このページの先頭ですサイトメニューここから
このページの本文へ移動
堺市
  • 音声読み上げ・文字拡大・ふりがな
  • サイトマップ
  • くらしの情報
  • 子育て・教育
  • 健康・福祉
  • 観光・歴史・文化
  • 産業・ビジネス
  • 市政情報


本文ここから

平成15年9月16日 堺市監査委員公表 第28号

更新日:2012年12月19日

堺市監査委員公表第28号

 平成15年7月18日に提出のあった地方自治法第242条第1項の規定に基づく堺市職員措置請求について、同法同条第4項の規定に基づき監査を行ったのでその結果を次のとおり公表する。

平成15年9月16日

堺市監査委員 西村 昭三
堺市監査委員 松本 光治
堺市監査委員 曽我部 篤爾
堺市監査委員 小田 久和

堺市職員措置請求に係る監査結果

平成15年7月18日付け請求分

<老人クラブ活動補助金の交付について>

目次

堺市監査委員公表第28号

第1 監査の請求

1 請求人

(1名 省略)

2 監査請求書の提出

平成15年7月18日

3 請求の要旨

 堺市長に、「堺市老人クラブ活動補助金交付要綱(以下「要綱」と云う。)」を遵守し、「堺市老人クラブ活動補助金(以下「補助金」と云う。)に係る、決裁権限者のチェック機能を糾し、「補助金」交付事業を再検討・見直し、その適正化を図り、併せて「堺市補助金交付規則」第18条の履行を求めるものである。
(1) 堺市の「補助金」交付事業は、(堺市の高齢者すべてを対象とした事業)としながらも、対象高齢者の内、"入会率30%弱"の、任意団体であり、個々人の契約行為…の集り、の老人クラブのみに偏り、残り"70%強"の高齢者にはその手当も薄く(別添証明書1)、
 (なかには、請求者本人のように、(66歳の今日まで、老人クラブ関係者から一度の接触も無い! 公金運用の公平性・平等性から落ちこぼれている者も存在している。)
公金運用の公平性・平等性から逸脱した団体への「補助金」交付は不公平にして不当!(使用数値は、平成14年度堺市老人クラブ連合会総会資料の数値による。)
(2) (平成13年4月1日改正)の「要綱」の友愛訪問活動補助金の交付については、
 「要綱」の3の<3>に(訪問活動は、対象者一人につき月一回以上実施するものとする。)
 「友愛訪問活動実施計画書」にも(月に一回以上訪問する。)
との表示があるのに、実態は、下記の如くに訪問回数不足(一小学校校区だけでも21件)が存在している。
 ア 訪問回数不履行(記入不明瞭2件を含む) 12件
 イ 死去に由る訪問回数不足 6件
 ウ 引越し、転宅、老人ホーム入り等に由る 3件

(別添証明書2)

 ・・・対する当局の回答は、
 アが(別添証明書3)=尚「訪問活動の対象者」については「要綱」3の(2)の<1>にその定めがある。
 イ、ウについては、(別添証明書4)の如く無回答である。
 堺市長は、「要綱」に基づき、訪問回数が不足していることを十分調査、把握せず、違法又は不当な「補助金」分の返還を老人クラブに求めていない。
 「補助金」の交付を行ったこと及び「友愛訪問活動補助金」の返還を求めていないことは、堺市財政の損害である。
 したがって、堺市長に次のことを求める。
(1) 堺市が被った平成13年4月1日(「要綱」改正)以後に支出した「補助金」相当額を補填すること。
(2) すべての老人クラブが行っている友愛訪問活動の実態を調査し、「要綱」や補助金の交付条件が守られていない実態のある老人クラブに対して、違法又は不当と考えられる「友愛訪問活動補助金」相当額の返還請求を行うこと。
(3) 今後、「老人クラブ活動補助金」交付を見直し、「友愛訪問活動補助金」についての事務を適正に行うこと。特に、訪問回数のチェックには"厳正を旨とし"、その(内容を老人クラブに委たり)、ノーチェックで培われた(お互いの信頼関係に基づいた評価;〔別添証明書3〕)などは排除すべきである。

(原文から一部省略)

事実証明書
(別添証明書1)
 「公文書公開請求の件について」と題する請求人あての平成15年6月2日付け、同年6月17日付け及び同年7月7日付けの堺市高齢福祉課いきがいグループの回答文書(写し)
(別添証明書2)

