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堺市
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平成21年8月27日 堺市監査委員公表 第35号

更新日:2012年12月19日

 地方自治法第242条第1項の規定に基づき平成21年6月30日に監査委員に提出された住民監査請求について、監査委員の合議によりその結果を下記のとおり決定したので、同条第4項の規定に基づき公表する。

平成21年8月27日

堺市監査委員 西林 克敏
同 吉川 敏文
同 木戸 唯博
同 小杉 茂雄

住民監査請求に係る監査結果

(平成21年6月30日請求)

<朝鮮総連関連施設に係る固定資産税等の減免について>

目次

堺市監査委員公表第35号

第1 監査の請求

1 請求人

1名(氏名は省略)

2 監査請求書の提出

平成21年6月30日

3 請求の趣旨

  • 堺市が長年に亘り平成21年度も朝鮮総連関連施設の固定資産税減免措置を講じている事は法律違反である。
  • 朝鮮総連関連施設に非課税措置は違法と最高裁が断定した。
  • 亦、大阪地裁に於いても朝鮮総連関連施設への固定資産税減免は違法と断罪した。
  • 地方自治法242条に基づき、詳細を調査し、違法な減免措置の無効の確認と過去5年に遡って適正な徴税措置の勧告を請求する。

(原文のとおり。なお、事実証明書の掲載は省略した。)

第2 監査の実施

1 要件審査及び請求の受理

 本件請求は、地方自治法第242条第1項に規定する要件を具備しているものと認め、平成21年7月6日にこれを受理した。

 なお、以下の記載にあたっては、減免対象とされた施設の所在地や施設の所有者が特定される部分については、地方税に関する情報であることを考慮して、一部をアルファベットに置き換えるなどした。

2 請求人の証拠の提出及び陳述


 地方自治法第242条第6項の規定に基づき、平成21年7月23日、堺市役所高層館19階・監査室において請求人に対し証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、公開質問状とその回答、新聞記事、堺朝鮮初級学校の写真、本市内の在日本朝鮮人総聯合会関連施設(以下「本件施設」という。)であるとする土地建物の全部事項証明書等が追加提出され、本件施設の公益性に関する本市が行った実態調査の結果を明らかにすることなどについて、請求人及び請求人代理人が陳述を行った。

3 監査対象部局

理財局(税務部)

4 監査対象部局からの事情聴取等

 本件について、市長に対して請求に係る意見書の提出を求めるとともに、平成21年7月23日、監査対象部局の職員から、本件請求に関する事実及び意見について事情を聴取した。その概要は以下のとおりである。

(1) 事情を聴取した者

理財局長、税務部長、市税事務所長、資産税管理課長ほか

(2) 本件請求に関する意見等

ア 監査請求人の請求に対する考え方及び意見

 当該監査対象施設については、堺市市税条例(以下「市税条例」という。)第42条第1項第13号及び堺市市税条例施行規則(以下「施行規則」という。)第12条に規定する集会所の利用実態と類する施設として、その均衡上から減免の適用を受けるものと解している。

(ア) 堺市が本件施設の固定資産税減免措置を講じている事は法律違反であることについて
 監査請求人は、当該監査対象施設の固定資産税等の減免措置を講じている事は法律違反であると主張している。
 固定資産税の減免についての規定は地方税法(以下「法」という。)第367条に、「市町村長は、天災その他特別の事情がある場合において固定資産税の減免を必要とすると認める者、貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者に限り、当該市町村の条例の定めるところにより、固定資産税を減免することができる。」とある。
 これを受けて市税条例第42条第1項に、「市長は、次の各号のいずれかに該当する固定資産のうち必要があると認めるものについては、当該各号に定めるところにより、固定資産税を減免する。」、同条第5項に、「市長は、第1項に定めるもののほか、これらの規定との均衡上又は公益上特別の事情があると認める場合においては、固定資産税を減免することができる。」と規定している。
 なお、都市計画税については、法第702条の8第7項に、「第1項前段の規定によって都市計画税を固定資産税とあわせて賦課徴収する場合において、市町村長が第367条、第368条第3項又は第369条第2項の規定によって固定資産税又は当該固定資産税に係る延滞金額を減免したときは、当該納税者に係る都市計画税又は当該都市計画税に係る延滞金額についても、当該固定資産税又は当該固定資産税に係る延滞金額に対する減免額の割合と同じ割合によって減免されたものとする。」と規定している。
 当該監査対象施設については、市税条例第42条第5項を適用し、同条第1項第13号及び施行規則第12条に規定する集会所に対する減免との均衡を考慮して、減免を行っている。
 このように当該監査対象施設についての減免措置は、法及び市税条例に則したものであり、法律違反ではない。

