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平成20年12月28日 堺市監査委員公表 第49号

更新日:2012年12月19日

 地方自治法第242条第1項の規定に基づき平成20年11月4日に監査委員に提出された住民監査請求について、監査委員の合議によりその結果を下記のとおり決定したので、同条第4項の規定に基づき公表する。

平成20年12月28日

堺市監査委員 西村 昭三
堺市監査委員 松本 光治
堺市監査委員 木戸 唯博
堺市監査委員 小杉 茂雄

住民監査請求に係る監査結果

(平成20年11月4日請求)

<登記地目がため池等の土地に対する固定資産税等の課税について>

目次

堺市監査委員公表第49号

第1 監査の請求

1 請求人

 1名(氏名は省略)

2 監査請求書等の提出

(1) 監査請求書の提出

 平成20年11月4日

(2) 補正書の提出

 平成20年12月17日

(3) 補正書(2)の提出

 平成20年12月22日

3 請求の趣旨

(1) 平成20年11月4日提出の監査請求

 「登記地目が溜池等で溜池等以外の用に供されているものの調べ」(疎甲第1号証)に挙げられている土地については、固定資産税、都市計画税の課税がなされていないことが明らかになっており、かつ、課税を怠ることにより徴収権が消滅し、少なくとも10年から20年以上もの期間にわたり、それぞれ相当額の課税逃れ、課税漏れにより堺市市税収入に本来歳入されるべき金額について、徴収不足、すなわち損害が生じているのである。
 地方税法は、納税義務者の特定についても、台帳課税主義の例外として、使用者課税等の措置をとっているのであって、課税庁たる堺市長が、本件各土地に対して、課税権を行使しないこと、怠っていることについては、いかなる理由があっても許されないものである。
 したがって、請求人は、法に認められている5年乃至7年間に遡及する堺市長の課税権の速やかな行使と、すでに時効消滅した租税債権については、その責任に応じて、歴代の堺市長、副市長(助役)、財政局長(理財局長)、各区税務課長らに対して、連帯し賠償することを求めるものである。

以上

事実証明書

1 疎甲1号証 「登記地目が溜池等で溜池等以外の用に供されているものの調べ」

(原文のとおり。なお、事実証明書の掲載は省略した。)

(2) 平成20年12月17日提出の補正書

 12月16日、午後6時30分すぎに放送された毎日放送ニュース中、疎甲第1号証「登記地目が溜池等で溜池等以外の用に供されているものの調べ」以外にも、固定資産資産税等の賦課徴収を怠る土地が存在することが判明したので、課税庁による同調査資料の作成の仕直しを監査委員の職権を以て課税庁をして行うよう要求する。
 何某町自治会会長の発言から疎1に記載の某町某丁某(何某町第2駐車場)が、自治会所有の土地であることを認めた。
 そして、請求人が付近を調査し、ニュースの内容から、同自治会は同土地以外にも、何某町第1駐車場、何某町第3駐車場を所有し、それぞれ固定資産税、都市計画税が課されていないことが、判明した。
 前述のとおり、疎1以外にも違法な非課税物件が存在すること、その存在について、課税庁として把握していること、そして、疎1が非課税物件の調査としては、極めて不完全なものであることである。
 今回の監査請求は、地方税法の守秘義務規範を盾に取り、非課税物件の全容を明らかにせず、すでに明らかになった物件ですら違法にも課税処分を怠る課税庁堺市長らの責任の追及のために行われたものであるが、本監査請求書に添付されている課税庁が作成した唯一の事実証明書の他にもいくつもの違法な非課税物件が存在することが同ニュースにより、が判明したのである。
 したがって、請求人は、堺市監査委員に対し、堺市において非課税適用及び全部減免を受ける物件の全筆調査をした上で、本監査請求に対する審議を進めるよう要求する。併せて、現在の監査委員の構成には、固定資産税制について、専門的学識を有する者がいないことも明らかであるから(二名の議会選出委員は言うに及ばず論外である)、個別外部監査を行うことを求めるものである。

事実証明書

 疎甲第2号証 住宅地図

(何某町第1、第2、第3駐車場の所在地を示す)

