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会議録(第2回堺市都心交通検討会議)

更新日:2013年1月17日

1 開催日時 平成24年8月24日(金曜)、午前10時から午後12時10分
2 開催場所 堺市役所 本館3階 大会議室1
3 出席者

委員(50音順、敬称略)
 関西大学経済学部 教授 宇都宮 浄人
 神戸大学 副学長 正司 健一
 近畿大学総合社会学部 専任講師 田中 晃代
 大阪産業大学人間環境学部 教授 塚本 直幸
 大阪ガス株式会社 エネルギー・文化研究所 特任研究員 弘本 由香里
堺市
 織田村技監、島田建築都市局長、窪園交通部長
その他
 土岐都心まちづくり推進室次長、西端臨海整備室参事、森観光部次長、
 大村世界文化遺産推進室次長、京谷自転車まちづくり推進室次長、事務局等

前回会議内容の確認

塚本委員

 パーソントリップ調査について、拡大係数はどのような方法で設定しているのか。全体の抽出率だけで考えているのか、それとも年齢別や地域別を考慮しているのか。拡大の方法は過去の方法と同じなのか。

事務局

 次回お答えさせていただく。

塚本委員

 総量が減少してきていることがどこまで影響するのか、少し気になるところである。

正司座長

 (京阪神都市圏交通計画)協議会でもそのような話はあると聞くが、人々が以前と比べて歩かなくなった、家を出なくなったという可能性と、調査に答えなくなったという傾向が両方重なっていて、本当のところはよくわからないところである。今、精査しているところではないか。
  資料は3時点の比較だけだが、パーソントリップ調査は、それ以前から実施しているので、議論によっては前のデータと比較していくことが必要になってくると思う。

都心の現状について

宇都宮委員

 7ページの人口動態では、堺区の社会増減が急に増えている。一方で、9ページにあるように堺区では従業者数や事業所数の減りが大きい。これは平成13年から18年の変化なので、人口も平成13年から18年で見ると、堺区の人口が大きく減少したタイミングである。直近の事業所数や従業者数も変わっている可能性があると考えるべきなのか、あるいは、堺区の人口動態の社会増減が、例えばシャープが来たことによる特殊要因と見るべきなのか。背景的にご存じのことがあれば教えていただきたい。

事務局

 商業や事業所の直近のデータはないが、最近この都心地域に銀行が2行開設されており、明るいトレンドになっているのではないかと思っている。ただ、まだ全体として商業や業務系が回復してきていると感じられるところまでは行っていないと認識している。

正司座長

 今後の議論を進める中で、11ページの公共交通網のバスネットワークのところは、1時間に2本~3本以下の路線とそれ以上の路線は、区分けした資料にしていただいたほうが議論のためにはいいかと思う。

関連する取り組みについて

【都心のまちづくり】

田中委員

 2点お伺いしたい。まず、プラン策定の背景に「めざすべき将来像を共有しながら」とあるが、それをどこまで共有できるのか。そして、それについて何か目標をもっているのか。
 もう1点は、積極的に地域の主体的な取り組みに対して支援するということで、まちづくり活動支援補助をしているということだが、団体へ適用する要件のハードルは高いのか。また、地域によっては、市民だけでなく事業者への支援も考えられる。その点について、庁内でどのような連携をされているのか。

