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平成15年12月9日 堺市監査委員公表 第34号

更新日:2012年12月19日

堺市監査委員公表第34号

 平成15年10月10日に提出のあった地方自治法第242条第1項の規定に基づく堺市職員措置請求について、同法同条第4項の規定に基づき監査を行ったのでその結果を次のとおり公表する。

平成15年12月9日

堺市監査委員 西村 昭三
堺市監査委員 松本 光治
堺市監査委員 曽我部 篤爾
堺市監査委員 小田 久和

堺市職員措置請求に係る監査結果

平成15年10月10日付け請求分

<栂緑道へのバイク進入防止柵設置工事の支出について>

目次

堺市監査委員公表第34号

第1 監査の請求

1 請求人

(1名 省略)

2 監査請求書の提出

平成15年10月10日

3 請求の要旨

○ 誰が
 公園緑地部泉ヶ丘公園事務所所長高田信夫と職員「バイク止め柵設置作業チーム」、鶴田辰義係長、山口利英の2名。
○ いつ、どの様な財務会計行為を行っているのか
 平成15年2月、栂緑道の堺市庭代台のたまむし橋南詰と御池台のひぐらし橋南詰の2箇所のバイク止め柵を380万円の費用を支出し設置した。
○ その行為は、どの様な理由で違法、不当なのか
 「大阪府福祉のまちづくり条例」の第10条第2項第4号ロ「園路は、障害者等が通行することができるものにすること」と定められているのにバイク止め柵を設置することにより「電動車いす及び電動シニアカー」の通行が出来なくなった。
 事前に原山台、庭代台、御池台に「電動車いす及び電動シニアカー」利用者が何人居るかも調査せず、バイク止め柵を設置している。
 平成12年7月25日建設省道路局の「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律」に基づく「道路の構造に関する基準」による人の通行時の幅は70から75cm、自転車通行時の幅は100cmとなっているが、バイク止め柵のポール間の幅は人で22.5から31cm、自転車で54.8から55cmとなっている。
 平成7年6月16日「地震防災対策特別措置法」第3条第1項の規定に基づく「避難地等に係る主務大臣が定める基準」によると一次避難場所から広域避難地に至る道に緑道が示されているが、バイク止め柵の設置された現在の緑道では、その機能を十分発揮することは出来ない。
○ その結果どの様な損害が市に生じているのか
 まだ、堺市では広域避難地への避難路は選定されていないが、バイク止め柵が設置されている現状の栂緑道を避難路として選定することが出来なくなった。
 公園緑地部が行った行政行為に対する住民の不満が、市に対して多く発生し堺市行政への信用失墜が生じている。下記事項はその一部である。
(1)電動車いす、電動シニアカー使用者が自分の居住区以外に出にくくなった。
(2)シニアカー使用者(男)の話 ~ 私は庭代台に住み週に数回、原山台の医院に行っている。今まで緑道で行っていたが、バイク止め柵の設置により泉北3号線の歩道を通行しなくてはならなくなった。遠回りになり、又、私は弱視者であるので車両が多く通行する歩道を通行するには不安を感じる。なぜ堺市はあの様な物を作り私ら障害者をいじめるのか。バイク止め柵の設置についての話は行政、連合会長、町会長から事前に何ら説明はなかった。
(3)電動車いす及び電動シニアカーを使用している障害者の現状を見分すると、この夏の暑い日、緑道の木陰を通行するのでなく、木が1本もない歩道を通行している。その不満は相当なもので、3号線を通行する人々に「バイク止め柵の設置により歩道を通行する事についての気持」について問うと、すべての人から「堺市は何を考えているんや」といかりの声が聞かれた。
 又、3号線の歩道は相当前に舗装されたもので現在は、アスファルトも相当外れ小石が表面に出ており、車の振動は障害者に対し苦痛を感じさせているのではないかと感じられた。緑道を通行出来なくし歩道を通行しなければならない様にするのであれば、バイク止め柵を設置する前にほとんどの障害者が通行するであろうと思われる泉北3号線の歩道の現状を調査し、小石が表面に出ている事を確認、障害者の事を思い舗装したのち、バイク止め柵を設置(条例で設置は出来ない)するのが血の通った行政でないだろうか。
(4)泉北警察署がバイクで栂緑道を巡回していたが、2箇所のバイク止め柵近くで姿を見たことは1度もない。
(5)栂緑道は3住区の居住者が栂美木多駅までの間、通勤、通学、買物等に最も多く利用する道路であるが、若い人以外は柵のところで一度自転車を降り、自転車をパイプに「ガチャガチャ」と当てながら通過しているのが現状である。この様に自転車自体とパイプが当るため車輪軸止めキャップが破損したり外れたりし、平成15年9月末現在、私は241個のキャップを拾っている。その中には電動自転車の部品も含まれている。
(6)自転車利用者の声 ~ 「何でこんなもの(柵)を作るんや、じゃまになるだけや、税金のむだ使いや」。
(7)歩行者も狭いパイプ間の部分を通るので雨の日はパイプが濡れており(自転車利用者も同じ)、その濡れがズボン、スカート等に付着する。この事に対する苦情も多い。
○ どの様な措置を請求するのか
 バイク止め柵の撤去と設置費用380万円、撤去費用の返納。