  1. 北支所管内の4老人クラブに係る「平成14年度堺市老人クラブ活動補助金交付申請書(老人クラブ活動実施計画書、老人クラブ活動収支予算書、会員名簿、友愛訪問活動実施計画書、委任状)」及び「平成14年度堺市老人クラブ活動補助金実績報告書(老人クラブ活動実施報告書、老人クラブ活動収支決算書、老人クラブ活動補助金精算書、友愛訪問活動実施報告書)(写し)
  2. 北支所管内の3老人クラブに係る「平成13年度堺市老人クラブ活動補助金交付申請書(老人クラブ活動実施計画書、老人クラブ活動収支予算書、会員名簿、友愛訪問活動実施計画書、委任状)」及び「平成13年度堺市老人クラブ活動補助金実績報告書(老人クラブ活動実施報告書、老人クラブ活動収支決算書、老人クラブ活動補助金精算書、友愛訪問活動実施報告書)(写し)

(別添証明書3)
 請求人が市長あてに提出した公文書公開請求書及びこれに対する請求人あての平成15年6月17日付け北支所北保健福祉総合センター地域福祉課の回答文書(写し)
(別添証明書4)
 請求人が市長あてに提出した公文書公開請求書及びこれに対する請求人あての平成15年7月7日付け北支所北保健福祉総合センター地域福祉課の回答文書(写し)
(いずれも掲載を省略)

第2 監査の実施

1 要件審査及び請求の受理

 本件請求は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「自治法」という。)第242条に規定する要件を具備しているものと認め、平成15年7月30日にこれを受理した。

2 監査対象事項

 措置請求書に記載されている事項及び事実証明書を勘案し、監査対象事項を次のとおりとした。
(1)老人クラブに対する堺市老人クラブ活動補助金の交付は違法又は不当であるのかどうか。
(2)老人クラブに支出した友愛訪問活動補助金について、要綱や補助金の交付条件に違反していることにより市に損害が生じているのかどうか。損害が生じているとすれば、そのことにより市長が老人クラブに対して当該損害相当額の返還請求権の行使を怠る事実があるのかどうか。

3 請求人の証拠の提出及び陳述

 平成15年8月4日付けで、請求人から自治法第242条第6項の規定に基づく証拠の提出及び陳述を行わない旨の書面による申し出があった。

4 監査対象部局

 健康福祉局、北支所北保健福祉総合センター

第3 監査対象部局の説明

 本件について、市長に対して請求に係る意見書の提出及び監査対象部局の職員からの説明を求めた。その概要は以下のとおりである。

1 事情を聴取した者

 平成15年8月27日に監査対象部局の職員から事情を聴取したが、その者は次のとおりである。
 健康福祉局 健康福祉局長、福祉推進部長、福祉推進部次長、健康福祉局副理事兼健康福祉総務課長、高齢福祉課長 ほか
 北支所 北保健福祉総合センター所長兼地域福祉課長 ほか

2 説明の概要について

(1) 老人クラブに対する補助金交付の法的根拠

 本件老人クラブに対する活動補助金及び友愛訪問活動に対する補助金の交付は、堺市補助金交付規則(平成12年規則第97号。以下「補助金規則」という。)及び堺市老人クラブ活動補助金交付要綱(以下「要綱」という。)を根拠としたものである。

