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堺市
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平成20年5月13日 堺市監査委員公表 第25号

更新日:2012年12月19日

地方自治法第242条第1項の規定に基づき平成20年3月14日に監査委員に提出された住民監査請求について、監査委員の合議によりその結果を下記のとおり決定したので、同条第4項の規定に基づき公表する。

平成20年5月13日

堺市監査委員 吉川 敏文
堺市監査委員 大毛 十一郎
堺市監査委員 小杉 茂雄

住民監査請求に係る監査結果

(平成20年3月14日請求)

<新清掃工場の建設・運営事業の契約について>

目次

堺市監査委員公表第25号

第1 監査の請求

1 請求人

1名(氏名は省略)

2 監査請求書の提出

平成20年3月14日

3 請求の趣旨

1.請求の要旨

堺市は、臨海における溶融炉の新清掃工場建設・運営を本市で最初のPFI事業で行うことを決め、平成16年末から事業者選定に着手し、最終的に新日鉄エンジニアリング株式会社を中心とするグループを選定した。そして、平成19年2月13日に仮契約を交わし、同年3月16日に議会の議決を経て本契約となった。
 しかし、その選定については、公募と言いながら、結果的に上記1グループの応募しかなく、その上、その「提案金額」が堺市の示した「上限額」の99.8%という極めて異常ともいうべき額であり、市民としては到底納得できるものではなく、この公募には根本的な問題があると考える。
それは、堺市より一足早く、ガス化溶融炉の清掃工場建設・運営を、やはりPFI事業で行った名古屋市と比較すると、より明確になる。名古屋市でも、堺市と同じく新日鉄株式会社グループを選定し契約したが、その「落札金額」は名古屋市の「予定価格」の約84.8%であり、堺市の場合との差が歴然としている。同じ新日鉄のガス化溶融炉を採用しながら、この違いは、名古屋市では、2グループの応募があり、ある程度競争原理が働いたからであると考えられる。
ちなみに、堺市の「上限額」は445億2千万円、事業者の「提案金額」が約444億5千万円で、約99.8%となる。(なお、以上はすべて消費税込みである。)名古屋市の場合は、消費税を含まない金額が公表されているので、消費税を含んだ金額に改めると、名古屋市の「予定価格」は450億9750万円、事業者の「落札金額」が約382億3700万円となり、約84.8%である。
 もし、堺市も名古屋市のように、少なくとも2グループの応募があり、ある程度競争原理が働いていれば、「提案額」が「上限額」の約99.8%になるという異常な事態は避けられたはずである。しかも、名古屋市と同じ新日鉄のガス化溶融炉を採用しているのであるから、単純に考えて、堺市も名古屋市のように、約84.8%であれば、「提案額」が377億円余りとなるので、堺市は67億円以上損をしていることになる。
 その上、堺市では、清掃工場の敷地も、新日鉄から年間6850万円で賃貸するので、長期にわたり事業が継続する場合(堺市の場合は26年間)、その費用も莫大なものになる。この計画においては、臨海に借地するという当初の計画の時点から、当時、臨海に広大な土地を持つ新日鉄に極めて有利であり、このことが応募企業の減少につながったと考えられる。そして予想通り、新日鉄エンジニアリング中心のグループのみの応募と言う著しく不透明な経過をたどった上、「上限額」の99.8%という極めて高額な費用になったものである。もし、2グループ以上の応募があれば、より適切な選択ができた可能性が高い。
以上のように、この契約は、堺市と堺市民に莫大な損害を与える、極めて不当なものであるので、市長はこの契約を破棄し、最初から計画及び事業者の選定をやり直すように求める。また、少なくとも、名古屋市と比較して、明らかに、堺市が損害を被っている67億円余りを支出しないように求める。

2.外部監査を求める理由

この契約を議決した議員2人と、元堺市の幹部職員1人が、堺市監査委員4人のうちの3人を占めている現状では、公正な監査が期待できないため、外部監査人による監査を求める。
以上のように、地方自治法第242条第1項の規定により別紙事実証明書を添え、監査請求を行います。併せて、同法第252条の43第1項の規定により、当該請求に係る監査について、監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査によることを求めます。

