考えています。
 
 あなたのワーク・ライフ・バランスとは、きょう1日のこと、それとも人生トータルで言ってるのかという視点も、これからはますます重要になってくるんじゃないかなと。

 最後のメッセージとしてお伝えしたいのが、いわゆる正解主義ではなくて、修正主義でいいんじゃないかなと。うまくいったら続けていけばいい。うまくいかなければ、どんどん修正をしながら、昨日より今日、今日より明日というものがよりよい1日になるように私自身も、これからも精進を続けていきたいなと考えています。

船木 成記

 中村さん、ワークライフバランスの専門的なお話も含めてありがとうございました。正解主義より修正主義、いろいろなことに当てはまるとても大切なお話だと感じました。みなさんも、実感としてお持ちかと思いますが、特に子育てには、きっと正解はないと感じますよね。いかがでしょう。それでは、次に平野さん、よろしくお願いいたします。

裁判官の育児休業申請 ~苦労と喜び~

平野 哲郎

 なぜ私が育児休業を取ったかですけれども、最初は子どもを持つこと自体に消極的でした。それは裁判官を自分の天職みたいに思ってましたし、父子関係に不安があったということです。職場の同僚、上司と話していると、最近、子どもと何か月話してないとか、何考えてるか全然わかんないよということを言われていて、せっかく子どもができても、かえってさみしいのではないかと感じていました。でも、裁判所での仕事を続けている限り、そういう関係しかもてないのかなと思ったわけです。それから、二つめの理由が、夫婦関係の不安で、仕事柄、離婚事件などでは、お子さんが生まれたときにすれちがいが生じたというケースが多いんです。

 そこで解決策として思いついたのが育児休業でした。いよいよ上司に申請することになりました。上司というのは裁判長ですけども、育児休業を取りたいと申し出たところ、1分ぐらい沈黙があって、「難しいと思う」とぽつりと言われたんです。育児休業を認めるかどうかは、最終的には最高裁の人事局で判断がされるんですが、裁判長が全然上の人に話を伝えてる気配がないんです。折を見て聞くと、「考えている」というだけで話が進まないんです。

 逆に別室に呼び出されて、「平野君は今まで横浜、札幌、大阪と全部希望したとおりの任地で来てるよね」と。「今度、同じ部の何々君が僻地と言われるところに行くことになったんだよね」って。「平野君が育児休業を3か月取って、その後3年間、家族と離れ離れになったりして不自由な思いをすることになったら、どっちの方がいいのかな」なんて言うわけです。「考えている」というのは、どうやって僕に育児休業の申請を撤回させるかを彼なりに考えていたんだと思います。裁判長は僕のことを心配して言ってるんじゃなくて、自分自身がさらに上からどう評価されるかを心配しているんだなと感じました。

 そこで、直接上席裁判官という所長の次のポストの裁判官に直談判に行って、「育児休業を取りたいという話は上席のところまで伝わっているでしょうか」と言ったところ、案の定、伝わってなくて、「あれは男も取れるのか」とやおら六法を広げて、「たしかに女だけとは書いてないな」と言われたんです。制度ができて10年、裁判官になって30年間のベテランの大阪地裁の上席という立場にある裁判官がこの認識だったわけです。

 もうこれはらちがあかないと思って、人事課に申請書を提出したところ、最高裁まで上がって、結局、取ること自体は認めざるを得なくなったわけです。それでも、上申書を書くようにと言われ、出したら「短い」と言われて、2枚にして出して受け取ってもらった。まあ嫌がらせですよね。その後、その裁判長は、もうコミュニケーションは取れないし、僕がやってた仕事も全部取り上げて、ぽつねんと半年ぐらい、村八分のような状態で置かれていました。

