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中期目標 その1

更新日:2012年12月19日

前文

 市立堺病院は、その理念である「すべての患者さんの権利と人格を尊重し、安心・安全で心の通う医療を提供します」に基づき、軽症から重症まで幅広い診療領域における医療提供に加え、悪性新生物(がん)等に対応する高度専門医療や二次を中心とした救急医療を提供するなど、地域における中核医療機関として堺市域における医療機関と連携しながら地域医療の確保のため重要な役割を果たしてきた。
 しかし、少子高齢化の進行、国民の医療ニーズの多様化や医療技術の高度化、医療制度改革など医療を取巻く環境は大きく変化しており、医師不足等に伴い診療体制の縮小を余儀なくされるなど、市立堺病院をはじめ多くの公立病院においては、医療提供体制の維持が極めて厳しい状況にあり、経営状況も悪化していることから、そのあり方について、大きな転換を迫られている。
 平成19年12月に国から「公立病院改革ガイドライン」が示され、市立病院等の公立病院は、地域において提供されることが必要な医療のうち、民間医療機関による提供が困難な医療を、安定した経営のもとで、継続して提供していくことが求められている。
 市立堺病院においては、これまでも経営改善に努めてきたが、公立病院として地域で必要とされる医療を提供するためには、今まで以上に効率的な病院運営を行い、経営基盤の安定化を図る必要がある。
 そこで、平成20年11月の「市立堺病院のあり方について(提言書)」(市立堺病院のあり方検討懇話会)において、経営形態については、市立堺病院が政策医療を担う観点から、市の一定の関与が可能で、かつ、経営における自主性と責任の明確化が図れるよう、「地方独立行政法人」を設置・運営主体とすることを検討すべきとされ、今般、地方独立行政法人堺市立病院機構(以下「市立病院機構」という。)を設立することとした。
 市立病院機構においては、市立堺病院の理念を継承し、地域医療機関との連携及び役割分担のもと、引き続き、救急医療等の政策医療も含め質の高い医療を安全に、安定的、継続的かつ効率的に提供するという公的使命を果たすとともに、市民及び患者へのサービスの向上と効率的な病院運営を行うことを求め、ここに市立病院機構に示す基本的な方針である中期目標を定めるものである。
 今後、市立病院機構が、この中期目標に基づき、自律性、機動性、透明性という地方独立行政法人制度の特長を最大限に活かしながら、医療の質の向上や患者サービスの充実を図るとともに、経営の健全化に取り組み、もって市民の健康の維持及び増進に寄与することを期待する。

第1 中期目標の期間

 中期目標の期間は、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの3年間とする。

第2 市民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項

 市民が求める安全で安心な医療はもとより、救急医療、高度専門医療等を提供するとともに、医療の質の向上を図り、もって市民の健康の維持及び増進に寄与すること。

1 市立病院として担うべき医療

(1)救急医療

ア 救急医療は、市民がいざというときに備え、地域のセーフティーネットを確保する観点から市立病院として担うべき医療の根本をなすものであることから、市内の救急告示病院、消防局との連携のもと、救急医療体制の充実を図ること。

イ 地域医療機関との連携及び役割分担のもと、365日24時間救急医療体制の維持、充実を図り、「断わらない救急」に努めること。

(2)小児医療・小児救急医療・周産期医療

ア 小児医療の更なる充実を図るとともに、安心して子どもを産み、育てられるよう、周産期医療体制の充実を図ること。

イ 小児救急医療については、初期救急医療を担う急病診療センターや二次救急医療を担う他の病院群輪番病院との適切な役割分担のもと、二次救急医療を中心に担い、365日24時間救急医療体制を確保すること。

(3)感染症医療

ア 第一種及び第二種感染症指定医療機関としての役割を果たすこと。

イ 新型インフルエンザ等の新興感染症等について、感染症指定医療機関として先導的かつ中核的な役割を果たすこと。

(4)災害その他緊急時の医療

ア 災害拠点病院として、堺市地域防災計画等に基づき、必要な対応を迅速に行うとともに、自らの判断で医療救護活動を実施すること。

イ 大規模な災害や事故の発生に備え、日頃から人的及び物的資源を整備し、訓練すること。

2 高度専門医療の提供

(1)がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病への対応

ア がんへの対応

 これまでも重点的に取り組んできたがん診療について、引き続き診療機能の充実に努め、大阪府がん診療拠点病院として地域の医療機関等との連携を強化することにより、本市におけるがん診療の質の向上に貢献するとともに、がん予防に積極的に取り組むこと。

イ 脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病への対応

 がんと同じく脳血管疾患、心疾患、糖尿病等の生活習慣病が増加しており、市民の健康を守るうえでの重要課題であることから、脳卒中診療、急性心筋梗塞診療、糖尿病診療に取り組み、地域の医療機関と連携、役割分担のうえ、高度専門医療の提供体制を整備すること。

(2)高度で専門性の高い医療の提供

 必要に応じて診療科の再編や医療センター機能の充実など、診療体制の強化、充実を図り、高度専門医療を担う中核病院として、医療の更なる高度専門化に対応し、より病態にあった質の高い医療を提供すること。

(3)総合的な診療とチーム医療の推進

 患者の視点に立った最良の医療を提供するために、診療科の枠を越えた総合的な診療を行うとともに、適切な役割分担と良好なコミュニケーションのもと職種を越えた協力体制によるチーム医療を推進し、提供する医療内容の高度化と質の向上を図ること。