別紙事実証明書

 [1]2006年3月17日付 毎日新聞夕刊記事
 [2]「堺市・資源循環型廃棄物処理施設整備運営事業における優先交渉権者の決定について」
 [3]「名古屋市鳴海工場整備・運用事業における落札者の決定について」
 [4]「堺市・資源循環型廃棄物処理施設整備運営事業 土地賃貸借契約書(一部)」
 [5]「堺市・資源循環型廃棄物処理施設整備運営事業 事業契約書(一部)」
 [6]「名古屋市鳴海工場整備・運用事業 事業契約書(一部)」

(原文のとおり。なお、事実証明書の掲載は省略した。)

第2 監査の実施

1 要件審査及び請求の受理

本件住民監査請求(以下「本件請求」という。)は、本市の新清掃工場の建設・運営事業の契約が不当であるとの主張から、本件契約を破棄すること等を請求しており、地方自治法第242条第1項に規定する要件を具備すると認められたので、平成20年3月31日にこれを受理した。
 なお、木戸唯博監査委員は市長公室在籍時に本件事業の実施に関与していることから、地方自治法第199条の2の規定により除斥となった。

2 個別外部監査を求めることについて

本件請求において、請求人は、4人の監査委員のうち、堺市議会議員から選任された2人の監査委員が「新清掃工場建設・運営に係る契約」議案の議決に加わり、また、1人の監査委員は元堺市の幹部職員であることをもって、公正な監査が期待できないと主張し、このことを理由として監査委員の監査に代えて個別外部監査によることを求めている。
 しかし、地方自治法第242条第1項の請求について、地方自治法第252条の43第1項の規定による個別外部監査契約による監査(以下「個別外部監査」という。)を併せて求められた場合において、個別外部監査によることが相当であると認められるのは、違法性等の判断に極めて高度な専門性が要求される場合など、特別の事情があり、監査委員による監査になじまない事案であるとして、監査委員が外部の専門家に監査させることが相当であると判断する場合であるところ、本件にはこのような特別な事情があるとは認められない。
 よって、本件請求は、監査委員の監査に代えて個別外部監査によることに相当な理由があるとは認められないので、3人の監査委員が監査することとした。

3 請求人の証拠の提出及び陳述

地方自治法第242条第6項の規定に基づき、平成20年4月22日、堺市役所高層館8階・監査室において請求人に対し証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、請求人から「陳述書」と題する書面が提出され、この書面に沿って陳述が行われた。
 この陳述において、請求人から、監査請求書において「少なくとも、名古屋市と比較して、明らかに、堺市が損害を被っている67億円余りを支出しないように求める。」としていた部分を撤回し、その部分を「少なくとも、新日鉄グループの応募内容と、提案金額が妥当であるかを、第3者機関に再調査してもらい、その結果を、市民に公表するように求める。」と変更する旨の申出があった。
 この変更の申出については、別途、請求人に対して文書による意思確認を行ったところ、陳述どおりに監査請求書の内容変更を求める旨の回答文が提出された。この回答文には、請求人によって、「ただし、もとの『請求書』においても、『やり直すよう』求める文章と『また、少なくとも』以下の文章は並列の関係にはなく、まして、二者択一を求めるものではありません。まず、第一義的に『やり直し』を求めているのであって、それが却下されるのであれば、せめて、『また』以下のことを、ご判断いただきたいということにすぎません。」との記載があった。
 以上の経過により、監査請求書の内容の一部の変更を認めることにした。

4 監査対象部局

環境局(環境事業部清掃工場建設室)

5 監査対象部局からの事情聴取等

本件について、市長に対して請求に係る意見書の提出を求めるとともに、平成20年4月22日、監査対象部局の職員から、本件請求に関する事実及び意見について事情を聴取した。その概要は以下のとおりである。

(1) 事情を聴取した者

環境局長、環境事業部長、環境局副理事兼環境総務課長、環境事業部次長、環境事業部副理事、環境事業部副理事兼環境事業管理課長、環境事業部副理事兼清掃工場建設室長ほか

(2) 本件請求に関する意見等

ア 資源循環型廃棄物処理施設整備運営事業(以下「本件事業」という。)の経緯について
 本市では、既設清掃工場の老朽化に伴い、施設の更新を平成15年6月に公表した堺市PFI等ガイドライン(以下「ガイドライン」という。)に基づき行うこととした。事業の主な経過は次のとおりである。