土岐都心まちづくり推進室次長

 まず、将来像の共有についてだが、役所がプランを作っても、市民に浸透していかないと協働のまちづくりの展開は図れないと思っている。そのために、まずは広く周知、広報していくことと、単に何らかの説明をするだけでなく、既に活動されているまちづくりの団体にこちらから出向いて行って、市の考え方についてできるだけ広くお示ししていきたい。こうしたことを通じて、団体の方との意見交換をふまえつつ、ブラッシュアップしながら取り組みを具体化していきたいと考えている。
 2点目の地元への支援措置だが、名称は「都心地域のまちづくり補助要綱」、我々の中では「頑張る地元応援要綱」という通称で呼んでいる。できるだけ幅広く活動されている団体の支援をしていきたいと思っている。今年度からこの要綱を制度にしてキックオフしたところなので、まだ夏祭りやイルミネーションなどに手を挙げていただいているが、もっと広げて行きたいと考えている。
 対象の団体については、市として補助金を交付するということから、一定の規約があるか、事業計画や予算がきちんとオーソライズされているか、代表者がおられるか等、外形的な要件を設けているが、できるだけ幅広に捉えていくことが必要ではないかと考えており、そのように運用していきたいと思っている。

宇都宮委員

 堺東駅周辺で、市民会館の機能更新、図書館機能の導入等とあるが、市民会館の整備にはどのぐらいの予算を見込んでいるのか。

土岐都心まちづくり推進室次長

 市民会館は、大阪中央環状線沿いにあり、築40年を経た建物である。これを単に建て替えるだけではなく、文化芸術の発信の拠点としながら建て替え更新を進めていきたい。さらに、まちづくりにも寄与するような施設として整備していきたいというのが市の考えである。現在、どのような建て替えをしていくのかを担当部署で検討している。
 予算についてはまだ確定していない。ただ、中心的なホールの施設となるため、大きな事業費を要するのではないかと考えている。

弘本委員

 まちづくりの基本方針の2番目で、居住機能を充実していきたいということで、ライフスタイルを掲げているが、近年の都心人口の増加傾向はどのような住宅供給が受け皿になっているのか、また交通問題はどのように受け止められているのか。

土岐都心まちづくり推進室次長

 堺市全体、それから堺区では、人口は横ばい、もしくは微増程度である。都心地域はそれに比べてかなり増加傾向にある。都心地域の中でも、校区ごとに児童数を見ると、堺駅周辺を校区とする市小学校、それから堺東駅周辺を校区とする熊野小学校、この2校は特に増えている。近年は、駅近ということと、地価が大阪市に比べかなり安いということから、マンション建設が進んでいる。マンション立地の面では、交通の利便性と密接な関係があるのではないかと見ている。

正司座長

 3点お聞きしたい。まず1つ目は、堺で言う「持続可能なまちづくり」の定義を教えていただきたい。
 2つ目は、堺全体の中の都心の位置づけについて、まちづくりプランの中で議論されているのか。
 もう1つは、区分所有の建物を30年とか50年、大規模更新でどうするかという問題が表面化し始めた。その点について、「持続可能な」という定義に照らしてどういう指針を検討されているか。

土岐都心まちづくり推進室次長

 まず、「持続可能な」の定義というのは大変広範にわたるものではないかと思う。我々はこの計画をとりまとめるにあたって、少子高齢化や人口減少という社会情勢を踏まえ、今までの拡大志向ではなく、できるだけ集約型の都市構造を考えていきたい。それは、都市機能として集約するだけでなく、行政サイドの財政の問題や、環境問題の意識の高まり等も踏まえて、トータルでの持続可能であると考えている。このように、少し大きく捉えた上で、個々の取り組みの中で、環境にやさしい建物や施設はどうなるのか等と、ブレークダウンされていくのではないかと思っている。
 それと、堺市全体の中での都心の位置づけについては、都心のまちづくりプランの上位計画として、市全体のマスタープランがある。マスタープランでは、施策ごとに大きな方向性をうたっているが、都心地域のまちづくりについて、特に項目を設けて位置づけている。
 最後に、区分所有の建物更新だが、これは国内共通の話題として、特に昭和40~50年代のマンション建て替えが問題になってくる。先ほど申し上げた市役所前のジョルノビル、こちらも区分所有法で、現在、地権者の方で建て替えの検討が進められている。当時は、人口が増え、旧市街地に住宅が不足している中、「とりあえず住宅が必要」、「商業施設が必要」という要請があったのだと思う。しかし、今の社会情勢を考えると、建物の長寿命化も考えながら、次の更新までの期間をどうしていくのかを考慮して、持続可能なまちづくりに区分所有建物の更新を位置づけていくものと考えている。