(原文どおり)

事実証明書

  1. 請求人が作成した「バイク止め柵」設置付近略図
  2. 請求人が測定した「バイク止め柵」(御池台)の寸法図
  3. 請求人が把握した身体障害者用電動車いす、シニアカーの台数
    (原山台、庭代台、御池台)
  4. 「バイク止め柵」(御池台)の写真

 (いずれも掲載を省略)

第2 監査の実施

1 要件審査及び請求の受理

 本件請求は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「自治法」という。)第242条に規定する要件を具備しているものと認め、平成15年10月20日にこれを受理した。

2 監査対象事項

 監査請求書に記載されている事項及び事実証明書を勘案し、監査対象事項を次のとおりとした。
 栂緑道の2か所に設けた「バイク止め柵」の設置工事に係る支出が違法、不当であるのかどうか。違法、不当であるとすれば、設置工事費相当額の損害の補てん並びに当該柵の撤去及びその費用相当額の負担をすべきであるのかどうか。

3 請求人の証拠の提出及び陳述

 自治法第242条第6項の規定に基づき、平成15年11月13日、請求人に対して証拠の提出及び陳述の機会を設けた。
 請求人は、陳述において請求の要旨の補足を行った。また、新たな証拠として、「バイク止め柵」に当たって外れたり破損した自転車等の車輪軸ナットのキャップが提出された。
 なお、この陳述に際し、自治法第242条第7項の規定に基づく関係局職員の立ち会いはなかった。

4 監査対象部局

 建設局

第3 監査対象部局の説明

 本件について、市長に対して請求に係る意見書の提出及び監査対象部局の職員からの説明を求めた。その概要は以下のとおりである。

1 事情を聴取した者

 平成15年11月13日に監査対象部局の職員から事情を聴取したが、その者は次のとおりである。
 建設局 建設局長、公園緑地部長、公園緑地部次長、公園管理課長、泉ヶ丘公園事務所長、建設局副理事兼建設総務課長ほか
 なお、この事情の聴取に際し、自治法第242条第7項の規定に基づき、請求人の立ち会いを認めた。

2 説明の概要について

(1) バイク進入防止柵設置の経緯について

 本件緑道は通学、通勤、買物等の日常生活の安全な園路として利用されているが、かねてから「原動機付き自転車等(以下「バイク」という。)の緑道への乗り入れによる騒音、暴走、危険行為等により安心して通行できない。バイクの乗り入れを規制してほしい」旨の苦情、要望が緑道通行者や地元自治会から多く寄せられていた。大阪府より引き継ぎを受けて以来、大阪府警察本部へ乗り入れ規制依頼を2回、泉北警察署へ巡視依頼を2回行い、また、職員が業務中にバイクの通行を発見した場合には、そのつど通行できない旨の注意をし、緑道出入口にバイク乗り入れ禁止の看板・ステッカーを貼付する等の対応を行ってきたが、緑道は道路交通法(昭和35年法律第105号)が適用できないため、バイク乗り入れが後を絶たず、接触事故も起こるという状況であった。
 そこで、公園利用者の安全確保を図ることが公園管理者の最も重要な責務であるとの考えから、苦情の一番多かった桃山台において、地元連合自治会と相談、説明を行ったうえで、平成13年度に、電動車いす及び電動シニアカー(以下「電動車いす等」という。)利用の方には迂回路を利用していただく結果となるが、やむなくバイク進入防止柵(以下「防止柵」という。)を1か所設置した。
 また、平成14年度に、かねてから苦情が多く寄せられていた三原台、庭代台、新檜尾台、御池台の各連合自治会に設置について相談、説明を行い、自治会としての設置の意向がまとまった庭代台、御池台の各1か所に防止柵を設置した。

