第3章 人口ビジョン
更新日:2016年3月24日
1.人口動向
(1)人口(堺市)
1.人口の推移
本市の人口は、1957年の臨海工業地帯の造成や1965年の泉北ニュータウンの開発をきっかけに人口が急増し、1980年には80万人を突破しました。その後、人口は横ばいからゆるやかな減少傾向で推移し、2000年には80万人を少し割り込みましたが、2005年、南河内郡美原町との合併などにより、人口は再び80万人台となり、2012年6月の842,988人をピークにゆるやかな減少傾向となっています。
2.年齢3区分別人口の推移
65歳以上人口は年々増加し、2000年に年少人口を上回り、その後も増加傾向にあります。生産年齢人口は、1990年をピークに減少傾向に転じ、その後も減少傾向で推移しています。年少人口は、1980年をピークに減少に転じ、2000年には65歳以上人口よりも少なくなりましたが、それ以降は横ばいで推移しています。
3.年齢3区分別人口割合の推移
65歳以上人口の人口全体に占める割合は増加傾向にあり、2015年には26.3%となっています。
生産年齢人口の人口全体に占める割合は、1995年の73.1%をピークに減少傾向となり、2015年には60.1%となっています。
年少人口の人口全体に占める割合は、1975年の27.4%をピークに減少傾向となり、2015年には13.6%となっています。
4.高齢化率の推移
本市の高齢化率は、1970年から2005年まで全国、大阪府よりも低い水準で推移していましたが、2010年以降は全国、大阪府とほぼ同水準で推移しています。
(2)自然増減(堺市)
1.自然増減の推移
本市の自然増減は、2010年までは、出生数が死亡数を上回る自然増の傾向で推移してきました。
特に、1955年から、臨海工業地帯の造成、泉北ニュータウンの開発、第2次ベビーブームなどの要因により出生数は急激に増加しましたが、その後、1975年をピークに減少に転じ、2011年からは死亡数が出生数を上回る自然減となっています。
2.出生数と合計特殊出生率の推移
出生数は、1975年から減少傾向が続き、2010年に微増に転じたものの、2011年以降からは再び微減傾向となっています。
合計特殊出生率についても、1975年から減少傾向が続いていましたが、2010年から回復基調となり、全国平均とほぼ同水準で推移しています。
(3)社会増減(堺市)
1.社会増減の推移
本市の転入数は、1970年をピークに減少に転じ、その後1990年から2000年までは増加しましたが、2010年以降は、ほぼ横ばいで推移しています。
また、転出数は1975年をピークに減少傾向となり、その後1995年から2000年までは増加しましたが、2010年以降は、ほぼ横ばいで推移しています。
本市の社会増減は、1965年の15,811人の社会増をピークに減少に転じ、1980年には社会減となり、1990年に8,223人の社会減のピークを迎えましたが、その後、社会減傾向は回復し、2005年には均衡状態になりました。その後も均衡状態が続いていましたが、2013年からは、わずかな社会減となっています。
2.地方別の転出入状況の推移
(単位:人)
北海道東北地方 | 関東地方 | 中部地方 | |||||||
2013年 | 2014年 | 2015年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | |
転入 |
355 | 366 | 341 | 2,247 | 2,156 | 2,238 | 1,184 | 1,129 | 1,204 |
転出 | 367 | 376 | 395 | 3,073 | 3,152 | 3,359 | 1,256 | 1,223 | 1,280 |
転入超過 | ▲12 | ▲10 | ▲54 | ▲826 | ▲996 | ▲1,121 | ▲72 | ▲94 | ▲76 |
近畿地方 | 中国地方 | 四国地方 | |||||||
2013年 | 2014年 | 2015年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | |
転入 |
17,180 | 17,192 | 17,689 | 739 | 741 | 857 | 535 | 504 | 549 |
転出 |
17,568 | 17,426 | 18,103 | 671 | 680 | 820 | 460 | 459 | 466 |
転入超過 |
▲ 388 | ▲ 234 | ▲ 414 | 68 | 61 | 37 | 75 | 45 | 83 |
九州沖縄地方 | |||||||||
2013年 | 2014年 | 2015年 | |||||||