 疎甲第3号証 毎日放送ホームページより

(町名、番地等を何某等に置き換えたほかは、原文のとおり。なお、事実証明書の掲載は省略した。)

(3) 平成20年12月22日提出の補正書(2)

 先に、貴職に提出した補正書の意味について、さらに補足する。要するに、疎甲1「登記地目が溜池等で溜池等以外の用に供されているものの調べ」とは、本来、記載の物件は、課税されるべき物件であるが、登記名義人が、「共有地」であって、納税義務者が特定できないため、課税処分が行われず、その結果、非課税なっているものである。
 請求人は、12月15日の毎日放送により(12月16日付補正書中、12月16日とあるのを訂正する)、疎甲1以外にも、違法な非課税地があることを、放送中の何某町自治会長の発言から知ったのである。
 請求人は、個別外部監査を求めるが、本件監査請求における監査にあたっては、納税義務者の特定ができない及びその他の事由により、地方税法が規定する非課税要件に該当しないにもかかわらず、堺市長が固定資産税、都市計画税の賦課徴収を怠る(課税庁の反論が考えられるので、より、中立的な表現をするならば、賦課徴収をしていない)ものの調査をするよう監査委員が課税庁に命じ、非課税物件の一覧表である疎甲1を完全にするよう求めるものである。

以上

(町名を何某に置き換えたほかは、原文のとおり。)

第2 監査の実施

1 要件審査及び請求の受理

(1)平成20年11月4日に提出のあった住民監査請求書において、請求人は、事実証明書に記載の35筆の土地について固定資産税及び都市計画税の課税を違法に怠っていると主張しており、地方自治法第242条第1項に規定する要件を具備すると認められたので、平成20年11月13日にこれを受理した。
(2)平成20年12月17日と平成20年12月22日に提出のあった補正書及び補正書(2)は、本市において非課税適用及び全部減免を受ける物件の全筆調査をしたうえで本件住民監査請求に対する審議を進めるよう監査委員に対して要求し、併せて個別外部監査を行うことを求めている。
 しかし、本件住民監査請求の対象は、事実証明書に記載の35筆の土地について固定資産税及び都市計画税の課税を違法に怠っているとの主張である。したがって、非課税物件等の全筆調査をしたうえで本件住民監査請求を審議すべきとの要求は、本件住民監査請求とは別個に新たな請求を行うものと解されるから、補正の範囲を超え、本件住民監査請求の対象とすることはできない。
 また、個別外部監査を求めることについては、個別外部監査によることが相当であると認められるのは、違法性等の判断に極めて高度な専門性が要求される場合など、特別の事情があり、監査委員による監査になじまないと判断される場合であるところ、本件にはこのような特別な事情があるとは認められない。

2 請求人の証拠の提出及び陳述

 請求人から、地方自治法第242条第6項に規定する証拠の提出及び陳述を行わない旨の申出書が平成20年12月3日に提出されたことから、請求人陳述等は実施しなかった。

3 監査対象部局

 理財局(税務部)

4 監査対象部局からの事情聴取等

 本件について、市長に対して請求に係る意見書の提出を求めるとともに、平成20年12月9日、監査対象部局の職員から、本件請求に関する事実及び意見について事情を聴取した。その概要は以下のとおりである。

(1) 事情を聴取した者

 理財局長、税務部長、税務部次長、資産税管理課長、北市税事務所長、西市税事務所長、東市税事務所長、南市税事務所長、管財課長 ほか

(2) 本件請求に関する意見等

ア 事実関係の確認

 請求人が指摘する35筆の土地(以下「監査対象資産」という。)の次に掲げる事項について、事実関係の確認を行った。
 【1】 監査対象資産の所在地 【2】 所有者(登記名義人) 【3】 登記地目 【4】 現況地目 【5】 登記又は課税地積 【6】 平成20年1月1日現在の課税状況(全35筆のうち9筆について固定資産税の評価及び課税を行い、その他の26筆については課税を保留している。)【7】 利用状況 【8】所管の市税事務所