平成16年12月14日 実施方針の公表
平成17年2月16日 特定事業の選定
平成18年3月24日 実施方針(変更版)及び募集要項等の公表
同年6月5日から6月8日 参加表明書及び資格審査書類の受付
同年6月9日から6月27日 資格審査を行い、新日鉄エンジニアリンググループと日立造船グループの応募2グループに対し資格審査結果を通知
同年10月4日 優先交渉権者選定基準書、様式集(その2)の公表
同年12月1日 応募2グループの内1グループから辞退届が提出される
同年12月4日から12月8日 提案書の受付
同年12月9日から平成19年1月17日 提案審査の実施
平成19年1月18日 優先交渉権者の決定 (新日鉄エンジニアリンググループ)
同年2月13日 事業契約の仮契約を締結
同年2月15日 優先交渉権者の選定に係る客観的評価の結果を公表
同年3月16日 議会の議決を経て本契約となる
イ 透明性及び公平性の確保について
 新日鉄エンジニアリング中心のグループのみの応募は著しく不透明であるとの請求人の主張に対しては、本件事業では、平成16年12月に実施方針を公表した時点から専用のホームページを開設し、実施方針等で本市の事業に関する考え方を広く周知し、募集要項、優先交渉権者選定基準書(上限額を含む)、事業契約書(案)及び要求水準書等で公募条件等を事前公表するとともに、さらに公平を期すため、各社からの質問に対する回答も掲載した。
 また、公募条件等の策定や優先交渉権者の選定にあたっては、外部有識者で構成されるPFI事業検討委員会の助言を受けて、特に事業者選定については匿名審査を実施する等、出来得る限り透明かつ公平な事業者選定に努めてきたものである。
ウ 競争性の確保について
 本件事業の事業者選定に競争性が確保されなかったとの請求人の主張に対しては、下記の点で競争性が十分に確保されたものと考える。
 (ア) 事業者選定方式を公募型プロポーザルとしたが、総合評価一般競争入札に準じて公募前に募集条件をできる限り明確にする等して事務手続きを進めたことにより、一般公募のプロセスにおいて競争性が確保されたとみることが相当であること。
 (イ) 一般的な工事物件の一般競争入札の例に倣い、応募グループの応募者数や企業名を優先交渉権者の選定まで一切公開しなかったことにより、一者提案であっても応募した企業が他の企業の応募状況を知ることができなかったため、競争環境が確保されていたこと。
 (ウ) 一者提案であったが、提案内容の評価を行ったところ、「PFI事業検討委員会」及び「選定審査会」の審査結果でも提案内容が満点100点に対し91.64点と水準の高いものであると評価された。
 公募型プロポーザルは価格と性能の両面で競争する手法であることから、このように性能が優れていることは、性能面での競争原理が機能した結果とみることができること。
 (エ) 辞退したグループの辞退理由は、本件事業のために使用を予定していた自社用地を需要の多い他の民需関連事業に使用するように方針変更したためであることが確認されており、このことは、妥当な理由であると考えられること。
 (オ) 国内のPFI手法による他の事業例でも一者応募でも事業者選定を行っている事例が多数あること。
エ 提案金額が本市の示した上限額の99.8%であることについて
 「提案金額」が堺市の示した「上限額」の99.8%となっており、極めて異常ともいうべき額であるとの請求人の主張に対しては、本件事業の場合は、PFI手法を採る以上は一定のコスト縮減効果(VFM)が見込まれるものでなければならないとの考え方から「予定価格」をさらに切り詰めた結果、「落札率」が高い数値になったものと考える。
オ 名古屋市との比較について
 名古屋市のPFI事業においては、PFI事業に対して交付される国庫補助金が直接民間事業者に支払われていることから落札額に含まれておらず、一方、本件事業においては、PFI事業に対して交付される循環型社会形成推進交付金が国から本市に一度支払われてから民間事業者に支払われることから提案額に含まれている。また、廃棄物発電の結果生じる余剰電力の売却収入(売電収入)について、名古屋市では民間事業者の収入としているが、本市では事業者に支払うサービス購入料から売電収入分を差し引いて支払うため実質的には本市の収入となる。
 以上のとおり、名古屋市と本市ではPFI事業としての募集条件が異なることから、名古屋市の落札額と本市の提案額とを比較評価するには、名古屋市の落札額に国庫補助金相当額を加え、本市の提案額から売電収入相当額を差し引く必要がある。このような補正を行ったうえで比較すれば、本件事業の提案額は名古屋市の落札額に比べて決して高額なものではないと認識している。
カ 事業用地の提案について
 臨海に事業用地を借地するという計画は、長期にわたり事業が継続する場合の費用が莫大であり、臨海に広大な土地を持つ新日鉄に極めて有利であり、このことが応募企業の減少につながったと考えられるとの請求人の主張に対しては、下記のとおり正当な理由がある。
 (ア) 既設清掃工場の敷地が狭あいなため、既存施設を稼動させながら現地建て替えすることは極めて困難であり、また、本市は本件事業の用に供する土地を有しなかったこと。
 (イ) 事業を実施する事業者が用地提案を行うことにより、環境影響評価から本件事業実施まで事業者の責任の一貫性を確保したうえで事業を進めてゆくことが可能となること。
 (ウ) 周辺立地企業によるエネルギー利用等資源循環に関する幅広い提案、既存インフラの利用等の合理的な提案など立地条件を特定しないことにより、提案する企業の自由で創造性と独創性豊かな提案が期待できること。
 (エ) 本市臨海部に存する企業の広大な低・未利用地を有効活用することが地域の活性化につながること。
 (オ) 事業用地は自社用地でも第三者の土地を使用する提案でもどちらでも可としており、応募を希望する事業者が自社所有地を有しない場合でも応募することが可能となっていること。
 (カ) 総合評価による事業者選定であることから、用地提案の優位性だけで決定しないこと。

