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堺市
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第4章 インフラ資産の管理に関する基本的な考え方

更新日:2016年8月24日

1.インフラ資産にかかる基本的な考え方

(1)インフラ資産を取り巻く背景

 本市で管理するインフラ資産は、高度経済成長期や泉北ニュータウン開発時に短期間で集中的に整備されたものが多く、建設から相当年数が経過していることから、老朽化が急速に進行することが危惧されています。老朽化したインフラ資産を放置すると、利用者の安全性を確保することが困難となり、道路施設の倒壊等による通行止めや通行規制に伴う道路交通ネットワークの寸断、ライフラインの断絶など、社会的・経済的な損失を招く危機的な状況が想定されます。
 今後、このような事象を回避し、インフラ資産がその機能を適切に発揮するために、限りある財源および人的資源を有効に活用した効率的・効果的な維持管理が求められています。

(2)インフラ資産の維持管理・更新に対する考え方

 構造や施設の特性などが異なるインフラ資産について、横断的な観点に立ち、維持管理や更新に対する6つの基本的な考え方を以下に示します。

(1)予防保全の維持管理

 維持管理の手法においては、損傷が小さいうちに補修を行う『予防保全』の考え方を取り入れ、計画的に取り組むことで、将来にわたる維持管理等に係る更新費用(ライフサイクルコスト)の縮減を図ります。

(2)データベース化

 各インフラ資産の建設当初の状態、経年劣化や補修の状況、最新の点検結果などの情報を共有し、データベース化して、効率的・効果的な維持管理に努めます。

(3)技術力向上

 職員間の技術継承や水平展開を図りつつ、各種研修への積極的な参加やインフラ技術に関する資格取得を促すことで、一定の技術力を持った人材の確保・育成に取り組みます。

(4)環境面への配慮

 前述した予防保全を推進することで、維持管理に係る工事規模を縮小し、工事で発生する化石燃料の消費削減につなげ、温室効果ガス排出量を抑制します。また、「堺市公共施設低炭素化指針」や「第3章 4.(6)光熱費削減に関する業務」を参考に、道路や公園などの照明灯について、準用が可能な範囲でLED照明などの適用を検討していくなど、環境モデル都市として環境への負荷を最小限に抑える取組に努めます。

(5)先端技術等の導入

 無人飛行体などのロボット技術の活用や、非破壊検査等の新技術、補修・補強の新材料などを積極的に維持管理サイクルに取り入れ、安全性の向上やコスト縮減をめざします。

(6)資産活用

 施設のネーミングライツなどによる収入確保や、アドプト制度、PPP/PFI事業等、先進都市の事例などを参考に、民間の活力や、資金、ノウハウの導入の是非について検討します。

 以上、(1)から(6)までの6つの考え方を基本に各施設の特性等を踏まえ取り組むこととします。なお、本市で管理するインフラ資産は、整備時期、施設の特性、維持管理・更新等に係る取組状況が施設ごとに異なるなど、管理形態に大きな差異があることから、本章では、インフラ資産の施設ごとに、その取組内容を記載します。

■本市のインフラ資産(例)

2.道路・橋りょう

(1)基本方針

 道路施設の維持管理を計画的に進め、道路交通ネットワーク機能を良好な状態で維持するとともに、ライフサイクルコストの縮減ならびに維持管理費の平準化を図ります。
 維持管理に当たっては、道路舗装や橋りょう等、全ての道路施設について、防災や安全性等の観点からの重要度、施設の規模等の社会的影響と、施設の健全性を総合的に考慮しながら、優先順位を決めて計画的に取り組んでいきます。

