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堺市
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平成20年4月24日 堺市監査委員公表 第21号

更新日:2012年12月19日

地方自治法第242条第1項の規定に基づき平成20年3月14日に監査委員に提出された住民監査請求について、監査委員の合議によりその結果を下記のとおり決定したので、同条第4項の規定に基づき公表する。

平成20年4月24日

堺市監査委員 吉川 敏文
堺市監査委員 大毛 十一郎
堺市監査委員 木戸 唯博
堺市監査委員 小杉 茂雄

住民監査請求に係る監査結果

(平成20年3月14日請求)

<指名停止業者との随意契約について(その2)>

目次

堺市監査委員公表第21号

第1 監査の請求

1 請求人

9名(氏名は省略)

2 監査請求書の提出

平成20年3月14日

3 請求の要旨

第1 中小企業クラスター造成外工事

堺市市長木原敬介(以下「市長」という。)は、平成19年12月20日ころ、清水建設株式会社(以下「清水建設」という。)との間で、下記の内容の請負契約を随意契約により締結しました。

工事名 中小企業クラスター造成外工事
工事場所 堺市堺区築港八幡町地内
工期 議会の議決を経た日の翌日から平成21年9月30日まで
請負代金額 8億6100万円(うち、消費税及び地方消費税の額4100万円)

第2 築港八幡町配水管布設工事

堺市上下水道事業管理者澤野哲也(以下「上下水道事業管理者」という。)は、平成20年1月23日ころ、清水建設との間で、下記の内容の請負契約を随意契約により締結しました。

工事名 築港八幡町配水管布設工事
工事場所 堺市堺区築港八幡町地内
工期 平成20年1月23日から平成20年8月29日まで
請負代金 1億1650万円(うち、消費税及び地方消費税の額550万円)

第3 指名停止処分

清水建設は、次の3件の事件を原因として、それぞれ堺市から建設工事入札参加有資格者の指名停止措置を受けています。

[1] 防衛施設庁発注の特定土木・建築工事に関して、独占禁止法違反により公正取引委員会から排除措置命令及び課徴金納付命令を受けたことにより、平成19年6月25日から平成20年6月24日までの間。
[2] 名古屋市発注の地下鉄工事に関して、独占禁止法違反により公正取引委員会から刑事告発を受けたことにより、平成19年2月28日から平成20年2月27日までの間。
[3] 神奈川県の排水基準を超える強アルカリ性の汚水を横浜港に排出した水質汚濁防止法違反により社員が横浜簡易裁判所から略式命令を受けたことにより、平成18年12月27日から平成19年12月26日までの間。
 したがって、上記請負契約は、いずれも、清水建設が堺市建設工事等入札参加有資格者の指名停止措置を受けている期間に締結されたものです。

