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堺市介護予防・日常生活支援総合事業の人員、設備及び運営に関する基準に係る解釈について

更新日:2022年10月13日

この規定は、堺市介護予防・日常生活支援総合事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成28年制定。以下「運営基準」という。)第64条の規定に基づき、運営基準の趣旨及び内容の解釈について定めるものとする。
第1 運営基準の性格 
1 運営基準は、堺市介護予防・日常生活支援総合事業がその目的を達成するために必要な最低限度の基準を定めたものであり、第1号事業者は、常にその事業の運営の向上に努めなければならない。
2 堺市介護予防・日常生活支援総合事業を行う者又は行おうとする者が満たすべき基準等を満たさない場合には、指定第1号事業の指定又は更新は受けられず、また、基準に違反することが明らかになった場合には、「1.」相当の期間を定めて基準を遵守するよう勧告を行い、「2.」相当の期間内に勧告に従わなかったときは、事業者名、勧告に至った経緯、当該勧告に対する対応等を公表し、「3.」正当な理由が無く、当該勧告に係る措置を採らなかったときは、相当の期限を定めて当該勧告に係る措置を採るよう命令することができるものであり、「3.」の命令をした場合には事業者名、命令に至った経緯等を公示する。なお、「3.」の命令に従わない場合には、当該指定を取り消し、又は取消しを行う前に相当の期間を定めて指定の全部若しくは一部の効力を停止する(不適正なサービスが行われていることが判明した場合、当該サービスに関する第1号事業支給費の請求を停止させる)ことができる。ただし、次に掲げる場合には、基準に従った適正な運営ができなくなったものとして、直ちに指定を取り消し又は指定の全部若しくは一部の効力を停止することができるものである。
「1.」 次に掲げるときその他の事業者が自己の利益を図るために基準に違反したとき 
イ 指定第1号事業の提供に際して利用者が負担すべき額の支払を適正に受けなかったとき 
ロ 地域包括支援センター又はその職員等に対し、利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの代償として、金品その他の財産上の利益を供与したとき 
「2.」 利用者の生命又は身体の安全に危害を及ぼすおそれがあるとき 
「3.」 その他「1.」及び「2.」に準ずる重大かつ明白な基準違反があったとき 
3 運営基準に従って事業の運営をすることができなくなったことを理由として指定が取り消され、法に定める期間の経過後に再度当該事業者から当該事業所について指定の申請がなされた場合には、当該事業者が運営基準を遵守することを確保することに特段の注意が必要であり、その改善状況等が確認されない限り指定を行わないものとする。
4 特に、指定第1号事業においては、運営基準に合致することを前提に自由に事業への参入を認めていること等にかんがみ、基準違反に対しては、厳正に対応するものである。
第2 総論 
1 事業者指定の単位について
事業者の指定は、原則としてサービス提供の拠点ごとに行うものとするが、地域の実情等を踏まえ、サービス提供体制の面的な整備、効率的な事業実施の観点から本体の事業所とは別にサービス提供等を行う出張所等であって、次の要件を満たすものについては、一体的なサービス提供の単位として「事業所」に含めて指定することができる取扱いとする。なお、この取扱いについては、同一法人にのみ認められる。
「1.」 利用申込みに係る調整、サービス提供状況の把握、職員に対する技術指導等が一体的に行われること。
「2.」 職員の勤務体制、勤務内容等が一元的に管理されること。必要な場合に随時、主たる事業所や他の出張所等との間で相互支援が行える体制(例えば、当該出張所等の従業者が急病等でサービスの提供ができなくなった場合に、主たる事業所から急遽代替要員を派遣できるような体制)にあること。
「3.」 苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること。
「4.」 事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料等を定める同一の運営規程が定められること。
「5.」 人事、給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われること。
2 用語の定義 
運営基準第2条において、一定の用語についてその定義を明らかにしているところであるが、以下は、同条に定義が置かれている用語について、その意味をより明確なものとするとともに、運営基準中に用いられている用語であって、定義規定が置かれていないものの意味を明らかにするものである。
(1) 「常勤換算方法」
当該事業所の従業者の勤務延時間数を当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)で除することにより、当該事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。この場合の勤務延時間数は、当該事業所の指定に係る事業のサービスに従事する勤務時間の延べ数であり、例えば、当該事業所が指定第1号事業と指定居宅サービス事業の訪問看護の指定を重複して受ける場合であって、ある従業者が訪問介護員等と看護師等を兼務する場合、訪問介護員等の勤務延時間数には、訪問介護員等としての勤務時間だけを算入することとなるものである。
 ただし、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47 年法律第113 号)第13 条第1項に規定する措置(以下「母性健康管理措置」という。)又は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76 号。以下「育児・介護休業法」という。)第23 条第1項、同条第3項又は同法第24 条に規定する所定労働時間の短縮等の措置(以下「育児及び介護のための所定労働時間の短縮等の措置」という。)が講じられている場合、30 時間以上の勤務で、常勤換算方法での計算に当たり、常勤の従業者が勤務すべき時間数を満たしたものとし、1として取り扱うことを可能とする。
(2) 「勤務延時間数」
勤務表上、当該事業に係るサービスの提供に従事する時間又は当該事業に係るサービスの提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として明確に位置付けられている時間の合計数とする。なお、従業者1人につき、勤務延時間数に算入することができる時間数は、当該事業所において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とする。
(3) 「常勤」
当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)に達していることをいうものである。ただし、母性健康管理措置又は育児及び介護のための所定労働時間の短縮等の措置が講じられている者については、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合は、例外的に常勤の従業者が勤務すべき時間数を30時間として取り扱うことを可能とする。
また、同一の事業者によって当該事業所に併設される事業所の職務であって、当該事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間数に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。例えば、一の事業者によって行われる指定介護予防訪問サービス事業所と指定居宅介護支援事業所が併設されている場合、指定介護予防訪問サービス事業所の管理者と指定居宅介護支援事業所の管理者を兼務している者は、その勤務時間の合計が所定の時間に達していれば、常勤要件を満たすこととなる。
また、人員基準において常勤要件が設けられている場合、従事者が労働基準法(昭和22 年法律第49 号)第65 条に規定する休業(以下「産前産後休業」という。)、母性健康管理措置、育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業(以下「育児休業」という。)、同条第2号に規定する介護休業(以下「介護休業」という。)、同法第23 条第2項の育児休業に関する制度に準ずる措置又は同法第24 条第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定により同項第2号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業(以下「育児休業に準ずる休業」という。)を取得中の期間において、当該人員基準において求められる資質を有する複数の非常勤の従事者を常勤の従業者の員数に換算することにより、人員基準を満たすことが可能であることとする。
(4) 「専ら従事する」「専ら提供に当たる」
原則として、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをいうものである。この場合のサービス提供時間帯とは、当該従事者の当該事業所における勤務時間(指定介護予防通所サービス及び指定担い手登録型通所サービスについては、サービスの単位ごとの提供時間)をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。ただし、介護予防通所サービス及び担い手登録型通所サービスについては、あらかじめ計画された勤務表に従って、サービス提供時間帯の途中で同一職種の従業者と交代する場合には、それぞれのサービス提供時間を通じて当該サービス以外の職務に従事しないことをもって足りるものである。

3 指定介護予防訪問サービスと指定訪問介護又は指定介護予防通所サービスと指定通所介護等の一体的運営等について 
指定介護予防訪問サービス事業者が指定訪問介護事業者の指定を併せて受け、かつ、指定介護予防訪問サービスの事業と指定訪問介護の事業とが同じ事業所で一体的に運営されている場合、または、指定介護予防通所サービス事業者が指定通所介護事業者の指定を併せて受け、かつ、指定介護予防通所サービスの事業と指定通所介護の事業とが同じ事業所で一体的に運営されている場合については、指定第1号事業における各基準を満たすことによって、基準を満たしているとみなすことができる等の取扱いを行うことができるとされているが、その意義は次のとおりである。
例えば、訪問介護においては、指定訪問介護においても、指定介護予防訪問サービスにおいても、訪問介護員等を常勤換算方法で2.5人以上配置しなければならないとされているが、同じ事業所で一体的に運営している場合には、合わせて常勤換算方法で5人以上を置かなければならないという趣旨ではなく、常勤換算方法で2.5人以上配置していることで、指定居宅サービスに該当する訪問介護も、指定介護予防訪問サービスも、双方の基準を満たすこととするという趣旨である。
設備、備品についても同様であり、例えば、定員30人の指定通所介護事業所においては、機能訓練室の広さは30人×3平方メートル=90平方メートルを確保する必要があるが、この30人に指定介護予防通所サービスの利用者も含めて通算することにより、要介護者15人、要支援者15人であっても、あるいは要介護者20人、要支援者10人の場合であっても、合計で90平方メートルが確保されていれば、基準を満たすこととするという趣旨である。
要するに、人員についても、設備、備品についても、同一の事業所で一体的に運営する場合にあっては、例えば、従前から、指定訪問介護の事業を行っている者が、従来通りの体制を確保していれば、指定介護予防訪問サービスの基準も、また、従前から、指定通所介護の事業を行っている者が、従来通りの体制を確保していれば、指定介護予防通所サービスの基準も同時に満たしていると見なすことができるという趣旨である。
なお、指定訪問介護と指定介護予防訪問サービス、または、指定通所介護と指定介護予防通所サービスを同一の拠点において運営されている場合であっても、完全に体制を分離して行われており一体的に運営されているとは評価されない場合にあっては、人員についても設備、備品についてもそれぞれが独立して基準を満たす必要があるので留意されたい。
第3 指定第1号事業
一 介護予防訪問サービス
1 人員に関する基準 
(1) 訪問介護員等の員数(運営基準第5条第1項)
「1.」 指定介護予防訪問サービス事業所における訪問介護員等の員数については、常勤換算方法で2.5人以上と定めたが、これについては、職員の支援体制等を考慮した最小限の員数として定めたものである。
「2.」 勤務日及び勤務時間が不定期な訪問介護員等(以下「登録訪問介護員等」という。)についての勤務延時間数の算定については、次のとおりの取扱いとする。
イ 登録訪問介護員等によるサービス提供の実績がある事業所については、登録訪問介護員等1人当たりの勤務時間数は、当該事業所の登録訪問介護員等の前年度の週当たりの平均稼働時間(サービス提供時間及び移動時間をいう。)とする。
ロ 登録訪問介護員等によるサービス提供の実績がない事業所又は極めて短期の実績しかない等のためイの方法によって勤務延時間数の算定を行うことが適当でないと認められる事業所については、当該登録訪問介護員等が確実に稼働できるものとして勤務表に明記されている時間のみを勤務延時間数に算入すること。なお、この場合においても、勤務表上の勤務時間数は、サービス提供の実績に即したものでなければならないため、勤務表上の勤務時間と実態が乖離していると認められる場合には、勤務表上の勤務時間の適正化の指導の対象となるものである。
「3.」 出張所等があるときは、常勤換算を行う際の事業所の訪問介護員等の勤務延時間数には、出張所等における勤務延時間数も含めるものとする。
(2) サービス提供責任者(運営基準第5条第2項)
「1.」 利用者の数が40人又はその端数を増すごとに1人以上の者をサービス提供責任者としなければならないが、その具体的取扱は次のとおりとする。なお、これについては、指定介護予防訪問サービス事業所ごとに最小限必要な員数として定めたものであり、1人のサービス提供責任者が担当する利用者の数の上限を定めたものではないことに留意するとともに、業務の実態に応じて必要な員数を配慮するものとする。
イ 管理者がサービス提供責任者を兼務することは差し支えないこととする。
ロ 利用者の数については、前3月の平均値を用いる。この場合、前3月の平均値は、暦月ごとの実利用者の数を合算し、3で除して得た数とする。なお、新たに事業を開始し、又は再開した事業所においては、適切な方法により利用者の数を推定するものとする。
「2.」 利用者の数に応じて常勤換算方法によることができることとしたが、その具体的取扱は次のとおりとする。なお、サービス提供責任者として配置することができる非常勤職員については、当該事業所における勤務時間が、当該事業所において定められている常勤の訪問介護員等が勤務すべき時間数(32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)の2分の1以上に達している者でなければならない。
イ 利用者の数が40人を超える事業所については、常勤換算方法とすることができる。この場合において、配置すべきサービス提供責任者の員数は、利用者の数を40で除して得られた数(小数第1位に切り上げた数)以上とする。
ロ イに基づき、常勤換算方法とする事業所については、以下に掲げる員数以上の常勤のサービス提供責任者を配置するものとする。
a 利用者の数が40人超200人以下の事業所 
常勤換算方法としない場合に必要となるサービス提供責任者の員数から1を減じて得られる数以上 
b 利用者の数が200人超の事業所 
常勤換算方法としない場合に必要となるサービス提供責任者の員数に2を乗じて3で除して得られた数(1の位に切り上げた数)以上 
従って、具体例を示すと次に示す常勤換算方法を採用する事業所で必要となる常勤のサービス提供責任者数以上の常勤のサービス提供責任者を配置するものとする。  