 育休を取ってる間、どんな生活だったか。三食昼寝つきで好きな映画を見たり楽しく過ごせるかなと、赤ちゃんなんて寝てるだろうしと思ったわけです。これが大きな間違いでした。無限のおむつかえ、洗濯、ミルク、だっこ、さらに孤独な毎日が待ってたわけです。周りで育児休業を取ってる男性の友達なんて当然いませんし、京都の地元に知り合いもそんなにいなかったわけです。それでも意を決して、公園デビューをしてみようかと思って、赤ちゃんをスリングというのに入れて、お母さん方が談笑してるところに、ニコニコとしながら近寄っていったら、みんな逃げるんです。

 これだけだと苦労ばっかりのようですけど、もちろん喜びもあって、こうして苦労して育てた子どもたちが、今はパパ大好き、100歳まで生きてねと言ってくれてます。

 毎日テレビの「VOICE」というニュース番組で、子育てのために転職した父親というテーマで取り上げてくれましたので、ごらんください。

(ビデオ放映)

外国人として日本企業の中で ~こんな価値のある仕事はほかにない~

船木 成記

 発見や驚きのお話ばかりでしたね。感想はいろいろあるんですけど、組織の問題とか壁とか、ベースにある男女の意識のちがいとか、いろいろあるなぁと感じました。僕がお聞きしたケースでいくと、国会議員の橋本聖子先生、実は国会議員の方がお子さんを産むというのは史上初だったかというふうに記憶しております。やっぱり産休を取らなきゃいけないのですが、議員の決まりごとの中に産休の届出の項目が当時なかったようなんです。やはり女性を想定しないでつくられてるルールや常識が、世の中にはまだまだいろいろあるんだろうなと、思い返しながらお聞きをしてました。

ミュラー・クリストファー

 妻が長男を妊娠して、動きがしんどそうやなと思っていたとき、病院の中に出産向けのコースのようなものがありましたので、疑似体験もできるというのでやってみました。妊婦スーツみたいなものですけども、相当重たいです。結構、妊娠もしんどいなというのは、直接に感じました。

 5か月ぐらいのときに胎児には耳ができるということで、物事が聞こえるそうです。それを機会にして、読み聞かせを始めようとしたんです。生まれたとき、本当に信じられないぐらい、だれよりも私の声に対して反応を明確にするようになって、私が声をかけるとすごくにっこりと反応をしてくれるんです。だから読み聞かせ、効くもんやなと自分の体験を通じて思いました。

 次に、遊びと学びというのをつけているんですけれども、遊びの中に多くの学びがあると私は思っています。できるだけ子どもが自分なりに考える、考えさせるような機会にして、遊びながら、わいわい笑いながらということをずっと意識してやっています。

 私には、子どもという概念は余りなくて、小さな人間というようなとらえ方をしてます。ちがいは、体の大きさ、強さというのはある。あと経験の量、歳だから経験も全然ちがうんだなと。でも、3歳、2歳でも、自分なりの意見、考え方は間違いなくあります。感じること、笑ったり、泣いたりとか、もう全く大人と変わらないなと思ってるんです。そして育児休暇を取るのは大変なことではなくて、できるだけ多く社員に取ってほしいというような会社の風土があるんです。ですので、Iいいよ」とかIいいことじゃない」と言われ、すごく自然的に、流れ的に取らせていただきました。

 育児休暇で、これは大変ですね、本当に大変。毎日、会社に行くよりも大変な仕事じゃないかなと思いました。ただ、こんな価値のある仕事はほかにないなと思います。一つひとつの子どもの小さな変化を見ること、すごい価値のあることです。だから、難しいけども、すごく大切と自分は思いました。

 それで男性の過ごし方は、男性は育児休暇を取ることで、選択肢があると思うんです。おれはこの部分をやるから、あとよろしくねというのはできると思うんですけれども、ちょっと女性とちがうような状態ですね。

