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第3回堺市南海高野線連続立体交差事業鉄道構造形式検討委員会 会議録

更新日:2016年5月30日

日時

平成28年3月23日(水曜)15:00~16:45

場所

堺市役所 本館 地下1階 職員会館 多目的室

出席者

委員

澤田委員長、鍬田委員長代理、岩田委員、竹村委員、室野委員

関係者

南海電気鉄道株式会社鉄道営業本部統括部 中村部長ほか
公益財団法人鉄道総合技術研究所 坂井副主任研究員

事務局

高砂道路部長、濱野連続立体推進課長ほか

傍聴

5人

議事

(1)地質調査について
  ・南ラインにおける地質分析状況
(2)鉄道構造形式の検討について
  ・ラーメン高架橋形式における検討状況
(3)その他

資料

議事内容

1.開会

事務局

 定刻になりましたので、ただいまから第3回堺市南海高野線連続立体交差事業鉄道構造形式検討委員会を開催いたします。
 私は、本日の司会進行を務めます堺市建設局道路部連続立体推進課の金田です。本委員会の事務局は、堺市道路部連続立体推進課が行います。
 開会にあたり、堺市建設局道路部長の高砂よりご挨拶を申し上げます。

高砂道路部長

 皆さんこんにちは。堺市道路部長の高砂でございます。本日は、ご多忙の中、第3回堺市南海高野線連続立体交差事業鉄道構造形式検討委員会にご出席いただき、誠にありがとうございます。年度末の忙しい時期の開催となりましたが、今回第3回の開催にあたりご挨拶申し上げます。
 本市の中心市街地、特に堺東駅前の活性化に向けましては、市役所前の市民交流広場の整備や市役所隣のジョルノビルの再開発事業を進めておりますが、南海高野線連立事業につきましても、踏切事故や交通渋滞の解消のみならず、堺東駅周辺における都心まちづくりの中核事業として大きな役割を果たすものと考えております。
 本委員会は、平成27年1月に第1回目を開催して以来、今日で3回目となります。事業区間に断層が縦断的に近接しているという全国的にも珍しい事例であるため、事業化に向けましてはその影響を踏まえて進めていく必要があり、委員会においても十分にご検討いただいているところでございます。そこで、今日は、前回委員会からの地質分析結果の更新、また南側ラインにおける地質調査の分析状況や鉄道構造形式の検討状況についてご報告させていただきます。
 それでは、委員の皆様には最適な鉄道構造形式の選定に向け、忌憚のないご意見、ご指導を賜りますようお願いいたしまして、簡単でございますが、挨拶とさせていただきます。よろしくお願いします。

事務局

 本日は、澤田委員長、鍬田委員長代理、竹村委員、岩田委員、室野委員の全委員にご出席いただいております。そのほか、関係者といたしまして、南海電気鉄道株式会社鉄道営業本部統括部中村部長を初め統括部の皆様にご出席いただいております。また、公益財団法人鉄道総合技術研究所より坂井副主任研究員にもご出席いただいております。
 本日の議事であります地質調査業務に携わっていただいております財団法人地域地盤環境研究所の皆様です。同じく、鉄道構造形式の検討業務に携わっていただいております阪急設計コンサルタント株式会社の皆様です。
 まず初めに、本委員会の配付資料についてご確認させていただきます。最初に次第です。次に資料1地質調査についてでございます。次に資料2鉄道構造形式の検討についてでございます。最後に、参考資料の委員名簿でございます。以上、不足等ございませんでしょうか。
 それでは、議事に先立ちまして、堺市南海高野線連続立体交差事業鉄道構造形式検討委員会規則第5条の規定に基づき本会議は公開としています。現在5人の方が傍聴に来られておりますことをご報告いたします。傍聴されている方につきましては、お配りしている傍聴における遵守事項を遵守していただきますようお願いいたします。また、会議の記録のため、録音、写真撮影の上議事録を作成いたしますので、ご了承いただきますようお願いします。なお、本会議について、委員定数5人中全員が出席となっており、規則第3条第2項の規定を満足していることをご報告いたします。
 それでは、以後の進行は澤田委員長にお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

2.(1)地質調査について

澤田委員長

 本日は第3回の検討委員会です。今まで地質調査と鉄道の構造形式の検討について進めていただいておりますので、その中間報告という形になるかと思いますけれども、皆様の忌憚のないご意見等よろしくお願いいたします。
 それでは、議事次第に従って進めたいと思います。まず1の地質調査について、事務局説明をお願いします。