利用者の数

「1.」に基づき置かなければならない常勤のサービス提供責任者数

常勤換算方法を採用する事業所で必要となる常勤のサービス提供責任者

40 人以下

1

1

40 人超 80 人以下

2

1

80 人超 120 人以下

3

2

120 人超 160 人以下

4

3

160 人超 200 人以下

5

4

200 人超 240 人以下

6

4

240 人超 280 人以下

7

5

280 人超 320 人以下

8

6

320 人超 360 人以下

9

6

360 人超 400 人以下

10

7

400 人超 440 人以下

11

8

440 人超 480 人以下

12

8

480 人超 520 人以下

13

9

520 人超 560 人以下

14

10

560 人超 600 人以下

15

10

600 人超 640 人以下

16

11

「3.」 サービス提供責任者については、訪問介護員等のうち、介護福祉士又は厚生労働大臣が定めるサービス提供責任者(平成24年厚生労働省告示第118号)各号に定める者であって、原則として常勤のものから専任するものであるが、その具体的取扱は次のとおりとする。なお、1級課程については、看護師等の資格を有する者の場合、全科目を免除することが可能とされていたこと。
イ 専ら指定介護予防訪問サービスの職務に従事する者であること 
ロ イにかかわらず、同一敷地内にある指定定期巡回・随時対応型介護予防訪問サービス看護事業所又は指定夜間対応型介護予防訪問サービス事業所の職務に従事することができること。この場合それぞれの職務については、第2の2の(3)にいう、同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものであることから、当該者についてはそれぞれの事業所における常勤要件を満たすものであること。
「4.」 運営基準第5条第5項は、常勤のサービス提供責任者を3人以上配置し、かつ、サービス提供責任者の業務に主として従事する者を1人以上配置している指定介護予防訪問サービス事業所であって、当該事業所のサービス提供責任者が行う業務が効率的に行われていることにより、サービス提供責任者が担当する利用者を増すことに支障がないと認められる事業所に置くべきサービス提供責任者の員数について規定したものであるが、次の点に留意する必要がある。
イ 「サービス提供責任者の業務に主として従事する者」とは、サービス提供責任者である者が当該事業所の訪問介護員として行ったサービス提供時間(事業所における待機時間や移動時間を除く。)が、1月あたり30時間以内であること。
ロ 「サービス提供責任者が行う業務が効率的に行われている場合」とは、運営基準においてサービス提供責任者が行う業務として規定されているものについて、省力化・効率化が図られていることが必要であり、例えば、以下のような取組が行われていることをいうものである。
・訪問介護員の勤務調整(シフト管理)について、業務支援ソフトなどの活用により、迅速な調整を可能としていること 
・利用者情報(介護予防訪問サービス計画やサービス提供記録等)について、タブレット端末やネットワークシステム等のIT機器・技術の活用により、職員間で円滑に情報共有することを可能としていること 
・利用者に対して複数のサービス提供責任者が共同して対応する体制(主担者や副担当を定めている等)を構築する等により、サービス提供責任者業務の中で生じる課題に対しチームとして対応することや、当該サービス提供責任者が不在時に別のサービス提供責任者が補完することを可能としていること 
この場合において、常勤換算方法を採用する事業所で必要となるサービス提供責任者については、「2.」の規定に関わらず、次に示すサービス提供責任者数を配置するものとする。

利用者の数

運営基準第5条第5項の規定の適用を受ける事業所が置かなければならない常勤のサービス提供責任者数

常勤換算方法を採用する事業所で必要となる常勤のサービス提供責任者数

 

50人以下

3

3

50人超

100人以下

3

3

100人超

150人以下

3

3

150人超

200人以下

4

3

200人超

250人以下

5

4

250人超

300人以下

6

4

300人超

350人以下

7

5

350人超

400人以下

8

6

400人超

450人以下

9

6

450人超

500人以下

10

7

500人超

550人以下

11

8

550人超

600人以下

12

8

600人超

650人以下

13

9

(3) 管理者(運営基準第6条)
指定介護予防訪問サービス事業所の管理者は常勤であり、かつ、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものとする。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。なお、管理者は、訪問介護員等である必要はないものである。
「1.」 当該指定介護予防訪問サービス事業所の訪問介護員等としての職務に従事する場合 
「2.」 同一敷地内にある又は道路を隔てて隣接する等、特に当該事業所の管理業務に支障がないと認められる範囲内に他の事業所、施設等がある場合に、当該他の事業所、施設等の管理者又は従業者としての職務に従事する場合(この場合の他の事業所、施設等の事業の内容は問わないが、例えば、管理すべき事業所数が過剰であると個別に判断される場合や、併設される入所施設において入所者に対しサービス提供を行う看護・介護職員と兼務する場合などは、管理業務に支障があると考えられる。ただし、施設における勤務時間が極めて限られている職員である場合等、個別に判断の上、例外的に認める場合があるものである。)
2 設備に関する基準(運営基準第7条)
(1) 指定介護予防訪問サービス事業所には、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいが、間仕切りする等他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えない。なお、この場合に、区分がされていなくても業務に支障がないときは、指定介護予防訪問サービスの事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとする。
(2) 事務室又は区画については、利用申込の受付、相談等に対応するのに適切なスペースを確保するものとする。
(3) 指定介護予防訪問サービス事業者は、指定介護予防訪問サービスに必要な設備及び備品等を確保するものとする。特に、手指を洗浄するための設備等感染症予防に必要な設備等に配慮すること。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定介護予防訪問サービスの事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。
なお、事務室・区画、又は設備及び備品等については、必ずしも事業者が所有している必要はなく、貸与を受けているものであっても差し支えない。
3 運営に関する基準 
(1) 介護保険等関連情報の活用とPDCAサイクルの推進について
運営基準第3条第4項は、指定居宅サービスの提供に当たっては、法第118 条の2第1項に規定する介護保険等関連情報等を活用し、事業所単位でPDCAサイクルを構築・推進することにより、提供するサービスの質の向上に努めなければならないこととしたものである。
この場合において、「科学的介護情報システム(LIFE:Long-term careInformation system For Evidence)」に情報を提出し、当該情報及びフィードバック情報を活用することが望ましい(この点については、以下の他のサービス種類についても同様とする。)。
(2) 内容及び手続の説明及び同意 
運営基準第8条は、指定介護予防訪問サービス事業者は、利用者に対し適切な指定介護予防訪問サービスを提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者又はその家族に対し、当該指定介護予防訪問サービス事業所の運営規程の概要、訪問介護員等の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制等の利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項について、わかりやすい説明書やパンフレット等の文書(当該指定介護予防訪問サービス事業者が、他の介護保険に関する事業を併せて実施している場合、当該パンフレット等について、一体的に作成することは差し支えないものとする。)を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該事業所から指定介護予防訪問サービスの提供を受けることにつき同意を得なければならないこととしたものである。なお、当該同意については、利用者及び指定介護予防訪問サービス事業者双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。
(3) 提供拒否の禁止 
運営基準第9条は、指定介護予防訪問サービス事業者は、原則として、利用申込に対しては応じなければならないことを規定したものであり、特に、要介護度や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。また、利用者が、特定のサービス行為以外の介護予防訪問サービスの利用を希望することを理由にサービス提供を拒否することも禁止するものである。(ただし、「指定訪問介護事業所の事業運営の取扱等について」(平成12年老振第76号)の1を除く。)。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、「1.」当該事業所の現員からは利用申込に応じきれない場合、「2.」利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合、その他利用申込者に対し自ら適切な指定介護予防訪問サービスを提供することが困難な場合である。
(4) サービス提供困難時の対応 
指定介護予防訪問サービス事業者は、運営基準第10条の正当な理由により、利用申込者に対し自ら適切な指定介護予防訪問サービスを提供することが困難であると認めた場合には、運営基準第10条の規定により、当該利用申込者に係る地域包括支援センターへの連絡、適当な他の指定介護予防訪問サービス事業者等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければならないものである。
(5) 受給資格等の確認 
「1.」 運営基準第11条第1項は、指定介護予防訪問サービスの利用に係る費用につき第1号事業支給費の支給を受けることができるのは、要支援認定等を受けている被保険者に限られるものであることを踏まえ、指定介護予防訪問サービス事業者は、指定介護予防訪問サービスの提供の開始に際し、利用者の提示する被保険者証によって、被保険者資格、要支援認定等の有無及び要支援認定等の有効期間を確かめなければならないこととしたものである。
「2.」 同条第2項は、利用者の被保険者証に、指定介護予防サービスの適切かつ有効な利用等に関し当該被保険者が留意すべき事項に係る認定審査会意見が記載されているときは、指定介護予防訪問サービス事業者は、これに配慮して指定介護予防訪問サービスを提供するように努めるべきことを規定したものである。
(6) 要介護認定の申請に係る援助 
「1.」 運営基準第12条第1項は、要支援認定等の申請がなされていれば、要支援認定等の効力が申請時に遡ることにより、指定介護予防訪問サービスの利用に係る費用が保険給付の対象となり得ることを踏まえ、指定介護予防訪問サービス事業者は、利用申込者が要支援認定等を受けていないことを確認した場合には、要支援認定等の申請が既に行われているか否かを確認し、申請が行われていない場合は、当該利用申込者の意向を踏まえて速やかに当該申請が行われるよう必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
「2.」 同条第2項は、要支援認定を継続し、継続して第1号事業支給費の支給を受けるためには要支援更新認定を受ける必要があること及び当該認定が申請の日から30日以内に行われることとされていることを踏まえ、指定介護予防訪問サービス事業者は、介護予防サービス・支援計画書(これに相当するサービスを含む。)が利用者に対して行われていない等の場合であって必要と認めるときは、要支援認定の更新の申請が、遅くとも当該利用者が受けている要支援の有効期間が終了する30日前にはなされるよう、必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
(7) 法定代理受領サービスの提供を受けるための援助 
運営基準第15条は、省令第140条の62の4に該当する利用者は、指定介護予防訪問サービスの提供を法定代理受領サービスとして受けることができることを踏まえ、指定介護予防訪問サービス事業者は、利用申込者又はその家族に対し、指定介護予防訪問サービスの提供を法定代理受領サービスとして受けるための要件の説明、地域包括支援センターに関する情報提供その他の法定代理受領サービスを受けるために必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
(8) 介護予防サービス・支援計画等の変更の援助 
運営基準第17条は、指定介護予防訪問サービスを法定代理受領サービスとして提供するためには当該指定介護予防訪問サービスが介護予防サービス・支援計画に位置付けられている必要があることを踏まえ、指定介護予防訪問サービス事業者は、利用者が介護予防サービス・支援計画の変更を希望する場合(利用者の状態の変化等により追加的なサービスが必要となり、当該サービスを法定代理受領サービスとして行う等のために介護予防サービス・支援計画の変更が必要となった場合で、指定介護予防訪問サービス事業者からの当該変更の必要性の説明に対し利用者が同意する場合を含む。)は、当該利用者に係る地域包括支援センターへの連絡、サービスを追加する場合に当該サービスを法定代理受領サービスとして利用する場合には支給限度額の範囲内で介護予防サービス・支援計画を変更する必要がある旨の説明その他の必要な援助を行わなければならないこととしたものである。
(9) 身分を証する書類の携行 
運営基準第18条は、利用者が安心して指定介護予防訪問サービスの提供を受けられるよう、指定介護予防訪問サービス事業者は、当該指定介護予防訪問サービス事業所の訪問介護員等に身分を明らかにする証書や名札等を携行させ、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときは、これを提示すべき旨を指導しなければならないこととしたものである。この証書等には、当該指定介護予防訪問サービス事業所の名称、当該訪問介護員等の氏名を記載するものとし、当該訪問介護員等の写真の貼付や職能の記載を行うことが望ましい。
(10) サービスの提供の記録 
「1.」 運営基準第19条第1項は、利用者及びサービス事業者が、その時点での支給限度額の残額やサービスの利用状況を把握できるようにするために、指定介護予防訪問サービス事業者は、指定介護予防訪問サービスを提供した際には、当該指定介護予防訪問サービスの提供日、内容(例えば身体介護、生活援助の別)、第1号事業支給費の額その他必要な事項を、利用者の介護予防サービス・支援計画の書面又はサービス利用票等に記載しなければならないこととしたものである。
「2.」 同条第2項は、当該指定介護予防訪問サービスの提供日、提供した具体的なサービスの内容、利用者の心身の状況その他必要な事項を記録するとともに、サービス事業者間の密接な連携等を図るため、利用者からの申出があった場合には、文書の交付その他適切な方法により、その情報を利用者に対して提供しなければならないこととしたものである。
また、「その他適切な方法」とは、例えば、利用者の用意する手帳等に記載するなどの方法である。
なお、提供した具体的なサービスの内容等の記録は、運営基準第37条第2項の規定に基づき、5年間保存しなければならない。

