第3回 堺市自転車利用環境計画策定検討懇話会議事録
更新日:2012年12月19日
第3回 堺市自転車利用環境計画策定検討懇話会議事録
日時
平成24年8月20日(月曜) 午後2時~4時
場所
堺市役所 本館地下1階 職員会館多目的室
出席者
別紙
議題
- 1 市・事業者・市民等の役割 市民や事業者と協働して推進
- 2 自転車条例の制定
- 3 利用促進
- 4 その他
議事内容
開会挨拶
(自転車まちづくり推進室 渡邊室長より挨拶)
前回の懇話会の報告について
事務局説明
(報告1を説明)
初谷座長
報告1は前回よりも1回目・2回目の皆様方の意見をより反映すべく、意見を追記しています。お気づきの点がありましたら、途中でも結構ですので、おっしゃってください。
議題1 市・事業者・市民等の役割 市民や事業者と協働して推進
事務局説明
(資料1を説明)
初谷座長
今日は、市民協働と条例の問題が大きなテーマになっております。
市民協働については、報告1の5ページ「計画推進のために」の7番目の項目で、協働の問題を扱おうとしていますが、何が課題で、これから何に取り組まなければならないかが空白です。左側の素案が先にできあがっているという状態で、この素案の文章が、果たして今の堺市の実情に即しているのか、もっと他に大事なことがあるのではないかという部分で、協働についてお話を頂きたい。
協働の議論をする時に、観点は3つ考えられます。一つは、市民同士の個人の場合、団体や事業者同士の場合の協働の問題。二つ目は、行政同士や、市の部局同士が力を合わせれば、もっと良くなるのではないかという協働の問題もあります。その両方の協働が、それぞれに一生懸命なされた上で、どうしても行き届かないとか、もっときめ細かさが必要だという場合に、三つ目に、市民と行政の協働が、積極的な意味合いをもって立ち上がってくるという関係があります。
今の3つの観点で、市民同士でできること、それから、行政同士がもっとこうすれば良いのにと思うこと、市民と堺市の行政が、力を合わすことができるのではないでしょうか。
どういう観点でも結構ですので、ご意見をおっしゃってください。
中村委員
自転車のまちづくり市民の会の立ち上がりから関わっています。堺市が社会実験の市民協力員を募集したところから市民の会がスタートしたと思います。社会実験は終わったが、今後も自転車をもっと活用した社会を作りたいという想いを持った市民が集まり、市民の会というのがスタートしました。最初は行政が募集して、市民が集まったという形だが、それを持続したのは市民同士の共通の目的意識でした。
社会実験をする前から堺自転車環境共生まちづくり企画運営委員会が、既に立ちあがっていました。委員会は行政と市民が協働して自転車のまちづくりを進めるという会議ですが、活動団体ではなく意見交換や方向性を決めます。
市民の会はそういう形でスタートし、ずっと市民への働きかけをしています。目的、手段は、自転車デーの実施と、自転車地図の制作です。
初谷座長
資料1の2枚目に「協働の相手は~」と書いていますが、「当事者は~」だと思います。これは、行政から見た文章になっているが、計画になる時には中立的に市民全体の計画になるので、協働の当事者には、市民、事業者、NPO団体、市民活動団体等、それと市の行政が加わらないといけないと思います。
市民の会が今まで、市行政と市民を仲立ちするような役割を果たしてきて、市民自身の活動も、その中で発展させていくような組織として、今に至っているというご紹介でした。それぞれの事業者としての立場とか色々お考えがあると思いますが、いかがですか。
武田委員
一番大事なポイントは、警察、学校、行政が、特に小学校の時からきちんとした交通ルールやマナーを教えていくことだと思います。今現在ルールを守っていない人は市民といろんな段階でルールを教えていく。すでに、法律もでき大阪府警でルールブックを作ったりいろんなことをしているので、材料は既にいっぱい揃っています。これらを使って学校でちゃんと教えていくことが大事だと思います。
初谷座長
警察、学校、行政が関わりを持って、特に小学校レベルからマナー等の教育を徹底する。また材料はふんだんにあるので、あとはいかにそれを組み合わせて、内容のあるものにしていくか、というご意見です。今日の資料に即して、当事者が誰なのか、どういう場面で、どういう協働の内容が良いのかをよろしくお願いします。
小山委員
そんなに細分化したような関係じゃなくて、全体の協働というのが絶対必要じゃないかなと思います。学校は学校というのではなく、市民も行政も警察も学校も一体になって、展開していかないと、この自転車の様々な問題は解決できないと思っています。