【臨海部のまちづくり】

田中委員

 市民に開放するということで親水を挙げているが、親水と防災対策は相反するものとなる。資料の下に断面図が書かれているが、基本協定を事業者と締結する際に、安全性の基準などは議論されているのか。

西端臨海整備室参事

 断面図にあるグレー部分(防潮提・親水護岸)については、大阪府の港湾局で、海岸保全施設として整備を行っている。その背後に市有地があり、市道部分までが海岸保全区域になる。市有地はそこから外れている。事業者には親水空間ではあるが、「避難の対象」や「避難ルート」について、建てる上での条件として、基準を守っていただく。

宇都宮委員

 10年後を目指したビジョンで、どのぐらいの総工費を見込み、その中で堺市はどの程度負担するつもりなのか。堺浜地域の海釣りテラスやふれあいビーチについての総工費と、それに国の補助が入るのか、堺市の負担金額はどうなのか。

西端臨海整備室参事

 1点目については、ビジョン全体の総事業費についての算出は行っていない。ビジョンでは、あり方や進め方を示しており、これから関係団体等と調整していかなければならない。
 2点目の、堺浜地域の海とのふれあい広場の海釣りテラスについては、海釣りテラス部分だけの金額は分からないが、国直轄の基幹的広域防災拠点整備の中で行っており、全体工費が56億円である。その一部の護岸を使った300メートルが海釣りテラスになっている。
 もう1点の堺浜ふれあいビーチについては、堺市の整備で、平成22年度から海側に潜堤(砂止め堤)を設けており、それが約2億円、平成23年度以降は大和川から浚渫土砂を入れており、それが約1億円、全体で約3億円の工事費になっている。

宇都宮委員

 土砂や砂浜には、メンテナンス費用がかかりそうな気がするが、どれぐらいか。

西端臨海整備室参事

 海釣りテラスについては、護岸ということで、すぐには保守費用の発生はないと思う。しかし、ふれあいビーチについては、大和川河口部からの風等の影響でごみ等の流入があるため、清掃関係は日常的にやっていく必要があると思っている。平成25年春の供用に向けて、開放エリア、シャワー等の諸施設の整備などの必要性を検討する中で、今後のランニングコストを出していきたい。

弘本委員

 そもそも工業地帯だった臨海部は、まちの中心部から少し距離がある上、居住地との連続性が乏しいため、なおさら心理的距離は遠いというような課題を抱えているところが多いと思う。大阪市も同様の課題があるし、神戸市は比較的連続性があるが、それでも間に幹線道路が走っているという問題がある。堺市もまちの中心部と臨海部の間に鉄道と幹線道路が通っていてかなり距離があるという状態で、活性化に向けて交通問題はどのように捉えているのか。

西端臨海整備室参事

 臨海部には鉄道が走っていないので、マイカーやバスの利用が多くなると思っている。そのため、場所の周知のほか、堺区の方にも海辺に魅力のあるところがあるという広報活動が重要だと考えている。
それと、マイカー利用が多くなるので、道路の整備については、臨港道路との関係もあるので、関係機関との調整を図る必要性がある。

弘本委員

 大きな移動という面では、車や鉄道でアクセスしやすくするといった「大量の人を呼ぶ」という交通の考え方があるのはもちろんだが、もう1つ、ミクロなまちとの連続性という面で、どう捉えていくのかという問題があると思う。ここが市民にとってアプローチしやすい場所かどうか、バリアがある中でどう近づきやすくしていくのか、交通によってどう解決していこうとしているのかお考えがあればお聞きしたい。