(2) 請求人の主張に対する意見

ア 大阪府福祉のまちづくり条例に違反するということについて
 大阪府福祉のまちづくり条例(平成4年大阪府条例第36号。以下「府福祉条例」という。)第10条第2項第4号ロで、「園路は、障害者等が通行することができるものとすること」と整備基準に定められており、同条第1項で「事業者は、都市施設を整備基準に適合させるよう努めなければならない」と規定されているが、ただし書きで「規模、構造若しくは利用の目的、地形若しくは敷地の状況、沿道の利用の状況、事業者の負担の程度等により、整備基準に適合させることが困難である場合にあっては、この限りでない」と規定されている。
 今回、設置にいたったのは、「緑道を安心して通行できるようにしてほしい」という再三にわたる利用者の強い声があったことである。バイクの走行による危険な状態をいつまでも放置しておくことはできないと考え、電動車いす等を利用の方にはご不便をおかけすることになるが、多くの公園利用者の安全確保を図るため、公園管理者の責務として、また、付近住民の快適な環境を維持するため、現時点での対策として他により良い方法もなく、実際上採り得る一番適切な方法として苦渋の選択で設置したものである。なお、電動車いす等を利用の方には一部分一般公道を通行後、緑道へ合流していただくというご不便をおかけしなければならない現状を説明し、ご理解いただくとともにご協力をお願いしている。
イ 事前に電動車いす等の利用者数を調査していないことについて
 公園管理者の責務として公園利用者の安全を図るのが最も重要であると考え、電動車いす等を利用の方にはご不便をおかけする結果となるが、現時点では、迂回路の利用をお願いするほか手段がないとの考えから、事前の調査は行っていないが、事後調査をでき得る範囲で行っている。
ウ 国土交通省道路局の道路の構造に関する基準について
 道路構造基準の運用指針第2章歩道等の「(2)歩道等の有効幅員」で、歩道及び自転車歩行者道の幅員設定の考え方を下図に示す」の規定において、人は0.75m、自転車は1.00mと図示されているが、これは、あくまで道路に関する基準であり公園施設に適用されるものではない。
エ 地震防災対策との関係について
 地震防災対策特別措置法(平成7年法律第111号。以下「地震防災特措法」という。)では、「避難路は、広域避難地又はこれに準ずる安全な場所へ通ずる幅員15メートル以上の道路又は幅員10メートル以上の緑道であること」と定められているが、堺市では避難路を選定していない。
 庭代台及び御池台の指定避難所(小・中学校)へは防止柵の設置箇所を通ることなく避難することができる。
オ 利用者の不満等として請求人が挙げている事項について
 緑道へのバイク乗り入れによる暴走行為、騒音等により危険を感じていた緑道利用者が安心して利用できるように防止柵を設置したことにより、バイク乗り入れは阻止できたが、電動車いす等の利用者には一部迂回路を、自転車にはいったん停止を、歩行者にも狭いところを通行していただくことになったが、より多くの公園利用者の安全を確保するためやむを得ず設置したもので、ご不便をおかけしている。
 (ア)請求書の「○ その結果どの様な損害が市に生じているか」の項目(以下「請求書の項目」という。)の(1)(2)について
 防止柵の設置により電動車いす等を利用されている方が緑道の一部区間を通行できなくなったが、付近には並行して一般公道(歩道有り)が設置されている。一部分公道を通行していただき、再び緑道に合流する迂回路のご利用をお願いしたいと考えている(庭代台から原山台への距離は緑道では約260m、迂回路では約510m。御池台から庭代台への距離は緑道では約200m、迂回路では約700m)。
 また、設置にあたっての協議等については、各連合自治会と行っている。
 (イ)請求書の項目の(3)について
 電動車いす等の利用者はそれぞれの目的地によって、通行ルートを選択されるものと思われる。
 なお、泉北3号線については土木部の所管であるが、危険度、交通量等を考慮して順次補修をしており、当該道路の歩道については、今年度、栂美木多駅に近い区間において老朽化が著しいところを補修する予定である。
 (ウ)請求書の項目の(5)について
 防止柵の自転車通行部分の幅員は約55cm、最狭部は約23cmである。自転車が平行に近い状態で通行すれば柵に当たらずに通れるが、少しずれたり、傾いた状態で通れば当たる場合がある。この幅を広げるとバイクが通れるようになるので注意をして通行していただきたいと考えている。
 (エ)請求書の項目の(7)について
 雨の日は柵がぬれているので注意して通行していただくか、車いす通行部は幅約83cmあるので、こちらも併せて利用していただきたいと考えている。
オ 結論
 防止柵を設置するにあたり、府福祉条例を無視して施工したものではなく、バイク乗り入れによる騒音、暴走、危険行為等により、緑道利用者が危険を感じ、安心して利用できない状況であり、実際にバイクと自転車、バイクと人との接触事故も平成14年度で14件起こっているとの報告を受けている。また、付近住民の快適な環境を維持するため、やむを得ない苦渋の選択である。緑道利用者の安全を図らなければならないという観点から、公園管理者の責務として設置したものである。
 なお、バイクの進入を阻止でき、かつ電動車いす等が通行できる防止柵について、今後、調査研究を行う。併せてソフト面での乗り入れ規制を関係機関と進めたいと考えている。