第4 法令違反

1 指名停止措置を受けている業者との随意契約は許されません。
本件は堺市建設工事等入札参加有資格者の指名停止措置を受けている業者となされた随意契約が法令に違反するかどうかというものです。
 そもそも、建設工事入札参加有資格者の指名停止措置の趣旨は、指名競争入札において、不公正な行為を行った業者に対し、一定期間指名競争入札に参加させないという強い制裁を課すことにより、当該業者が不公正な行為を繰り返すのを防止するとともに、他の業者に対しても、不公正な行為をすることを抑止する点にあります。
 とすれば、建設工事入札参加有資格者の指名停止措置という強い制裁を課されている期間の業者は、随意契約の相手方として相当ではなく、原則として、随意契約の相手方となり得ないはずです。
 なぜなら、指名停止措置を受けている期間中の業者が、競争原理の働かない随意契約という方法により、地方公共団体と請負契約を締結できるとしたのでは、地方公共団体から工事を受注できないという強い制裁である指名停止措置が無意味に帰すことになってしまうからです。
 例外的に、建設工事入札参加有資格者の指名停止措置を受けている業者を随意契約の相手方となし得るとしても、上述のように、随意契約自体が国又は地方公共団体が行う契約の中で例外であること、さらに、指名停止措置を受けている業者については、同措置を受けていない業者に比べて、より厳格に契約の適法性が判断されなければならないことは当然です。
2 法令違反
地方自治体の契約は、地方自治法234条2項、地方自治法施行令(以下「施行令」という。)167条の2第1項6号には、「一般競争入札に付することが不利と認められるとき。」と規定しています。
 地方公営企業の契約は、地方公営企業法35条、地方公営企業法施行令21条の14第1項6号で同様に、「競争入札に付することが不利と認められるとき」と規定しています。
 また、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律では、適正化指針の作成を国・地方自治体に義務づけ、「第1、適正化指針の基本的考え方」として「公共工事の入札及び契約については、受注者の選定や工事の施行について不正行為が多数発生しており、・・・公共工事にかかる不正行為を防止していくためには、・・・不正行為を行う不良・不適格業者を排除し、その介在をなくしていくことが不可欠である。」(公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針平成13年3月29日総務省・財務省・国土交通省告示1号)としています。
 国・地方公共団体をあげて、公共工事から談合などの不正行為を排除していこうとしているのです。
 これらの法律をうけて、堺市では、堺市入札参加有資格業者の指名停止等に関する要綱(以下「本件要綱」といいます。)を制定しましたが、本件要綱7条では、「市長は、指名停止業者を本市の随意契約の相手方としないものとする。ただし、市長が特にやむを得ない事由があると認めるときは、この限りではない。」と規定されています。本件契約は、本件要綱7条但書に基づいて締結されたものです。
 しかし、「特にやむを得ない事由があると認めるとき」とは、具体的には、災害時の応急工事、特殊技術を要する工事等で市長が特にやむを得ない事由があると認めるときでなければなりません。
 また、堺市上下水道局入札参加有資格業者の指名停止等に関する要綱2条では本件要綱を準用しており、基本的には変わりません。
3 本件中小企業クラスター造成外工事
本件中小企業クラスター造成外工事は、災害時の応急工事ではなく、また、清水建設でなければ行えないような特殊技術を要する工事でもありません。
 したがって、中小企業クラスター造成外工事が、本件要綱7条但書の「特にやむを得ない事由があると認めるとき」に違反することは明らかです。
4 築港八幡町配水管布設工事
本件築港八幡町配水管布設工事も、中小企業クラスター造成外工事と同様、災害時の応急工事ではなく、また、清水建設でなければ行えないような特殊技術を要する工事でもありません。
 したがって、本件築港八幡町配水管布設工事が、堺市上下水道局入札参加有資格業者の指名停止等に関する要綱2条が準用する本件要綱7条に違反することは明らかです。

第5 まとめ

よって、監査委員は、市長及び上下水道事業管理者に対し、次の通り勧告するよう求めます。

  1. 木原敬介堺市長は、堺市が建設を予定している中小企業クラスター造成外工事の各工事の請負契約に基づく工事を進行させ、かつ、これによる請負代金の支出をしてはならない。
  2. 澤野哲也堺市上下水道事業管理者は、堺市が建設を予定している築港八幡町配水管布設工事の各工事の請負契約に基づく工事を進行させ、かつ、これによる請負代金の支出をしてはならない。

上記の通り、地方自治法242条1項の規定により、別紙事実証明書を添付の上、必要な措置を請求します。

監査請求書別紙
1 平成20年1月30日付朝日新聞の朝刊記事
2 平成19年12月19日付読売新聞の朝刊記事
(原文のとおり。なお、事実証明書の掲載は省略した。)

第2 監査の実施

1 要件審査及び請求の受理

本件住民監査請求(以下「本件請求」という。)は、堺市が建設を予定している中小企業クラスター造成外工事の各工事、及び築港八幡町配水管布設工事の各工事の各請負契約の締結に法令違反があるとの主張から、各請負契約に基づく工事を進行させ、かつ、これによる請負代金の支出をしてはならないことを請求している。
 よって、本件請求は、違法な契約の履行を是正するよう求めており、地方自治法第242条第1項に規定する要件を具備すると認められたので、平成20年3月17日に受理した。

2 請求人の証拠の提出及び陳述

地方自治法第242条第6項の規定に基づき、平成20年3月26日、堺市役所高層館8階・監査室において請求人に対し証拠の提出及び陳述の機会を設けたところ、5人の請求人から陳述があった。
 なお、新たな証拠の提出はなかった。

3 監査対象部局

理財局(契約課)、建築都市局(堺浜整備推進室)、
 上下水道局(理財課及び配水計画課)

4 監査対象部局からの事情聴取等

本件について、市長に対して請求に係る意見書の提出を求めるとともに、平成20年3月26日、監査対象部局の職員から、本件請求に関する事実及び意見について事情を聴取した。

(1) 事情を聴取した者
(理財局)理財局長、理財部長、契約課長ほか
(建築都市局) 建築都市局理事、堺浜整備推進室長、堺浜整備推進室次長、堺浜整備推進室基盤整備担当課長ほか
(上下水道局) 上下水道局長、理事(上下水道技術統括担当)兼上水道部長、上水道部次長兼配水計画課長、総務部長、理財課長ほか