初谷座長
これから計画づくりで、理念的に大きい枠組みとして協働は大前提だ、というお話だと思いますが、そういう大きい視点でも良いですし、事業レベルでの協働のお話でも結構です。
江原委員
当社(シマノ)では自転車通勤を推奨しています。最近堺市以外から駐輪場をどうしているのか、どんな設備があるのかという見学依頼がたくさんあります。各事業者の経営側の方が自転車通勤を過度に恐れている部分が見られるので、そういう事業者の心配な部分を取り除く協働をすることで、自転車利用の推進には非常に意味があると思います。これに関しは、当社でもご協力できる部分があると思いますので、堺市で仲介をして頂ければと思います。
当社では自転車通勤のメリットとデメリット、注意点について警察の方に来て頂きまして、自転車通勤、自転車のリスクに関するすごく良いDVDを見せて頂くことが、自転車通勤者の意識を高めるのには非常に効果があると思いますので、そういう協働もあるかと思います。
初谷座長
そういうDVDがあるそうですが、ご覧になったことありますか。いつでも貸し出せるようになっているのでしょうか。
桂木オブザーバー委員
皆様に見て頂くために作っているDVDですので貸し出すことはできるとは思いますが、確認をとらせて頂き、ご回答させて頂きます。
初谷座長
非常に良い啓発資料があるそうなので、是非活用していけば良いと思います。
事業者とシマノさんと警察と市という組み合わせで、特に自転車通勤の価値とか、メリット、デメリット両面を含めての話でしたが、もっと理解を深める手立てがありましたら。
三船委員
先ほど、市役所の前で堺自転車のまちづくり市民の会の啓発活動をしてきました。
交通安全を守ったり、自転車に愛着が出るのは、最終は個人だと思います。個人がそういう意識を持ったら、自発的に交通ルールを守る。そういう個人を増やすために、極端な意見だが、堺市民全員が市民の会の会員になったら、意識が向上するのではないか。我々市民の会が人を増やすのと、行政が例えば広報を使って市民の会員を募集すれば、応募する人の意識が高まってくるという意見もあります。市全体での一大キャンペーンを期待しています。
自転車の小売店さんの協力が、非常に財産だと思っています。商工会議所が自転車店をまとめている本があり、それに加入しているお店と、大正時代からできている自転車店さん、新興自転車屋さんで、例えば警察主導で、店長会議のようなものをして頂いて、そこで売る時に必ず教育して自転車を売って下さいというような会議をして頂きたいなと思っています。
上畑委員
堺市は非常に広く、住宅地が中心のところもあれば、観光地が中心のところもあります。自転車を使われる市民の方々、あるいは観光の皆様の使い方は違うと思います。例えば住宅地の中であれば、子どもが安全に利用できるためにハード面でもソフト面でも教え方が違ってくると思いますので、この地域だったら、先に取り組むべき重点地域みたいなものを行政に定めて頂いた上で、住民の方と話をして頂き、何を優先事項にしたら良いのか、あるいは、何を優先にハード面あるいは警察の方にもご協力を頂いた上で、このルールは特に守ろうという啓発をする重点事項を決める方が、皆様に浸透しやすくなると思う次第です。
浦委員
自治会を1つの単位として、そこの地域で、自転車のまちづくりということを強調して色々な面で指導したり、また啓発したり色々やった方が良いと思います。地域でそういう活動をしていった方が、浸透性があると思います。
初谷座長
最近は「協働政策」という呼び方をすることもありますが、自転車のこの問題を考える上で、ツールとして協働をどう活かしていくかという発想だと思います。協働そのものが目的となる場合もあるでしょうけれど、自転車がより良く活用していけるようなまちであるために、その手段として協働が活きる場面はどういうことでしょうか。
荒木委員(代理出席脇本)
どのような協働のやり方が良いのかというのは、これから皆さんに議論して頂けたら良いとは思うのですが、繁華街、駅を中心とした何キロ圏、自転車で通っている高校の周りの何キロ圏や何メートル圏のまちの中で自転車の利用が多いところやある程度危険な状態の歩道や車道などで自転車の密集したところという観点からエリア的なポイントを絞った形で、モデル地域、モデル地区みたいな感じで、一つひとつ見えるような成果を続けていって、拡げていくといったやり方もあるのかなと思います。
澤本委員