第3 監査の結果

1 本件の監査対象事項

本件の監査請求書及び請求の趣旨の補充のために請求人が提出した「陳述書」によると、請求人は、平成19年3月16日に本市議会の議決を得て締結された堺市・資源循環型廃棄物処理施設整備運営事業(以下「本件事業」という。)の事業契約(以下「本件事業契約という。」)は、不当な契約であると主張し、当該契約を締結した市長に対し契約の破棄等を求めている。
 請求人が本件事業契約において、選定過程や決定過程に透明性や競争性が確保されていないとする理由は、次のとおり要約される。

 [1] 事業者の選定について、公募といいながら、結果的に1グループの応募しかなかったこと。
 [2] 事業者の「提案金額」は本市の示した「上限額」の99.8%であり、極めて異常な額であったこと。
 [3] 内閣府のPFIホームページには、「PFI事業の性格」として、「特定事業の選定、民間事業者の選定において公平性が担保されること(公平性原則)、特定事業の発案から終結に至る全過程を通じて透明性が確保されること(透明性原則)、各段階での評価決定について客観性があること(客観主義)」などが挙げられているが、本件事業ではこのような点が根本的に欠けていること。
このような請求人の主張から、本件事業契約が不当であるかどうかを本件の監査対象事項として、上記[1]、[2]及び[3]の主張を検討することとした。