イ 請求人の請求についての考え方及び意見

 当該監査対象資産の35筆の土地については、今回の住民監査請求を受け、改めて現地確認を行ったところ、ため池又は堤とう(以下「ため池等」という。)以外の用に供している事実を確認した。このことから、当該監査対象資産は、地方税法(以下「法」という。)第348条第2項第6号に定める公共の用に供するため池等にあたらないことから、非課税規定の適用を受けないものと解している。
 ところで、固定資産税等の納税義務者は、法第343条第1項において、「固定資産税は、固定資産の所有者に課する。」と規定している。また、同条第2項前段において、登記名義人が納税義務者と規定しており、また、同項後段において、登記名義人が死亡している場合、法人が消滅している場合及び人的非課税の者が納税義務者でなくなっている場合は、現に所有する者が納税義務者と規定している。このことから、当該監査対象資産の課税にあたっては、固定資産税等の納税義務者を特定することが必要となる。

(ア) 登記名義人が個人、個人共有及び地縁団体である8筆について

 当該監査対象資産のうち、登記名義人が個人、個人共有及び地縁団体である8筆については、平成20年度現在、固定資産税等の納税義務者を特定し、評価・課税を行っていることから、請求人が主張する課税を怠る事実はない。

(イ) 登記名義人が「共有地」・「大字何某」等である24筆について

 当該監査対象資産のうち、登記名義人が「共有地」・「大字何某」等である24筆のうち1筆は、平成19年1月16日付けの所有権移転登記に伴い納税義務者が特定されたが、その他23筆については、具体的に納税義務者がそれぞれ誰であるかを特定しなければならない。
 ため池等については、当該土地の歴史的沿革から推定すると、登記名義の如何に関わらず、入会的性質を有する場合が多く、固定資産税等の納税義務者の特定が困難であったことから、所有者特定のため、平成17年度に「堺市地区共有地問題懇話会(以下「懇話会」という。)」を立ち上げた。当該懇話会では有識者を交え、監査対象資産の歴史的沿革や入会団体の確定等を検討しており、平成19年度末まで計9回開催しているが、未だ納税義務者の特定には至っていない。このことから、固定資産税等の課税を保留している。
 当該懇話会では「地券発行を受けた者」から現在に至るまでの所有者の変遷を解明する手法について検討し、その結果、「地券発行」をはじめとする歴史的検証を行う必要があることが判明したことから、「ため池の法制史学的考証」に詳しい有識者をオブザーバーに迎え、所有権制度の原点となった地券制度に着目して、「地券発行を受けた者」が誰であるかを調べる作業を行い、所有者の特定を図るため、別途事務局会議を立ち上げた。
 当該会議はフィールドワークも含め、平成18年2月から平成20年8月までに計20回開催しており、会議の結果をふまえたうえで、改めて懇話会を開催し、最終答申を出す予定である。

(ウ) その他の3筆について

 当該監査対象資産のうち1筆については、登記名義人が水利組合となっているが、当該水利組合は、水利組合法が廃止され、土地改良法が制定された時点で法人としては既に消滅しており、また、1筆については、登記簿上の共有名義人全員が既に死亡しているため、共に法第343条第2項後段の規定により現に所有する者を特定する必要があるが、未だ納税義務者の特定には至っておらず、固定資産税等の課税を保留している。
 また、納税義務者が堺市である1筆については、従前の旧土地台帳の登記名義人は「何某村大字何某」であったが、過去に大阪府へ土地の一部を寄付したところ、誤って土地の全てを大阪府名義にしてしまい、その後、当該登記の錯誤に気づき返還されたが、登記名義人を「何某村大字何某」に戻すことができなかったため、堺市名義に登記したものである。このことから、法第343条第2項後段にあるように、人的非課税の者が所有者でなくなっている場合は、現に所有する者を納税義務者とすることになるが、未だ納税義務者の特定には至っておらず、固定資産税等の課税を保留している。

