このページの先頭ですサイトメニューここから
このページの本文へ移動
堺市
  • 音声読み上げ・文字拡大・ふりがな
  • サイトマップ
  • くらしの情報
  • 子育て・教育
  • 健康・福祉
  • 観光・歴史・文化
  • 産業・ビジネス
  • 市政情報


本文ここから

第3章 ハコモノ資産の管理に関する基本的な考え方

更新日:2016年8月24日

1.基本方針

 これまで述べてきましたように、公共施設等の管理には、コスト縮減をはじめとして、環境保全、安全性や適正な品質の確保、また、人口減少や人口構成の変化等による公共施設等の利用需要の変化、バリアフリーやユニバーサルデザインへの対応など、様々な課題に取り組む必要があります。こうしたことを踏まえ、本市では「堺市市有施設等整備活用基本方針」を策定し、これに基づきファシリティマネジメントの手法により、ハコモノ資産(建物系公共施設)の適正な管理活用に取り組んでいます。
 本計画においても、「堺市市有施設等整備活用基本方針」で示した3つの基本方針を、ハコモノ資産の管理に関する基本方針として位置付け、これを着実に推進していくこととします。
 この章では、ハコモノ資産について、更新費用の試算と長寿命化による効果、施設総量の状況分析を考察し、管理に関する目標や、総合的かつ計画的な管理を実現するための指針、さらには、施設の点検・診断方法や維持管理・修繕・更新、安全確保、耐震化、長寿命化、光熱費削減等の施設の保全に関する業務の実施方針について、基本的な考え方を示します。

図表3-1-1 「堺市市有施設等整備活用基本方針」で示した3つの基本方針

図表3-1-1 「堺市市有施設等整備活用基本方針」で示した3つの基本方針

「堺市市有施設等整備活用基本方針」から要約、一部更新

図表3-1-2 ライフサイクルコストの削減

 予防保全による施設の長寿命化

 ハコモノ資産の更新費用を削減・平準化するためには、施設の長寿命化の取組が必要です。施設は、計画的に予防保全(改修)を行うことで長寿命化が図れます。今後は、不具合が出てから修繕するといった対処療法的な『事後保全』から、メリハリ(選択と集中)をもって計画的に修繕や大規模改修を実施し機能確保する『予防保全』に切り替えることで、長寿命化を図っていきます。

 保全マネジメントシステム(BIMMS)を活用した中長期計画

 施設の予防保全に当たっては、個々の施設の修繕・更新時期を見据えることが重要であり、さらには、市が保有する施設全体の配置の最適化を図るための中長期的な視点をもった保全計画も重要です。そのため、公有財産管理システムなどの情報に加えて、「保全マネジメントシステム(BIMMS)」を活用し、ファシリティマネジメントに必要な施設個々の情報を一元的に管理することで、計画的な保全に取り組み、市全体として財政負担の平準化を図ります。

 維持管理費、光熱水費の削減

 施設本来の機能を良好に保つため、日常的に継続した適切な保全業務が必要です。維持管理費・光熱水費が施設ごとに適正であるかを把握し、異常や極端な変化がみられる施設については、調査・分析して必要に応じて改善に取り組みます。
 また、ESCOの導入をはじめ民間のノウハウを活用するなど、費用対効果の高い対策の推進を検討します。

 PFI事業など公民連携(PPP)による民間資金、ノウハウの活用

 施設の更新時には、市民ニーズや公と民の役割分担などの観点からPFI事業をはじめとするPPPの導入を検討し、公民のパートナーシップを進めます。

図表3-1-3 施設総量の最適化

 行政需要の変化を想定した施設規模

 少子高齢化の進展による人口構成の変化に伴う市民ニーズの多様化や、公共施設の更新にかかる財政負担などに対応していく必要があります。施設のあり方を慎重に検討し、将来の人口動態や人口構成を踏まえて公共施設の総量を縮減しつつも、効率的な利活用や長寿命化に取り組み、将来の市民ニーズに対応した最適な施設規模をめざしていきます。

 統廃合、再配置、他用途への転換及び複合機能化の推進

 将来の市民ニーズに対応した最適な施設規模をめざすため、公共施設の望ましいあり方を検討・選択し、施設ありきではなく機能性を重視して、統廃合、再配置、他用途への転換、複合機能化など、効率的な利活用を計画的に推進します。

 広域連携や公民連携によるフルセット主義からの脱却

 あらゆる用途の施設を全て自前で整備するフルセット主義を前提とするのではなく、近隣市と公有財産(施設等)を相互利用するなどの基礎自治体間の広域的な連携や、民間との連携による民間施設を活用した公共サービスの提供なども検討し、幅広い視点から市民ニーズに対応していきます。

 不要財産の売却

 廃止された公共施設を含め公有財産は、その利活用が本市の総合計画(堺市マスタープラン)など、まちづくりの基本計画や他の主要な計画の推進にも欠かせないことから、これらの各計画と綿密な連携や整合を図った幅広い利活用の可能性について検討していくことが求められています。そのため、庁内利活用を最優先に、貸付やその他の方法も十分に検討したうえで、将来にわたって庁内利用等の予定がなく売却することがその財産の最も有効な利活用方法であると判断された不要な財産については、売却処分を行い、財源の確保と保有量縮減による管理経費の削減を図ります。

 一時利用可能な財産を積極的に貸付け

 最終的な利用計画はあるものの実施まで暫く時間を要する財産(概ね3年~5年)や、現在のところ明確な方向性はないものの将来的に価値向上が期待できる財産、地下埋設物・地役権等の権利設定により売却できない財産については、駐車場等の平面利用に限定した一時貸付けなどの利活用を図り、売却と同様、財源の確保と管理経費を削減します。

図表3-1-4 バリュー・アップ(価値の向上)

