○堺市長の倫理に関する条例

平成18年3月29日

条例第45号

(目的)

第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その担い手たる市長が市民全体の奉仕者として、その倫理性を自覚し、いやしくも自己の地位による影響力を不正に行使することによって、いかなる報酬も受領しないことを市民に宣言するとともに、市長が高潔性を自らすすんで市民に実証し、また市民が市長の高潔性について判断できるよう、政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律(平成4年法律第100号)第7条の規定に基づく資産等の公開に関する事項その他政治倫理の確立のために必要な事項を定め、もって市政に対する市民の信頼を確保し、公正で開かれた市政の発展に寄与することを目的とする。

(収賄罪等宣告後における釈明)

第2条 市長が刑法(明治40年法律第45号)第197条から第197条の4までに定める収賄罪等により有罪の宣告を受け、なお引き続きその職にとどまろうとするときは、市民に対する説明会を開催し、その旨を説明するものとする。

2 前項の説明会において、市民は、市長に質問をすることができる。

3 第1項の説明会の開催及び運営についての手続は、あらかじめ市長が定める。

(資産等報告書の作成)

第3条 市長は、その任期開始の日(再選挙により市長となった者にあってはその選挙の期日とし、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第259条の2の規定の適用がある者にあっては当該者の退職の申し立てがあったことにより告示された選挙の期日とし、更正決定又は繰上補充により当選人と定められた市長にあってはその当選の効力発生の日とする。次項において同じ。)において有する次の各号に掲げる資産等について、当該資産等の区分に応じ当該各号に定める事項を記載した資産等報告書を、同日から起算して31日を経過する日までに、作成しなければならない。

(1) 土地(信託している土地(自己が帰属権利者であるものに限る。)を含む。) 所在、種別、面積及び固定資産税の課税標準額、共有持分並びに相続(被相続人からの遺贈を含む。以下同じ。)により取得した場合は、その旨

(2) 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権 当該権利の目的となっている土地の所在及び面積、共有持分並びに相続により取得した場合は、その旨

(3) 建物 所在、種別、床面積及び固定資産税の課税標準額、共有持分並びに相続により取得した場合は、その旨

(4) 不動産(前3号に掲げるものを除く。)のうち、償却資産(固定資産税の課税標準額が300,000円以上のものに限る。) 資産の名称及び固定資産税の課税標準額の価額の区分(別表に定めるものをいう。以下この項において同じ。)、共有持分並びに相続により取得した場合は、その旨

(5) 当座預金、普通預金及び普通貯金(金額が300,000円以上のものに限る。) 預入先及び預入金の価額の区分

(6) 預金(当座預金及び普通預金を除く。)及び貯金(普通貯金を除く。) 預入先、預金及び貯金の種別並びにその額

(7) 金銭信託 信託先、種類及び元本の総額

(8) 有価証券(前3号又は第11号から第13号までのいずれかに該当するものを除く。) 種類、銘柄及び額面金額の総額(株券(株券が発行されていない場合にあっては、株券が発行されていたとすれば当該株券に表示されるべき権利を含む。以下同じ)にあっては、株式の銘柄及び株数)

(9) 日常生活の用に供している自動車、船舶、航空機及び美術工芸品であって、取得価額が1,000,000円を超えるもの(売買により取得したものに限る。) 項目、種類及び数量

(10) 日常生活の用に供していない動産であって、取得価額が300,000円以上のもの 項目、種類、数量及び取得した際の価額の区分

(11) ゴルフ場の利用に関する権利(譲渡することができるものに限る。) ゴルフ場の名称

(12) 貸付金(生計を一にする親族に対するものを除く。) 貸付先及び貸付金の総額

(13) 借入金(生計を一にする親族からのものを除く。) 借入元及び借入金の総額

(14) 現金(金額が300,000円以上のものに限る。) 現金の価額の区分

(15) 第2号第5号から第8号まで及び第11号から第13号までのいずれかに該当するものを除く債権及び債務であって、その金額が300,000円以上のもの(親族間のものを除く。) 債権及び債務の内容及び価額の区分

2 市長は、その任期開始の日後、毎年、前項各号に掲げる資産等であって12月31日において有するものについて、当該資産等の区分に応じ同項各号に掲げる事項を記載した資産等報告書を、その翌年の5月1日から同月31日までの間に作成しなければならない。

(平18条例82・平19条例37・一改)

(所得等報告書の作成)

第4条 市長は、次に掲げる事項を記載した所得等報告書を、毎年、5月1日から同月31日までの間(当該期間内に任期満了により市長でない期間がある者で当該任期満了による選挙により再び市長となったものにあっては、同月1日から再び市長となった日から起算して30日を経過する日までの間)に、作成しなければならない。

(1) 前年分の所得について同年分の所得税が課される場合における当該所得に係る次に掲げる金額(当該金額が1,000,000円を超える場合にあっては、当該金額及びその基因となった事実)