(11) 利用料等の受領 
「1.」 運営基準第20条第1項は、指定介護予防訪問サービス事業者は、法定代理受領サービスとして提供される指定介護予防訪問サービスについての利用者負担として、第1号事業支給費用基準額の1割又は2割(実施要綱第10条第2項若しくは第12条又は第13条の規定の適用により第1号事業支給費の率が9割又は8割でない場合については、それに応じた割合)の支払を受けなければならないことを規定したものである。
なお、この規定を準用又は参照している指定担い手登録型訪問サービス及び指定担い手登録型通所サービスにおいては、「第1号事業支給費用基準額の1割又は2割」とあるのは「実施要綱第10条第2項に規定する額」と読み替えるものとする。
「2.」 同条第2項は、利用者間の公平及び利用者の保護の観点から、法定代理受領サービスでない指定介護予防訪問サービスを提供した際に、その利用者から支払を受ける利用料の額と、法定代理受領サービスである指定介護予防訪問サービスに係る費用の額の間に、一方の管理経費の他方への転嫁等による不合理な差額を設けてはならないこととしたものである。
なお、そもそも第1号事業支給費の支給の対象となる指定介護予防訪問サービスのサービスと明確に区分されるサービスについては、次のような方法により別の料金設定をして差し支えない。
イ 利用者に、当該事業が指定介護予防訪問サービスの事業とは別事業であり、当該サービスが第1号事業支給費の支給の対象とならないサービスであることを説明し、理解を得ること。
ロ 当該事業の目的、運営方針、利用料等が、指定介護予防訪問サービス事業所の運営規程とは別に定められていること。
ハ 会計が指定介護予防訪問サービスの事業の会計と区分されていること。
「3.」 同条第3項は、指定介護予防訪問サービス事業者は、指定介護予防訪問サービスの提供に関して、前2項の利用料のほかに、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定介護予防訪問サービスを行う場合の交通費(移動に要する実費)の支払を利用者から受けることができることとし、第1号事業支給費の支給の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。
「4.」 同条第4項は、指定介護予防訪問サービス事業者は、前項の交通費の支払を受けるに当たっては、あらかじめ、利用者又はその家族に対してその額等に関して説明を行い、利用者の同意を得なければならないこととしたものである。
(12) 第1号事業支給費の請求のための証明書の交付 
運営基準第21条は、利用者が市に対する第1号事業支給費の請求を容易に行えるよう、指定介護予防訪問サービス事業者は、法定代理受領サービスでない指定介護予防訪問サービスに係る利用料の支払を受けた場合は、提供した指定介護予防訪問サービスの内容、費用の額その他利用者が第1号事業支給費を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を利用者に対して交付しなければならないこととしたものである。
(13) 利用者に関する市への通知 
運営基準第23条は、偽りその他不正な行為によって第1号事業支給費の支給を受けた者及び自己の故意の犯罪行為又は重大な過失等により、要介護状態又はその原因となった事故を生じさせるなどした者については、市が、実施要綱第10条第2項若しくは第12条又は第13条の規定に基づく第1号事業支給費の支給の制限を行うことができることに鑑み、指定介護予防訪問サービス事業者が、その利用者に関し、第1号事業支給費の支給の適正化の観点から市に通知しなければならない事由を列記したものである。
(14) 緊急時等の対応 
運営基準第24条は、訪問介護員等が現に指定介護予防訪問サービスの提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき速やかに主治の医師(以下「主治医」という。)への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものである。
(15) 管理者及びサービス提供責任者の責務 
運営基準第25条は、指定介護予防訪問サービス事業所の管理者とサービス提供責任者の役割分担について規定したものであり、管理者は、従業者及び業務の一元的管理並びに従業者に運営基準第2章を遵守させるための指揮命令を、サービス提供責任者は、指定介護予防訪問サービスに関するサービス内容の管理について必要な業務等として、運営基準第25条第3項各号に具体的に列記する業務を行うものである。この場合、複数のサービス提供責任者を配置する指定介護予防訪問サービス事業所において、サービス提供責任者間での業務分担を行うことにより、指定介護予防訪問サービス事業所として当該業務を適切に行うことができているときは、必ずしも1人のサービス提供責任者が当該業務の全てを行う必要はない。
また、同条第3項第2号の2において、サービス提供責任者は居宅介護支援事業者等に対して、指定訪問介護の提供に当たり把握した利用者の服薬状況や口腔機能等の利用者の心身の状態及び生活の状況に係る必要な情報の提供を行うこととされているが、情報の提供は、サービス担当者会議等を通じて行うことも差し支えない。必要な情報の内容については、
例えば、
・薬が大量に余っている又は複数回分の薬を一度に服用している
・薬の服用を拒絶している
・使いきらないうちに新たに薬が処方されている
・口臭や口腔内出血がある
・体重の増減が推測される見た目の変化がある
・食事量や食事回数に変化がある
・下痢や便秘が続いている
・皮膚が乾燥していたり湿疹等がある
・リハビリテーションの提供が必要と思われる状態にあるにも関わらず提供されていない
等の利用者の心身又は生活状況に係る情報が考えられるが、居宅介護支援事業者等に対して情報提供する内容は、サービス提供責任者が適切に判断することとする。なお、必要な情報の提供については、あらかじめ、サービス担当者会議等で居宅介護支援事業者等と調整しておくことが望ましい。
なお、サービス提供責任者は、利用者に対して適切な指定介護予防訪問サービスを提供するために重要な役割を果たすことに鑑み、その業務を画一的にとらえるのではなく、指定介護予防訪問サービス事業所の状況や実施体制に応じて適切かつ柔軟に業務を実施するよう留意するとともに、常に必要な知識の修得及び能力の向上に努めなければならない。
(16) 運営規程 
運営基準第26条は、指定介護予防訪問サービスの事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定介護予防訪問サービスの提供を確保するため、同条第1号から第8号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定介護予防訪問サービス事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。なお、同一事業者が同一敷地内にある事業所において、複数のサービス種類について事業者指定を受け、それらの事業を一体的に行う場合においては、運営規程を一体的に作成することも差し支えない(この点については他のサービス種類についても同様とする。)。
「1.」 従業者の職種、員数及び職務の内容(第2号)
従業者の「員数」は日々変わりうるものであるため、業務負担軽減等の観点から、規程を定めるに当たっては、居宅基準第5条において置くべきとされている員数を満たす範囲において、「○人以上」と記載することも差し支えない(居宅基準第8条に規定する重要事項を記した文書に記載する場合についても、同様とする。)(以下、他のサービス種類についても同趣旨。)。
「2.」 指定介護予防訪問サービスの内容(第4号)
「指定介護予防訪問サービスの内容」とは、身体介護、生活援助等のサービスの内容を指すものである。
「3.」 利用料その他の費用の額(第4号) 
「利用料」としては、法定代理受領サービスである指定介護予防訪問サービスに係る利用料(1割負担又は2割負担)及び法定代理受領サービスでない指定介護予防訪問サービスの利用料を、「その他の費用の額」としては、運営基準第20条第3項により徴収が認められている交通費の額及び必要に応じてその他のサービスに係る費用の額を規定するものである(以下、他のサービス種類についても同趣旨)。
「4.」 通常の事業の実施地域(第5号)
通常の事業の実施地域は、客観的にその区域が特定されるものとすること。なお、通常の事業の実施地域は、利用申込に係る調整等の観点からの目安であり、当該地域を越えてサービスが行われることを妨げるものではないものである(以下、運営基準第47条第5号、第59条第6号、第75条第5号についても同趣旨)。
「5.」 虐待の防止のための措置に関する事項(第7号)
(28)の虐待の防止に係る、組織内の体制(責任者の選定、従業者への研修方法や研修計画等)や虐待又は虐待が疑われる事案(以下「虐待等」という。)が発生した場合の対応方法等を指す内容であること(以下、他のサービス種類についても同趣旨。)。
(17) 介護等の総合的な提供 
運営基準第27条は、運営基準第4条の基本方針等を踏まえ、指定介護予防訪問サービスの事業運営に当たっては、多種多様な介護予防訪問サービスの提供を行うべき旨を明確化したものである。指定介護予防訪問サービス事業は、生活全般にわたる援助を行うものであることから、指定介護予防訪問サービス事業者は、入浴、排せつ、食事等の介護(身体介護)又は調理、洗濯、掃除等の家事(生活援助)を総合的に提供しなければならず、また、指定介護予防訪問サービス事業所により提供しているサービスの内容が、身体介護のうち特定のサービス行為に偏ったり、生活援助のうち特定のサービス行為に偏ったりしてはならないこととしたものである。また、サービス提供の実績から特定のサービス行為に偏っていることが明らかな場合に限らず、事業運営の方針、広告、従業者の勤務体制、当該事業者の行う他の事業との関係等の事業運営全般から判断して、特定のサービス行為に偏ることが明らかであれば、本条に抵触することとなる。
また、「偏っている」とは、特定のサービス行為のみを専ら行うことはもちろん、特定のサービス行為に係るサービス提供時間が月単位等一定期間中のサービス提供時間の大半を占めていれば、これに該当するものである。
(18) 勤務体制の確保等 
運営基準第28条は、利用者に対する適切な指定介護予防訪問サービスの提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、次の点に留意する必要がある。
「1.」 指定介護予防訪問サービス事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、訪問介護員等については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、サービス提供責任者である旨等を明確にすること。
「2.」 同条第2項は、当該指定介護予防訪問サービス事業所の訪問介護員等によって指定介護予防訪問サービスを提供するべきことを規定したものであるが、指定介護予防訪問サービス事業所の訪問介護員等とは、雇用契約、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)に規定する労働者派遣契約その他の契約により、当該事業所の管理者の指揮命令下にある訪問介護員等を指すものである。なお、社会福祉士及び介護福祉士法の規定に基づき、同法施行規則(昭和61年厚生省令第49号)第1条各号に規定する口腔内の喀痰吸引その他の行為を業として行う訪問介護員等については、労働者派遣法に基づく派遣労働者(同法に規定する紹介予定派遣又は同法第40条の2第1項第3号又は第4号に該当する場合を除く。)であってはならないことに留意すること。
「3.」 同条第3項は、当該指定介護予防訪問サービス事業所の従業者たる訪問介護員等の質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該事業所内の研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものである。
「4.」 同条第4項は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47 年法律第113 号)第11 条第1項及び労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41 年法律第132 号)第30 条の2第1項の規定に基づき、事業主には、職場におけるセクシュアルハラスメントやパワーハラスメント(以下「職場におけるハラスメント」という。)の防止のための雇用管理上の措置を講じることが義務づけられていることを踏まえ、規定したものである。事業主が講ずべき措置の具体的内容及び事業主が講じることが望ましい取組については、次のとおりとする。なお、セクシュアルハラスメントについては、上司や同僚に限らず、利用者やその家族等から受けるものも含まれることに留意すること。
イ 事業主が講ずべき措置の具体的内容
事業主が講ずべき措置の具体的な内容は、事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(平成18 年厚生労働省告示第615 号)及び事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号。以下「パワーハラスメント指針」という。)において規定されているとおりであるが、特に留意されたい内容は以下のとおりである。
a 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
職場におけるハラスメントの内容及び職場におけるハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、従業者に周知・啓発すること。
b 相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
相談に対応する担当者をあらかじめ定めること等により、相談への対応のための窓口をあらかじめ
定め、労働者に周知すること。
なお、パワーハラスメント防止のための事業主の方針の明確化等の措置義務については、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第24 号)附則第3条の規定により読み替えられた労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第30 条の2第1項の規定により、中小企業(資本金が3億円以下又は常時使用する従業員の数が300 人以下の企業)は、令和4年4月1日から義務化となり、それまでの間は努力義務とされているが、適切な勤務体制の確保等の観点から、必要な措置を講じるよう努められたい。
ロ 事業主が講じることが望ましい取組について
パワーハラスメント指針においては、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)の防止のために、事業主が雇用管理上の配慮として行うことが望ましい取組の例として、「1.」相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、「2.」被害者への配慮のための取組(メンタルヘルス不調への相談対応、行為者に対して1人で対応させない等)及び「3.」被害防止のための取組(マニュアル作成や研修の実施等、業種・業態等の状況に応じた取組)が規定されている。介護現場では特に、利用者又はその家族等からのカスタマーハラスメントの防止が求められていることから、イ(事業主が講ずべき措置の具体的内容)の必要な措置を講じるにあたっては、「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」、「(管理職・職員向け)研修のための手引き」等を参考にした取組を行うことが望ましい。この際、上記マニュアルや手引きについては、以下の厚生労働省ホームページに掲載しているので参考にされたい。(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05120.html)加えて、都道府県において、地域医療介護総合確保基金を活用した介護職員に対する悩み相談窓口設置事業や介護事業所におけるハラスメント対策推進事業を実施している場合、事業主が行う各種研修の費用等について助成等を行っていることから、事業主はこれらの活用も含め、介護事業所におけるハラスメント対策を推進することが望ましい。
(19) 業務継続計画の策定等
「1.」 運営基準第28 条の2は、指定訪問介護事業者は、感染症や災害が発生した場合にあっても、利用者が継続して指定訪問介護の提供を受けられるよう、指定訪問介護の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定するとともに、当該業務継続計画に従い、登録訪問介護員等を含めて、訪問介護員等その他の従業者に対して、必要な研修及び訓練(シミュレーション)を実施しなければならないこととしたものである。なお、業務継続計画の策定、研修及び訓練の実施については、居宅基準第30 条の2に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携し取り組むことが求められることから、研修及び訓練の実施にあたっては、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する省令(令和3年厚生労働省令第9号。以下「令和3年改正省令」という。)附則第3条において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31 日までの間は、努力義務とされている。
「2.」 業務継続計画には、以下の項目等を記載すること。なお、各項目の記載内容については、「介護施設・事業所における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」及び「介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照されたい。また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。
イ 感染症に係る業務継続計画
a 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
b 初動対応
c 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)
ロ 災害に係る業務継続計画
a 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
b 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
c 他施設及び地域との連携
「3.」 研修の内容は、感染症及び災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録すること。なお、感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。
「4.」 訓練(シミュレーション)においては、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践するケアの演習等を定期的(年1回以上)に実施するものとする。なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。