 防災対策への対応

 本市では、大規模地震災害による被害を抑止・軽減するため、平成19年5月に「堺市耐震改修促進計画」を策定し、住宅・建築物の耐震化の促進に努めています。特に公共施設については早期に耐震対策を促進するため、老朽化した施設について建替え又は大規模改修の実施を検討・判断し、耐震性能の確保を図るとともに、指定避難所となる施設については、その機能を踏まえた整備・保全に努めます。
 また、津波避難対象地域と津波注意地域においては、津波避難ビルの指定や公共施設等を津波避難目標に定めるなど、避難対策に取り組んでいます。両地域において公共施設を建築・改修する際には、津波避難ビルの選定基準を踏まえるとともに、津波浸水時には避難スペースとして利用できるような機能確保に努めます。

 バリアフリー、ユニバーサルデザインへの対応

 本市では、全国に先駆け昭和57年2月に「堺市福祉のまちづくり環境整備要綱」を制定し、公共施設等のバリアフリー化を進めてきたところですが、その後、法整備が進み、平成18年にはユニバーサルデザインの考え方を統合した「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」が施行され、福祉のまちづくりを推進しています。
 新たに公共施設を建設する場合は、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れることが求められています。また、既存施設の改修に当たっては、バリアフリー化を進めることが求められています。
 公共施設を市民が快適・安全に利用することができるように、利用満足度の向上につながる設計に取り組みます。

 環境性能など質的向上への対応

 公共施設についてファシリティマネジメントを推進し、予防保全による建物の長寿命化の取組にその重点を移行することで、建設廃棄物の排出を抑制します。加えて、新築・増改築・大規模改修時には環境性能を高めるとともに省エネルギーを実現して温暖化対策などに取り組むことから環境保全に貢献します。
 また、将来的に用途の変更や機能の付加を見据え、容易に改修ができる仕様にするなど、質が高く耐久性に富んだ建築とし、大規模改修が必要になった場合には、時代の変化や社会のニーズを踏まえ対応します。
 さらに、施設の維持管理に当たっては、適切な保守・点検を実施するとともに、施設や設備の稼働状況を把握して、その運用の改善や効率化を図り、省エネルギーの取組を進めていきます。

2.ハコモノ資産の管理に関する目標

(1)ハコモノ資産の更新費用と長寿命化による効果

 先述のとおり、本市のハコモノ資産は、その多くが近々更新の時期を迎えることになります。今後、維持更新に係る費用が増大することが見込まれる中、この課題に計画的に対応していくことが必要であるため、本市では、「堺市市有施設等整備活用基本方針」で3つの基本方針の一つとして位置づけた『ライフサイクルコストの削減』において、今後の更新費用を削減・平準化するために『予防保全による施設の長寿命化』を図ることとしています。
 そこで、今後30年間に必要な建替え、修繕等の更新費用について、これまでどおり予防保全を行わずに施設を更新した場合、すなわち『長寿命化しない場合(45年で建替え)』と、予防保全により『長寿命化した場合(学校施設80年、市営住宅70年、その他用途60年で建替え)』(ただし、建替えの時期は仮の前提条件です。)をそれぞれ試算しました。その上で、それぞれの更新費用の年平均額(以下、「試算額」といいます。)を算出し、実績額(平成23年度以降に支出してきた更新費用の平均額)との差額(以下、「不足額」といいます。)を比較することで、長寿命化による効果を検証しました。

図表3-2-1 長寿命化しない場合の更新費用の試算

図表3-2-1 長寿命化しない場合の更新費用の試算

図表3-2-2 長寿命化した場合の更新費用の試算

図表3-2-2 長寿命化した場合の更新費用の試算

 試算の結果、『長寿命化しない場合(45年で建替え)』では、今後30年間の更新費用の総額は約8,993億円、試算額は約299億円となり、実績額である約256億円を約43億円上回っており、この不足額の解消が課題となります。
 さらに、施設を長寿命化しない場合は事後保全にのみ頼ることになり、安全上のリスクを高める可能性があるばかりでなく、財政面からも突発的な修繕や建替えにより、結果的には大きな負担となるおそれがあります。
 一方、予防保全により『長寿命化した場合(学校施設80年、市営住宅70年、その他用途60年で建替え)』では、今後30年間の更新費用の総額は約8,006億円、試算額は約266億円となり、引き続き不足額は発生するものの、その金額は約10億円にまで抑制され、図表3-2-3の下段のとおり、30年間で約987億円の経費削減が図られ、平準化の効果が期待できます。
 ただし、長寿命化した場合でも、当初の10年間はすでに改修や建替えの時期を迎えている施設が多数あることや、短期的に長寿命化のための対策費用が生じてくることから更新費用が集中し、実績額を大きく上回っています。しかし、2026年度以降は逆に更新費用が実績額を下回っています。改修や建替えの時期を、建築時からの経過年数と施設の劣化状況等からメリハリをもって判断することで、費用負担の分散軽減を図ることが可能となります。
 以上のとおり、予防保全を実施して長寿命化を図ることで、不足額を一定レベルまで縮減して更新費用を平準化できるとともに、安全性の面からも老朽化による事故などのリスクを事前に予防でき、機能性の面からは利用者の利便性・快適性の向上が期待できます。

図表3-2-3 財政負担の削減(イメージ)

図表3-2-3 財政負担の削減(イメージ)

(2)施設総量の状況分析

 本市のハコモノ資産の施設総量について、政令指定都市間で比較し、その状況を分析しました。

図表3-2-4 公共施設保有延床面積の政令指定都市間比較

図表3-2-4 公共施設保有延床面積の政令指定都市間比較

図表3-2-5 市民一人当たりの公共施設延床面積の政令指定都市間比較

図表3-2-5 市民一人当たりの公共施設延床面積の政令指定都市間比較

図表3-2-6 市域面積と市域1平方キロメートル当たりの公共施設延床面積の政令指定都市間比較

図表3-2-6 市域面積と市域1キロ平方メートル当たりの公共施設延床面積の政令指定都市間比較

 図表3-2-4で示したとおり、本市の公共施設保有延床面積は、政令指定都市20市中3番目に少ない順位に位置しています。また、図表3-2-5で示したとおり、市民一人当たりの公共施設延床面積は、他市に比べて低い水準となっています。さらに、図表3-2-6に示したとおり、市域面積と市域1平方キロメートル当たりの公共施設延床面積では、市域面積は2番目に少ない順位で、市域1平方キロメートル当たりの公共施設延床面積は中位の水準にあります。
 これらの状況から本市の公共施設は、他の政令指定都市と比較して、施設総量が小規模であるものの、本市の市域面積は相対的に狭いことから、市民の身近な距離に公共施設が配置されており充足した環境にあるという見方もできます。

