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堺市
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平成17年4月7日 堺市監査委員公表 第19号

更新日:2012年12月19日

 地方自治法第242条第1項の規定に基づき平成17年2月9日に監査委員に提出された住民監査請求について、同法同条第4項の規定に基づきその結果を次のとおり公表する。
平成17年4月7日
堺市監査委員 吉川 敏文
同 辻 宏雄
同 曽我部 篤爾
同 西林 里子

住民監査請求に係る監査結果

(平成17年2月9日請求)
 <旧美原町の国民健康保険料について>

目次

堺市監査委員公表第19号

 記

第1 監査の請求

1 請求人

8人(省略)

2 監査請求書の提出

平成17年2月9日

3 請求の要旨

 平成17年2月1日付朝日新聞等において、堺市と合併する以前の旧美原町(以下「美原町」という。)の国民健康保険料について時効消滅後の滞納債権を117世帯分計1,600万円が徴収されている事態が発覚した。美原町は、この件に関し、違法に徴収した額に還付金を加えて1,745万円を返還する方針だというが、国民健康保険料について滞納処分を行う権限を有し義務を負う元美原町長高岡寛(以下「美原町長」という。)が、滞納処分の専決権者たる職員を適切に指揮監督して、法律上の適切な滞納処分を執行していれば、滞納債権が時効消滅することはなかった。時効消滅しなければ1,745万円を返還する必要もなく、美原町は1,745万円相当の金額を保持できた訳である。
 このように考えると、美原町長は適切な滞納処分を執行しなかったという「怠る事実」により、1,745万円の損害を美原町に与えたといえる。
 このことは美原町長を補佐すべき助役、保健福祉部長、保険課長についても同様であり、堺市監査委員はこれらの者に対し、堺市の損害を回復するのに必要な措置をとるよう堺市長に勧告すべきである。
 また、本件について個別外部監査契約に基づく監査によることを求める。
(原文の要旨を監査委員において理解したもの)

事実証明書

  1. 平成17年2月1日付朝日新聞
  2. 平成17年2月2日付朝日新聞
  3. 平成17年2月2日付読売新聞
    (いずれも掲載を省略)

第2 監査の実施

1 要件審査及び請求の受理

 本件請求は、地方自治法第242条に規定する要件を具備しているものと認め、平成17年2月28日にこれを受理した。
 なお、請求人は117世帯分の国民健康保険料の滞納債権(以下「本件滞納債権」という。)について、それぞれ「怠る事実」があることを主張する。
 よって、本来は請求人が、個々の滞納債権の発生日、金額、時効消滅の日等に関する資料を提出する等して請求内容を特定することが望ましい。
 しかし、本件請求の対象は、事実証明書等をみればおおよそ認識しうるから、監査委員において請求の特定に係る情報を補充することとして請求を受理したものである。

2 監査を行った監査委員

 平成17年2月28日から同年3月6日までは、吉川敏文、辻宏雄、曽我部篤爾、小田久和が監査を行った。平成17年3月7日から同年4月7日までは、吉川敏文、辻宏雄、曽我部篤爾、西林里子が監査を行い、合議により監査の結果を決定した。

3 個別外部監査契約に基づく監査を求めることについて

 請求人は本件の請求について個別外部監査契約に基づく監査によること求めている(地方自治法第252条の43)。しかし、本件は請求の趣旨を美原町において国民健康保険料の徴収に関して法律上の適切な滞納処分を行わなかった「怠る事実」に係るものであると解して受理したものである。よって、判断の対象は、行政処分を行わないことの相当性の有無であり、監査の実施にあたって、特に監査委員に代わる外部の者の判断を必要とし、あるいは、特に専門的な知識や判断等を必要とする事案であるとは考えにくく、監査委員の監査に代えて個別外部監査契約に基づく監査を実施することが相当であるとは認められない。
 よって、監査委員による監査として実施することとした。

4 監査対象事項

 住民監査請求書に記載されている事項及び事実証明書を勘案し、監査対象事項を次のとおりとした。
(1)美原町長に、適切な滞納処分を執行しなかったという「怠る事実」は認められるか。
(2)時効消滅後の滞納債権を徴収した行為により還付加算金を支出した行為は違法若しくは不当な公金の支出にあたるか。

