Vol.8 「『大阪のお土産』＝『注染の手ぬぐい』に！」中尾弘基さん
更新日：2023年2月22日
中尾弘基さんは中区の染め工場株式会社ナカニの代表取締役社長です。
堺の企業とのコラボ手ぬぐいの製作や、関西・東京を中心に手ぬぐいや雑貨を取り扱う直営店舗の経営などをはじめ、オープンファクトリーや出前講座などで、注染手ぬぐいの普及にも力を入れ、活躍されています。
注染業界に入ったきっかけや創作に対する情熱などを伺いました。
モットーは「頂いた仕事は断らない」
このお仕事を始めたきっかけを教えてください
現在の会長の娘である妻との結婚を機に入社しました。結婚前から、店舗のオープニングにも携わっており、サラリーマンを辞めて婿として入社してからは、カタログの発送やシール貼りなど販売に関わる業務全般から始め、社長に就任してからは経営や販路拡大などをメインに任せてもらっています。
正直なところ入社前には、手ぬぐいや伝統工業にはまったく興味がなかったのですが(笑)、お義父さんが楽しそうに働いているのを知っていたので、工場も見ずに入社しました。制限のあるサラリーマン時代よりも、ある程度の裁量をもって様々なことに挑戦できるため、自分の力を発揮できているように思います。
お仕事でやりがいを感じる時はどんな時ですか
商品が出来上がったときにやりがいを感じています。最近は他業種の企業さんからコラボ依頼も多数いただておりますが、それらの商品の受注からデザイン、製作、販売までの流れにはたくさんの人が関わっています。弊社のデザイナーや職人、依頼元の企業担当者などと一緒に作り上げた商品にはとても愛着が沸きますし、無事に出来上がったときにはとてもうれしいですね。企業コラボの商品に限らず、自分たちで企画・製作をして販売ができ、「ものづくりをしてお商売をしているな」という実感が持てることに、とてもやりがいを感じています。
会社経営で特に気を付ける点、こだわっている点などはありますか
職人をはじめ、スタッフが長く続けられるよう、労働環境や待遇面も整備したうえで、自分の居場所だと感じてもらえるような職場にしていきたいです。
ものづくりの点においては、弊社ブランドの「にじゆら」のデザインを見て依頼をいただくことが多く、難しい図柄やデザインのご要望もあるのですが「頂く仕事は断らない」をモットーに、お客様の要望はできるかぎり形にしていきたいです。
弊社では様々な事情から、生産工程の内製化が進んでおり、生地の買い付けからデザイン、型の作成、染色はもちろんのこと、商品のカットや畳み、検品に至るまでを行っています。すべて自社で行うのは大変ですが、短納期での生産が可能になりました。
コロナなどの外部環境の変化がある中で、どういう課題がありますか
コロナの影響で、約2年間店舗での売上が半減していましたが、現在は少しずつコロナ前に戻りつつあり、職人が不足していて生産が追いついていない状況です。どのように経営を止めずに注文を受け続けるのか、が課題です。今回、Instagramを通じて職人を募集し、新たに3人入社しました。一人前の職人として活躍してもらえるまで、どのように育成していくのか、長く続けてもらうためには何をするべきなのかを検討していきたいです。
（※令和5年2月22日時点の内容です）
これからどんなことに挑戦していきたいですか
大阪万博では何かしたいと考えていましたが、審査基準や条件において、中小企業が出展する余地が無いように感じてしまいました。「株式会社ナカニ」として直接大阪万博に携わることは諦めざるを得ませんでしたが、今は、大阪万博に出展される企業さんと一緒に、「大阪の伝統産業のノベルティ」として手ぬぐいを製作することを検討しています。
「注染の手ぬぐい」＝「大阪のお土産」として皆さんに認識してもらえるように、これまでの注染の手ぬぐいのイメージを変えていきたいです。手ぬぐいを知らない人や、知っているけれど使い方がわからない人がたくさんいると思うので、手ぬぐいを広められる余地はまだまだあると思います。大阪に来る人、大阪から出る人、みんなにお土産として手ぬぐいを選んでもらえるようになってほしいです。
中区のみなさんに一言をお願いします
石津川周辺地域、とくに毛穴町で和晒を含めて、注染の手ぬぐいをつくっていることをぜひ知ってほしいですね。
堺市では、伝匠館や北花田の無印良品などで商品を販売しています。「堺コラボ」として堺市内の企業さんのノベルティもつくっているので、ぜひ街中で手ぬぐいに興味を持って手に取ってもらえたら嬉しいです。
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