西端臨海整備室参事

 そのような議論はまだできてはいないが、まずはそこに魅力があるということの周知が重要だと思っている。

塚本委員

 人も住んでいるので、住宅開発のような居住機能や大規模店舗の話もある。大規模店舗の導入や、工業機能をどうするか等、このプランの中に書かれていないそれ以外の都市機能についてのプランはあるのか。

西端臨海整備室参事

 今回のこのビジョンは、にぎわい創出に主眼を置いている。ご質問いただいた工業機能等については、別の部署が所管・計画している。

【観光の取組み】

正司座長

 観光客の市内入り込みのカウント方法は、国が基準に定めた方法か。それとも堺市オリジナルの方法か。

森観光部次長

 市独自の方法を用いている。公共交通機関の利用者や、主な観光スポットでのサンプリング調査の結果から推計している。

宇都宮委員

 観光客が増えていることは、非常に素晴らしいと思う。高年齢層が多いのではないかと思うが、年齢層が分かれば教えていただきたい。
 また、公共施設の事業費を教えていただきたい。

森観光部次長

 粗いサンプリング調査なので、年齢層というのは定量的には把握できていないが、今年春の堺文化財特別公開では、50 ~70歳代以上の方で4割以上と、中高年以上の方が多くなっている。いろいろとテーマを工夫し、若干、若い方も増えてきたりはしているが、やはり環濠都市内では中高年の方が中心となっている。
 施設の事業費については、公共施設分として25億円を予定している。

宇都宮委員

 公共施設分ということだが、それ以外の複合施設があるということか。

森観光部次長

 民間の誘致を進めていく。文化観光施設の部分で25億円ということである。

宇都宮委員

 民間の誘致に対して、堺市は基盤整備等の何らかの補助をするのか。

森観光部次長

 補助はしない。民間のほうで施設整備していただくことになる。

【世界文化遺産登録に向けた取組み】

弘本委員

 中心となる仁徳天皇陵古墳に関しては、隣接している土地を活用して説明等のできる施設を作っていくという形で、遺産の価値を伝える取り組みをされるということだと思う。その一方で、点在している古墳群が持っている価値をつないでいく、もしくはつないで見せるためにはどうしたらいいのかというようなことに関して、まちとの連続性の中で、歴史的な説明をするなどの仕掛けについて何か検討されているのか、あるいはそこをどのように課題と捉えているのか。

大村世界文化遺産推進室次長

 世界文化遺産登録を進めていく上でも、遺産への理解を深めていただく上でも、古墳が群をなしているということへの意識付け・啓発は、非常に重要と考えている。現時点でも、既に周遊路という形で舗装やサインが整備されている部分があるが、世界文化遺産登録にあたっては、再度見直し、どういった形でサインを整備あるいは補修をしていくべきなのか、どういうサインが必要なのかというところも含めて、群としての周遊や一体性の確保は課題だと思っている。その点についても、現在、関係部局と調整を進めているところである。

【自転車のまちづくり】

正司座長

 現在のコミュニティサイクルは、利用料金でどの程度コストをカバーできているのか。

京谷自転車まちづくり推進室次長

 契約ベースでは、自転車台数450台のうち445台ぐらいで、99%ぐらいの利用になっている。徐々に増えているが、コスト的にはまだ10%~15%ぐらいの利用収入である。今後、自転車の回転率を増加させるとともに、サイクルポートの増設をしていく中で、収支均衡に努めていきたいと考えている。

弘本委員

 堺市は、道路の幅が割とゆったりされており、比較的他都市に比べて条件がよいので、色々な形で社会実験が可能かと思う。自転車での市内の移動を考えるときに、かなりの長距離を通勤等でスピードを出して移動する方や、買い物などで移動する方等、様々なパターンがあると思うが、道路での自転車の利用の特性や、ネットワークのあり方、それに伴うレーンの作り方、歩行者と自転車の安全性の確保等については、全体としてどういう手法で検討し、決定しようと考えているのか。例えば、社会実験の企画をされているのか。地域ごとに難しい課題があると思うが、そのあたりの調整をどのようにしているのか。