 総所得金額(所得税法(昭和40年法律第33号)第22条第2項に規定する総所得金額をいう。)及び山林所得金額(同条第3項に規定する山林所得金額をいう。)に係る各種所得の金額(同法第2条第1項第22号に規定する各種所得の金額をいう。)

 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)の規定により、所得税法第22条の規定にかかわらず、他の所得と区分して計算された所得の金額であって規則で定めるもの

(2) 前年中において贈与により取得した財産について同年分の贈与税が課される場合における当該財産に係る贈与税の課税価格(相続税法(昭和25年法律第73号)第21条の2に規定する贈与税の課税価格をいう。)

2 前項に規定するもののほか、市長は、同項の所得等報告書に、次に掲げる事項を記載しなければならない。

(1) 前年中の収入のうち当該金額が一の出所当たり30,000円以上のものの収入の区分、出所及び金額

(2) 前号の規定にかかわらず、前年中の金銭、物品その他財産上の利益の供与(以下「利益の供与」という。)により取得した財産について、当該金額が一の出所当たり10,000円以上のものの利益の供与をなした者の名称、金額及びその基因となった事実

(3) 前年中の市長へのもてなしのうち交通、宿泊、食物及び娯楽に関するもの(以下「もてなし」という。)で当該金額が一の出所当たり50,000円以上のもののもてなしをした者の名称、金額及びその基因となった事実

3 第1項の所得等報告書における金額及び課税価格に係る事項の記載は、当該金額及び課税価格等に係る納税申告書の写しの提出をもって、これに代えることができる。この場合において、同項第1号に規定する金額が1,000,000円を超えるときは、その基因となった事実を付記しなければならない。

(関連会社等報告書の作成)

第5条 市長は、毎年、4月1日において会社その他の法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものを含む。以下この条において同じ。)の役員、顧問その他の職に就いている場合には、当該会社その他の法人の名称及び住所並びに当該職名を記載した関連会社等報告書を、報酬の有無の別により、同年5月1日から同月31日までの間(当該期間内に任期終了により市長でない期間がある者で当該任期満了による選挙により再び市長となったものにあっては、同月1日から再び市長となった日から起算して30日を経過する日までの間)に、作成しなければならない。ただし、会社その他の法人の役員、顧問その他の職(報酬の無いものに限る。)が、宗教的、社交的又は政治的団体に係るものである場合にあっては、この限りでない。

2 市長は、その職を退いた後の雇用に関する契約その他取決め(以下これらを「取決め」という。)についての条件がある場合は、その取決めの相手方及び取決めの条件を第1項の報告書に記載しなければならない。

(資産取引報告書の作成)

第6条 市長は、前年中の次に掲げる資産取引(取引価額が300,000円以上のものに限る。)の明細、期日及び価額の区分(別表に定めるものをいう。)を記載した資産取引報告書を、毎年、5月1日から同月31日までの間(当該期間内に任期満了により市長でない期間がある者で当該任期満了による選挙により再び市長となったものにあっては、同月1日から再び市長となった日から起算して30日を経過する日までの間)に、作成しなければならない。

(1) 国債証券

(2) 地方債証券

(3) 社債券

(4) 株券

(5) 有価証券(前各号に掲げるものを除く。)

(6) 先物商品

(7) 不動産権益(本人が現に居住する建物及び土地に関するものを除く。)

(資産等報告書等の保存、閲覧及び訂正)

第7条 市長は、第3条から前条までの規定により作成した資産等報告書、所得等報告書、関連会社等報告書及び資産取引報告書(以下「資産等報告書等」という。)を、これらを作成すべき期間の末日の翌日から起算して7年を経過する日まで保存しなければならない。

2 何人も、市長に対し、前項の規定により保存されている資産等報告書等の閲覧を請求することができる。

3 市長は、第3条から前条までの規定により作成した自らの資産等報告書等に誤りを認めたときは、これを書面をもって訂正することができる。

(倫理調査会の設置等)

第8条 資産等報告書等について、本条例及び堺市議会議員の倫理に関する条例(平成18年条例第46号。第5項において「議員倫理条例」という。)に定める審査その他の処理を行うため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、堺市議会議員及び市長の倫理に関する調査会(以下「倫理調査会」という。)を置く。

2 倫理調査会の委員は、13人とし、うち6人を議員のうちから、7人を地方自治法第18条に定める選挙権を有する市民で公募に応じたもののうちから、公正を期して市長が委嘱する。

3 市長は、資産等報告書等の写しを倫理調査会に提出し、審査を求めるものとする。

4 倫理調査会は、前項の規定により提出された資産等報告書等を審査し、これに対する意見書を作成して市長に提出するものとする。この場合において、倫理調査会は、必要があると認めるときは、市長に対し事情聴取等必要な調査を行うことができる。