5 請求人の証拠の提出及び陳述

 地方自治法第242条第6項の規定に基づき、請求人に対して次のとおり証拠の提出及び陳述の機会を設けた。
 日時 平成17年3月14日 午前10時から11時
 場所 堺市役所高層館8階 監査室
 陳述の要旨は次のとおり。新たな証拠は提出されなかった。
   
(1)美原町において発覚した国民健康保険料の違法徴収に関し、美原町長及び関係職員は説明責任を果たしていない。このように説明責任が放棄されているのは、合併を前に事を荒げたくないとの意識があったからだと思われる。合併を受け入れた堺市の監査委員が究明するべき問題である。
(2)美原町長は堺市との合併後名誉顧問に就任している。ずさんな事務処理の責任を取らずに就任した美原町長が反省しているとは思えない。美原町長を顧問として迎えた堺市は、美原町長に責任を取らせるべきである。
(3)美原町は合併を好機に自らの不祥事を堺市に押しつけた。
(4)本来であれば返還する必要のなかった保険料を、町長らのミスで返還しなければならなくなったのが今回の事態である。そのような返還を税金で賄われた公費で行うのは納得できない。返還の原因を作った美原町長らが、返還すべき分を穴埋めするべきである。

6 監査対象部局

美原支所及び健康福祉局

第3 監査対象部局の説明

 本件について、市長に対して請求に係る意見書(以下「意見書」という。)の提出を求めるとともに監査対象部局の職員(以下「関係局職員」という。)から事情を聴取した。その概要は以下のとおりである。

1 事情を聴取した者

 平成17年3月14日に美原支所及び健康福祉局職員から事情を聴取したが、その者は次のとおりである。
美原支所 美原支所長、美原支所次長、総務部長、保険年金課長、保険年金課長代理、保険係長
健康福祉局 保険年金担当部長、福祉推進部副理事、保険年金管理課長
 なお、この事情の聴取に際して、4人の請求人が立ち会いをした。

2 説明の概要について

(1)請求人の主張に対する意見

ア 「怠る事実」の有無
 請求人は、美原町長は国民健康保険料の滞納整理について、法律上の適切な滞納処分の執行を怠り、結果として美原町に損害を与えたと主張する。
 しかし、国民健康保険制度は医療保険制度の根幹として保険給付を保障する福祉施策的な一面を有しており、滞納整理にあたってはこうした制度の要請に配慮しながら徴収事務の費用対効果の最大化を図る必要がある。
 こうした観点から、国民健康保険料の滞納整理においては、保険給付の前提となる国民健康保険被保険者証(以下「保険証」という。)の交付を滞納者に対しては窓口において行うこととし、交付の際に保険料の納付指導をして分納誓約を交わすことで時効の中断を講じることを基本としている。窓口における分納誓約交渉を中心とした事務処理の方針は、限られた人員の中で合理的に滞納債権を確保しつつ、保険料の減免制度を紹介する等して国民健康保険の利用促進を図り得る点において、制度に適合した妥当なものである。
 これに対し、滞納処分は滞納者の意思に反して債権を確保し得るという利点を有するが、国民健康保険は制度上多くの低所得者が加入しているから、滞納者の財産を差し押さえて換価する滞納処分が有効に機能する場面は限られているのが現状である。
 したがって、事案に応じて適切に滞納処分を実施していくのが保険料の滞納整理においては妥当かつ適切である。
 監査対象部局においてはこうした観点から滞納処分を実施しており、請求人が主張するように滞納処分を「怠る事実」があるとは考えていない。
イ 滞納処分の執行の根拠条文について
 請求人は美原町長は滞納処分を執行する義務があると主張するが、保険料に関する滞納処分の根拠条文は国民健康保険法第79条の2と地方自治法第231条の3第3項であり「地方税の滞納処分の例により処分することができる」と規定されている。
 この規定は権利付与規定であって義務規定ではない。