(3)長寿命化による効果の試算結果と施設総量の状況分析からの考察

 (1)で記述したように、本市のハコモノ資産の更新費用は、短期的には改修、建替え等の集中等により厳しい財政状況となりますが、中長期的には長寿命化の取組により、『試算額』と『実績額』との不足額を一定レベル抑制できます。しかしながら、長寿命化に取り組んだ場合でも不足額は解消されないため、将来を見据えて公共施設の総量をより適正に管理していく必要があります。
 一方、本市の施設総量は、政令指定都市に移行する以前に支所行政を実施していた時から各支所区域(現在の区役所エリア)にバランスよく公共施設を配置してきた結果、各区において、同種・同用途の施設の重複などは顕著には表れておらず、また、(2)で記述したように、市域面積が狭いことから、他の政令指定都市と比較して市民の身近な距離に公共施設が配置されているなど、区役所エリアごとに比較的コンパクトな資産形成がされているという見方もあります。
 以上のような状況を踏まえた上で今後の財政見通しなども勘案すると、本市は施設総量縮減への早急な取組が必要な危機的状況にあるわけではありませんが、不足額を解消するためには、今後の建替え時の減築や統廃合、再配置などの取組により、施設総量の最適化を図っていくことが必要です。

(4)管理に関する目標の設定

 前述までの考察を踏まえて、ハコモノ資産の管理について次のとおり目標を設定し、施策や事業を実施していくこととします。これにより、今後の施設更新に係る費用を縮減・平準化し、試算額と実績額との均衡を図ります。
 その上で、財政見通しで支出可能な範囲において計画的に公共施設のマネジメントを実施し、財政運営の健全化を図るとともに、最適な公共施設のあり方を検討していきます。

ハコモノ資産の管理に関する目標

3.総合的かつ計画的な管理を実現するための指針

 ハコモノ資産(建物系公共施設)の総合的かつ計画的な管理を実現するために、『情報管理の一元化』『施設評価による各施設の方針決定』『施設用途ごとに施策や事業を推進』を進め、『第3章 2.(4)管理に関する目標の設定』で設定した目標の達成に努めます。

(1)情報管理の一元化

 公共施設を効果的に保全・利活用するためには、保有する施設の現状を把握して評価する必要があり、そのためのデータベース整備が必要不可欠です。
 データの収集は、基本的なデータに加えて、財務・品質・供給の視点から行います。これらのデータは、管財部門、建築・営繕部門、所管部局がそれぞれの目的に応じて管理していますが、この中からファシリティマネジメントに必要なデータを収集し、それらの情報を「施設カルテ」として一元化し、各施設を分析評価して、全市的な観点から公共施設のあり方を検討します。

図表3-3-1 施設カルテに一元化する主な情報

施設情報

名称、所管課、所在地、種別、防災機能、法的設置義務 等

土地情報

面積、用途地域、建蔽率、容積率、価格 等

施設コスト情報

維持管理費、収益、管理形態、利用率 等

棟ごとの建物情報

延床面積、建築面積、構造、階層、建築年月日、価格、耐用年数、環境対応、ユニバーサル対応、耐震診断、劣化診断、大規模修繕 等

資産情報

配置図、写真、資産評価コメント 等

 また、「施設カルテ」の活用に当たっては、公会計制度における「固定資産台帳」との連携についても今後検討していきます。マクロ的な視点から保有資産全体の状況を把握するための「固定資産台帳」と、ミクロ的な視点から各施設の状況を把握するための「施設カルテ」を効果的に連携させて、公共施設のあり方と利活用方針を政策的に検討、意思決定するためのデータとして活用しながらファシリティマネジメントを推進していきます。

(2)施設評価による各施設の方針決定

 各施設の現状を『分析評価』『総合評価』といった下表の事務フローにより評価し、統廃合や継続、売却といった方針を決定します。

図表3-3-2 施設評価のフロー図

図表3-3-2 施設評価のフロー図

(3)施設用途ごとに施策や事業を推進

 『第2章 1.ハコモノ資産の現状』において、本市が所有するハコモノ資産を『学校施設』『市営住宅』『スポーツ・文化施設』『庁舎』『消防施設』『高齢者福祉施設』『児童福祉施設』『その他施設』の8用途に分類しました。
 本計画の推進に当たっては、個別・具体的に長寿命化・耐震化等の取組を実施している『学校施設』、『市営住宅』、『その他用途』の施設用途ごとに、「堺市市有施設等整備活用基本方針」に示した3つの基本方針に沿って、図表3-3-3のとおり施策や事業を推進します。

図表3-3-3 3つの基本方針に沿って施策や事業を推進

図表3-3-3 3つの基本方針に沿って施策や事業を推進

4.施設の保全に関する業務の実施方針

 『第3章 2.(4)管理に関する目標の設定』で設定した目標を達成するためには、公共施設を適正な状態で保全することが必要不可欠です。施設総量の最適化や施設の長寿命化を図りつつ、既存施設を有効活用し、保有し続けるハコモノ資産については、市民が安全で快適に利用できる公共施設として、より充実した市民サービスの提供に努めます。
 そのために必要な保全に関する実施方針について、『点検・診断等』『維持管理・修繕・更新等』『安全確保』『耐震化』『長寿命化』『光熱費削減』の項目から、以下に、その内容を記述します。
 

(1)点検・診断等に関する業務

 建物が完成してから取り壊すまでの間、劣化や機能低下を防ぎ、良好な状態を保って社会・経済的に必要とされる性能や機能を確保するためには、適正な状態に保全する必要があります。
 公共施設を適正に保全するために、点検、診断等の保全業務は有効な手段であり重要です。