事務局

 地質調査について、お手元の資料1、あわせて前のスクリーンをご覧ください。
 第2回の当委員会でご報告しました北ラインのボーリング調査について最終分析結果が出ましたので、更新内容についてご説明いたします。次に、今年度実施しました南ラインにおける地質分析状況を、最後に事業区間における断層位置や変位量の整理状況について説明いたします。
 まず、北ラインにおける地質分析結果の更新について説明いたします。
 ボーリング調査位置について、図の中で黒の破線が南海高野線、赤の破線及び赤色の着色部分が都市圏活断層図における上町断層帯を示しております。ボーリングは、図のように府道大堀堺線に沿ってオレンジ色の点で計5本実施しました。紫色の点が既存ボーリング調査箇所であり、昨年度実施した調査とあわせて、合計9本のボーリングデータで上町断層帯に関する分析を行いました。
 4ページは第2回委員会時における地層対比であり、5ページが最終のものとなります。今回確定した地層については、ピンク色の字で表示しています。
 火山灰は、堆積物の堆積年代を特定する最も有力な鍵層であり、各調査地点のコアに同一の火山灰を見出すことができれば、同時期の地層を識別することができます。主な変更点としては、第2回委員会時では、SK26-2の標高-25m付近及びSK26-5の標高-45m付近で抽出された火山灰を阿多鳥浜火山灰の頭文字をとったAta-Thと記載しておりましたが、さらなる解析の結果、これらの火山灰は甲子園浜3-6だと同定しました。また、SK23-1、3、4の表層付近で検出された火山灰が、鬼界葛原火山灰の頭文字をとったK-Tzであると同定できました。
 こちらが第2回委員会時の対比図面になります。具体的な解析結果を踏まえ、北ラインの対比図面について、第2回委員会時からの主な変更点について説明します。分析データに基づきSK26-5の標高-45m付近のMa11がMa11-2であることがわかりました。そのことにより、黄緑色で示すMa11相当層がより下位まで続くと予想されました。また、SK23-1、3、4の表層付近で検出された火山灰がK-Tzであると特定できたことにより、第2回委員会時では総合的に推測して対比線を引いておりましたが、K-Tzによる対比線の精度が向上しましたので、一部実線での記載にしております。今回のボーリングから推定される撓曲帯の幅について変更はございません。
 南ラインにおける地質分析状況について説明します。
 今年度実施しております南ラインの調査位置について説明します。市役所前の道路、大小路線と堺東駅三国ヶ丘線の道路に沿って実施し、緑色の点が今回実施したボーリング調査位置です。内訳として、南海高野線上で1本、線路を挟んで東側で2本、西側で3本、合計6本実施しました。紫色の点が既存ボーリング調査箇所であり、合計7本のボーリングデータで上町断層帯に関する分析を行っています。地図上には表記できておりませんが、ほかの場所でのボーリング試料についても分析する予定にしています。
 7本のボーリング調査により得られた地層状況を表したものです。図の真ん中あたりが南海高野線の位置となっております。南海高野線の東側、標高-10m以深では、北ラインで見られたような大阪平野で特徴的な海成粘土が確認されております。既存ボーリングであるSK22-05は75mほど掘削しておりますが、東側つまり上盤側で確認されたような海成粘土層は見られませんでした。西側の標高15mでは北ラインでも見られた貝殻群が肉眼でも観察されております。北ラインでは肉眼で火山灰層が確認できましたが、今年度実施した南ラインのボーリング試料からは確認できませんでした。
 SK27-1から6のボーリング柱状図を示していますが、現在青色のDと書いている深度の土試料を珪藻分析、緑色でPと書いている部分の土試料を花粉分析にかけています。珪藻分析では、植物プランクトンの一群である珪藻類が、淡水、海水のどちらにも生息し、水温や塩分濃度などの環境により生息する種が異なるため、珪藻の詳細を確認することで、堆積時の環境を推定することができます。花粉分析では、堆積物中に保存されている花粉、胞子を抽出して、古気候や変遷を解明します。Ma9層の堆積時代が他の海成層の堆積時代に比べて温暖な気候であったため、Ma9層の花粉化石組成は他の海成層に比べて特徴的になっています。
 分析のスケジュールですが、現在潜在火山灰の抽出作業中であり、現時点では有効な火山灰はまだ見出されておりません。引き続き分析作業を続け、抽出された火山灰の詳細分析を行い、5月上旬には結果が出る予定です。珪藻分析については、現在分析中のものは4月上旬に結果が出る予定です。花粉分析については、結果が出ており、右の柱状図で示しております。SK27-1及びSK27-2の標高-10m以深の海成粘土層が同定でき、それぞれMa9及び10であることがわかりました。
 撓曲帯の分布位置の検討は4月末、断層変位量の検討を5月末までに行う予定としております。
 先ほど説明しました花粉分析の結果より、北ラインと同じく、SK27-1及び2の下位の粘土層は、Ma10及びMa9であると同定できました。また、西側の貝殻を含む層は北ラインでも見られた細粒層で、Ma12層であると予想されます。
 以上より、現時点での暫定的な結果としては、東側SK27-1及び2の下位の海成粘土は花粉分析結果からMa10、Ma9と同定されました。北ラインでも確認された西側の貝殻を含む層より、現時点で予想される撓曲帯の位置はSK27-1からSK27-3、SK27-4の間となります。さらなる対比情報が追加されることによって撓曲帯の西端が西側に移動する可能性があると考えています。したがって、撓曲帯の分布は都市圏活断層図で示されている範囲よりも広いと予想されます。都市圏活断層図では、事業区間の北は破線、南は実線であるのに対し、現時点の肉眼観察による地質柱状図断面からは、北ラインと南ラインで大きな違いは見られないと考えています。
 事業区間における断層位置、変位量の整理状況について説明します。
 これは、地震調査研究推進本部が上町断層の長期的な活動評価を行った資料の抜粋です。この長期評価によりますと、上町断層帯の地表の形状は撓曲とされ、断層帯の過去の活動としては上下方向の平均的なずれの速度は約0.4m/千年であることや、1回のずれの量は3m程度で、平均活動間隔は8000年程度とされております。
 この図面は、平成9年に実施した反射法地震探査の断面図です。事業区間の北部、南部における2測線の断面図からもわかるとおり、表層付近の地層は撓曲構造を呈しており、その西端部でより地層の傾斜が急になっていることが読み取れます。なお、北部の断面には現在検討している上町断層とは別の住之江撓曲が見られます。