(2) 老人クラブに対する補助金交付の違法性・不当性について

ア 補助金の交付対象となる老人クラブ
 本件補助金の交付対象となる老人クラブの定義は、要綱の3(1)において、「<1>参加しようとする高齢者を広く会員としていること。<2>政治上又は宗教上の組織に属していないこと。<3>60歳以上の者でおおむね50人以上で組織していること。ただし、老後の社会活動の円滑な展開に資するため、若干人の60歳未満の会員の加入を認めている場合は、これらの者の人数を含めることができる。<4>会員は、クラブ活動が円滑に行われる程度の同一小地域内に居住する者であること。ただし、特定の活動を行うために当該小地域を越えて組織化することを妨げない。<5>運営が、会員により民主的に行われていること。」としている。
イ 老人クラブの活動に対する補助
 老人クラブに対する補助は、要綱において規定する自主的に結成された団体が行う、会員の教養の向上に寄与するための教養講座の開催、高齢者の健康増進を図るための活動及び地域社会との交流を図るための活動に対して支援することにより、高齢者の生活を健全で豊かなものとし、高齢者の保健福祉の向上を図ることを目的とするものである。要綱の補助条件に合致する団体が補助申請を行えば、補助を行っているところであり、請求人の主張する「対象高齢者の内、入会率30%弱の任意団体」への補助というのは、結果としての比率(全体の対象高齢者数に対する補助金の交付を受けた老人クラブの会員数の比率)であり、その他の者が結成した老人クラブへ補助することを排除しているものではない(本市の入会率は類似他都市に比べ決して低いものではない。)。また、地域での新規会員の加入促進については、60歳以上の方の情報が個人情報に当たり情報収集が困難であるため、老人クラブでは高齢者を対象とした事業の開催時などに加入を呼びかけたり、市でも広報紙などを通じて加入を働きかけるなど、広く加入の呼びかけを行っている。
 なお、国においては、老人クラブ活動等事業実施要綱で、「老人クラブは、地域を基盤とする高齢者の自主的な組織であり、介護保険制度の導入に伴い、高齢者を主体とする介護予防と相互の生活支援という観点から、その活動及び役割が今後ますます期待されているところである。このため、本事業を通じて老人クラブ活動等のより一層の活性化を図り、明るい長寿社会の実現と保健福祉の向上に資することを目的とする」と明記されており、補助については、こうした国の評価を踏まえたうえで、老人クラブ等事業運営要綱に沿って事業を行う老人クラブに対し堺市が補助を行い、さらにそうした事業に国が補助しているところである。
ウ 友愛訪問活動に対する補助
 老人クラブの友愛訪問活動に対する定義及び対象は、要綱の 3 (2)に
おいて、「この要綱において「友愛訪問活動」とは、次の各号に定める
ところにより実施する対象者を老人クラブ会員が訪問激励し、その孤独感を和らげ、併せて地域社会との交流を深め、もって高齢者福祉の向上を図る活動とする。<1>訪問活動の対象者は、おおむね65歳以上であって、家にこもりがちなひとり暮らしの高齢者及び老衰、心身の障害傷病等の理由により臥床している等日常生活を営むのに支障があり、屋外で活動できない者とすること。<2>会員により訪問チームを結成し、訪問対象者の実態を継続的に把握するとともに、その活動の調整を図るため、訪問活動状況を必要に応じて記録しておくこと。<3>訪問活動は、対象者一人につき月1回以上実施するものとする。<4>訪問活動の実施に当たっては、民生委員その他関係機関との連携を密にするものとすること。」としている。
 請求人は、「訪問活動は、対象者一人につき月1回以上実施するものとすると要綱に規定しているにもかかわらず、違法又は不当な補助金の支出を行っている」と主張している。
 友愛訪問活動について要綱で定めている規定は、活動を行うに当たってのガイドラインを定めたものであり、この規定を基に各老人クラブに対して活動を行うに当たっての指導を行っているところである。補助の趣旨としては、対象者を老人クラブ会員が訪問激励し、その孤独感を和らげ、併せて地域社会との交流を深めることを主目的としており、対象者宅を訪問する以外に、路上においての声かけ、見守り等による安否確認等により補助金の目的を達成しているものである。請求において訪問回数不履行としているが、上記のような活動については報告書に記載されていないものの、充分に価値ある活動として評価できると考えている。また、請求書において指摘のある、死亡・転居による訪問回数不足については、それまでの活動を行ってきた会員の努力、活動実績を評価すべきであると考えられ、また、やむを得ない理由により訪問活動が中止となったものについても補助の目的は達成したものと考えている。
 なお、要綱に沿って活動するに際しての指導が充分でなかったことや要綱の規定と事業運営との間に一部乖離がみられることについては、今後、その徹底や見直しを図る必要があると考えている。