(エ) 総括

 当該監査対象資産のうち課税を保留している26筆は、現在まで納税義務者の特定に至っていない。その理由としては、ため池等の土地の性質及び歴史的沿革から、固定資産税等の納税義務者の特定が困難であり、歴史的検証を十分に行う必要があったこと、また、性急な判断によって納税義務者の認定を誤り、無効な課税をすることは、税務行政の信頼を失うことにつながりかねないことから、より慎重な調査を行ったことが挙げられる。これらのことを十分に認識しながら、事務局会議の検討結果をふまえ、近く懇話会を開催しその中で検討を進め、未だに納税義務者の特定に至っていないものについては、総務省等にも見解を聞きながら、早期の解決に努めていく。
 なお、請求人が主張する使用者課税等の措置について、登記名義人が死亡している場合等は、法第343条第2項後段の規定により現に所有する者を特定することになるが、未だ納税義務者の特定には至っておらず、固定資産税等の課税を保留していることは先に述べたとおりである。また、使用者に対する課税については、法第343条第4項において「固定資産の所有者の所在が震災、風水害、火災その他の事由によって不明である場合においては、その使用者を所有者とみなして、これを固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課することができる。」とされているが、これは震災、風水害等のような不可抗力的な事由によって、所有者の所在が不明の場合の特例とされている(「問答式 固定資産税の法律実務」参照)。したがって、「共有地」又は「大字何某」のような、歴史的経過の中で現在の誰に該当するか不明であるという場合は、当該規定に該当しないものである。
 以上のことから、固定資産税等の賦課徴収を怠った事実はなく、堺市に損害を与えた事実もない。

第3 監査の結果

1 本件の監査対象事項

 本件住民監査請求において、請求人は、事実証明書である「登記地目が溜池等で溜池等以外の用に供されているものの調べ」に挙げられている35筆の土地(以下「本件各土地」という。)について、固定資産税及び都市計画税の課税を違法に怠っていると主張している。
 よって、【1】本件各土地について固定資産税及び都市計画税を課税しているかどうか、及び【2】課税を行っていない土地について、課税を違法に怠っているかどうかを、本件の監査対象事項とした。

2 固定資産税及び都市計画税の課税要件について

(1) 本件住民監査請求に係る固定資産税及び都市計画税の課税要件については、地方税法において次のとおり規定されている。

【1】 第341条及び第342条において、固定資産税は、土地、家屋及び償却資産といった固定資産に対し、当該固定資産が所在する市町村において課することが規定されている。
【2】 第359条において、固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とすると規定されている。
【3】 第343条第1項において、固定資産税は、固定資産の所有者に課することが規定され、同条第2項において、前項の所有者とは、土地については、登記簿又は土地補充課税台帳に所有者として登記又は登録されている者をいう。この場合において、所有者として登記又は登録されている個人が賦課期日前に死亡しているとき、若しくは所有者として登記又は登録されている法人が賦課期日前に消滅しているとき、又は所有者として登記されている第348条第1項の者(国並びに都道府県、市町村等固定資産税を課することができないと規定されている者)が賦課期日前に所有者でなくなっているときは、賦課期日において当該土地を現に所有する者をいうことが規定されている。
【4】 第343条第4項において、市町村は、固定資産の所有者の所在が震災、風水害、火災その他の事由によって不明である場合においては、その使用者を所有者とみなして、これを固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課することができると規定されている。
【5】 第348条第2項第6号において、固定資産税は、公共の用に供するため池及び堤とうに対しては課することができないことが規定されている。
【6】 第702条第1項において、市町村は、都市計画法に基づいて行う都市計画事業又は土地区画整理法に基づいて行う土地区画整理事業に要する費用に充てるため、当該市町村の区域で都市計画法第5条の規定により都市計画区域として指定されたもののうち同法第7条第1項に規定する市街化区域内に所在する土地に対し、当該土地の所有者に都市計画税を課することができることが規定され、同条第2項において、前項の所有者とは、当該土地に係る固定資産税について第343条において所有者とされ、又は所有者とみなされる者をいうことが規定されている。
【7】 第702条の2第2項において、公共の用に供するため池及び堤とうに対しては、都市計画税を課することができないことが規定されている。