(2)道路、橋りょうの維持・管理の実施方針

ア 実施方針について

 道路は、損傷・崩壊が生じると通行止めなど社会的に多大な影響を与える橋りょうやトンネルなどの施設から、側溝やガードレールなどの附属物まで、数多くの施設で構成されています。本市におけるこれらの施設は、高度経済成長期に集中的に整備されたものが多く、今後、老朽化による施設の損傷・倒壊や、それに伴う通行規制・通行止め、人命に関わる事故の発生などが懸念されています。そのため、安全で安心な道路交通ネットワークを維持し続けるために、適切な点検、修繕などの維持管理が非常に重要です。
 前述のとおり、道路は社会的に多大な影響を与える施設から附属物まで数多くの施設で構成されており、施設によって維持管理等の着目点が異なるため、全ての施設の維持管理を同レベルで実施することは人的資源や財源の不足も懸念されるなど非効率と考えられます。
 そのため、維持管理に当たっては、防災や安全性等の観点からの施設の重要度、施設の規模等により、図表4-2-1のとおり『予防保全を図る施設』と『事後保全とする施設』に区分して、更新に要する費用などを総合的に考慮し、優先順位を決めて計画的に進めます。
 予防保全を講じることで、工事規模等を縮小し、工事で発生する化石燃料の消費削減にも繋げるとともに、道路照明灯をLED照明に随時交換するなど、環境にも配慮した取組を進めます。
 また、道路空地や都市計画道路予定地等の活用、ネーミングライツの導入など、民間参入の可能性の検討を進め、維持管理費の財源確保に努めるとともに、アドプト制度の奨励や企業、住民とタイアップした清掃活動の活性化等、市民や企業との協働にも取り組みます。

図表4-2-1 維持管理の区分

図表4-2-1 維持管理の区分

 道路施設の維持管理においては、図表4-2-2のサイクルを順守し、計画的な点検や、健全度の把握、適切な修繕・更新などを実施して、安全で安心な道路交通ネットワークを確保します。
 また、点検や診断結果については、堺市橋梁維持管理支援システム等への更新や登録を行い、更なるデータベース化を進めるとともに、優先的に長寿命化する箇所や修繕箇所の判定等に活用します。

図表4-2-2 維持管理のサイクル

図表4-2-2 維持管理のサイクル

イ 予防保全の考え方

 道路施設のうち、主要路線や橋りょうについては、本市の道路施設の個別計画である「道路維持管理計画」や「橋梁長寿命化修繕計画」を策定済みであり、引き続き、同計画に基づき計画的に維持管理を行うことによって、道路交通ネットワーク機能の長寿命化に取り組み、更新費用の縮減と平準化を図ります。
 また、横断歩道橋や地下道など、その他の道路施設、とりわけ、高度経済成長期や泉北ニュータウン開発時に集中的に整備された区域の道路舗装については、順次、老朽化等の点検・調査を実施し、本計画に基づき定める個別計画で、更新費用の平準化と総費用の抑制に努めます。
 取組に当たっては、個別に維持管理計画を策定するなど、各道路施設の特性に応じて管理手法の見直しを図り、現状の道路施設の中でも、必要でないものは廃止・撤去を検討します。

図表4-2-3 橋りょうを例としたライフサイクルコスト縮減の考え方

図表4-2-3 橋りょうを例としたライフサイクルコスト縮減の考え方

(ア)道路(主要路線の舗装)

(更新時期の考え方)
(1)平成22年度、平成23年度に実施した路面性状調査の結果に基づき路面の状態を数値化
(2)路面の状態を示す指数であるMCI(路面のひびわれ、わだち掘れ、平坦性から算出)の値を3.0以上かつ平均値5.0以上に保つ

 上記(2)の値を下回った路線について、既存の舗装表面を削り再度舗装を行う『切削オーバーレイ』工法により、計画的に舗装補修を行います。

(イ)橋りょう

(更新時期の考え方)
(1)平成19年度から平成23年度までに実施した定期点検の結果に基づき損傷状態を数値化
(2)腐食やひびわれ等の傷み具合から経年劣化を予測し基準値を算出

 上記(2)の基準値を下回った橋りょうについて、計画的に補修を実施します。

ウ 点検・診断について

(ア)日常点検

 路面の段差や排水装置の土砂詰まりを原因とした水たまりは、交通事故の原因になります。また、橋りょうの路面上に溜まった水は、桁下まで漏れ出し、橋りょうの損傷の進行を早める危険性があります。
 このため、道路利用者の安全確保と、道路施設の損傷の早期発見を目的として、定期的にパトロールを行います。パトロールでは、路面上のひび割れや段差、橋りょうの路面端部に設置される伸縮装置のゆがみや段差、ガードレール、側溝等の附属物や小構造物の損傷などを確認し、それらの損傷度合いに応じて、応急措置や対策工事を実施します。