図表3-4-1 建物のライフサイクル

図表3-4-1 建物のライフサイクル

 保全を怠ると建物や設備の劣化は進行し、故障や破損を招き、危険性が増して場合によっては事故に繋がることもあります。また、状態が悪くなってからでは大規模な修繕等が必要になるなど、経済的な損失が大きくなることにも留意しなければなりません。
 そのため、図表3-4-2の事項により施設を適正な状態に保全することに努めます。

図表3-4-2 施設を適正に保全するための必要事項

正しい理解と適切な取り扱い

建物の構造・使用材料、電気・空調・給排水設備などを、正しい理解のもとに適切に取り扱います。

保全情報の記録

点検結果や修繕履歴など、その施設をどのように保全してきたかを示す、各種データを蓄積・管理・整理します。
また、こうしたデータを効率的な修繕等に活用します。

保全の計画

保全業務に関する計画を作成し、修繕等を計画的に実施することで、施設の長寿命化につなげるとともに、保全に係る予算の推計や平準化等に活用します。

保全の体制

保全の目標を達成するために、施設管理者を定めて業務体系を明確にし、業務を適正に実施します。

 「建築物の所有者、管理者などは、敷地、構造および建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない」と、建築基準法に定められています。また、電気設備や機械設備には法令で定期点検の時期が定められているものが多くあります。
 公共施設においては、『日常点検』『法定点検』『自主点検調査』を実施し、劣化や危険性の把握、緊急性について判断し、修繕等の必要な対策を講じます。
 また、各点検結果を情報として蓄積して、これらを効率的な施設の維持管理・修繕等に活用し、建材などの劣化を遅らせるため対策を検討するなど、施設を長期使用するための劣化対策に努めます。
 さらに、営繕担当部局が施設所管部局に対し、点検結果を基に修繕・改修方法等を助言・支援するなど、保全の目標を達成するために部局が連携した体制で取り組みます。

ア 点検の分類と位置付け

 各施設において実施する『日常点検』『法定点検』『自主点検調査』について、点検の種類における分類とその位置付けは、図表3-4-3に示すとおりです。

図表3-4-3 点検の分類と位置付け

図表3-4-3 点検の分類と位置付け

イ 日常点検

 施設管理者が「公共建築物維持管理マニュアル」により日常点検を行い、劣化の兆候が軽微なうちに適切な処置を施します。これにより建物の寿命を延ばすことや保全費用の低減を図ります。
 なお、市営住宅などの特殊性のある施設については、同マニュアルや関係省庁等が示している手引書などを参考に、施設の設置目的等も鑑みた日常点検を行うこととします。

(ア)建物外部

 屋根、外壁などは、年月の経過とともに雨や風を防ぐという基本的な機能が低下してきます。外壁からの雨水の浸透、屋根の雨漏り等の漏水が発生すると、構造躯体の劣化、損傷を招きます。劣化状況を早期に発見するため、日常的に、雨漏りや亀裂の有無などを点検します。

日常点検チェックポイントの例

屋根

雨漏りのしている箇所の有無の確認
屋根に水が溜まる場所の有無の確認
屋根に剥がれ、亀裂の有無の確認
ルーフドレインの詰まりの有無の確認
笠木などのモルタルやタイルの浮きの有無の確認

外壁

外壁の亀裂、はがれの有無の確認
格子・タラップなどの金物の取り付け状態の確認
建具まわりの雨によるシミの有無の確認

外構

建物まわりの沈下の有無の確認
塀や擁壁などで危険と思われる箇所の有無の確認
溝蓋の外れ、排水溝・管の流れの悪いところの有無の確認
フェンスの金網の破れ、支柱の錆の有無の確認

(イ)建物内部

 通行量の多い玄関、廊下、階段などの床は傷みやすく、また、人の手が触れることの多い手摺(てすり)、腰壁、建具等は汚れや傷みが目立ちやすくなります。このように、内装は、構造躯体よりも耐用年数が短く、安全性や快適性を確保するためにも、日常的に床、手摺、天井部等の破損などを点検します。
 また、階段や廊下は非常災害時には避難通路としての大切な役割を有しており、通行を妨げる備品等が置かれていないことも点検します。

日常点検チェックポイントの例

玄関・廊下

床、壁、天井、手摺などの傷み・汚れの有無の確認
廊下や防火戸の前のイスなど物品の有無の確認
防火戸が床ワックス、ゴミなどにより動かなくなっていないかの確認
建具金物(取手、丁番、戸車等)の破損の有無の確認
雨の日の対策の有無の確認

階段

手摺のグラつきの有無の確認
滑り止め(ノンスリップ)が傷みの有無の確認
シャッターの開閉状態の確認
階段に物品が置かれてないかの確認
最上階の天井での漏水の有無の確認

居室(事務室・和室等)

机やロッカーなどによる床の傷の有無の確認
畳の湿気の有無の確認
壁に物を取り付けられているかの確認
天井点検口の下に物品が置かれてないかの確認
室内の結露の有無の確認
天井のシミの有無の確認

便所・洗面所

臭気の有無の確認
鍵の破損の有無の確認
タイルの割れ、剥がれの有無の確認
壁面の落書きの有無の確認
天井のシミの有無の確認
便器の洗浄水の水切れの確認
便器のヒビの有無の確認
便器の汚水の流れの確認

(ウ)電気設備

 建物の電気設備には、受電設備、通信設備、電気室などがあり、電圧も低圧から高圧まで建物の規模により様々です。電気設備は、各種法令に基づき設計・施工され安全性も確保されています。不具合なく機能を維持するため、日常の管理と点検を行います。

日常点検チェックポイントの例

有資格者

電気主任技術者や主任技術者代務者を定めているか、また、それらを周知されているかの確認

電気設備の法定点検

法定点検、定期点検の認識の有無の確認

電気室及びキュービクルの管理

電気室・屋外キュービクルの施錠の確認
電気室内に物品が置かれていないかの確認(倉庫代わりにされていないかの確認)