(2) 本件請求に関する事実及び意見の概要
 ア 理財局及び建築都市局
 (ア) 中小企業クラスター造成外工事の概要

工事名 中小企業クラスター造成外工事
工事場所 堺市堺区築港八幡町地内 中小企業クラスター用地 約9.2ha
契約日 平成19年12月20日
工期 平成19年12月21日から平成21年9月30日
請負代金額 861,000,000円(うち取引に係る消費税及び地方消費税の額41,000,000円)
契約の相手方 清水建設株式会社大阪支店
工事内容 整地工 約25,500立方メートル
道路築造工 延長約2,500m
幅員12.5m(車道幅員w=7.5m 2車線
歩道幅員w=2.5m両側)
雨水管布設工  FRPM管 延長約470m
ボックスカルバート 延長約980m
マンホール設置工 29か所

 (イ) 中小企業クラスター造成外工事の請負契約に係る事実経過
 【1】 平成19年10月15日、工事施行等起案書に市長が決裁。
 【2】 平成19年10月18日、堺市入札参加有資格業者の指名停止等に関する要綱第7条但書の適用について、「中小企業クラスター造成外工事に係る契約について」に市長が決裁。
 【3】 平成19年10月29日、平成19年度第8回堺市建設工事入札参加資格等審査委員会へ付議、契約の相手方を清水建設株式会社大阪支店とすることを堺市建設工事入札参加資格等審査委員会が承認。
 【4】 平成19年11月22日、仮契約を締結。
 【5】 平成19年12月20日、議会の議決により本契約を締結。
 (ウ) 本件請求に関する意見の概要
 a 積極的な産業施策の必要性
 本市は、近年、長期の景気低迷により、大手製造業を中心とした事業者の撤退や規模縮小、中小企業の倒産・廃業等により雇用吸収力の低下を招き、地域産業の活力が低迷していた。また、本市の税収構造は他の政令指定都市に比べて脆弱であり、強固な財政基盤の確立等が求められていた
 このような状況において、本市臨海部の堺第2区には、広大な遊休地が存在し、税源涵養と雇用の創出、地域の活性化を図るため、企業誘致の取り組みを続けた結果、平成19年度にシャープ株式会社(以下「シャープ」という。)が本市臨海部へ工場を建設、操業すること(以下「堺進出」という。)を決定した。
 b 堺浜中小企業クラスター整備事業の重要性について
 堺浜中小企業クラスター整備事業(以下「クラスター事業」という。)は、中小企業の流出を防止し、市内産業の活性化を図るための重要施策である。
 中小企業の事業所数が減少している中で、安心して操業できる場所を求める市内中小企業の声に応えて、堺商工会議所、新日本製鐵株式会社(以下「新日本製鐵」という。)とともに、平成17年度に事業化の検討を開始し、平成18年度に基本計画を策定、新日本製鐵から土地の無償譲渡を受けることとした。
 その後、平成19年4月に進出企業の公募を開始し、9月にクラスター事業用地の形状がほぼ決定し、10月に進出企業が内定し、11月に新日本製鐵と約9.2haの土地譲渡契約を締結した。同年12月から用地の造成工事を開始し、平成21年秋から土地の分譲を行う。
 c 工事の特殊性
 平成19年7月、シャープの堺進出が決定した。
 シャープは平成21年度末までに操業開始を目指しており、クラスター事業は平成21年秋には土地の分譲を予定していることから、工事の施工が同時期となった。
 また、クラスター事業用地とシャープの操業予定区域は近接しているだけではなく、クラスター事業用地を新日本製鐵から無償譲渡された際の条件等から、シャープ及び関連企業の大規模工場建設等工事(以下「シャープ関連工事」という。)の関連車両と工事用進入路を共有することとなった。中小企業クラスター造成外工事(以下「クラスター造成外工事」という。)とシャープ関連工事に伴う交通渋滞や交通事故の発生を予防し、工事を円滑かつ適切に施工するためには、工事用進入路を工事工程の進捗に伴い、効率よく、かつ効果的に随時切り替え、切り回しを行わなければならない。
 さらに、シャープに供給する水道等のインフラも、クラスター事業用地内の道路予定地に埋設し延長することとなっており、クラスター造成外工事の進捗状況に負うところが大きく、また、インフラの位置、深さ、施工時期を調整する必要があり、一体的に工事を進める必要がある。
 d 工期について
 平成19年7月のシャープの堺進出決定により、平成20年7月末までにシャープに、クラスター事業用地内の道路予定地に埋設して上水道、電力、ガス等のインフラを供給する必要が生じた。
 このような埋設を行うには、平成20年2月中にはクラスター事業用地の粗造成を終え、道路位置を決める必要がある。
 しかし、シャープの堺進出決定によりクラスター事業用地の形状にも変更が生じたことから、クラスター造成外工事の実施設計の完成は平成19年10月15日となり、入札を行っていると、平成20年7月末までのシャープへのインフラ供給が不可能になる。
 e 経費の節減について
 シャープの工事はすでに施工中であり、シャープ関連工事の請負業者である清水建設株式会社(以下「清水建設」という。)と随意契約を締結すれば、シャープ関連工事に用いられている交通整理員や仮設用道路などを利用できる結果、経費の削減が可能である。
 f まとめ
 クラスター事業及びシャープの立地による経済波及効果、税源涵養、雇用創出効果を本市が享受するためには、シャープ関連工事の請負業者であり、シャープと強固な信頼関係にある清水建設をクラスター造成外工事の契約の相手方とし、二つの工事を一体のものとして工事の進捗監理や工程調整を行う必要があり、工期内にクラスター造成外工事を完成させることが、本市の利益にかなうことになると判断している。
 クラスター造成外工事は、地方自治法施行令第167条の2第1項第6号、堺市建設工事等における随意契約のガイドライン第6(3)の出合丁場に該当すると判断し、清水建設と随意契約をした。
 また、堺市入札参加有資格業者の指名停止等に関する要綱運用基準第6にある「施工責任の一元化等により既に隣接地で施工している指名停止中の有資格業者を随意契約の相手方とすることが市民の利益にかなう場合等」に該当すると判断し、指名停止業者との契約をした。
 イ 上下水道局
 (ア) 築港八幡町配水管布設工事の概要