(イ)定期点検

 橋りょう、トンネル、地下道など、防災や安全性等の観点から重要な施設については、5年に1度、専門業者により定期的に点検します。また、その方法は、近接目視及び打音検査によることを原則とし、必要に応じて非破壊検査を行います。
 今後、足場を用いて目視点検を実施するなど非効率な個所への無人飛行体の活用や、コンクリートの状態を定量的に検出できるレーザー法の活用など、先端技術の導入についても検討を進めます。

■道路施設の点検

(ウ)診断

 定期点検では、道路施設の健全性について、構造物の機能に支障が生じていない状態であるかを診断します。診断については、健全性を以下に示す4段階に区分し、その結果を今後の計画的な維持管理や修繕に反映させます。

 1:健全
 構造物の機能に支障が生じていない状態。
 2:予防保全段階
 構造物の機能に支障が生じていないが、予防保全の観点から措置を講ずることが望ましい状態。
 3:早期措置段階
 構造物の機能に支障が生じる可能性があり、早期に措置を講ずべき状態。
 4:緊急措置段階
 構造物の機能に支障が生じている、または生じる可能性が著しく高く、緊急に措置を講ずべき状態。

エ 修繕・更新について

 施設の修繕・更新は、点検や診断の結果に基づき、これまでにも述べてきたように、防災や安全性等の観点からの施設の重要度、修繕・更新に要する費用などを考慮し、優先順位を決定して、計画的に実施します。

 なお、道路施設のうち、橋りょうの修繕・更新については、橋りょうごとに個別計画を策定し、本市独自のシステムである「堺市橋梁維持管理支援システム」などを用いて、点検・計画・工事のメンテナンスサイクルを確立します。また、個別計画については随時見直し、更新を行って精度の向上を図ります。

図表4-2-4 「堺市橋梁維持管理支援システム」の概要

図表4-2-4 「堺市橋梁維持管理支援システム」の概要

オ 長寿命化の方針

 道路施設のうち、橋りょう、トンネル、地下道などは施設の規模が大きく、壊れたら作り直すという事後保全型の維持管理では、工事において長期間におよぶ通行止めが生じるほか、莫大な建設費用が必要となり、社会的、経済的損失が大きくなります。そのため、定期的に施設の点検、診断を行い、損傷が大きくなる前に修繕を行うことで、施設の長寿命化を図ります。
 前述の「(2)ア 実施方針について」において、図表4-2-1で示した『予防保全を図る施設』に区分された施設のうち、図表4-2-5に示す事項を考慮して長寿命化を実施する施設を決定します。

図表4-2-5 長寿命化を考慮する施設

図表4-2-5 長寿命化を考慮する施設

カ 耐震化の方針

 市民の生命と財産を守るため、南海トラフ巨大地震等の大規模災害時に円滑な復旧活動に必要な『命の道』となる道路施設の耐震化は大変重要です。このため、緊急交通路・津波避難路等に架かる又は跨ぐ橋りょうや横断歩道橋の耐震化を進め、災害に強い道路交通ネットワークを確保します。

■橋りょう耐震化

(3)道路、橋りょうの安全確保の実施方針

 橋りょう等道路施設については、震災や老朽化などにより道路利用者および沿道住民の生命・財産に被害が及ぶ危険性を未然に防ぐ必要があります。そのため、「(2)ウ 点検・診断について」で述べたように、日常的な点検パトロールに加え、専門業者による点検を定期的に行い、適切な措置を施すことによって、安全性を確保します。なお、老朽化が著しく安全性が確保できない場合には、通行規制や通行止めなどの措置を講ずることとします。

(4)道路、橋りょうの統合・廃止の推進方針

 本市で管理する道路施設の多くは、建設から相当年数が経過しており、これら全てを維持していくためには多大な費用が必要です。また、少子高齢化の進展や人口構成の変化等により、市民ニーズ等が変化してきています。例えば、小中学校の統廃合などにより、通学路となっている横断歩道橋の利用頻度が少なくなるなど、道路施設に求められる役割や必要性が変化してきています。
 このような現状を踏まえ、道路施設としての必要性が低下したものや、事業未着手の都市計画道路等については、安心安全な道路交通ネットワークを確保しつつ、統合・廃止による影響等を総合的に勘案し、その必要性を検討していきます。

