○堺市超高齢社会に対応するための地域包括ケアシステムの推進に関する条例

平成30年9月28日

条例第43号

可能な限り住み慣れた地域で、高齢者が尊厳をもって人生の最期まで自分らしく暮らし続けるためには、社会保障制度はもとより、医療、介護、介護予防、住まい及び生活支援が一体的かつ継続的に提供される地域包括ケアシステムの構築及び深化・推進が必要である。

地域包括ケアシステムは、市、医療介護等関係者及び市民等の協働によるまちづくりであり、地域の特性に応じてつくり上げていくものである。

私達一人ひとりが支え合いながら、「安心ですこやかに、いきいきと暮らせるまち堺」を実現し、これを世代を超えて受け継ぎ、いつまでも安心して心豊かに暮らし続けることができるよう、ここに地域包括ケアシステムの構築及び深化・推進について、共に力を合わせて取り組むため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、地域包括ケアシステムの構築及び深化・推進(以下「地域包括ケアシステムの推進」という。)に関する基本理念を定め、市の責務並びに医療介護等関係者及び市民等の役割を明らかにするとともに、地域包括ケアシステムに関する施策の基本となる事項を定めることにより、当該施策を効果的に推進し、もって高齢になり何らかの支援が必要となった時も、自分らしく、住み慣れた地域で安心して心豊かに暮らし続けることができる地域社会の実現に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例における用語の意義は、次項に定めるもののほか、介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)及びこれに基づく命令等において使用する用語の例による。

2 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 地域包括ケアシステム 地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(平成元年法律第64号)第2条第1項に規定するものをいう。

(2) 医療介護等関係者 医療、介護、介護予防、住まい及び生活支援の各分野に関わる事業者、従事者等をいう。

(3) 市民等 本市の区域内(以下この号において「市内」という。)に住所を有する者及び市内に存する学校、事業所等に通学し、又は通勤する者をいう。

(4) 介護予防 要介護状態若しくは要支援状態となることの予防又は要介護状態若しくは要支援状態の軽減若しくは悪化の防止をいう。

(5) 自助 自分らしい生活を続けていくため、自らのできる範囲で、健康づくり、介護予防等に自ら取り組むことをいう。

(6) 互助 自助だけでは自分らしい生活を続けていくことが困難な場合において、家族又は地域の支え合い等によりお互いが助け合うことをいう。

(7) 共助 介護保険その他の社会保険の制度を始め、その仕組みが組織化され、及び制度化された地域の助け合い活動等により、共に助け合うことをいう。

(8) 公助 自助、互助及び共助では支えきれない部分を、税による社会保障等により行政において補完することをいう。

(9) 自立支援 自らの意思に基づき、自分らしく、自立した質の高い生活を送ることができるよう支援することをいう。

(10) 地域づくり 市民等が共に支え合い、助け合い、及び気遣い合って誰もが安心して快適に暮らしていける地域をつくるための活動をいう。

(基本理念)

第3条 地域包括ケアシステムの推進に当たっては、法の趣旨に基づき、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

(1) 地域包括ケアシステムは、高齢者の尊厳の保持及び自立支援を基本とすべきものであること。

(2) 地域包括ケアシステムは、市民等で支え合う持続可能な本市の介護保険制度の構築に資するもので、地域の自主性及び主体性に基づき、地域の特性に応じてつくり上げていくべきものであること。

(3) 地域包括ケアシステムは、市、医療介護等関係者及び市民等が、それぞれの役割を理解し、協働して構築及び深化・推進をしていくべきものであること。

(4) 地域包括ケアシステムは、市、医療介護等関係者及び市民等が、自助、互助、共助及び公助の考え方に基づき、適切な役割分担の下に行うべきものであること。

(5) 市民等は、支える側と支えられる側とが固定されたものではなく、個々の状態に応じて、それぞれが役割を持ち、相互に支え合うべきものであること。

(市の責務)

第4条 市は、地域包括ケアシステムの推進に関する施策(以下「ケアシステム推進施策」という。)に係る総合的な計画を策定し、効果的に実施するものとする。

2 市は、ケアシステム推進施策を実施するに当たり、医療介護等関係者及び市民等と相互に連携し、及び協働するよう努めるものとする。

3 市は、自助、互助、共助及び公助の考え方における市の役割を踏まえ、地域づくりを促進するため、必要な支援を行うものとする。

4 本市の行政に携わる者は、この条例の基本理念を理解し、尊重した上で行動しなければならない。

(医療介護等関係者の役割)