工事名 築港八幡町配水管布設工事
工事場所 堺市堺区築港八幡町地内
契約日 平成20年1月23日
工期 平成20年1月23日から平成20年8月29日まで
請負代金額 116,550,000円(うち取引に係る消費税及び地方消費税の額5,550,000円)
契約の相手方 清水建設株式会社大阪支店
工事の内容 配水管布設工 φ100から300ミリメートル L=4080.00m
配水管撤去工 φ40から300ミリメートル L=1174.00m
給水管接合替工 φ25から50ミリメートル 3か所
その他附帯工 一式

 (イ) 築港八幡町配水管布設工事の請負契約に係る事実経過
 【1】 平成19年11月22日、堺市が中小企業クラスター造成外工事を清水建設と仮契約したことを受け、平成19年12月6日、堺市上下水道局入札参加有資格業者の指名停止等に関する要綱第2条で準用する、堺市入札参加有資格業者の指名停止等に関する要綱第7条ただし書の適用について、「築港八幡町配水管布設工事に係る随意契約の相手方について」に上下水道事業管理者が決裁。
 【2】 平成19年12月20日、工事施行等起案書に上下水道局長が決裁。
 【3】 平成19年12月21日、平成19年度第10回堺市建設工事入札参加資格等審査委員会へ付議、契約の相手方を清水建設株式会社大阪支店とすることを堺市建設工事入札参加資格等審査委員会が承認。
 【4】 平成20年1月23日、契約を締結した。