転入 |
1,146 | 959 | 1,092 | ||||||
転出 |
968 | 1,009 | 1,100 | ||||||
転入超過 |
178 | ▲ 50 | ▲ 8 |
転出入の全体の約7割が近畿地方であり、そのなかでも大阪市、泉州地域、南河内地域に対する転出入が多くなっています。また、過去3年間の推移を見ると、中国地方、四国地方に対しては転入超過、北海道東北地方、関東地方、中部地方、近畿地方に対しては転出超過の傾向で推移しており、主に近畿地方よりも西の地方からの転入傾向が見られます。九州沖縄地方に対しては、過去3年間で転入超過から転出超過に転じています。
3.周辺自治体との移動状況(2015年)
2015年の周辺自治体との移動状況は、大阪市に対する転出、転入数が最も多く、次いで泉州地域、南河内地域が多くなっています。
また、大阪府内での転出入の状況は、泉州地域、南河内地域、東部大阪地域から転入超過となっている一方で、大阪市、北大阪地域には転出超過となっています。
2.産業の動向
(1)産業大分類別従業者数の男女別割合(堺市)
産業大分類別の従業者数の男女別割合は、「医療、福祉」・「金融業、保険業」・「宿泊業、飲食サービス業」などは女性の割合が高く、全産業における女性従業者数の割合を大きく上回っています。
(2)人口1人当たり製造品出荷額等(政令指定都市比較)
2013年の人口1人当たり製造品出荷額等は、20政令指定都市中で第1位となっています。
3.都市環境の動向
(1)昼夜間人口の推移(堺市)
昼夜間人口は、常住人口、昼間人口とも1985年までは増加傾向で推移し、その後、ゆるやかな減少傾向となりましたが、常住人口は2005年、昼間人口は2000年から再び増加傾向に転じています。
また、昼夜間人口比率は、1995年までは減少傾向で推移していましたが、2000年から増加傾向に転じ、2010年には94.3%になっています。
(2)観光ビジター数の推移(堺市)
観光ビジター数(観光目的で堺市を訪れた市民以外の人)は、2012年度に一度減少したものの、増加傾向で推移しています。
(3)通行量の推移
1.堺東駅前(堺銀座商店街東入口)
堺東駅前(堺銀座商店街東入口)の通行量は、1991年以降、平日は減少傾向にありましたが、2012年では増加に転じています。休日は2000年まではおおむね減少傾向で推移し、その後は横ばいになっています。
また、1997年までの通行量は、休日が平日を上回っていましたが、2000年以降は、平日が休日を上回っています。
2.山之口商店街(開口神社西側)
山之口商店街(開口神社西側)の通行量は、平日は1994年以降減少傾向にあり、
2009年には増加しましたが、2012年には再び減少に転じています。休日は、1991年から減少傾向となり、1997年以降は横ばいの状態でしたが、2012年には減少しています。
また、平日と休日の通行量は、1991年を除き、平日が休日を上回っています。
4.人口展望
(1)今後の人口推移
本市は、平成23年3月に策定した堺市マスタープランで独自の将来人口の推計を行い、「堺・3つの挑戦」をはじめとする取組を着実に推進してきました。その結果、本市の人口は将来推計人口(中位)を上回るペースで推移しています。
現在、本市はゆるやかな人口減少局面に入っており、今後とも現状のまま推移※すると仮定した場合、全国や大阪府よりも減少傾向は比較的ゆるやかですが、2040年には72.0万人まで減少すると推計しています。また、2040年の年少人口(0~14歳)は8.6万人、生産年齢人口(15~ 64歳)は39.3万人まで減少し、65歳以上人口は24.2万人まで増加すると推計しています。
※本市の出生率1.43(2013年)が今後とも継続し、社会減となった2013年と2014年の傾向が今後も続くと仮定して推計
(2)人口の将来展望
本市の人口は、2012年6月からゆるやかな減少傾向となっており、今後とも現状のまま推移すると高齢化による後継者不足など産業の担い手の減少が生じ、経済規模を縮小させるおそれがあります。
このようななかで、市民・まち・産業が元気な堺を実現するためには、市民、企業、行政が一体となり、本市が有する豊富な歴史・文化資源や自由の遺伝子を受け継ぐ市民力、ものづくり産業の集積などの本市の強みを活かすことやあらゆる人が活躍し、いきいきと暮らすことができる社会を構築することが重要です。
そのため、本市では次の視点から将来の人口を展望します。
1.「住み続けたいまち」の実現
本市の社会増減は、2005年から均衡状態にありましたが、2013年からわずかに社会減の傾向となっています。
