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(2023年8月28日)絵本の小径を歩いていくような、病院

更新日:2023年10月10日

絵本の小径を歩いていくような、病院

    
その日は堺市堺区にある健康福祉プラザに出かけました。
土地勘がないため、緊張しながらバス停でバスを待ち、プラザの前に無事到着。
職員さんと打ち合わせをして、帰ろうと思ったところ、バスは出たばかり。
すると、受付にいた方がわざわざ出て来て、近くのバス停を教えてくれました。
知らないまちを陽射しのなかで歩くのは楽しいものです。
   

目的のバス停の向こうに、病院が見え、気になって足を伸ばしてみました。
すると、歩道の部分が緑と赤茶色の小径が見えてきます。
青空を背景に、絵本のページをめくったときのような気持ちになりました。
なだらかな曲線は物語をたどるよう。小さな動物がぴょんと飛び出てきそう、こっそりスキップをするかしら。 
    

小径を歩きながら、病院の壁に目をやると、優しい色合いの木が描かれています。木の葉にあたたかく見守られているようです。夜には木の葉の形をした照明が夜道を照らしてくれます。    
    

小径に誘われるようにして、病院の玄関にたどり着きました。    

     

耳原総合病院は、1950年、地域の人たちの100円カンパが集められ生まれた病院だそうです。
医療の行き届かなかった時代に民家の2階から始まった診療は病を治すだけでなく、人々のこころに希望を灯す場所でもあったのです。    

    

こころに希望を、それは医療だけではなく、命を信じ、人々との関係を編み、それを伝え合う営みをつづけることです。
耳原総合病院が早くからホスピタルアートに取り組まれているのは、こうした背景があったからでしょう。    

      

病院のなかに入ると、エントランスロビーの天井から、春先の陽光を集めたような色合いの大きなハートが吊るされています。
19000枚の双葉のピースで作られたハート。真ん中の部分にはひとりひとりの希望のメッセージが記されているそうです。    
     

そういえば、診察や検査、お見舞いでなく、つまり用事もなく病院に入ったことはありませんでした。
絵本のなかの小径に誘われるようにして病院に入ってしまい、ふと日常を思い返しました。    

    

そして、どんな状況でも、希望を失わず、命を大事にしようと呼びかけてくれる場所があることを忘れずにいようと思いました。
   
    

2023年 8月 28日


プログラム・ディレクター上田假奈代

このページの作成担当

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