 (ウ) 本件請求に関する意見の概要
 a 随意契約について
 本契約は、随意契約によることができる場合として地方公営企業法施行令第21条の14第1項第6号に規定されている「競争入札に付することが不利と認められるとき」に該当する場合である。
 また、本市の「堺市建設工事等における随意契約のガイドライン」には、「競争入札に付することが不利と認められる場合」として、「他の発注者の発注による現に施工中の工事等と交錯又は近接する箇所の工事等(出合丁場)で、当該施工中の者に施工させた場合には、工期の短縮、経費の節減に加え、工事の安全・円滑かつ適切な施工を確保する上で有利と認められる場合」で、「他の発注者の発注に係る工事と一部重複、錯綜する工事 」と例示している。
 本契約の相手方は、クラスター造成外工事を施工中の請負者であり、十分に現場状況を把握しているため工事開始までの準備期間を短縮することができ、施工責任の一元化により工事の円滑かつ適切な施工を確保できる。また、請負者が造成工事と水道工事の綿密な調整を行うことによって、盛り土の作業に合わせて水道管を布設するなど水道管の埋設に係る掘削費用が軽減される。
 これらのことは、「堺市建設工事等における随意契約のガイドライン」の例示に該当し、本契約は適切であると判断した。
 b 指名停止中の有資格者との契約について
 本工事は、平成20年7月末までに、シャープ及び関連企業へ上水を供給するという時間的制約がある。
 本工事の請負者がクラスター造成外工事と同じでなければ、工程調整を行っても、限られた期間で工事を行っているクラスター造成外工事が優先され、工事期間内で本工事を完成することが困難となる。そのリスクを回避するためにクラスター工事の請負者と随意契約を行うことで、施工責任が一元化でき、本工事も限られた工期で施工し得ることができる。
 そうすることによって、平成20年7月末までにシャープ及び関連企業へ上水を供給し、クラスター整備事業の環境整備及びシャープの堺進出を着実に推進できる。このことは、本市の税源涵養・雇用の創出・経済波及効果等から本市のまちづくりを大きく変えるものであり、その効果は「市民の利益」にかなうものであると考えている。
 c 建設工事入札参加有資格者の指名停止について
 指名停止は指名基準運用上の一つの措置であり、法律上、建設業者の営業の権利を何ら制約するものではなく、公共工事の発注者が一定の期間、不正又は不誠実な行為のあった業者を入札に参加させないことを内部的に決定したものにすぎないものである。
 また、地方公営企業法及び同施行令において、指名停止措置を受けた者を契約の相手方とすることについて特段の規定がないので、違法かどうかの問題は生じないと考えている。
 d 結論
 以上述べたところにより、地方公営企業法施行令第21条の14第1項第6号に規定される随意契約によることができる場合である「競争入札に付することが不利と認められるとき」に該当することから、堺市上下水道局入札参加有資格業者の指名停止等に関する要綱第2条により準用する堺市入札参加有資格業者の指名停止等に関する要綱第7条但書に規定される「特にやむを得ない事由」があると判断し、随意契約を行ったので、工事を進行させ、かつ、これによる請負代金を支出することに問題はないと考えている。

第3 監査の結果

1 本件の監査対象事項

請求人は、堺市建設工事等入札参加有資格者の指名停止措置を受けている業者(「指名停止業者である点は、「3」に述べる。)と市長及び上下水道事業管理者が、各請負契約を競争入札に付することなく、いずれも随意契約によって締結したこと(随意契約の点は、「2」に述べる。)を、法令違反としている。
 このような請求人の主張から、クラスター造成外工事及び配水管布設工事に係る請負契約の締結における上記2点(指名停止業者(「3」)との随意契約(「2」))の法令違反の有無を、本件の監査対象事項とした。