停電の確認

停電した場合の連絡先の確認

漏電の点検

漏電警報が鳴った場合の専門業者による点検の有無の確認

アース線の接続

アース線の接続の確認

非常用発電機

非常用発電機の定期的な試運転の有無の確認

電線に樹木が接触する場合

敷地内の樹木が電線に接触していないかの確認

(エ)給排水・衛生設備

 給排水・衛生設備は、日常欠くことのできない設備です。衛生的な環境を維持するために、日常の管理と点検を行います。

日常点検チェックポイントの例

受水槽・高架水槽・ポンプの管理

受水槽・高架水槽の点検口の鍵の確認
受水槽・高架水槽・排水槽等を定期的に清掃しているかの確認
受水槽・高架水槽のオーバーフロー管など防虫網の破損の有無の確認
ポンプの異常音・振動の有無の確認

水質の管理
(定期的な水質検査)

水質を定期的に検査しているかの確認

グリストラップの清掃

グリストラップの掃除の有無の確認

水量の管理

水栓・バルブからの水漏れや赤水の発生の有無の確認

排水槽などの維持管理

排水槽、ポンプの定期的な清掃の有無の確認

トラップ封水の管理

トラップの封水の有無の確認

(オ)空調・換気設備

 空調・換気設備は、市民が施設を利用する上で重要な機能であり、構成される設備も施設の規模や用途により様々です。施設を快適に利用できる室内環境を維持するために、日常の管理と点検を行います。

日常点検チェックポイントの例

日常の保守管理と保守契約

空調の効きの確認
温度設定の確認
吹出口、吸込口の前に物品が置かれていないかの確認
機械室内に物品が置かれていないかの確認
異音・振動の有無の確認
室外機外観の状態(損傷、腐食、錆び、油にじみ等)の確認

冷却塔(クーリングタワー)の日常点検

クーリングタワーの定期的な清掃の有無の確認

ファンコイルユニットの
管理

ドレンパンの清掃の確認

エアーフィルターの管理

エアーフィルターの点検

暖房用排気ダクトの清掃・
点検

暖房用排気フード及びダクトの定期的な清掃の有無の確認

(カ)ガス設備

 近年の建物は気密性が高くなってきています。ガス設備使用時の十分な換気と、ガス漏れなどの事故防止のため、日常の管理と点検を行います。

日常点検チェックポイントの例

ガス器具・ゴム管

ガス使用時の換気有無の確認
ゴム管の硬化、ヒビ割れ等状態の確認
元コックの状態の確認

ガス漏れ警報器

ガス漏れ警報器の有効期限の確認

(キ)エレベーター

 エレベーターの劣化は、誤作動による事故や閉じ込めが起こる危険性があり、また、故障は施設利用に支障をきたすこととなります。日常から使用状況に注意し、安全運転と事故防止のための管理と点検を行います。

日常点検チェックポイントの例

作動・点検

乗り場の溝にゴミが落ちたり、吸殻が挟まっていないかの確認
非常時の扉開閉キーの保管の確認
エレベーター機械室の施錠の確認
連絡用インターホン設置の部屋に人が常駐しているかの確認
保守点検の契約の有無の確認

(ク)防災設備

 防災設備は非常時において、確実に機能発揮することが必須です。また、防災設備は多種多様なものがあるため、使用目的や使用方法を確認しておくことも重要です。不具合なく機能を維持するため、日常の管理と点検を行います。

日常点検チェックポイントの例

二方向避難、消火器、屋内消火栓、非常放送設備、自動火災報知設備、非常用照明設備、排煙設備、非常用進入口

可燃物の建物内外への放置の確認
タバコの吸い殻の処理状況の確認
避難通路や出入口に物品が置かれていないかの確認
消火器、消火栓、避難はしご、救助袋の前などに物品が置かれていないかの確認
各種表示灯や誘導灯の球切れの点検
カーテン、カーペット等は防炎処理されているかの確認
消火器の規格がABC消火器であるか、また有効期限の確認
火災警報設備の受信盤スイッチが定常位置にセットされているかの確認
消防署への防火管理者の届出の確認
消防署への点検の報告の確認

ウ 法定点検

 施設や設備は、その規模や用途により法令で点検が定められています。
 この法定点検は、建築物の保全状態について、劣化や損傷などにより安全性、耐久性、機能性等に支障がないかを確認するために定期的に行うものであり、本市の公共施設も定期的に法定点検を行っています。
 主なものを図表3-4-4に示します。

図表3-4-4 法定点検一覧表

点検等の対象各部

点検種別

規定法規

消防用設備等
(消火設備・警報設備・避難設備・非常電源)

作動点検、外観点検及び機能点検
総合点検

消防法
消防庁告示

ボイラー
小型ボイラー
第1種圧力容器(貯湯槽、熱交換器等)
第2種圧力容器(ボンベ等)

性能検査
定期自主検査

労働安全衛生法
ボイラー及び圧力容器安全規則

エレベーター

性能検査
定期自主検査

労働安全衛生法
クレーン等安全規則

自家用電気工作物

経済産業大臣に届出済みの保安規定に基づき定期点検を実施

電気事業法

第1種製造者となる冷凍機

保安検査
定期自主検査

高圧ガス保安法
冷凍保安規則

第一種特定製品
(業務用冷凍空調機器)

簡易点検
定期点検

フロン排出抑制法

簡易専用水道
(受水槽の有効容量が10立方メートルを超えるもの)

水槽の掃除
水質検査

水道法

特定建築物
(3,000平方メートル以上の事務所等)

飲料用貯水槽掃除
水質検査
遊離残留塩素の検査
排水設備掃除
定期掃除
ネズミ、昆虫等防除
空気環境測定

ビル管理法
同法施行規則

事務所

作業環境測定
機械換気設備点検
照明設備定期点検
定期掃除
ネズミ、昆虫等防除

労働安全衛生法
事務所衛生基準規則

ばい煙発生施設

ばい煙量、ばい煙濃度測定

大気汚染防止法
同法施行規則

特定施設
(処理対象人員が500人を超えるし尿処理施設等を有する排水量50立方メートル/日以上の事業所)