区単位や地域単位で、確実に皆さんにいろいろ知って頂くことと大きなイベントの時などに、ちょっと自転車に乗って下さい、堺は自転車のまちですよというPRを兼ねた自転車の乗り方教室をしていけば、たくさんの方に参加して自転車のことを分かって頂けるのではないか。その後で、こういう風にみんなで通勤、通学で自転車に乗るようにお願いしますと声かけしていったら徐々に広まっていくのではないでしょうか。
藤井委員
自転車利用促進につきましては、いかに交通ルールを守らせるかという事が一番大切だと考えております。路面電車で怖いのは、自転車の無謀な運転であり、一市民としまして、歩いている時の自転車の無理な運転等です。堺に来たら堺は自転車のまちであり、みんなルールを守っているということが大切だと思います。
路面電車は、自転車で通勤できる距離と競合する部分があるが、堺市には観光資源がたくさんあるので、電車で来ていただき観光の中で自転車を十二分に活用して頂く。今現在堺市で進めているコミュニティサイクルをより充実する。あるいは行政で歩行者と自転車の分離、車道との分離というような形で、安心して自転車に乗れる施策も必要だと考えております。
川端委員
自転車屋さんの事業者の皆さんが集まって、事業の方達の宣伝ではなく、イベントをして頂いて、こういう自転車はこう乗ってとか、子ども達、大人達、老人の人達みんなに寄って頂き、アトラクション的なことをして頂いて、ルールを説明して頂いたら良いと思います。
地域の方達に、自転車の環境や役割を守ろうっていうのを、もっとこうやってほしいということを、学校や町会、老人会に、もっとアピールしていったら良いと思いました。
龍野委員
堺市には94校、各自治会があります。いつも感じているのは、いかに啓発、教育を啓発するかということが一番大事ということです。これだけパンフレットや雑誌がありながら、地域の中ではこれをご存じない方がほとんどです。もっと地域の中に浸透させることや、これを啓発すること、自転車をこれから盛り上げようと思えば、やっぱり組織力に依存するべきではないかと考えます。いろんな条例をつくっても、啓発をしないことには何の役にも立たない。ルール作りをするのも、何か組織だったものがなければできないと考えております。
子どもの教育については、現実に高校や中学校の中で、自転車に乗ってきてはいけないのが大半で、中学校周辺を見たら、近所の住宅が難儀するぐらいの自転車の放置が続いています。教育者自身が、どこで乗るのが正しい乗り方かを広めていくためには、啓発と環境整備や環境教育を進めていかなければなりません。
市民活動を広げるひとつの手段として啓発をもっと考えていくべきで、パンフレットをさらに地域の中に浸透させることで関心が高まり、これに対する協力、理解ができると考えています。啓蒙、啓発を地域や市民の中でもっと真剣に考えていくべきだと思います。
吉田座長代理
特定の自治体で何かしようと思うと、まずどこにどんな情報があるか、誰がどんな活動をしているのかわからないので、定期的に持ち寄って共有し、何らかの戦略的なことを考えて、次に何をするかを考えるような市民自転車会議を定期的に開く。その中で自治会もしくはいろんなまちづくり団体などの単位で、まずは地図作りなどをし、それを元に計画を推進していく、ベースにするというのが1つ、やり方としてあります。
アメリカでは企業の自転車に対する考え方を少しずつ崩し、通勤の自転車を増やしていくために、駐輪場の整備や通勤手当のセミナーを開くとか、1人で自転車通勤は始められないが、周辺にいる常に自転車通勤をしている方と一緒にしてみると、それが深まっていくという事例は結構あります。イギリスでも政府が支援をしているような事例があります。
公共交通の運転士の方があまり自転車に乗ったことがないということがあり、お互いの動きを理解し自転車を巻き込まないために、事業者と自転車団体が自転車の教習で相互理解を深め、道路の中でお互いが上手く使っていくための方法論や理解を深める取組事例もあります。
既にあるいろんな情報を使ってどうアクションするかが今求められています。一番効果的なのは、知識でいろんなことを聞くよりも一緒に自転車に乗ってみることです。リーダーを育てていくことができると、市民の方でも気軽に自転車の活動団体に自転車の乗り方を教わることができます。また、ネットワークを作るときに自分が思った意見をどこにどう言えば計画に反映されるのかということがわかりやすい形になっていないと、結果的にいろんな組織の中でやっていたとしても、上手く横につながっていかないというのがおそらく今どこででも抱えている問題だと思います。その情報を共有して、次の1歩を踏み出すために組織が必要なのか、会議が必要なのかは皆さんの意見を頂かないといけないと思いますが、それらをすることで、よりその団体が考える、もしくは中身も活性化されることが十分にありえます。