2 まず、クラスター造成外工事及び配水管布設工事に係る各請負契約をいずれも随意契約で行ったことについての違法性、不当性を判断する。

(1)随意契約は、予定価格が普通地方公共団体の規則で定める額を超えないものをするとき、契約の性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき、緊急の必要により競争入札に付することができないとき、競争入札に付することが不利と認められるとき等、地方自治法施行令第167条の2第1項に定める一定の事由に該当する場合に、普通地方公共団体等は、これ(随意契約)によることができると規定されている(地方自治法第234条第2項)。
 なお、地方公営企業が行う随意契約については、地方公営企業法第35条及び同法施行令第21条の14第1項において同様に規定されている。
 本市においては、随意契約を例外的な契約方式と規定した法令の趣旨から、建設工事や建設工事に関連する委託業務等を随意契約とする場合については、その適否判断とその手続を適正にするために、堺市建設工事等における随意契約のガイドライン(以下「ガイドライン」という。)を、平成16年6月に策定し、ガイドラインに示された事例に該当するものについては、随意契約を締結できるものとしている。なお、上下水道局においても、同様に運用されている。
 本件に関係すると思われる上記ガイドライン「運用要領」には、以下のものがある。
 「6 競争入札に付することが不利と認められる場合 (施行令第167条の2第1項第6号)
 (1) 《省略》
 (2) 《省略》
 (3) 他の発注者の発注による現に施工中の工事等と交錯又は近接する箇所の工事等(出合丁場)で、当該施工中の者に施工させた場合には、工期の短縮、経費の節減に加え、工事の安全・円滑かつ適切な施工を確保する上で有利と認められる場合
 ア 《省略》
 イ 他の発注者の発注に係る工事と一部重複、錯綜する工事
(2) クラスター事業とシャープの堺進出について
 本市の中小ものづくり企業の流出を防止し、市内企業の活性化を図るために、先進的な企業が集中する集積拠点を堺浜に整備するクラスター事業は、平成17年度から本市、堺商工会議所、新日本製鐵の3者で事業化への協議を開始し、平成19年3月、新日本製鐵から土地の無償譲渡を受ける旨の覚書を締結した。その後、平成19年4月から5月にかけて進出企業の公募を行った。
 このようにクラスター事業を推進する中で、平成19年7月、シャープの堺進出が決定された。
 上記のようにシャープの堺進出が具体化し、シャープは、127万平方メートルの敷地にコンビナートを建設することから、シャープ向け水道等供給施設を整備しなければならないこと、さらには、クラスター事業用地の形状が変わる可能性があることから、クラスター造成外工事に大きな影響を及ぼすことが予想され、それらのことを視野に入れ、工事の推進方法を検討してきた。
(3) クラスター事業の土地形状がほぼ決まり、平成19年9月には、クラスター事業の工事がシャープ関連工事との出合丁場の中で行われる必要性がでてきた。
 すなわち、シャープの堺進出に際しては、平成20年7月末までに、上水道、電気、ガス等のインフラを供給するとの条件があり、これらのインフラ整備を行うにはクラスター事業用地の道路予定地にインフラを埋設する必要があり、そのためには、平成20年2月中にはクラスター事業用地の粗造成を行い、道路位置を決めなければならなかった。
 また、クラスター事業について、シャープの堺進出に伴い、クラスター事業用地の形状の変更やシャープへのインフラ整備の影響により、実施設計に変更があったため実施設計の完成が遅れ、平成19年10月となった。
 このような状況において、平成20年7月末までのシャープへのインフラ整備及び平成21年秋のクラスター事業用地の分譲に間に合わせるにはスケジュールが厳しくなったため、クラスター造成外工事を早急に着工する必要が生じた。
 その結果、既に施工中のシャープ関連工事とクラスター造成外工事は、同時期に施工されることとなり、インフラの埋設位置や施工時期、施工区間等を、工事工程の進捗に応じて調整しなければならないこととなった。
 以上のことから、クラスター造成外工事は、現に施工中のシャープ関連工事と交錯又は近接する箇所の工事等(出合丁場)となった。
 シャープの要望である平成20年7月末までに、水道等のインフラを整備しなければならないこと、クラスター造成外工事も、平成21年には、分譲が必要なことから、二つの工事は同時の施工となり、工事用車両の進入路を共有しなければならず、さらにシャープ向けの電気、ガス、水道等のインフラ整備は、クラスター事業用地内をシャープ関連工事の工事用車両が通行する中で、工事を進めねばならなかった。
 当然のことながら、錯綜した工事となることは明らかであり、上記ガイドライン「運用要領」6(3)イに該当することから、両工事を、安全、円滑かつ適切に工事を進めるために、随意契約によったことをうかがうことができる。
