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平成17年4月25日 堺市監査委員公表 第20号

更新日:2012年12月19日

堺市監査委員公表第20号

 地方自治法第242条第1項の規定に基づき平成17年2月24日に監査委員に提出のあった住民監査請求について、同条第4項の規定に基づきその結果を次のとおり公表する。

 平成17年4月25日

堺市監査委員 吉川 敏文
堺市監査委員 辻 宏雄
堺市監査委員 曽我部 篤爾
堺市監査委員 西林 里子

住民監査請求に係る監査結果

平成17年2月24日請求

<介護報酬の返還請求等について>

目次

堺市監査委員公表第20号

第1 監査の請求

1 請求人

4人(省略)

2 監査請求書の提出

平成17年2月24日

3 請求の要旨

住民監査請求書及び事実証明書に記載されている事項から、請求の趣旨を次のように理解した。

ア 社会福祉法人A(理事長B)は、経営する介護保険法に規定する事業所「Cデイサービスセンター」及び「Dヘルパーステーション」において、平成12年度から平成16年度まで5年間にわたり以下のような虚偽の報告等を行い、不正に介護報酬を受け取ってきた。
 (1) Cデイサービスセンターに医療機関Eから派遣依頼した看護職員について、実際には看護していない日及び時間を看護したこととして旧厚生大臣が定める基準の職員数を満たすものと装い、3割減算されるべき介護報酬を減額せず、堺市に請求し受領した。
 また、上記の虚偽の看護時間等に基づき算出した看護職員派遣料を医療機関Eにいったん支払い、後に当該水増しした派遣料と実時間数等により算出した派遣料との差額を寄付金の名目で払い戻しを受けていた。
 (2) Cデイサービスセンターに通所するケアハウスFの入居者について、実際の介護サービス利用時間を超える通所介護記録を作成し、この虚偽の時間数等に基づいて算出した介護報酬を堺市に請求し受領した。
 (3) ケアハウスFの職員が同ケアハウスの入居者に行った入浴の介助、買い物の代行、通院時の介助、居室不在時のサービスについて、Dヘルパーステーションの訪問介護員が提供したかのような記録を作成し、これに基づいて算出した介護報酬を堺市に請求し受領した。
イ このような不正請求により、堺市は、社会福祉法人Aの不正行為がなければ支払わなかったであろう介護報酬相当額について損害を被っている。堺市長は介護保険法に基づく所定の基準に従い審査を行った上で介護報酬を支払っているのであるから、同法の規定により、不正請求によって支出された公金について返還請求権を有しているものと解される。
 しかし、堺市長は返還請求権を行使しないという「怠る事実」により上記の損害を放置している。
ウ 以上のとおりであるから、地方自治法第242条第1項の規定により、堺市監査委員に対し、堺市長が堺市の社会福祉法人Aに対して有する返還請求権を行使することを勧告するよう求める。
エ また、堺市監査委員は、堺市が社会福祉法人Aに対して不正な介護報酬を支払うことがあってはならないので、当該介護報酬の支出を差し止めることについても堺市長に勧告すべきである。
オ なお、本件で取り上げた堺市の介護報酬支払行為には、行為のあった日から1年を経過したものもあるが、いずれも市民が一般的に知り得なかった行為であって、請求人も内部告発によって知り得たにすぎない。よって1年の経過について正当な理由があり、期間徒過規定(地方自治法第242条第2項本文)は適用できない。

(法人名等は、当該事業者の権利や正当な利益を保護するなどの趣旨から、
「社会福祉法人A」、「理事長B」などと置き換えた。以下同じ。)

事実証明書

  1. 「Cデイサービスセンターの指定居宅サービス事業者指定申請書」の写し(一部)
  2. 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(抜粋)
  3. 厚生大臣が定める利用者等の数の基準及び看護職員等の員数の基準並びに通所介護費等の算定方法(抜粋)
  4. 「看護料・介護料不正請求資料(医療機関E・社会福祉法人A)」と題する書面
  5. 「社会福祉法人Aの法人調書」の写し(一部)
  6. 「事業者の不正に関する内部告発書」と題する書面(一部)

(いずれも掲載を省略)

