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市長のことば

更新日:2024年2月16日

◆目次

令和6年 市長のことば

令和5年 市長のことば

新型コロナウイルス感染症関連

令和4年 市長のことば

令和3年 市長のことば

令和2年 市長のことば

令和元年 市長のことば

令和6年2月16日(金曜)

令和6年度当初予算案市長説明

令和6年1月4日(木曜)

仕事始め式

令和6年 新年のあいさつの画像

 皆さん、おはようございます。令和6年、2024年がスタートしました。
  
 役所としては今日が仕事始めですが、年末年始に業務に従事した方も多いと思います。
 現在も、石川県能登地方を震源とする地震の被災地への支援に、堺市消防局から緊急消防援助隊として消防車両6台・職員27名、上下水道局から応急給水活動として給水車両2台、職員6名を現地に派遣しています。昨日は堺市救援対策本部会議を開催し、更なる応援要請に迅速に対応できるよう現在の支援状況と今後の方針について確認しました。
 堺市として、被災された方々や地域の支えとなれるように力を尽くしましょう。
  
 そして、堺市内においてもいつ災害が起こるとも限りません。各部門においてはあらためて災害発生時の対応を確認し、市民の皆様や市内事業者の皆様を守ることができるように備えてください。
  
 さて、昨年は、5月に新型コロナウイルスの感染症法上の分類が5類へと移行し、市内でも多くのイベントや行事が再開されるなど、アフターコロナに向けて世の中が大きく動き出す様子が感じられた一年だったように思います。
  
 一方で、現在も市民生活や経済活動に深刻な影響を与えている物価高騰や社会情勢のめまぐるしい変化、少子化に伴う人口減少の加速など本市を取り巻く環境は厳しさを増しています。その意味からも、堺市政は、安全・安心を守り、積極的に挑戦し、未来へと歩みを進めなくてはなりません。
  
 今年の干支は「甲辰(きのえ・たつ)」です。
 甲辰には「これまで育ててきた芽が大きく成長する」という意味があるとされています。
  
 現在、堺の魅力やそれぞれの地域の可能性を引き出すために力を注ぎ、市内各地で動き出しています。昨年10月には本市初のG7閣僚会合である「G7大阪・堺貿易大臣会合」が開催されました。来年には「大阪・関西万博」が控えています。これらの貴重な経験と機会を活かしながら、更なる都市魅力の向上や地域活性化、次の時代の堺を担う子どもたちの可能性を伸ばすことなど堺市に効果を波及させ、堺の成長・発展につなげられるように取組を進めます。
  
 市政運営の大方針である「堺市基本計画2025」では都市像に「未来を創るイノベーティブ都市」を掲げ、5つの重点戦略に沿って施策を推進しています。市民の皆様や市内事業者の皆様に堺市がめざしている方向性を示すものであり、私たちが日々の業務を行う上での羅針盤です。全ての職員が「堺市基本計画2025」を強く意識し、係わる分野の記載内容を把握して、自ら未来を切り拓くという気持ちを持ってそれぞれの業務に励んでください。
  
 最後に、昨年もこの場で伝えましたが、堺市役所ではパワハラなどのハラスメントを決して許しません。特に管理職は意識を徹底し、職員の皆さんは被害を受けた際には躊躇わずに相談してください。風通しが良く働きやすい職場であり、組織としての力が最大限発揮されるように、全庁を挙げて取り組みます。
  
 それでは、市民の皆様がこれからも堺で安心して暮らし続けることができ、将来にも夢と希望が持てる都市であるように、本年も力を合わせて頑張りましょう。よろしくお願いします。

令和5年6月21日(水曜)

市長所信表明

令和5年6月9日(金曜)

市長訓示/初登庁

職員への訓示の画像

 6月4日に行われた堺市長選挙において、市民の皆様から信託をいただき、引き続き市政運営を担わせていただくことになりました。新たな任期のスタートにあたり、職員の皆さんに私の思いをお伝えします。
   
 これまでの4年間は、徹底した事業見直しを行い、危機的な財政状況を乗り越えて持続可能な財政運営への道筋を付けることができました。3年以上にも及ぶ新型コロナウイルス感染症への対応や昨今の物価高騰対策をはじめ、直面する喫緊の課題にも皆さんと共に力を尽くしてきました。
   
 デジタル化やDX、情報発信の強化、女性活躍の推進、区役所の機能強化など行政改革も大きく進めることができたと考えています。
   
 また、なかなか活かしきれていなかった堺の魅力や市内各地域の可能性を引き出す取組も様々な場所で動き始めています。市民の皆様の暮らしを将来にわたってお支えするための「持続可能な都市経営」に向けて、着実に前進しています。
   
 一方で、改善すべき点もあります。過去から続く問題や新たに生じた課題には正面から向き合い、事態の打開に向けて力強く行動することによって、市民の皆様により信頼していただける役所でなくてはなりません。
   
 さらに、南海トラフ巨大地震をはじめとする大規模災害や、先日の大雨のように日常的に起こりうる災害リスクからも私たちは市民の皆様や市内で過ごされる方々を守らなくてはなりません。
   
 これらに着実に対応するためには、組織全体として適切かつ効果的に機能すること、そして職員一人一人の意識が必要です。市政運営の大方針である「堺市基本計画2025」をはじめ策定した計画やプラン等を確実に進めることも重要です。幹部職員はもちろん、全ての職員が強い意識を持って臨んでもらいたいと思いますし、私自身も先頭に立って実践します。
   
 今日を迎えるにあたって、私は市民の皆様に「堺の安心/未来への挑戦」とお伝えしてきました。堺市政は市民の皆様のために、そして堺のために、安心・安全を守り、積極的に挑戦し、過去に戻すことなく未来へと歩みを進めます。
   
 これからも堺で安心して暮らし続けていただき、堺がより良く変わっていく様子を感じることができ、将来にも夢と希望が持てる堺であるように、一緒に頑張りましょう。

令和5年2月10日(金曜)

令和5年度当初予算案市長説明

 令和5年度当初予算案をはじめ関連諸議案の審議をお願いするにあたりまして、市政運営の方針を申し上げます。
 
 新型コロナウイルス感染症が今もなお私たちの生活や社会全体に大きな影響を及ぼし続ける中、政府は感染症法の分類を5月8日に今の2類相当から5類とする方針を決定しました。医療体制やワクチン接種などのあり方は今後示される予定ですが、国の状況を注視しながら、引き続き市民の皆様の命と健康を守るため、必要な体制を確保し対策を着実に行います。
  
 令和5年度当初予算案は、喫緊の課題に適切に対応しながらも、持続可能な都市経営を実現し、市民の皆様が堺でこれからも安心して暮らしていただけるように、「持続可能な堺を創る予算」として編成しました。
  
 予算規模は一般会計が4328億円、特別会計と企業会計を合わせた全会計が7799億円です。
  
 エネルギー価格の高騰に伴う影響や新型コロナウイルス感染症対策経費等の増加により、一般会計の規模は令和4年度から61億円増加しています。
  
 令和5年度当初予算案の主な施策についてご説明します。
  
 堺が将来にわたり成長・発展し、持続可能な都市経営を実現するためには人口減少対策が欠かせず、特に喫緊の課題である「子育て世代の定住・流入促進」を重点施策としました。
  
「安心して子育てできる環境の充実」に向けては、保護者の負担を軽減するため、認定こども園等を利用する0歳から2歳児のうち第2子以降の子どもの保育料を所得制限なしで無償化します。また、妊娠時・出生後の給付金の支給や医療費助成、公立こども園での紙おむつの処分を行います。併せて妊娠時から伴走型の相談支援を行うことにより子育てにおける様々な不安の解消を図ります。
  
 また、子どもを安心して預けられる保育環境を確保するため、認定こども園等に対して医療的ケア児など配慮を要する子どもの支援体制強化や施設の大規模修繕に要する費用を補助します。0歳から2歳の多胎児を育てる家庭には経済的負担の軽減や外出の困難さを緩和するためにタクシー料金の一部を助成します。
  
「子どもの可能性を伸ばす教育の推進」に向けては、子どもの総合的な学力向上のため、個人の教科学力の段階が分かるIRT調査や読解力を測定できるリーディングスキルテストの検証による効果的な取組を全校で実施します。
  
 また、より実践的な英会話を通じて英語によるコミュニケーションを図る意欲を高め、国際理解を深めるため、海外の英会話講師とのオンライン英会話のモデル校を拡充します。
  
 さらに、学校給食の食材費が高騰する中、市立小・中学校、特別支援学校にて栄養バランスや量を保った学校給食を提供するため、食材費の高騰分を令和5年4月から1年間、市が負担します。令和7年度の全員喫食制の中学校給食の開始に向けては、給食センターや中学校の配膳室の整備等により着実に準備を進めます。
  
「良質な住宅ストック・安全安心な住環境の形成」に向けては、空き家の利活用と子育て世代の転入・定住促進のため、市外から転入したり市内の賃貸住宅から転居する際に空き家を購入する若年夫婦や子育て世帯に費用を補助します。また、市民の皆様が安心して暮らせるように警察と連携して過去に犯罪が発生した場所や夜間通行時に不安を感じやすいと想定される場所に行政主導で防犯灯を設置します。
 