 具体的にも、シャープ関連工事の工事用車両の通行については、既存の道路がシャープ関連工事等の大規模工事を想定した仕様ではなかったことから、新日本製鐵の構内からシャープの操業予定区域の東側のクラスター事業用地の予定地を工事用進入路として使用していた。
 その後、新日本製鐵と土地譲渡契約を平成19年11月に締結したが、クラスター事業用地の譲渡契約に「本土地を利用した周辺工事での工事車両の進入については、本土地の譲渡後も、その使用について妨げないよう配慮すること」との容認事項が記載されており、シャープ関連工事の工事用車両は、その後もクラスター事業用地を通過することとなった。
 このためクラスター造成外工事の工事用車両とシャープ関連工事の工事用車両は工事用進入路を共有することとなり、両工事に伴う交通渋滞や交通事故の発生を予防し、工事を円滑かつ適切に施工するためには、工事用進入路を工事工程の進捗に応じ、効率よく、かつ効果的に随時切り替え、切り回しを行わなければならない状況となった。
 上述のように、クラスター造成外工事とシャープ関連工事は出合丁場となっており、施工責任の一元化が必要な場合であると認められる。
 クラスター造成外工事に係る請負契約は、施工責任の一元化を図るために、シャープ関連工事の施工業者であり、同工事の総合調整を行っている清水建設を随意契約の相手方としたと考えられる。
 また、本件請負契約締結は、議会の議決をも得ており、もちろん、議会のこの議決が明らかに違法、不当でないことは、いうまでもない。
 このようなクラスター造成外工事に関する事情からすると、同工事は、出合丁場における工事で、当該施工中の者(シャープ関連工事の施工業者)に施工させた場合には、上記ガイドライン「運用要領」6(3)イに該当し、工期の短縮、工事の安全・円滑かつ適切な施工を確保する上で有利と認められる場合にあたるといえる。
 したがって、建設工事等を随意契約とする場合の適否判断等のガイドラインとして策定された、ガイドラインに基づき適法、適切に契約締結されたものといえる。
(4)なお、クラスター造成外工事の随意契約による請負金額を入札による落札金額として、落札率を算定すると83.8パーセントとなり、6億円以上の契約についての落札率の過去の実績(平成17年度88.22パーセント、平成18年度91.07パーセント、平成19年度2月時点まで86.29パーセント)と比べても低い数字であり、入札によっても、83.8パーセントより低い数字がでない可能性が高い。もちろん、積算、見積金額は、適正に算定されていると、市長側は主張している。
 さらに、クラスター造成外工事にかかる経費は、全額分譲経費にて回収され、最終的には、一般財源でまかなわれるものではない、とのことであった。
(5) 配水管布設工事については、次のような事情が認められた。
 クラスター事業用地では、当初から、進出企業への上水道供給のため、クラスター事業の造成工事の進捗に応じて配水管布設工事を行う予定であった。しかし、シャープの堺進出に伴い、整備するインフラのひとつとして、平成20年7月末までにシャープの操業予定区域に上水道を供給することとなり、配水管布設工事を急ぐ必要が生じた。
 本件の配水管は、シャープ堺進出のインフラとして電気、ガス等の他のインフラとともに、既にクラスター造成外工事が行われているクラスター事業用地の道路予定地に埋設しなければならず、クラスター造成外工事の施工業者と配水管の埋設位置、施工時期等を調整しなければならない状況にあった。
 また、クラスター造成外工事及びシャープ関連工事の関係車両によって共有されている工事用進入路の下にも配水管布設工事の施工区間があり、クラスター造成外工事及びシャープ関連工事の施工業者と、配水管の埋設位置、施工時期等を調整しなければならない状況にあった。
 このことから、配水管布設工事は、現に施工中のクラスター造成外工事及びシャープ関連工事と交錯又は近接する箇所の工事等(出合丁場)となった。
 このような配水管布設工事に関する事情からすると、同工事は、出合丁場における工事で、当該施工中の者(クラスター造成外工事及びシャープ関連工事の施工業者)に施工させた場合には、工期の短縮、工事の安全・円滑かつ適切な施工を確保する上で有利と認められる場合にあたり、建設工事等を随意契約とする場合の適否判断等のガイドラインとして策定されたガイドラインによれば、競争入札に付することが不利と認められる場合に該当する。
 したがって、配水管布設工事に係る請負契約は、随意契約として締結することができる。
(6) 配水管布設工事については、シャープのためのインフラ整備の工事の一環として、クラスター造成外工事及びシャープ関連工事が出合丁場となっており、施工責任の一元化が必要な場合であると認められる。
 そして、配水管布設工事についても、施工責任の一元化を図るために、クラスター造成外工事及びシャープ関連工事の施工業者であり、同工事の総合調整を行っている清水建設を随意契約の相手方としたと考えられる。