排出水汚染状態測定

水質汚濁防止法
同法施行規則

浄化槽

保守点検
清掃
水質検査

浄化槽法
厚生労働省関係同法施行規則

特殊建築物及び5階建以上で1,000平方メートル以上の事務所等の建築物(ただし、昇降機についてはすべて)

特殊建築物等の定期点検
昇降機の定期点検
建築設備の定期点検

建築基準法
同法施行規則

エ 自主点検調査

 自主点検調査は、法定点検項目を補完することを目的に実施します。
 施設管理者と営繕担当部局が相互に協力しながら修繕等の緊急性や支障度合などについて確認し、効率的、効果的な修繕予算の組み立てに反映して、公共施設の安全性の確保と機能維持を図ります。

(2)維持管理・修繕・更新等に関する業務

 公共施設の維持管理・修繕に当たっては予防保全に努め、劣化や機能低下を防ぎ、良好で安全な状態を保つとともに、長寿命化を図ることで費用の縮減を図ります。また、施設更新に当たっては、施設評価(「第3章 3.(2)施設評価による各施設の方針決定」によります。)により計画的に進めることで、保全措置の集中的増大を避けるなど、長期的な視点で財政負担の軽減と平準化に努めます。

ア 維持管理の実施方針

 「公共建築物維持管理マニュアル」などに基づき、建物・設備の点検や清掃、補修を行うことで、施設を維持管理し、建築物等の性能や機能を良好な状態に保ちます。

イ 修繕・更新の実施方針

 ハコモノ資産(建物系公共施設)の保全では、これまで事後保全を行っていましたが、耐用年数や劣化度の把握が不十分であったため、計画的に保全できていない状況でした。
 しかし、施設を長期にわたって有効活用するためには、基本性能を最適な状態に維持する必要があります。そのため、建築部位や設備などを適切かつ計画的に保全していくことが必要です。
 今後は予防保全に取り組むことで、不測の事故を未然に防止するとともに、経年劣化対策と求められる施設性能を確保して施設寿命を延ばします。

ウ 施設保全の役割概念

 施設保全の取組について、図表3-4-5にその役割概念図を示します。

図表3-4-5 施設保全の役割概念図

図表3-4-5 施設保全の役割概念図

 ただし、図表3-4-5の役割概念図とは別に、学校施設については、文部科学省の選定を受け、学校のリニューアル改修モデルとして事業実施中である「学校施設老朽化対策先導事業」を検証して、修繕等の実施方針を確立していくものとします。また、市営住宅については、「堺市営住宅長寿命化計画」に基づき取り組みます。

(3)安全確保に関する業務

 公共施設の安全確保では、利用者等への危険を未然に防ぎ、施設にとって重要な障害を及ぼすなどの多大なリスクの発生を事前に予防することが重要です。
 点検・診断等(「第3章 4.(1)点検・診断等に関する業務」による。)により、劣化や危険性が認められた施設については、すみやかに修繕等を検討するものとします。さらに、高度の危険性が認められた施設や、劣化し今後とも利用見込みのない施設については、防護柵設置等の立入禁止措置など安全の確保に十分に配慮し、施設の除却等の対策を講じます。

(4)耐震化に関する業務

 本市では、大規模地震災害による被害を抑止・軽減するため「堺市耐震改修促進計画」により、建築物の耐震化促進に努めています。
 特に、不特定多数の人が利用する公共施設の多くは、災害時に避難所や応急活動の拠点として活用される場所です。このため、平常時の利用者の安全確保だけでなく、災害時における機能確保の観点からも、その耐久性が求められます。
 公共施設の耐震化を促進するために、新耐震基準(1981年(昭和56年)6月1日施行)以前に建築された建物について、「堺市耐震改修促進計画」に基づき、計画的に耐震診断及び耐震改修を実施しています。今後も継続して耐震化を図っていきます。

■耐震化工事の例

耐震化工事の例

(5)長寿命化に関する業務

 各施設において、点検を行い、適宜に保守・修繕・更新に効率的に取り組むことで初期の機能・性能を確保、回復し、ハコモノ資産(建物系公共施設)を健全な状態に保ちます。そのうえで施設の目標耐用年数を設定し、計画的に予防保全に取り組むことで、建物に求められる性能レベル(要求性能レベル)にも対応しながら長寿命化を推進していきます。

図表3-4-6 長寿命化における経過年数と機能・性能

図表3-4-6 長寿命化における経過年数と機能・性能

 図表3-4-6は、建物のライフサイクルにおける経過年数と建物の性能の関係を示したものです。
 建物は経過年数に応じて老朽化が進み、機能や性能のレベルが低下していきます。これに対応し、新築当初(初期性能)あるいは支障のない程度まで建物の性能レベルを保つため、定期的に点検、保守、修繕工事等を行う必要があります。
 一方、建物の要求性能レベルは経過年数とともに高くなっていくため、この要求性能レベルにも対応した改修をすることが望まれます。
 長寿命化の推進に当たっては、このような建物のライフサイクルを踏まえ、目標とする耐用年数に適した計画的な施設の保全に取り組んでいきます。

ア 公共施設の目標耐用年数

 本市の公共施設は、これまで建築後40~45年で建替えを行ってきました。今後、長寿命化を図るためには、これまでに述べてきたとおり計画的に予防保全に取り組むことが必要であるため、構造躯体の耐久性などを考慮して、以下のとおり施設用途(「第2章  1.ハコモノ資産の現状」の用途分類による。)ごとに目標耐用年数を設定します。

  • 学校施設の目標耐用年数は、文部科学省「学校施設老朽化対策ビジョン」と「建築物の耐久計画に関する考え方」の鉄筋コンクリート造学校の目標耐用年数を参考に考察して、概ね70~80年に設定します。
  • 市営住宅の目標耐用年数は、「公営住宅法」に規定する耐火構造の住宅の耐用年限を参考に考察して、概ね70年に設定します。
  • その他用途の目標耐用年数は、「建築工事標準仕様書」の構造躯体の耐久性と「建築物の耐久計画に関する考え方」の普通品質の構造躯体の目標耐用年数を参考に考察して、概ね60年に設定します。

