堺をおもえば…旭堂南陵さん 思い出の場所と店
更新日:2018年1月16日
旭堂南陵さんとめぐる、あの名店と名所へようこそ
阪堺線妙国寺電停前にある和菓子の[曽呂利]は昭和25年(1950)創業。先代の家が豊臣秀吉のお伽衆の一人で、とんちの才で名を馳せた曽呂利新左衛門の屋敷跡にあったことから[曽呂利]という屋号にした。
「大鏡」はここの名物で、薄い「三笠のような」皮で白餡をくるんだ品のいい甘さの和菓子。
2代目の日下光由社長は進取の気風に富んでいて、フランス・エシレのバターに和三盆を合わせた「和三盆クッキー」や、クッキーの皮にチーズが入った「蘇」など素材にこだわった新商品を開発。「そロール」というヒット商品も生んでいる。どれも上品なおいしさだ。
曽呂利
http://sorori.co.jp/regular.html
堺東駅前の商店街にある[モナミ]は先代が今川焼屋さんとして開店。昭和37年 (1962)に喫茶店に転業した。今は2代目で、南陵さんの中学時代の同級生のお兄さん、上田明次さんがご夫婦で店を切り盛りしている。自慢のネルドリップのコーヒーは香りが高く、まろやかだ。サンドイッチやホットケーキ、大きなパフェも評判の古き良き喫茶店である。
モナミ
住所:堺区北瓦町2-1-1
TEL:072-229-8574
営業:7時~22時
定休:なし
南陵さんが「西野康雄くん」だった泉陽高時代に体育を教えた花岡誠治先生は「おたび寄席」の常連。
「私が西野を教えたのは25歳ぐらいのときだから、もう50年前です。4年前にちょうど『おたび寄席』をやっているときに通りかかりましてね。そーっと入ったら、西野がすぐに気がついて高座で『恩師が見に来てくれた』と言ってくれたんですよ。それから、友達も誘って、毎月通うようになりました。
高校時代の西野は真面目で成績もよくて、クラスではリーダー役でがんばっていました。今、活躍していることは本当に嬉しいですね」
[奥野晴明堂]は享保元年(1716)創業と、今年で300年になる老舗線香店。
現在の代表者、奥野圭作さんは八代目沈香屋久次郎になる。八代目の渾身の作「香翠」、可愛い絵を描いた小さな桐箱入りの「利休」などのほか、プール学院短大と組んだ「やまとなでし香プロジェクト」で女子大生が好きな匂いのお香を作ったり、さまざまな新作を開発している。
[奥野晴明堂]は約170の企業や商店が参加している「大小路界隈『夢』倶楽部」の中心で、「おたび寄席」が開かれている[奥野晴明堂ホール]も知人に頼まれて購入したビルを地域活性化のために提供している。文化活動にも理解がある地元の老舗なのである。
奥野晴明堂
阪堺線神明町電停前にある包丁の名店[堺刀司・和泉利器製作所]は文化2年(1805)創業で、築290年の木造の建物から始まった。現在は隣のビルが本社で、キッチンや包丁研ぎを学ぶための施設も併せ持つ。
ここの包丁は帝国ホテルの名シェフ、故・村上信夫さんの評価も高く、日本のみならず、アラン・シャペル、ジョエル・ロビュション、スペインの伝説の名店[エル・ブジ]のフェラン・アドリアとヨーロッパの名だたるシェフたちが愛用。それどころか、ここまで包丁の使い方や研ぎ方を学びに来たという!