 当該地域は、反射法地震探査により1キロメートルを超える堆積層が確認されており、このような場合、堆積層基盤の岩盤部分で発生した断層変位は地表に向かって幅広く変形帯を形成し、変位量も減少する傾向にあります。その結果、地表部では幅広く地層が撓んだ構造、撓曲構造を呈します。過去の上町断層に関連した調査及び北ラインの分析結果でも表層付近の地層は撓曲構造を呈しており、その西端部でより地層の傾斜が急になっています。しかしながら、次の断層活動の際にこれまでと同じ様式の変形をするとは限らない。すなわち、どのような断層変形をするのかわからないという、より安全側に立った評価を行う観点から、撓曲変形以外に断層変位のケースも想定します。地表に現れる変形には大きく2種類あり、地表がやわらかい堆積物に覆われている場合に段差ではなく撓みとして現れる撓曲変形と、段差としてあらわれる断層変形があります。想定する変形様式として、まず、これまでの調査結果から得ている一番上の撓曲変形を考えます。断層変形としては、最大のものでは一番下の1回の断層変位がそのまま段差として出現するもの、真ん中の撓曲変形と最大の断層変形の中間的な変形として表層付近で局所的に発生するものが考えられます。以上より、一番下の断層変形は今回の検討過程で考え得る最大変位ですが、過去の調査等から少なくとも100万年の期間で上町断層では確認されておらず、撓曲変形と比較すると蓋然性は低いと言えます。
 まず、断層変位の検討の流れについて説明します。
 断層位置については、事業区間と撓曲帯の分布の位置関係を検討します。断層による変位量は、平均変位量から1回の変位量を算出します。平均変位量は、基準層の変位量を基準層の堆積時期で割ると算出することができます。また1回の変位量は、先ほど算出した平均変位量に活動間隔を掛けると出てきます。撓曲変形による断層変位は、1回の断層変位量を撓曲帯の幅で割り、事業幅を掛けることにより均等配分したものが求められます。ここでは撓曲帯の幅を都市圏活断層図、後ほど説明します上町断層帯における重点的な調査観測の成果、北ラインの調査結果、反射法地震探査結果から検討いたしました。
 右下の図に北ラインにおける撓曲帯の幅の検討例を示しています。都市圏活断層図からは図で示される撓曲帯幅を読み取ります。ボーリング断面では上盤側まで対比されていませんが、北ラインで同定されたK-Tzの対比線を用いました。また、K-Tzの対比線はSK26及び既存調査結果であるSK23を用いていますが、詳しく見ますとSK23はSK26と離隔があり、走向も異なっています。したがって、離隔が大きく走向の異なるSK23-1からSK23-3までを除いた対比線も検討しました。それがこの図の破線部です。撓曲帯の幅に関する解釈としては大きな違いはありません。
 大阪府では、大和川南測線において上町断層の活動性を評価しており、その結果からMa9、6、3、0層の変位量を読み取ります。その層の堆積年代から平均変位速度を割り出し、上町断層の活動間隔を8000年と仮定して1回の変位量を算出しました。表に、昨年度実施した北ラインのK-Tz層で1回の変位量を算出しています。先ほども説明しましたが、K-Tzは上盤側まで対比できていないため、平均変位速度の検討には用いることができず、参考値として記載していますが、大和川南測線で得られた変位量と大きな差は見られませんでした。大和川南測線で見られた1回の最大変位量はMa3層の1.9mということがわかりました。
 都市圏活断層図の赤色の実線は明瞭な地形的証拠から位置が特定できるものに対して引かれており、赤色の破線は浸食や人工的な要因等によって改変されているためその位置が明確には特定できないものについて引かれています。活撓曲が破線から実線に変わるところで、活撓曲の西端が東に入り込んでいる付近は、既存データもあわせて検討しているところです。
 なお、昨年度実施した北ラインのボーリングコアを分析した結果、6ページにある最終の北ラインの対比断面からも推定される撓曲帯は、国土地理院が公表している都市圏活断層図による撓曲帯の幅とは大きく異なることがわかっています。また、北ラインのボーリング結果による活撓曲の西端を示した青の破線は、都市圏活断層図による活撓曲の西端と位置が大きく異なっています。南ラインについては現在検討中ですが、北ラインでも見られた貝殻層群が含まれている細粒層の対比から、ピンク色の破線で推測線を記載しています。ただし、今後の解析結果により変わる可能性はあります。
 この画像は、平成22年から24年度に実施した高精度な航空レーザー測量より得られた地形データを陰影図で表現したものであり、都市圏活断層図と同様に航空写真及びこの図で示されております詳細な地形データに基づく地形判読の結果、上町断層の分布が撓曲帯として示されています。都市圏活断層図よりも撓曲帯の西端はより西側になっていることがわかります。また、事業区間との交差も見られず、都市圏活断層図のような破線部もございません。
 次に撓曲幅の読み取りですが、都市圏活断層図から撓曲帯の幅を地図上から読み取ると、北ラインで160m、狭窄部で80m、南ラインで130mです。
 上町断層重点調査から、撓曲帯の幅を地図上から読み取ると、北ラインで180m、狭窄部で120m、南ラインで190mであることがわかりました。事業区間の北側の大和川測線から撓曲帯の幅を断面から読み取りますと500mであることがわかりました。同様に事業区間の南側の大和川南測線から撓曲帯の幅を断面から読み取ると600mであることがわかりました。
 以上の結果より、大和川南測線から算出した1回の断層変位量である1.9mを均等配分したとき、事業幅を少し広めの20mと仮定しますと、事業区間における変位量は、都市圏活断層図の北ライン、狭窄部、南ラインの順に0.24、0.47、0.29mとなり、これは地形情報から推定される撓曲の変形量になります。同様に最新の地形情報から推定される撓曲変形量は、上町断層重点調査の北ライン、狭い部分、南ラインの順に、0.21、0.32、0.20mになっています。地形情報から推定される撓曲帯の変形量としてはこちらを採用しようと考えています。
 また、ボーリング調査から推定される撓曲変形量として、北ラインのK-Tzを用いると0.12mです。南ラインは現在分析中です。地形から推定される撓曲帯幅とボーリングから推定される幅に差が見られるのは、北ラインのMa12層からもわかるとおり浸食による削り込みの影響が考えられます。反射法地震探査から推定される撓曲変形として、大和川測線で0.08m、大和川南測線で0.06mです。
 最後に、上町断層に関する既存及び今回の調査成果をもとに、調査結果から推定される撓曲変形量を検討しました。参照する撓曲幅により得られる変形量も大きく異なりました。より安全側に立った評価を行う観点から、より変位量が大きくなるような断層変形のケースも想定しました。表層部に局所的な断層変位が発生するケースに関しては、ここでは1回の撓曲変形量を示しており、現在検討途中のものです。最終的には上町断層帯における重点的な調査観測成果及び北ライン、南ラインの分析結果を中心に断層変位量を整理し、それぞれの想定ケースの蓋然性等を考えながら、構造検討に対する考慮すべき断層変位をまとめていきたいと考えています。
 地質調査に関する説明は以上です。