「多様なニーズに応じた就労機会の拡大」に向けては、さかいJOBステーションにおいて、若年者と全年齢の女性を対象に、特性に応じた個別カウンセリングやセミナー、企業とのマッチングなど総合的な就職支援を実施します。また、デジタルスキルを持つ求職者を支援する「デジタル人材ステーション」を設け、求職者と企業の出会いの場を創出します。
 
 さらに、イノベーション創出の担い手となる起業家やスタートアップ、中小企業等が市内に定着し、地域経済や社会の活性化につなげるため、新しく事業所を開設する際の賃料を補助します。
 
「定住魅力が伝わる戦略的なプロモーション」では、子育て世代の定住・流入を促進するため、本市の居住魅力や子育て支援策など市内外への情報発信を重点的に行います。
 
 以上の「子育て世代の定住・流入促進」をはじめ、市政運営の大方針である「堺市基本計画2025」の取組を着実に進めます。
 
 今年10月には「G7大阪・堺貿易大臣会合」の社交行事が堺で開催されます。堺の類いまれな歴史や文化を国内外に広く発信する絶好の機会であり、会合が安全で円滑に開催され、堺の都市ブランド向上や地域活性化、次の時代の堺を担う子どもたちの国際感覚の醸成など多岐にわたる成果を収めることができるように取り組みます。
  
 「2025年大阪・関西万博」に向けては、堺への波及効果を実現するため万博会場での情報発信機会の創出や機運醸成の取組を行います。
 また、万博来場者が堺市を訪れ、長時間滞在されるよう、内川河川敷エリアのオープン化に向けたモデル事業や歴史文化資源を活用した市内周遊促進の取組を支援します。さらに、環濠エリア北部地区の歴史的建築物等を活用した飲食・物販・宿泊施設に対して来訪者の受入環境整備に要する費用を補助します。
 
 環濠エリアでは、その魅力をより高められるように令和5年度末に開館予定の「(仮称)堺鉄炮鍛冶屋敷ミュージアム」の整備や、「山口家住宅」「清学院」での展示解説やサイン等の施設整備を行います。
 
 伝統産業についてはブランド力向上のため、伝統産業事業者が異なる業種の事業者と連携してそのノウハウを活かした新商品の開発や販路開拓の強化等の新たな取組を支援します。また、市民の皆様や企業等が堺の伝統産品を活用し、その魅力を市内外へ広く発信する活動を支援します。
  
 障害者の社会参加に向けては、障害がある方の実習先の新規開拓や福祉施設と企業のマッチング支援、企業及び福祉施設向けの研修や支援を充実し、就業や社会生活において支援を必要とする障害者の就労定着及び雇用を促進します。
 
 教育においては、生徒それぞれの理解や個性に応じた個別最適な学びや、担任業務の軽減による教員の働き方改革等の推進を目的として、中学校第1学年において38人学級を実施します。
 
 また、今後の図書館行政のあり方についての検討の一環として、図書館サービスに対する市民ニーズを検証するため、コンビニエンスストアでの図書返却サービスを試行実施します。
 
 堺都心部の魅力向上と活性化をめざす「SMIプロジェクト」については、市民の皆様や企業等のご意見や実証実験を踏まえてSMI都心ライン等の導入計画を作成します。また、デジタルサイネージ等による都心部の回遊性向上及びSMI美原ラインの利用者増加を図るための実証実験を行い、検証を踏まえながらSMIプロジェクトを着実に進めます。
 
 中百舌鳥イノベーション創出拠点の形成に向けては、スタートアップや中小企業、支援者、ステークホルダー等の活発な交流・共創のため、交流拠点の開設やコミュニティマネージャーの配置、オンラインコミュニティの企画運営を行います。
 
 また、大阪公立大学が取り組むイノベーションアカデミー事業と連携し、企業版ふるさと納税による寄附金を活用した中小企業の共同研究や実証プロジェクト等を大学と協働で行います。
 
 現在、「堺・ごみ減量4R大作戦」を実施していますが、更に減量化・リサイクルを進めるため、使い捨てプラスチックや食品ロスの削減に取り組みます。また、古紙の更なるリサイクル促進に向けて、古紙回収の効率が上がる常設保管庫の設置に必要な費用を補助します。
 
 以上、令和5年度当初予算案の主な施策をご説明しました。
 
 なお、予算としては計上していませんが、職員の創意工夫により民間企業や関係機関とも連携しながら住民サービスの向上や施策の推進を図る「ゼロ予算事業」の取組も、引き続き様々な分野にて積極的に進めます。
 
 予算案と併せて公表しました「財政収支見通し」では、「持続可能な財政運営に向けた取組」を着実に進めることが前提ではありますが、毎年度の多額の収支不足によって基金が枯渇し予算編成が困難となるような状況は回避できる目処が立ちました。
 
 現在のエネルギー価格の高騰など市の財政に大きな影響を与える事態を反映し、毎年約8億円の収支悪化要因となる「0歳から2歳児の第2子の所得制限なしでの保育料無償化」を実施しても期間中は基金残高が一定額を維持できる見込みです。
 
 これらのことから、「堺市財政危機宣言」を解除することとしました。
 
 今後は、収支改善策として取りまとめた内容を着実に進めることによって、持続可能な財政運営を保ち、将来にも夢と希望が持てる堺であるように力を尽くします。
 
 これまでご説明しました施策や、「堺市基本計画2025」の取組を更に効果的・効率的に進めるために組織体制を強化します。
 
 市長公室では、SDGsの目標達成と公民連携の施策効果の向上を図るため、民間活力導入担当課長を「公民連携担当課長」に改称し、企業、団体、地域などの多様な主体と連携した取組を更に進めます。
 
 また、「堺市基本計画2025」に掲げる基本姿勢の一つである多様性をもってより強力に施策を推進するため、市民人権局に局長級の「ダイバーシティ推進監」を新設し、人権部と男女共同参画推進部を「ダイバーシティ推進部」に再編します。
 
 文化観光局では、堺の類いまれな歴史文化をより効果的に活かし、国内外の都市間交流を更に推進するため、国際部と文化部文化課を「文化国際部」に再編し、文化部文化財課、世界遺産課と博物館を「歴史遺産活用部」に再編します。
 
 カーボンニュートラルの実現に向けては、環境局のカーボンニュートラル推進部に「脱炭素先行地域推進室」を新設し、環境省から選定された脱炭素先行地域の取組を推進します。
 
 健康福祉局では、健康部と保健所の事務を所掌する「保健医療担当局長」を新設し、保健医療の推進体制を強化します。
 
 区役所では、地域の特性に応じた取組を効果的に実施するために機能を強化します。
 
 西区役所では西区が誇る多様な魅力を区内外に発信する「西区ブランド発信事業」の推進に向けて企画機能を強化するため「政策推進室」を新設します。北区役所には「新金岡地区活性化推進室」を新設し、新金岡地区の住機能の更新と魅力的な生活環境の整備を総合的にコーディネートします。
 
 以上、本日ご説明しました内容に着実に取り組むことによって、アフターコロナを見据え、不安定な社会情勢であっても堺が成長・発展し、次の世代にも自信を持って引き継ぐことができる堺であるように力を注ぎます。
 
 議員の皆様、市民の皆様におかれましては、堺が持つ可能性を最大限に発揮し、「歴史」のまち堺から「未来」を創るための堺市の挑戦に、ご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げます。

令和5年2月3日(金曜)

財政危機宣言の解除

 近年、堺市では恒常的に収支不足が発生し、それを補うために基金を取り崩しながら財政運営を行っていました。

 令和元年度以降は事業の中止や廃止を含めた多岐にわたる見直しを断行しましたが、それらの効果を反映してもなお、令和3年2月に公表した「財政収支見通し」では毎年度35億円~53億円もの収支不足が続き、近い将来に基金が枯渇するような危機的な財政状況でした。

 さらには2年後の予算編成さえも困難であり、そのような状況では収支不足を大幅な住民サービスの削減等で補う必要があるなど、市民の皆様に大変な負担が生じます。

 そのような事情から「堺市財政危機宣言」を発出し、基金依存から脱却した「真に健全な財政」であるために、令和3年度と4年度を集中改革期間と位置付けて抜本的な改革を進めました。

 令和5年1月公表の「財政収支見通し」では、「持続可能な財政運営に向けた取組」を着実に進めることが前提ではありますが、毎年度の多額の収支不足によって基金が枯渇し予算編成が困難となるような状況は回避できる目処が立ちました。

 また、現在のエネルギー価格の高騰など市の財政に大きな影響を与える事態を反映し、毎年約8億円の収支悪化要因となる「0歳から2歳児の第2子の保育料無償化(所得制限なし)」を実施しても期間中は基金残高が一定額を維持できる見込みです。

 このような状況を踏まえて、1月31日に「堺市財政危機宣言」を解除しました。

 収支改善策として取りまとめた内容を着実に進めることによって、持続可能な財政運営を保ち、将来にも夢と希望が持てる堺であるように力を尽くします。

令和5年1月4日(水曜)

仕事始め式

令和5年仕事始め式の画像

 新年おめでとうございます。
   
 役所としては今日が令和5年の仕事始めですが、年末年始の期間も業務に従事された方も多いと思います。皆さんのおかげで市民の皆様が安心して安全に過ごすことにつながりました。お疲れ様でした。
   