第4 監査の結果

1 本件に係る事実

関係書類の調査等により、本件に係る事実については、おおむね次のように認められた。

(1) 防止柵設置の経緯

ア 一般に緑道は、災害時における避難路の確保、都市生活の安全性及び快適性の確保等を図ることを目的として、近隣住区又は近隣住区相互を連絡するように設けられる植樹帯及び歩行者路又は自転車路を主体とする緑地で幅員10から20mを標準として、公園、学校、ショッピングセンター、駅前広場等を相互に結ぶように配置したもので、都市公園法(昭和31年法律第79号)第2条第1項第1号に規定する「公園又は緑地」である。
イ 栂緑道は泉北ニュータウンの栂地区内を縦断する緑道で、昭和58年10月に大阪府から引継ぎを受けたものであるが、地域の人々の生活路、小・中学生の通学路となっているほか、ハイキングやウォーキングなどに利用されている。
ウ しかし、以前から、バイクによる騒音、暴走、危険行為等により安心して通行できないことなどから、乗り入れ規制を求める声が通行者や地元自治会から寄せられていた。
エ 公園管理者である市は、栂緑道へのバイク乗り入れ禁止看板の設置やステッカーを貼付したり、公園・緑地におけるバイク乗り入れ禁止の啓発記事を広報さかいへ掲載することやバイク通行を発見した際には職員が口頭で注意するなどの対応を行ってきた。また、大阪府警察本部長に、「泉北ニュータウン内の緑道への単車乗り入れの規制について」を文書で依頼し(昭和58年1月及び平成元年8月の2回)、泉北警察署長に、バイクの暴走行為の防止についての依頼を含む「泉北ニュータウン内公園、緑地等における青少年非行防止の警察官巡視について」(平成2年1月)及び「泉北ニュータウン内の公園・緑道・緑地内における市民の安全と公共の秩序の維持について」(平成12年10月)を文書による依頼を行ってきた。
オ 堺市公園条例(昭和35年条例第18号)第7条は、指定された場所以外の場所に車両等を乗り入れ、又は止め置くこと(第5号)及び他の公園利用者に危害を及ぼすおそれのある行為をすること(第11号)をしてはならないと規定しているが、これらの違反者に対する罰則規定は設けられていない。
 また、緑道は、道路法(昭和27年法律第180号)第2条及び第3条に規定する道路には該当せず、道路交通法による罰則は適用できない。
カ このような法制度のもとで対策を講じてきたが、バイクの乗り入れが後を絶たない状況であり、電話、来所などで苦情や要望が多く寄せられていた桃山台、三原台、庭代台、新檜尾台、御池台の各校区連合自治会とバイクの進入を防止するための柵の設置について協議を行い、設置の意向がまとまった桃山台、庭代台、御池台の校区連合自治会と設置場所や柵の形質等についてさらに協議を行った結果、平成13年度に桃山台地区に1か所、平成14年度に庭代台地区と御池台地区に各1か所、防止柵を設置した。

(2) 設置工事の施行伺いから工事費の支払いまでの事務について

 本件防止柵の「工事等施行伺」は、平成14年10月22日に泉ヶ丘公園事務所(以下「公園事務所」という。)の山口技術職員が起案し、鶴田管理係長等の決定を経て、同日、堺市事務決裁規則(昭和36年規則第9号。以下「事務決裁規則」という。)第13条第2項の規定に基づき高田所長が決裁を行っている。また、本件伺には建設総務課長の合議の押印がなされている。
 「契約締結伺」は事務決裁規則第12条契約課長専決事項の規定に基づき、平成14年11月14日に契約課長が決裁した後、同年12月5日、9者による「希望制指名競争入札」を行った結果、株式会社道路テックが3,826,200円(消費税及び地方消費税を含む。)で落札し、同年12月9日に契約を締結している。本件工事の監督員は山口技術職員である。
 事務決裁規則第12条総務担当課長共通専決事項第2号及び堺市財務会計規則(昭和57年規則第15号。以下「財務会計規則」という。)第51条第2項の規定に基づき、建設総務課長が前払金1,500,000円の支出命令を行い、平成14年12月26日に支払いがなされている。平成15年2月20日にしゅん工検査による完成の確認後、防止柵等の引き渡しを受けている。契約金額の残金2,326,200円の支出命令を建設総務課長が行い、同年3月7日に支払いがなされている。