(イ) 在日本朝鮮人総聯合会関連施設に非課税措置は違法と最高裁が断定したことについて
 平成19年11月30日付けで最高裁が熊本市の上告を棄却したことにより確定した平成18年2月2日の福岡高裁判決では、朝鮮会館として使用されている建物及びその敷地の各一部分は、法第367条の規定を受けた熊本市税条例第50条第1項第2号の「公益のために直接専用する固定資産」及び同項を受けた熊本市税条例施行規則第6条第2号ウの「公民館類似施設」に該当するとしてされた固定資産税等の減免措置が違法であるとして、地方自治法第242条の2第1項第2号に基づいて減免措置の取消を求める請求及び同項第4号に基づいて減免措置当時の市長個人に損害賠償の請求をすることを市長に対して求める請求が、いずれも認容されている。
 判決理由として、熊本市では【1】固定資産税等の減免事由の存否は、当該固定資産の納税義務者とされている登記簿等に所有者として登記又は登録されている者について判断されなければならないところ、不動産の所有者として登記されている会社は、元々当該会館を所有することを企図して設立されたにすぎず、会社としての活動は何ら行われていないから、同社に減免事由は認められないこと。【2】「公益のために」とは「我が国社会一般の利益のために」と解すべきところ、専ら当該会館全体を使用している在日本朝鮮人総聯合会等の活動が「我が国社会一般の利益のために」行われているとはいえないこと。【3】「公民館類似施設」は社会教育法第42条に規定する「公民館に類似する施設」を指すものであり、公民館と同様に、一定区域の住民を広く対象とした施設を予定しているものと解するのが相当であるところ、当該会館の運用規則上、一部分が専ら「公益のために」使用されるべきものとは定められていないこと。【4】「公益のために」という目的、内容の施設としてふさわしい利用状況であったかについても大いに疑問があることがあげられている。
 堺市の場合、【1】固定資産税等の減免事由の存否は、生活保護等に係る場合を除き、所有者ではなく固定資産の利用実態によるものであること。【2】他の減免対象となっている集会所の利用実態との均衡性が見出せない部分は、平成18年度以降、減免の対象から除外していること。【3】「公民館類似施設」ではなく、「集会所の類似施設」としての扱いであり、利用実態やその管理運用規則においても、それらの集会所と大きな相違が認められないこと。【4】施設の利用実態の確認のため毎年実地調査を行っていることなどの違いがある。
 なお、減免措置の決裁書類において、「公民館的」という表現が見られるが、これは社会教育法に規定する「公民館及び公民館類似施設」を指すのではなく、市内に所在する集会所施設の呼称が「公民館」、「自治会館」、「地域会館」、「会館」、「集会所」等まちまちであり、そういった施設の総称的意味合いで記載したものであり、減免適用の判断は、社会教育法の規定に関わらず、あくまで市税条例第42条第1項第13号及び施行規則第12条に準じて行っている。
 以上のように両市は条例の規定が異なるとともに、施設の利用実態も異なっているため、類似の事例ではあるが、その内容には大きな違いがあるものと考えている。

(ウ) 大阪地裁も在日本朝鮮人総聯合会関連施設への固定資産税減免を違法としたことについて
 平成21年3月19日の大阪地裁判決では、八尾市にある在日本朝鮮人総聯合会の支部が同胞会館として使用している施設についての法第367条に基づく固定資産税等の減免措置が同条を受けて規定された条例等に定める「公益上その他の事由により特に必要と認める」ものという要件を満たしていないとして違法とされた。
 判決理由として、【1】当該同胞会館は在日本朝鮮人総聯合会支部の関連団体の行事又は活動に係る会議のための利用が大半を占めており、その他には、公共団体による利用はなく、地域住民からは使用の申込み自体がそもそもなかったこと。【2】地方自治法に規定する地縁による団体等が借り受けて管理運営を行い、専ら公益のために使用する集会所と同等の公益性があると判断する上で、その基礎となる事実関係について客観的な裏付けとなる資料がないことがあげられている。
 堺市の場合、【1】在日本朝鮮人総聯合会活動のような、他の減免対象となっている集会所では見られない類の利用はごく一部であり、その利用の大半が住民である在日朝鮮人による婦人会や青年会、老人会の集会やカルチャー教室、商工会主催の会議や催し、近隣住民も参加しての市民ネット会議、これらの運営を調整するための事務局会議、その他結婚相談会や新年会、成人式等季節的な行事の利用など、他の集会所においても見られるような利用状況であること。【2】毎年実地調査を行い、平成18年度からは集会所として利用されている部分の特定のための利用実態についても確認を行っていることなどの違いがある。
 八尾市の場合も熊本市と同様、堺市と条例の規定が異なるとともに、施設の利用実態も明確でなく、類似の事例ではあるが、その内容には大きな違いがあるものと考えている。