 現在も、新型コロナウイルス感染症が私たちの暮らしや社会全体に大きな影響を与え続けています。さらには物価高騰も重なり、事態は深刻さを増しています。私たちは市民の皆様の命と健康、生活を支えるために常に状況を注視しながら臨機応変に最善の策を講じなくてはなりません。
   
 今年の干支は「癸卯(みずのと・う)」です。
   
 「癸卯(みずのと・う)」には、「一つの物事が収まり、次の物事に移っていく段階」、「これまでの努力が実を結び、成長や飛躍に向かう状態」という意味があります。
   
 新型コロナウイルス感染症の流行もまもなく丸3年を迎えます。堺市では一昨年に「財政危機宣言」を発出しました。業務を進める中でも大変難しい選択や判断をしなくてはならない場面も多くありましたが、今年はウィズコロナからアフターコロナを見据えて、新たなステージへと移行する重要な年になると考えています。
   
 その意味でも、皆さんには市政運営の大方針である『堺市基本計画2025』をあらためて強く意識してほしいと思います。「堺市基本計画2025」は市民の皆様や市内事業者の皆様に堺市がめざす方向性を示すものであり、私たちが日々の業務を行う上での羅針盤です。
   
 都市像に掲げる「未来を創るイノベーティブ都市」は、日本中を見渡しても類稀な堺の歴史を最大限に活かしながら、歴史だけではなく、「未来」を創り出すという意志を示すものです。これが無くては、堺の今後の発展はありません。全ての職員が、「堺市基本計画2025」に記載されている内容を把握して、自らが未来を切り拓くという強い気持ちを持ってそれぞれの業務に励んでください。
   
 そして、今年10月には「G7大阪・堺貿易大臣会合」が開催されます。中世の時代に国際貿易都市として繁栄を極めたこの地で行われることは大変意義深く、堺の将来にとっても極めて重要な機会です。
   
 堺のあふれる魅力を国内外に発信し、地域活性化や都市ブランド力の向上をめざすことはもちろん、次の時代の堺を担う子どもたちが国際感覚や広い視野を身に付けることにつなげるなど、多岐にわたる成果を収めることができるように全市を挙げて取り組みましょう。
   
 最後に、職員の皆さんに堺のために存分に活躍してもらうためには、心と体の健康が欠かせません。新型コロナ感染対策の徹底など健康に十分に気を付けて、毎日万全の体調で業務に臨めるように努めてください。
   
 そして、堺市役所ではパワハラをはじめとしたハラスメントを決して許しません。組織としての力が最大限発揮されるように、管理職の皆さんは働きやすく風通しが良い職場であることを常に心がけてください。
   
 それでは、堺市が市民の皆様に「これからも住み続けたい」と思っていただける、将来にも夢と希望が持てる魅力的な都市であるように今年も頑張りましょう。よろしくお願いします。

令和4年10月17日(月曜)

「堺市財政危機宣言」と現在の財政状況(令和4年10月)

 近年、堺市では恒常的に収支不足が発生し、それを補うために基金を取り崩して財政運営を行ってきました。
   
 令和3年2月に公表した「財政収支見通し」では、令和元年度以降に実施した広範な事業見直しの効果を反映してもなお、近い将来に基金の枯渇が見込まれるような危機的な財政状況でした。
   
 基金が尽きる事態となると、収支不足分を大幅な住民サービスの削減等で補う必要があり、市民の皆様に大変な負担をお掛けすることになります。
   
 そのため、「堺市財政危機宣言」を発出し、基金依存から脱却した「真に健全な財政」であるために、令和3・4年度を集中改革期間と位置付けて「堺市財政危機脱却プラン(案)」の取組を進めています。
   
 令和4年2月公表の「財政収支見通し」は、「堺市財政危機脱却プラン(案)」の取組や市税等の増加を反映したことで前回公表から収支が大幅に改善しています。一方で、仮に全ての取組を実施したとしても、当面の収支不足は令和5年度の約39億円を最大として徐々に改善するものの、目標とする令和12年度でも約5億円の収支不足となる見込みです。
   
 一方で令和3年度決算は、国からの歳入の一時的な増加によって、実質収支、基金残高、経常収支比率等が大きく改善しました。しかし、これは経常的な歳入歳出の構造自体が変化したものではありません。
将来にわたって持続可能な財政運営を行うためには、引き続き「堺市財政危機脱却プラン(案)」の実施や更なる追加、具体化を進める必要があると考えています。
   
 また、今後も新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、原油価格や物価高騰の影響もあり、厳しい財政状況が続くことが見込まれます。そのような中であっても、市民の皆様にこれからも堺で安心して暮らしていただくために全身全霊を注ぎます。

令和4年5月27日(金曜)

「堺市財政危機宣言」と現在の財政状況(令和4年5月)

 近年、本市では恒常的に収支不足が発生し、それを補うために基金を取り崩して財政運営を行ってきました。

 令和3年2月に公表した「財政収支見通し」では、令和元年度以降の多岐にわたる事業見直しの効果を反映してもなお、近い将来に基金の枯渇が見込まれる危機的な財政状況でした。

 基金が尽きるような事態となると、収支不足分を大幅な住民サービスの削減などで補わなくてはならず、市民の皆様に大変な負担をお掛けすることになります。

 そのため、「堺市財政危機宣言」を発出し、同年10月には市政全般の抜本的な改革に取り組むため、令和12年度までに収支均衡を達成することを目標とする「堺市財政危機脱却プラン(案)」を策定しました。

 令和4年2月公表の「財政収支見通し」では、「堺市財政危機脱却プラン(案)」の取組を反映したことや前回公表時よりも市税が増加すると見込まれたことなどによって、推計期間中の収支と基金残高の見込みは大幅に改善しました。ただし、これは「堺市財政危機脱却プラン(案)」に掲載した取組を全て実施した場合の見込みであり、それでもなお、目標とする令和12年度の収支不足を解消できていない厳しい状況です。

 今後、「堺市財政危機脱却プラン(案)」の内容に加えて、更なる取組の追加や具体化を図りながら、「真に健全な財政」を実現するために引き続き注力します。


令和4年2月14日(月曜)

令和4年度当初予算案市長説明

 令和4年度当初予算案をはじめ、関連諸議案のご審議をお願いするにあたりまして、市政運営の方針を申し上げます。
   
 現在も新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっています。
 今年初めからの第6波が過去最大の感染拡大となる中で、最前線の医療従事者の皆様をはじめ対応に奮闘されている全ての皆様、長期間にわたって多大なご理解とご協力をいただいている市民の皆様および市内事業者の皆様に心から感謝を申し上げます。
   
 行政として、市民の皆様の命と健康を守るために、引き続き新型コロナウイルス感染症対策に力を尽くします。医療や検査、相談体制の確保、保健所の体制強化に加え、現在進めているワクチン追加接種をさらに迅速かつ安全に実施できるよう取り組みます。
   
 そして、喫緊の課題に着実に対応しながらも、市民の皆様が堺の将来に希望を感じ、これからも安心して暮らしていただけるよう、持続可能な都市経営と成長をめざして「歴史のまち堺」から「未来を創る」ために挑戦します。
   
 令和4年度当初予算案はその思いを込めて、「堺の未来を創る予算」として編成しました。
   
 予算規模は一般会計が4267億円、特別会計と企業会計を合わせた全会計が7697億円です。
 新型コロナウイルス感染症対策経費等の増加によって、一般会計の規模は令和3年度から31億円の増加となっています。
   
 それでは、令和4年度予算の主な施策についてご説明します。  
 特に、コロナ禍でさらに顕在化した課題への対応と、市民生活を将来にわたって支えるために堺の成長をめざす取組を重点項目として4点掲げています。
   
 1点目は「子どもの貧困」「貧困の連鎖」の解消です。
   
 厳しい状況にある子育て世帯を支え、子どもが堺で健やかに成長するために、ひとり親家庭の「今」の生活は福祉的支援で支えながら、令和4年度は「未来」に向けた自立への後押しを強化します。相談支援から不安解消、意欲向上、雇用確保など、自立に向けた一貫した支援を行い、ひとり親家庭の経済的自立と貧困の世代間連鎖を断ち切るために取り組みます。
   
 また、「さかい女性の就職応援プロジェクト」として、潜在求職者の掘り起こしや企業の意識改革等の支援を行い、働きたいと考えている女性と人材不足に悩む企業の雇用のミスマッチを解消することによって女性の就業率の向上をめざします。
   
 2点目は健康長寿の実現です。
   
 人生100年時代を見据えて、堺でいつまでも健康で長生きしていただけるように、市民の健康への意識を高め、高齢者の更なる健康増進を図ります。
   
 大阪府の健康アプリ「アスマイル」に堺市独自のポイントを付与して自主的な運動習慣や健康診断の受診など生活習慣の改善を促進します。また、高齢者が堺市の健康増進施策や支援に効率的・効果的につながるように、ゼロ予算事業として産学官連携により高齢者のスマホ等デジタル機器の活用をサポートします。
   