(3) 本件防止柵の設置等の状況

 本件防止柵の設置場所は、庭代台と御池台間を結ぶひぐらし橋の南側(御池台2丁、幅員約4.0m)及び原山台と庭代台を結ぶたまむし橋の南側(庭代台2丁、幅員約4.0m)の2か所である。
 防止柵は、主にポール状の車止め柵(地上約33cmに突起をつけたものを含む。)など4種類の柵(御池台では計12基、庭代台では計13基)と半円形のバイク進入抑止柵(各1基)を埋め込んでいる。車止め柵の間隔は約55cmから約23cmであり、バイク進入抑止柵の通行可能幅員は約83cmである。
 なお、関係局職員は、本件防止柵の設置によって校区連合自治会からはバイクの走行が減少していること、泉北警察署からはバイクによるひったくり事件が激減したことを聞いている。また、公園事務所に寄せられたバイク通行に関する苦情等も、平成13年度5件、平成14年度4件、平成15年度(10月31日まで)0件となっている。

2 本件支出に係る判断

(1)住民監査請求は、地方公共団体の行財政の適正な運営の確保を図り、住民全体の利益を擁護する見地から、地方公共団体の執行機関又は職員の違法又は不当な公金の支出、財産の取得・管理・処分、契約の締結・履行、債務その他の義務の負担、公金の賦課・徴収もしくは財産の管理を怠る事実(以下「財務会計行為」という。)について、住民が監査委員に対し当該行為の防止・是正をし、もしくは当該怠る事実を改め、または当該財務会計行為によって地方公共団体が被った損害の補てんのために必要な措置を請求することができる制度である。したがって、本来、住民監査請求の監査の対象となるのは、自治法第242条第1項に規定する違法・不当な財務会計行為そのものについてである。
 請求人は、防止柵設置に係る費用の支出が違法・不当な公金の支出に該当するとして監査を請求しているが、その理由としては設置工事費の支出行為そのものに違法・不当な点があるというのではなく、防止柵の設置そのものあるいは設置決定の手続きが違法・不当であると述べているものである。すなわち、本件請求は、財務会計行為の前提又は原因となる非財務会計行為(以下「先行行為」という。)の違法性・不当性を主張しているものと考えられる。
 このように先行行為の違法性・不当性を理由として提出された住民監査請求については、住民監査請求制度の趣旨や選挙権を有する者の50分1の以上の連署をもって地方公共団体の事務全般の執行に関して監査を求めることのできる事務監査請求の制度(自治法第75条)との整合性等を考慮して取り扱うべきである。
 また、住民監査請求において、先行行為が違法・不当である場合には直ちに財務会計行為も違法・不当となり、すべてが監査の対象になると解すれば、監査請求によって広く行政一般の可否を問える結果になり、住民監査請求の対象を財務会計行為に限った自治法の趣旨・目的を逸脱することになる。
 このため、先行行為の性質、違法・不当事由の内容と程度、先行行為と財務会計行為の関係等を総合的に考慮し、財務会計行為と直接、一体的な関係がある先行行為については監査の対象となり、先行行為に重大かつ明白な違法性・不当性もしくは瑕疵がある場合には、財務会計行為も違法性・不当性を有するものと解すべきである。(なお、住民監査請求を経て提起される住民訴訟において同趣旨の判決が出されている。例えば、東京都校長退職手当損害賠償請求事件判決(最高裁 昭和61年(行ツ)第133号 平成4年12月15日)、川崎市職員退職手当損害賠償請求事件判決(最高裁 昭和55年(行ツ)第84号 昭和60年9月12日))。
(2)先行行為の違法性・不当性等について
 請求人が、本件支出について違法・不当であるとする理由をおおむね次のように解した。<1>府福祉条例に規定する整備基準に違反すること。<2>高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律(平成12年法律第68号。以下「交通バリアフリー法」という。)に基づいて策定された重点整備地区における移動円滑化のために必要な道路の構造に関する基準(平成12年建設省令第40号。以下「道路の構造に関する基準」という。)に違反すること。<3>避難路としての機能が十分発揮できないこと及び広域避難地への避難路として選定することが不可能になったこと。<4>事前に電動車いす等の利用者数を調査していないこと。<5>工事内容等について、市等から事前の説明がなかったこと。<6>歩行者、自転車の通行にも障害や不便が生じていること。<7>電動車いす等の利用者の行動範囲を狭くしたこと。<8>防止柵付近での警察官の巡回がないこと。<9>代替路となる泉北3号線の事前の点検等がされなかったこと。