 復職するときも、なれるまではどれだけしんどい。これ女性が取ったら、長ければ長いほど、またなれにくくなっていくと思います。

 あと、社会と家族のバランスは、仕事をもっと効率的にする。そして必要なければ残業しないという自分のポリシー、それをやった方がいいという意味ではなくて、私の場合はそう決めました。それを実践するのはなかなか難しい。これは相当の覚悟がないと、絶対できないし、あと仕事の中にはどのような影響を与えるかというのもあると思います。だから、覚悟した上で、いかに自分の仕事に対して責任持って効率的にできるかというのは、やっぱり大きいなと思いました。

ワーク・ライフ・バランス ~ライフの中にワークがある~

船木 成記

 そろそろまとめのお時間となりました。私からは、問題提起をいくつかさせていただき、まとめにかえさせていただきたいと思います。今日はどんなことがテーマになるかなと思って会場に参りました。例えば家事を改めて男性の側から考えなきゃいけないかなとか、そもそも、育児って何だろうかということ。でも、その前に大切な考え方や枠組みとして、ワーク・ライフ・バランスってあるよねと。でも、“ワーク(働く)”って何なんだろう。実は、働くをしっかり考えないままワーク・ライフ・バランスの議論がなされてるような気が最近するということ。それからソーシャルキャリアという観点もお伝えしたい部分がありますが本日は割愛させていただきます。本日パネリストの皆様のお話を受けて感じたことは、子どもに対して、親として向き合う自分たちの気持ちがとても大切で、パパとかママとか、余り男女で役割を分けすぎるのもまたどうなんだろう。最近、パパの子育てに注目が当たり過ぎてるような気がしていて、ある意味ではそうかもしれないけれども、お子さんが大きくなっていく中で、家事・育児というところだけではない部分にも、光が当たるべきではないかと、いろいろ考えたりもします。今日のお話はそういう部分で共感するところが大でした。

 働くについては、給料をもらって働く有償労働だけが働くことだけではないということをもう一度認Iしてほしいと思います。ワーク・ライフ・バランスのワークは、どんなものをさしているのか?ワーク・ライフ・バランスは、ワークかライフかという二項対立でありません。ワークとライフが別々のものではないんです。当たり前ですが、みなさんそれぞれのライフ全体の中にワークがあるわけなんです。この前提から考えて、ワーク・ライフ・バランスを考えていただきたいと思います。

 視点を変えると介護の話も、実はワーク・ライフ・バランスの重要な話になってきます。みなさんの会社時間の中にも、それぞれの家庭の事情をみんなで職場にもち込んで、シェアしなきゃいけない時代がもう目前です。これまでは職場に個人の事情はもち込まないことで成り立ってきていましたが、これからは職場の中でいろんなことをシェアしていくという心持ちがなければ、社会はよくなっていかないんではないだろうかと思ったりもします。

 パネリストの皆さんに、最後に一言ずつお話をいただいて終了とさせていただきたいと思います。

中村 喜一郎

 最後に一言あるとすれば、ワーク・ライフ・バランス、いろんな考え方があると思いますけれども、最終的にはご自身の人生をしっかりと自分のものとして、どういうふうに彩っていくのかという自立、その上で他者と助け合っていく相互協力という考え方がすごく必要になってくると思います。

平野 哲郎

 人字型人間関係とM字型人間関係、人字型はお互いに支え合っている、M字型は一人ひとりの個人があって、その個人が手を伸ばし合ってつないでいる人間関係ということです。そしてもう一方があいていますので、そちらを仕事や地域活動などに振り向けていくことができる。このような人間関係を築いていくことが大事なのではないかなと思っています。

ミュラー・クリストファー

 これが正しい、これが間違ってるというものではなくて、皆さんにとって、自分に合った話、参考になる話がありましたら、ぜひもって帰って自分なりに考え実践していただければと思います。

船木 成記

 パネリストの皆様、貴重なお話をありがとうございました。ようやくこれからということろですが、残念ながら所定の時間を過ぎてしまいました。本日は、ありがとうございました。

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