澤田委員長

 それでは、今ご説明の地質調査の内容について、ご質問、ご意見等ございましたらお願いします。

室野委員

 21ページの撓曲帯分布の推定で、今回のボーリングの結果得られた撓曲のラインが示されていて、北側、南側が離散的になって、従来の線よりも西側にあるというのは非常に大きな成果として今回得られたと思います。最終的には南側ラインが5月、6月に確定ができて、その間はまた別の試料を使って分析中であるというお話がありましたが、そこは具体的に線となって示されることになるのですか。

事務局

 今年度南ラインをボーリング5点、既存データ1点の計6点で解析をしています。先ほどご説明した中でも、紫色の点とその右の緑の点、これは市役所の部分でやったボーリングですが、それ以外に市役所で行ったボーリングの調査結果もございます。これからこの辺の解析を進めまして、その結果がある程度出ますと、それも含めた形で、今解析をしている撓曲帯の西端のところ、今ピンクの破線で入れていますが、その辺のところがもう少しわかってくるのかなと考えております。その結果、北ラインと同じぐらい延長したところに来るのかとかが、今後の調査によってある程度明確になってくると考えています。

室野委員

 青のラインとピンクの破線の間は、大体直線的につなげるのでしょうか。

竹村委員

 基本的にそうだと思います。この断層は高角逆断層を想定されていますので、そういう意味では断層の撓曲の一番西のラインは相対的に直線的になると幾何学的には考えているというのがまず1つです。それで根拠をどうするかということですけれども、7ページで、今室野委員がおっしゃっているのは、このラインが北から南まで金太郎飴になっているかということだと思うんですけれども、これがボーリングデータとかで見えるMa12と確定しなくても、この貝殻層の分布を調べていくと、西のほうから出てくるのではないか。東側の東端みたいなものが見えてくるだろう。それがこちら側の撓曲の西端と対応してくるだろうと。幾何学的なラインとその証拠が幾つか出てくれば、つないでも構わないという線が出てくる可能性はあるだろうと思います。

室野委員

 構造物と撓曲の位置関係がかなりわかってくるのではないかということですね。

竹村委員

 はい。ボーリングのデータがどこまでそろってくるかということと、貝化石の情報がどこまでそろうかということを整理していただく。南ラインの調査の過程でやっていくといいのかなと思います。
 都市圏活断層図が事業ラインとクロスしていますので、これは大変な状況だなと思っていましたが、とりあえず西端が事業区間より西に来ているということで、ある程度考えやすくなってきたのかなと。それでも大変だと思いますが。

澤田委員長

 撓曲帯の東側はここには示されていませんが、どの辺に考えたらいいですか。

竹村委員

 ボーリングデータではわかります。地形的には、上町断層重点の図面、22ページで、赤っぽくなっているところに引いてあると思います。これで地形的にも出せているし、これを使いましょうという最近の成果でもあるので、それを使用したほうが地形学的なデータとしても撓曲帯の幅が限定できるだろうという意味で、東側にもデータが出てきているということだと思います。

澤田委員長

 この図で、赤線は都市圏のものではなくて、今回のものですか。

竹村委員

 今回の文部科学省2013という上町断層の重点調査の結果です。

澤田委員長

 今回の結果は、この赤線よりは少し西側に寄っていますね。

竹村委員

 そうです。地形学的な調査でも、空中写真だけを読むのとレーダー測量をやった成果で、少しずつ高度化されて、地形の変換点とかもわかりやすくなっているということだと思います。

澤田委員長

 この図からすると、もう少し西側に寄っていて、こっち側は今のところこのラインぐらいにあるだろうと理解したらいいということですね。

竹村委員

 ボーリングをやると、さらに地下で変形している様子も見えるので、全体としての撓曲の幅が確定されてくるというシナリオだと思います。

澤田委員長

 ただ、事業区間が撓曲帯の中にどっぷり入っていることは間違いないということですね。

岩田委員

 北ラインの調査結果は、さらに詳細な調査をして情報が出てきたところですけれども、前回のものと最終のSK26-2の高さが違います。これは単に標高の精査をしたら、最終の方があっているということでよろしいでしょうか。第2回委員会図だと、SK23-2と比較すると、SK 26-2の方が上にあるのですが。

事務局

 孔口標高の高さが違うというご指摘ですね。

岩田委員

 そうです。情報が更新されて、最終の方が位置としてはあっているという理解でよろしいですか。

事務局

 孔口標高については、最終的に測量情報をいただいて描き直しています。

岩田委員

 最終のほうで良いということですね。

事務局

 最終のほうで正しいです。

岩田委員

 今回、K-Tzでは、直近に近い活動で、1回当たり1.9mという平均活動時期とかを手続き的に逆のようなことをしているような気もします。つまり、8000年で割ったことで1.9mというのを出されていますけれども、全体で見た場合に上町の1回の平均活動の大きさは3mという値が出ているわけです。それとこれの関係の整理が少し必要ではないでしょうか。もちろんどちらも平均活動時期をもとにして見積もっているものなので、どちらがいいということではないとは思うのですが、ここで1回当たりの平均の活動で1.9m動くということについて、3mとの違いというか、どういう状況だからそういうことが起きているのかということがわかれば教えていただけますか。