2 本件事業契約の不当性について

(1) 事業者が結果的に1グループの応募しかなかったとの主張について
ア PFI事業について
 PFI(PrivateFinanceInitiative)は、公共施設などの設計、建設、改修、維持管理、運営や運営に関する企画に、民間の資金と経営能力、技術的能力を活用し、効率的で効果的に公共事業を行う新しい行政手法で、平成11年9月に民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(以下「PFI法」という。)が施行されている。これを受けて、本市は、平成15年6月に、PFIなどの手法を実施するときの統一的な運用指針として、堺市PFI等ガイドライン(以下「本市ガイドライン」という。)を作成し、PFI等活用庁内委員会やPFI事業検討委員会の設置等、PFIに関する具体的な事務手順を定めている。
イ 本件事業を行うに至った経緯について
 本市の一般廃棄物については、クリーンセンター南工場(以下「南工場」という。)、同東工場第一工場及び東工場第二工場(以下「東第一工場、東第二工場」という。)の3か所の清掃工場において処理されていたが、南工場は昭和48年から、東第一工場は昭和52年から稼動しており、一般的な耐用年数を超えて運用されていた。
 このような状況において、本市の一般廃棄物を安定的に処理するため、資源循環、エネルギー回収など循環型社会の形成に寄与できる新たな清掃工場(以下「本件清掃工場」という。)を建設、運営することとなった。
 本件清掃工場の建設・運営については、平成15年2月に策定された「堺市行財政改革計画」においてPFI手法を用いることとされており、外部有識者で構成するPFI事業検討委員会からの助言や、関係部長で構成するPFI等活用庁内委員会における審議を経て、本件事業の実施方針を作成した。
 この実施方針は、既存工場との位置的関係や本市臨海部に存する企業の広大な低・未利用地を有効活用する観点から、本件清掃工場の設置区域を本市臨海部とし、民間事業者から用地の提供を受ける条件で作成され、平成16年12月14日に公表されたとのことである。
ウ 本件事業における民間事業者の公募等について
 (ア) 監査対象部局の説明によれば、本件事業における事業者の選定過程は次のとおりであった。
 [1] 平成16年12月14日 実施方針の公表
 [2] 平成17年2月16日 本件事業を特定事業として選定
 [3] 平成18年3月24日 変更後の実施方針及び事業者の募集要項等の公表
 [4] 同年6月5日から6月8日 参加表明書及び資格審査書類の受付
 [5] 同年6月9日から6月27日 資格審査を行い、新日鉄エンジニアリンググループと日立造船グループの二者に対し、資格審査結果を通知
 [6] 同年10月4日 優先交渉権者選定基準書等の公表
 [7] 同年12月1日 日立造船グループから辞退届提出
 [8] 同年12月4日から12月8日 提案書の受付
 [9] 同年12月9日から平成19年1月17日 提案審査の実施
 [10] 平成19年1月18日 優先交渉権者を新日鉄エンジニアリンググループに決定

