○自由都市堺文化芸術まちづくり条例
平成27年3月17日
条例第4号
文化芸術は、長い歴史の中で培われてきた人間の精神性の結晶であり、創造性を育み、人が人らしく生きるための糧となるものである。
堺には、百舌鳥古墳群を始め、多くの歴史文化資源が存在しており、古くから文化芸術が育まれてきた。中世には、国際交易による繁栄のもとに「自由・自治都市堺」を形成する自治の精神が培われるとともに、「もてなしとふれあいの精神」を大切にする茶の湯が大成され、「ものの始まりなんでも堺」と称される進取の気風が育まれた。
これらの古くから堺市民に受け継がれてきた精神を次代の文化芸術の担い手である子どもたちに引き継ぐとともに、世界に発信できる新しい文化芸術を創造するためには、堺が、歴史文化資源を礎に、市民の自由で自主的かつ主体的な文化芸術活動が展開される魅力のあるまちとならなければならない。
ここに、私たちは、文化芸術を通じて、自らのまちを愛する心を共有し、誇りに感じることのできる文化芸術創造のまち堺をめざすことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、本市の文化芸術の振興について、基本理念を定め、市の責務並びに市民等、事業者及び大学等教育機関の役割を明らかにするとともに、文化芸術の振興に関する施策の基本となる事項を定め、これを総合的かつ計画的に推進することにより、自由で心豊かな市民生活の実現及び都市魅力の創造に寄与することを目的とする。
(1) 文化芸術 音楽、美術、写真、演劇、舞踊、文学、映画等のメディア芸術、芸能、伝統芸能(能、狂言その他の我が国古来の伝統的な芸能をいう。)、茶道、華道、書道その他これらに類するものをいう。
(2) 市民等 本市の区域内(以下この条において「市内」という。)に住所を有する者若しくは市内に存する学校、事業所等に通勤し、若しくは通学する者又は市内で文化芸術活動を行う者をいう。
(3) 事業者 市内において事業活動を行う全てのものをいう。
(基本理念)
第3条 文化芸術の振興に当たっては、文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であることに鑑み、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
(1) 文化芸術活動を行う者の自主性及び創造性が十分尊重されるとともに、その能力が十分に発揮されるよう配慮すること。
(2) 多様な文化芸術が、創造され、及び発展するよう配慮すること。
(3) 堺の文化芸術が古くから現代に至るまで継承されてきたことを深く認識し、これを保存し、及び未来へ継承すること。
(市の責務)
第4条 市は、基本理念に則り、文化芸術の振興に関する施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
(市民等の役割)
第5条 市民等は、文化芸術の担い手として自由で自主的かつ主体的な文化芸術活動を行うなど、文化芸術を振興する役割を担うよう努めるものとする。
2 市民等は、文化芸術活動を通じて、まちづくりに貢献するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、事業活動を通じて、自主的かつ主体的に文化芸術を振興する役割を担うよう努めるものとする。
(大学等教育機関の役割)
第7条 大学等の教育機関は、文化芸術の担い手の育成、地域との連携等を通じて、文化芸術を振興する役割を担うよう努めるものとする。
(推進計画)
第8条 市長は、文化芸術の振興に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、堺市文化芸術推進計画(以下「推進計画」という。)を策定するものとする。
2 推進計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 文化芸術の振興に関する目標
(2) 文化芸術の振興に関する取組
(3) 前2号に掲げるもののほか、文化芸術の振興に関する施策を総合的かつ計画的に実施するために必要な事項
3 市長は、推進計画を策定しようとするときは、第21条に規定する堺市文化芸術審議会の意見を聴くとともに、市民等の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
4 市長は、推進計画を策定したときは、速やかにこれを公表するものとする。
5 前2項の規定は、推進計画の変更について準用する。
(文化芸術活動を行う環境の整備)
第9条 市は、個人又は団体が文化芸術活動を行うことができる環境を整備するため、文化芸術団体を始めとする多様な文化芸術主体の活動の場を提供するとともに、当該活動に関する情報の発信その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(文化芸術に親しむことができる環境の整備)
第10条 市は、高齢者、障害者等を始め広く市民等が文化芸術に親しむことができる環境を整備するため、様々な場所での文化芸術の創造及び享受並びに芸術家との交流の機会の提供その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(学校教育における文化芸術活動の充実)
第11条 市は、学校教育において、文化芸術に触れる機会を拡充するとともに、学校教育と文化施設との連携の推進その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(将来の文化芸術を担う子どもたちの育成)
第12条 市は、子どもたちの文化芸術に対する理解を深めるとともに、感性に磨きをかけ、及び情操の涵養に資するため、子どもを対象とする文化芸術の振興に関する施策の実施その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(文化芸術を支える人材の育成)
第13条 市は、将来の文化芸術の担い手を育成するため、芸術家、文化芸術団体等の発掘、支援その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(多様な分野との連携)
第14条 市は、文化芸術が、本市の教育、子育て、福祉、環境等様々な分野に影響を及ぼすものであることに鑑み、文化芸術を活用した施策の推進に努めるものとする。
(歴史文化資源の継承及び活用)
第15条 市は、先人の英知及びその成果を現代に伝える堺の有形及び無形の歴史文化資源が、長い歴史の中で創造されてきたかけがえのない財産であることに鑑み、これらに対する市民等の理解を深め、堺の文化への愛着及び誇りの醸成を図るとともに、その魅力を広く国内外へ発信することその他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(魅力的なまちの景観の創出)
第16条 市は、まちの景観が堺の文化を育む基本的な要素の一つであることに鑑み、文化芸術の振興に資する景観の創出に努めるものとする。
(文化施設の活用)
第17条 市は、市民文化の更なる向上を図り、魅力及び活力のある地域社会の形成に資するため、文化芸術の創造、交流及び発信の拠点となる中枢文化施設並びに身近な文化芸術活動の場となる地域文化施設の活用その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(国際的な文化芸術の交流)
第18条 市は、国際的な文化芸術の交流を推進し、及び新しい文化芸術が創造されるために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(経済活動との連携)
第19条 市は、文化芸術が地域の発展に資するため、文化芸術と産業及び観光との連携の推進に努めるものとする。
(財政上の措置)
第20条 市は、文化芸術の振興に関する施策を実施するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(堺市文化芸術審議会)
第21条 文化芸術の振興に関する事項について調査審議するため、堺市文化芸術審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議する。
(1) 推進計画の策定及び変更に関すること。
(2) 推進計画の目標の達成度、効果等についての検証及び評価に関すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、文化芸術の振興に関すること。
3 審議会は、必要があると認めるときは、前項各号に掲げる事項について調査審議し、市長に意見を述べることができる。
(組織)
第22条 審議会は、委員15人以内で組織する。
2 委員は、学識経験のある者その他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。
(委員の任期)
第23条 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。
2 委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長)
第24条 審議会に会長を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 会長は、審議会を代表し、議事その他の会務を総理する。
3 会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、あらかじめ会長が指名する委員が、その職務を代理する。
(会議)
第25条 審議会の会議は、必要に応じて会長が招集し、会長がその議長となる。
2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(関係者の出席)
第26条 会長は、必要があると認めるときは、審議会の議事に関係のある者の出席を求め、その意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。
(委任)
第27条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成27年4月1日から施行する。