(エ) 過去5年に遡って適正な徴税措置を行うことについて
 監査請求人は、当該監査対象施設の固定資産税等の減免について、過去5年に遡って適正に徴税するよう求めているが、当該監査対象施設に対し、堺市の行っている減免措置は合法であり、相手方が悪意又は故意によって課税を免れたものではないため、5年間遡及の不利益処分はできないものと考えている。

(オ) 総括
 当該監査対象施設については、市税条例第42条第5項により同条第1項第13号及び施行規則第12条に規定する集会所の利用状況と類する施設として、その均衡上から固定資産税等を減免している。
 なお、減免措置を行う際の決裁書類に記載された「公民館的」の表現については、前述のとおり社会教育法に規定する「公民館」を指すのではなく、市内に所在する集会所施設の総称的意味合いで記載している。
 監査請求人は、熊本市及び八尾市の在日本朝鮮人総聯合会関連施設に対する判決を請求の要旨にあげているが、施設の利用状況や根拠となる条例が自治体ごとに異なるため、他市の判決結果をもって一概に判断すべきではないと考えている。
 市税条例では所有者と利用者が異なる場合は、無償で貸借されていれば減免の対象となり、利用実態や公益性については、条例等に規定する集会所との均衡が見出せれば減免の対象となる。
 利用実態の確認については、毎年実地調査を行い、法第353条により資料の閲覧・提出を求めるなどの対応を行っている。
 以上のことから、当該監査対象施設に対する固定資産税等の減免措置については、適法であるものと考えている。平成21年度においても、実地調査の結果を受けて条例に則した判断を行う予定である。

第3 監査の結果

1 本件の監査対象事項

 本件監査請求において、請求人は、本市が長年に亘り本件施設の固定資産税減免措置を講じている事は法律違反であると主張し、地方自治法242条に基づき、詳細を調査し、違法な減免措置の無効の確認と過去5年に遡って適正な徴税措置の勧告を請求している。

このような請求人の主張から、本件施設に対する固定資産税の減免措置は違法であるかを本件の監査対象事項とした。

2 地方自治法第242条第2項の期間制限規定の適用について

(1) 期間制限規定について

ア 地方自治法第242条第2項は、監査請求の期間は、「当該行為のあった日又は終わった日から1 年を経過したときは、これをすることができない」と原則を規定している。
 これは、普通地方公共団体の執行機関・職員の財務会計上の行為は、たとえそれが違法・不当なものであったとしても、いつまでも監査請求ないし住民訴訟の対象となり得るものとしておくことが法的安定性を損ない好ましくないとして、監査請求の期間を定めているものである。
 しかし、公金の賦課徴収を怠る事実及び財産の管理を怠る事実については、その不作為としての性質上、怠る事実が存在する限り請求期間の制限を受けないとされている(最高裁昭和53年6月23日判決)。
 これを本件請求が1年の請求期間の制限を受けるかについて検討する。

イ 請求人は、本件施設の減免状況の詳細を調査し、違法な減免措置の無効の確認と過去5年に遡って適正な徴税措置の勧告を請求している。これは、公金(固定資産税)の賦課徴収を怠る事実を主張するものとも捉えられる。
 しかし、租税の減免とは、法令及び条例の定めるところにより一旦課税権を行使し税債権が発生したものについて、その税額の全部又は一部を放棄し消滅させることであり、地方自治法第242条第1項に規定する財務会計上の行為である「財産の処分」に該当するものと考えられる。
 よって、本件請求は、地方自治法第242条第1項に規定する不作為の性質である怠る事実には該当せず、市税債権の処分(当該減免措置)についてこれを改める請求であると解することができるため、請求期間の制限を受けるものである。

ウ 期間制限の適用にあたっては、当該財務会計上の行為である本件固定資産税の減免のあった日を起算日とすることが相当であると考えられる。
 そうすると、本件監査請求がなされた平成21年6月30日には平成19年度以前になされた減免については、すでに1年が経過していることになる。