初谷座長
まず、事務局が非常に課題だと思っていることとして、市民の会はとても頑張っているが、市民の会だけで全てを市民に伝えるのは人員的に無理があるため、どのように拡げないといけないか。実際ユーザーとの接点になっているお店の状況をもっときっちりと把握し、その一つひとつから協働の取り組みを起こしていきたいがどうかという問いかけが先程ありました。理念として協働をベースに敷いて、しっかりと考えることはもちろんだが、まず協働の主体ということでは、市民の会をどのように発展あるいは拡充していくのか、もっと別の形として会議的なものも想定していくのかを少し深めないといけないのかもしれません。
事業者の方々が自転車通勤の促進に関わっていく時のバリアになっていることを取り除いていくための協働の試みが色々と考えられるという話は貴重だと思います。
主体の面では、自治会、老人会や子ども会、いろんな単位の地域の組織に浸透させるために、既にある組織を、いかに上手にこの計画と連動していくように工夫をするかをしっかりと考える必要があるだろうという意見を頂きました。
推進のメニューとしては、自転車通勤の問題や具体的なイベントを一過性にするのではなく、それ自体が事業者にとってもインセンティブになるようなイベントか何か展開できないだろうかというような話がでました。その手法をしていく中で、特に地域ごとの個性を抽出し、まんべんなく平均的なことをするのではなく、地域ごとに重点事項を明らかにした方が良いということと、非常に意欲のある進むところを、ポイントを絞って励まし、そこが全体を牽引していくような仕掛けがいるというような話があったかと思います。
先程警察のオブザーバー委員からも大変心強い話が出ましたが、啓発についてはいろんな良い媒体が既にあります。しかしどういうものがあって、どれだけ使われているのか、どれぐらい浸透しているのかの評価が遅れているというご指摘がありましたので、心がける必要があるかと思います。
武田委員
イベントでPRしたらどうかという話がありましたが、「サイクルフェスタin堺」が毎年10月27、28日に行われます。小売店、部品メーカー、完成車メーカーが参加し、去年はサイクルマンの宣伝やコミュニティサイクルの試乗会もしました。今回も、試乗会をします。
人がたくさん集まりますので、警察、市民の会、いろんな人達がそこへパンフレットとか何かを持ち寄って頂いて、そこで手渡すこともできるし、交通安全の啓発もできます。皆さん来て頂けたら、どんどん受け入れいたしますので、よろしくお願いします。
初谷座長
いろんなイベントがありますが、関係者以外は入れないというようなことを勝手に思いがちです。今チラシを見て頂いておりますが、「サイクルフェスタin堺」は10月27、28日でまだ2ヶ月ありますのでお考え頂いて、この機会に一緒にやろうよ、これから企画できるよというそういう情報のご提供でした。
では、次の「議題2 自転車条例の制定」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
議題2 自転車条例の制定
事務局説明
(資料2を説明)
初谷座長
自転車条例制定については、2つの点のご意見をお聞きしておきたいと思います。
1点目が条例の必要性です。歩行者、自転車、自動車等が共に安全に通行できる地域社会の実現を大きく掲げ、だから必要だ、ということをおっしゃっていますが、こういう必要性で良いか。条例という方法を取らなくても別の方法で課題を解決できるのではないかというようなご意見もあれば、合わせてお聞きしたい。
参考資料1で全国の自転車の条例の比較があり、自治体がどこに力を入れているのかがわかります。市民でも、自分の住まう市の条例を逐一読んでおられる方は、ほとんどいらっしゃらないと思いますので、一番新しい新潟市の条例がどういうボリュームのものかをご覧頂けるよう、私の方から事務局にお願いしました。何もことさらに新潟市を参照にしようというのではございませんが、新潟市の条例は目的規定というのが第1条にあります。そこではいろいろ目的が書かれていますが、堺でこういうことを考えるとすれば、どういう目的を実現するためにこういったルール作りというものが想定されるのだろうかという段階です。
具体的に条例の中身をどうするかといった詰めた議論はまた改めての機会ということになってくるのでしょうけれども、とりあえず、この計画作りの委員会としましては、その辺りをお聞きしたいということです。