 さらに、社会参加の促進に向けて、さかい利晶の杜の観覧料や文化講座の初回受講料、体育館トレーニング室利用時の初回講習料の無料化に加えて、必要な医療や介護サービスにつなげるために健康診断の結果等を分析し、健康リスクが高い方に対して医療職による相談・指導の個別支援を行います。
   
 3点目はDXの推進です。
   
 多様なデータを蓄積・活用した効果的な住民サービスを提供するため、大阪府の広域的な取組と連携して「堺市版都市OS」の導入検討や実証を進めます。中小企業のDX推進に向けては、デジタル化への投資に対する補助を全業種に適用し、堺市産業振興センター内に「産業DX支援センター」を開設して市内サービス産業へのアウトリーチ型の経営支援を強化します。
   
 また、デジタル人材の育成支援のため、IT関係の資格取得をめざす求職者向け訓練プログラムを開設する事業者に対して奨励金を交付します。行政においては水道管路の一部にセンサーを設置することによる漏水の早期発見の取組や堺区の市民課窓口でのキャッシュレス決済導入など、行政・民間を問わず堺のDX推進に向けて注力します。
   
 4点目はカーボンニュートラルの実現です。
   
 本市は2050 年カーボンニュートラル実現に向けて昨年3月に「堺環境戦略」を策定しました。令和4年度はさらに取組を加速させます。
   
 市民の行動変容を促進するため、都市OSと連携してデジタル手法によるナッジの働きかけや、利用者の環境行動に応じて評価ポイントを付与する取組を実施します。
   
 都心部の脱炭素化に向けては、堺東駅から堺駅エリアの交通や建物に対する省エネルギー対策や再生可能エネルギー導入等のポテンシャル調査を実施します。家庭向けにはスマートエネルギー機器等の導入を促進するため、電気自動車や燃料電池自動車の導入に係る費用の一部を補助します。
   
 また、プラスチック製品回収実証事業ではプラスチック製品を含むプラスチックごみの分別回収及び再商品化を検討・実施します。さらに、カーボンニュートラルだけでなく都市魅力を向上させ新しい堺の都市ブランドを構築する「SMIプロジェクト」の推進のため、公共交通の利用促進や自家用車からの利用転換に向けて、交通量調査や実証実験、効果検証等を実施します。
   
 以上の4点の重点項目をはじめ、今年度から計画期間がスタートした市政運営の大方針「堺市基本計画2025」の目標達成に向けて、全ての職員が認識を共有して取組を進めます。
   
 環濠エリアを中心とする歴史的・文化的資源を活かして、繁栄を極めた中世の堺をテーマに、茶の湯文化や千利休、三好長慶等の先人について広く発信し、観光誘客及び市内周遊の促進を図ります。また、市内外の方に堺の伝統産品の良さを知っていただけるように発信を強化して販売促進につなげることに加え、オープンファクトリーに取り組む事業者の整備支援等によって堺の伝統産業のブランド力強化をめざします。
   
 「サイクルシティ堺」の実現に向けては、堺が有する自転車の歴史・文化の発信に加えて、自転車を活用したアート作品など新たな視点を掛け合わせることで、社会課題への対応や都市魅力の向上を図ります。
   
 子育て環境の充実については、市独自の多子世帯への負担軽減として、第3子以降の子ども及び年収380万円未満相当世帯の第2子の0~2歳児の保育料無償化を引き続き実施します。
   
 教育においては、読解力を測定できるリーディングスキルテストをモデル校で実施し、児童生徒の実態把握を行います。さらに、その結果を分析し、教科学力の向上に対して確度の高い取組を全校で共有・実践することで堺市全体の学力向上を図ります。
   
 中百舌鳥イノベーション創出拠点の形成に向けては、新たにスタートアップや企業、大学、地域等と共に社会課題解決などのプロジェクトを創出し、広く発信します。また、スタートアップの成長を加速させるため、アクセラレーションプログラムや新しいビジネスアイデアの実証支援に取り組みます。
   
 自治会活動の推進や防災・防犯などの活動に対する補助金については、地域の実情に応じて効果的に活用していただけるように従来の細分化した制度を「校区自治会活動推進補助金」に統合し、申請手続きの簡素化や窓口の一本化によって事務手続きの負荷軽減を図ります。
   
 以上、令和4年度当初予算案の主な施策をご説明しました。
   
 なお、予算は計上していませんが、職員の創意工夫により民間企業や関係機関との連携等によって住民サービスの向上や施策の推進を図る「ゼロ予算事業」の取組も、様々な分野にて積極的に進めます。
   
 予算案と併せて公表しました「財政収支見通し」では、「堺市財政危機脱却プラン(案)」の取組や市税等の増加によって、前回の試算と比べて大きく収支改善していますが、期間中は依然として収支不足が続く見込みです。

 延期としている事業の実施や住民サービスの拡充、今後の新たな行政課題への対応には、「堺市財政危機脱却プラン(案)」の取組を着実に進めるだけでなく、更なる見直しが必要です。市民の皆様の命と暮らしを守り、持続可能な都市経営を実現するため、抜本的な改革に引き続き取り組みます。
   
 これまでご説明した施策を着実に進めるために、組織体制もより効果的に機能するよう強化します。
   
 行政DXを強力に推進するため、ICTイノベーション推進室の担当課長の所掌事務を見直し、「DX企画担当課長」と「システム活用担当課長」に再編します。
   
 カーボンニュートラルの実現に向けては、環境局の「環境都市推進部」を「カーボンニュートラル推進部」に改称し、「堺環境戦略」に基づく取組を強化します。また、建築都市局の「都市再生部」を「都心未来創造部」に改称し、「SMIプロジェクト」の推進体制を整備します。
   
 健康福祉局では医療政策と健康政策の推進体制強化のため健康部内の組織を再編します。また、新型コロナウイルス感染症対策など複雑・多様化する保健所業務に迅速かつ円滑に対応するため、健康部に属する保健所を局直轄の組織とします。
   
 産業分野においては、本市の産業政策の方向性を示す次期指針である「堺産業戦略」に基づく取組を推進するため、産業振興局の「商工労働部」を「産業戦略部」に改称し、部内の組織を再編します。
   
 近年、各地で集中豪雨などの自然災害が頻発し、本市においても南海トラフ巨大地震をはじめとする大規模災害の発生が懸念される中、自助、共助、公助の連携による地域防災力の向上を図り、災害に強い都市であるために、消防局に「総合防災センター」を新設します。
   
 区役所では、それぞれの地域の特性に応じた取組を効果的に実施できるように機能を強化します。
 堺区役所にはモデル実施として課相当の「防災推進室」を新設し、区の実情を踏まえた防災体制の強化を図ります。 中区役所には課相当の「深井駅周辺地域活性化推進室」を新設し、深井駅周辺の地域活性化を図り、水賀池公園の機能強化と民間活力導入による拠点施設の整備等を推進します。
   
 以上、本日ご説明しました内容に確実に取り組むことにより、現在も続くコロナ禍の深刻な事態を乗り越え、本市の厳しい財政状況であってもアフターコロナを見据えて堺が大きく発展、成長できるように全身全霊を注ぎます。
  
 議員の皆様、市民の皆様におかれましては、将来世代にも胸を張って引き継ぐことができる素晴らしい堺の未来を創るために、ご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げます。

令和4年1月4日(火曜)

仕事始め式

令和4年仕事始め式

 あけましておめでとうございます。

 
 役所としては今日が令和4年の仕事始めですが、年末年始に対応された方も多いと思います。皆さんの仕事が市民の皆様が安全に安心して新年を迎えることにつながっています。お疲れ様でした。

 
 本年の業務開始にあたって、全ての職員に確実に意識してほしいことを2点お伝えします。

 
 1点目は「今も深刻なコロナ禍である」ということです。

 
 新型コロナウイルス感染症が国内で広がり始めてから2年が経過しようとしています。長期間に及ぶと当たり前のように感じて注意が薄れがちですが、現在はさらに感染力が強いとされるオミクロン株が府内でも多く確認され、日々の新規陽性者も増加傾向にあります。
 

 本市では市民の皆様をはじめ多くの方々の多大なご協力のおかげで、もう3ヵ月近く1日の新規陽性者数が多くても一桁という日が続いていますが、府内の状況を見るとこれから堺市内でも感染が広がる可能性が高いと考えています。

 
 爆発的な感染拡大を防ぐために、市民の皆様に適切な感染対策を呼び掛け、陽性と判明された方には迅速かつ適切に対応する必要があります。
 昨年末にはワクチンの3回目接種を堺市では国の方針よりもさらに前倒しして実施する方針を示しました。特に感染した際に命に危険が及ぶリスクが高い方に一日も早く接種していただけるように最善を尽くします。
 

 そして、市が実施する全ての事業や日々の業務も感染拡大局面にあることを十分に意識した上で検討する必要があります。市民の皆様の命と健康を守るために、計画していた内容であっても臨機応変に対処し、市の感染対策への姿勢を示して、職員一人一人がその模範となるように行動してください。
 