第4 監査の結果

1 本件に係る事実

 関係書類の調査等により、本件に係る事実については、おおむね次のように認められた。
(1) 堺市の老人クラブについて
 堺市老人クラブ連合会は昭和37年に創設され、「老人クラブの活動内容を充実し、すべての高齢者が豊かな老後の生活をおくることができるよう老人福祉の増進に寄与するとともに、老人クラブ会員の親睦と団結をはかることを目的とする」(堺市老人クラブ連合会会則第3条)団体で、会員数は48,939人である。小学校区ごとに組織された校区老人クラブ連合会が83あり、そのもとに地域の会員で構成される単位老人クラブが771ある(数字はいずれも平成15年3月末日現在。)。
 また、堺市老人クラブ連合会に加入していない老人クラブ(地域を越えて広域的に組織された団体等)や老人会等があるが、所管課である高齢福祉課は、陳述において、すべての老人会等の団体名、会員数等を把握しているわけではないと述べている。
(2) 要綱の規定について
 要綱は、教養講座開催等の活動に対する補助金(以下「活動補助金」という。)と友愛訪問活動に対する補助金(以下「友愛訪問活動補助金」という。)などに関し規定している。その主な内容は次のとおりである。
 ア 補助の目的
 本件補助は、「老人クラブが行う活動に対して支援することにより、高齢者の生活を健全で豊かなものとし、高齢者の保健福祉の向上を図ること」を目的とする(要綱の2)。
 イ 老人クラブの定義
 本件要綱における老人クラブは、おおよそ「<1>参加しようとする高齢者を広く会員としていること <2>60歳以上の者でおおむね50人以上で組織していること <3>会員は、活動が円滑に行われる程度の地域内に居住する者であること」などを要件としている(要綱の3(1))。
 ウ 活動補助金について
 補助対象事業は、老人クラブが主体となって、年間を通じて恒常的かつ計画的に実施され、相当数の会員が常時参加する<1>会員の教養の向上に寄与するための教養講座の開催 <2>高齢者の健康増進を図るための活動 <3>地域社会との交流を図るための社会奉仕活動である(要綱の5(2)及び(3))。上記<1>から<3>に対する活動補助金の額は、「1老人クラブにつき月3,880円」である(要綱の6)。
補助金は交付決定額の全部を概算払により老人クラブに対して交付される(要綱の11(1))。
 エ 友愛訪問活動補助金について
 友愛訪問活動とは、老人クラブ会員が、おおむね65歳以上であって、家にこもりがちなひとり暮らしの高齢者及び日常生活を営むのに支障があり屋外で活動できない者を訪問激励し、その孤独感を和らげ、併せて地域社会との交流を深め、もって高齢者福祉の向上を図る活動(要綱の3(2)<1>)である。訪問活動は、対象者1人につき月1回以上実施する(要綱の3(2)<3>)ものである。補助金額は、友愛訪問活動対象者1人から5人までが1人につき年額1,800円、同6人から10人までが1人につき年額2,000円、同11人以上が1人につき年額2,200円であり(要綱の6)、実態として、年度当初に老人クラブから申請された訪問活動実施計画書に基づき決定されている。
 補助金は交付決定額の全部を概算払により老人クラブに対して交付される(要綱の11(1))。
(3) 補助金交付事務等について
 本件補助金に係る事務の流れはおおむね次のとおりである。
 老人クラブから堺市老人クラブ活動補助金交付申請書が各支所地域福祉課へ提出され、各支所保健福祉総合センター所長(以下「センター所長」という。)が内容を審査し補助金の交付決定を行う(堺市役所支所事務分掌規則(平成4年規則第33号。以下「支所事務分掌規則」という。)第6条及び補助金規則第5条第1項)。補助金は、老人クラブからの交付請求後、決定額の全部を概算払の方法により交付する(要綱の11(1)及び(2))。事業終了後、老人クラブは堺市老人クラブ活動実績報告書・同補助金精算書に活動実施報告書など必要な書類を添付して各支所地域福祉課に提出する(要綱の10及び11(3))。各支所地域福祉課長はその内容を審査し補助金の額の確定を行い(支所事務分掌規則第7条各課長共通専決事項)、この確定により高齢福祉課が補助金確定通知書を送付する(補助金規則第14条第2項)。
 なお、堺市老人クラブ連合会に加入する老人クラブの会長は、堺市老人クラブ連合会会長を代理人と定め本件補助金の請求及び受領に関する権限を委任し、補助金の受領は連合会会長が一括して行っている実態がある。ただし、このことによって堺市老人クラブ連合会に加入しないことが、本件補助金の申請、交付決定、請求・受領等について、何らの不利益になるものではないことを関係局職員の陳述の場において確認した。

表 本件補助金交付事務の主な流れ
老人クラブ 堺市(< >内は専決権者)
4月   補助金申請に関する説明(高齢福祉課)
6月 補助金交付申請書等提出 補助金交付決定<各センター所長>
7月 補助金交付決定通知書受理
補助金交付請求書提出
補助金交付決定通知書送付(高齢福祉課)
補助金支出命令<各支所地域福祉課長>
8月 補助金受領 補助金支出(高齢福祉課)
翌年
4から5月
補助金実績報告書・精算書等提出 補助金の精算・確定<各支所地域福祉課長>
翌年5月 補助金確定通知書受理 補助金確定通知書送付(高齢福祉課)