(5)道路、橋りょうの総合的かつ計画的な管理を実現するための体制の構築方針

 安全で安心な道路交通ネットワークを確保しつつ、維持管理等に係る更新費用の縮減並びに平準化を図るためには、既存の「橋梁長寿命化修繕計画」などに基づき、道路施設の老朽化対策を計画的に進める必要があります。
 また、道路施設の補修や点検については、最新基準への適応など、維持管理においても高い専門性が求められるインフラ資産の一つです。そのため、各専門機関が開催する研修への参加や有用な資格取得を促進し、専門技術者を育成して、施設管理者の技術力の底上げを図ります。

3.公園

(1)基本方針

 都市公園における公園施設の維持管理については、子どもをはじめ公園利用者の安全確保が最優先であり、より厳密に施設の機能保全を図っていくことが求められています。
 しかし、公園施設は他の公共施設と異なり、その規模・構造・形状において多種多様であり、画一的な取り扱いが困難です。そのため、極力、対象施設を絞り、効率的な健全度調査・判定を行い、公園利用者への影響が最小限になるように考慮した施設更新等を進め、ライフサイクルコストの縮減を図ります。
 また、公園施設の規模や立地条件、周辺環境、地域の特性などを考慮し、公園の価値をより高めるための、新たな利活用方法についても検討を進めます。
 今後、公園施設の調査や長寿命化に関する統一した基準として国土交通省が策定した「公園施設長寿命化計画策定指針(案)」に基づき、本市の公園施設の個別計画として「(仮称)堺市公園施設長寿命化計画」の策定に向けて取り組みます。

(2)点検・診断等の実施方針

 公園施設の状況を把握するため、点検・診断等を実施し、その結果をデータベース化して、優先的に修繕すべき箇所の判定等に活用します。
 点検・診断等の頻度と体制は以下のとおり行い、公園施設の劣化や損傷の早期発見に努めます。

ア 日常点検

 公園施設の供用開始からの経過期間や、施設の規模、市民の利用状況等を考慮しながら、日常点検を適宜、実施します。点検により部材の劣化や損傷が確認された場合は、その場で、補修や一時使用禁止などの対応処置を行います。

イ 定期点検(簡易)

 職員による定期点検を、年4回の頻度で計画的に実施します。目視や触診等により、公園施設の劣化・損傷等を把握・評価し、補修等の対策方法を判定します。

ウ 定期点検(専門)

 遊具や植栽等の公園施設のうち、維持管理において高い専門性が必要な施設については、業務委託により外部点検を実施し、補修の必要性や劣化・損傷状態をより詳細に調査します。

■定期点検

(3)維持管理・修繕・更新等の実施方針

 「(仮称)堺市公園施設長寿命化計画」を策定していく中で、主要な公園施設について、図表4-3-1の考え方に基づき、予防保全と事後保全を実施した場合のそれぞれのライフサイクルコストを算出します。また、予防保全による効果が見込まれる公園施設に対しては、更新費用の縮減に努めます。

図表4-3-1 予防保全と事後保全の考え方

予防保全

公園施設の維持保全(清掃・保守・修繕)や点検を行い、劣化や損傷の進行を未然に防止するとともに、計画的な補修や更新を行い、延命化を図るもの。

事後保全

公園施設の維持保全(清掃・保守・修繕)や点検を行い、機能が果たせなくなった段階で補修や更新を行うもの。

 公園施設の更新時には、利用に関する地域ニーズなどへの対応も併せて検討します。遊具の更新を行う際には、耐用年数が長い材料や構造への変更を行うとともに、遊具を安全に利用できるスペースを確保するために、必要に応じて遊具の設置数を見直します。
 また、公園内の照明灯をLED照明に随時交換するなど、環境にも配慮した取り組みを進めるとともに、国や他都市の状況も見ながら、新たな材料や新技術の導入等の可能性についても検討します。