エ しかし、地方自治法第242条第2項ただし書は「正当な理由があるときは、この限りでない」として例外を認めている。これは、当該行為が1年を経過してからはじめて明らかになった場合等にも請求期間の制限を貫くことは相当ではなく、「正当な理由」があるときは、例外として、当該行為のあった日又は終わった日から、1年を経過した後であっても、普通地方公共団体の住民が監査請求することができるとしたものである(最高裁平成14年9月12日判決)。
 前記の最高裁判決では、正当な理由の有無は、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的にみて当該行為を知ることができたかどうか、また、当該行為を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断すべきものとしているので、本件請求人が、相当の注意力をもって調査をしたときに客観的にみて当該行為を知ることができたか、知ることができたと解される日から相当期間内に監査請求を行っているかを、事実をもとに検討する必要がある。
 実際に公開されていた情報等について、以下のとおり確認できる。

(ア) 平成18年7月21日の産経新聞において、平成18年度の全国の在日本朝鮮人総聯合会関連施設の減免状況について総務省の調査結果が掲載され、「減免措置の見直しを検討中」と回答した8自治体の1つに本市が挙げられていた。

(イ) 平成18年7月24日受付の「市民の声」(朝鮮総連施設減免措置について)に対して、本件施設に関する減免状況について説明した回答内容が、本市ホームページに平成19年4月から現在(監査結果の通知日)まで掲載されている。
 請求人に対して、地方税法(以下「法」という。)第22条の秘密漏えいに関する罪の規定を理由として、関係局から本件施設の課税情報の提供がなされていなかった可能性は否定できないものの、前記(ア)、(イ)の事実から、請求人は遅くとも本市のホームページの当該「市民の声」に対する回答内容が掲載された時点で、本件施設の減免の状況について知ることができたものと解される。また、この知ることができたと解される日から相当な期間内に監査請求が行われているとはいえない。

オ よって、本件請求に、期間制限の例外規定の適用を受ける「正当な理由」は認められない。
 したがって、本件監査請求は、平成20年度以降の減免措置が監査の対象となるが、平成21年度の減免については、減免申請書の提出がされており、現在、実地調査等で減免の適否の審査中であり減免措置の決定がなされていないため、平成20年度の減免措置についてのみを監査の対象とする。

3 本件減免の適法性について

(1) 減免に係る法律・条例の根拠について

ア 法第367条は、「市町村長は、天災その他特別の事情がある場合において固定資産税の減免を必要とすると認める者、貧困に因り生活のため公私の扶助を受ける者その他特別の事情がある者に限り、当該市町村の条例の定めるところにより、固定資産税を減免することができる。」と規定している。
 税の減免とは、一旦成立した租税債権を、納税義務者の担税力の減退などの理由により放棄することをいう。この点、課税権自体を放棄する非課税措置あるいは不均一課税(法第6条)とは異なる。ただし、租税法律主義の観点から、税の減免は市町村長の裁量に委ねられるのではなく、条例による明確な根拠が必要とされるのである。
 法第367条の「その他特別の事情がある者」とは「一定の公益性のある用途で使用している固定資産に係る納税義務者について、その用途に係る事業の援助又は勧奨等の行政目的達成のためこれに係る固定資産税を減免することも可能であり、そうした納税義務者を『特別の事情のある者』と認める条例を制定することも地方税法の上記規定は許容している」と解されている(大阪地裁平成21年3月19日判決)。
 したがって、この場合は所有者の担税力とは別個に、当該固定資産の利用が公益にかなうと判断されるときは、税の減免が許されることになる。そして、税の減免要件である公益上の必要性の有無については、各市町村の条例で自主的に定めることができると解されている。

イ この規定を受けて、堺市市税条例(以下「市税条例」という。)第42条第1項は、「市長は、次の各号のいずれかに該当する固定資産のうち必要があると認めるものについては、当該各号に定めるところにより、固定資産税を減免する。」と定めている。
 この規定は、本市市議会が、類型的に固定資産税の減免をすることが相当な程度の公益性を有していると判断する27種類の固定資産(以下「法定資産」という。)について、減免対象とするか否かの判断権限を市長に委任する規定である。
 この委任規定の趣旨について検討すると、公益という概念は包括的なものであるところ、固定資産の利用状況には様々な態様が想定されるので、当該利用に係る公益性の判断も多種多様なものとなる。法定資産は、本市市議会がその利用が類型的に公益上の必要性が高いと判断したものと解されるが、法定資産であっても具体的利用方法によっては当該公益性が乏しい場合がありうるところ、このような場合にまで固定資産税を減免することは相当ではない。したがって、同規定は、法定資産であっても、公益性は具体的事情によって判断することとし、その判断権限を市長に委任した規定と解するのが相当である。