(4) 補助金交付等の状況
 平成14年度の本件補助金の交付状況は次のとおりである。活動補助金については、787クラブ(堺市老人クラブ連合会に加入するクラブ771及び加入しないクラブ16)に36,642,720円(同35,897,760円及び744,960円)、友愛訪問活動補助金については、交付を受けた584クラブ(同574クラブ及び10クラブ)の訪問対象者は2,933人(同2,855人及び78人)であり、5,756,400円(同5,594,400円及び162,000円)の補助金を交付している。
 この結果として、活動補助金を交付した老人クラブ787に加入する高齢者の数は49,781人であり、市内の60歳以上の人口189,617人に対する加入率は26.3%である。
(5) 関係書類の調査
 本件監査に際し、北保健福祉総合センターが所掌する平成14年度の当該補助金についての関係書類を抽出して調査した。
 当該センター長の決裁により友愛訪問活動補助金を交付した110の老人クラブが訪問対象者としたのは、468人であるが、友愛訪問活動実施報告書において、請求人が述べているような月1回以上の訪問の記載がない者140人、死亡により訪問できない者35人、転宅、老人ホームへの入所等により訪問できない者7人であった。
 なお、支出、精算等に関する事務手続きは、支所事務分掌規則等に基づきおおむね適正に行われていたが、次のようなものが見受けられた。
 ア 老人クラブ活動実施報告書において、「講演会(テーマ未定)」、「健康講座 医師名不明」と記載されたもの
 イ 友愛訪問活動実施報告書において、訪問対象者の記載漏れがあるもの

2 本件補助金に係る判断

(1) 本件補助金の違法性・不当性について

ア 自治法第242条第2項は、「行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、これ(住民監査請求)をすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない」と規定している。
 平成13年度、平成14年度及び平成15年度の本件補助金は、各支所の地域福祉課長が各年度の8月中に支出命令を行い、同月中に支出されている。
 請求人は、平成13年度以後の本件補助金の支出が違法・不当と主張しているが、行為のあった日に関して、本件のような概算払の方法によってなされた場合は、概算払のあった日を起算日とする判決(最高裁 平成7年2月21日 平成6年(行ツ)第108号 静岡県富士根畑そう土地改良区補助金損害賠償等請求事件)があり、本件請求日において、平成13年度の補助金については概算払による支出があった日から1年10箇月を経過しており、1年を経過しての請求に正当な理由もみられないことから、住民監査請求をすることができない。
 また、平成15年度の本件補助金は、請求日には支出がなかったが、監査の期間中である8月に支出があったため、請求内容である「平成13年4月以後に支出した補助金」に該当すると考えられなくもないことから、当初から監査対象とした平成14年度の補助金と合わせて監査の対象とした。
イ 自治法第232条の2は、「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附又は補助をすることができる」と規定している。
 この公益上の必要については、「公益上必要かどうかを一応認定するのは長及び議会であるが、この認定は全くの自由裁量行為ではないから、客観的にも公益上必要であると認められなければならない」という行政実例(昭和28年6月29日 自行行発第186号)があり、また、公益上の必要性の有無の判断に当たっては、一般に、様々な行政目的を考慮した政策的な判断が要求されるところから、当該地方公共団体の支出権者につき一定の裁量権の存在を肯定したうえで、その逸脱・濫用の有無という観点から当該補助金支出の適否を判断するというのが、最近の裁判例の趨勢となっている(「判例地方自治」平成14年5月号 地方自治判例研究会編)。そして神戸地裁判決(昭和62年9月28日 昭和50年(行ウ)第15号 特定団体に対する事業活動補助金損害賠償請求事件)は同趣旨に加えて「補助金支出が、目的違反、動機の不正、平等原則、比例原則違反など裁量権の濫用・逸脱となるときには、(当該)補助金支出は違法といわなければならない」と判示している。
ウ そこで、本件補助金の公益上の必要について検討する。
 (ア)老人福祉法(昭和38年法律第133号)は、第4条第1項において、国及び地方公共団体が老人の福祉を増進する責務を有することを明記し、同法第13条第2項において、地方公共団体は老人クラブ等に対する適当な援助をするように努めなければならない旨を規定している。また、国の老人クラブ活動等事業実施要綱(平成13年10月1日付け老発第390号厚生労働省老健局長通知)の3においても、市町村は老人クラブ、市町村老人クラブ連合会等と連携を図るとともに、老人クラブ等に対する支援に努め、必要に応じ助言指導を行うものとする旨の規定があり、本件補助金(友愛訪問活動補助金を除く。)の3分の1は国庫補助金を財源としている。
 (イ)本件補助は、老人クラブが行う教養講座の開催・健康増進活動・社会奉仕活動・友愛訪問活動を支援することにより、高齢者の生活を健全で豊かなものとし、高齢者の保健福祉の向上を図ることを目的とするものである。平成12年4月から開始された介護保険制度により、特に高まった高齢者を主体とする介護予防と相互の生活支援の観点から、高齢者の自主的な組織である老人クラブの活動及び役割はますます期待されるところであり、その自主活動に対する支援は、高齢者の生きがいや健康づくりを推進するものといえる。
 (ウ)補助対象となっている各老人クラブへの加入者の合計は49,781人である。関係局職員の陳述によれば、老人クラブへの加入については、校区老人クラブ連合会会長や単位老人クラブ会長等が地域の高齢者に随時加入の呼びかけをし、市内の高齢者を対象とした事業を開催する際にも加入を呼びかけている。市でも「広報さかい」、「高齢者保健福祉ガイドブック」、「堺市のホームページ」等により広く加入の呼びかけを行っている。このように、老人クラブは、希望する高齢者は誰もが加入できるようになっており、一部の高齢者に加入を限定しているものではない。
 (エ)補助対象の老人クラブについて、<1>参加しようとする高齢者を広く会員としていること <2>60歳以上の者でおおむね50人以上で組織していること <3>会員は、活動が円滑に行われる程度の地域内に居住する者であることなどの要件が要綱で定められている。申請があり補助条件を満たす老人クラブには補助金が交付されていることから、補助金の交付を受ける老人クラブを恣意的に選定しているわけではなく、また、新規に結成された老人クラブを補助対象から除外しているものでもない。ちなみに、現在、堺市老人クラブ連合会に加入しておらず、補助対象となっている老人クラブは16クラブ存在する。
 (オ)本件補助は一定の要件を満たした団体の一定の活動に対して補助するものであり、老人クラブに加入する高齢者と加入しない高齢者を不平等に取り扱っているという請求人の主張は、本件補助の趣旨・目的・実態から失当といわざるを得ない。
 (カ)以上のことから、老人クラブに対する活動補助金の交付は、市長の行政判断のもとで行われたものであり、その判断に、目的違反、動機の不正、平等原則違反などの裁量権の逸脱、濫用は認められない。よって、本件補助金の支出には公益上の必要が客観的に認められるものと判断する。
エ したがって、本件補助金の交付は、自治法第232条の2の規定に違反せず、また、不当性も認められないことから、平成13年4月1日以後に支出した当該補助金相当額を補填することという請求人の主張のうち、平成14年度及び平成15年度に支出した補助金については、容認し得ないものと判断する。