 2点目は「本市は財政危機宣言下である」ということです。

 
 昨年2月に財政危機を宣言して、10月にはこれまで実施してきた事業の抜本的な見直しを含む「財政危機脱却プラン(案)」を示しました。
 

 議会でも賛否が分かれている項目がある一方で、プラン案の内容を全て実施したとしても目標とする「令和12年度の収支均衡」には遠い状況です。現在令和4年度の予算編成作業を進めていますが、実施している事業が果たして目的に対して最も効果的で効率が良いものなのか、再度見つめ直してください。今年度の予算は財政危機脱却への道筋を示す意味でも特に重要です。職員の総力を結集して乗り越えましょう。

 
 そして私たちは、「新型コロナ」と「財政危機」を脱却したその先に、希望が持てる堺を実現するために力を注ぎます。

 
 昨年から計画期間が始まった市政運営の大方針『堺市基本計画2025』はその羅針盤となるものです。
 基本計画には、都市像として「未来を創るイノベーティブ都市」を掲げています。

 
 世界的にも不安定な社会情勢ですが、堺市がコロナ禍と財政危機という大変厳しい状況にあるからこそ、未来を切り拓くための知恵が生まれます。
 堺は「もののはじまりなんでも堺」と謳われるほど、イノベーティブ精神を発揮して成長した都市です。現代においてもできないはずはありませんし、やらなくてはなりません。
 

 今年の干支は「壬寅(みずのえ・とら)」です。壬寅には「厳しい冬を越え、生命力にあふれた芽吹きを迎え、新しいものが生まれ、成長する」という意味があるとされています。
 まさに本市の立場と重なります。全ての職員が方針と思いを共有して、堺市民の皆様のために、堺のために最善の仕事ができるように力を尽くしましょう。
 

 最後に、良い仕事をするには皆さん自身の健康が欠かせません。日々の体調管理に気をつけて、体調が悪い時に無理をしなくても済むように、管理職の皆さんは常に働き方の改善のために行動してください。皆さんご自身や家庭を大切にしながら仕事に励み、充実した一年にしましょう。それでは、今年もよろしくお願いします。

令和3年2月17日(水曜)

令和3年度当初予算案市長説明

 本日、令和3年度当初予算案をはじめ、関連諸議案のご審議をお願いするにあたりまして、令和3年度の市政運営の方針を申し上げます。

 本市の財政状況は、平成28年度以降、恒常的な収支不足が発生し、基金を取り崩して財政運営を行っています。加えて、新型コロナウイルス感染症の深刻な影響を受けて、歳入の減少など非常に厳しい状況が見込まれています。このような中、徹底した事業見直しを行いながら、市民の皆様の命を守り、安心して生活していただけるように新型コロナウイルス感染症対策を最優先として、令和3年度当初予算案を編成しました。

 予算規模は、一般会計が4236億円、特別会計と企業会計を合わせた全会計が7601億円です。

 新型コロナウイルス感染症の影響により、個人市民税や法人市民税といった市税収入が減少する一方、大浜体育館建替整備などの大規模事業が終了したことに伴い、投資的経費が減少しており、一般会計の規模では2年連続の減少となっています。令和3年度は、大きく3つの重点取組を軸として予算を編成しましたので、主な施策についてご説明します。

 1点目は「新型コロナウイルス感染症対策」です。
 現在も大阪府を対象区域とした緊急事態宣言が発出されており、市民の皆様、市内の民間事業者の皆様には多大なご協力をいただいています。感染拡大を防ぐために、必要とする人が適切に検査を受けられるPCR検査体制を確保し、市民の皆様が迅速に医療機関を受診できるように、受診相談や医療機関との調整を行う「新型コロナ受診相談センター」を運営します。

 また、新型コロナウイルス感染症の発症や重症化を減らし、まん延を防止するためにはワクチン接種を円滑に進めることが重要です。医師会や市内医療機関と密接に連携して、市民の皆様に適切かつ迅速に接種していただける体制の整備を行います。また、ワクチン接種に関する様々な問い合わせに対応するためにコールセンターを運営します。

 2点目は「セーフティネットを守り、地域経済を支える」取組です。
 まず、セーフティネットを守る取組についてです。

 高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように、地域包括支援センターの人員体制を強化します。また、令和2年度から実施している「就業中における重度障害者の日常生活に係る支援」の対象者を拡充します。

 待機児童の解消に向けては、公有財産を活用した認定こども園や小規模保育事業所の新設、既存施設の増築などによって、令和4年度の開所に向けて627人分の受入れ枠を整備します。さらに、子育て支援として、第3子以降の0~2歳に加えて、年収380万円未満相当世帯の第2子0~2歳の保育料を無償化します。加えて、ひとり親世帯に対する支援として、孤立を防ぐための交流会事業や、経済的に自立できるようにスキルアップのための支援策、家計に不安を抱えるひとり親世帯に対してファイナンシャルプランナーの個別相談等を実施します。

 次に、地域経済を支える取組についてです。
 新型コロナウイルス感染症の拡大防止や「新しい生活様式」に対応しながら地域活性化に取り組む商店街を支援します。加えて、市内中小企業の生産性向上や新たな販路拡大等を支援するため、デジタル化への投資に対する補助の対象業種を拡充します。

 また、堺が誇る伝統産業の活性化を図るため、伝統産業事業者の商品開発力の向上を支援し、ブランド力を強化します。さらに、伝統産業の振興と情報発信の拠点として堺伝統産業会館の展示・体験・販売などの機能強化のためのリニューアルを実施します。

 3点目は「将来の税源涵養に繋がる投資の呼び込み」の取組です。
 毎年多額の収支不足が見込まれる中で住民サービスを維持・向上させるには収入を得るための取組が欠かせません。堺が持つ類まれなポテンシャルを最大限に活かして、都市魅力の創出によって投資を呼び込み、地域経済の活性化と税収の増加を図ります。
 市内のスタートアップ企業が進めようとするイノベーティブなビジネスモデル等について、中百舌鳥や泉北ニュータウン等のエリアにおける実証事業の実施を支援します。また、都心エリアの活性化に向けて、堺駅と堺東駅をつなぐ新たな交通システムの導入計画の策定に着手します。

 また、中百舌鳥駅前と堺市駅前の市有地を活用し、民間投資を誘発することで、各地域の活力や魅力を生み出します。泉北ニュータウン地域においては、職住一体・近接型のライフスタイルに効果的と考えられるリモートワークの民間事業者等による拠点整備への支援や、MaaSの構築を見据えた次世代モビリティの実証実験やビジネスモデル構築など全国のニュータウンのモデルとなるスマートシティの実現に向けて取り組みます。

 以上、令和3年度当初予算案の主な施策をご説明しました。

 予算は計上していませんが、「視覚・聴覚障害者の方に向けた博物館の魅力発信」、「未就園4歳児家庭への訪問」、「体験学習を通じた郷土愛醸成」など職員が知恵を絞って新たなコストをかけずに実施する「ゼロ予算事業」の取組も積極的に進めます。

 予算案とあわせて公表しました「財政収支見通し」では、期間中に基金が枯渇する非常に厳しい見込みとなっています。このままでは、未だ先行きが不透明な新型コロナウイルス感染症への対策や、今後の大規模災害などの不測の事態が起こった時に必要な対応や支援を機動的に行うことができません。市民の皆様の命と暮らしを守り、将来世代に対する責任を果たすため、「堺市財政危機宣言」を発出し、抜本的な改革を集中して実施し、基金依存から脱却する「真に健全な財政」をめざします。

 このような財政状況を踏まえ、行財政改革に関する取組を集中的に推進する「市政集中改革室」を設置します。また、様々な行政課題に対応し、先進的な取組にも積極的に挑戦できる組織体制の強化に取り組みます。さらに、SDGsや女性活躍の推進、子どもの貧困対策などの重点施策を庁内の連携を密にしながら強い意識を持って進めていくチームを設置します。
 泉北ニュータウン地域については新たな価値を創り出し、より豊かに暮らすことのできる地域とするために局長級の「泉北ニューデザイン推進監」を新設し、建設局の「ニュータウン地域再生室」を市長直轄の「泉北ニューデザイン推進室」とします。

 自転車施策については建設局の「自転車まちづくり部」を「サイクルシティ推進部」に改称し、文化観光局、健康福祉局、産業振興局、建築都市局などの若手・中堅職員で構成する「サイクルシティ推進チーム」を設置します。市内の民間事業者の皆様とも思いを共有して強力に連携し、堺の歴史や文化と深い繋がりがある自転車を活かした都市魅力の創出をめざします。

 本日ご説明しました取組を着実に行うことにより、コロナ禍と財政危機を乗り越え、現在策定作業を進めている「堺市基本計画2025」の都市像に掲げる「未来を創るイノベーティブ都市」の実現に向けて、夢と希望が持てる、魅力あふれる堺であるために変化を恐れず、挑戦し続けます。

 議員の皆様、市民の皆様におかれましては、素晴らしい堺の未来のために、ご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げまして提案説明といたします。

令和3年2月8日(月曜)

堺市財政危機宣言

 堺市では、長い間、「財政は健全」と発信してきました。

  しかし、実際には平成28年度以降、恒常的な収支不足が発生し、それに対応するために基金を取り崩して財政運営を行っています。

 さらにこの間、将来の収支見通しを改訂することなく、収支不足が見込まれている状況にも関わらず、市独自の住民サービスを拡充し、新しい公共施設を次々と整備してきました。