ウ 市税条例第42条第5項は、「市長は、第1項に定めるもののほか、これらの規定との均衡上又は公益上特別の事情があると認める場合においては、固定資産税を減免することができる。」と規定する。この規定は、減免対象となる固定資産の範囲を拡大する権限を市長に付与したものである。
 この規定は、同条第1項が、具体的減免の必要性に係る判断を市長に委任していることとの均衡上、法定資産に該当しない固定資産(法定外資産)であっても、その具体的利用状況が法定資産に対する減免措置と比較して均衡上公益にかなうと判断される特別の事情があるときは、市長に対し、法定資産に準じた減免措置を講じることができる権限を付与した規定と解するのが相当である。

エ そして本件は、市長が市税条例第42条第5項の規定によって減免措置を講じたものであるが、同条第5項は同条第1項の法定資産に準じる場合であるから、以下は、市税条例第42条第1項及び第5項の要件の該当性について順次検討することとする。

オ なお、都市計画税については、法第702条の8第7項に、都市計画税を固定資産税とあわせて賦課徴収する場合において、市町村長が第367条の規定によって固定資産税を減免したときは、当該納税者に係る都市計画税についても、当該固定資産税に対する減免額の割合と同じ割合によって減免されたものとすることを規定している。また、市税条例第100条においても、都市計画税の賦課徴収は、固定資産税の賦課徴収の例によるものとし、固定資産税を賦課徴収する場合に併せて賦課徴収することを規定している。
 したがって、本件施設の都市計画税については、法及び市税条例により固定資産税の減免の割合と同じ割合によって減免され、固定資産税と併せて賦課徴収されるので、固定資産税の減免に関する判断は都市計画税にも該当する。よって、以下は固定資産税のみの減免措置について検討するものとする。

(2) 市税条例で定める集会所と本件施設について

ア まず、市税条例の規定を整理する。

(ア)市税条例第42条第1項各号は、市長が固定資産税を減免することができる固定資産及びその減免の限度を規定している。
 減免対象となる固定資産は一定の基準で分類されるが、その分類基準は、【1】所有者の属性を基準とするもの(以下この基準を「所有者基準」という。)、【2】所有者の属性と固定資産の規模・用途を基準とするもの(以下この基準を「所有者・規模用途基準」という。)、及び【3】所有者の属性を問わず固定資産の利用者とその利用形態の双方又は一方を基準とするもの(以下この基準を「利用基準」という。)に区分することができる。
 そして、同項第13号は、「地方自治法第260条の2第1項の認可を受けた地縁による団体又は良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な共同活動を行うことを目的として市内に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体で規則で定める要件を満たすものがその本来の活動の用に供する集会所で規則で定める要件を満たすもの及びその敷地の用に供されている土地」を固定資産税の免除対象施設と規定している。
 この規定を前記区分に当てはめると、集会所については「利用基準」による区分がなされたものと解することができる。

(イ) そして、市税条例第42条第1項第13号及び堺市市税条例施行規則(以下「施行規則」という。)第12条第1項は、利用基準を、更に、当該集会所をその本来の活動の用に供している団体(以下「当該団体」という。)に該当するための要件(利用団体要件)を定め、施行規則第12条第3項は当該集会所の利用形態に係る要件(利用要件)を定めている。

(ウ) ここで留意すべきは、当該団体とは、集会所の所有者を意味するのではなく当該集会所の本来的利用者である。その理由は前記のとおり、本市が固定資産税の減免措置を設ける基準として、所有者基準だけでなく、利用基準を採用しているからである。

イ 次に、市税条例及び施行規則の規定を整理する。

(ア) 市税条例第42条第1項第13号及び施行規則第12条第1項は、利用団体要件として次の3種類を定めている。
〈1〉 第1の団体は「地方自治法第260条の2第1項の認可を受けた地縁による団体」である。
〈2〉 第2の団体は

「【1】 団体の規約、会則又は定款において、良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な活動を行うことを目的及び業務として定められ、かつ、名称、代表者に関する事項及び会議に関する事項が定められていること、
【2】 現に良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な活動を行っていること、
【3】 地域に住所を有するすべての者が構成員となることができるものとし、その相当数の者が現に構成員となっていること、
【4】 特定の宗教又は政党のために活動していないこと、
【5】 民主的に運営されていること、
【6】 【1】の活動に要する費用を他の活動に要する費用と区分して経理していること、
のすべてを満たす団体」である。
 〈3〉 第3の団体は「地域における公共的活動を行うものであることについて自治会活動に関する事務を所管する課(これに相当する組織を含む。)の長(以下「所管課の長」という。)において確認がされたもの(団体)」である。

(イ)市税条例第42条第1項第13号は、集会所の利用要件として、当該団体が「その本来の活動の用に供する集会所で規則で定める要件を満たすもの」と定めており、これを受けた施行規則第12条第3項は次の3種類を定めている。

