○堺市歯科口腔保健推進条例
令和3年3月31日
条例第23号
市民が生涯にわたって質の高い生活を送る上で、歯と口腔の健康を保持することは大変重要である。また、歯周病と全身疾患や口腔衛生と感染症との関連が指摘されるなど、歯と口腔の健康は、全身の健康保持に基礎的かつ重要な役割を果たしている。
そこで、市民一人ひとりが歯科疾患の予防に取り組むとともに、誰もが生涯にわたって継続して必要な歯科保健医療を受けることができる環境を整備し、関係者が相互に連携を図り、歯科口腔保健に関する取組を推進するためこの条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、歯科口腔保健の推進に関する法律(平成23年法律第95号。以下「法」という。)の趣旨にのっとり、本市の歯科口腔保健の推進に関し、市の責務等を明らかにするとともに、本市における歯科口腔保健の推進に関する施策(以下「歯科口腔保健推進施策」という。)の基本的な事項を定めることにより、市民の生涯にわたる健康の保持及び増進に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例における用語の意義は、法において使用する用語の例による。
(1) 歯科医療等関係者 歯科医療等業務に従事する者及びこれらの者で組織する団体をいう。
(2) 保健医療等関係者 保健、医療、社会福祉、労働衛生又は教育に係る施策その他関連施策に係る業務に従事する者であって歯科口腔保健に関する業務を行うもの(歯科医療等関係者を除く。)及びこれらの者で組織する団体をいう。
(3) 事業者 市内の事業所において従業員を雇用して事業を行う者をいう。
(基本理念)
第3条 歯科口腔保健推進施策は、次に掲げる事項を基本理念として行うものとする。
(1) 歯科口腔保健が健康寿命の延伸及び生活の質の向上に重要な役割を果たしているという認識の下、市民が、歯科口腔保健に関する正しい知識を持ち、生涯にわたって日常生活において行う歯科口腔保健に関する取組を促進すること。
(2) 乳幼児期から高齢期までのそれぞれの時期における口腔機能及び歯科疾患の特性に応じて、適切かつ効果的に歯科口腔保健を推進すること。
(3) 保健、医療、社会福祉、労働衛生又は教育に係る施策その他の関連施策との連携を図り、その関係者の協力を得て、総合的かつ計画的に歯科口腔保健を推進すること。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念に基づき、歯科口腔保健推進施策を総合的かつ計画的に推進するとともに、必要に応じてその結果を検証する責務を有する。
2 市は、歯科口腔保健推進施策に関し、歯科医療等関係者及び保健医療等関係者との相互の連携及び協力に努めるものとする。
3 市は、事業者が行う歯科口腔保健に関する取組の効果的な推進を図るため、情報の提供、助言その他の必要な支援を行うものとする。
(歯科医療等関係者の責務)
第5条 歯科医療等関係者は、良質かつ適切な歯科医療及び歯科保健指導を行うよう努めるものとする。
2 歯科医療等関係者は、歯科口腔保健の推進に関し、保健医療等関係者との連携に努めるとともに、歯科口腔保健推進施策に協力するよう努めるものとする。
(保健医療等関係者の責務)
第6条 保健医療等関係者は、歯科医療等関係者との連携及び相互の連携により、市民の歯と口腔の健康づくりを推進するとともに、歯科口腔保健推進施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第7条 事業者は、雇用する従業員に対する歯科検診及び歯科保健指導の機会を確保し、歯と口腔の健康づくりを推進するとともに、歯科口腔保健推進施策に協力するよう努めるものとする。
(市民の役割)
第8条 市民は、歯と口腔の健康づくりに関する正しい知識及び理解を深め、歯科口腔保健推進施策を積極的に活用すること等により、自ら歯と口腔の健康づくりに取り組むよう努めるものとする。
(歯科口腔保健推進施策の基本事項)
第9条 本市の歯科口腔保健推進施策の基本となる事項は、次のとおりとする。
(1) かかりつけの歯科医師との連携による乳幼児期から高齢期までの生涯にわたって継続した歯科疾患の予防及び口腔機能の維持向上のための施策を推進すること。
(2) 家庭において乳児期からの良好な歯と口腔環境を確保するため、母子保健事業における必要な施策を推進すること。
(3) 認定こども園、保育所、地域型保育事業、幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の関係者並びに歯科医療等関係者及び保健医療等関係者との連携による歯と口腔の健康づくり教育並びに科学的根拠に基づく効果的な歯科口腔疾患の予防のための施策を推進すること。
(4) 保護者による適切な歯と口腔の健康づくりが行われていない子どもに必要な対応等に関する施策を推進すること。
(5) 成人期における歯科口腔疾患の予防及び口腔に発症するがんの早期発見並びに高齢期における口腔機能の維持に必要な施策を推進すること。
(6) 災害時における歯と口腔の衛生保持に必要な施策を推進すること。
(7) 歯と口腔の健康づくりに関する教育及び食育を推進すること。
(8) 地域における歯科口腔保健に関する現状の取組状況に対応した施策を推進すること。
(9) 歯科口腔疾患に関連する糖尿病、循環器疾患その他の疾病及び喫煙による歯科口腔疾患への影響に対する施策を推進すること。
(10) 障害者、介護を必要とする高齢者及び妊産婦等の定期的な歯科検診や歯科医療を受けることが困難な者を対象とした施策を推進すること。
(11) オーラルフレイル(口に関するささいな衰えを放置したり、適切な対応を行わないままにしたりすることで、口の機能低下や食べる機能の障がい、更に心身の機能低下までつながる状態をいう。)の予防に必要な施策を推進すること。
(12) 地域包括ケアシステム(地域における医療及び介護の総合的な確立の促進に関する法律(平成元年法律第64号)第2条第1項に規定するものをいう。)において歯科医療等関係者及び保健医療等関係者との緊密な連携を推進すること。
(13) 歯科医療等関係者及び保健医療等関係者の人材確保及び資質の向上に必要な施策を推進すること。
(14) 歯科口腔保健に関する情報の収集、調査及び研究を推進すること。
(15) 前各号に掲げるもののほか、歯科口腔保健の推進に必要な事項に関すること。
(推進計画の策定)
第10条 市は、歯科口腔保健推進施策を総合的に推進するため、前条に規定する基本事項の推進について定める歯科口腔保健の推進に関する計画を策定するものとする。
(財政上の措置)
第11条 市は、歯科口腔保健推進施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(議会への報告)
第12条 市長は、毎年度、本市の歯科口腔保健推進施策の実施状況等を取りまとめ、その概要を議会に報告するものとする。
(公表)
第13条 市長は、本市の歯科口腔保健推進施策の実施状況について公表するものとする。
(委任)
第14条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が定める。
附則
この条例は、令和3年4月1日から施行する。