3 次に、上記2の各請負契約のそれぞれの請負人(契約の相手方)である、清水建設が、指名停止措置を受けている業者であることの違法性、不当性についてを判断する。

(1) 前提事実である、清水建設が上記各請負契約締結時に、堺市建設工事等入札参加有資格者の指名停止措置を受けていたことに間違いはない。
(2) 堺市入札参加有資格業者の指名停止等に関する要綱(以下「本件要綱」という。)第7条は、「市長は、指名停止業者を本市の随意契約の相手方としないものとする。ただし、市長が特にやむを得ない事由があると認めるときは、この限りでない。」と規定している。
 なお、配水管布設工事に係る請負契約については、堺市上下水道局入札参加有資格者の指名停止等に関する要綱第2条が、本件要綱中の「市長」を「上下水道事業管理者」と読み替えて準用しており、本市上下水道事業管理者が定めた指名停止等に関する要綱は、本件要綱と同じ内容である。
(3) 請求人は、この規定のただし書(例外)について、「特にやむを得ない事由があると認めるとき」とは、災害時の応急工事、特殊技術を要する工事等で市長が特にやむを得ない理由があると認めるときでなければならないと主張し、
 ア 市長が、平成19年12月20日に清水建設との間で締結した中小企業クラスター造成外工事(以下「クラスター造成外工事」という。)に係る請負契約、及び
 イ 上下水道事業管理者が、平成20年1月23日に清水建設との間で締結した築港八幡町配水管布設工事(以下「配水管布設工事」という。)に係る請負契約は、特にやむを得ない事由がないのに指名停止措置を受けている業者と随意契約を締結しており、本件要綱第7条但書、及び堺市上下水道局入札参加有資格業者の指名停止等に関する要綱に違反しており、法令に違反した契約の締結にあたると主張して、
 クラスター造成外工事及び配水管布設工事の進行停止と代金の支払停止を求めている。
(4) そこで、上記の指名停止業者との(随意)契約締結の法令違反について判断する。
 ア 本件要綱について
 本件要綱は、本市の入札及び契約の適正を図る目的から市長が制定し、平成11年9月1日から施行されている。
 本件要綱においては、本市における指名停止期間や指名停止の措置要件等、本市において入札の参加資格を与えられた業者の指名停止等について必要な事項が定められており、市長は、有資格業者が独占禁止法に違反する等、措置要件のいずれかに該当すると認めるときは、当該措置要件ごとに定める期間、指名停止を行うものとすると規定されている(本件要綱第1条及び第2条)。
 また、本件要綱の運用については、堺市入札参加有資格業者の指名停止等に関する要綱運用基準(以下「本件要綱運用基準」という。)が定められており、本件要綱の恣意的な適用の防止が図られている。
 イ 本件要綱第7条及び本件要綱運用基準第6について
 本件要綱第7条は、本文において指名停止業者を原則として本市の随意契約の相手方にしないものと規定し、指名停止の趣旨を随意契約にも及ぼすとともに、ただし書において、市長が特にやむを得ない事由があると認めるときは、指名停止業者と随意契約を締結できることを規定している。
(5)特にやむを得ない事由については、本件要綱運用基準の第6において、「地方自治法施行令第167条の2で規定されている契約の性質又は目的が競争に適しない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合などで、災害時の応急措置、特殊技術を必要とする契約、施工責任の一元化等により指名停止中の有資格業者を随意契約の相手方とすることが市民の利益にかなう場合等とする。」と規定されている。
(6) そこで、本件が、本件要綱第7条ただし書の「市長が特にやむを得ない事由があると認めるとき」に該当するかであるが、これは、具体的に、本件要綱運用基準第6に該当するか否かで判断することになる。
 上記2で述べた事情等から、上記本件要綱運用基準第6のア「競争に付することが不利と認められる場合」に該当し、その場合のイ「施工責任の一元化等により」、ウ「市民の利益にかなう場合」に該当すると判断する。
(7) すなわち、ア「競争に付することが不利と認められる場合」に該当することについては、上記2で述べたとおりである。
 なお、平成17年からクラスター事業が始まることになり、平成21年には分譲を予定している。他方で、シャープの立地が平成19年7月末に決定した。シャープ関連工事は、平成21年度末までに操業開始を目指す、短期間の工事であり、両工事の施工が同時期となった。クラスター造成外工事の設計については、平成19年6月のシャープ工場の進出が確実で、その時点までの設計計画の変更をし、クラスターの土地形状の確定が平成19年9月、実施設計の完成が平成19年10月15日となった。クラスター事業用地でのインフラ整備工事は、平成20年1月からクラスター工事を始め、同年2月中にはクラスター事業用地内の粗造成を終える必要がある、とのスケジュールを立てている。このスケジュールは、目的達成のための相当、適正なスケジュールと判断できる。
(8) 次に、イ「施工責任の一元化等」の要件の該当性であるが、
 上記2で述べたように、本件請負工事は、工期、施工監理、工事の安全、円滑さ、経費節減などの観点から、施工責任を一元化する要請が特に強い工事であることは明らかであるから、イの要件も充たしている。
(9) 最後に、ウ「市民の利益にかなう」か否かについてであるが、
 このような随意契約を締結することで、クラスター事業及びシャープの堺進出による経済波及効果、税源涵養、雇用創出効果を本市が享受することによって市民の利益にかなうとの市長の判断は、本市の政策判断についての市長の裁量を考慮すれば、合理的であると認められる。
 また、上下水道事業管理者も市長と同様に判断しており、上下水道事業管理者の裁量を考慮すれば合理的であると認められる。
(10) よって、指名停止業者である清水建設との本件各請負契約締結については、違法でも、不当でもないと判断する。

4 結論

以上述べたとおり、堺市建設工事等入札参加有資格者の指名停止措置を受けている業者と市長及び上下水道事業管理者が、本件各請負契約を競争入札に付することなく、いずれも随意契約によって締結したことは、いずれも法令違反にあたるとする請求人らの主張には理由がなく、この主張に基づく請求にも理由がないものと判断する。

以上

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