事業所紹介 社会福祉法人堺あかり会 西陶器保育園(堺市障害者雇用貢献企業)
更新日:2022年8月2日
堺市では、市内中小企業における障害者雇用を促進し、経営の安定を図るため、「障害者雇用貢献企業認定制度」を実施しています。
今回は、社会福祉法人堺あかり会が運営されている「西陶器保育園」にお話を伺いました。
企業概要
- 取材先
社会福祉法人堺あかり会 西陶器保育園
平成21年11月 堺市立西陶器保育所の移管先法人に選定
平成23年4月1日 「西陶器保育園」 開園
平成25年4月1日 「西陶器保育園分園」 開園
- 所在地
堺市中区田園951
堺市中区田園980-6(分園)
- 園長
古谷 優子
- 事業内容
障害児保育・延長保育・一時預かり・休日保育・地域子育て支援活動
西陶器保育園
西陶器保育園分園
障がい児保育の取り組み
保育室
障がいのある子ども一人ひとりの発達過程を障がい・発達・生活の3つの視点から理解し、発達しつつある存在として捉え「きっと大丈夫」と一人ひとりに必要な指導援助を行い、ノーマライゼーションの理念に基づく保育を行っています。
保護者やかかりつけ医師、担当保育士・看護師・栄養士・嘱託医との連携をとり、地域の専門機関のアドバイスをうけながら見通しをもった保育を心がけています。また、 障がいのある子どもの保護者への援助やプライバシー保護には常に留意し、他の保護者に対しても障がいへの理解が深まるようにつとめています。
障がい者雇用のきっかけ
きっかけは開園の際に、社会福祉法人大阪府障害者福祉事業団 就労移行支援事業所 じょぶライフだいせんの方から雇用の検討をしてほしいと連絡があったことでした。
もともと、当法人理事長が障がいのある子どもにかかわる職に就いており、その理事長のもとに集まったスタッフですので障がい者の方を雇用するということには抵抗はありませんでした。
真面目に頑張って働いていただける方であれば障がい者の方でも採用を検討しています。
採用にあたっても最初から障がい者に対する固定観念や先入観がなかったので、自分たちの努力で解消される事象であれば特に問題にならないだろうと考えておりました。
業務の分担
現在は、分園も含めて5人の障がい者の方と一緒に働いています。
業務内容についてはいろいろあります。掃除、洗濯、調理補助、草木の世話などです。
「洗濯物を干してね」の一言ではなかなか理解されません。そこで、最初はうまくできなくても、実際にハンガーを使って具体的に説明すると、きれいに干してくれるようになります。
また、以前に菜園の雑草取りをお願いしたところ、雑草と雑草でないものの区別がつかず園児が植えた玉ねぎの苗もとってしまったことがありました。(また植え直してことなきを得ましたが・・・。)
彼らを責めるのではなく、我々が彼らに理解してもらえるように業務の指示をするべきだったと反省しました。どうすれば、彼らに理解してもらえるかということを考えるのも我々の仕事です。
業務内容を具体的に、実際に一緒にやってみながら一つずつ覚えてもらっています。また、手順を写真に撮って貼っておくと、それを見ながら確実に仕事をすることができることもわかりました。
こちらが諦めてしまうと続かないと思っているので、仕事に慣れる時間は約半年程度を考えています。そして、ある1つの仕事がマスターできれば、1つずつ仕事を増やしていきます。
今では、子どもたちの手がたがいっぱいの窓やドアのガラスを毎日ピッカピカに拭いてくれます。廊下・教室の床も水拭きができないので、かたく絞った雑巾で汚れを拭き取った後、乾いた雑巾できれいに拭きあげてくれます。
手順を一回覚えてくれると、自分のペースで丁寧に、汚れはひとつ残らずきれいに仕上げてくれます。そのため、来客の皆様方からは「きれいですね。」とのお言葉を頂戴することが多く、彼らには感謝しています。
園内の清掃
草木の手入れ
調理補助
今、調理補助をしてくれている女性ですが、最初から調理補助のつもりで雇用したわけではなく、いろいろな話をしているうちに、彼女が料理好きなことや、職業訓練校でパンを作っていたことがわかり、「じゃ、1回やってみよう!!」ということになって洗い物や片付け、調理補助をお願いしています。
製品を作る工場の様なところは、機械に合わせないといけないこともありますが、私達の職場は、臨機応変に対応できます。始めはやってみたい仕事を言い出せない方でも、2つ3つ業務を提示して「どれが好き?」と聞くと、「掃除したい」、「水撒きしたい」など、希望を言ってくれます。
どんな仕事が向いているかを見極めるのはとても大変です。彼らに長続きしてもらおうと思うと、最初が肝心です。保育施設ですので、本当に日常的な生活の中でも、しておかなければならないような仕事がたくさんあります。どの仕事が向いているかをきちんと見極めて、そしてその仕事を彼らが嫌がることなく、あるいは習得できる程度の仕事を提供するまで持って行くのがとても大事だと考えています。
すぐには実現できなくても、いずれ自立出来ればという彼らの思いが叶うようにしてあげたいと思っています。
コミュニケーションの大切さ
一緒に働いていくうえで難しい問題の一つに体調管理があります。
暑い、寒いを自分から言い出せない、体調が悪くても言い出せずに最後まで頑張ってしまう、といったことがあります。
そこで、毎朝必ず職員室に来て出勤時間を記入する際、あいさつだけではなく「ちゃんと寝てる?」「体調は、大丈夫?」というように、ちょっとした世間話をするようにしています。彼らのその日の状態の見極めを必ず行っています。
また、給食の時間も大切です。一緒に食べているといつもより食べる量が少ないことにも気が付き、体調が悪いことも早めに知ることができます。給食の時間には本音も出やすいので、普段は伝えにくいことも話してくれたりします。
職場にいるときは我々が支援できても、日常生活においては踏み込めないことも多く、私達だけではサポートが難しいこともたくさんあります。
きちんと彼らをあらゆる方面から支える体制を作っていかないと、社会で共生することは難しいと思います。私達もいろいろな立場から彼らをサポートしてくださっている方たちと連絡を取り合っています。それをしないと彼らも自分の思いを全部伝えるのはなかなか難しいと思います。
彼らを支えながら、彼らにも我々を支えて貰いながらみんなで力を合わせています。
受け入れ体制の確保
園長 古谷 優子 さん
こうして障がい者の方を雇用した背景には、障がい児のお母さん自身が病気や障がいをお持ちの方がたくさんおられることも理由の一つです。その方たちをサポートしていこうと思うと、私たちはその方たちが前向きになれるような体制を実践する必要があると考えています。
十人十色でいろんな方がいます。ある一部を見て「この人は頼りにならない」と決めつけてしまっては、働いてもらえないと考えています。障がいの種類によってはなかなか現場で働いてもらいにくいこともあるかと思いますが、働きたい・頑張りたいと思う方を、出来れば色んな形で働いてもらえるようにしていけるような受け入れ体制が出来ればと考えています。
個人個人に合った仕事内容を見つけ出し、辛くない程度に、できることから少しずつ、長く働いていただけるように、また、可能な限り彼らが自立して社会で一緒に生きていけるようにと願っています。
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