京谷自転車まちづくり推進室次長

 現在、自転車の通行環境の形成に向け、自転車道などの整備を進めている。
自転車に関する交通事故は、全事故件数に対して3割を超えているといったことから、「自転車は車両である」ということを基本に、自転車は車道を通っていただく。ただし13歳未満の子どもや70歳以上の高齢者といった方々は歩道を通っていただく。歩道は歩行者の通るところなので、自転車がやむなく通る場合は歩行者優先で通っていただく。そういうことから、できるだけ人と自転車、車を分離する方法を考えている。
 堺市の道路は比較的広いということだが、実際は、結構狭いところもある。生活道路の中で自転車というのは自由に走ってしまうので、いかに安全を保つかが重要である。交通事故は交差点で一番起こっている。交通事故件数の7割が交差点ということで、そういったことの啓発を行いながら、自転車が安全に走れるように、自転車道の設置や歩道内での視覚分離、また、新たな取り組みとして路肩を活用した自転車レーンの設置等を進めていきたいと考えている。

弘本委員

 例えば、地域の居住者の方と一緒に考えながら進めているのか、それとも、1つの課題に対してこの考え方をもとにやろうという方針を作って、それに基づいて着々と進めているのか、そのあたりの進め方を教えていただきたい。

京谷自転車まちづくり推進室次長

 例えば自転車道や自転車レーンについては、そこを自転車が通行することにより、周辺の沿道利用に制限がかかる。このため、地元とも十分協議を行っている。車が寄りつけなくなり商売ができない等、様々な問題が発生するため、そういったところでは、一度社会実験を行い、地元や利用者へのアンケート等を踏まえながら、半年から1年ぐらいの時間をかけ、地元と協議を進めて実施している。

田中委員

 多様なニーズに対応した自転車の貸し出しとあるが、26インチ自転車、24インチ自転車、それから幼児用の座席装着のみである。これを見ただけでは、多様なニーズというイメージがつきにくい。今後もこういう形でいかれるのか。地域毎に様々なニーズがあると思う。様々な使い方があり、日常的にも使い、観光にも使うといった広がりが必要ではないか。

京谷自転車まちづくり推進室次長

 自転車は定期利用以外に、観光利用などにも使っていただいている。1日300円、回数券を買えば1日200円で利用が可能で、堺に観光で来られた方、またビジネスで来られた方に利用していただいている。現在使用している自転車は、26インチと24インチ。24インチは比較的小さく、中学生から利用が可能なので、幅広い年代の方にご利用いただけるのではないかと考えている。このあたりは、今後利用状況をアンケートなどで聞いて、さらに改善を図っていくことを考えている。

田中委員

 アンケートだと年齢層が決まってくる。例えば小学生などは、記述型のアンケートを回答するのは難しいため、もう少し生活する姿等がわかり、ニーズをうまく掘り出せるような仕組みも考えていきながら提案すべきだと思う。

<都心の交通について>

正司座長

 前回は交通体系について議論したが、今回は、事務局から関連する取組みをご紹介いただいた。次回以降に向けて、このあたりはどうなっているのか、全体を通じてこういう点が気になった等、意見等があればお願いしたい。