 ただし、利用度や重要度により個別設定することも可能とします。

以下に構造躯体の耐久性に関する参考仕様書を示します。

【参考仕様書】

学校施設

  • 文部科学省「学校施設老朽化対策ビジョン」の学校の長寿命化において、コンクリート及び鉄筋が適切に維持管理され強度が確保される場合の学校施設の物理的な耐用年数は70~80年程度と記述
  • 「建築物の耐久計画に関する考え方」(日本建築学会)において、鉄筋コンクリート造学校の普通品質で50~80年、高品質で80~120年と規定

市営住宅

  • 「公営住宅法」において、耐火構造の住宅の耐用年限を70年と規定

その他用途

  • 「建築工事標準仕様書」(JASS5鉄筋コンクリート工事・日本建築学会)の構造躯体の耐久性において、耐久設計基準強度(24N/m平方メートル)のコンクリートで、計画供用期間を65年と規定
  • 「建築物の耐久計画に関する考え方」(日本建築学会)において、普通品質の鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造の場合で、目標耐用年数を60年と規定

イ 学校施設における取組

 学校施設においては、長寿命化を図るとともに、安全・安心・快適な学校環境を整えるための施設整備を行っています。
 長寿命化については、基礎調査として平成25年度より構造躯体のコンクリート強度及びコンクリートの中性化の進行状況調査を実施しました。
 平成26年度からは、宮園小学校において文部科学省の「学校施設老朽化対策先導事業」の選定を受け、同省が示している「学校施設の長寿命化改修の手引き」を参考にして、優れたリニューアル改修モデルの検討に入っています。平成27年3月には同校の長寿命化対策に関する基本計画を策定し、平成27年度から設計を行い、その後、既存校舎を活用した長寿命化対策の工事を行う予定です。
 この宮園小学校における先導事業について、今後その内容を検証したうえで、学校施設長寿命化の実施方針を確立していくものとします。
 そのうえで、文部科学省が学校施設を対象とした取組の方向性等を示した計画等として策定している「文部科学省インフラ長寿命化計画(行動計画)」(平成27年3月策定)や「学校施設の長寿命化計画策定に係る手引」(平成27年4月策定)も参考にして、本市学校施設の長寿命化対策に関する計画を策定します。
 以下に、先導事業の主な取組内容を示します。

(ア)劣化調査

 建物の躯体の現状を詳細に把握するため、コンクリート圧縮強度、コンクリート中性化深さ、鉄筋かぶり厚さ、ひび割れ、鉄筋腐食度の調査を行い、また、外壁面の劣化を確認するために赤外線調査を実施するなど、施設の現状を把握した上で改修内容を検討しました。

■調査状況写真

調査状況写真

(イ)老朽化対策の手法

 基本設計・実施設計のための基本的な改修の考え方として、長寿命化改修における3つの柱を設けました。

図表3-4-7 長寿命化改修における3つの柱

図表3-4-7 長寿命化改修における3つの柱

 これらの3つの柱を長寿命化改修の基本とし、改修を行うに当たっての原則として現状の耐震性能を確保しつつ、長寿命化改修を行う際には容易な維持管理の手法を実現することにより、構造躯体や設備機器の予防保全に繋げます。さらに、長寿命化改修実施後に必要となる改修を行う際にも3つの柱のうちの劣化改修の考え方を踏襲し、適切な維持管理に繋がる手法を採用します。
 なお、建築後40年前後で実施する改修を長寿命化改修とし、それ以降の予防保全として実施する改修を劣化改修とします。

図表3-4-8 宮園小学校(先導事業)における長寿命化改修

創造的改修

多様な学習内容や学習形態に有効活用できる新たな学習空間を創出

調べ学習の充実や学習環境の向上に繋がる緒室の整備・配置

棟ごとに機能をゾーニングした緒室配置計画

劣化改修

躯体の老朽化対策

躯体のひび割れ対策

躯体の中性化対策

鉄筋の腐食対策

外壁・屋上の老朽化対策

外壁の老朽化対策

屋上の老朽化対策

設備の老朽化対策

配線・配管の老朽化対策

更新スペースの設置

照明設備

機能的改修

高断熱化

躯体の断熱化

ガラスの断熱化

サッシ改修

 

トイレ改修

改修時のスペース

床面の仕上

衛生器具・設備機器

空調・換気設備

 

防災機能強化

 

(ウ)長期的な使用に向けて

1)修繕の考え方

 長寿命化改修実施後は、長期的な使用に向けて中長期的な修繕計画を策定し、予防保全・事後保全それぞれの考え方を適切に把握して、必要に応じた措置を行います。

 予防保全:予防保全については、基本的に物理的耐用年数が経過するまでの間の適切な時期に修繕等を行うこととします。
 事後保全:建物全体の機能に大きな影響がないものや、損傷の拡大する心配のないもの、すぐに処理をすれば済むものなどは基本的に事後保全とします。

図表3-4-9 中長期的な修繕計画の考え方

 

考え方

中長期修繕計画

予防保全・事後保全の考え方に沿った中長期修繕計画とし、修繕等の項目の把握を適切に行うことにより、必要な予算の把握に努めます。なお、長寿命化改修を行った際には、定期点検や日常点検等による経過の観察を行い、コンクリートのはく落や鉄筋の腐食等が進行している場合、個別に対策を行っていきます。

2)宮園小学校(先導事業)における中長期修繕計画(案)

 中長期修繕計画における更新・修繕の時期については、定期的な点検や必要な調査を行ったうえで判断するものとしますが、原則的には下表に示す時期を目安に行うこととします。