澤田委員長

 3mというのはどこの値ですか。

岩田委員

 元々が0.4m/1000年という平均活動時期という地震本部の評価で、ずれ量は上下で3mと。だから、1000年で0.4mというのがキーになるのですけれども、これに対して、今回、直近のK-Tzの情報を用いると、このあたりだったら1.9mだったらいいのではないかということを求めてきているのだと思いますが、根拠が違うから値が違うのは当然なのですけれども、大小関係というか、それがちょっと気になります。

事務局

 20ページ、大和川南測線の断層変位量ですが、これは反射法地震探査からMa0からMa9までの各層の高低差といいますか、鉛直方向の差をそれぞれ変位量として出しています。それに各火山灰の層の堆積年代がわかっていますので、そこから平均変位速度を出して、それに対して1回ということで、8倍しているという状況です。上町断層全体の1回のずれ3mというものとは、ここでの反射法地震探査の読み取り方は変わっているのですが、反射法から言うとこういうことで、後ほどボーリング調査結果から見るとこれぐらいだというところもあって、あくまでここでの既存資料や調査結果からはじき出した数字です。

竹村委員

 岩田委員がおっしゃったのは、北の方の反射法地震探査とかはこれと同じことをやっていまして、Ma9やMa6のずれをちゃんと評価をしてやると、この数字が大きくなります。年代は一緒なので、それで割り算をすると平均変位速度0.4m/1000年ぐらいになると。一般的というか、北の方の断面を使って計算するとそういうことになる。1回変位量という言葉がすごく大事なので、そういう評価をして平均変位速度で、1回変位量を求めるときに、ここの8000年というのがきいてくる。これの誤差がどこまであるかがなかなか難しいのですけれども、この数字を出す作業をしていまして、3mと一般的に言われているのは、どちらかというと上町断層の主部のことで、断層帯全体を見れば、最北部の千里丘陵では小さく、大阪市内の上町台地の地域、ここが主部に相当しますが、この部分で変位量が大きく、堺より南側では再び小さくなる傾向があります。断層帯全体の分布パターンは従来から知られているので、それを大和川南測線という堺東の南で同じことをやってみると、これぐらいになります。だから、100万年間見ていてもそれほど変わらないので、北ラインの10万年ぐらいの年数で割ってみた数字もそれぐらいだから、継続性があるだろうということを想定しているということだと思います。

澤田委員長

 8000年という数字の根拠はどこから出ていますか。

竹村委員

 最新の活動と平均活動間隔を決めてやっているはずです。最新のデータは、北の方で地質調査所が決めた数字です。

澤田委員長

 何回ぐらいイベント(1回の地震活動)を同定していますか。

竹村委員

 それはなかなか難しいですね。上町断層の難しいところは、地形にきちんと現れていないずれがあって、それが一番課題になっていることでもあります。だから、先ほど岩田委員がおっしゃったように、くるくる回っている可能性もあります。1回活動間隔を決めたら、変位量が決まる。変位量が決まると、繰り返し間隔が決まる。そういうことをやっている可能性があります。

岩田委員

 それを検証というのか、妥当性を見ているという言い方をしたらいいのか、それこそ再帰的になっている可能性もあるのですが、上町断層帯の長さが30キロメートルとか40キロメートルとかあると、これの経験的な1回のずれ量は3mとか4mなので、それと平均変位速度0.4m/1000年を合わせると、そっちの割り算をすると8000が出てくる。合わせ込んでいるだけなので、澤田委員長のおっしゃっているように、繰り返し間隔がわかっている、イベント(発生時期)がわかっている断層が日本にそんなにあるわけではないので、何回というのはそうだと思います。
 3回か4回かあって、1万±3000であれば、まあそうかなと思うんですが、なかなか前のイベントが出ていない。長さがどれだけ連続性があって、平均的な例えば応力降下量を考えると、この大きさだったら3mぐらいというのとそれが合っている。そこから、平均活動間隔8000とかいうことを評価しているということです。

竹村委員

 この評価の基準を見ると「△」になっています。これは計算で求めた結果がこうなっているということを意味していて、トレンチ(溝状に地面を切り開いて断層を調査する調査手法)とかで繰り返し間隔が何回か決まっている場合にはここが「○」になっていきます。

澤田委員長

 活動間隔8000年というのは、かなりアバウトな数字だと思ってはじいたほうが良いと。全体的にデータが整合できるような値として8000が出ているにすぎないと見たら良いということですね。

鍬田委員長代理

 27ページの想定される変位量について、お話の中では上町断層帯の観測結果と今回のボーリングの北ライン、南ラインを主に考えていくような話であったかと思いますが、それでいきますと、上町断層帯の調査よりも今回のボーリングの調査がどちらかというと長目に出るだろうと。そうすると、変位量としては小さ目で、危険側の評価になるのかなと思います。最終的に南側のラインが出ないと、どうするという判断がつかないだろうと思いますし、今回ボーリングはこの事業で初めて検討された内容だとは思うのですが、それを含めて、今後どちらを考えていく方がいいというようなお考えはあるんでしょうか。

事務局

 27ページのところで、一番上の都市圏活断層図は、国土地理院が出して、世に知られていたはずですが、最近の22年から24年の重点調査があって、そこから大分地形的な情報がわかってきまして、撓曲帯の幅も都市圏活断層図に比べると広がってきているということです。今回、こういった形で地質調査を連続立体交差事業の関係でしまして、実際にこの場所で調査をした結果、地層をつないでみて、現地調査によってわかった内容も一定この場所における資料として、変位量を考えていけたらと思っています。ですので、最新の重点調査の結果と実際にこの場所ということでボーリングをやった調査結果も踏まえて、断層変位に関する検討といいますか、この場所でも状況を整理できればと考えております。