 それらの結果として、本市の財政は新たな行政需要に対応する余力がないだけでなく、基金も近い将来に底をつく見込みです。現在の状況では、感染症や災害などの不測の事態が起こった時に必要な対応や支援を機動的に行うことができません。

 このため、ここに「財政危機」を宣言し、市民の皆様の命と暮らしを守り、将来世代に対する責任を果たすため、抜本的な改革を集中して実施します。

 そして収支均衡をめざし、基金依存から脱却する「真に健全な財政」を実現します。

 市民の皆様におかれましては、財政危機を乗り越え、夢と希望が持てる、魅力ある堺の未来のために、ご理解とご協力をお願い申し上げます。


令和 3 年 2 月 8 日 

堺市長 永藤 英機

改革の目標。基金依存から脱却し、真に健全な財政を実現

財政危機を乗り越え、夢と希望が持てる、魅力ある堺の未来を


令和3年1月4日(月曜)

仕事始め式

新年のあいさつ~仕事始め式画像

 新年おめでとうございます。

 まず、年末年始に勤務された皆さん、お疲れ様でした。特に今年は新型コロナウイルス感染症の対応のため例年よりも多くの方が業務に従事されました。皆さんのおかげで市民の皆様に安心して年末年始を過ごしていただけたと思います。ありがとうございました。

 本日が令和3年の仕事始めです。

 未知の状況である新型コロナウイルス感染症の対応に加えて、極めて厳しい本市の財政状況など目の前の壁は高いですが、皆さんと一緒に立ち向かい、乗り越えて、市民の皆様に夢と希望を感じていただける堺を実現したいと考えています。
 そのために、今年の業務を進める上での認識を皆さんと共有しておきます。

 1つ目は、現在の最優先課題である「新型コロナウイルス感染症対策」についてです。

 東京など一都三県からは政府に対して緊急事態宣言の発出が要請されました。堺市を含む大阪府では11月末から12月初旬に比べると現在は感染急増には至っていませんが、重症病床の使用率は依然として高い水準にあり、厳重警戒すべき状況が続いています。
 また、新型コロナウイルス感染症は社会経済全般に深刻な影響を及ぼしています。堺市としてもこれまで様々な支援策を実施してきましたが、十分とは言えません。市民の皆様に寄り添い、困っていることに耳を傾け、想像力を働かせて、私たちだけでは解決できない問題であっても必要な支援に繋げられるように努めてください。新型コロナウイルス感染症を乗り越えなければ、堺の将来もありません。コロナ対策を手を抜くことなく徹底し、市民の皆様の命と暮らしを守りましょう。

 2つ目は、「将来を見据えた取組」です。

 本市の財政収支見通しは平成28年以来、昨年2月に堺財務戦略を公表するまで示されてきませんでした。しかし、厳しい状況が続いています。そこに新型コロナウイルス感染症の影響が重なり、危機的ともいえる状況に陥っています。平成28年以降は毎年基金を取り崩しながらやり繰りしてきましたが、その基金も底を尽きかけています。このままでは次年度予算は何とかなっても、その次の令和4年度の予算を組むことができません。
 ただいま予算編成作業を行っていますが、これまで実施してきた事業を切り詰めるだけでは限界があります。コロナ禍での社会の変化は大きく、行政に求められることも増えています。今までと同じ仕事のやり方では対応できません。根本的な手法や制度の見直しと、歳入を増やすための取組が欠かせません。
 そして現在、市政運営の大方針ともいえる「次期基本計画」の策定作業が大詰めに入っています。
 今回の基本計画では成果指標をこれまでの半数以下に絞り込み、KPI、KGIといった形で明確に示しています。今行っている業務が、新しい計画の目的や目標に沿ったものになっているのか、常に意識してください。もしそうでなかったり、もっと良いやり方があると感じたら、積極的に変えていきましょう。改善をめざして変化し続けることが大切です。

 最後に、皆さんに一番気をつけていただきたいのは、何といっても健康です。
 今は、通常の業務に加えて新型コロナウイルス感染症の対応と、心身ともに疲労が溜まりやすい状況にあります。体調に異変を感じたら無理をせずに休むようにしてください。
 また、既に細心の注意を払って行動されていると思いますが、感染予防も欠かせません。市民の皆様を守るために市役所の機能を止めるわけにはいきません。市役所の中で感染が広がると市民生活にも大きな影響を与えます。引き続き、日々の感染防止の行動を徹底してください。
 自身の体調管理に気をつけて、元気に明るく、コロナを乗り越えて素晴らしい堺を創り上げられるように共に頑張りましょう。

 それでは、今年も一年、どうぞよろしくお願いいたします。

令和2年10月16日(金曜)

本市の財政状況と今後の方針について

 これまで堺市は、「財政は健全」と強調して発信し続けてきました。
 市民の皆様には「堺市の財政は余裕がある」という認識が浸透し、「政令指定都市になって財源が豊かになった」と思われている方も多いと思います。しかし実際は違いました。
 
 「堺市の財政は健全」と発信してきた根拠は、国が定める『健全化判断比率』の数値が低いことです。しかし、この指標は地方自治体の財政破綻を未然に防ぐことが目的です。「破綻するか、しないか」でいうと堺市は「破綻はしない」可能性が高いですが、このことをもって財政の余裕や財源の豊かさを示すものでありません。

健全化判断比率の持つ意味とは。

 平成28年には中長期の財政収支見通しを公表しましたが、そこには昨年度から実施している「子ども医療費助成の18歳までの拡充」や、来年度から実施予定だった「第2子の0から2歳児保育料無償化」は含まれていませんでした。収支見通しは平成28年以降は更新されておらず、前市政のもとで掲げられていた多額の支出を要するこれらの事業を何か一つ実施するだけでも直ちに収支不足に陥ってしまうような状況でした。

財政収支見通しの比較

H28公表以降に拡充した主な施策など

 人口が2012年をピークに減り続けて今後も減少傾向が確実である中で、近年に巨額の費用を要する施設を次々と建設した結果、市債(長期の借入金)の残高についても、毎年増加しています。将来にわたって多くの借金を返していかなければなりません。

市債残高(臨時財政対策債を除く)と人口の推移

市債残高が悪化した要因

 経常収支比率も毎年上昇していて、令和元年度決算ではついに100%を超えました。これは「毎年必要となる支出に対して、毎年入ってくる経常的な収入では足りない」ことを示します。今は基金などの臨時的な収入で補っている状況ですが、その基金も今のままでは数年以内に枯渇し、見直しを行わない場合、令和4年度には予算を組むことができない状況となりました。

経常収支比率

財源調整に活用できる基金残高見込み

 昨年6月に私が市長に就任してからは、予定されていた大型事業の中止や外郭団体の廃止、大阪府との協議による事業見直しなど様々な改革を断行してきました。実際に大きな効果額も出ています。しかしそれでも財政状況は危機的です。
 
 
 今後の方針としては、財政が非常に厳しい中ではありますが、市民の皆様の命を守ることを第一に、新型コロナウイルス感染症の対策を最優先で行います。そして、本当に困っている方々を支えられるようにセーフティーネットを整え、地域経済の支援を行います。また、市民の皆様の暮らしを支えるためには収入の確保が欠かせないことから、将来の税源涵養に繋がる投資の呼び込みに注力します。

令和3年度予算編成方針

 過去の財政見通しの甘さ、時代の流れによる様々な支出の増加、そして新型コロナウイルス感染症の深刻な影響が重なり、堺市の財政は危機的ともいえる事態ですが、市民の皆様を将来にわたって守るために、覚悟と責任をもって力を尽くします。ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。


 

令和2年6月10日(水曜)

就任1年を迎えて

 昨年6月9日に投開票された堺市長選挙にて市民の皆様からの負託を受け、堺市長に就任してから丸1年が経過しました。

 私は市長として「堺の将来像」を次のように掲げました。

 ◆類まれな歴史や伝統、文化を最大限に活かしながら、新しい技術やサービスを取り入れ、時代の変化に柔軟に対応して未来を創り出すことのできる街

 ◆住民が将来に希望を持ってずっとこの地域で住み続けたいと思うと同時に、他の地域からも人と企業を惹きつける魅力ある街

 市長就任最初の年は、これらを実現するための土台作りの日々だったと考えています(今年に入ってからは新型コロナウイルス感染症に立ち向かう毎日ですが)。

 まず最初に取り掛かったのは、「堺市の現状を正しく把握する」ことです。

 堺市がそれまで実施していた1000以上の全ての事務事業を一つ一つ確認し、その内容や効果、妥当性について担当局と議論を重ねました。実施可能なものは既に見直したり改善し、方針が定まったものは今年度予算として計上、長期的な取組が必要なものは次年度以降に反映します。

 堺市の財政状況についても明らかにする必要がありました。

「堺市は裕福、財源の余裕がある」と考えている方が多いと思いますが、実は堺市の財政は大変厳しい状態です。財政の硬直化が進んでいることから市の考えで自由に使用できる財源は少なく、予算を組むために毎年基金を取り崩している状態です。行政の貯金である「財政調整基金」も他の政令市や府内市町村と比較すると一人当たりの金額としては最も少なく、今般の新型コロナウイルス感染症の流行のような有事の際にも、堺市独自で市民の皆様に現金をお配りできるような財源はありませんでした。