〈1〉 第1は

「【1】 専ら集会所として使用されていること、
【2】 区域に住所を有する住民が利用できること、
【3】 集会所としての機能及び構造を有していること、
【4】 使用に関する定めがあること、
【5】 利用者から管理費等に相当する金額を超える対価を徴収しないこと、
【6】 営利を目的とする活動に供されていないこと、
【7】 市税条例第42条第1項第13号に規定する団体(当該団体の責任者その他団体を代表する者を含む。)が管理者であり、かつ、管理費の負担者であること、
【8】 一部の住民のみによって使用されていないこと、
【9】 特定の者の福利厚生のために設置されていないこと、
【10】 区分所有に係る家屋の一部である場合は、規約共用登記又は団地共用登記がなされていること、
 のすべての要件を満たす」ものである。
〈2〉 第2は、「堺市市立老人集会所条例第1条に規定する集会所(これに代わるものとして設置された集会所を含む。)」である。
〈3〉 第3は、団体要件を充足した団体が「その本来の活動の用に供する集会所であることについて所管課の長において確認がされたもの」である。

ウ 本市における集会所概念と外国人団体の施設について検討する。

(ア) 本市における集会所の定義
 法令上、集会所の定義について特段の規定はないが、前記法第367条の解釈基準からすると、少なくとも市税条例第42条第1項第13号の集会所かどうかは、社会通念上その用途に係る事業が援助又は勧奨等の行政目的にかなうものかどうかを基準として判断するのが相当である。
 集会所あるいはこれに類する施設の名称は、公民館、自治会館、地域会館、会館等、地域により様々な呼称のものが見受けられるが、本市の実例では、その呼称にかかわらず、「地域社会の維持発展のための活動における中心的拠点で、コミュニティ活動の場として重要な役割を果たすもので一定の公益性が認められる施設」を集会所としている。

(イ) 利用形態について
 集会所の利用形態について、市税条例や施行規則は、当該集会所の利用者が属する地域又は区域の範囲の大小や当該集会所で開催される会議の内容、当該集会所で開催される集会の規模などを特段規定していない。
 したがって、この点は主たる判断基準とはならないと解される。現に、事実上の利用者が当該マンションの居住者(一部の住民といえないこともない)に限定されていると思われる分譲マンション内の区画された集会所も、この集会所要件を満たすとして固定資産税の減免がなされている実例がある。

(ウ) 外国人団体の集会所について
 集会所の主たる利用者が外国人であっても、当該外国人が本市の住民として、地域社会を構成する近隣住人(日本国籍や当該外国以外の国籍を有する者が含まれる。)らに開かれた環境下で地域社会の維持発展のためのコミュニティ活動をすることは、地域社会にとって公共の利益がある行為と解される。
 したがって、市長が、当該集会所が本市の地域社会の維持発展に資するために利用されていることを認めて当該集会所に係る事業を援助又は勧奨の対象とすることに特段の問題はないと解するのが相当である。

(エ) 小括
 そうすると、そもそも施行規則第12条第3項の集会所とは、不特定多数の住人すべてが無条件で使用できる施設以外絶対にこれを認めないと解すべきではなく、その地域(より狭い範囲である区域を含む。)に住所を有する少数の住民であっても、当該地域内の他の住民を意図的に排斥するなど地域と隔絶した関係を構築するなど特段の事情がない限り、たとえ当該地域内の他の住民の現実の利用者が少ないか又は全く無いとしても、規約等で地域内の他の住民が当該施設を利用する機会を公平に与えることが定められていることによって消極的にせよ地域に溶け込んで一定範囲のコミュニティ活動を行うことを目的とする施設であれば、これを公益性のある集会所として認めるのが相当である。

(オ) 本件施設について
 そうであれば、本件施設の主たる利用者が在日朝鮮人の住民であることは、当該住民が近隣住民に対して本件施設の利用を拒絶するなど、本件施設の利用が地域社会の維持発展のための公共の利益に合致しないと判断される特段の事情がない限り、本件施設を公益性のある集会所と認めるにあたって支障とならないと解するのが相当である。

4 市税条例第42条第1項第13号の該当性について

(1) 本件施設の概要と減免の内容は以下のとおりである。

ア 関係局の陳述の結果、本市内に建設されている本件施設は1件であることが確認された。

本件施設建物の登記内容は以下のとおりである。

所在 a区b町c丁d番地
種類 事務所・集会所
構造 鉄骨造陸屋根4階建
登記床面積 307.85平方メートル
登記原因及びその日付 昭和58年6月7日 新築
所有者 A社
イ 平成20年度の減免対象となった面積等は以下のとおりである。