第2 監査の実施

1 要件審査及び請求の受理

 本件は、不正請求のあった介護報酬について返還請求権を行使しない「怠る事実」があるのでその是正を求め、また、当該違法な介護報酬の支出の防止を求める請求であると解し、地方自治法(昭和22年法律第67号)第242条第1項に規定する要件を具備しているものと認め、平成17年3月15日にこれを受理した。

2 監査対象事項

 住民監査請求書に記載された事項等を勘案して、監査対象を次のとおりとした。
(1) 社会福祉法人Aの設置経営するCデイサービスセンター、Dヘルパーステーションが要介護認定を受けた者(以下「要介護者」という。)等に提供した介護サービスに要した費用(以下「介護報酬」という。)について返還請求権の行使を違法又は不当に怠る事実があるのか。当該怠る事実によって、堺市に損害が生じているのか。
(2) 上記(1)の介護報酬の支出を差し止める必要があるのか。

3 請求人の証拠の提出及び陳述

 地方自治法第242条第6項の規定に基づき、平成17年3月30日、請求人に対して証拠の提出及び陳述の機会を設けた。なお、この陳述に監査対象部局の職員(以下「関係局職員」という。)4人が立ち会った。
 請求人からは、住民監査請求書の記載事項の補足として、大要以下の陳述が行われた。
(1) 本件介護報酬の不正請求は、最近、内部情報の提供により知り得たもので、行為のあった日から1年以上経過したことに正当な理由がある。また、この不正請求が不法行為であると評価されるならば、客観的に知り得たとしても期間徒過にはあたらない。
(2) 本件住民監査請求は、[1]堺市の介護保険の財政状況が極めて厳しいなかで発覚した不正行為であること、[2]高齢者や低所得者から徴収された保険料が不正請求により食い荒らされている実態が明らかになったことなどの点から重要な意味を持っている。
(3) Cデイサービスセンターの利用定員等について、請求人と事業者指定を行った大阪府とは法的見解を異にするものである。すなわち、介護報酬について、請求人の考えでは「定員15人の一般の併設型施設」であり、その場合は、所定の看護職員数が確保されていないので一般の併設型施設の報酬額の30%を減算した額を請求すべきであった。一方、府の見解では「定員10人の認知症専用併設型施設」であり、その場合であっても、看護・介護職員数が所定の加配基準を満たさない日があるので、その部分については一般の併設型施設としての報酬を請求すべきであった。したがって、いずれの場合でも、不正に過大の請求を行ったことになる。
(4) 社会福祉法人Aが非常にこそくな手段で書類を作成して不正受給していることは、高齢者をだますもので許せない。不正受給した介護報酬に関する住民監査請求監査の全国的なモデルとなるので、きちんとした厳しい監査結果を出してもらいたい。

4 監査対象部局

健康福祉局

第3 監査対象部局の説明

 本件について、市長に対して請求に係る意見書の提出を求めるとともに関係局職員から事情を聴取した。その概要は以下のとおりである。

1 事情を聴取した者

 平成17年3月30日に関係局職員から事情を聴取したが、その者は次のとおりである。
 健康福祉局長、健康福祉政策担当部長、福祉推進部長、介護保険課長、法人指導担当課長、高齢福祉課長 ほか
 また、この事情の聴取に際し、請求人2人及び請求人代理人2人が立ち会った。

2 説明の概要について

(1) 本件の事実経過について

 平成17年2月24日に本件介護報酬に関する新聞報道があり、同日、住民監査請求が行われた。
 平成17年2月25日及び3月10日、大阪府高齢介護室介護保険課事業者指導グループが本件事業所等に対して行った実地指導に本市の介護保険課及び健康福祉総務課法人指導担当(以下「法人指導担当」という。)職員が同行し、関係者からの聞き取りを行い、資料の提供を求めた。
 また、3月24日には、法人指導担当職員、翌25日には法人指導担当及び高齢福祉課職員が指導監査を実施し、関係書類の調査や職員、施設長、理事長等への聞き取り等を行った。
 現在、これらの調査等から得た情報を精査している段階であり、事実関係が確認できるまでには至っていない。