(2) 事実関係の説明

ア 誤納保険料の還付に係る経過について
 美原町において、既に時効消滅した国民健康保険料の滞納債権について保険料を徴収した事実(以下「本件誤納の事実」という。)が2件、判明した。そこで同町保険課は、本件誤納の事実を過誤納金の納付と位置付けて還付する旨を決定した(地方自治法第231条の3第4項・地方税法第17条)。この決定を受けて同課は、本件誤納の事実について調査の期間、調査の方法、及び還付加算金の算定方法を次のとおりとして、他に同様の事案がないかについて調査した。
(ア) 調査の期間
 国民健康保険制度における徴収金及び還付金の消滅時効期間を2年と規定した国民健康保険法第110条の規定に基づき、調査期間を2年間とし、調査期間を決定するための起算日を誤納金を還付する方針を決定した平成16年9月28日とした。
 よって、平成14年9月29日から平成16年9月28日までを調査の期間とした。
(イ) 調査の方法
 調査の期間において納付された保険料につき、納付済み通知書の記載から納期限以降2年を超えて収納された事案を特定し、これらの事案について滞納整理台帳と電算システム上のデータを調査して時効中断の有無を確認した。
 この調査により誤納の事実が判明した事案を調査の対象とした結果、誤納の事実は合計117件、金額にして15,759,970円となった。
(ウ) 還付加算金の計算方法
 誤納の事実が判明した事案のうち、誤納があった日の翌日から起算して一月を経過する日を起算日として、その日から還付日まで年率4.1%の利率により算定した。
 この結果、還付加算金を加えて還付した事案は合計97件、金額にして826,200円となった。
イ 還付額
 還付額は次の計算式により算出した。
 15,759,970円+826,200円-未収の保険料に充当した額6,201,848円=10,384,322円
ウ 国民健康保険料の収納確保の取り組みについて
 「請求人の主張に対する意見」における事務処理方針の内容について、次のとおり説明があった。
(ア) 分納誓約の履行確保のための取り組み

  • 短期保険証の交付
    分納誓約の履行を確実にするため、通常の保険証より有効期間が短い保険証を交付する。(3ヶ月・6ヶ月・1年)
    平成15年5月 372件
    平成16年5月 448件 同年10月 307件
  • 資格証明書の交付
    分納誓約の不履行があった者及び保険料を1年以上滞納した者に資格証明書を交付する。
    資格証明書は、保険証の交付を受ける資格があることを証明するもので、保険証と同じ自己負担額で医療給付を受けることができない。その意味で、滞納者に対する制裁として機能する。(当初10割の医療費を支払い、後日に清算する。)
    平成16年5月 108件 同年10月 220件

(イ) 休日徴収相談の実施 
 平成15年度 延べ19件  平成16年度 延べ221件
(ウ) 滞納処分の執行状況
 資格証明書の交付後、なお滞納整理に応じない者について、滞納処分の実施を検討する。実施にあたっては、財産調査を実施する等して滞納処分の有効性や妥当性を慎重に判断した。
 平成13年度 差押1件
 平成14年度 参加差押2件 交付要求4件
 平成15年度 差押2件 参加差押5件 交付要求21件
 平成16年度(1月31日まで)
 差押4件 参加差押7件 交付要求15件

第4 監査の結果

1 本件に係る事実

 本件に係る事実については、前述した監査対象部局の説明における事実をおおむね採用しうると判断した。
 ただし、監査対象部局の説明後、還付加算金の計算方法、充当できる滞納債務の額、及び還付日を変更したとの報告があった。その内容は、本来は誤納の事実の額から充当できる滞納債務がある場合はこれを差し引き、その後に還付加算金を計算すべきであるが、充当額を差し引かずに還付加算金の計算を行ったためこの点を改めるとともに、充当額が6,201,848円から5,959,898円に、還付日が平成17年1月27日から平成17年3月31日に変更されたというものである。
 地方税法第17条の2第1項の規定からして、還付加算金は充当額を差し引いた額を基礎として計算すべきであり、計算方法の変更は正当である。また、充当額及び還付日についても改めるべき点を改めたものと認められる。よって、還付加算金の額、充当額、及び還付の額は、変更された額をもって本件に係る事実と認めることとした。
 よって、本件誤納の事実に関する額は、還付加算金の額561,800円、充当額5,959,898円、還付額10,361,872円であると認める。
 また、本件誤納の事実の原因を聴取したところ、主に次の2点であるとのことであった。
(1)民法上の催告に時効中断の効力があると誤解していたこと。
(2)分納誓約を一度行った滞納者に対しては、誓約による時効中断の時点からさらに消滅時効の期間が経過して滞納債権が時効消滅した後も、過去に滞納し分納誓約を行った以上、徴収しなければ公平を欠くと判断したこと。