3 固定資産税の課税について

(1) 本件各土地の現況地目は、平成15年度に行った全筆調査の時点でため池及び堤とうではないことが確認されている。このことは、本件の住民監査請求の提出があった平成20年11月においても同様である。
 よって、本件各土地には公共の用に供するため池及び堤とうに対しては固定資産税を課することができないとする地方税法第348条第2項第6号は適用されないから、本件各土地に対する固定資産税が非課税となることはない。
(2)本件各土地は、登記名義人によって、【1】個人、個人共有又は地縁団体名義である9筆、【2】「大字何某」又は「共有地」と記載されている23筆、【3】多数の個人共有名義であるが登記名義人の全員が死亡している1筆及び消滅した法人名義である1筆、【4】堺市名義である1筆に分類されるので、以下この分類に従って検討する。
(3)登記名義人が個人、個人共有又は地縁団体である9筆については、地方税法第343条第1項及び同条第2項前段により登記名義人を納税義務者として固定資産税を課税し、又は課税の対象としたうえで課税を免除しているが、この9筆以外の26筆については固定資産税を課税していない。よって、この26筆の土地について、違法に課税を怠っているかどうかを検討する。
(4) ア 登記名義人が「大字何某」又は「共有地」と記載されている23筆については、地方税法第343条第2項前段により「大字何某」や「共有地」の所有者が納税義務者となると解されるが、これらの者に課税するためには、「大字何某」や「共有地」の所有者が具体的に誰であるかを特定する必要がある。したがって、このような納税義務者が特定される場合には、固定資産税の課税を違法に怠っていると判断される。
 イ 登記名義人としてこのような名称が記載される場合、当該土地は、かつて存在した村落共同体の構成員が耕地かんがいを行うためのため池であり、入会地であった可能性が高い。しかし、都市化の進展につれてため池及び堤とうの多くが宅地化するなどしてため池等の現況が大きく変化し、また、隣接町村との合併を繰り返して市の区域を広げてきた本市においては、ため池を利用していた当時からの歴史的経過の中で地域住民も移動しており、入会地の変遷や入会団体の構成員を水利組合や自治会関係者、耕作者、入会団体に関する史料等から調査しても、短期間に納税義務者を具体的に明らかにすることは難しいと考えられる。
 また、租税法律主義の建前から固定資産税の課税要件は地方税法により明確に定められているから、納税義務者の特定に関する判断は慎重かつ確実に行う必要があり、その判断には相応の時間がかからざるを得ない部分もある。
 このような状況からすると、「大字何某」や「共有地」の所有者が具体的に誰であるかを特定するのは困難である。
 ウ 監査対象部局においては、登記名義人が「大字何某」又は「共有地」である土地の納税義務者の特定について検討するため、平成17年度に有識者を交えて堺市地区共有地問題懇話会(以下「懇話会」という。)を立ち上げ、平成18年度末まで計9回開催している。
 また、懇話会において、「地券発行を受けた者」から現在に至るまでの所有者の変遷を解明するためには「地券発行」などの歴史的な事象を検証する必要があるとの意見があったため、ため池の法制史学的考証に詳しい有識者をオブザーバーに迎えて事務局会議を立ち上げ、平成18年2月から平成20年8月までフィールドワークを含め計20回開催している。
 しかし、このような取り組みにもかかわらず、現時点においては納税義務者の特定には至っていないとのことである。
 エ 以上のとおり、本件の23筆の土地に対しては、納税義務者の特定に係る取り組みが行われてはいるが、その困難性から特定に至っていないものであるから、固定資産税の課税を違法に怠っているとはいえないと判断される。
(5)ア 多数の個人共有名義であるが登記名義人の全員が死亡している1筆及び消滅した法人名義である1筆については、地方税法第343条第2項後段により、賦課期日において当該土地を現に所有する者、すなわち当該土地の相続人や消滅した法人の構成員であった者など、当該土地の実体法上の所有者が固定資産税の納税義務者となる。したがって、これらの実体法上の所有者が特定される場合には、固定資産税の課税を違法に怠っていると判断される。
 イ 多数の個人共有名義であるが登記名義人の全員が死亡している1筆については、当該土地上にある建物所有者への聴き取りにより土地の賃貸人は分かったものの、この賃貸人からも土地の所有者についての手がかりが得られなかったとのことである。また、当該土地が所在する旧村が合併する際に、権利保全のために個人共有名義で登録された可能性があり、そうすると、当該土地は入会的性格の土地であったと考えられ、(4)と同様に入会地の変遷や入会団体の構成員等を調査しても、短期間に納税義務者を具体的に明らかにすることは難しいと考えられる。
 消滅した法人名義である1筆については、水利組合法の廃止、土地改良法の施行により、法人の法人格が消滅しているが、法人格の消滅後50年以上を経過しており、その後の活動実態及び構成員の所在等が不明となったとのことである。
 このような状況からすると、これらの土地についての実体法上の所有者を特定することは困難であり、固定資産税の課税を違法に怠っているとはいえないと判断される。
(6)ア 登記名義人が堺市名義である1筆については、従前の旧土地台帳における名義人は「何某村大字何某」であったが、過去に大阪府へ土地の一部を寄付した際に錯誤により土地の全部が大阪府名義となり、その後錯誤として所有者を戻す登記を行う際、「何某村大字何某」が法人格のない団体であったため登記名義を戻すことができず、堺市名義で登記したとのことである。
 このことから、堺市名義の登記は、従前の名義では登記ができないために行われたものであり、登記が行われた当初から権利関係と登記の表示が一致していない。したがって、この土地に対する固定資産税は、所有者として登記されている市町村が賦課期日前に所有者でなくなっているときに該当する場合として、地方税法第343条第2項後段により、賦課期日において当該土地を現に所有する者に課税するものと解される。
 イ しかし、実体法上の所有者を特定するには、「何某村大字何某」の所有者が具体的に誰であるかを明らかにする必要があるところ、このような特定は(4)に前述したとおり困難であり、固定資産税の課税を違法に怠っているとはいえないと判断される。
(7)請求人は、「地方税法は、納税義務者の特定についても、台帳課税主義の例外として、使用者課税等の措置をとっているのであって、課税庁たる堺市長が、本件各土地に対して、課税権を行使しないこと、怠っていることについては、いかなる理由があっても許されないものである。」と主張している。
 しかし、使用者課税について規定する地方税法第343条第4項は、固定資産の所有者の所在が震災、風水害、火災その他の事由によって不明である場合に固定資産の使用者に固定資産税を課税できると規定しており、「大字何某」及び「共有地」の所有者が具体的に誰であるかを歴史的経過の中で特定して固定資産税を課税する場合や、地方税法第343条第2項後段により当該土地を現に所有する者を特定して固定資産税を課税する場合には、適用がないと解される。よって、請求人の主張には理由がないと判断される。
(8) 以上のことから、本件各土地のうちの26筆に対し、固定資産税の課税を違法に怠っているとはいえないものである。