(2) 住民監査請求に対する意見について

 本件の介護サービス及び介護報酬に関しては、大阪府が中心となって、事実関係等について精査しているところである。
 また、社会福祉法(昭和26年法律第45号)に基づく本件社会福祉法法人・事業所の運営については、堺市がその内容等について精査を行っている。今後、数回の指導監査を行うことにしている。
 今後も、本件について大阪府と本市の関係部課が十分連携を保ちながら調査・監査を行い、不正行為の事実等が判明した場合は、介護保険法(平成9年法律第123号)、社会福祉法等の規定による権限と責務によって厳正に対処することを考えている。

第4 監査の結果

1 本件に係る事実

 関係書類の調査等により、本件に係る事実については、おおむね次のように認められた。

(1) 介護保険制度について

 加齢に伴って必要とする介護を社会的に支える社会保障制度であり、介護保険法に基づき、社会保険方式により平成12年度から実施されている。
 介護保険を行う者(保険者)は、市町村及び特別区(以下「市町村」という。)である。65歳以上の者及び40歳以上65歳未満の医療保険加入者である住民が被保険者となる。
 要介護者等に対しては、訪問介護(ホームヘルプサービス)等の介護サービスが給付される。介護サービスは、利用者(要介護者等)と都道府県知事(以下「知事」という。)が指定する介護サービス事業者(以下「事業者」という。)等との間の契約により提供される。このサービスの利用には、通常、要した費用の1割の利用者負担が求められる。
 なお、介護保険制度の創設に伴い、生活保護法(昭和25年法律第144号)において、保護の種類として「介護扶助」が新たに設けられ、介護保険給付の利用者負担分について扶助が行われ、また、介護保険の被保険者とならない生活保護の対象者が要介護者等となったときは介護保険制度と同等の介護サービスが行われている。

(2) 介護報酬について

 介護報酬とは、事業者等が介護サービスを提供した場合にその対価として、市町村が支払う(介護保険法第41条第9項など)報酬をいう。
 介護報酬の金額は、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(平成12年2月10日付け厚生省告示第19号。以下「サービス費用基準」という。)等に基づき、介護の種類、要介護の状態、事業所における所定数の職員の存否などによって細かく区分されている。
 なお、生活保護法の介護扶助による介護サービスの提供に対する対価(以下「介護扶助の介護報酬」という。)についても、介護報酬と同様である。