 この厳しい堺市の財政状況を明らかにして、健全な財政基盤の構築に向けて今後の方針を定めるために、今年2月に『堺財務戦略』を策定しました。

 そして同時に進めたのは、「堺全体を見渡した都市の将来像を描く」ことでした。

 これまで堺市では開発などに際してその場その場の計画は立てられていましたが、全体的で長期的な都市の将来像は乏しかったように感じています。今年2月に公表した『堺グランドデザイン2040』では、南海高野線堺東駅の連続立体交差事業(堺東駅の高架化)が完了する2040年を堺の中心エリアが変わる大きなタイミングとして堺の将来像を市民の皆様と共有することをめざし、若手・中堅職員を中心に20年後の各エリアの夢のある将来像を示しました。今後、マスタープランなどの計画の参考としながら実現をめざします。

 また、これまでの市政との大きな方針転換として、「広域連携」が挙げられます。人口減少が進む時代に「自分の市だけで全てやる」では効率が悪くなるばかりです。広域機能を持つ大阪府や近隣自治体と協力することで、費用面でも事業規模としても大きな効果を発揮します。市長就任後は南大阪地域の全ての市町村を訪れて連携に向けて協議するなど他自治体との関係を深め、大阪府・大阪市とは観光政策やベイエリアの活性化、児童虐待防止策を、水道行政においては堺市長が企業長を務める大阪広域水道企業団にて府域一水道に向けた取組を進めています。

 広域連携は堺の魅力発信を進める上でも大きな意味を持ちます。堺には日本中を見渡しても類まれな歴史や伝統、文化があります。これは私が市長に就任する以前からも強く感じていたことですし、就任から1年経った今では確信しています。

 しかし残念ながら堺の魅力はまだまだ発揮できていません。可能性が埋もれている状態だと考えています。昨年7月に「百舌鳥・古市古墳群」が世界遺産に登録されてから、日本各地の首長から「私の地域にも古墳がある」という声を多くいただいています。日本全国や大阪全体の歴史や文化と繋げることで堺の奥深さや真髄が際立ちます。効果的な観光政策に取り組むために今年度から大阪観光局に参画するなど様々な手法を検討し、各機関や団体と広く連携しながら堺の力を最大限に引き出します。

 そして、魅力発信のためには、ただ情報を流すだけでなく、伝えたい人たちに分かりやすく効果的に届けることが欠かせません。そのために今年度から「広報戦略部」を設置しました。外部人材も活用しながら、堺の魅力を余すところなく伝えられる堺市政へと歩みを進めます。

 「ICTイノベーション推進室」も今年度に新たに設置した組織です。
 これまでの堺市はICTの活用という面では不十分でした。新しい技術やサービスを積極的に取り入れる姿勢は薄かったように感じるだけではなく、情報管理を見ても2015年には全有権者68万人分の個人情報流出という大きな事件が起きてしまいました。現在のコロナ禍の社会では更なるICTの活用やデジタル化が求められます。4月に発足したばかりですが、ICTイノベーション推進室は市民の皆様からの問い合わせに対応するためのチャットボット(自動応答システム)やオンライン会議の導入など新型コロナウイルス感染症への対応としても力を発揮しています。

 市民の皆様の役に立つ市役所であるためには、職員の働き方も重要です。これまで昇任するには役職ごとに年齢や在職年数の目安がありましたが、それを大幅に引き下げることで、若くてもやる気と能力のある職員が責任ある立場で活躍できる体制にしました。女性職員の管理職や役職者比率もこれまで目標は定めていたものの達成できていない状況でしたが、明確な目標を立て直し、その実現に向けて今年度から女性管理職を積極的に登用しています。男性職員の育児休業も私の就任以前は10%にも届いていませんでしたが、令和4年度に40%をめざします。今回のコロナ禍ではテレワークや時差出勤の試みも積極的に取り入れました。職員がやりがいを持って働く環境を整えることで、住民サービスの向上を図ります。

 政令指定都市としても、まだ力を発揮できる余地は十分にあると考えています。堺市は2006年に政令市になり、7つの区に区役所が置かれました。これまでは全ての区役所が同じ組織体制でしたが、今年度はモデル区役所を設置しました。南区役所はICTを活用した市民サービスの向上をめざす「スマート区役所」。子育て世帯が多い北区役所は「児童・生徒・学校支援チーム(NEST)」を結成。幹線道路沿いに大型商業施設などの開発が進む美原区には「美原地域開発支援チーム」。それぞれの区の実情に合わせて区長が効果的な策を実施できるように裁量も見直しました。各区長はツイッターアカウントも開設し、区民の皆様から顔が見える、頼れる区役所へと取組を進めています。

 就任からの1年間で、中学校給食の全員喫食の方針策定をはじめ、公約に掲げたことはほぼすべて着手しました。がん検診無償化の拡充や児童福祉司の増員、ICT戦略部門設置など既に実現した項目も多くありますが、次の1年は更に具体的に進めていきます。

 
 堺の人口は減少し続け、高齢化は進み続けています。税収は減少する一方で社会保障費は今後ますます増大する見込みです。今このタイミングで勇気を出して一歩踏み出さなくては、堺の明るい未来はありません。

 就任1年間で土台を作り、ようやく未来への道筋が見えかけてきた堺の行く手を阻むように、今年に入ってからは新型コロナウイルス感染症という世界の誰もが経験したことのない未知の脅威に襲われました。大変な状況ではありますが、第2波への体制を万全に整え、感染防止対策と地域経済回復を両立させることで、市民の皆様の命を守り、暮らしを支えます。そして夢と希望が持てる「新しい堺を創る」ために、全身全霊で臨みます。

令和2年2月18日(火曜)

令和2年度当初予算案市長説明

 本日、令和2年度当初予算案をはじめ、関連諸議案のご審議をお願いするにあたり、令和2年度の市政運営の方針を述べ、議員の皆様ならびに市民の皆様のご理解とご協力をいただきたいと思います。

 昨年6月の市長就任以来、これまで堺市が行ってきた事業の見直しをはじめ、20年後の堺の将来イメージを表す「堺グランドデザイン2040」や堺の成長を支えるための歳入歳出の在り方を示す「堺財務戦略」の策定など多岐に渡る検討を進めてきました。そして今回、それらを踏まえて令和2年度当初予算案を編成いたしました。

 予算規模は、一般会計が4293億円、特別会計と企業会計を合わせた全会計は7628億円です。
 税制改正の影響などにより市税収入は微減となる一方で、義務的に負担する社会保障関係費や公債費が増加するなど本市の財政は厳しい状況にあります。このような背景のもと、大きく3つの重点取組を軸に予算を編成しました。これから、令和2年度の主な施策についてご説明いたします。

 1点目は「未来の堺のために、子どもの成長を支える」取組です。
 安心して子育てができる環境を整備するため、待機児童の解消をめざして、令和3年度の施設開所に向けた1240人分の受け入れ枠の拡充や、民間認定こども園を整備する用地の確保を支援します。また、利便性の高い駅前での小規模保育事業所や堺東駅前から美原区にある民間認定こども園への送迎保育ステーションの整備を行います。「さかい子育て応援アプリ」では、検索機能の強化やプッシュ通知機能の追加によって保護者が希望する保育施設とのマッチングの向上を図ります。
 保育士の確保にも力を入れます。求職者情報の登録をいつでも行うことができるポータルサイトの開設や、保育士等の宿舎借り上げ費用の助成期間の拡充、市内の民間認定こども園に就職した全ての新卒者に対する就職支援金の支給を行います。

 次に、虐待・いじめから子どもを守る体制を強化するため、令和4年度の100人体制に向けた子ども相談所の児童福祉司・児童心理司の増員や、SNSを活用した児童虐待相談窓口を大阪府・大阪市と共同で試行運用します。さらに、スクールソーシャルワーカーの倍増やスクールカウンセラーの配置を拡充し、学校現場における早期段階での問題解決を図ります。
 子どもの可能性を伸ばす教育環境の充実としては、中学校給食の全員喫食に向けた実施方針および計画の策定や、中学校の特別教室へのエアコンの整備、さらに一人1台の学習端末の導入をめざして、まずは小学校5・6年生と中学校1年生を対象に整備を進めます。
 また、小中学生の読解力と表現力を伸ばすために全ての小学校に学校司書を配置し、中学校では図書館サポーターの派遣を拡充します。英語教育については「使える英語」を身につけるためにオンライン英会話のモデル実施や、ネイティブ・スピーカーによる授業時間を拡充します。

 2点目は「堺の可能性を発揮して都市魅力を創出する」取組です。
 堺への観光客の呼び込みを図るため、大阪観光局に参画し、国内外に向けて広く堺の魅力を発信することで堺のプレゼンスを高めます。昨年7月に世界遺産登録が実現した百舌鳥古墳群の受け入れ環境については、民間活力による気球遊覧の実施や、大仙公園レストハウスを改修して古墳群の価値や魅力を来訪者に伝えることに加えて、博物館のリニューアルを行うことでガイダンス機能の充実を図ります。また、ベイエリアにおけるナイトマーケット、利晶の杜におけるナイトミュージアムを試験的に実施し、新たな魅力創出をめざします。