(20) 衛生管理等 
「1.」 運営基準第29条第1項及び第2項は、指定介護予防訪問サービス事業者は、訪問介護員等の清潔の保持及び健康状態の管理並びに指定介護予防訪問サービス事業所の設備及び備品等の衛生的な管理に努めるべきことを規定したものである。特に、指定介護予防訪問サービス事業者は、訪問介護員等が感染源となることを予防し、また訪問介護員等を感染の危険から守るため、使い捨ての手袋等感染を予防するための備品等を備えるなど対策を講じる必要がある。
「2.」 同条第3項に規定する感染症が発生し、又はまん延しないように講ずべき措置については、具体的には次のイからハまでの取扱いとすること。各事項について、同項に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正省令附則第4条において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31 日までの間は、努力義務とされている。
イ 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会
当該事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(以下「感染対策委員会」という。)であり、感染対策の知識を有する者を含む、幅広い職種により構成することが望ましく、特に、感染症対策の知識を有する者については外部の者も含め積極的に参画を得ることが望ましい。構成メンバーの責任及び役割分担を明確にするとともに、専任の感染対策を担当する者(以下「感染対策担当者」という。)を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、利用者の状況など事業所の状況に応じ、おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
感染対策委員会は、テレビ電話装置等(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器をいう。以下同じ。)を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、感染対策委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
ロ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
当該事業所における「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。
平常時の対策としては、事業所内の衛生管理(環境の整備等)、ケアにかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における事業所関係課等の関係機関との連携、行政等への報告等が想定される。また、発生時における事業所内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。
なお、それぞれの項目の記載内容の例については、「介護現場における感染対策の手引き」を参照されたい。
ハ 感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練
登録訪問介護員等を含めて、訪問介護員等その他の従業者に対する「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該事業所が定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録することが必要である。
なお、研修の実施は、厚生労働省「介護施設・事業所の職員向け感染症対策力向上のための研修教材」等を活用するなど、事業所内で行うものでも差し支えなく、当該事業所の実態に応じ行うこと。
また、平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年1回以上)に行うことが必要である。訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施するものとする。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(21) 掲示
「1.」 運営基準第30 条第1項は、指定訪問介護事業者は、運営規程の概要、訪問介護員等の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、提供するサービスの第三者評価の実施状況(実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機関の名称、評価結果の開示状況)等の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を指定訪問介護事業所の見やすい場所に掲示することを規定したものであるが、次に掲げる点に留意する必要がある。
イ 事業所の見やすい場所とは、重要事項を伝えるべき介護サービスの利用申込者、利用者又はその家族に対して見やすい場所のことであること。
ロ 訪問介護員等の勤務体制については、職種ごと、常勤・非常勤ごと等の人数を掲示する趣旨であり、訪問介護員等の氏名まで掲示することを求めるものではないこと。
「2.」 同条第2項は、重要事項を記載したファイル等を介護サービスの利用
申込者、利用者又はその家族等が自由に閲覧可能な形で当該指定訪問介護事業所内に備え付けることで同条第1項の掲示に代えることができることを規定したものである。
(22) 秘密保持等 
「1.」 運営基準第31条第1項は、指定介護予防訪問サービス事業所の訪問介護員等その他の従業者に、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密の保持を義務づけたものである。
「2.」 同条第2項は、指定介護予防訪問サービス事業者に対して、過去に当該指定介護予防訪問サービス事業所の訪問介護員等その他の従業者であった者が、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務づけたものであり、具体的には、指定介護予防訪問サービス事業者は、当該指定介護予防訪問サービス事業所の訪問介護員等その他の従業者が、従業者でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、従業者との雇用時等に取り決め、例えば違約金についての定めをおくなどの措置を講ずべきこととするものである。
「3.」 同条第3項は、訪問介護員等がサービス担当者会議等において、課題分析情報等を通じて利用者の有する問題点や解決すべき課題等の個人情報を、地域包括支援センターの職員や他のサービスの担当者と共有するためには、指定介護予防訪問サービス事業者は、あらかじめ、文書により利用者又はその家族から同意を得る必要があることを規定したものであるが、この同意は、サービス提供開始時に利用者及びその家族から包括的な同意を得ておくことで足りるものである。
(23) 不当な働きかけの禁止
運営基準第32条の2は、地域包括支援センターに対する利益供与に当たらない場合であっても、指定介護予防訪問サービス事業者が、介護予防サービス・支援計画の作成又は変更に関し、地域包括支援センターの職員又は利用者に対して、利用者に必要のないサービスを位置付けるよう求めることなどの不当な働きかけを行ってはならないこととしたものである。具体的には、例えば、指定介護予防訪問サービス事業者と地域包括支援センターが同一法人等である場合や同一の建物等に所在する場合において、当該利用者の状況を勘案することなく、自らが提供する介護予防訪問サービスを介護予防サービス・支援計画に位置付けるよう働きかけるような場合が該当する。
(24) 地域包括支援センターに対する利益供与の禁止 
運営基準第33条は、地域包括支援センターの公正中立性を確保するために、指定介護予防訪問サービス事業者は、地域包括支援センター又はその職員に対し、利用者に対して特定の事業者によるサービスを利用させることの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならないこととしたものである。
(25) 苦情処理 
「1.」 運営基準第34条第1項にいう「必要な措置」とは、具体的には、相談窓口、苦情処理の体制及び手順等当該事業所における苦情を処理するために講ずる措置の概要について明らかにし、利用申込者又はその家族にサービスの内容を説明する文書に苦情に対する措置の概要についても併せて記載するとともに、事業所に掲示すること等である。
「2.」 同条第2項は、利用者及びその家族からの苦情に対し、指定介護予防訪問サービス事業者が組織として迅速かつ適切に対応するため、当該苦情(指定介護予防訪問サービス事業者が提供したサービスとは関係のないものを除く。)の受付日、その内容等を記録することを義務づけたものである。
また、指定介護予防訪問サービス事業者は、苦情がサービスの質の向上を図る上での重要な情報であるとの認識に立ち、苦情の内容を踏まえ、サービスの質の向上に向けた取組を自ら行うべきである。
なお、運営基準第37条第2項の規定に基づき、苦情の内容等の記録は、2年間保存しなければならない。
「3.」 同条第3項は、住民に最も身近な行政庁であり、かつ、保険者である市が、サービスに関する苦情に対応する必要が生ずることから、市について、指定介護予防訪問サービス事業者に対する苦情に関する調査や指導、助言を行えることを運営基準上、明確にしたものである。

