【視察レポート】利久寄席(2022年5月21日)
更新日:2022年6月29日
利久寄席
南海電車堺東駅そば、商店街のビルの一室で、33年続く地域寄席「利久寄席」があります。地域寄席とはふだん寄席をしていない場所での落語会をさします。蕎麦屋利久の店主が始めた寄席が閉店で幕を閉じ、地域の友人・常連客等が世話人を引き受け、現在も奇数月の第3土曜日に開かれる稀有な落語会です。
大通りから路地に入ると、太鼓の音が聞こえ、扉の前に赤い提灯が見えます。青い法被の方が消毒液を一吹き、「3階まで階段がんばってあがってくださいね」と声かけてくれました。
カルチャーセンターの一室に紫色の座布団が敷かれた高座がつくられ、パイプ椅子が4,50席並んでいます。観客はスーツ姿の男性、女性の方、高齢の方など、さまざまな方が落語を楽しみに座っています。後ろから太鼓、笛の音が聞こえてきて、最初の挨拶です。この日の寄席はビルの3階に移って10年目という記念すべき回だったことをすっかり忘れていた、という話から始まり、「それは空気のように馴染んだから。」空気というのはあって当たり前、なくなったら大変ということで、笑いや平和、人とのつながりを、あらためて思いました。
落語は3席。語りにからだをあずけて笑っていると、会場の笑いと重なってホカホカしてきます。落語会が終了すると、その場はさっと片付けられ、もとのカルチャーセンターの一室に戻ります。日常に差し込まれた笑いのしおり。それは楽しみという名の日常をささやかに支える時間なのです。
(令和4年度 堺市文化芸術活動応援補助金採択事業)
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