(2) 友愛訪問活動補助金に係る返還請求権の行使を怠る事実について

ア 要綱の 3(2)<3>には、「訪問活動は、対象者一人につき月1回以上実施するものとする」と規定され、老人クラブが補助金交付申請書に添付して提出する「友愛訪問活動実施計画書」の訪問回数欄には「月に1回以上訪問する」の記載がある。
 一方、本件補助金の交付を受けた老人クラブが提出する実績報告書に添付された「友愛訪問活動実施報告書」の「訪問回数」欄が空白であったり「0」の記載があるもの、「訪問対象者の状況・感想等」欄に死亡、引越し、老人ホームに入るなどの記載があるものが見られる。
イ 友愛訪問活動実施報告書の「訪問回数」欄が空白又は「0」の記載があることについて検討する。
 (ア)補助金とは、「一般的には特定の事業、研究等を育成、助長するために地方公共団体が公益上必要があると認めた場合に対価なくして支出するもの」(「〔五訂〕地方公共団体歳入歳出科目解説」 月刊「地方財務」編集局編)とされている。すなわち、地方公共団体は特定の団体や事業の公益性に着目し、この団体等に補助金を支出することにより当該事業・研究等を育成・助長し当該地方公共団体が目的とする政策を間接的に実行しようとするものである。
 また、補助金の問題点の一つとして、「補助金が補助事業者の自立や事業意欲を減退させ、行政へ依存する体質になりやすいこと」が指摘されてきた(例えば「事例式地方公共団体の外部監査の実務」松本正一郎著 「地方財務」2001年9月号)。特に、近年強く求められている市民参画型行政を推進するために各種団体との協働は不可欠であり、補助金は、その自主的活動を促進するためのものでなければならない。
 (イ)本件友愛訪問活動補助金について、上記(ア)の補助金の目的、補助金のあり方を基に検討する。
 a 関係局職員は「老人クラブは、健全で豊かな生活を送ることを目的として高齢者の知識及び経験をいかした多様な社会活動を行っており、友愛訪問活動もその目的を達成するための活動の一つである。友愛訪問活動補助金の交付は、老人クラブの会員の訪問により、ひとり暮らしの高齢者等の孤独感を和らげ安否確認がなされるという高齢者による高齢者の支援が行われ、そのことによって地域福祉活動の充実、高齢者福祉の向上を図ることを目的としている」と陳述している。
 b 要綱は補助対象事業について、<1>会員の教養の向上に寄与するための教養講座の開催 <2>高齢者の健康増進を図るための活動 <3>地域社会との交流を図るための社会奉仕活動 <4>友愛訪問活動の4種類の活動を並列に記載しており、これらの活動に対する補助金の交付目的は、要綱の2に規定するとおり「老人クラブが行う活動に対して支援することにより、高齢者の生活を健全で豊かなものとし、高齢者の保健福祉の向上を図ること」にあるものといえる。
 c また、要綱は友愛訪問活動について、大要「ひとり暮らしの高齢者等を老人クラブ会員が訪問激励し、その孤独感を和らげ、併せて地域社会との交流を深め、もって高齢者福祉の向上を図る活動」と定義している(要綱の 3 (2))。
 d 「訪問活動は、対象者一人につき月1回以上実施するものとする」という要綱の規定は、補助を受けたクラブ会員の義務として老人クラブ活動を拘束すると解するならば、補助事業者の自主性・自立性の育成とは相容れないものということができる。
 e これらのことから、上記イ(ア)の補助金の目的に従って記述すれば、「友愛訪問活動補助金は、市が老人クラブが行う訪問活動の公益性に着目し、老人クラブに補助金を支出することにより当該活動を育成・助長し、市が目的とする高齢者の福祉の向上という政策を間接的に実行しようとするもの」といえる。
 また、要綱に定める補助金は上記bに記載の4種類の活動を奨励するものといえ、この点において友愛訪問活動に対する補助金の趣旨、目的と他の活動に対する補助金のそれとを特に区別する理由はみられない。
 一方、友愛訪問活動は、老人クラブの新たな活動として奨励するため、要綱において特に詳細な活動要件を定めていることが、委託契約に類するものと誤認されかねず、本来の補助金のあり方とは相容れない規定となっていることは指摘せざるを得ない。
 (ウ)意見書や関係局職員の陳述における「本件活動には、災害時等におけるひとり暮らしの高齢者等への迅速な対応や孤独死の防止を図る役割が期待されること」、「訪問によらずとも、街で出会ったときの声かけや見守り等で、安否確認や激励、孤独感の緩和等が図られる」及び「訪問先の家族の理解が得られず、居宅訪問ができない場合もある」等の説明には一定の理解ができるものである。
 (エ)関係局職員の陳述において、「実施報告書に訪問回数の記載がない場合には、実際の訪問内容について活動の目的が達せられているかの確認を口頭で行っている」ことが述べられている。