(26) 地域との連携等 
「1.」 運営基準第34条の2は、運営基準第3条第2項の趣旨に基づき、市との密接な連携に努めることを規定したものである。
なお、「市が実施する事業」には、広く市が老人クラブその他の非営利団体や住民の協力を得て行う事業が含まれるものである。
「2.」 同条第2項は、高齢者向け集合住宅等と同一の建物に所在する指定訪問介護事業所が当該高齢者向け集合住宅等に居住する要介護者に指定訪問介護を提供する場合、当該高齢者向け集合住宅等に居住する要介護者のみを対象としたサービス提供が行われないよう、第9条の正当な理由がある場合を除き、地域包括ケア推進の観点から地域の要介護者にもサービス提供を行うよう努めなければならないことを定めたものである。なお、こうした趣旨を踏まえ、地域の実情に応じて、都道府県が条例等を定める場合や、市町村等の意見を踏まえて指定の際に条件を付す場合において、例えば、当該事業所の利用者のうち、一定割合以上を当該集合住宅以外の利用者とするよう努める、あるいはしなければならない等の規定を設けることは差し支えないものである。この際、自立支援や重度化防止等につながるようなサービス提供がなされているか等、サービスの質が担保されているかが重要であることに留意すること。
(27) 事故発生時の対応 
運営基準第35条は、利用者が安心して指定介護予防訪問サービスの提供を受けられるよう事故発生時の速やかな対応を想定したものである。指定介護予防訪問サービス事業者は、利用者に対する指定介護予防訪問サービスの提供により事故が発生した場合には、市、当該利用者の家族、当該利用者に係る地域包括支援センター等に対して連絡を行う等の必要な措置を講じるべきこととするとともに、当該事故の状況及び事故に際して採った処置について記録しなければならないこととしたものである。
また、利用者に対する指定介護予防訪問サービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合には、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものである。
なお、基準第37条第2項の規定に基づき、事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録は、2年間保存しなければならない。
このほか、以下の点に留意するものとする。
「1.」 利用者に対する指定介護予防訪問サービスの提供により事故が発生した場合の対応方法については、あらかじめ指定介護予防訪問サービス事業者が定めておくことが望ましいこと。
「2.」 指定介護予防訪問サービス事業者は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくか、又は賠償資力を有することが望ましいこと。
「3.」 指定介護予防訪問サービス事業者は、事故が生じた際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。
(28) 虐待の防止
運営基準第35 条の2は、虐待の防止に関する事項について規定したものである。虐待は、法の目的の一つである高齢者の尊厳の保持や、高齢者の人格の尊重に深刻な影響を及ぼす可能性が極めて高く、指定介護予防訪問サービス事業者は虐待の防止のために必要な措置を講じなければならない。虐待を未然に防止するための対策及び発生した場合の対応等については、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成17 年法律第124 号。以下「高齢者虐待防止法」という。)に規定されているところであり、その実効性を高め、利用者の尊厳の保持・人格の尊重が達成されるよう、次に掲げる観点から虐待の防止に関する措置を講じるものとする。
・虐待の未然防止
指定介護予防訪問サービス護事業者は高齢者の尊厳保持・人格尊重に対する配慮を常に心がけながらサービス提供にあたる必要があり、第3条の一般原則に位置付けられているとおり、研修等を通じて、従業者にそれらに関する理解を促す必要がある。同様に、従業者が高齢者虐待防止法等に規定する養介護事業の従業者としての責務・適切な対応等を正しく理解していることも重要である。
・虐待等の早期発見
指定訪問介護事業所の従業者は、虐待等又はセルフ・ネグレクト等の虐待に準ずる事案を発見しやすい立場にあることから、これらを早期に発見できるよう、必要な措置(虐待等に対する相談体制、市町村の通報窓口の周知等)がとられていることが望ましい。また、利用者及びその家族からの虐待等に係る相談、利用者から市町村への虐待の届出について、適切な対応をすること。
・虐待等への迅速かつ適切な対応
虐待が発生した場合には、速やかに市町村の窓口に通報される必要があり、指定訪問介護事業者は当該通報の手続が迅速かつ適切に行われ、市町村等が行う虐待等に対する調査等に協力するよう努めることとする。
以上の観点を踏まえ、虐待等の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するために次に掲げる事項を実施するものとする。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正省令附則第2条において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31 日までの間は、努力義務とされている。
「1.」 虐待の防止のための対策を検討する委員会(第1号)
虐待防止検討委員会は、虐待等の発生の防止・早期発見に加え、虐待等が発生した場合はその再発を確実に防止するための対策を検討する委員会であり、管理者を含む幅広い職種で構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、定期的に開催することが必要である。また、虐待防止の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。
一方、虐待等の事案については、虐待等に係る諸般の事情が、複雑かつ機微なものであることが想定されるため、その性質上、一概に従業者に共有されるべき情報であるとは限られず、個別の状況に応じて慎重に対応することが重要である。
なお、虐待防止検討委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
また、虐待防止検討委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
虐待防止検討委員会は、具体的には、次のような事項について検討することとする。その際、そこで得た結果(事業所における虐待に対する体制、虐待等の再発防止策等)は、従業者に周知徹底を図る必要がある。
イ 虐待防止検討委員会その他事業所内の組織に関すること
ロ 虐待の防止のための指針の整備に関すること
ハ 虐待の防止のための職員研修の内容に関すること
ニ 虐待等について、従業者が相談・報告できる体制整備に関すること
ホ 従業者が高齢者虐待を把握した場合に、市町村への通報が迅速かつ適切に行われるための方法に関すること
ヘ 虐待等が発生した場合、その発生原因等の分析から得られる再発の確実な防止策に関すること
ト 前号の再発の防止策を講じた際に、その効果についての評価に関すること
「2.」 虐待の防止のための指針(第2号)
指定訪問介護事業者が整備する「虐待の防止のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
イ 事業所における虐待の防止に関する基本的考え方
ロ 虐待防止検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
ハ 虐待の防止のための職員研修に関する基本方針
ニ 虐待等が発生した場合の対応方法に関する基本方針
ホ 虐待等が発生した場合の相談・報告体制に関する事項
ヘ 成年後見制度の利用支援に関する事項
ト 虐待等に係る苦情解決方法に関する事項
チ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する事項
リ その他虐待の防止の推進のために必要な事項
「3.」 虐待の防止のための従業者に対する研修(第3号)
従業者に対する虐待の防止のための研修の内容としては、虐待等の防止に関する基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するものであるとともに、当該指定訪問介護事業所における指針に基づき、虐待の防止の徹底を行うものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定訪問介護事業者が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な研修(年1回以上)を実施するとともに、新規採用時には必ず虐待の防止のための研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、事業所内での研修で差し支えない。
「4.」 虐待の防止に関する措置を適切に実施するための担当者(第4号)
指定訪問介護事業所における虐待を防止するための体制として、「1.」から「3.」までに掲げる措置を適切に実施するため、専任の担当者を置くことが必要である。当該担当者としては、虐待防止検討委員会の責任者と同一の従業者が務めることが望ましい。
(29) 会計の区分
運営基準第36条は、指定介護予防訪問サービス事業者は、指定介護予防訪問サービス事業所ごとに経理を区分するとともに、指定介護予防訪問サービスの事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならないこととしたものであるが、具体的な会計処理の方法等については、介護保険・高齢者保健福祉事業に係る社会福祉法人会計基準の取扱いについて(平成24年老高発0329第1号)及び介護保険の給付対象事業における会計の区分について(平成13年老振発第18号)、指定介護老人福祉施設等に係る会計処理等の取扱いについて(平成12年老計第8号)を参考にすること。
(30) 記録の整備
運営基準第37 条第2項は、指定訪問介護事業者が同項各号に規定する記録を整備し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、個々の利用者につき、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
4 共生型介護予防訪問サービスに関する基準
共生型介護予防訪問サービスは、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号。以下「指定障害福祉サービス等基準」という。)第5条第1項に規定する指定居宅介護事業者又は重度訪問介護(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号。以下「障害者総合支援法」)という。第5条第3項に規定する重度訪問介護をいう。)に係る指定障害福祉サービス(同法第29条第2項に規定する指定障害福祉サービスをいう。)の事業を行う者が、要支援者に対して提供する介護予防訪問サービスをいうものであり、共生型介護予防訪問サービス事業所が満たすべき基準は、次のとおりであること。
(1) 従業者(ホームヘルパー)、サービス提供責任者の員数及び管理者(運営基準第42条第1号、第43条)
「1.」 従業者(ホームヘルパー)
指定居宅介護事業所又は指定重度訪問介護事業所(以下この4において「指定居宅介護事業所等」という。)の従業者の員数が、共生型介護予防訪問サービスを受ける利用者(要支援者)の数を含めて当該指定居宅介護事業所等の利用者の数とした場合に、当該指定居宅介護事業所等として必要とされる数以上であること。
「2.」 サービス提供責任者
共生型介護予防訪問サービス事業所に置くべきサービス提供責任者の員数は、指定居宅介護事業所等における指定居宅介護又は指定重度訪問介護の利用者(障害者及び障害児)及び共生型介護予防訪問サービスの利用者(要介護者)の合計数が、40又はその端数を増すごとに1人以上とする。この場合において、サービス提供責任者の資格要件については、指定居宅介護事業所等のサービス提供責任者であれば、共生型介護予防訪問サービス事業所のサービス提供責任者の資格要件を満たすものとする。
なお、共生型介護予防訪問サービス事業所のサービス提供責任者と指定居宅介護事業所等のサービス提供責任者を兼務することは差し支えない。
「3.」 管理者
指定介護予防訪問サービスの場合と同趣旨であるため、第3の一の1の(3)を参照されたい。
なお、共生型介護予防訪問サービス事業所の管理者と指定居宅介護事業所等の管理者を兼務することは差し支えない。
(2) 設備に関する基準
指定居宅介護事業所等として満たすべき設備基準を満たしていれば足りるものである。
(3) 指定介護予防訪問サービス事業所その他の関係施設から、指定居宅介護事業所等が要介護高齢者の支援を行う上で、必要な技術的支援を受けていること。(運営基準第41条第2号)
(4) 運営等に関する基準(運営基準第42条)
運営基準第42条規定により、運営気基準第4条並びに第4節の規定は、共生型介護予防訪問サービスの事業について準用されるものであるため、第3の一の1の(2)及び(3)並びに3を参照されたい。
(5) その他の共生型サービスについて
高齢者と障害者・障害児に一体的にサービス提供するものであって、
・デイサービス、ホームヘルプサービス、ショートステイについて、障害福祉制度と介護保険制度の両方の基準を満たして両方の指定を受けているもの
・法令上、共生型サービスの対象とされているデイサービス、ホームヘルプサービス、ショートステイ以外のサービス(例えば、障害福祉制度の共同生活援助と介護保険制度の認知症対応型共同生活介護)について、障害福祉制度と介護保険制度の両方の指定を受けているもの
・障害福祉制度の基準を満たして指定を受け、かつ、介護保険制度の基準該当サービスを活用しているものについても「共生型サービス」であり、地域共生社会の実現に向け、これらの推進も図られることが望ましいこと。
なお、共生型サービスは、各事業所の選択肢の一つであり、地域の高齢者や、障害者・障害児のニーズを踏まえて、各事業所は指定を受けるどうか判断することとなる。