宇都宮委員

 色々とお聞きして、堺市というのは非常にコンテンツがあると感じた。よそでまちづくりをやるときには、交通が先かまちの中身が先か、鶏が先か卵が先かみたいな議論があるが、堺は既にコンテンツは大いに揃っていると感じた。あとは、このまちづくりプランにもあるように、どのようにそれらを交流させればいいかということで、交通の役割がはっきりしているという印象を持った。
 そういった中で、先ほどの観光の話もあったように、外来の年配の方、そして都心居住では比較的若い方もいらっしゃるようだが、年配の方が増えてくる。これからは、特に「高齢者がわかりやすく移動できる交通」が1つポイントになってくると感じた。
 資料(4)-2を見ると、まちの将来イメージがあって、にぎわいの様子が載せられている。このイメージで立っている方は、皆が若い方となっているが、現実は、平成32年まで行かなくても、お年寄りの方が3、4割になっているのではないか。外来の観光の方も含めて、このイメージはもう少し変えたほうがいいのではないか。また、その横に小さなバスが1台停まっているが、この人たちが移動するとなると、このバスはとても乗りにくそうに感じた。皮肉にもこういうイメージを持たせる絵なのだが、逆にそういう方々をどのようにわかりやすく交流に持っていくかという問題意識を持った。それが、我々が検討しようとしている都心交通という問題にもつながるのかなという印象を持った。
 これだけコンテンツがあり、観光客も増えているが、今後は特に高齢者が増えてくると考えられる。さらに言えば、高齢者が増えてくる要因の1つとして、大阪という大消費地を控えた、団塊の世代の方が比較的身近に来られる観光地としての特性が堺にはあるのではないか。そうすると、そういう方々をいかに堺に呼び込める仕掛けを作るかが重要であり、その上での交通の役割があるのではないか。

田中委員

 高齢者の方ももちろん大切だが、若い人が堺市のことを全然知らない。大学生も、堺市や阪堺線を知らない。大阪市内に住んでいる学生が、「えっ、そんなところがあったの」、「そんな路面電車があったの」等と言う。私にとって意外であり、授業でも阪堺線に乗ってもらって感想を拾い上げているのだが、学生にどこに行きたいかを聞くと、長崎等の遠方を希望する者が多い。長崎は、堺とは地形的には全然違うのだが、路面電車があり、「長崎さるく」等の観光をされていること、世界文化遺産にはまだ認定されていないが、歴史的なものがあることなど、非常に似通っていると思う。私も、今度ゼミ旅行で行くのだが、堺とどう違うのかというところをもう少し詰めて見ていきたい。
 それから、「自転車」「鉄道」「バス」「歩く」という色々な仕組みがあるなかで、それをつなげ、スムーズに人が流れるようにする動線計画において、一番重要なのは、サイン計画である。どのように表示し、何を情報として乗せていくか、どのようにスムーズに流していくかというところは、今後考えていく必要があると考えている。

弘本委員

 宇都宮先生がおっしゃったように、魅力的なコンテンツはたくさんあるということで、堺の場合、交通に投資をしたが、魅力的なコンテンツが乏しいため、結局、交通への過大投資になってしまった、ということになる心配は少なく、コンテンツの活用を高めるために、大きな交通だけでなく、そこから次につながっていくミクロな交通をどれだけ豊かにしていくのかということが重要になってくると思う。ミクロな交通への投資が、都市の活力や持続性にどのようにつながっていくのかをきちんと評価できるような仕組みがないものだろうかと感じた。そうした手法の開発なども含めて考えていく必要があると思った。