 防止柵設置の決定等と設置に係る費用の支出とは、事務手続きが一連性を有し前者が後者の直接の原因ということができ、直接、一体的な関係にあるといえるので、以下、(1)の観点に基づいて、上記の各理由について検討する。
ア 府福祉条例に違反すること(<1>の理由)について
 (ア)請求人は、防止柵の設置そのものが、府福祉条例第10条第2項第4号ロに定める園路の整備基準(園路は、障害者等が通行することができるものとすること。)に違反すると述べている。
 (イ)当該条例の制定趣旨は、福祉のまちづくりに関し府や事業者の責務等を明らかにするとともに、都市施設を安全かつ容易に利用することができるよう整備し、すべての人が自らの意思と責任によって、自分らしい生き方や幸せを追求することができる自立支援型福祉社会の実現に資することにある(条例前文及び第1条)。
 (ウ)また、府福祉条例第10条第1項は、「事業者は、都市施設を当該整備基準に適合させるよう努めなければならない」旨を定めており、さらに同項ただし書きで、「規模、構造若しくは利用の目的、地形若しくは敷地の状況、沿道の利用の状況、事業者の負担の程度等により、整備基準に適合させることが困難である場合にあっては、この限りでない」と規定している。
 (エ)防止柵の設置について、「バイクの集団での暴走行為により危険な状況に遭った車いす利用の人の訴えや騒音による睡眠の妨害被害を訴える付近住民の強い声があり、安全を確保し、快適な環境を維持することが最重要であると判断したが、一定以上の大きさの電動車いすの利用者が通行できなくなるという制約があるもとで、現在採り得る最も適切な方法として苦渋の選択を行ったもので、府福祉条例の趣旨を尊重していないのではない」という関係局職員の陳述は一定の理解ができるものである。
 (オ)さらに、バイク進入抑止柵には固定式や回転式などの種類があるが、故障等のトラブルへの対応、指詰め等の安全性の問題などについて検討されていることが認められる。また、当該柵を通行できる車いすは、全高95cm、全長110cm、全幅66cmで、市販の車いす(ジョイスティック形式の標準形電動車いす等を含む。)はほとんど通行することができるよう設計されている。一方、柵の半径は約90cmで、ハンドル形式の電動車いす(シニアカー等)は回転半径が約110cmから約160cm程度(平成15年3月 国土交通省「交通バリアフリー技術規格調査研究報告書」による。)とされており、通行することができない。
 また、ポール状の車止め柵の最狭部(約23cm)は、自転車の後輪スタンド部分の幅(約20cm)と50cc原動機付き自転車の足乗せ部分の幅(約40cm)を考慮し、自転車は通過できるがバイクは通過できないようにしたものである。
 本件防止柵の設置によって、バイクの走行に関して公園事務所に寄せられた苦情件数等が減少しており、また、関係局職員が聴取した校区連合自治会や泉北警察署の話を総合すれば、バイク通行が減り、ひったくり事件が大きく減少したなどの効果もみられる。
 (カ)栂緑道が整備基準の規定する公園に該当し、出入口、園路を障害者等が通行することができるものとすること(府福祉条例第10条第2項第4号イ及びロ)とする規定の適用を受けるものである。しかし、これは、訓示的な努力義務を課した規定にとどまっているものである。また、前記(エ)及び(オ)で記載したとおり、安全の確保と快適な環境の維持という目的のために防止柵を設置したものであり、迂回路があることなどの利用目的・実態、沿道の利用状況等から「整備基準に適合させることが困難である場合」に該当するものと考えられる。
 (キ)したがって、防止柵を設置することが、府福祉条例の趣旨や規定に反するものではない。
イ 道路の構造に関する基準に違反すること(<2>の理由)について
 (ア)請求人は、交通バリアフリー法に基づいて策定された道路の構造に関する基準によれば、人の通行時の幅は70から75cm、自転車通行時の幅は100cmとなっているが、ポール状の車止め柵の間隔はその数値未満であり、当該基準に違反していると述べている。