2点目として、条例を定める時に、堺らしい特色をどう出したら良いだろうか。規定の内容もそうですが、表現や言葉を大切にしたらどうかというようなご意見もあるかと思います。
以上2点、必要性と特色の問題についてどなたからでも結構ですのでお願いします。
中村委員
条例の目的について、日本の交通社会がずっと行ってきた方向性を見直し、交通弱者の歩行者、自転車を、車と対等と考える。あるいは、人間には移動権が存在するという話もあるので、これからの高齢化社会を考えると、誰もがいずれは運転免許を返上しなければならない年齢に達した時に、自分たちは移動の権利をどう確保するか。公共交通機関やバスが今以上に充実できることは今の財政状況を考えるとなかなか難しいので、自転車、電動アシスト付自転車、電動車イスが安全に移動できるための環境整備が今非常に大事かと思います。
堺らしい特色に関して、具体的にひとつ提案すると、堺市民は運転免許を返上するとコミュニティサイクルを無料で利用できる権利を得られるというような形で、特色を出していくことは可能かなと思いました。
武田委員
既に法律や、交通規則とかいろいろあるが、どれが法律違反で、どれが努力義務か、どれが推奨なのか、なかなか分からないので、もう少しわかりやすくイラストを使うなどして市民の人に知って頂く。傘をさして自転車に乗ることはいけないという規則ができましたが、どういう状態なのか。大阪府の交通安全ルールブックでは、お母さんが自転車に乗って片手でさしているイラストがあり、よくわかります。
一番良いのはカッパを着ることだが、今でも雨の時には、片手で傘をさす一番危ない状況で自転車に乗っている人がいます。それを解決するために、傘を自転車に固定する物を付けてやると、傘を手で持つより事故ははるかになくなっています。視野を妨げるとか、安定性が悪いとかがあるので、条例に、傘を固定する場合にはこういうことを守りなさいよということを付け加えたらどうか。強風の時には使わない、人ごみの中では使わない、視野を確保するための角度を調整しなさいということを付け加えれば、それで十分足りると思います。
初谷座長
条例案の議論をするときに、先に条文ありきで考えると、その条文がどのような場面に適用されるかというように発想しがちですが、そもそも何のためにこういう条例をつくらないといけないのかという事実関係をきちんとビジュアルに理解して、それを規制したりあるいは促進したりするために、条文の言葉はどうあるべきかという発想をしていった方がよいという事にもつながっていきます。今の事例も交え、何が違反で、何が努力、推奨かという種類をきちんとすることと、それがわかりやすく周知できるようにすることの2段構えが必要という、とても良いご意見だと思います。
参考資料1の題が、「自転車安全利用条例の比較」と書かれているが、最新の新潟市の条例名を見ると、安全と言うよりは快適やまちづくりが出てきています。新潟市のいろんな資料を読んでいくと、それなりの事情があってこういう表現や名前になっています。
ある条例をある自治体がつくった場合、それが良いものですと、全国の自治体がどんどん真似をして、同じような条例をつくっていきます。ところが、途中で新潟市さんは、ハタと考えられたのだと思います。「新潟市にとってはどういう事が本当の意味で自転車を活かすことになるのか」ということから、たぶんこのようなタイトルになったと思うのですが、堺市も、自転車という点でははるかに負けないぐらいの伝統があるわけで、はたしてこの条例の名前を考えた時に、安全利用ということに非常に重きを置いているが、どうでしょうかということから考えて頂くと、「目的」についての議論はしやすくなるのではないでしょうか。
江原委員
当社は自転車の部品を作っております。海外工場のメンバーも含めてうちの従業員が作った自転車が、簡単に捨てられてしまっているとすごく悲しい。「自転車を大切に」というのを、何かキーワードで入れたらどうかと思います。
条例が必要かどうかについては、私としてはあった方が良いと思います。なぜなら、堺市のはっきりとした意思表示で本気度を示すということだと思います。ただしプレスリリースする際には、自転車のためだけにならないように、責務についても、そこはPRしといた方が良いと思っています。それと同時に、アクションプランがあって、すぐに実行できるものをセットにすると、本気でやるのだということが、市民の方に伝わりやすいと思います。
初谷座長
新潟で条例制定の時もパブリックコメントとかかけておられますが、やっぱり同じようなご意見があったようです。「条例だけ作ってもしょうがない。動きが伴わないと駄目だ。」といったご意見があったように記憶していますが、吉田座長代理ご専門としていかがですか。