2 本件請求に係る判断

 先に定めた監査対象事項について、次のとおり判断する。

(1)美原町長に滞納処分を執行しないことについての「怠る事実」は認められるか。

ア 本件に係る事実によれば、117件の誤納の事実は、平成14年9月29日から平成16年9月28日までの間に国民健康保険料の消滅時効期間である2年を超えて納付された事案を特定し、その中から時効の中断が認められないものを選び出して調査を行ったとのことである。
 消滅時効が進行している滞納債権について滞納処分が執行されると、滞納処分が停止されない限り滞納者の財産が差し押さえられ、滞納債権の消滅時効は中断する(民法第147条第2号)。誤納の事実は、時効の中断が認められないものを選び出して特定されているから、誤納の事実については滞納処分は執行されていないと思われる。このような不作為を「怠る事実」と判断するべきかが問題となる。
 ここに「怠る事実」とは財務会計行為を行わないことが違法若しくは不当な場合をいう。よって、「怠る事実」が認められるには、本件において滞納処分を行わないことが違法若しくは不当であると判断されなければならない。そこで以下この点について検討する。
イ 普通地方公共団体の長は、その歳入を納期限までに納付しない者があるときは、期限を指定してこれを督促しなければならない(地方自治法第231条の3第1項)。また、督促の手続きにおいて指定された期限までに納付すべき金額を納付しないときは、当該歳入について地方税の滞納処分の例により処分することができる(同法同条第3項)。
 この規定は国民健康保険の保険料についても適用されるから、本件において滞納処分を行うことができるのは明らかである。しかし、滞納処分を行わないことが違法若しくは不当であるというためには、美原町保険課における滞納処分の執行の状況を検討して、本件誤納の事実に関して滞納処分を執行する必要性があったかどうかを判断する必要がある。
 これを本件に係る事実についてみると、美原町保険課においては、保険料の滞納者に対しては保険証を役場の窓口で直接に交付し、滞納者と直接に面談して滞納債権についての分納誓約を取りつけて消滅時効を中断する(民法第147条第3号)という手段を中心に滞納整理事務を行い、滞納処分の執行については、滞納者の財産を調査する等して処分の有効性を見極めた上で補充的に実施している状況である。
 このような執行の状況は、限られた人員のなかで合理的に滞納債権を確保し徴収事務の費用対効果の最大化を図り、同時に制度を周知して福祉施策としての国民健康保険を合理的に運営できるものとして一定の妥当性を有する。だとすれば、本件誤納の事実についても滞納処分を執行する必要性があったとまでは判断されず、滞納処分を行わないことが違法若しくは不当であるということはできない。
ウ 以上より、美原町長に滞納処分を執行しないことについての「怠る事実」は認められず、請求人の主張には理由がない。