4 都市計画税の課税について

(1) 本件各土地のうち、市街化調整区域に所在する14筆は、地方税法第702条第1項により都市計画税の対象とならない。
 その他の21筆については、各土地の現況地目が、平成15年度に行った全筆調査の時点及び本件の住民監査請求が提出された平成20年11月において、ため池及び堤とうではないことが固定資産税の課税の場合と同様に確認されており、地方税法第702条の2第2項は適用されず都市計画税が非課税となることはない。
 よって、このような21筆について違法に都市計画税の課税を怠っているかどうかを検討する。
(2)都市計画税の納税義務者については地方税法第702条第2項において、当該土地に係る固定資産税について第343条において所有者とされ又は所有者とみなされる者をいうと規定されており、21筆の土地は、登記名義人によって、【1】個人名義又は個人共有名義である3筆、【2】「大字何某」又は「共有地」と記載されている16筆、【3】消滅した法人名義である1筆、【4】堺市名義である1筆に分類される。
 これらのうち、個人名義又は個人共有名義である3筆に対しては都市計画税が課税されているが、その他の18筆の土地に対しては固定資産税の課税について検討したとおり、納税義務者の特定は困難であると判断される。
(3) 以上のことから、本件各土地のうちの18筆に対し、都市計画税の課税を違法に怠ったとはいえないものである。

5 結論

 以上のとおり、本件において固定資産税及び都市計画税の課税を違法に怠ったといえる場合はないから、請求人の主張には理由がないものと判断する。

以上

このページの作成担当

監査委員事務局
電話:072-228-7899 ファックス:072-222-0333
〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所高層館19階

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