第5条 医療介護等関係者は、その属する医療機関、事業所等において地域包括ケアシステムの推進に向けた同一の目標を共有し、積極的に地域づくりに貢献するよう努めなければならない。

2 医療介護等関係者は、介護予防及び自立支援について効果的に実施するため、それぞれの役割を十分認識した上で、必要な情報の共有を図るとともに、医療、介護その他高齢者の自立した日常生活の支援に関わる分野における連携を図るよう努めなければならない。

3 医療介護等関係者は、市が実施するケアシステム推進施策に積極的に協力するよう努めなければならない。

(市民等の役割)

第6条 市民等は、いつまでも自分らしく暮らし続けることができるよう、介護予防及び健康の保持増進に努めるものとする。

2 市民等は、住み慣れた地域においてのみならず、社会の各分野においても、地域包括ケアシステムの推進に協力するよう努めるものとする。

3 市民等は、一人ひとりが自らのこととして、主体的に地域づくりに取り組むよう努めるものとする。

4 市民等は、市が実施するケアシステム推進施策に積極的に協力するよう努めるものとする。

(学びの場の提供及び啓発活動)

第7条 市は、市民等のあらゆる世代に対し、地域包括ケアシステムを理解するため、次に掲げる事項に関する学びの場の提供に努めるものとする。

(1) 高齢者の尊厳の確保の重要性に関する事項

(2) 互いに支え合うことの重要性に関する事項

(3) 自助、互助、共助及び公助に係る考え方に関する事項

(4) 前3号に掲げるもののほか、地域包括ケアシステムに関する事項

2 市は、次に掲げる事項について医療介護等関係者及び市民等に周知し、その理解を深めることを目的とする広報その他の啓発活動を実施するものとする。

(1) 地域包括ケアシステムの趣旨、目的、必要性等に関する事項

(2) 介護予防及び自立支援に係る考え方に関する事項

(3) 介護予防の重要性及び方法に関する事項

(4) 前3号に掲げるもののほか、地域包括ケアシステムを推進するために必要な事項

(情報の収集、発信等)

第8条 市は、地域づくりにおける具体的な事例その他の地域包括ケアシステムに関する様々な情報を収集し、医療介護等関係者及び市民等に発信するとともに、これらの者の交流の場の創出等に関する支援に努めるものとする。

(施策の見直し)

第9条 市は、ケアシステム推進施策の実施状況並びに医療介護等関係者及び市民等との適切な役割分担を踏まえた上で、ケアシステム推進施策の在り方について、定期的に検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(財政上の措置)

第10条 市は、ケアシステム推進施策を計画的かつ効果的に実施するために必要となる財政上の措置については、自助、互助、共助及び公助の考え方における市の役割を踏まえ、適切に講ずるよう努めるものとする。

(堺市地域包括ケアシステム審議会)

第11条 地域包括ケアシステムに関する事項について調査審議するため、堺市地域包括ケアシステム審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議する。

(1) ケアシステム推進施策の進捗管理に関する事項

(2) ケアシステム推進施策の検証及び評価に関する事項

(3) 前2号に掲げるもののほか、地域包括ケアシステムの推進に関する重要事項

3 審議会は、必要があると認めるときは、前項各号に掲げる事項について調査審議し、市長に意見を述べることができる。

(組織)

第12条 審議会は、委員25人以内で組織する。

2 委員は、学識経験のある者、市議会議員その他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。

(委員の任期)

第13条 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。

2 委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(会長等)

第14条 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選によりこれらを定める。

2 会長は、審議会を代表し、議事その他の会務を総理する。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、その職務を代理する

(会議)

第15条 審議会の会議は、必要に応じて会長が招集し、会長がその議長となる。

2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。

3 審議会の議事は、出席委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

(関係者の出席)

第16条 会長は、必要があると認めるときは、審議会の議事に関係のある者の出席を求め、その意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。

(分科会)

第17条 審議会は、必要に応じ分科会を設置することができる。

2 前3条の規定は、分科会について準用する。この場合において、これらの規定中「会長」とあるのは「分科会会長」と、「副会長」とあるのは「あらかじめ分科会会長が指名する委員」と読み替えるものとする。

(委任)

第18条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成30年10月1日から施行する。ただし、第11条から第17条までの規定は、平成30年12月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行後及び委員の任期満了後最初に行われる審議会の会議の招集は、第15条第1項の規定にかかわらず、市長が行う。

堺市超高齢社会に対応するための地域包括ケアシステムの推進に関する条例

平成30年9月28日 条例第43号

(平成30年12月1日施行)