(4)安全確保の実施方針

 定期点検などを実施することにより、施設の安全確保を図ります。特に、遊具の構造や施工等に起因する危険性を判定し、順次、補修や更新等に努めます。また、公園施設の異常が発見された場合には、補修等が完了するまでの間の使用を禁止して、事故等の防止を図ります。

(5)耐震化の実施方針

 公園施設のうち、緑道の公園橋は、園路の一部であり、かつ、駅・学校・医療機関・商業施設・住宅を結ぶ動線を担う機能を有する施設です。この機能が、地震等の大規模災害時にも確保されるように、耐震化を図ります。なお、公園橋の架け替えには多額の費用を必要とすることから、耐震化の実施に当たっては、予防保全による長寿命化も併せて図りつつ進めます。

(6)長寿命化の実施方針

 公園施設の長寿命化については、施設の規模や立地条件、周辺環境、地域の特性やニーズなどを踏まえ、優先的に長寿命化を図る施設を選定するなど、段階的に進めていきます。長寿命化を実施することとした公園施設は、予防保全により、点検・補修等を計画的に進めることで、劣化や損傷の進行を未然に防止し、施設の安全確保はもとより、ライフサイクルコストの縮減を図ります。
 なお、長寿命化を実施しない公園施設については、事後保全により、日常点検や定期点検で確認された劣化や損傷の進行に応じて補修や更新等を行うことで、公園機能の保全と安全確保を図ります。

(7)統合・廃止の推進方針

 都市公園の約71%は、面積が1,000平方メートル未満の小さな公園です。そのうち、供用開始してから20年以上経過する公園は約67%にのぼっており、今後10年間でその割合は約75%に拡大する見通しで、遊具を含めて公園施設の老朽化が進むと予想されます。また、将来的な人口減少・少子高齢化に伴い、公園施設の利用者の減少や、利用形態の変化への対応が求められています。
 そのため、地域の状況やニーズに応じて、公園施設の機能の再編を検討していきます。
 また、事業未着手の都市計画公園については、その必要性や実現性の視点等を総合的に勘案し、将来にわたる維持管理費の抑制にもつながるよう取り組みます。

(8)総合的かつ計画的な管理を実現するための体制の構築方針

 公園施設の安全性や機能が失われないように、持続可能な維持管理をしていくため、人材育成及び確保、職員の技術力の向上と蓄積された技術の継承ができる仕組みの構築を進めます。

4.河川

(1)基本方針

 河川管理施設については、災害発生の防止、河川の適正な利用、流水の正常な機能の維持及び河川環境の整備と保全の観点から、河川の有する治水、利水、環境等の機能が十分に発揮できるように、適切に維持管理を行います。

 河川管理施設のうち、特に、洪水の発生防止を図るうえにおいて重要な役割を担う排水機場については、当該施設の設置目的、機器等の特性、設置条件、稼働形態等を考慮して、機能の最適化に努めます。予防保全と事後保全を効果的に使い分けるなど、計画的に維持管理を行うことで、各設備を良好な状態に維持し、排水機場の正常な機能を確保します。

(2)点検・診断等の実施方針

 河川管理施設の点検は、国土交通省が河川の適切な維持管理を行うに当たっての基本的な内容を示した「中小河川の堤防等河川管理施設及び河道の点検要領」などに基づき、施設の目的、特性、形態、条件等に応じて適切に実施します。点検により、損傷、腐食、劣化などを把握した場合には、必要な措置を講じます。
 河川管理施設のうち、排水機場の点検については、年次点検及び月次点検からなる定期点検と運転時点検、臨時点検とに区分し、設備区分、機器等の特性、設置条件、稼働形態等に応じて適切な内容で実施します。また、対象設備ごとに作成した点検チェックシートに基づき、確実に点検事項を確認し、その結果を記録・整理します。なお、点検は目視、指触、聴覚、計測、作動テスト等の作業により設備の状態を把握し、その結果について技術的な判断を行います。
 また、河川管理施設の点検で得られた結果については、河川カルテを作成するなど、施設ごとの特性及び状態を把握したうえでデータベース化し、優先的に修繕・更新する箇所の判定等に活用します。