7代目の信田(しのだ)圭造社長は「もっと堺の刃物を知ってもらいたいと、本社の隣に[堺刀司資料館]を建設中です。まもなくオープンするのでたくさんの方に見に来てもらいたいですね」と語る。
堺刃司・和泉利器製作所
熊野小学校の前にある[河合酒店]の河合忠克社長は南陵さんと幼稚園から中学校まで一緒だった竹馬の友。「子どもの頃はおとなしい子だったような気がします。その頃より、10年ぐらい前に『おたび寄席』を手伝うようになってからのほうが仲良いですね」
今は堺で復活した酒造りにも夢中。出来上がった「千利休」をイチ押しで販売している。「長年酒を売ってきたけど、造るところから参加できるようになって面白くてしょうがないんですわ」
河合酒店
住所:堺区市之町東6-2-6
TEL:072-232-6163
営業:8時30分~19時
定休:日曜・祝日
かつて堺は100を越す酒蔵があり、灘や伏見と並ぶ銘酒の産地だったが、1971年に全ての蔵がなくなった。それが44年ぶりに堺東駅近くの元料亭を利用した日本一小さな酒蔵として[堺泉酒造・利休蔵]が復活し、2015年3月に「千利休」という日本酒を造り上げた。
これを実現したのが西條裕三社長。河内長野出身で小学4年生から堺で育ったが、20代後半で河内長野に帰って家業の酒蔵を継ぎ、「天野酒(あまのざけ)」という銘酒を造った。だが、12年前に脳梗塞で倒れて引退を余儀なくされ、堺に戻る。
「後遺症で言葉も満足に喋れなかった10年前に[奥野晴明堂]の奥野さんが『西條さん、もう一遍、堺の酒を造ろうよ』と資金を集めてくれて、『夢衆』という酒を造った。でも、堺の酒蔵のものではない。2年半前にようやく酒造免許を譲ってもらえて、杜氏の泉勇之介さんが来てくれて、今の場所を紹介してもらえて、みんなの協力で『千利休』ができたんです」
三木市の山田錦を使った「千利休」は爽やかな香りでフルーティな飲み口で、着実にファンを増やしている。
堺泉酒造
http://www.sakai-tcb.or.jp/souvenir/etc/e38.html
堺山之口商店街の[ギャラリーいろはに]は、南陵さんの泉陽高校の同級生、北野勝さんの実家が経営する[北野洋品店]だったのを快活な奥さまの庸子さんが1999年にギャラリーにした。中には70年前の防空壕があって、頼めばいつでも見せてくれる。
「戦争のことって視界から消えると、意識からも消えてしまうと思うんです。だから、私はここを見せて、戦争のことを語り継いでいきたいです」
奥の部屋は中庭が見えるステキな洋風の造りなので、そちらもお見逃しなく。
ギャラリーいろはに
https://akaci517.wixsite.com/gallery-irohani/
阪堺線宿院電停に近い[たこ吉]は昭和48年(1973)創業。
ご主人の住吉昭一さんは27歳のときに辻調理師専門学校で学び、煮物が好きだったのでおでんに狙いを定めて日本中を食べ歩き、あえてチクワやハンペンから離れ、よそでは考えられない素材を5種類の出汁で煮込むオリジナルで勝負することにした。これが素晴らしく美味しい! おでんというより、ご主人の言う通り“懐石煮物鍋”だ。「煮物には作る人の人生出ますよ」という言葉も深い。
営業は月・火・金・土の4日で、メニューはお任せコースのみ、18時~19時に入店必須と聞くと怖いご主人がいるのかと思うが、これは大病をした74歳の住吉さんと80歳の奥さまだけでやっているから。ご夫婦ともに限りなく優しい。1カ月先まで予約がいっぱいの人気店なのもうなずける。
たこ吉
住所:堺区中之町東2-1-26
TEL:072-228-2977
営業:18時~19時に入店、1回転のみ
定休:水・木・日曜・祝日
南海本線堺駅の高架下にある[明治色(めじろ)亭]は昭和63年(1988)創業。店内には数え切れないぐらいのアンティーク時計が飾られ、1950~60年代のオールディーズがかかっている風変わりなお好み焼きと明石焼きのお店だ。しかし、味は繊細にして美味。
店主の塩田克司さんは南陵さんの泉陽高校時代の同級生。「高校時代はみんなトンガッていたけど、同窓生の結婚式で西野が司会をやったときに店をやっているって名刺を渡したら、それからフラッと来てくれるようになったんです。昔よりええ男になってきたな」
お店はお嬢さんが主力で切り盛りしておられて、塩田さんもひと安心だ。
明治色亭
住所:堺区栄橋町1丁10-1 ショップ南海堺
TEL:072-228-2810
営業:11時30分~22時
定休:火曜・第1月曜
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