5 介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準
(1) 指定介護予防訪問サービスの基本取扱方針 
運営基準第39条にいう指定介護予防訪問サービスの基本取扱方針について、特に留意すべきところは、次のとおりである。
「1.」 介護予防訪問サービスの提供に当たっては、介護予防とは、単に高齢者の運動機能や栄養改善といった特定の機能の改善だけを目指すものではなく、これらの心身機能の改善や環境調整等を通じて、一人ひとりの高齢者ができる限り要介護状態にならないで自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として行われるものであることに留意しつつ行うこと。
「2.」 介護予防の十分な効果を高める観点からは、利用者の主体的な取組が不可欠であることから、サービスの提供に当たっては、利用者の意欲が高まるようコミュニケーションの取り方をはじめ、様々な工夫をして、適切な働きかけを行うよう努めること。
「3.」 サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に補う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
「4.」 提供された介護予防サービスについては、介護予防訪問サービス計画に定める目標達成の度合いや利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。
(2) 指定介護予防訪問サービスの具体的取扱方針 
「1.」 運営基準第39条第1号及び第2号は、サービス提供責任者は、介護予防訪問サービス計画を作成しなければならないこととしたものである。介護予防訪問サービス計画の作成に当たっては、利用者の状況を把握・分析し、介護予防訪問サービスの提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、支援の方向性や目標を明確にし、担当する訪問介護員等が提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。
なお、介護予防訪問サービス計画の様式については、事業所ごとに定めるもので差し支えない。
「2.」 同条第3号は、介護予防訪問サービス計画は、介護予防サービス・支援計画に沿って作成されなければならないこととしたものである。
なお、介護予防訪問サービス計画の作成後に介護予防サービス・支援計画が作成された場合は、当該介護予防訪問サービス計画が介護予防サービス計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
「3.」 同条第4号から第7号は、サービス提供に当たっての利用者又はその家族に対する説明について定めたものである。即ち、介護予防訪問サービス計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されなければならないものであり、その内容について説明を行った上で利用者の同意を得ることを義務づけることにより、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。サービス提供責任者は、介護予防訪問サービス計画の目標や内容等について、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
また、介護予防訪問サービス計画を作成した際には、遅滞なく利用者に交付しなければならず、当該介護予防訪問サービス計画は、運営基準第37条第2項の規定に基づき、2年間保存しなければならないこととしている。
「4.」 同条第8号は、指定介護予防訪問サービスの提供に当たっては、介護技術の進歩に対応した適切なサービスが提供できるよう、常に新しい技術を習得する等、研鑽を行うべきものであることとしたものである。
「5.」 同条第9号から第11号は、事業者に対して指定介護予防訪問サービスの提供状況等について地域包括支援センターに対する報告の義務づけを行うとともに、介護予防訪問サービス計画に定める計画期間終了後の当該計画の実施状況の把握(モニタリング)を義務づけるものである。地域包括支援センターに対する実施状況等の報告については、サービスが介護予防サービス・支援計画に即して適切に提供されているかどうか、また、当該計画策定時から利用者の状態等が大きく異なることとなっていないか等を確認するために行うものであり、毎月行うこととしている。
また、併せて、事業者は介護予防訪問サービス計画に定める計画期間が終了するまでに1回はモニタリングを行い、利用者の介護予防訪問サービス計画に定める目標の達成状況の把握等を行うこととしており、当該モニタリングの結果により、解決すべき課題の変化が認められる場合等については、担当する地域包括支援センター等とも相談の上、必要に応じて当該介護予防訪問サービス計画の変更を行うこととしたものである。
「6.」 指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準第30条第12号において、「担当職員は、介護予防サービス計画に位置付けた指定介護予防サービス事業者に対して、指定介護予防サービス等基準において位置付けられている計画の提出を求めるものとする」と規定していることを踏まえ、介護予防サービス支援・計画に基づきサービスを提供している地域包括支援センターから介護予防訪問サービス計画の提供の求めがあった際には、当該介護予防訪問サービス計画を提出することに協力するよう努めるものとする。
二 介護予防通所サービス
1 人員に関する基準 
(1) 従業者の員数(運営基準第44条)
「1.」 指定介護予防通所サービスの単位とは、同時に、一体的に提供される指定介護予防通所サービスをいうものであり、例えば、次のような場合は、2単位として扱われ、それぞれの単位ごとに必要な従業者を確保する必要がある。
イ 指定介護予防通所サービスが同時に一定の距離を置いた2つの場所で行われ、これらのサービスの提供が一体的に行われているといえない場合 
ロ 午前と午後とで別の利用者に対して指定介護予防通所サービスを提供する場合 
また、利用者ごとに策定した介護予防通所サービス計画に位置づけられた内容の指定介護予防通所サービスが一体的に提供されていると認められる場合は、同一単位で提供時間数の異なる利用者に対して指定介護予防通所サービスを行うことも可能である。なお、同時一体的に行われているとは認められない場合は、別単位となることに留意すること。
「2.」 運営基準第44条第1項第1号の生活相談員、同項第3号の介護職員及び同条第2項の看護職員又は介護職員の人員配置については、当該職種の従業員がサービス提供時間内に勤務する時間数の合計(以下「勤務延時間数」という。)を提供時間数で除して得た数が基準において定められた数以上となるよう、勤務延時間数を確保するよう定めたものであり、必要な勤務延時間数が確保されれば当該職種の従業者の員数は問わないものである。
「3.」 生活相談員については、指定介護予防通所サービスの単位の数にかかわらず、次の計算式のとおり指定介護予防通所サービス事業所における提供時間数に応じた生活相談員の配置が必要になるものである。ここでいう提供時間数とは、当該事業所におけるサービス提供開始時刻から終了時刻まで(サービスが提供されていない時間帯を除く。)とする。
(確保すべき生活相談員の勤務延時間数の計算式)
提供日ごとに確保すべき勤務延時間数 = 提供時間数 
例えば、1単位の指定介護予防通所サービスを実施している事業所の提供時間数を6時間とした場合、生活相談員の勤務延時間数を、提供時間数である6時間で除して得た数が1以上となるよう確保すればよいことから、従業員の員数にかかわらず6時間の勤務延時間数分の配置が必要となる。また、例えば午前9時から正午、午後1時から午後6時の2単位の指定介護予防通所サービスを実施している事業所の場合、当該事業所におけるサービス提供時間は午前9時から午後6時(正午から午後1時までを除く。)となり、提供時間数は8時間となることから、従業員の員数にかかわらず8時間の勤務延時間数分の配置が必要となる。
なお、指定介護予防通所サービス事業所が、利用者の地域での暮らしを支えるため、医療機関、他の居宅サービス事業者、地域の住民活動等と連携し、指定介護予防通所サービス事業所を利用しない日でも利用者の地域生活を支える地域連携の拠点としての機能を展開できるように、生活相談員の確保すべき勤務延時間数には、「サービス担当者会議や地域ケア会議に出席するための時間」、「利用者宅を訪問し、在宅生活の状況を確認した上で、利用者の家族も含めた相談・援助のための時間」、「地域の町内会、自治会、ボランティア団体等と連携し、利用者に必要な生活支援を担ってもらうなどの社会資源の発掘・活用のための時間」など、利用者の地域生活を支える取組のために必要な時間も含めることができる。
ただし、生活相談員は、利用者の生活の向上を図るため適切な相談・援助等を行う必要があり、これらに支障がない範囲で認められるものである。
「4.」 基準第44条第1項第3号にいう介護職員(第2項の適用を受ける場合の看護職員又は介護職員を含む。以下「5.」について同じ。)については、指定介護予防通所サービスの単位ごとに、提供時間数に応じた配置が必要となるものであり、確保すべき勤務延時間数は、次の計算式のとおり提供時間数及び利用者数から算出される。なお、ここでいう提供時間数とは、当該単位における平均提供時間数(利用者ごとの提供時間数の合計を利用者数で除して得た数)とする。
(確保すべき勤務延時間数の計算式)
・利用者数15人まで
単位ごとに確保すべき勤務延時間数=平均提供時間数 
・利用者数16人以上 
単位ごとに確保すべき勤務延時間数=((利用者数-15)÷5+1)×平均提供時間数 
※平均提供時間数=利用者ごとの提供時間数の合計÷利用者数
例えば、利用者数18人、提供時間数を5時間とした場合、(18-15)÷5+1=1.6となり、5時間の勤務時間数を1.6人分確保すればよいことから、従業員の員数にかかわらず、5×1.6=8時間の勤務延時間数分の人員配置が必要となる。利用者数と平均提供時間数に応じて確保すべき勤務延時間数の具体例を次に示すものとする。

 

平均提供時間数

3.0 時間

4.0 時間

5.0 時間

6.0 時間

7.0 時間

8.0 時間

9.0 時間

利 用 者

5 人

3.0 時間

4.0 時間

5.0 時間

6.0 時間

7.0 時間

8.0 時間

9.0 時間

10 人

3.0 時間

4.0 時間

5.0 時間

6.0 時間

7.0 時間

8.0 時間

9.0 時間

15 人

3.0 時間

4.0 時間

5.0 時間

6.0 時間

7.0 時間

8.0 時間

9.0 時間

16 人

3.6 時間

4.8 時間

6.0 時間

7.2 時間

8.4 時間

9.6 時間

10.8時間

17 人

4.2 時間

5.6 時間

7.0 時間

8.4 時間

9.8 時間

11.2時間

12.6時間

18 人

4.8 時間

6.4 時間

8.0 時間

9.6 時間

11.2時間

12.8時間

14.4時間

19 人

5.4 時間

7.2 時間

9.0 時間

10.8時間

12.6時間

14.4時間

16.2時間

20 人

6.0 時間

8.0 時間

10.0時間

12.0時間

14.0時間

16.0時間

18.0時間

なお、介護職員については、指定介護予防通所サービスの単位ごとに常時1人以上確保することとしているが、これは、介護職員が常に確保されるよう必要な配置を行うよう定めたものであり、例えば、計算式により算出した確保すべき勤務延時間数が、当該事業所におけるサービス提供開始時刻から終了時刻までの時間数に満たない場合であっても、常時1人以上が確保されるよう配置を行う必要があることに留意すること。
また、介護職員は、利用者の処遇に支障がない場合は他の指定介護予防通所サービスの単位の介護職員として従事することができるとしたことから、例えば複数の単位の指定介護予防通所サービスを同じ時間帯に実施している場合、単位ごとに介護職員等が常に1人以上確保されている限りにおいては、単位を超えて柔軟な配置が可能である。
「6.」 看護職員については、指定介護予防通所サービス事業所の従業者により確保することに加え、病院、診療所、訪問看護ステーションとの連携により確保することも可能である。具体的な取扱いは以下のとおりとする。
ア 指定通所介護事業所の従業者により確保する場合
提供時間帯を通じて、専ら当該指定通所介護の提供に当たる必要はないが、当該看護職員は提供時間帯を通じて、指定通所介護事業所と密接かつ適切な連携を図るものとする。
イ 病院、診療所、訪問看護ステーションとの連携により確保する場合
看護職員が指定通所介護事業所の営業日ごとに利用者の健康状態の確認を行い、病院、診療所、訪問看護ステーションと指定通所介護事業所が提供時間帯を通じて密接かつ適切な連携を図るものとする。
なお、アとイにおける「密接かつ適切な連携」とは、指定通所介護事業所へ駆けつけることができる体制や適切な指示ができる連絡体制などを確保することである。
なお、アとイにおける「密接かつ適切な連携」とは、指定介護予防通所サービス事業所へ駆けつけることができる体制や適切な指示ができる連絡体制などを確保することである。
「7.」 利用者の数又は利用定員は、単位ごとの指定介護予防通所サービスについての利用者の数又は利用定員をいうものであり、利用者の数は実人員、利用定員は、あらかじめ定めた利用者の数の上限をいうものである。従って、例えば、1日のうちの午前の提供時間帯に利用者10人に対して指定介護予防通所サービスを提供し、午後の提供時間帯に別の利用者10人に対して指定介護予防通所サービスを提供する場合であって、それぞれの指定介護予防通所サービスの定員が10人である場合には、当該事業所の利用定員は10人、必要となる介護職員は午前午後それぞれにおいて利用者10人に応じた数ということとなり、人員算定上午前の利用者の数と午後の利用者の数が合算されるものではない。
「8.」 同一事業所で複数の単位の指定介護予防通所サービスを同時に行う場合であっても、常勤の従業者は事業所ごとに確保すれば足りるものである(運営基準第44条第8項)。
(2) 生活相談員(運営基準第44条第1項第1項)
生活相談員については、特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第46号)第5条第2項に定める生活相談員に準ずるものである。
(3) 機能訓練指導員(運営基準第44条第4項)
機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う能力を有する者としたが、この「訓練を行う能力を有する者」とは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師又はきゅう師の資格を有する者(はり師及びきゅう師については、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所で6月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限る。)とする。ただし、利用者の日常生活やレクリエーション、行事を通じて行う機能訓練については、当該事業所の生活相談員又は介護職員が兼務して行っても差し支えない。
(4) 管理者(運営基準第45条)
指定介護予防訪問サービスの場合と同趣旨であるため、第3の一の1の(3)を参照されたい。