(3) 事業者等に対する国、都道府県、市町村の権限等について

ア 介護保険法には、次のような規定がある。
 (ア) 国、都道府県
 a 帳簿書類の提示等
 厚生労働大臣(以下「大臣」という。)又は知事は、介護給付等に関して、介護サービスを行った者等に対して、報告、サービス等の提供の記録、帳簿書類等の提示を命じ、又は当該厚生労働省等の職員に質問させることができる(第24条第1項)。
 b 事業者の指定
 事業者の指定は、厚生労働省令で定めるところにより、事業を行う者の申請により、サービスの種類及び事業を行う事業所ごとに知事が行う(第41条第1項、第70条第1項等)。
 c 報告等
 知事は、介護報酬の支給に関し、事業者、事業者であった者、その事業所の従業員であった者に対して、報告、帳簿書類の提出・提示を命じ、出頭を求めることができる。また、知事は、当該都道府県の職員に、関係者に対して質問させ、事業所の設備、帳簿書類等を検査させることができる(第76条第1項等)。
 d 指定の取消し
 知事は、介護報酬の請求に関し不正があったとき等は事業者の指定を取り消すことができる(第77条第1項等)。
 (イ) 市町村
 a 文書の提出等
 市町村は、保険給付に関して、保険給付を受ける者、介護サービスを担当する者等に対して、文書等の提出・提示を求め、当該市町村の職員に質問・照会をさせることができる(第23条)。
 b 不正利得の返還等
 市町村は、事業者等が偽りその他不正の行為により介護報酬の支払を受けたときは、事業者等に対し、支払った額を返還させるほか、返還額に100分の40を乗じて得た額を支払わせることができる(第22条第3項)。
 c 都道府県への通知
 市町村は、事業者について、介護報酬の請求に不正があったと認められる場合等は、当該事業所の所在地の知事に通知することができる(第77条第2項)。
イ 社会福祉法には、次のような規定がある。
 (ア) 一般的監督
 大臣、知事、指定都市又は中核市の長(以下、社会福祉法の関係部分に関して「所轄庁」という。)は、法令等が遵守されているかどうかを確かめるため、社会福祉法人からその業務・会計の状況に関し報告を徴し、又は当該所轄庁の職員にその業務・財産の状況を検査させることができる(第56条第1項)。
 所轄庁は、法令等に違反し、又は社会福祉法人の運営が著しく適正を欠くと認めるときは、当該社会福祉法人に対して、期限を定めて、必要な措置を採るべき旨を命ずることができる(同条第2項)。
 所轄庁は、社会福祉法人が第2項の命令に従わないときは、期間を定めて業務の全部若しくは一部の停止を命じ、又は役員の解職を勧告することができる(同条第3項)。
 所轄庁は、社会福祉法人が法令等に違反した場合に、他の方法により監督の目的を達することができないとき等は解散を命ずることができる(同条第4項)。
 (イ) 調査
 知事、指定都市又は中核市の長は、法律の目的を達成するため、社会福祉事業を経営する者に対し報告を求め、又は当該都道府県等の職員に施設、帳簿、書類等を検査し、事業経営の状況を調査させることができる(第70条)。
ウ 老人福祉法(昭和38年法律第133号)には、次のような規定がある。
 知事、指定都市又は中核市の長は、老人居宅生活支援事業を行う者又は老人デイサービスセンター等の設置者に対して報告を求め、当該都道府県等の職員に、関係者に対して質問させ、その事務所・施設に立ち入り、設備・帳簿書類等を検査させることができる(第18条第1項)。
エ 生活保護法には、次のような規定がある。
 (ア) 報告の徴収及び立入検査
 大臣、知事、指定都市又は中核市の長は、介護サービスの内容及び介護報酬請求の適否を調査するため、指定介護機関(介護保険における事業所と同義。)の管理者に対して報告を命じ、又は当該官吏若しくは吏員に介護機関について実地に設備、記録、帳簿書類を検査させることができる(第54条の2第4項により準用される第54条)。
 (イ) 指定の取消し
 指定介護機関が、被保護者の介護について、知事、指定都市又は中核市の長の行う指導に従わない場合等は、大臣の指定した介護機関については大臣が、知事等の指定した介護機関については当該知事等が、その指定を取り消すことができる(第54条の2第4項により準用される第51条第2項)。
 (ウ) 不正利得の返還等
 「生活保護法による介護扶助の運営要領について」(平成12年3月31日付け社援第825号知事等あて厚生省社会・援護局長通知)において、「不正又は不当な介護報酬の請求により過誤払いが認められるときは、知事又は指定都市又は中核市の長は、すみやかに国民健康保険団体連合会(以下「国保連合会」という。)に連絡し、指定介護機関に支払う予定の介護報酬額からこれを控除させるよう措置すること。過誤払いが認められた介護機関に翌月以降、控除すべき介護報酬がない場合は、これを返還させるよう措置すること」という旨の通知が行われている。

(4) 本件に係る本市の事務分掌

 本件住民監査請求の対象となる事業者、事業所及び介護報酬に係る所管課とその主な事務分掌は、次のとおりである(いずれも堺市事務分掌規則(昭和47年規則第14号)第2条別表第1の規定による。)。
 福祉推進部介護保険課は、事業者の指導等に関すること、不当利得の返還請求及び収納に関することなどを行っている。
 健康福祉総務課(法人指導担当)は、社会福祉法人の指導監督、改善等の命令、勧告等の事務を所掌している。
 福祉推進部高齢福祉課は、高齢者施設等の運営指導に関することなどを所掌している。
 福祉推進部社会援護課は、生活保護法に基づく介護報酬に関すること、介護機関の指導等に関することなどの事務を行っている。