(3)維持管理・整備・修繕・更新等の実施方針

 河川管理施設の情報を整理・蓄積し、計画的かつ効率的な維持管理を実施します。
 河川管理施設のうち、土木構造物については、施設の定期点検や必要に応じた緊急点検を実施し、構造物の損傷、劣化状況の把握に努め、緊急性の高い箇所から計画的に補修等を行います。また、排水機場については、本市の河川管理施設(排水機場)の個別計画として策定済みの「内川排水機場長寿命化計画」に基づき、図表4-4-2に示すとおり、維持管理の手法を対象機器ごとに予防保全または事後保全に区分し、計画的に維持管理、更新等を行います。さらに、河川管理施設を補修、更新する際には、新技術・新材料を積極的に取り入れ、コスト縮減にも努めます。
 また、河川敷の照明灯をLED化する等、環境面に配慮した維持管理に努めるとともに、河川敷におけるアドプト制度の活用や企業・住民とタイアップした清掃活動の活性化等、市民や企業との協働にも取り組みます。

図表4-4-2 排水機場における維持管理の区分

管理類型

対象機器

予防保全

故障した場合に、設備としての排水機能を確保できなくなるもの

事後保全

上記以外の機器及び部品

■点検・整備の状況

■補修工事の例

(4)安全確保の実施方針

 点検・診断等を適切な頻度で実施することにより不具合を早期に発見し、異常が認められた施設については、速やかに修繕・更新を行うことによって、安全の確保を図ります。

(5)耐震化の実施方針

 河川管理施設がその機能を発揮し続けるためには、経年劣化や疲労に加え、地震動等の災害外力にも耐える必要があります。河川管理施設においては、点検および平常時の河川巡視により状態把握に努めるとともに、国土交通省が示した「河川構造物の耐震性能照査指針」などに基づき、必要に応じて耐震性能の照査を実施し、その結果を踏まえ、耐震化の検討を行います。

(6)長寿命化の実施方針

 排水機場については、「内川排水機場長寿命化計画」に基づき、適切な時期に設備の整備・更新を実施することで、ライフサイクルコストの縮減を図ります。その他の河川管理施設については、本市の河川管理施設の個別計画として、維持管理計画等を策定の上、長寿命化を図ります。

(7)総合的かつ計画的な管理を実現するための体制の構築方針

 河川管理施設の安全性や機能が失われないように、持続可能な維持管理をしていくため、情報の蓄積・共有化、先端技術等の導入及び外部委託等による効率化を図ります。また、河川管理施設の補修や点検については、高い専門知識と豊富な現場経験に基づく技術的知見を必要とするため、各専門機関が開催する研修・会議への参加、有用な資格の取得、業務を通じての技術伝承、職場研修の実施に積極的に取り組む等、技術力の向上と蓄積された技術の継承に努めます。

5.農業関連施設

 農業関連施設の維持管理については、農業関係者と協力して点検を実施し、不具合が検知された段階で、適切な補修等を行います。ただし、農道にかかる橋長15m以上の橋梁(3橋)と水路橋(2橋)については、定期的に点検・診断を実施し、予防保全による計画的な維持管理を行います。
 ため池(28か所)については、定期的な巡視を実施し、予防保全による計画的な維持管理を行います。また、農林水産省が策定予定である「機能診断手引書」の内容を精査・検討し、必要に応じて適宜、維持管理の手法を見直します。

6.水道施設

(1)基本方針

 本市の水道施設は、昭和40年~49年の人口急増期に建設及び布設されているものが多く、逐次、法定耐用年数を経過することから、更新対象施設が増加していくため、経年化対策が必要です。そのため、水道施設については、適切な維持管理により長寿命化を図り、更新が必要な水道施設は、事業費の抑制と平準化を図って、計画的な更新を実施します。

(2)点検・診断等の実施方針

 水道管については、ほとんどが道路に埋設されており目視による点検ができません。そのため、目視により点検可能な水道管(水管橋)を除き、埋設された水道管については、予防保全の考え方を取り入れ、経年劣化等による漏水を早期発見することを目的として、漏水調査を計画的に行います。
 配水場等の施設については、定期的に点検・調査等を行い、必要に応じてコンクリートの中性化等の診断を行います。
 また、漏水調査等の新技術について検討を行い、より効果的に水道施設の維持管理を行います。