吉田座長代理
市民協働の話に関わってきますが、責務の書き方が少しずついろんな自治体で違っており、行政関係だけで留まっている場合、自転車を売った時にちゃんとルールさえ周知してくれたらそれで良いという場合、自転車の小売店への義務化が入ってくる場合などがあります。
実効性をどう持たせるかと、それをどのように担保するかは表裏一体なので、今回の安全に関して言うと、誰がそのルールを伝えるか、どのポイントで伝えるかが一番の焦点になっていると思います。事務局案だと、事故を減らすことがベースになっており、交通事故に遭った方も、巻き込まれた方も、事故を引き起こした方も、双方が苦しむことがないというように保険の義務化と販売店さんが売る時にルールをしっかり教える。例えば家電を買うと必ず説明書が入っていて危険事項が書いてある、不動産であれば、必ず専門の知識を持った人がなかなか分からないリスクに対してきちんと専門家として説明をするのと同様に、自転車を乗るというのはこういう事がありますよ、だからこういう保険に入って下さい、ということをきちんと説明した上で物を売る。あわよくばもうちょっと乗るのも教えてほしいといった時に、売るのがプロの販売店さんより乗るのがプロな人達にちゃんと引き継ぎができるようにするというような仕組みが重要です。そうすると責務の中に市民団体も関わってくる。
ドイツのある州では年間に最低10時間以上は自転車のことを教えることを、条例のような形で定めている事例もあるので、堺市でも学校の中で、そういう最低保証のような形で教育の時間を定めるのも1つ方法だと思います。
実効性を考えていく上で、誰が、どこが足りないから、そこを埋めていくために、やっぱりこういう条例がないと支援ができません。結局、大阪市で問題になっているのは、中古の自転車屋さんが、放置された自転車を安く仕入れてそのまま売っているだけで、全くルールを教えずにその放置自転車がどんどん循環しているという状況である。大阪市さんもそういうところにきちんと中古自転車業者さんも含めて販売者側が責任を負うようにするには、こういう条例がないと、なかなか物が言えないので、検討しているという例もあります。
堺市さんの自転車利用の中で、自転車を大切に使いたいということも含めて、何が問題で、それを誰が責務を負うべきかについて具体的に考えれば要素としては出やすいと思います。
初谷座長
今、とてもきめ細かく注意すべきところを指摘して下さいましたが、どの段階で、どういうことを守ってもらうとようにすると、実効性があるのかという一連の循環していく流れを意識しながら条文のイメージをつくっていきましょうねということだと思います。
武田委員
PL法(製造物責任法)ができた時に、我々の組合で、共同でいろんな事故事例などを集めて、1つの取扱説明書を作りましたが、いろんな法律や規則の中に、取扱説明書を読みなさいという条文は無いような感じがします。取扱説明書を見なくてもすむような商品というのはありますが、自転車の場合は必ずメンテナンスが伴うので、取扱説明書をきっちり読み、点検をして頂いて、初めて保障されますので、必ず取扱い説明書を読んでいただきたい。
中古自転車にも取扱説明書がついてれば良いが、無ければその業者はそれに代わる取扱説明書や乗り方に関するものをつけるということを、条例の中に入ればと思います。
初谷座長
具体的な今までの頑張ってこられた取組みを反映した表現のご提言を頂いています。
目的に一番大事な安全が出ていますので、その辺りについて浦委員さんいかがでしょうか。
浦委員
この条例にどれぐらい効果や効力があるのかまだわかりませんが、一番の交通弱者に障がい者が入ってくると思いますので、その点を少し強調した条例を作って頂きたい。どうこうという条例の案があるわけではないので、どの範囲までつくるのかわかりませんが、全国の色々出ています条例の中には、障がい者という言葉は出てこないし、どういう表現が良いのかわかりませんが、障がい者を位置づけて頂きたいと思います。そうすると、堺市としての条例にいろいろな障がい者を重視した点も出てくると思います。
初谷座長
言葉だけで交通弱者って言うのではなく、その内容まできちっとよく考えながら、実際には条文を起案して考えていって頂きたい。そのことが、堺の条例の特色にも繋がっていくのではないかというお話でした。
堺らしい特色ということになると、どういう点に気をつけないといけないでしょうか。
小山委員