(5) 介護報酬の支払い事務

 要介護被保険者等が事業者等から介護サービスを受けたときは、市町村はその介護報酬について被保険者に代わり、当該事業者に支払っている(介護保険法第41条第6項等)。
 市町村は、事業者等から介護報酬の請求があったときは、大臣が定める基準(サービス費用基準等)に照らして審査した上で支払うこととされている(同条第9項等)。なお、この審査及び支払いに関する事務を国保連合会に委託することができる(同条第10項等)とされており、本市は、同事務を大阪府国民健康保険団体連合会(以下「府国保連合会」という。)に委託している。
 介護報酬の支払い事務の一般的な流れは次のようになる。
(1) 事業者等は、提供したサービスに対する介護報酬の当月分について翌月10日までに府国保連合会に請求書等を送付する。
(2) 府国保連合会は内容を審査したうえで、払込請求書等を本市に送付する。
(3) 本市は、介護保険課長が決裁を行い、府国保連合会へ当該介護報酬額を払い込む。
(4) 府国保連合会は、事業者等から請求のあった月の翌月末日までに支払いを行う。
 なお、介護扶助の介護報酬の支払い事務についても、市の決裁権者が社会援護課長であることを除いて同様である。

(6) 本件に係る大阪府の対応

 平成17年3月30日に関係局職員から事情を聴取したが、その後の調査等によって、大阪府高齢介護室介護保険課事業者指導グループ(平成17年4月から機構改革により健康福祉部医務・福祉指導室事業者指導課。以下「府事業者指導課」という。)は、平成17年2月25日、3月10日のほか、3月1日、3月11日にも、介護保険法第24条及び第76条などの規定に基づき、本件社会福祉法人及び事業所に実地指導を行っていることが分かった。
 これらの実地指導を通じて得られた書類等によって事実確認等が続けられている。

(7) 本件に係る本市の対応

 平成17年2月25日及び3月10日に、上記の大阪府が行った実地指導に、介護保険課と法人指導担当の職員が同行し、書類の調査や関係者からの聞き取りを行っている(介護保険法第23条及び社会福祉法第56条)。この調査で提出を求めた書類の写し等をもとに事実関係等についての精査が行われている。
 また、大阪府の実地指導への参画とは別に、平成17年3月24日には法人指導担当が、同3月25日には法人指導担当と高齢福祉課が合同で、本件社会福祉法人等に対して指導監査を実施した(社会福祉法第56条、第70条及び老人福祉法第18条)。
 高齢福祉課は事業所施設の利用者の処遇を中心に施設監査を実施したものである。
 法人指導担当は、[1]「不正受給」について、組織的な行為か個人の判断によるものか、[2]看護職員の勤務実態と支払金額の妥当性、[3]社会福祉法人Aへの寄付の実態、[4]事業所の施設長の勤務実態、などについて調査するため、ヘルパー訪問日誌、勤務割表、非常勤ヘルパー出勤簿、デイサービス提供日誌等の提出を求めるとともに、デイサービスセンター等の在籍職員・退職職員、施設長、理事長などから個別に事情を聴取している。
 なお、書類や聴取した内容について合致しない部分があったので、更に事実の確認と客観的な裏付けを取るため、4月22日に府事業者指導課と共同で再度の指導監査を行ったところである。