図表4-6-1 漏水調査

図表4-6-1 漏水調査

■水管橋の点検・調査

水管橋の点検・調査
水管橋の点検・調査

(3)維持管理・修繕・更新等の実施方針

 水道管については、法定耐用年数(40年)を経過後、すぐに更新するのではなく、延命化を図りつつ計画的に更新します。配水支管については、アセットマネジメント手法により事業量を把握し、年平均で配水支管全体延長の約1%を継続的に更新するため、水道管の管種、口径、布設年数、漏水事故等について点数評価し、更新優先順位を決定します。幹線管については、腐食進行度評価で腐食が相当進行している、漏水事故時に軌道敷水没など二次災害の危険性が高い、二重化されていない等、事故時の対応が困難なものについて選定し、年平均で幹線管全体延長の約2%を更新(新設を含む)します。なお、漏水した場合は事後保全として修繕を行います。
 配水場等の施設については、点検・調査等から必要に応じて補修を行い、法定耐用年数(鉄筋コンクリート造60年)を経過後、更新の必要性を判断し、計画的に更新します。

■水道管の更新、配水池内の点検・調査

(4)安全確保の実施方針

 水道施設については、地震や劣化により漏水事故が発生すると、断水や道路冠水、陥没など社会的影響が大きく、特に幹線管においては、影響が広範囲となり、復旧にも長い時間を要するなど甚大な被害をもたらします。そのため、過去に行った管体土壌調査結果を基に、幹線管の腐食及び埋設状況を詳細に把握し、劣化の進んでいる幹線管を計画的に更新することで事故防止を図ります。

(5)耐震化の実施方針

 更新する水道管については、すべて耐震管で行います。なお、避難所・病院等への給水ルートのうち、幹線管に比べて耐震性能が特に低い配水支管については、優先的に耐震化を行います。
 配水池の耐震化については、耐震診断結果を基に、配水池の耐震補強及び更新を行うことにより、震災時の被害を軽減し、施設復旧の迅速化をめざします。なお、配水場等の施設にあるポンプ棟などの建物については、すべて耐震化済みです。

■図表4-6-2 耐震管のイメージ

図表4-6-2 耐震管のイメージ

図表4-6-3 水道施設の耐震化イメージ

図表4-6-3 水道施設の耐震化イメージ

(6)長寿命化の実施方針

 水道管については、ポリエチレンスリーブの被覆や、外面耐食塗装が施されている水道管で更新を行うことを基本とすることで、100年間以上の耐久性が期待できます。配水場等の施設については、点検・調査等の結果から補修等を行うことで長寿命化を図ります。

(7)統合・廃止の推進方針

 水道施設の更新時には、人口減少社会及び節水機器の普及や節水意識の浸透による水需要の減少を踏まえ、水道施設のダウンサイジングや配水場等の施設の統廃合や処分等の資産活用について検討し、適正な規模の施設整備を進めます。

(8)総合的かつ計画的な管理を実現するための体制の構築方針

 水道事業を持続的、安定的に運営していくためには、技術力の強化と技術継承が必要です。そのため、「水道業務発表会」や「情報共有システム」による経験・知識の共有化を行います。
 技術継承は水道管や配水池だけでなく、機械・電気・計装設備や水質関連等、水道施設全般にわたる技術に関する知識とその蓄積が必要です。限られた人的資源をより有効に活用するため、積極的に技術研修の機会をつくり技術力の強化と技術継承を図ります。
 なお、水道施設の情報についても適切に管理する必要があるため、水道管については「堺市上水道地理情報システム(GIS)」により、管種・口径・布設年度や、過去の漏水履歴等をデータベース化して管理しています。配水場等の施設情報についても、「設備台帳システム」等により、データ管理しています。これらシステムを更新する際には、機能の充実を図ります。

7.下水道施設

(1)基本方針

 下水道管、下水処理場等の下水道ストックは、老朽化が進むと、市民に対してサービスを持続的に提供することが困難になる恐れがあります。持続的かつ安定的な下水道サービスの提供のため、体系的かつ持続的な維持管理及び施設の改築更新等を実施します。