 (イ)以上の選定過程について、監査対象部局は、本件事業を行う民間事業者を公募し、応募のあった事業者について提案内容等の審査を行って契約の相手方を選定し、その者と随意契約を締結する手法(公募型プロポーザル)によることとし、この手法の採用にあたっては、できる限り条件を明確化する等、総合評価一般競争入札に準じて事務を進めるとの条件で、総務省の了解を得たと説明している。
 内閣総理大臣が定めた特定事業の実施に関する基本的な方針の運用指針を示した自治事務次官からの通知(平成12年3月29日付自治画第67号)によれば、PFIにおける民間事業者の選定については、PFI法第7条第1項において公募の方法等によることと規定されており、総合評価一般競争入札(地方自治法施行令第167条の10の2)の活用を図ることが原則であるが、地方自治法施行令第167条の2第1項各号に該当する場合には随意契約の方法によることができるとされている。
 したがって、地方自治法上随意契約によることができ、契約の相手方の選定方法が公募といえる内容を備えている場合には、その選定方法は、PFI法第7条第1項に該当し、問題はないと考えられる。
 (ウ) 具体的に、本件事業の民間事業者の選定方法についてみると、
 まず、本件事業は、民間事業者の資金、経営能力及び技術的能力を活用するために、ごみ処理の方式や建設用地等を事前に確定しなかったことから、業務の仕様を詳細に定めることが困難であったという事情があったとのことである。
 したがって、本件事業契約は、事前に業務の仕様を提示して入札を行うという競争入札の手続になじまず、その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき(地方自治法施行令第167条の2第1項第2号)に該当し、随意契約によることが可能となったものである。
 (エ) 本件事業では、事業の透明性と公平性を高めるため、平成16年12月に実施方針を公表した時点から専用のホームページを開設した。
 このホームページにおいては、実施方針等で本件事業に関する考え方を周知し、募集要項、優先交渉権者選定基準書、事業契約書(案)及び要求水準書等で公募条件等を事前公表するとともに、さらに公平を期すため、各社からの質問に対する回答を掲載してきたとのことである。
 また、平成19年2月15日に公表された優先交渉権者の選定に係る客観的評価の結果によれば、提案審査の評価項目ごとの評価点など提案審査の具体的な経過のほか、外部有識者で構成するPFI事業検討委員会の委員から助言を得て活用庁内委員会委員で構成する選定審査会による事業者選定が行われていたことが確認でき、本市ガイドラインに基づく事業者選定が行われていたことが認められる。
 このことから、本件事業の事業者選定は、公募といえる内容を実質備えていると判断しうるものであった。
 (オ) 以上のことから、本件事業の事業者の選定においてはPFI法の規定に従った手続が行われており、日立造船グループの辞退により結果的に1グループの応募しかなかったとしても、このことのみをもって本件事業契約が不当な契約であったとはいえないものである。
 結果的に、1グループしか応募がなかったことにより競争原理が働いていないのではないかとの疑念がでてくることにはなるので、より詳細に、事業者の「提案金額」の妥当性、相当性を検討しておく必要があろう。
(2) まず、事業者の「提案金額」が本市の示した「上限額」の99.8%であり、異常であるとの主張について
ア ここにいう「上限額」とは、本件事業契約において民間事業者の提案金額がこの額を上回る場合には契約を締結しない金額であり、請求人は、この上限額と提案金額の差が少なすぎることから、本件事業契約が不当な契約と主張するものと思われる。
 そこで、上限額の積算過程について、監査対象部局に説明を求めたところ、その概略は次のとおりであった。
イ まず、上限額算定のための前提条件を以下のとおり設定した。
 [1] 施設規模 1日あたり450トン
 [2] 処理形式 規模的、設備構成的にも似かよっている本市東第二工場の豊富な実績値が使用可能であるため、ストーカ焼却方式に、採用実績の多い電気式灰溶融炉を付加した施設構成を想定した。(ストーカ焼却方式+電気式灰溶融方式)
 [3] 年間処理量 14万トン
 [4] 併設施設等 本体処理施設のほか、死犬猫焼却炉の整備運営費と、環境影響評価にかかる費用を付加した。
ウ 本市ガイドライン(平成18年6月改訂版)は、P.4とP.5において、PFIにおける最も重要な理念としてVFM(Value ForMoney)の概念について、「支払いに対して最も価値の高いサービスを提供しようとする考え方で、PFIではVFMが達成されていることが必要です。」と説明している。
 また、「VFMの評価は、従来型の手法により公共直営事業を行った場合の設計・建設費から維持管理・運営費までの事業全体の予想コスト『PSC(Public Sector Comparator)』と、PFI手法により事業を行った場合の公共負担の予想コスト『PFIのLCC(LifeCycle Cost)』を比較して行います。」としている。
エ VFM算定の手順は、[1]事業条件の設定をし、この条件で従来方式で事業を実施する場合の本市の財政負担額現在価値(従来方式におけるコスト:PSC)を算定する。[2]同じ事業条件でPFI手法で事業を実施する場合の本市の財政負担額現在価値(PFIのLCC)を算定する。そして、[3]従来方式で算定されたコストであるPSCと、PFI手法で事業を実施する場合のコストであるPFIのLCCから、本市の財政負担額現在価値の差額(財政的メリット:VFM)を算定するというものであり、本件事業においては、本市の民間事業者に対する支払額の低減を重視して、PSC及びPFIのLCCを算定していたとのことである。