5 前項の規定は、議員倫理条例第8条第1項第1号の資産報告書について準用する。この場合において、前項前段中に「市長」とあるのは「市長を通じて議長」と、同項後段中「市長」とあるのは「議員」と読み替えるものとする。

6 倫理調査会の会議は、公開するものとする。ただし、やむを得ず非公開とするときは、委員の3分の2以上の同意を要する。

7 倫理調査会の委員は、職務上知り得た個人の秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする。

8 前各項に定めるもののほか、倫理調査会の組織及び運営について必要な事項は、規則で定める。

(意見書の保存及び閲覧)

第9条 市長は、前条第4項の規定により倫理調査会から送付された意見書(以下単に「意見書」という。)を、その送付を受けた日から起算して7年を経過する日まで保存しなければならない。

2 何人も、市長に対し、前項の規定により保存されている意見書の閲覧を請求することができる。

(市民の調査請求権)

第10条 市民は、第7条第2項の規定により閲覧に供された資産等報告書等について疑義があるときは、これを証する資料を添えて、市長に対し調査を請求することができる。

2 市長は、前項の規定による請求があったときは、倫理調査会に調査を行わせ、当該請求のあった日から90日以内にその調査結果を請求者に文書で回答しなければならない。

(虚偽報告等の広報)

第11条 市長は、意見書及び前条第2項に規定する調査結果において、資産等報告書等の報告者に当該報告書等の提出の遅滞、虚偽の報告又は調査に協力しなかった等の指摘があったときは、その旨を広報紙等で広く公表しなければならない。

(委任)

第12条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成18年4月1日から施行する。

(堺市議会議員及び市長の倫理に関する条例及び堺市長の資産等の公開に関する条例の廃止)

2 堺市議会議員及び市長の倫理に関する条例(昭和58年条例第3号)及び堺市長の資産等の公開に関する条例(平成7年条例第40号)は、廃止する。

(経過措置)

3 この条例の施行の日において市長である者に係る第3条第1項の規定の適用については、「その任期開始の日(再選挙により市長となった者にあってはその選挙の期日とし、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第259条の2に規定する者にあっては当該者の退職の申し立てがあったことにより告示された選挙の期日とし、更正決定又は繰上補充により当選人と定められた市長にあってはその当選の効力発生の日とする。次項において同じ。)」とあるのは「平成18年4月1日」と、「同日から起算して31日を経過する日」とあるのは「同年5月31日」とする。この場合において、同条第2項の規定は、平成18年度に限り、適用しない。

4 前項の規定により提出された資産等報告書については、第7条の規定を準用する。

(倫理調査会の委員の特例)

5 この条例の施行の際、附則第2項の規定による廃止前の堺市議会議員及び市長の倫理に関する条例第5条に規定する堺市議会議員及び市長の倫理に関する調査会の委員として委嘱され、現にその職にある者については、その残任期間に相当する期間に限り、第8条第2項の規定により倫理調査会の委員として委嘱されたものとみなす。

(堺市議会議員及び市長の倫理に関する条例の廃止に伴う経過措置)

6 この条例の施行の日前に、附則第2項の規定による廃止前の堺市議会議員及び市長の倫理に関する条例の規定により議長又は市長に提出された資産報告書及び意見書については、同項の規定にかかわらず、この条例の施行後も、なお従前の例による。

(堺市長の資産等の公開に関する条例の廃止に伴う経過措置)

7 この条例の施行の日前に、附則第2項の規定による廃止前の堺市長の資産等の公開に関する条例の規定により作成された資産報告書等については、同項の規定にかかわらず、この条例の施行後も、なお従前の例による。

(平成18年12月22日条例第82号)

この条例は、平成19年4月1日から施行する。

(平成19年9月28日条例第37号)

(施行期日)

1 この条例は、平成19年10月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例による改正後の第3条第1項第5号及び第6号の規定の適用については、この条例の施行の日前に有していた郵便貯金及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第102号)附則第3条第10号に規定する旧郵便貯金は、預金とみなす。

別表

価額の区分の名称

区分する価額帯

300,000円以上1,000,000円未満

1,000,000円以上2,000,000円未満

2,000,000円以上3,000,000円未満

3,000,000円以上4,000,000円未満

4,000,000円以上5,000,000円未満

5,000,000円以上10,000,000円未満

10,000,000円以上20,000,000円未満

20,000,000円以上30,000,000円未満

30,000,000円以上40,000,000円未満

40,000,000円以上50,000,000円未満

50,000,000円以上100,000,000円未満

100,000,000円以上200,000,000円未満

200,000,000円以上300,000,000円未満

300,000,000円以上400,000,000円未満

400,000,000円以上

堺市長の倫理に関する条例

平成18年3月29日 条例第45号

(平成19年10月1日施行)

体系情報
第4編 文書・処務/第8章 その他
沿革情報
平成18年3月29日 条例第45号
平成18年12月22日 条例第82号
平成19年9月28日 条例第37号