○堺市火災等調査規程

平成20年10月1日

消防長庁達第30号

(趣旨)

第1条 この規程は、警防対策及び予防対策に必要な基礎資料を得るため、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づき、火災原因調査(火災の原因等に係る調査をいう。以下同じ。)、火災損害調査(火災により受けた損害に係る調査をいう。以下同じ。)及び災害事故調査(災害事故に係る調査をいう。以下同じ。)(以下これらを「調査」という。)を行うことについて必要な事項を定める。

(平25消防長庁達3・一改)

(定義)

第2条 この規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 火災 人の意図に反して発生し、若しくは拡大し、又は放火により発生した消火の必要がある燃焼現象であって、これを消火するために消火資機材又はこれと同程度の効果のあるものの利用を必要とするもの(人の意図に反して発生し、又は拡大した爆発現象を含む。)をいう。

(2) 災害事故 別に定める事故(火災を除く。)をいう。

(3) 調査員 調査の業務に従事する消防職員(以下「職員」という。)をいう。

(4) 本部調査員 本市消防本部において調査の業務に従事する職員をいう。

(5) 調査責任者 本市消防署において調査の業務を統括する職員をいい、警防課長補佐の職にある者をもって充てる。

(6) 調査副責任者 調査責任者が不在の場合にその職務を代理する職員をいい、警防係長の職にある者をもって充てる。

(7) 署調査員 本市消防署において調査の業務に従事する職員をいう。

(8) 関係者等 法第2条第4号に規定する関係者(以下単に「関係者」という。)及び火災等の発見者、通報者、初期消火者その他調査について参考となる情報を提供できる者をいう。

(平24消防長庁達2・平28消防長庁達4・一改)

(調査の責任)

第3条 消防局長(以下「局長」という。)又は消防署長(以下「署長」という。)は、火災原因調査及び火災損害調査の責任を有する。

2 署長は、その管轄区域(堺市消防本部及び消防署の設置等に関する条例(平成20年条例第23号)別表に定める管轄区域をいう。)内で発生した災害事故調査の責任を有する。

(平25消防長庁達3・平28消防長庁達4・一改)

(調査体制の確立)

第4条 局長及び署長は、調査に必要な人員及び調査用器材を整備し、調査体制を確立しておかなければならない。

2 局長は、必要があると認めるときは、災害事故調査のために本部調査員を派遣するものとする。

3 署長は、必要があると認めるときは、前項の本部調査員の派遣を、局長に要請することができる。

(平25消防長庁達3・平28消防長庁達4・一改)

(調査の実施)

第5条 調査における出場区分は、別に定めるところによる。

2 調査員以外の職員は、局長が必要があると認めるときは、本部調査員に協力しなければならない。

3 署長は、調査の業務の円滑化のため調査責任者及び調査副責任者をして、署調査員の指導に当たらせるものとする。

(平24消防長庁達2・平25消防長庁達3・平28消防長庁達4・一改)

(調査の指揮)

第6条 調査の指揮は、出場した調査員のうち最高の指揮権を有する者が行うものとする。

(平25消防長庁達3・一改)

(調査の指揮者の任務)

第7条 前条に規定する指揮者(以下単に「指揮者」という。)は、調査の業務として、次に掲げる事項を行うものとする。

(1) 調査方針の決定

(2) 現場保存に関する必要な指示

(3) 関係機関との連絡調整

(4) 前3号に掲げるもののほか、指揮者が必要があると認める事項

(火災原因調査及び火災損害調査)

第8条 火災原因調査は、次に掲げる事項を究明するために行うものとする。

(1) 出火前の状況

(2) 出火原因

(3) 延焼拡大の状況

(4) 避難の状況

(5) 初期消火等の状況

(6) 消防用設備等の状況

(7) 死傷者の状況

(8) 前各号に掲げるもののほか、指揮者が必要があると認める事項

2 火災損害調査は、次に掲げる事項を究明するために行うものとする。

(1) 焼き損害

(2) 消火損害

(3) 爆発損害

(4) 人的損害

(5) 前各号に掲げるもののほか、指揮者が必要があると認める事項

(平25消防長庁達3・一改)

(災害事故調査)

第9条 災害事故調査は、火災原因調査及び火災損害調査に準じて行うものとする。

(平25消防長庁達3・一改)

(調査員の心得)

第10条 調査員は、火災等の現象及び関係法令等の調査に必要な知識の習得及び調査技術の向上に努めるとともに、次の事項を遵守しなければならない。

(1) 調査員は、相互の連絡を図り、調査業務の進行が円滑になるよう努めなければならない。

(2) 調査に際しては、関係者等の人権に配慮し、民事的紛争に関与しないよう努めるとともに、個人の自由、権利を不当に侵害したり、調査上知り得た秘密をみだりに他に漏らしてはならない。

(3) 調査員は、火災等に関係のある場所へ立ち入るときは、関係者の立会いを求めるものとする。ただし、関係者の不在その他立会いを求めることができない特別の理由があるときは、この限りでない。

(4) 警察機関その他の関係機関とは密接な連絡をとり、相互に協力して調査を行うこと。

(調査の原則)

第11条 調査は、事実の確認を主な目的とし、先入観に捕らわれることなく科学的な方法と合理的な判断により事実の立証に努めるものとする。

(火災等現場の見分)

第12条 火災等現場に出場した消防隊員(以下「隊員」という。)は、火災等現場の状況の見分及び関係者等からの情報収集に努めなければならない。

2 調査員は、火災等現場を見分し、原因の判定に必要な資料の収集に努めなければならない。

(平28消防長庁達4・一改)

(実況見分)