 (イ)道路の構造に関する基準に基づき具体的な整備の考え方を示した「道路の移動円滑化整備ガイドライン」の「第1部基本的理念 第2章基本的理念」の項目において、道路利用者の基本的な寸法として、人(成人男子、荷物等なし)の通行時の幅70から75cm、自転車100cm、車いす・シルバーカー100cmなどが示され、さらに具体的には、「第2部道路構造基準の運用指針 第2章歩道等」の項目において、歩道及び自転車歩行車道の幅員設定の考え方として人0.75m、車いす1.00m、自転車1.00mと図示されている。
 (ウ)しかし、道路の構造に関する基準は、交通バリアフリー法第10条第2項の規定に基づく重点整備地区における基準を定めたものであり、歩道等の幅員設定の考え方は、交通バリアフリー法第2条第7項第2号の特定経路(駅・バスターミナル等と官公庁・福祉施設等との間の経路)を構成する「道路」に設ける歩道等をいうのであって、栂緑道のような公園又は緑地に直ちに適用されるものではない。
 (エ)したがって、請求人の「防止柵の設置が道路の構造に関する基準に違反する」という主張は、当該基準の適用解釈を誤ったものである。
ウ 避難路としての機能の低下、選定の不可(<3>の理由)について
 (ア)請求人は、防止柵の設置により避難路としての機能を十分発揮することができず、広域避難地への避難路としての選定ができなくなったと述べている。
 (イ)請求人のいう地震防災特措法には避難路について、おおむね次のような規定がある。
 都道府県知事は、関係市町村長の意見を聴いて地震防災緊急事業五箇年計画(以下「五箇年計画」という。)を作成することができる(第2条第1項、第2項)。
 避難路の整備等については、主務大臣の定める基準に適合するもの(地震防災対策特別措置法第3条第1項の規定に基づき、避難地等に係る主務大臣が定める基準(平成8年建設省告示第1029号)の「2 避難路」の規定により当該適合する基準は、広域避難地又はこれに準ずる安全な場所へ通ずる幅員15m以上の道路又は幅員10m以上の緑道であることと規定されている。)に関する事項について定めるものとするとされている(第3条第1項第2号)。
 また、五箇年計画のうち、市町村が実施する事業は当該市町村の地域防災計画に定められたものでなければならない(第3条第2項)。
 大阪府においても、第1次(平成8から12年度)及び第2次(平成13から17年度)の五箇年計画が作成されている。
 (ウ)堺市地域防災計画(平成15年版)(以下「市防災計画」という。)には、「避難路を選定し、住民に周知するとともに施設の整備に努める」と記載されているが、避難路の選定は行われていない。また、同計画は、「市は、府と協力して五箇年計画に定める事業について推進を図る」とされており、4件の街路事業が避難のために活用できるよう整備が行われているが、栂緑道の整備等の事業は挙げられていない。
 (エ)防止柵の設置により、電動車いす等の利用者が避難路として活用できる機能は制限されることになるが、避難路は市が、落下物、倒壊物による危険性など、周辺環境等を総合的に判断して選定するものであり、現時点において請求人が述べるような「栂緑道が避難路として選定できなくなった」という事実は認められない。
 (オ)また、広域避難地ないし避難所へは、迂回路等を利用することにより、防止柵の設置箇所を通らずに避難できるものである。
 (カ)したがって、避難路としての整備及び市防災計画に基づく避難路の選定という観点から、防止柵の設置について重大かつ明白な違法性・不当性又は瑕疵があるものとはいえない。
エ 事前に、電動車いす等の利用者数を調査していないこと(<4>の理由)及び市等からの説明がなかったこと(<5>の理由)について
 (ア)請求人は、防止柵設置決定の前に原山台、庭代台、御池台の各校区で電動車いす等を何人が利用しているかを調査していないし、市等から工事内容等について事前説明がなかったと述べている。
 (イ)関係局職員の陳述において、事前に電動車いす等の利用者数を調査していないことが確認された。また、事前の説明については、「当初、桃山台、三原台、庭代台、新檜尾台、御池台の各校区連合自治会と設置について協議した。平成14年度においては、自治会としての意向がまとまった庭代台、御池台の校区連合自治会と設置場所及び製品等について協議を行い、その際に一部の電動車いす等は通行できないこと及び迂回路について説明している。しかし、障害者団体、老人クラブへの説明は行っていない」という主旨を述べている。