(4)専門性及び医療技術の向上

 医学の進歩による医療の高度化及び複雑化に対応して、常に高度かつ標準化した医療を提供できるよう、高度医療機器の更新や医療専門職の研修等を充実し、専門性及び医療技術の向上を図ること。

(5)臨床研究及び治験の推進

 新しい治療法を開発するため、臨床研究及び新薬の治験に積極的に取り組むこと。

3 安全・安心で信頼される医療の提供

(1)医療安全対策等の徹底

ア 安全で安心できる質の高い医療を提供するため、医療の安全を確保する体制を充実し、医療事故につながるおそれのある事象や医療事故の情報収集と分析を行い、医療事故の予防及び再発防止に取り組むなど、医療安全対策を徹底すること。

イ 市民に信頼される安全な医療を提供するため、院内感染防止対策について、体制を明確にし、確実に実践すること。

(2)患者の視点に立った医療の実践

ア 医療の中心は患者であることを常に認識し、全ての患者の権利と人格を尊重し、心の通う医療を提供すること。

イ 患者自身が医療の内容を理解し、納得のうえで自分に合った治療法を選択できるよう、情報開示や十分な説明を行い、同意を得る、インフォームド・コンセントを徹底すること。

ウ 医療従事者による説明及び相談体制の充実、セカンドオピニオン(病状や治療法について、担当医以外の医師の意見を聴き、参考にすること)の充実等に取り組むこと。

(3)医療の標準化と診療情報の分析による質の改善及び向上

ア 常に客観的な根拠に基づき、個々の患者に最適な医療を選択するとともに、クリニカルパス(入院患者に対する治療計画を示した日程表)の充実と活用による医療の標準化に取り組むこと。

イ 臨床評価指標(クリニカルインディケーター)の整備などによる医療の質に関する客観的評価を通じた医療の質の向上に取り組むこと。

ウ DPC(診断群分類別包括評価)による診療情報データを活用し、医療の質の改善と標準化に取り組むこと。

(4)法令・行動規範の遵守(コンプライアンス)

ア 市立の医療機関として公的使命を適切に果たすため、医療法をはじめとする関係法令を遵守することはもとより、行動規範と倫理に基づく適正な病院運営を行うこと。

イ 全ての職員に個人情報を保護することの重要性を認識させ、その管理を徹底すること。特に、カルテ(診療録)等の個人情報の保護及び情報公開に関しては、本市条例のもと、適切に対応すること。

4 患者・市民サービスの向上

(1)患者サービスの向上

ア 患者の満足が得られるよう、全ての職員の意識改革を図り、患者の視点に立った医療及びサービスの提供に取り組むこと。そのため、患者のニーズや患者満足度を把握したうえで、必要な改善策を講じること。また、患者に接する機会が最も多い看護職の意見がきめ細かく反映できる体制の整備に努めること。

イ より快適な療養環境を提供するため、院内環境の整備を進めるとともに、患者の利便性の向上に努めること。

(2)誰もが利用しやすい病院づくり

 障害のある方や外国人などコミュニケーションに配慮が必要な方が、安心して医療を受けることができる体制を整備するなど、誰もが利用しやすい病院づくりに努めること。

(3)待ち時間の改善

 外来診療の待ち時間、検査や手術の待ち日数の短縮に取り組むなど、患者へのサービスの向上を図ること。

(4)職員の接遇向上

 市民及び患者に選ばれる病院、市民及び患者が満足する病院であり続けるため、職員一人ひとりが接遇、応対の重要性を認識して、接遇の向上に努めること。

5 地域医療への貢献

(1)地域医療機関との連携推進

 医療スタッフ等の限られた医療資源を効果的に活用し、より多くの市民に対して高度で専門的な入院治療を提供することで地域医療に貢献するため、地域の医療機関との連携を推進すること。

(2)地域医療への貢献

ア 地域の医療水準の向上の観点から、高度医療機器の共同利用、開放病床の利用、地域の医療従事者を対象とした研修会への医師の派遣などに取り組むこと。

イ 地域医療連携を円滑に行っていくために、地域の医療機関との相互啓発や診療内容等の情報共有を図ること。

(3)人材の育成

 教育病院として臨床研修医及び後期研修医を積極的に受け入れるほか、看護師等の医療専門職の臨床実習の場として、医療専門職養成機関による医療専門職の養成に協力するなど、医療従事者の育成に貢献すること。

(4)疾病予防の取組

 市民の健康増進を図るため、予防医療推進の観点から市の機関と連携して人間ドック、がん検診、特定健診等の各種健康診断、予防接種、健康に関する啓発などを引き続き行うこと。

(5)保健福祉行政等との連携

 健康危機事象への対応、地域保健及び福祉の推進、救急搬送を担う市の各部局との情報交換など、医療、保健、福祉行政等との連携を図り、市立の病院としての役割を果たすこと。

(6)市民への保健医療情報の発信

 市民を対象とした公開講座の開催や医療情報の提供など、健康に関する保健医療情報の発信及び普及啓発に努めること。

このページの作成担当

健康福祉局 健康部 健康医療政策課

電話番号:072-248-6004

ファクス:072-228-7943

〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所本館6階

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