(ア) 建物
 建物の現況床面積は344.16平方メートルであるが、2階事務室31.08平方メートルを除く313.08平方メートルを減免対象部分としており、減免割合は90.9%となっている。その減免対象部分の詳細は以下のとおりである。

1F 97.73平方メートル(老人集会所、管理室、休憩室、洗面所、階段、ホール)。

2F 104.72平方メートルのうち73.64平方メートル(図書室、相談室、湯沸室、便所、階段、廊下)。

※ 事務室31.08平方メートルについては減免対象部分としていない。

3F 104.72平方メートル(集会所、階段室)。

4F 36.99平方メートル(物置、階段室)。

(イ) 土地

土地減免対象部分の割合は、家屋の延床面積に対する減免対象部分の割合を適用し、土地現況地積131.14平方メートルに対して119.30平方メートルを減免している。

(2)平成20年度の本件施設の減免決定に至る経過について

ア 平成20年12月26日、市税事務所において減免申請書の受付をした後、税務部長まで供覧をした。

イ 平成21年1月21日、市税事務所による本件施設の実地調査、同年1月30日、市税事務所にて在日本朝鮮人総聯合会大阪府堺支部(以下「堺支部」という。)常任委員会委員長から聴き取り調査を実施した。

ウ 同年1月30日、市税事務所長が実地調査復命書の決裁を行い、同日、市税事務所において減免措置を起案した。

エ 同年2月26日、税務部長が同減免措置の決裁をした。

オ なお、前記アの減免申請書の添付書類等として、

【1】 「無償賃貸契約(土地・家屋)をしている旨の申告」
(A社と堺支部の両者から申し立てられたもの。)
【2】 本件施設の管理運用規則
【3】 本件施設の使用状況
(平成19年12月から平成20年12月までの間における施設の使用状況を表したもの)
【4】 「A社は在日朝鮮同胞の公共財産を維持、管理するための法人であり、営利活動を行っていない」ことが説明された文書
【5】 各行事等の案内チラシ
の提出を受けている。

(3) 本件施設の市税条例第42条第1項第13号の該当性について

ア 利用者の団体要件該当性について
 堺支部について、市税条例第42条第1項第13号及び施行規則第12条第1項に規定する団体要件に該当するかどうかは、関係局の提出資料等からは明らかではない。
 よって、堺支部が市税条例第42条第1項第13号の要件を満たす利用団体とはいえない。

イ 本件施設の利用要件該当性について

(ア) 利用目的について
 前記4(2)オの文書【1】~【5】によると、本件施設は、地域住民並びに在日朝鮮同胞の成人教育、研究、集会場等公民会館あるいは集会所又は集会所類似施設として使用することを目的として設置されている。
 所有者であるA社の目的は、本件施設を前記目的のために利用に供することにあると認められる。

(イ) 利用条件について
 本件施設の管理運用規則第5条「使用の許可」の条項中、特に支部施設周辺住民との友好・親睦を重要視し、支部施設の使用などの依頼があれば優先的に使用を許可すると規定されており、使用許可において地域住民の使用を制限する規定は設けられていない。

(ウ) 本件施設の使用実態について
 市税事務所の職員は、平成21年1月21日に約1時間にわたり実地調査を行い、各部屋を写真撮影している。また、同年1月30日に市税事務所において、約1時間にわたり堺支部常任委員会委員長から各会議・集会の詳細な内容を聴き取り調査している。さらに、実際に老人会の行事が行われている時に本件施設に立ち入り、その模様を確認し写真撮影している。
 これらの実地調査等により、本件施設は、本市住民である在日朝鮮人によって、健康体操、歌、踊り等のレクリエーション活動や、談話・敬老会等の行事を行っている「老人会」、堺朝鮮初級学校が休校になる際に学校を支援する目的で地域の住民や卒業生等が集まってできた「市民ネット会議」、税金の申告に関するサポートや互助活動、相談活動等を行ったり、これらの打合せを行う「商工会会議」、各種地域行事の打合せや活動内容の検討等を行う「婦人定例会議」、成人式等地域の活動行事の打合せ等を行う「青年会議」など、様々な年齢・性別のメンバーによる各種会議・集会が、それぞれ月1回程度、5人から30人程度が集まって行われていることが確認されている。
 このうち、市民ネット会議については、現在、餅つき、ハイキング、学校の草むしりなどの活動を通じて親睦が図られており、地域の日本人住民も参加しているとのことである。
 一方で、一部の部屋では「総連定例会議」、「幹部会議」などに使用されていることも同様に確認されている。