図表3-4-10 更新・修繕時期の目安

項目

更新時期

修繕時期

躯体ひび割れ

- 

15年

外壁

30年

15年

屋上防水

39年

13年

内部

30年

15年

設備

30年

15年

断熱

15年

 -

ウ 市営住宅における取組

 市営住宅においては、『既存ストックの有効活用と良好な地域コミュニティの形成』を基本理念として「堺市営住宅長寿命化計画」を策定し、既に長寿命化に取り組んでいます。引き続き、同計画に基づき長寿命化を推進していきます。
 以下に、主な取組内容を示します。

(ア)市営住宅長寿命化に関する基本方針

 「堺市営住宅長寿命化計画」における長寿命化に関する基本方針について、図表3-4-11に示します。

図表3-4-11 「堺市営住宅長寿命化計画」における長寿命化に関する基本方針

 状態把握及び日常的な維持管理の方針

  • 維持管理を行う市営住宅の整備・管理データを住棟単位で整理します。
  • 市営住宅の定期点検を実施するとともに、適切な維持管理を行います。
  • 市営住宅の住棟単位の修繕履歴データを整備し、随時、履歴を確認できる仕組みを整理します。

 長寿命化及びライフサイクルコストの縮減に関する方針

  • 維持管理においては、これまでは事後保全を主としてきましたが、今後は予防保全及び耐久性の向上を図る改善を実施します。
  • 仕様のグレードアップ等による耐久性の向上、予防保全の実践による修繕周期の延長などによってライフサイクルコストの縮減を図ります。
  • 定期点検を充実させ、建物の老朽化や劣化による事故等を未然に防ぐとともに、適切な時期に適切な修繕や改善を実施します。
(イ)市営住宅長寿命化のための維持管理計画

 日常的な保守点検に基づく補修のほか、項目(部位・部材)の修繕周期を目安に適正な時期に修繕等を行うことで、居住性、安全性等の維持・向上を図り、市営住宅を長期的に活用していきます。

図表3-4-12 「堺市営住宅長寿命化計画」における長寿命化の考え方

項目

修繕周期

備考

外壁

概ね25年

改修事業の効率性を考慮し、基本的に各棟の外壁改修と同時に屋上・屋根の改修を行うものとします。

屋上・屋根

概ね25年

給・排水管
ガス管

概ね25年

室内に配置された管で改修困難なものについては、長寿命化型改善以外の個別改善で対応するものとします。

エ その他用途における取組

 各公共施設を長寿命化するうえで、施設の耐久性や機能性に関連する重要な部位・部材を『建築』『電気設備』『機械設備』の中で特定して、「建築物のライフサイクルコスト」(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修)を参考に更新の周期を設定し、原則的にこの更新周期を目安として、予防保全が望ましい部位・部材や事後保全でも支障がない部位・部材なども検討・勘案しながら取り組みます。そのうえで、「保全マネジメントシステム(BIMMS)」を活用して、計画的に長寿命化を図ります。

図表3-4-13 更新周期の目安

区分

項目

更新周期

建築

屋根

20~30年

外壁(タイル仕上)
外壁(塗材仕上、シーリング)

概ね40年
概ね15年

電気設備

受変電設備

25~30年

自家発電設備

20~30年

中央監視装置

概ね15年

通信・情報設備

概ね20年

機械設備

空調設備

15~20年

換気・排煙設備

20~25年

給排水設備

10~30年

防災設備

20~30年

昇降機設備

概ね30年

※更新周期に幅があるのは、項目の部位・部材によって標準的な更新年数に差があるためです。

(6)光熱費削減に関する業務

 施設で使用する光熱費は図表3-4-14のとおり、近年30億円を上回って推移しています。
 省エネ・節電に係る取組は、ハコモノ資産(建築系公共施設)の光熱費削減に寄与するものです。各施設において取組体制を構築し、各施設・設備の稼働状況やエネルギー使用状況を把握して運用改善を図ります。また、高効率設備への更新、施設の利用実態にあった設備の更新等、省エネ・節電に資する設備更新を積極的に実施します。

図表3-4-14 光熱費の推移

図表3-4-14 光熱費の推移

 省エネ・節電による光熱費削減に向けた取組の概念図を図表3-4-15に示し、以下に具体的な取組内容を記述します。

図表3-4-15 光熱費削減に向けた取組の概念図

図表3-4-15 光熱費削減に向けた取組の概念図

ア 省エネ監査

 施設や設備の運用改善、予防保全型の設備更新を図るには、日常的に施設や設備の稼働状況を把握する管理体制の構築やエネルギー使用量の見える化が必要です。
 省エネ監査では、各施設の施設管理責任者、施設管理担当者、指定管理者、設備運転管理委託業者が話し合う場を設け、各施設における管理体制や設備の運転管理状況を確認するとともに、省エネ・節電に関する新たな気付きや取組を提案することによって、より効果的な光熱費の削減につなげます。

イ 省エネ診断

 省エネ診断は、各施設におけるエネルギー使用状況等を調査・分析し、省エネ・節電につながる設備の運用改善、さらに、老朽化した設備の更新手法について、更新によりもたらされる省エネ効果や、光熱費、保守メンテナンス費等の削減効果を含めた提案を、外部の専門家等から受けるものです。
 公共施設の省エネ診断については、省エネ・節電に向けて継続的に運用改善を図っていくために、エネルギー使用量が一定以上の施設について、定期的に受診することとします。加えて、効果的な設備更新を図るため、設備更新の際にも省エネ診断を受診することとします。

ウ 設備更新

 設備更新時には、高効率設備の導入や施設の運用状況にあった設備の更新等を行います。特に、稼働時間が長い照明設備のLED化や、空調や照明を区画ごとに制御・細分化することで、エネルギーの使用の合理化を図ります。
 なお、施設を改修する際には、「堺市公共施設低炭素化指針」に基づき、より効率の高い設備に更新するなど、ライフサイクルコスト及び温室効果ガス排出量の削減に努めます

このページの作成担当

市政集中改革室 ファシリティマネジメント担当
電話:072-228-7015 ファックス:072-228-1303
〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所本館5階

このページの作成担当にメールを送る

本文ここまで



以下フッターです。
Copyright © Sakai City. All Rights Reserved.
フッターここまでこのページの上へ戻る