オ 本件事業の上限額は、上記のPSC及びPFIのLCCの算定項目のうち、本市から本件事業の選定事業者に支払う項目の単純合計値(以下「上限額算定のためのPSC」「上限額算定のためのPFIのLCC」という。)の部分を用いており、本市の支払額低減の観点から、上限額算定のためのPFIのLCCをもとに決定するとのことであった。
カ 上限額算定のためのPSCの具体的な算定については、次のとおりであった。
 (ア)建設費については、平成12年度から平成17年度について、ごみ発電と灰溶融機能を具備したごみ処理施設の発注実績を、本件事業をPFI事業として実施する際にアドバイザーとしての支援業務を委託した外部コンサルタントである株式会社三菱総合研究所が落札額ベースで調査し、それぞれの施設の処理能力と契約額の関係式を導き、450トン/日のごみ処理施設の工事費を設定した。こうして設定した全体工事費に、株式会社三菱総合研究所に依頼した複数のごみ処理プラント企業へのアンケート調査と調査結果の分析(以下「メーカー調査」という。)から算定した死犬猫焼却炉の建設費と、企業からの参考見積により得られた工事監理費を加え、本件清掃工場の全体工事費を算定した。
 (イ) 維持管理・運営費のうち、電力費、用役費(上下水道料金、燃料費、薬剤費等)及び補修費については、東第二工場の実績値やメーカー調査の数値を用い、灰処分関連費については東第二工場の実績値をもとに灰溶融による排出量の減少を見込んだ数値とした。
 また、本件工場の運転のための人件費については、東第二工場が本市職員によって運転されていることから、運転委託を行っている本市南工場の実績値を用い、これにメーカー調査より得られた灰溶融炉と死犬猫焼却炉の運転経費を加えて算定した。
キ 上限額算定のためのPFIのLCCの具体的な算定については、次のとおりであった。
 (ア) 建設費について
 建設費について、上限額算定のためのPSCの額に対するPFI導入により想定されるコストダウン後の額の比率(以下「減額後の比率」という。)を、メーカー調査や箱物PFI事業における数値を参考にする等して決定し、この比率を上限額算定のためのPSCのごみ処理施設及び死犬猫焼却炉の建設費部分に乗じた。こうして得られた金額に公共直営事業の場合と同額を見込んだ工事監理費、及び環境影響評価費用と民間事業者が調達する借入金の金利等を加えて、上限額算定のためのPFIのLCCの建設費部分を算定した。
 (イ) 維持管理・運営費について
 電力費、用役費、補修費、灰処分関連費、人件費等について、メーカー調査により得られた数値を参考に減額後の比率を算定し、この比率を上限額算定のためのPSCのそれぞれの費用に乗じることによって、それぞれの費用についての上限額算定のためのPFIのLCC部分を算定した。
 (ウ) 事業会社の利益等について
 研究機関として一定の評価が下されている株式会社三菱総合研究所の助言を受けて経営指標値を決定し、事業会社の利益等を算定し、この額を上限額算定のためのPFIのLCCの建設費部分及び維持管理・運営費部分に加えて、上限額算定のためのPFIのLCCを算定した。
 なお、事業会社の利益等の算定に用いた経営指標値は、本市ガイドライン(平成18年6月改訂版)P.17に記載された一般的な目安とほぼ同じ値であったことからも、不当性はうかがえなかった。
ク 以上のとおり算定された上限額算定のためのPFIのLCCの額をもとに、本件事業における上限額が決定された。
なお、本件事業によるVFMを確認した結果、契約額ベースでの現在価値換算で約18%のコスト縮減効果が得られたとのことである。
ケ 以上のことからすると、本件事業の上限額は、本市の民間事業者に対する支払額の低減を重視した結果として算定されたものと認められる。
 このような算定の方法は、国及び地方公共団体と民間事業者との適切な役割分担、財政資金の効率的使用の観点から、国及び地方公共団体と民間事業者との責任分担の明確化を図り、収益性を確保するとともに、民間事業者の有する技術及び経営資源、その創意工夫等が十分に発揮されることを通じて低廉かつ良好なサービスを提供するものであり、PFI法第3条に規定されているPFIの基本理念にも合致している。
 以上の経過からすると、上限額算定のための前提条件をも含めて、上限額の積算過程には特に異状な点はなく、本市が行った上限額の設定は正当と判断される。
 よって、上限額に占める提案金額の割合が、結果的に99.8%であっても、本件事業契約が不当な契約であるとはいえないものである。
 なお、請求人が主張している名古屋市の場合との比較については、PFI事業に対して交付される補助金(本市の場合は交付金)や廃棄物発電の結果生じる余剰電力の売却収入(売電収入)の取り扱い等、PFI事業の募集条件が本件事業とは異なることから、一概に比較することができないものである。
(3) 次に、本件事業にはPFI事業としての公平性原則、透明性原則、客観主義が欠けているとの主張について
以上に検討したとおり、また、多くの関心表明書の提出があり、当初、2グループの応募があったものであるから、本件事業においては民間事業者の選定が公平かつ客観的に行われていると判断でき、ホームページ等による事業内容の公表等も一定行われていることから、透明性に欠けることもないと考える。

3 結論

以上のとおり、本件事業契約が不当な契約であるとの請求人の主張には理由がなく、この主張に基づく措置の請求についても理由がないものと判断する。

以上

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電話:072-228-7899 ファックス:072-222-0333
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