2 本件に係る判断

(1) 返還請求権の行使を怠る事実について

ア 介護保険法第22条第3項は、「市町村は、事業者等が、偽りその他不正の行為により第41条第6項(居宅介護サービス費)等の支払いを受けたときは、当該事業者等に対し、その支払った額につき返還させるほか、その返還させる額に100分の40を乗じて得た額を支払わせることができる」旨を規定している。
 したがって、不正行為等により介護報酬の支払いを受けた事業者に対する当該介護報酬相当額についての返還請求権は、保険者である市町村が有するものである。
イ 「介護保険施設等の指導監査について(通知)」(平成12年5月12日付け老発第479号知事等あて厚生省老人保健福祉局長通知)の別添2「介護保険施設等監査指針」(介護報酬の請求に不正があったことを疑うに足る相当な理由がある場合などに実施する監査のための指針とされている。)には、「都道府県は、監査の結果、…介護報酬の請求に関し不正又は不当の事実が認められ、これに係る返還金が生じた場合には、保険者に対し、事業者等の名称、返還金額等必要な事項を通知するとともに、当該保険者から国保連合会に連絡させ、当該事業者等に支払うべき介護報酬からこれを控除させるよう措置する。これにより難いときは、国保連合会から当該保険者に連絡するものとし、当該保険者は返還金相当額を当該事業者等から直接、当該保険者に返還させるよう措置する」旨の記載がされている(以下、保険者が国保連合会に対し、当該事業者等に支払うべき介護報酬額から返還金相当額を控除させる措置を採ることを「控除措置」、保険者が当該事業者等から返還金相当額を返還させる措置を採ることを「返還措置」という。)。
 これは、帳簿等の提出命令権や介護事業所の指定・取消権など、事業者に対する強い権限を有する都道府県が主体となって監査を行い、不正事実や不正請求額を把握することが、不正請求等への対応として最も有効かつ効率的な方法であるとの判断から指針とされたものと解される。
ウ 本件においても、大阪府が中心となって本件社会福祉法人と事業所に対する実地指導を行い、事実の確認等が行われているところである。
エ 本市も、所管課がその権限と責務によって、大阪府と合同若しくは単独で、合計5回の実地調査、退職者を含む関係者への聞き取り、多岐・多種類に及ぶ関係書類の点検や突合作業を行うなど、精力的で緻密な調査・監査が適切になされており、事実の確認等に努めていることは評価できるものである。
オ なお、本市が、控除措置や返還措置(いずれかの措置を行うことが返還請求権の行使であると考えられる。)を採らないことを決定したとか、当該措置をいたずらに遅延させている事実は認められない。
カ 控除措置や返還措置を行うためには、[1]事業者に偽りその他不正の行為があること、[2]その不正行為により事業者が介護報酬を受けたこと、[3]事業者が不正に支払いを受けた介護報酬の額の3点が確定されることが必要である。大阪府、本市が確認等の調査等を鋭意・継続的に行っているが、現時点において、これらの点について十分に確認されるまでには至っていない。
 よって、府国保連合会に対して控除措置を行っていないことや当該事業者に対する返還請求を行っていないことをもって、返還請求権の行使など必要な措置を違法又は不当に怠っている事実は認められない。
 なお、介護扶助の介護報酬についても、不正の事実などが確定されないことから、同様に判断されるものである。

(2) 本件介護報酬の支出を差し止めることについて

 上記(1)のとおり、本件事業者に対してこれまで支出された介護報酬が不正請求に基づくものであるということが確定されておらず、返還請求等を違法、不当に怠る事実もないことから、今後の当該事業者への介護報酬の支出が違法であるので差し止めるべきであるとする特段の事由はないものと思われる(介護扶助の介護報酬についても、また同様に考えられる。)。
 また、当該支出によって、仮に損害が生じたとしても、控除措置や返還措置などによって補填が必ずしも不可能となるとはいえない。
 よって、本件介護報酬の支出を差し止めることまでの必要性はないものと判断する。

(3) 結論

 以上のことから、請求人の本件社会福祉法人に対して不正受給した介護報酬相当額の返還請求を怠っているので返還請求権の行使を求めるという主張及び本件介護報酬の支出の差し止めを求めるという主張はいずれも理由がないものと判断する。

監査結果に添える意見

  1. 本件介護報酬の不正請求とされる事案については、所管部課において大阪府と連携しながら事実確認等が進められているところであるが、早期の解決を図るために必要な場合は強い権限を有する大阪府に対して調査等の促進を求めるなど、より一層適切で迅速な調査・監査に努められたい。
  2. 監査委員としては、現時点において、直接これらの監査を実施することは監査期限に拘束があり、また、所管との重複調査とならざるを得ず、関係法令等に基づく具体的な権限と責務を与えられた所管部課において調査等を行う方が、事実等の究明においてより実効性を持つものと考える。よって、調査等に著しい遅滞がないか、事実等が確定された後の対処は適切なものかなどの観点から、引き続き所管の調査・監査を注視するものである。
  3. 介護報酬の不正請求は、社会的な関心となっており、保険事業の財政や制度そのものに対する信頼を揺るがすものである。したがって、更に不正請求の防止対策と発生後の適正厳格な対応の強化を要望するものである。

このページの作成担当

監査委員事務局
電話:072-228-7899 ファックス:072-222-0333
〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所高層館19階

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