第13条 調査員は、火災等の原因究明のために必要があると認めるときは、火災等現場及びその他関係のある場所及び物件について、その実況を見分しなければならない。

2 実況見分は、関係者の立会いのもとに行うよう努めるものとする。

3 調査員は、実況見分の内容を明確にするため、写真及び図面により当該実況見分の記録を行うものとする。

(火災等現場の保存)

第14条 隊員は、災害活動をするに当たっては、細心の注意を払い、火災等現場の保存に努めなければならない。

2 局長及び署長は、火災等現場の保存をしなければならない。

3 火災等現場の保存は、必要最小限度の範囲及び期間としなければならない。

4 調査上特に重要な物件で変質、変形若しくは滅失のおそれのある物件については、被覆等の措置を講じなければならない。

5 火災等現場の保存の実効を図るための措置については、警防部長が別に定めるものとする。

(平25消防長庁達3・一改)

(質問)

第15条 調査員は、火災等の原因究明のため必要なときは、関係者に質問し、原因の判定の資料となる事実の把握に努めなければならない。

2 前項により知り得た事実のうち、原因の判定に必要と認められる内容については、質問調書にその内容を記録しなければならない。この場合において、記録した内容を当該関係者に読み聞かせるなどして記載事項に誤りがないことを確認し、質問調書に署名を求めるものとする。

3 調査員は、伝聞の供述を排除し、及び供述の誘導をしてはならない。

(資料の提出)

第16条 局長又は署長は、火災原因調査及び火災損害調査のため必要があると認めるときは、関係のある者に対して任意に資料の提出を求めるものとする。ただし、特に必要がある場合は、法第32条第1項及び法第34条の規定により資料の提出を命じ、又は報告を求めるものとする。

2 局長又は署長は、前項の規定により提出された資料の所有者に対し、当該資料の返還を希望するか否かの意思を確認し、返還を希望する資料については、当該所有者に鑑識及び鑑定処分の承諾を得るものとする。

3 局長又は署長は、資料の返還を希望した所有者には当該資料についての預かり書を交付し、当該資料には保管票を付するとともに、保管台帳に記録しなければならない。この場合において、当該資料の返還請求があったときは、預かり書と引換えに返却するものとする。

(平25消防長庁達3・一改)

(照会)

第17条 局長又は署長は、必要があると認めるときは、関係機関に対し必要な事項の通報を求め、又は照会するものとする。

(鑑定)

第18条 局長又は署長は、火災原因調査に必要があると認めるときは、公的機関又は学識経験者に鑑定を依頼することができる。

(平25消防長庁達3・一改)

(調査書類)

第19条 調査に必要な書類は、次のとおりとする。

(1) 火災詳報又は災害詳報

(2) 火災調査書

(3) 火災原因判定書

(4) 実況見分書

(5) 写真及び図面

(6) 聞き込み状況書

(7) 火災状況見分書

(8) 質問調書

(9) 鑑定書

(10) 損害明細書

(11) 火災損害申告書

(12) 火災による死者の状況調査表

(13) 火災による負傷者の状況調査表

(14) 前各号に掲げるもののほか、火災原因の判定、損害額の認定等の根拠となった資料等

(平25消防長庁達3・一改)

(原因の判定)

第20条 火災原因の判定は、火災の実況見分、質問その他の関係資料等を総合的に検討の上、判定するものとし、物的調査及び人的調査により裏付けを行うものとする。

(損害調査)

第21条 局長又は署長は、り災物件を詳細に調査し、損害の把握に努めるものとし、必要があると認めるときは、被災者に火災損害申告書の提出を求めるものとする。

(り災証明等)

第22条 署長は、火災等の証明書の発行事務を行う。

2 火災原因等に対する照会等の回答は、局長又は署長が行う。

3 災害事故に関する照会等の回答は、署長が行う。

(平25消防長庁達3・一改)

(職員の出頭)

第23条 火災等に関して職員が司法機関から出頭を求められたときは、当該職員の所属長は、局長に報告しなければならない。

(出火等防止対策)

第24条 局長又は署長は、調査過程において早急に出火及び事故防止対策を行う必要があると認めるときは、関係のある課長及び署長に通知するものとする。

(少年への対応)

第25条 局長又は署長は、少年(20歳未満の者をいう。以下同じ。)が関係する調査を行う場合は、少年に関する法令等の規定に配慮しなければならない。

2 少年に対する質問は、親権者、未成年後見人等で少年を現に監護する者(以下「保護者」という。)の立会いのもとに行うものとする。

3 少年の質問調書を作成したときは、立会いの保護者に署名を求めるものとする。

4 少年は、実況見分の立会い人としてはならない。

5 前3項の規定は、局長又は署長が必要があると認めるときは、適用しないことができる。

6 報道機関から情報を求められたときは、その少年の氏名を告げ、又はその者を推知させるような方法を用いてはならない。

(障害者等の対応)

第26条 障害等のある者に対する対応については、前条の規定を準用する。

(火災統計)

第27条 局長は、火災に関する統計を分析し、必要に応じて関係のある課長及び署長に送付するものとする。

(委任)

第28条 この規程の施行について必要な事項は、所管部長が定める。

この庁達は、示達の日から施行する。

(平成24年2月27日消防長庁達第2号)

この庁達は、示達の日から施行する。

(平成25年3月28日消防長庁達第3号)

この庁達は、平成25年4月1日から施行する。

(平成28年3月29日消防長庁達第4号)

この庁達は、平成28年4月1日から施行する。

堺市火災等調査規程

平成20年10月1日 消防長庁達第30号

(平成28年4月1日施行)

体系情報
第16編 防/第4章
沿革情報
平成20年10月1日 消防長庁達第30号
平成24年2月27日 消防長庁達第2号
平成25年3月28日 消防長庁達第3号
平成28年3月29日 消防長庁達第4号