 (ウ)電動車いす等の利用実態・利用者数の調査・把握に努めることや事前の説明を行うことは、特に本件のようなハンディキャップを有する人達に負担を強いる結果となるような場合において必要なことであり、これらのことを十分に行わなかった点は、適切な配慮に欠けていたといわざるを得ない。
 (エ)他方、「公園管理者の責務として公園利用者の安全を図ることが最も重要であり、ソフト面での規制効果に限度があるなかで、本件防止柵を設置することが現時点で採り得る最善の方法であった」という関係局職員の判断は首肯でき、安全の確保を最優先せざるを得なかったという事情も理解できる。
 (オ)これらのことから、事前に電動車いす等の利用者の実態を把握していないことや十分な内容説明が行われていないことについて、事業実施の手続きとして直ちに重大かつ明白な違法性・不当性又は瑕疵があるとはいえないと考える。
オ 歩行者、自転車の通行障害等(<6>の理由)について
 (ア)請求人は、車輪が防止柵に当たったり、雨の日に柵のぬれが衣服に付着するなど、自転車や歩行者も通行しにくいと述べている。
 (イ)自転車が通行できる柵間の距離は約55cm(最狭部分は約23cm)あり、自転車をポール状の車止めと平行に近い状態にすると車輪軸ナットのキャップも柵に当たらずに通過できる設計になっている。この柵間の幅を広げるとバイクも通過できることになってしまう。
 (ウ)半円形のバイク進入抑止柵は幅が約83cmあり、これを利用することによって、歩行者はある程度余裕を持って通過することができる。
 (エ)これらのことから、柵の幅員は、緑道の安全を確保するためにバイクの通過を阻み、一方で自転車、歩行者が通過できるように設定したものであり、防止柵設置について、重大かつ明白な違法性・不当性又は瑕疵はないと考える。
カ その他の理由(<7>、<8>、<9>の理由)について
 請求人は、防止柵の設置により、電動車いす等の利用者の行動範囲を狭めたと述べているが、具体的な事実の証拠が提示されておらず、理由としては採用できない。
 また、請求人は、防止柵付近での警察官の巡回がない、事前に泉北3号線の歩道の状況を点検等すべきであったと述べている。これらは、いずれも、本件防止柵設置に関しての要望や指摘の類であって、違法・不当等の理由には該当しないものと考える。
(3)防止柵設置工事費の支出手続き等について
 防止柵設置工事費に係る支出の状況は、前記「1 本件に係る事実の(2)」のとおりであり、その契約及び支出に関する手続きについて、関係書類を調査した結果、財務会計規則等の財務関係規定に基づき適正に行われており、違法又は不当な点は認められなかった。
 なお、住民監査請求の対象者としての職員とは、請求の対象が財務会計行為に限られていることから、財務会計行為を行う権限を法令上有する者及びその権限の委任を受けた者と解される。高田信夫泉ヶ丘公園事務所所長、鶴田辰義管理係長、山口利英技術職員は、防止柵設置工事の決定等に直接にかかわっているが、契約、支出命令等の財務会計行為の権限は有しておらず、本件住民監査請求の対象となる職員には該当しない。
(4)結論
 以上のことを総合的に検討すると、防止柵の設置が違法又は不当であるとする請求人の主張理由はいずれも、財務会計行為の違法性又は不当性に直接結びつくような重大かつ明白な違法性・不当性又は瑕疵に該当するものとは認められず、請求人の主張には理由がないものと考える。また、財務会計行為である防止柵設置工事の支出については適正に行われていたものであり、市に損害は生じていない。
 したがって、防止柵設置工事費相当額の損害の補てん並びに防止柵の撤去及びその費用相当額の負担を求める請求人の主張には理由がないものと判断する。

付言

 本件監査の結果は結論のとおり、請求人の主張に理由はないものと判断したが、本件に係る事業については、より効果的で住民の理解を得られる方法・手段等について、ソフト、ハードの両面から、今後さらに調査、検討を重ねられることを要望する。なお、今後のまちづくりに関して、本件のような住民間に矛盾を生じるおそれのある事務事業においては、行政と住民の協働によって問題解決を図る方法を検討するなど、地域住民参画による行政手法の推進に留意されたい。
 また、バリアフリーやユニバーサルデザインのまちづくりを進める本市として、縦割り行政に陥ることなく、関係する部課(所)等との連携・調整を密にすることにより、全市、全庁的な視点をもって事務事業を推進されたい。

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