自転車との共生の、走る空間、停める空間、そして守ることを大切にする。それプラス堺らしいのは自転車を活かすまちや市民全体が市民の会に入るような意気込みを表明できたらなと思います。
初谷座長
市民全員が市民の会に入るというのは、別に荒唐無稽な話ではなく、かつて市町村合併が盛んだった時に、地域を活性化するために、ある地域の方が全員、まちづくりのためのNPO法人の会員になったというケースもあります。具体的にはどうするかという方法のアイデアとしては十分成り立つ話です。
条例については、特に必要性の部分について、移動権の保障、自転車の大切さや価値がないがしろにされがちで本当に水や空気と同じようになってしまっているのを、もう一度大切にする思いを少し織り込めないか、それから先程の交通弱者の問題を念入りにご議論頂きたい、という話がありました。事務局より25年度に、条例の制定を目指して努めていくという話もありましたので、これからまたいろいろなご議論があろうかと思いますが、今日のご意見も大切な1つとして、事務局でしっかりと検討して頂きたい。
議題の3の利用促進につきまして、事務局からご説明お願いします。
議題3 利用促進
事務局説明
(資料3を説明)
初谷座長
利用促進については第1回の懇話会で皆さんからいただいたいろいろな意見が、報告1の資料にも書き足されてあります。今日限られた時間で特に意見を頂きたいのは現在実施されている事業や施策のやり方や実際にもっと利用が促進されるためには、本当のところ何をしたら良いのだろうという部分について、もう少しご意見を重ねたいと思います。
中村委員
市民の会もいろんな活動をしている中で会員の数を増やすことが、大きな課題でもあります。市民の会に入って良かったと思って頂くためにはどうしたら良いか。乗ったら楽しいという事が一目瞭然なので、市民の会でサイクリングをしています。ただ、市民向けのサイクリングはそれなりの準備が必要なので、1年に1~2回しか行えません。交通ルールの勉強も8月にしました。前回はパンク修理の講習も市民の会のメンバーで行いました。そうして、市民の会のメンバーの能力の向上、資質の向上という活動をコツコツと続けております。
観光サイクルサポーターによる市内観光に関してもやはり市民の会として取り組まないといけません。サポーターを養成するためには何をすべきかということにも取り組んでおり、私も観光ボランティア協会に入会しました。市民同士の協働ですが、観光ボランティア協会というNPO法人と、堺自転車のまちづくり市民の会は、どう協働して自転車のツアーを立ち上げるか、観光サイクルサポーターによる市内観光を充実そして発展させるのか、ということについても、今取り組みを始めているところです。
初谷座長
先般の震災以降、帰宅困難の問題が、全国的にクローズアップされ、自転車の価値が改めて違った角度からも見直しが進んでいます。防災に限りませんが、今ここで市民のサイクリングっていうのは、非常に乗って楽しい、観光など見て楽しいメニューがいろいろと出てきていますが、もう少し実利的あるいは必要性という点で、自転車を利用する機会を設けられるのではないか。または、こういう手段で自転車を使うと良いのではないかなど、何かお気づきの点はございませんか。
上畑委員
サイクル&ライドについて、公共交通の中では電車なりバスでというのは、低炭素で非常に優しいというのは、よく言われる話であり、我々としても理解はしています。コミュニティサイクルを利用される方は片道通行でして、ボリュームが足らなくなるとそれが放置自転車の原因にもなり周辺の市民の方々から、いろんなお話をちょうだいすることになります。
公共事業者と行政だけでその場所を確保するのはなかなか限度あります。法律上駐輪場を作る義務がありますので、例えば近くにある商業施設の部分を時間的に開放するとか、例えばその近くにある公共施設や半公共施設、病院について、一部堺市さんから働きかけて頂いて、いわゆる既存の場所や施設というものを上手く活用することで、補って頂ける方法がないのかなと思う次第です。
江原委員
自転車の駐輪場といえば、探さないとありません。駐輪場のマークを、例えば堺市で決めてしまって、それを私有地と公共地でちょっと違うぐらいにした駐輪場の共通のマークなんかがあって、ここは置いても良いよというのがはっきりすると、使いやすいかなと思います。ヨーロッパでもありますが、結局、自転車、自転車とバス、もしくは自転車と電車で行った方が車で行くより、楽だし安いし良いなと思われるような仕組みにしていくのが、一番利用促進には効果があると思います。
初谷座長