(2) 時効消滅後の滞納債権を徴収した行為により、還付加算金を支出した行為は違法若しくは不当な公金の支出にあたるか。

ア 監査対象事項の(1)において検討したとおり、本件誤納の事実の原因となった滞納債権の時効消滅については「怠る事実」に基づくものとは認められず適法であると判断される。また、還付した行為は本来徴収し得ない保険料を滞納者に返還したもので、美原町(堺市)に損害を生じさせる行為にはあたらない。
イ しかし、本件に係る事実によれば、時効消滅後の滞納債権を徴収した行為(以下「本件徴収行為」という。)をきっかけとして還付加算金561,800円が支出されている。本件徴収行為は明らかに違法若しくは不当であるが、充当すべき債権について充当を行い還付加算金を算出して支出する行為は、地方自治法第231条の3第4項・地方税法第17条・同法第17条の2・同法第17条の4により法令上行うべき適法な行為である。このような場合に還付加算金を支出する行為が違法若しくは不当な公金の支出といえるかが問題となる。
 この問題は公金支出行為の原因となった本件徴収行為の違法性若しくは不当性がどのような場合に公金支出行為に影響するかという問題であり、その判断は、原因行為が著しく合理性を欠き、そのために公金支出行為について予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存在するかどうかによって行われるべきと解される。
 これを本件についてみると、本件徴収行為は債務を負わない者から金銭を徴収するというおよそ法的にあり得ない行為であり、著しく合理性を欠くと判断せざるを得ない。このように著しく合理性を欠いた原因行為に基づく以上、本件徴収行為の相手方に対しては法令に基づいた適法な行為であっても、予算執行の適正確保の見地からは、還付加算金を支出すべきではないと考えられる。
ウ 以上から、本件の還付加算金を支出する行為は、美原町(堺市)に損害を与える行為であって、美原町(堺市)との関係においては違法若しくは不当であると考える。
エ 美原町(堺市)に生じた損害の賠償を、美原町の担当職員や美原町長に対して求めることができるか。
(ア) 住民監査請求において、職員に対して損害の補填を勧告する際には、行為の違法性について故意又は重過失を有する職員に限定すべきとする考えがある。この考えは、地方公共団体と職員との内部関係において職務上の軽過失によって生じた損害についてまで職員の個人責任を問うのは、公務の執行をいたずらに萎縮させる弊害があるから、軽過失については職員を免責するもので妥当と解される。
(イ) そこで、本件徴収行為を行った職員について、行為の違法性についての故意又は重過失が認められるかを検討する。
 本件に係る事実によれば、本件誤納の事実の原因は、納付を催告する行為について時効を中断する効力があると誤解していたことや、過去に滞納し分納誓約を行った以上、滞納債権が消滅した後も徴収しなければ公平を欠くと判断したこと等にあるという。
 これらのことは、行為の違法性についての故意は否定できるものの、公金の徴収を担当する職員であれば通常有しているべき時効制度に関する基本的な理解を欠いた状況は、著しい注意義務違反として重過失と評価せざるを得ないようにも思われる。  
 しかし、美原町の保険課においては、実際にこのような事務処理方法が事実としては引き継がれてきており、事務を改めるべき研修等を受ける機会も少なかったこと等を踏まえると、本件徴収行為を重過失と評価して賠償責任を負わせるのは酷に過ぎる。
 また、そもそも重過失とは故意に準ずる強い非難を与えるべき場合であるところ、公平を欠くと判断して本件徴収に及んだことは、保険料を積極的に徴収しようとしたと理解することもできる以上、これを一概に重過失と評価すべきではない。本件徴収行為は職員が日常の業務に忙殺される中で、過失により引き起こしてしまったものと理解されるべきであろう。
 したがって、本件徴収行為を行った職員には故意又は重過失は認められず、担当職員に損害の賠償を求めることはできないと考える。
(ウ) では、美原町長についてはどうか。
 美原町長は、美原町の執行機関として、美原町が行う国民健康保険事業において、保険料の徴収、還付等の事務を自らの判断と責任において誠実に管理し執行すべき義務を負う者である(地方自治法第138条の2)。
 美原町長がこの義務を履行するにあたっては、美原町の事務執行の状況を正確に把握し、事務執行に問題がある場合には、その問題解決のために必要な執行体制を確保し適切な研修を実施する等の対策を講じる権限と責任があったと解される。
 また、美原町監査委員が平成15年8月18日付けで美原町長に提出した「町税の滞納等に係る特別監査」の結果において、国民健康保険料の時効消滅した債権と消滅していない債権との区別が明確にされていないなどの指摘がなされていたが、その後に本件徴収行為が行われたことは、事務執行上の問題点を把握せず、何ら有効な対策を講じていないと評価されても止むを得ない。
 このような観点から本件をみると、美原町長は本件徴収行為に関して有効な手段を講じたとは認められない。よって美原町長は、債務を負わない者から保険料を徴収する行為を起因として支出された還付加算金相当額について、上記の義務に違反した過失により美原町(堺市)に損害を生じさせたといわざるを得ない。
 以上より、美原町長に対しては、美原町(堺市)に生じた損害である還付加算金相当額561,800円を堺市に支払うことを求めることができる。

(3) 結論

 以上に検討したとおり、本件の請求には一部について理由があるものと認め、地方自治法第242条第4項の規定に基づき、堺市長に対して別紙のとおり措置を講ずべきことを勧告する。
 以上

(別紙)堺市長に対する勧告

 国民健康保険料の違法徴収に係る住民監査請求について(勧告)
 
 平成17年2月9日に請求のあった地方自治法第242条第1項の規定に基づく住民監査請求について監査を行った結果、同法同条第4項の規定により平成17年5月31日までに次の措置を講ずべきことを勧告する。
1.堺市と合併する以前の元美原町長に対し、還付加算金相当額を堺市に支払わせること。
2.本件で取り上げた国民健康保険料の違法徴収の問題は、慣例による事務処理方法を漫然と踏襲したことが一因であるといえる。
 先例や慣例は社会情勢の変化に対応して見直されるべきものである。
 政令指定都市を目指す自治体として、市政全般にわたり、旧来の事務処理方法を改めて精査・点検し、見直すべきものは直ちに改善・改革するための体制を構築すること。

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電話:072-228-7899 ファックス:072-222-0333
〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所高層館19階

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