竹村委員

 お願いですけれども、19ページにそれの図面が出ていると思いますが、今鍬田委員長代理がおっしゃったのは、ボーリングをやったら必ずこっちが広くなりますよねというお話で、そのとおりだと思いますけれども、要するにこれは地表面なんです。都市圏活断層図は、こういう地表をしているにもかかわらず、ここだけ撓曲帯幅になっている。それを重点調査はここまで引いています。ですから、地形的なこういう断面をきちんととってみて、都市圏活断層図でもいいが、撓曲帯を決めた図面をまず地表で決めたらどうなるのか、それから、浅いところの地盤調査で時間を決めてやった撓曲の幅はどうなっているのか、本当はこの下にもう1個、反射法地震探査の深いものを入れたらどうなるのかということをやって、今回はここで撓曲帯の幅を使っていますという表現にしておいた方がわかりやすいかなと思います。

鍬田委員長代理

 最新の調査ではなくて、地盤の深さを別に考えるとこうなるという形で、少し幅のあるような変位量でもっておく方がいいということですか。

竹村委員

 考え方をきちんと整理しておいた方がいいということです。この図はいいのですけれども、一部分しか出ていないので、撓曲帯の幅を考えるときの論理構成をきちんとしておいたほうがわかりやすいと思います。

澤田委員長

 都市圏活断層図の幅よりは広いだろうということはボーリングからはっきり言えると思いますが、重点的調査観測結果と比べて、それほど大きな違いはないように見えるので、ここで310と書いてあるのは、うがち過ぎというか、広く見積もり過ぎているかなというイメージもあります。重点的な観測成果は、このあたりは無視できない成果だということはこの結果からも言えるので、そういうふうに考えたほうがいいのではないかと。

竹村委員

 北ラインでやっていたK-Tzは、落ちている側の部分はわかります。上に上がったところはないので、多分下の方のMa9とか10の変形しているゾーンのところまでとった数字ですね。

事務局

 ある程度広い範囲で入っていると思います。

竹村委員

 ですから、10万年前のものと30万年前の変形のものが合わさっている可能性があります。それはおっしゃる通りで、多少広く出ているかもしれません。

室野委員

 南ラインのほうで、上盤側のK-Tz層が仮に出ると、310というのはそれらしい値になってくるという意味ですか。場所やラインが違うから、そうとも限らないのでしょうか。

竹村委員

 分析がそろってみないとわからないかもしれません。

澤田委員長

 7ページで緑の線が引いてあるけれども、これからわかるのは、SK26-3は撓曲帯に入っているし、ここも撓曲帯が入っているだろうけれども、ここからどこまでいくかはさっぱりわからないので、とにかくこの幅は見ておかないといけません。それは重点調査とそんなにそごのある結果ではないというふうに見たらいいのではないかと思います。

竹村委員

 これはここまで引いていますね。ここの東の端点をどこで決めたかという話に今なっていると思います。

澤田委員長

 この辺から考えたらいいと。310mは大きくとり過ぎというイメージかと思います。

事務局

 310mの根拠ですが、SK26-3からK-Tzの標高が変化しまして、SK23-4で上がってきますけれども、この上がり切ったところまでの幅です。

竹村委員

 だから、ここが余分なわけで、ここからここまでが310mですね。

岩田委員

 鍬田委員長代理が言っておられるのは、それのさらに安全側を見ようとすると、ここがこうかもしれないわけで、この間でもいいと。だから、もう1つ内側のボーリングのぎりぎりでもいいかもしれないということになるのだと思います。

澤田委員長

 ここでこういう線を引いていますけれども、これを引くのはちょっと無理なのかと。26シリーズと23シリーズに大分離隔があるので。23シリーズ同士は引けるかもしれないし、26シリーズはつないでもいいかもしれないけれども、この辺の23-2から26-2、23-3に引くのは、解釈断面図にしても、ちょっと工夫してもらったほうがいいと思います。
 他にどうでしょうか。南ラインの結果がまだ出ていないので、最終的な結果にはならないと思いますが、この先分析を続けていただきますので、その結果が新しくこの次に出てくると思います。今のところ上町断層帯における重点的な調査観測成果というあたりは踏まえないといけないかなという結果だと理解すれば良いと思います。そのかわり、都市圏活断層図とはちょっと違って、もう少し広く見てもいいだろうというような結果だと解釈したらいいと思いますけれども、どうでしょうか。
 では、分析を進めていただいて、また報告していただきたいと思います。