今の意見もすごく具体的です。マークといえば、千代田区を歩いていると、路上喫煙禁止のマークがいたる所の歩道に埋め込まれており、そのマークを見たら自然に手が止まってしまうという話があります。
武田委員
コミュニティサイクルの、定期利用はすごく増えて満杯状態になっていてすごく良い傾向ですが、一時利用はあまり進んでいません。定期はカードで1カ月借りることができます。一時利用は、1回300円払って終わりかなと思ってカードを捨ててしまうことがありますが、カードは6カ月間使えます。たまにしか乗らない人も6カ月間300円、300円とすごく有効的に使えますので、もうちょっとPRをしたら、一時利用が増えてくるのではないでしょうか。
初谷座長
結構細かなツールでメリットが知られていないものがいろいろありそうな感じがします。媒体もそうですし、隅々までよく見えてないというような観点から何かないですか。
中村委員
コミュニティサイクルのポートを堺東の路上に置くことによって、すごく利用が増えたというのを聞きますと、目に見えて何かが変わっているというのは非常に大きな力を持つのがわかります。我々は「自転車は原則軽車両で、車道を走る」ことを共有しているが、世の中には全然広まっていないのが現状です。これを打破するにはやはり車道の上に自転車レーン、堺市はブルーのレーンを引いていますが、これを引くことが一番効果があると思います。ですから、これをとりあえず引けるところから増やしていく。そうすると、自転車は歩道ではなくて車道のブルーのところを走るということが、自転車を利用する人そして車を利用する人もわかれば、それなりの対応を皆さんとれるので、その辺のところを本気で何とかできないものかと思っております。
議題4 その他
川端委員
自転車はどこを走ったら良いのか。自転車の走るところが定まってないと思います。自転車は歩道を走ると歩行者の邪魔になるから走ったら駄目。自動車のところを走ったら、「邪魔になるやないか」って言われて、自転車はいったいどこを走っていったら良いのか。一般論で、道の左を走ったら良いというのは、習いましたが、自転車はいったいどこを走ったら、ルール上いけるのでしょうか。
また、事故について聞きたいのですが、自転車はどう悪くて、自動車に当たっていくのか、歩行者に当たっていくのか。どんな事故が自転車は多いのかを聞きたいと思っています。
初谷座長
利用促進については、市民の会の活動の内容をさらにどう充実、強化させるか。サイクル&ライドの場合の利用促進するための民間の他の主体がどう協力するとか、駐輪場のマークの問題など、いろいろと具体的なご提案を頂きましたので、この辺りを加味しまして、利用の促進は少し厚みが出てきたかなと思います。
突然お尋ねするとお困りかもしれませんが、オブザーバー委員の方で、今の疑問に対して、お答え頂けそうですか。
桂木オブザーバー委員
どこを走ったら良いのかというご質問ですが、自転車は車両ですので、原則は車道。ただ、自転車が歩道を通れる時も、自転車通行可とか、子どもさんとか高齢者の場合は歩道を通れますよという形で、法律上なっております。また、駐車車両が多いとか、自動車が頻繁に通る道路であれば、年齢とか関係なく歩道を走れますが、原則、自転車は車両ですので、車道の左端を走って頂くという形になります。
川端委員
自転車に乗り車道を通ると邪魔になると言われましたが、自動車の運転手の方はそのことを知っておられるのですね。
桂木オブザーバー委員
車の免許をお持ちの方は更新時講習や各種講習で、自転車は車道を走るものであるので、自転車が車道を走っている時に警笛を鳴らしたり、邪魔だとか言ったら駄目ですよという教育はさせて頂いています。しかし、おっしゃるとおりの場面があると思いますので、その辺は、強力な教育、講習をしていきたいと考えております。
川端委員
どういう事故が多いですか。
桂木オブザーバー委員
自転車と歩行者の事故は、歩道上が多いです。自動車と自転車の場合は、交差点付近の車道。具体的な統計資料がありませんが、交差点周りが多いです。自転車と自動車の事故の場合は車道上での事故が多く発生しております。
中村委員
交差点での出合い頭の事故が、事故の7割ぐらいを占めていると言われています。
初谷座長
自動車の運転手ももっとしっかりと勉強しないといけないんだなということが、とてもよくわかりました。
議題4のその他につきましては、大変申し訳ありませんが、今のお尋ね1件で終了させて頂きたいと思います。進行を事務局にお返しします。
このページの作成担当
建設局 サイクルシティ推進部 自転車企画推進課
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