2 設備に関する基準(運営基準第46条)
(1) 事業所 
事業所とは、指定介護予防通所サービスを提供するための設備及び備品を備えた場所をいう。原則として一の建物につき、一の事業所とするが、利用者の利便のため、利用者に身近な社会資源(既存施設)を活用して、事業所の従業者が当該既存施設に出向いて指定介護予防通所サービスを提供する場合については、これらを事業所の一部とみなして設備基準を適用するものである。
(2) 食堂及び機能訓練室 
指定介護予防通所サービス事業所の食堂及び機能訓練室(以下「指定介護予防通所サービスの機能訓練室等」という。)については、3平方メートルに利用定員を乗じて得た面積以上とすることとしたが、指定介護予防通所サービスが原則として同時に複数の利用者に対し介護を提供するものであることに鑑み、狭隘な部屋を多数設置することにより面積を確保すべきではないものである。ただし、指定介護予防通所サービスの単位をさらにグループ分けして効果的な指定介護予防通所サービスの提供が期待される場合はこの限りではない。
(3) 消火設備その他の非常災害に際して必要な設備 
消火設備その他の非常災害に際して必要な設備とは、消防法その他の法令等に規定された設備を示しており、それらの設備を確実に設置しなければならないものである。
(4) 設備に係る共用
指定介護予防通所サービス事業所と指定居宅サービス事業所等を併設している場合に、利用者へのサービス提供に支障がない場合は、設備基準上両方のサービスに規定があるもの(指定訪問介護事業所の場合は事務室)は共用が可能である。また、玄関、廊下、階段、送迎車両など、基準上は規定がないが、設置されるものについても、利用者へのサービス提供に支障がない場合は、共用が可能である。ただし、指定介護予防通所サービスの機能訓練室等と、指定介護予防通所サービス事業所と併設の関係にある病院、診療所、介護老人保健施設又は介護医療院における指定通所リハビリテーション等を行うためのスペースについて共用する場合にあっては、以下の条件に適合することをもって、これらが同一の部屋等であっても差し支えないものとする。
イ 当該部屋等において、指定介護予防通所サービスの機能訓練室等と指定通所リハビリテーション等を行うためのスペースが明確に区分されていること。
ロ 指定介護予防通所サービスの機能訓練室等として使用される区分が、指定介護予防通所サービスの設備基準を満たし、かつ、指定通所リハビリテーション等を行うためのスペースとして使用される区分が、指定通所リハビリテーション等の設備基準を満たすこと。
なお、設備を共用する場合、運営基準第53条第2項において、指定介護予防通所サービス事業者は、事業所において感染症が発生し、又はまん延しないように必要な措置を講じるよう努めなければならないと定めているところであるが、衛生管理等に一層努めること。
(5) 指定介護予防通所サービス事業所の設備を利用し、夜間及び深夜に指定介護予防通所サービス以外のサービスを提供する場合 
指定介護予防通所サービスの提供以外の目的で、指定介護予防通所サービス事業所の設備を利用し、夜間及び深夜に指定介護予防通所サービス以外のサービス(以下「宿泊サービス」という。)を提供する場合には、当該サービスの内容を市に届け出る必要があり、当該サービスの届出内容については、指定通所介護の様式によるものとする。また、指定介護予防通所サービス事業者は宿泊サービスの届出内容に係る介護サービス情報を都道府県に報告し、都道府県は情報公表制度を活用し宿泊サービスの内容を公表することとする。
指定介護予防通所サービス事業者は届け出た宿泊サービスの内容に変更がある場合は、変更の事由が生じてから10日以内に市に届け出るよう努めることとする。また、宿泊サービスを休止又は廃止する場合は、その休止又は廃止の日の1月前までに市に届け出るよう努めることとする。
3 運営に関する基準 
(1) 利用料等の受領 
「1.」 運営基準第47条第1項、第2項及び第5項の規定は、指定介護予防訪問サービスに係る第20条第1項、第2項及び第4項の規定と同趣旨であるため、第3の一の3の(11)の「1.」、「2.」及び「4.」を参照されたい。
「2.」 同条第3項は、指定介護予防通所サービス事業者は、指定介護予防通所サービスの提供に関して、
イ 利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域に居住する利用者に対して行う送迎に要する費用
ロ 食事の提供に要する費用 
ハ おむつ代 
ニ 前各号に掲げるもののほか、介護予防通所サービスの提供において提供される便宜のうち、日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、その利用者に負担させることが適当と認められるもの 
については、同条第1項及び第2項の利用料のほかに利用者から支払を受けることができることとし、第1号事業支給費の支給の対象となっているサービスと明確に区分されないあいまいな名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。なお、ニの費用の具体的な範囲については、通所介護等における日常生活に要する費用の取扱いについて(平成12年老企第54号厚生省老人保健福祉局企画課長通知)によるものとする。
(2) 管理者の責務
運営基準第48条は、指定介護予防通所サービス護事業所の管理者の責務を、指定介護予防通所サービス事業所の従業者の管理及び指定介護予防通所サービスの利用の申込みに係る調整、業務の実施状況の把握その他の管理を一元的に行うとともに、当該指定介護予防通所サービス事業所の従業者に運営基準の第4章第4節及び第5節の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うこととしたものである。
(3) 運営規程 
運営基準第49条は、指定介護予防通所サービスの事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定介護予防通所サービスの提供を確保するため、同条第1号から第11号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定介護予防通所サービス事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
「1.」 営業日及び営業時間(第3号)
指定介護予防通所サービスの営業日及び営業時間を記載すること(以下、運営基準第75条第2号についても同趣旨。)。
「2.」 指定介護予防通所サービスの利用定員(第4号)
利用定員とは、当該指定介護予防通所サービス事業所において同時に指定介護予防通所サービスの提供を受けることができる利用者の数の上限をいうものである(以下、運営基準第75条第3号についても同趣旨。)。
「3.」 指定介護予防通所サービスの内容及び利用料その他の費用の額(第5号)
「指定介護予防通所サービスの内容」については、入浴、食事の有無等のサービスの内容を指すものである。
「4.」 サービス利用に当たっての留意事項(第7号)
利用者が指定介護予防通所サービスの提供を受ける際に、利用者側が留意すべき事項(機能訓練室を利用する際の注意事項等)を指すものである。
「5.」 非常災害対策(第9号)
(5)の非常災害に関する具体的計画を指すものである。
(4) 勤務体制の確保等 
運営基準第50条は、利用者に対する適切な指定介護予防通所サービスの提供を確保するため、職員の勤務体制等について規定したものであるが、このほか次の点に留意するものとする。
「1.」 指定介護予防通所サービス事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、介護予防通所サービス従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、専従の生活相談員、看護職員、介護職員及び機能訓練指導員の配置、管理者との兼務関係等を明確にすること。
「2.」 同条第2項は、原則として、当該指定介護予防通所サービス事業所の従業者たる介護予防通所サービス従業者によって指定介護予防通所サービスを提供するべきであるが、調理、洗濯等の利用者の処遇に直接影響を及ぼさない業務については、第三者への委託等を行うことを認めるものである。
「3.」 同条第3項の規定は、指定訪問入浴介護に係る居宅基準第53 条の2
第3項と基本的に同趣旨であるため、第3の二の3の(6)「3.」を参照されたいこと。
「4.」 同条第4項の規定は、指定訪問介護に係る居宅基準第30 条第4項の規定と基本的に同趣旨であるため、第3の一の3の(21)「4.」を参照されたいこと。
(5) 非常災害対策 
「1.」 運営基準第52条は、指定介護予防通所サービス事業者は、非常災害に際して必要な具体的計画の策定、関係機関への通報及び連携体制の整備、避難、救出訓練の実施等の対策の万全を期さなければならないこととしたものである。関係機関への通報及び連携体制の整備とは、火災等の災害時に、地域の消防機関へ速やかに通報する体制をとるよう従業員に周知徹底するとともに、日頃から消防団や地域住民との連携を図り、火災等の際に消火・避難等に協力してもらえるような体制作りを求めることとしたものである。
なお「非常災害に関する具体的計画」とは、消防法施行規則第3条に規定する消防計画(これに準ずる計画を含む。)及び風水害、地震等の災害に対処するための計画をいう。この場合、消防計画の策定及びこれに基づく消防業務の実施は、消防法第8条の規定により防火管理者を置くこととされている指定介護予防通所サービス事業所にあってはその者に行わせるものとする。また、防火管理者を置かなくてもよいこととされている指定介護予防通所サービス事業所においても、防火管理について責任者を定め、その者に消防計画に準ずる計画の樹立等の業務を行わせるものとする。
「2.」 同条第2項は、指定通所介護事業者が前項に規定する避難、救出その他の訓練の実施に当たって、できるだけ地域住民の参加が得られるよう努めることとしたものであり、そのためには、日頃から地域住民との密接な連携体制を確保するなど、訓練の実施に協力を得られる体制づくりに努めることが必要である。訓練の実施に当たっては、消防関係者の参加を促し、具体的な指示を仰ぐなど、より実効性のあるものとすること。
(6) 衛生管理等 
「1.」 運営基準第53条は、指定介護予防通所サービス事業所の必要最低限の衛生管理等について規定したものであるが、このほか、次の点に留意するものとする。
イ 指定介護予防通所サービス事業者は、食中毒及び感染症の発生を防止するための措置等について、必要に応じて保健所の助言、指導を求めるとともに、常に密接な連携を保つこと。
ロ 特にインフルエンザ対策、腸管出血性大腸菌感染症対策、レジオネラ症対策等については、その発声及び万円を防止するための措置について、厚生労働省等からの通知などが発出されているので、これに基づき、適切な措置を講じること。
ハ 空調設備等により施設内の適温の確保に努めること。
「2.」 同条第2項に規定する感染症が発生し、又はまん延しないように講ずるべき措置については、具体的には次のイからハまでの取扱いとすること。各事項について、同項に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
なお、当該義務付けの適用に当たっては、令和3年改正省令附則第4条において、3年間の経過措置を設けており、令和6年3月31 日までの間は、努力義務とされている。
イ 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会当該事業所における感染対策委員会であり、感染対策の知識を有する者を含む、幅広い職種により構成することが望ましく、特に、感染症対策の知識を有する者については外部の者も含め積極的に参画を得ることが望ましい。構成メンバーの責任及び役割分担を明確にするとともに、感染対策担当者を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、利用者の状況など事業所の状況に応じ、おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
感染対策委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。この際、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。
なお、感染対策委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
ロ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
当該事業所における「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。
平常時の対策としては、事業所内の衛生管理(環境の整備等)、ケアにかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における事業所関係課等の関係機関との連携、行政等への報告等が想定される。また、発生時における事業所内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。
なお、それぞれの項目の記載内容の例については、「介護現場における感染対策の手引き」を参照されたい。ハ 感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練通所介護従業者に対する「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的なケアの励行を行うものとする。
職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該事業所が定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録することが必要である。
なお、研修の実施は、厚生労働省「介護施設・事業所の職員向け感染症対策力向上のための研修教材」等を活用するなど、事業所内で行うものでも差し支えなく、当該事業所の実態に応じ行うこと。
また、平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年1回以上)に行うことが必要である。訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上でのケアの演習などを実施するものとする。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
(7)地域との連携等
「1.」 運営基準第54条第1項は、指定通所介護の事業が地域に開かれた事業として行われるよう、指定通所介護事業者は、地域の住民やボランティア団体等との連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととしたものである。
(8) 事故発生時の対応 
運営基準第55条は、利用者が安心して指定介護予防通所サービスの提供を受けられるよう、事故発生時の速やかな対応を規定したものである。指定介護予防通所サービス事業者は、利用者に対する指定介護予防通所サービスの提供により事故が発生した場合は、市、当該利用者の家族、当該利用者に係る地域包括支援センター等に対して連絡を行う等の必要な措置を講じるべきこととするとともに、当該事故の状況及び事故に際して採った処置について記録しなければならないこととしたものである。
また、利用者に対する指定介護予防通所サービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものである。
なお、運営基準56第条第2項の規定に基づき、事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録は、2年間保存しなければならない。
このほか、以下の点に留意するものとする。
「1.」 利用者に対する指定介護予防通所サービスの提供により事故が発生した場合の対応方法については、あらかじめ指定介護予防通所サービス事業者が定めておくことが望ましいこと。
「2.」 指定介護予防通所サービス事業者は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくか、又は賠償資力を有することが望ましいこと。
「3.」 指定介護予防通所サービス事業者は、事故が発生した際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。
なお、夜間及び深夜に指定介護予防通所サービス以外のサービスの提供により事故が発生した場合は、以上を踏まえた同様の対応を行うこととする。
(9) 虐待の防止
運営基準第57条の規定により指定介護予防通所サービスの事業について準用される運営基準35条の2の規定については、介護予防訪問サービスと同様であるので、第3の一の3の(27)を参照されたい。
(10) 記録の整備
運営基準56条第2項は、指定通所介護事業者が同項各号に規定する記録を整備し、2年間保存しなければならないこととしたものである。
なお、「その完結の日」とは、個々の利用者につき、契約終了(契約の解約・解除、他の施設への入所、利用者の死亡、利用者の自立等)により一連のサービス提供が終了した日を指すものとする。
(11) 準用 
運営基準第57条の規定により、運営基準第8条から第17条まで、第19条、第21条、第23条、第24条、第30条から第35条まで及び第37条の規定は、指定介護予防通所サービスの事業について準用されるものであるため、第3の一の3の(1)から(7)まで、(9)、(11)から(13)まで、(19)から(22)まで及び(24)を参照されたい。