(2)点検・診断等の実施方針

 耐用年数を越えた下水道管を中心にTVカメラ調査等の各種調査・点検を行い、診断等を実施します。また、簡易かつ広範囲に調査を行いながら劣化箇所を絞り込んでいく調査技術(スクリーニング調査)等の新たな調査手法も導入を図ります。
 下水処理場及びポンプ場については、「保守点検マニュアル」に基づき、状態監視保全施設を中心に、定期的な点検調査を実施します。

■管内調査状況

(3)維持管理・修繕・更新等の実施方針

 下水道管において、布設後40年を経過した下水道管の調査を平成26年度に開始し、10年間で調査を完了します。調査の結果を蓄積し、分析の後、本市下水道管の劣化状況の傾向を把握します。その上で、「堺市版下水道アセットマネジメント(管きょ)」を策定し、耐用年数で一律に更新せず、必要な下水道管についてのみ、部分的な修繕で可能なものについては修繕を行い、布設替えや新たな技術である更生工法等による改築を実施します。
 下水処理場及びポンプ場については、熟練技術者の持つノウハウを形式知化したマニュアルによる修繕や部分取り替えを行って延命化(目標耐用年数を標準耐用年数の1.5倍以上とする)を図る「堺市版下水道アセットマネジメント(設備)」を実践します。
 また、事業実施に当たっては、事業量を平準化したうえで計画的に行うこととし、改築機器については、省エネルギー化やCO2削減、コスト縮減に資するように、最新技術動向を踏まえ選定します。

(4)安全確保の実施方針

 下水道管においては、震災や老朽化により陥没等が発生すると、市民生活に多大な影響が考えられます。そのため、布設年度が古い下水道管については、詳細調査を行い、必要に応じて修繕や改修等を行います。
 下水処理場及びポンプ場については、老朽化により機能停止が発生すると、市民生活に多大な影響が考えられます。そのため、日常的に点検を行い、異常等を発見し、機能停止が発生しないよう修繕、改修等を行います。

(5)耐震化の実施方針

 下水道管については、避難所と処理場を結ぶ下水道管並びに軌道下及び緊急輸送路下に埋設されている下水道管を優先的に耐震化します。
 下水処理場及びポンプ場については、公衆衛生保全のため、処理機能確保に向けた施設、人命に関わる災害発生となる施設の耐震化を重点的に実施します。

■耐震化工事

(6)長寿命化の実施方針

 詳細調査を行った下水道管については、ライフサイクルコストや社会的影響等を勘案し、部分修繕による長寿命化を実施します。
 詳細点検を行った下水処理場・ポンプ場については、部品交換やオーバーホール等による長寿命化を実施します。

(7)統合・廃止の推進方針

 本市の下水処理場及びポンプ場は、供用開始から相当年数を経過しているものが多く、今後、計画的に改築していく必要があります。事業実施に当たっては、人口減少等により下水道への流入水量の減少が見込まれることを踏まえ、安定的かつ効率的な送水機能・水処理機能の確保や、維持管理費の抑制の観点から、下水道施設の集約・再編を進めていきます。また、検討の結果、廃止することとなった下水処理場やポンプ場の跡地利用については、経営改善に資するような活用を検討します。

(8)総合的かつ計画的な管理を実現するための体制の構築方針

 下水道管については、下水道台帳に加えて、各種調査、点検、修繕等の情報をデータベース化して効率化を図り、今後の計画的な管理に活用します。下水処理場及びポンプ場については、仕様、設置年度、点検履歴、修繕履歴等の施設状況をデータベース化します。また、熟練技術者が蓄積した維持管理ノウハウを形式知化し、既に策定した「保守点検マニュアル」も活用して点検調査を実施し、計画的に修繕や改築時期を判断します。
 マニュアルの運用に当たっては、PDCAサイクルを導入し、マニュアルの継続的改善を行うことにより、事業の高度化を図ります。
 また、下水道事業の運営に必要となる経営感覚・コスト意識を備え、サービス向上や安全・安心のために技術力が発揮できる企業職員を育成します。加えて、下水道部が持つストックや下水道資源、職員の技術やノウハウと、多様な主体との連携により、下水道事業を進化させる取り組みを実施し、職員の技術力向上を図ります。

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