 次に、イノベーション産業の誘致や投資促進を図るため、「堺市ものづくり投資促進条例」を全面的に「堺市イノベーション投資促進条例」へと改正し、中百舌鳥エリアにはICT関連産業、泉ヶ丘エリアには次世代ヘルスケア関連産業の投資を誘導します。とりわけ、中百舌鳥エリアでは、2022年の新大学設置によって工学系や情報分野が強化される大阪府立大学との連携を強化し、産官学の強力な連携によってイノベーションが起こる土壌を築きます。

 加えて、活気と魅力ある堺の都市空間を形成するため、堺東エリア・中百舌鳥エリア・泉ヶ丘エリアでは「堺グランドデザイン2040」でお示しした将来像の実現をめざして、各地域の特性を活かした活性化策の検討を進めます。環濠エリアでは、内川河川敷に広場を整備し、歴史文化資源を活用した賑わい誘客を実現できる民間からの事業提案を募集します。さらに、首都圏における堺のシティプロモーションや企業誘致を積極的に行うことを目的として、東京都内にコワーキングスペースを活用した新拠点を設置します。

 そして、魅力的な堺のベイエリアの実現をめざして、大阪・関西万博の開催を見据えて大阪府・大阪市と協働で「大阪広域ベイエリアまちづくりビジョン」を策定します。また、ザビエル公園、原池公園等においてパークマネジメントを導入し、民間の力を取り入れながら人が賑わう拠点の整備や市民の利便性の向上を図ります。

 泉北ニュータウンでは高齢化などの地域の課題解決を図るため、次世代ヘルスケア分野を中心にICTやAIなどの先進的・先端的技術を活用したスマートシティに向けての調査研究を実施します。

 3点目は「将来にわたって安心して暮らし続けられる堺」のための取組です。
 健康で長生きできる体制を推進するため、今年度で終了予定となっていた「がん検診の無償化」を延長するとともに、胃がんリスク検査と前立腺がん検査を無償対象に追加します。あわせて検診による市民の健康への効果検証を行います。高齢者が住み慣れた地域でこれからも安心して暮らしていただけるように、地域包括支援センターの人員体制の強化と相談窓口の増設をモデル実施します。

 また、市民の安心・安全を守る環境の充実のため、医療的ケアを必要とする子どもを受け入れる民間の認定こども園の整備や、常時介護を必要とする重度障害者への支援を大阪府と連携して実施します。
 大雨や洪水など自然災害の備えについては、洪水ハザードマップおよび避難計画の改訂や、防災行政無線の屋外スピーカー増設の調査を行います。防犯カメラは、各区の防犯環境を考慮した上で警察と協議を行い、戦略的な設置に向けた検討を実施します。さらに、自治会の皆さんが安心して活動できる環境整備に向けて、自治会を対象にした賠償責任保険の補助制度を創設し、保険料を全額補助します。

 行政事務については新しい技術やサービスを活用して高機能化・効率化を図ります。道路の不具合をLINEを活用して通報できるシステムや、上下水道局ではホームページでの問い合わせにリアルタイムで回答できる自動会話システムを導入することに加え、ICTの導入による行政機関の業務効率化を推進し、住民サービスの向上を図ります。

 以上、令和2年度当初予算案の主な施策をご説明いたしました。

 これらに加えて、様々な行政課題に機動的かつ柔軟に対応することはもちろん、先進的な取組にも積極的に挑戦できるように、組織体制の強化に取り組みます。具体的には、外部人材を活用した戦略的な広報の実施やICTの活用、企業誘致や投資促進などへの対応、各区の特色に対応した区役所の機能向上、縦割り行政としないための庁内連携の強化です。
 また、今回予算を計上していないものであっても「商店街を活用した保育所の整備促進」や「高齢者のごみ出し支援」、「おでかけ応援制度の拡充」など知恵を絞りながら取組を進めます。

 本日ご説明いたしました内容の着実な実施によって、市民の皆様に住民サービスの向上を実感していただいて将来にも夢と希望を持つことができる堺を、そして他の地域からも人も企業も惹きつけることができる魅力ある堺を創るために力を尽くします。
 議員各位ならびに市民の皆様におかれましては、格段のご理解、ご協力を賜りますようお願いをいたしまして提案説明といたします。
 どうぞよろしくお願いいたします。

令和2年1月6日(月曜)

仕事始め式

新年のあいさつ画像


 皆さん、あけましておめでとうございます。

 まずこの年末年始に業務に従事された職員の皆さん、お疲れ様でした。皆さんのおかげで、この年末年始を市民の皆さんが安心して暮らすことができたと思います。ありがとうございました。

 本日から令和2年の業務が始まります。ご存じの通り、今年の十二支は子(ねずみ)。干支は庚子(かのえね)です。庚(かのえ)は新しい形に変わろうとする状態。子(ねずみ)は十二支のいちばん始めですので、庚子(かのえね)は新しい物事やサイクルが起こる年とされています。キーワードとしては「変化」「未来への可能性」が当てはまるそうです。
 堺にもよい変化を感じてもらえる未来への可能性が感じられるようになるように、職員の皆さんと思いを密にして、市長という重責を全うします。

 さて今年7月には、東京オリンピックが開催されます。東の世界的イベントが終わると、2025年には大阪・関西万博が開かれます。これは堺にとっても大きな目標となりますし、それまでの時間をどのように過ごすかで今後の堺の未来が懸かっています。
 目まぐるしく変わる世の中の情勢に関心を持ち、常にアンテナを張りながら、「堺がどうあるべきか」を大きな視野で考え、堺が持つ貴重な伝統や文化を守りながら、積極的に新しい技術やサービスを取り入れて、戦略的に取組みを進めることで堺の可能性が拓けると信じています。それによって堺がより魅力的な街になることをめざし、活力を呼び込み、堺の成長を実現します。

 昨年6月の市長就任以降、堺市が行っている全ての事務事業をチェックしてきました。
 現状確認を行うと同時に、職員の皆さんや多くの団体や企業の方々から意見をお聞きしてきました。できることから随時着手をしていますが、いよいよ本格的に実行する段階に入ります。これまでと違った新しい取り組みを進める際には容易でないことも多いかもしれません。しかし「難しい、できない」ではなく「どうすればできるか」を考えて、知恵を絞っていただきたいと思います。堺にとって必要なことで、市役所以外の力が必要であれば協力を得られるように行動します。ルールが阻むのであれば、変えるための努力をします。

 市民生活を守りながら、新しい取組みに積極的に挑戦し、「歴史のまち堺」から次の世代にも自信を持って引き継げる堺の未来を生み出しましょう。
 これらを進めていく上では組織改革も重要です。既に昇任選考の見直しや新組織発足に向けた庁内公募も発表していますが、それだけではありません。やる気のある人、堺のために思いを持って行動できる人に存分に活躍をしてもらえるように、人事制度の見直しや職場環境の改善を図ります。
 併せて、管理職の皆さんは、部下のワークライフバランスをよく考えていただいて、コミュニケーションが取れて風通しの良い職場となるように心がけてください。

 結びに、本年が堺にとって、そして職員の皆さんやご家族の皆さんにとって実り多く素晴らしい一年になることを祈念して、私の仕事始めの挨拶とします。堺のために、市民の皆さんが夢と希望を持って過ごせる堺となるように共に頑張りましょう。

令和元年6月21日(金曜)

市長所信表明

令和元年6月10日(月曜)

市長訓示/初登庁

 皆さん、こんにちは。

 この度、堺市民の皆さんの信託を得て、市政を担わせていただくことになりました。
 歴史と伝統あるこの堺市政を、責任を感じながら市民の気持ちに応えられるように市政運営を行って参ります。どうぞよろしくお願いをいたします。

 大きな方針としましては、前市政では、堺のことは堺でと、そのようなカラーが強かったと感じておりますが、私は堺の歴史、伝統、文化、様々な可能性、魅力を発揮するためには、近隣の市町村との強固な連携、大阪府、大阪市とも力を合わせながら、戦略を練っていく、それが堺のためになると考えております。

 すべては堺のためにという気持ちで、市政運営を行ってまいります。そして民間にできることは民間に任していく。これまで外郭団体、そして市役所で行ってきた仕事であっても、民間企業がそこに参入をすることで、より効果を活かして市民の皆さんのためになる事であれば、私はどんどんと活用をしていきたいと考えております。

 もう一つは、区役所の機能拡充。政令市堺として、7つの区役所がありますが、窓口業務そして福祉業務、それらが中心であったように感じています。より市民の皆さん、区民の皆さんの要望や課題を解決できるように区役所の組織ももう一度、私は見直していきたいと感じております。

 これまでの前市政の10年間の全事業をもう一度精査をして、市民の皆さんに実感をしていただける住民サービスの向上、そして、次の世代、子どもや孫の世代に、堺に暮らす皆さんにとっても、すばらしい資産を残せるように、私の持てる力をすべて注いで、頑張ってまいりたいと考えております。

 職員の皆さんにおかれましても、その能力が最大限発揮できるように、また、皆さんの部下の方々、意見をきっちりと反映して、職員の方々も堺市民の皆さんのためにお仕事をしていただきやすい環境、これを整えてまいりたいと考えています。ご健康に留意され、今後も堺市民のために、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

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