 (オ)これらを総合的に考慮すると、「一人につき月1回以上の訪問」が現になされていないとしても、声かけや見守り等により、このことと同等程度に要綱の定義に沿った訪問活動の趣旨・目的が達成されているものと判断できる。訪問回数のチェックについても、活動目的の達成について確認しているなど相当程度の調査がなされていると認められることから、おおむね適正に行われているということができる。
 (カ)したがって、友愛訪問活動実施報告書の「訪問回数」欄が空白又は「0」の記載があることをもって、直ちに要綱の趣旨に反しているとはいえないと判断する。
ウ 次に、「友愛訪問活動実施報告書」の「訪問対象者の状況・感想等」欄に死亡、引越し、老人ホームに入るなどの記載があることについて検討する。
 (ア)本件訪問活動の具体的な補助条件として要綱は、「訪問活動は、対象者一人につき月1回以上実施するものとする」(要綱の3(2)<3>)と規定するのみで、訪問する対象者が死亡や転居したこと等により訪問が不可能になった場合における補助の交付を受けた老人クラブの対応及び市の事務取り扱いについて何ら定めてはいない。そうすると、このことについては、「この要綱に定めるもののほか、補助金の交付について必要な事項は、所管部長が定める」(要綱の12)こととなる。
 (イ)友愛訪問活動実施報告書に死亡、転居等の記載があった場合にも「訪問対象者1人」として本件補助金額の精算、確定を行ってきていること及び年度途中、新たに対象者に該当したこと等により訪問活動を行った報告はなされているが、当該訪問者を加えずに本件補助金額の精算、確定を行ってきている事実がみられ、4月1日現在における訪問対象者を補助金額の精算、確定に際しての訪問対象者とする事務取り扱いがこれまでなされてきたことがうかがえる。
 (ウ)本件補助が上記イ(イ)eに記載したとおり、本来、老人クラブの活動を奨励する趣旨であることから、「友愛訪問活動についての要綱の規定は、活動を行うに当たってのガイドラインを定めたものであり、この規定を基に各老人クラブに対して指導を行っている」という関係局職員の陳述内容は是認できるものである。また、同様のことから、実施報告書の審査に当たっては、形式的、画一的な件数確認よりも補助の目的、趣旨を達成しているかどうかについてこそ重視すべきものと考える。
 (エ)訪問対象者が存在している間は現に何らかの要綱の定義に沿った訪問活動が行われており、その趣旨、目的が達成されていると考えられること、上記(イ)のような事務処理が相当期間一貫してなされてきており、訪問対象者の増減があった老人クラブと増減のなかった老人クラブをことさら不平等に取り扱うものでないこと、補助金の審査に当たっては、形式的な訪問対象者数の確認よりも補助目的を達成しているかどうかに重点を置くべきであることなどから、年度当初の訪問対象者を補助金額の精算、確定に際しての訪問対象者とした取り扱いもやむを得ないものと思われる。
 (オ)これらのことから、本件補助金の交付が、補助金規則第9条第1項に規定する事情変更による交付決定の一部取り消し又は第18条第1項各号に掲げる理由(補助金の交付の決定に付した条件に違反したとき等)による交付決定の一部取り消しの事由に該当するとはいえない。また、同規則第17条第4項の「概算払の場合において、市長は補助金精算書を審査し、交付すべき補助金の額を超える補助金が既に交付されているときはその返納を命ずるものとする」旨の規定に反しているとまではいえない。
 (カ)したがって、訪問対象者が存在しなくなった場合についての所管部長の定めは明文化されていないものの、上記のような慣習的な取り扱いが、補助金規則、要綱等に必ずしも違反しているとはいえず、市に損害も生じていないものと推量できる。
 (キ)仮に市に損害が生じているとしても、1回の訪問に対する補助金あるいは月額による補助金ではないこと、現に訪問活動の実績があることから、損害の有無及び損害の程度の確定は、はなはだ困難である。損害の有無及びその程度が不明の場合については、市に損害が発生したとの認定はできないという判決(東京地裁 平成13年2月28日 平成11年(行ウ)第55号 豊島区職員時間外手当損害賠償請求事件)があることから、本件についても市に損害が発生したとの認定はできず、老人クラブに対して損害の返還を求めることはできないものと判断する。
 (ク)したがって、友愛訪問活動実施報告書の「訪問対象者の状況・感想等」欄に死亡、引越し、老人ホームに入るなどの記載がある場合について、補助金規則、要綱等に違反しているとまではいえず、市に損害が生じているとの認定はできないことから、市長が老人クラブに対して返還請求権の行使を怠っている事実はないものと判断する。
エ 以上のことを総合的に判断すると、本件補助金について市長に対して補助金規則に基づき違法又は不当と考えられる支出相当額の返還請求を行うことという請求人の主張は認められない。