2.(2)鉄道構造形式の検討について

澤田委員長

 続きまして、議事2の鉄道構造形式の検討について、事務局、説明をお願いします。

事務局

 鉄道構造形式の検討について説明いたします。お手元の資料2、あわせて前のスクリーンをご覧ください。
 ラーメン高架橋形式における検討状況について説明いたします。
 最初に、3径間1柱1杭完全支持杭高架橋の断層変位解析について説明します。高架橋に断層変位が生じた場合の影響について、3次元静的非線形骨組み解析により検討しました。本検討は、高架橋が断層変位の影響を受ける場合について、以下の2つの内容を着眼点として検討しました。
 1つ目は、部材に過大な断面力が発生し、高架橋が倒壊するような大きな損傷が生じないか、あるいは倒壊しない限界の断層変位はどの程度か。2つ目は、高架橋全体が剛体的に挙動することを保証する基礎スラブ厚はどの程度かということです。
 解析モデルですが、橋軸方向と断層ラインが斜めに交差する場合も想定されることから、高架橋全体をモデル化しています。また、断層ラインが高架橋ブロックをまたいで生じる場合が想定されるため、連続した高架橋2ブロックをモデル化しています。断層変位の入力は、基礎位置に強制変位として与えることとなりますが、地盤と構造物との相互作用を考慮するため、周辺地盤をばねによりモデル化し、ばねを介して入力します。
 こちらが解析モデルです。柱、梁、杭を線材でモデル化し、基礎スラブを格子梁でモデル化しています。
 断層変位のイメージになります。連続する高架橋のあるラインに断層変位が発生します。断層変位が発生すると高架橋がこのように傾きますが、そのときに高架橋が倒壊しないことを解析により確認します。
 こちらは、断層変位解析の結果で、高架橋の変形図になります。高架橋は傾いていますが、梁、柱には大きな変形がないことがわかります。
 本検討は、基礎スラブ厚を2.5m及び3.5mと仮定し、おのおのの限界断層変位について検討しました。基礎スラブを2.5m以上とすることにより、断層変位を受けても高架橋の梁、柱に損傷は生じない結果となりました。そのかわりに基礎スラブには大きな断面力が発生することになり、基礎スラブの耐力照査を満足する変位量が高架橋の抵抗できる変位量となります。
 こちらは、基礎スラブ厚3.5mのときの構造一般図です。
 1柱1杭式のラーメン高架橋が追随できる断層変位量は、本解析結果から数十cm程度であると考えられますが、本事業区間における考慮するべき断層変位量及び形状、断層変位の位置については、今後の地質検討の結果と整合させながら検証してまいります。
 次に、パイルド・ラフト基礎の概略設計です。
 基礎形式は、断層変位に対して容易に追随できる形式が有利と考えられ、その候補としてパイルド・ラフト基礎が挙げられました。パイルド・ラフト基礎とは、直接基礎と杭基礎が複合してその両者で上部構造を支持する基礎形式です。ある程度の沈下を許容したときに基礎底面における地盤の抵抗力が期待できる場合について、この抵抗力を積極的に利用して基礎の合理化を図る直接基礎と杭基礎の中間にあたる基礎形式です。
 こちらはパイルド・ラフト基礎の概念図です。一番左が直接基礎、一番右が杭基礎になり、両者の中間的な構造である真ん中の図がパイルド・ラフト基礎となります。我が国において、パイルド・ラフト基礎は土木構造物である鉄道高架橋での採用実績はなく、設計方法は確立されておりません。通常の使用状態において沈下が厳しく制限される鉄道構造物において、ある程度の沈下を想定したパイルド・ラフト基礎の適用にあたっては、より精緻な沈下量の評価が必要と考えられます。そのことから、本検討では、常時については施工ステップを考慮した3次元FEM解析を実施し、地震時の検討としては3次元動的非線形骨組み解析を実施することにより、パイルド・ラフト基礎の適用性について検討しました。
 杭諸元は、杭径800mm、杭長18mの場所打ち杭とし、高架橋全重量と杭の支持力との比較による検討結果から、杭本数については30本と設定しました。
 こちらが条件設定した構造一般図になります。この断面において構造検討を実施しました。
 地盤条件は、事業区間近傍の既存ボーリングデータを使用しています。
 常時については、基礎スラブ及び杭を後施工する段階施工を考慮した3次元弾性FEM解析を行い、杭及び直接基礎の荷重分担を検討しました。
 棒グラフは、暫定供用時、完成時、後施工部分の杭のそれぞれの杭頭反力を示しています。一番右のオレンジ色の点々で示しています後施工部分の杭が余り荷重を負担しない結果となりました。
 完成時における杭と直接基礎部の荷重分担率については、高架橋全重量完成時の80%程度は先施工される杭で支持されています。また、後施工される直接基礎の分担率は10%程度であったことから、直接基礎の支持性能も期待したパイルド・ラフト基礎としては機能していないと言えます。
 次に高架橋の沈下量結果ですが、過年度に完全支持杭、直径1.5m、杭長28.5mの条件で算定した沈下量との比較を行った結果、完全支持杭の5mmに対して、パイルド・ラフト基礎では約15mm程度の沈下量が発生しています。
 地震時については、暫定供用時及び完成時で基礎スラブの有無が異なるため、各々別のモデルにより応答値を算定しました。また、地盤ばね定数は常時と同様の地盤物性を用い、非線形特性を考慮して設定しました。
 設計地震動は、いわゆる耐震標準よりL2地震動スペクトル2とし、当該地点の地盤種別であるG4地盤の地表面設計地震動を用いました。
 このグラフは、耐震標準に示されている地表面設計地震動の弾性応答加速度スペクトル及び設計地表面加速度波形になります。解析の結果、パイルド・ラフト基礎に対する地震時の検討において、杭は長期支持性能に対して設定した諸元で耐震性能を満足しました。
 パイルド・ラフト基礎の概略設計の結果をまとめますと、常時に対する3次元弾性FEM解析の結果は、高架橋全重量の約80%が先施工する杭で支持され、後施工する直接基礎が負担する荷重は高架橋全重量の11%と小さく、ほぼ基礎杭で支持されるものでした。また、常時における高架橋の沈下量は、過年度に検討した完全支持杭高架橋の沈下量5mmに対して、約3倍の沈下量になりました。この計算上の沈下は即時沈下であることから、暫定供用開始前に軌道整備を行えばよいですが、沈下が収束しているかなどの監視が必要なレベルであると考えられます。よって、総合的に判断すると、本事業における基礎の構造形式としてはパイルド・ラフト基礎の適用性は低いものと考えられます。
 続きまして、細径完全支持杭の概略設計についてご説明します。
 前回委員会での報告も含め、これまで高架橋の基礎形式として2種類の基礎形式の概略設計を行ってまいりました。まず、1柱1杭式完全支持杭形式については、杭1本当たりの剛性、耐力及び引き抜き支持力が大きく、断層変位に対する抵抗が大きいと考えられます。よって、基礎スラブに発生する断面力が大きくなり、非常に厚い基礎スラブとなることで不経済になる可能性が考えられました。また、パイルド・ラフト基礎については、後施工部分の支持力性能が合理的に発揮できないことに加え、通常の使用状態における沈下の発生による列車走行安全性への影響が課題となりました。
 次に、1柱1杭式完全支持杭とパイルド・ラフト基礎(摩擦杭)の中間的な基礎形式として細径完全支持杭についても比較案として追加し、概略設計を行いました。
 細径完全支持杭の検討の概要ですが、列車荷重に対する確実な支持性能と断層変位に対する追随性を確保することを意図し、剛性、耐力の小さい細径杭を多本数配置した形式になっております。常時の支持力を満足する杭本数と耐震性能を満足する杭本数を求めるために解析を実施します。杭径は直径800mm、杭長は支持層までの28mの場所打ち杭と設定しました。
 常時の検討では、杭は12本必要となりました。
 次に地震時の検討ですが、解析モデルや手法等の解析条件については、前述したパイルド・ラフト基礎の場合とほぼ同様であるので省略いたします。
 耐震検討の結果、杭は20本必要となりました。よって、必要な杭本数は20本となります。その照査項目については、想定した部材で所要の要求性能を満足することが確認できました。
 こちらが検討結果より定めた構造一般図になります。基礎スラブについては、断層変位500mmに対応した厚さ3.5mとしていますが、今後の検証により変更になる可能性があります。
 細径完全支持杭形式の設計結果のまとめですが、列車荷重に対する高い支持性能を有し、かつ断層変位に対する追随性を確保することを意図した基礎形式の概略設計を行いました。1柱1杭式完全支持杭の場合よりも細径の杭を用いて、杭1本当たりの支持力及び耐力、剛性を小さくすることで断層変位に対する抵抗を小さくし、追随性の向上を図るものです。検討の結果、暫定供用時の耐震性能を確保するために20本の杭が必要となりましたが、この杭本数で意図したとおり、断層変位に対する抵抗を小さくできているかについて、これまで概略設計を実施した他の基礎構造案と比較検討を行いました。
 比較検討の結果、細径完全支持杭の引き抜き支持力は1柱1杭式完全支持杭の場合に対して、1本当たりでは約半分でありますが、全本数当たりでは1.3倍程度となりました。また、断層変位に対する抵抗の大きさは、断層変位を受ける範囲と杭配置の影響を受けるため、細径完全支持杭は意図したような断層変位に対する追随性が得られない可能性もありますが、今後詳細に検討を進めます。ただし、細径杭を用いることは狭隘箇所での施工性や経済性にすぐれることから、細径完全支持杭も比較案として採用します。
 次に、断層変位の影響に関する簡易検討について説明します。
 これまで概略設計を行った基礎形式3案について、どの形式が断層変位対策として有効かを把握する目的で、簡略化した2次元骨組み解析を用いた断層変位解析による比較検討を行いました。簡易な2次元骨組みモデルを用いた静的解析により実施する基礎形式3ケースに対して解析を行い、フーチングの断面力を比較することにより、断層変位による構造物への影響程度の差を確認します。
 こちらが解析モデルです。基礎スラブと杭を線材でモデル化した簡易モデルです。これを3つの基礎形式で同様にモデル化し比較検討を実施しました。
 こちらは曲げモーメントとせん断力のグラフです。最大曲げモーメントでは各基礎構造で大差はありませんでしたが、最大せん断力については、パイルド・ラフト基礎が一番大きな値となりました。
 最大の曲げモーメント及びせん断力は、各ケースとも断層変位を受ける範囲内で生じており、その範囲に杭を配置したパイルド・ラフト基礎では、その杭近傍で特に大きいせん断力が生じています。この理由としては、パイルド・ラフト基礎では基礎スラブ中間の杭頭付近に曲げモーメントが発生し、それが発生せん断力に影響したものと考えられます。
 一方、断層変位解析(3次元骨組み解析)より、1柱1杭式完全支持杭で、500mmの断層変位時に必要な基礎スラブ厚は3.5mであったことから、簡易解析の発生断面力を比較し、基礎スラブ厚を推定しました。簡易断層変位解析における各基礎形式のせん断力の差が1.3倍であったことから、せん断力の比率によりパイルド・ラフト基礎に必要な基礎スラブ厚も1.3倍程度必要としました。よって、パイルド・ラフト基礎では基礎スラブ厚が4.5mとなり、その他の形式では3.5mとなります。パイルド・ラフト基礎では、杭による影響を排除するために細径の短い杭を配置しましたが、その効果が十分に得られていないという結果になりました。
 今後の検討方針について説明します。
 パイルド・ラフト基礎は、本連立事業において適用性は低い結果となったため、今回実施した1柱1杭式完全支持杭、直径1.5m、長さ28.5m、8本の断層変位解析に加えて、細径完全支持杭の3径間ラーメン高架橋について、3次元断層変位解析を実施し、断層変位に対する追随性を比較します。比較検討の結果、断層変位に優位な基礎形式について、1径間の断層変位解析を実施し、3径間ラーメン高架橋と断層変位に対する追随性について比較を行います。また、地質検討の結果から想定された考慮するべき断層変位量に対して、適切な高架橋構造形式を選定します。
 説明は以上になります。