本市の周辺自治体との移動状況を見ると、泉州地域、南河内地域などからは転入超過となっており、これらの地域からの人口の受け皿となっている一方で、東京都や大阪市などの都市部に対しては転出超過となっています。地域経済分析システム(RESAS)では、本市の20歳代から50歳代の現役の働き手の都市部への転出が多いと示されていることから、雇用機会を求めて移動していると推測され、これらの世代の定住を促進するためには、本市における雇用の創出が重要となります。
また本市の平成25年度市民意識調査では、30歳代と40歳代の定住意向と雇用の確保との間に比較的高い相関関係が見られることから、本市の強みであるものづくり産業をはじめとした製造業を中心として、女性の就業率の高い医療・福祉分野などの成長分野の振興により、雇用の創出を促進し、職住近接のまちづくりを進めることが、多くの人々が堺に住み続けることにつながります。
あわせて、「魅力」や「愛着」の実感は定住意向との相関関係が最も高いことから、さらなるまちの魅力の向上による定住の促進や賑わいを創出し、まちへの投資を誘導することで、産業の振興や雇用創出につながることが見込まれます。
これらの取組を通じて、本市では社会増減の均衡に向け、堺に住む人々がこれからも堺に「住み続けたい」と思えるまちの実現をめざします。
2.「安心して子どもを産み育てられる環境」の実現
本市では、これまで妊娠から出産、子育てまでの切れ目のない施策を進めてきました。このことにより、本市の合計特殊出生率は、2013年時点で1.43まで回復しています。
日本創成会議・人口減少問題検討分科会が平成26年5月に提言を行ったストップ少子化・地方元気戦略では、結婚の希望や理想の子ども数など国民の希望が叶った場合の出生率を1.8と想定しており、国のまち・ひと・しごと創生長期ビジョンでも、2030年に合計特殊出生率が1.8になると仮定して将来人口の推計を行っています。
国立社会保障・人口問題研究所が行った第14回出生動向基本調査(2010年)では、「理想の子ども数を持たない最も大きな理由」に経済的事情があげられています。また、内閣府の平成26年度少子化の状況および少子化への対処施策の概況(少子化社会対策白書)では、夫の休日の家事・育児時間と第2子以降の出生割合には正の関係性がみられることが示され、平成27年3月に策定された内閣府の少子化社会対策大綱では、長時間労働などにより男性の家事・育児への参画が少ないことを少子化の原因の一つとしてあげています。
そのため、これまで進めてきた子育てに関する取組をより一層推進するとともに、雇用の創出による若者の経済的な安定、ワーク・ライフ・バランスの実現や男性の育児参画などの働き方改革を進めることも必要です。
これらのことをふまえ、「子育てのまち堺」を推進するとともに、雇用の創出や働き方に関する取組を一体的に進めることで、安心して子どもを産み育てられる環境の実現をめざします。
人口展望にあたっては、「住み続けたいまち」の実現に向けた取組を推進することにより、現在の社会減の傾向を均衡状態とすることで、本市の2040年の人口は、将来推計人口から1.1万人増加する推計パターン(1)の73.1万人になると見込まれます。
あわせて、「安心して子どもを産み育てられる環境」の実現に向けた取組を推進することで、若い世代の結婚・子育てに関する希望が実現されたならば、本市の人口はさらに増加し、推計パターン(2)の76.3万人に近づきます。
■将来推計人口
本市の出生率1.43(2013年)が今後とも継続し、社会減となった2013年と2014年の傾向が今後も続くと仮定して推計。
■推計パターン(1)
本市の出生率1.43(2013年)が今後とも継続し、社会増減を0と仮定して推計。
■推計パターン(2)
若い世代の結婚・子育てに関する希望が実現された場合の国の将来展望での出生率の仮定(2020年に1.6程度、2030年に1.8程度、2040年に人口置換水準である2.07)を用いるとともに、社会増減を0と仮定して推計。
【参考:国の将来推計人口】
国立社会保障・人口問題研究所の推計(出生中位・死亡中位)によると、国の総人口は今後も減少を続け、2040年の総人口は2010年の総人口より16.2%減少する107.3百万人になると推計しています。
【参考:大阪府の将来推計人口】
大阪府の人口も国と同様今後とも減少傾向が続き、2040年には2010年の人口より15.4%減少する750万人になると推計しています。
本市の2040年の推計人口は、2010年の人口から14.5%減少すると予測しており、国や大阪府よりも比較的ゆるやかな減少となっています。
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