(3) 結論

 老人クラブに対する本件補助金のうち、平成13年度に支出のあった補助金に関する請求は住民監査請求のなし得る期間を経過しており不適法である。また、平成14年度及び平成15年度に支出のあった補助金の交付に違法性、不当性はなく、市長に対して支出相当額の補填を求めるという請求人の主張には理由がないものと判断する。
 友愛訪問活動補助金の支出については、市に損害が生じているとの認定はできないことから市長が返還請求を怠る事実はなく、よって老人クラブに対して損害相当額の返還請求権の行使を市長に求めるという請求人の主張にも理由がないものと判断する。

付言

 本件監査請求は、結論のとおり、老人クラブに対する本件補助金について違法性・不当性はなく、友愛訪問活動補助金に関する損害相当額の返還請求を怠る事実もないものと判断した。
 しかし、「一人につき月1回以上の訪問」等の詳細で委託契約と誤認されるような規定は、補助事業者である老人クラブの自主的、自立的な活動を奨励するという、本件補助金の本来の趣旨を没却させるおそれがあるといわざるを得ない。この委託契約に類似したような事務処理が、かえって自立した老人クラブの自主性を阻害し、また、補助金の支出について市民の不信を招く結果を生来するものといえる。
 本件は、市と老人クラブが協働して目指す「高齢者の保健福祉の向上を図る」活動に対しての市民参画型行政に資する補助金であるべきものである。補助金行政の公正性、効率性等に対する市民の理解を一層得られるよう、補助効果を適確に検証することを中心として本件補助金の要綱及びその運用のあり方について早急に必要な改善措置を執られたい。その際には、老人クラブの自主性、自立性を育成するような本来のあるべき補助金となるよう十分検討されたい。

このページの作成担当

監査委員事務局
電話:072-228-7899 ファックス:072-222-0333
〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所高層館19階

このページの作成担当にメールを送る

本文ここまで

サブナビゲーションここから

住民監査請求監査

情報が見つからないときは

世界文化遺産を大阪に 百舌鳥・古市古墳群

サブナビゲーションここまで


以下フッターです。
Copyright © Sakai City. All Rights Reserved.
フッターここまでこのページの上へ戻る