4 共生型介護予防通所サービスに関する基準
共生型介護予防通所サービスは、指定障害福祉サービス等基準第78条第1項に規定する指定生活介護事業者、指定障害福祉サービス等基準第156条第1項に規定する指定自立訓練(機能訓練)事業者、指定障害福祉サービス等基準第166条第1項に規定する指定自立訓練(生活訓練)事業者、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号。以下「指定通所支援基準」という。)第5条第1項に規定する指定児童発達支援事業者又は指定通所支援基準第66条第1項に規定する指定放課後等デイサービス事業者が、要介護者に対して提供する指定通所介護をいうものであり、共生型通所介護事業所が満たすべき基準は、次のとおりであること。
(1) 従業者の員数及び管理者(運営基準第62条)
「1.」 従業者
指定生活介護事業所、指定自立訓練(機能訓練)事業所、指定自立訓練(生活訓練)事業所、指定児童発達支援事業所又は指定放課後等デイサービス事業所(以下この4において「指定生活介護事業所等」という。)の従業者の員数が、共生型介護予防通所サービスを受ける利用者(要支援者)の数を含めて当該指定生活介護事業所等の利用者の数とした場合に、当該指定生活介護事業所等として必要とされる数以上であること。
この場合において、指定生活介護事業所の従業者については、前年度の利用者の平均障害支援区分に基づき、必要数を配置することになっているが、その算出に当たっては、共生型介護予防通所サービスを受ける利用者(要支援者)は障害支援区分5とみなして計算すること。
「2.」 管理者
指定介護予防通所サービスの場合と同趣旨であるため、第3の六の1の(4)を参照されたい。なお、共生型介護予防通所サービス事業所の管理者と指定生活介護事業所等の管理者を兼務することは差し支えない。
(2) 設備に関する基準
指定生活介護事業所等として満たすべき設備基準を満たしていれば足りるものである。ただし、指定児童発達支援事業所又は指定放課後等デイサービス事業所の場合は、必要な設備等について要支援者が使用するものに適したものとするよう配慮すること。
なお、当該設備については、共生型サービスは要支援者、障害者及び障害児に同じ場所で同時に提供することを想定していることから、要支援者、障害者又は障害児がそれぞれ利用する設備を区切る壁、家具、カーテンやパーティション等の仕切りは、不要であること。
(3) 指定通所介護事業所その他の関係施設から、指定生活介護事業所等が要支援高齢者の支援を行う上で、必要な技術的支援を受けていること。(運営基準第62条第2号)
(4) 運営等に関する基準(運営基準第63条)
運営基準第72条の規定により、運営基準第第8条から第17条まで、第19条、第21条、第23条、第24条、第30条から第35条まで、第37条、第43条、第47条から第56条まで及び第58条から61条までの規定は、共生型介護予防通所サービスの事業について準用されるものであるため、第3の一の3の(1)から(7)まで、(9)、(11)から(13)、(19)から(23)まで及び(25)並びに第3の二の3の(1)から(8)までを参照されたい。
この場合において、準用される運営基準第49条第4号及び第51条の規定について、共生型介護予防通所サービスの利用定員は、共生型介護予防通所サービスの指定を受ける指定生活介護事業所等において同時にサービス提供を受けることができる利用者数の上限をいうものであること。つまり、第1号事業の対象となる利用者(要支援者)の数と障害給付の対象となる利用者(障害者)の数との合計数により、利用定員を定めること。例えば、利用定員が20人という場合、要支援者と障害者とを合わせて20人という意味であり、利用日によって、要支援者が10人、障害者が10人であっても、要介護者が5人、障害者が15人であっても、差し支えないこと。
(5) その他の共生型サービスについて
介護予防訪問サービスと同様であるので、第3の一の4の(5)を参照されたいこと。
(6) その他の留意事項
多様な利用者に対して、一体的にサービスを提供する取組は、多様な利用者が共に活動することで、リハビリや自立・自己実現に良い効果を生むといった面があることを踏まえ、共生型サービスは、要支援者、障害者及び障害児に同じ場所で同時に提供することを想定している。
このため、同じ場所において、サービスを時間によって要支援者、障害者及び障害児に分けて提供する場合(例えば、午前中に要支援者に対して通所介護、午後の放課後の時間に障害児に対して放課後等デイサービスを提供する場合)は、共生型サービスとしては認められないものである。
5 介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準
(1) 指定介護予防通所サービスの基本取扱方針 
運営基準第58条にいう指定介護予防通所サービスの基本取扱方針について、特に留意すべきところは、次のとおりである。
「1.」 介護予防通所サービスの提供に当たっては、介護予防とは、単に高齢者の運動機能や栄養改善といった特定の機能の改善だけを目指すものではなく、これらの心身機能の改善や環境調整等を通じて、一人ひとりの高齢者ができる限り要介護状態にならないで自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として行われるものであることに留意しつつ行うこと。
「2.」 介護予防の十分な効果を高める観点からは、利用者の主体的な取組が不可欠であることから、サービスの提供に当たっては、利用者の意欲が高まるようコミュニケーションの取り方をはじめ、様々な工夫をして、適切な働きかけを行うよう努めること。
「3.」 サービスの提供に当たって、利用者ができないことを単に補う形でのサービス提供は、かえって利用者の生活機能の低下を引き起こし、サービスへの依存を生み出している場合があるとの指摘を踏まえ、「利用者の自立の可能性を最大限引き出す支援を行う」ことを基本として、利用者のできる能力を阻害するような不適切なサービス提供をしないよう配慮すること。
「4.」 提供された介護予防サービスについては、介護予防通所サービス計画に定める目標達成の度合いや利用者及びその家族の満足度等について常に評価を行うなど、その改善を図らなければならないものであること。
(2) 指定介護予防通所サービスの具体的取扱方針 
「1.」 運営基準第59条第1号及び第2号は、管理者は、介護予防通所サービス計画を作成しなければならないこととしたものである。介護予防通所サービス計画の作成に当たっては、主治医又は主治の歯科医師からの情報伝達やサービス担当者会議を通じる等の適切な方法により、利用者の状況を把握・分析し、介護予防通所サービスの提供によって解決すべき問題状況を明らかにし(アセスメント)、これに基づき、支援の方向性や目標を明確にし、提供するサービスの具体的内容、所要時間、日程等を明らかにするものとする。なお、介護予防通所サービス計画の様式については、事業所ごとに定めるもので差し支えない。
「2.」 同条第3号は、介護予防通所サービス計画は、介護予防サービス・支援計画に沿って作成されなければならないこととしたものである。
なお、介護予防通所サービス計画の作成後に介護予防サービス・支援計画が作成された場合は、当該介護予防通所サービス計画が介護予防サービス・支援計画に沿ったものであるか確認し、必要に応じて変更するものとする。
「3.」 同条第4号から第7号は、サービス提供に当たっての利用者又はその家族に対する説明について定めたものである。即ち、介護予防通所サービス計画は、利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて作成されなければならないものであり、その内容について説明を行った上で利用者の同意を得ることを義務づけることにより、サービス内容等への利用者の意向の反映の機会を保障しようとするものである。管理者は、介護予防通所サービス計画の目標や内容等について、利用者又はその家族に、理解しやすい方法で説明を行うとともに、その実施状況や評価についても説明を行うものとする。
また、介護予防通所サービス計画を作成した際には、遅滞なく利用者に交付しなければならず、当該介護予防通所サービス計画は、運営基準第56条第1項の規定に基づき、2年間保存しなければならないこととしている。
「4.」 同条第8号は、指定介護予防通所サービスの提供に当たっては、介護技術の進歩に対応した適切なサービスが提供できるよう、常に新しい技術を習得する等、研鑽を行うべきものであることとしたものである。
「5.」 同条第9号から第11号は、事業者に対して指定介護予防通所サービスの提供状況等について地域包括支援センターに対する報告の義務づけを行うとともに、介護予防通所サービス計画に定める計画期間終了後の当該計画の実施状況の把握(モニタリング)を義務づけるものである。地域包括支援センターに対する実施状況等の報告については、サービスが介護予防サービス・支援計画に即して適切に提供されているかどうか、また、当該計画策定時から利用者の状態等が大きく異なることとなっていないか等を確認するために行うものであり、毎月行うこととしている。
また、併せて、事業者は介護予防通所サービス計画に定める計画期間が終了するまでに1回はモニタリングを行い、利用者の介護予防通所サービス計画に定める目標の達成状況の把握等を行うこととしており、当該モニタリングの結果により、解決すべき課題の変化が認められる場合等については、担当する地域包括支援センター等とも相談の上、必要に応じて当該介護予防通所サービス計画の変更を行うこととしたものである。
「6.」 介護予防サービス支援・計画に基づきサービスを提供している指定介護予防通所サービス事業者については、第3の一の4の(2)の「6.」を準用する。この場合において、「介護予防訪問サービス計画」とあるのは「介護予防通所サービス計画」と読み替える。
附則 
この規定は、平成29年4月1日から施行する。
附則 
この規定は、平成30年4月1日から施行する。
附則 
この規定は、令和3年4月1日から施行する。
附則
この規定は、令和4年8月16日から施行する。

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