塚本委員

 今後の進め方の資料で、「都心の課題」へいくまでにあと2回ぐらい会議があるということでよいか。多分、この後、めざすべき都心交通のあり方や導入機種の検討に入っていこうとすると、交通の質、あるいは量を検討していく必要があると思う。そのためには、堺の都心を市全体の中でどう位置づけるのかをもう少し明確にしておく必要があると感じた。堺というまちは、都市機能が集積しているところが複数あり分散しているわけだが、色々な都市が持っている機能のうち、堺の都心に何の機能を持ってくるのか。それは、住機能や商業機能、公的サービス、病院、行政サービスなどで、「泉ヶ丘にはありません。三国ヶ丘にはありません。だけど堺の都心地区にはありますよ」という他の区にはないものが必ずいるだろうと思う。
 堺の都心が持つべき都市の機能、観光機能や住居系機能、商業機能など、しかもそれらはレベルが各々あると思うが、縦軸に都市の機能を並べて、横軸にその機能を享受する人たちは一体どこから来るのか、堺区内の人だけなのか、他の区や大阪市、全国から来る人がいるのかなど、どういうODなのか、あるいは年齢なのかという整理をどこかでしないと、どのような質の交通が要るのかがまとめられないのではないかということが、1点である。
 もう1点は、できれば量、大まかでいいと思う。一般論だが、都心の1日の流動量は、多くの都市で、その都市の人口の10%から30%ぐらいが多い。100万人のまちだと、都心内で1日に流動する人の数は10万人から30万人ぐらいということになる。例えば京都は150万人ぐらいのまちだが、河原町通5万人、四条通5万人、2本の道路だけで1日10万人ぐらい歩いている。周辺も入れると多分1日30万人から40万人ぐらいが動いていると思う。そういう見方をすると、堺の都心地域では、シャトルバスに乗っているのが1日5千人ぐらい、阪堺線に乗っているのが9千人ぐらいであり、都心を歩いているのは1万人、多くても2万人ぐらいかと考えている。堺は80万人の都市だが、都市が副都心的に分散しているということで、都心は30万人規模ぐらいの人口だと考えると、都心らしい雰囲気を出そうとすると、3万5千人から5、6万人ぐらい1日に動いていてほしい気がする。
 今は1万人から2万人ぐらいしか動いていないと思うが、それに足る交通機関でいいのか、あるいは堺の都心が都心として発揮するために5万人ぐらいの人が動いている都心になってほしいのか。そうだとすると、5万人ぐらい動くのであればバスではとてもできない、あるいは5万人ぐらいの人が動くだけの商業施設や観光施設であろうとすると、どれくらいの規模のものを作らないといけない等、単純には決まらないのだろうが、この後、導入機種の検討までいくのなら、バスだけで行けるまちなのか、路面電車ないしそれ以上の輸送機関がいるまちなのか等、量の話は必要だと思う。難しい話だと思うが、都心が備えるべき都市機能との兼ね合いの中で、交通の質と量の話を、少し整理して提案いただくと交通利便の話につながると思う。

正司座長

 いろいろな意見をいただいたが、それぞれ重要な論点で、今後の議論にうまく活かしていただければと思う。
最後の交通の量の話は、平安時代の都市づくりではなく、30年後、50年後にも使える交通システムなので、細かな数値まではなくてもよいだろうが、どういう役割を都心に与えるのかと交通軸の話は当然リンクして考えていかなければいけない重要な問題だと思う。
 持続可能な都市というキーワードは、経済面と環境面、社会面の3つを意識して作っていこうということ。まちづくりは、あれもこれもできる時代ではない。今日いろいろご紹介されたが、全部やれるとは思わないので、優先順位の議論もはっきりさせる必要がある。そのあたり、市役所内部では、それぞれ事業提案や事業のやり方を検討されていると思う。その骨格だけでもご紹介いただく必要があるのではないかと、皆さんの議論を聞いていて思った。

宇都宮委員

 塚本先生から量と質の話があり、正司先生からは特に量をとお話があったが、量というのはその気になればどのようなシミュレーションも可能だが、質のデータというのは難しい。しかし、量と質のバランスを取るという意味で、先ほどの年齢層の話や塚本先生のお話されたODの質などに力を入れていただきたいと考えている。

正司座長

 今日はいろんな取り組みについてご紹介いただいた。ご質問等があれば、また事務局に言っていただければと思う。

<閉会>

事務局

 本日は非常にたくさんの観点からさまざまなご指摘をいただいた。さらにお気づきの点やご質問があれば、事務局までご連絡をお願いしたい。次回会議に向けて整理していきたいと考えている。特に質と量の話については、できるだけわかりやすい資料作成に努めたい。
 次回日程については、決まり次第ご連絡させていただく。
 これで第2回堺市都心交通検討会議を閉会させていただく。本日はどうもありがとうございました。

以上

このページの作成担当

建築都市局 交通部 交通政策担当

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ファクス:072-228-8468

〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所高層館16階

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