(エ)利用状況について

〈1〉 2階事務室31.08平方メートル(減免対象でない部分)
 実地調査により、事務机及びロッカーが配置されており、事務所の仕様になっている形態であることから、会議・集会に利用される部屋ではないと判断し、減免対象でない部分と決定されている。

〈2〉 2階事務室を除く1階から4階の313.08平方メートル(減免対象部分)
 市税事務所へ堺支部から提出された書類及び同事務所の実地調査の結果により、主として次の【1】から【5】までの事実が認められる。

【1】 各種行事の内容を案内するチラシが作成され、施設内に配架等されており、実際に老人会や青年会など、地域の在日朝鮮人等が行事に参加し、本件施設を使用している。(前記3(2)イ(イ)〈1〉の【1】【2】【8】に概ね該当すると思われる。)
【2】 建物内に集会が可能な場所を有し、集会に必要な会議机及び椅子等の備品が備えられ、これらの備品を収納する場所があり、自治会等の集会所と同様の機能及び構造を有している。(同【3】)
【3】 使用に関する定め(本件施設の管理運用規則)があり近隣住民の利用が排斥されていない。(同【2】【4】【8】【9】)
【4】 「3階集会所1回3,000円」等と本件施設の管理運用規則に使用料についての規定があり、使用者から管理費等に相当する金額を超える対価を徴収していない。(同【5】)
【5】 営利を目的とする活動に供されていない。(同【6】)
 市税事務所は、本件減免対象部分が自治会等の集会所と同様の使用実態、構造であると判断できる程度までに必要な調査を行っているということがいえる。
 そうすると、本件施設は施行規則第12条第3項の要件を満たすとはいえないが、前記3(2)イ(イ)〈1〉の【7】を除き、集会所の利用要件は概ね認められる。
(オ) 小括
 以上のとおり、本件施設は市税条例第42条第1項第13号の集会所とは認められないが、これに極めて類似した機能を営む施設と認めることができるので、以下は、市税条例第42条第5項の適用について検討する。

5 市税条例第42条第5項の該当性について

(1) 同項の趣旨について

前記3(1)ア及びウのとおり、本条は、「一定の公益性のある用途で使用している固定資産に係る納税義務者について、その用途に係る事業の援助又は勧奨等の行政目的達成のため、これに係る固定資産税を減免する」ことを定めた規定である。

(2) 集会所との均衡論について

ア 本件施設の利用状況について
 前記4の事情からすると、本件施設は、良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な活動のために集会所に準じた利用がなされていると認められるので、市長が本件施設の利用に係る事業の援助又は勧奨等の行政目的に沿った措置を講じることに不相当な面はないと判断される。

イ 利用団体について
 前記4(3)アのとおり、利用団体たる堺支部は市税条例に定める集会所の利用団体とは認められず、また、堺支部の活動には種々のものがあり全てを把握できないが、少なくとも堺支部が本件施設を集会所として利用していること並びにその利用が良好な地域社会の維持及び形成に資する地域的な活動として公共の利益にかなうものであることは認められる。

ウ 小括
 以上の事情を総合すると、本件施設が、施行規則第12条第1項及び第3項に規定する集会所と異質のものであるとまではいいがたい。
 本件施設のうち減免対象部分としている各部屋及び便所等の共用部分は、他の自治会等の集会所にも見られる形態であり、また集会所の機能を果たすために必要な部分を構成するため、地域住民たる在日朝鮮人が地域住民と障害なく利用できる場所となっていることから、施行規則第12条第3項第1号の集会所に準じる施設であると認められる。
 なお、福岡高裁平成18年2月2日判決(最高裁平成19年11月30日上告棄却決定)や大阪地裁平成21年3月19日判決の対象となった熊本市及び八尾市と本市とでは条例等の減免規定に違いがあるなど、これらの判決で示された判断を本件に直接当てはめることはできないと考える。

(3) 総括
 以上の事情を鑑みて、堺市長は、市税条例第42条第5項に基づき、集会所との均衡上又は公益上特別の事情があると認める場合として、本件施設を集会所に準じて固定資産税の減免措置を講じたと認めることができる。
 よって、市長が、本件施設344.16平方メートルのうち313.08平方メートル(及び敷地 131.14平方メートルのうち119.30平方メートル)について、市税条例第42条第1項第13号の集会所に準じるものとして同条例第42条第5項を適用して、市長が本件施設の所有者であるA社に対して本件施設及びその敷地のうち前記部分の固定資産税及び都市計画税を免除したことに違法性はないと判断する。

6 結論

以上のとおり、本件施設に対する固定資産税の減免について、違法であるとの請求人の主張には理由がなく、この主張に基づく措置の請求にも理由がないものと判断する。

以上

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〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所高層館19階

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