澤田委員長

 構造形式の検討について、ご質問、ご意見等がございましたらお願いします。
 私からお聞きしたいと思います。パイルド・ラフト基礎の杭頭反力が後施工の杭にはほとんどかかっていないということですが、これはどういうような施工の過程によって出てきているのでしょうか。実際問題として、杭に荷重がかかっていないということは、ほとんど杭がきいていないということと同義なので、せっかく後施工した杭がほとんど役目を果たしていないということに近いと思います。

事務局

 施工についてですが、今電車が地上を走っておりまして、それに対して今検討している施工方法は、まず外側の杭を打ちまして、柱を立てて、上のスラブをつくり、一旦外側の杭によって高架構造物をつくって、走っている電車を上に上げると、もともと地上を走っていた電車の下の部分が施工できます。電車を上に上げてから後施工のパイルド・ラフト杭とか基礎を施工していくという2段階で行います。

澤田委員長

 要するに、後施工した杭に後から打つ基礎スラブの重量をうまくかける工夫をしないと、この手の基礎形式はきかないだろうと想像できます。今の計算は、多分そういうことを考えずに施工した場合にこういう結果になるということだと思います。
 それと、直接基礎部分の負担とパイルド・ラフトの杭部分の負担の割合はどうですか。

事務局

 先施工の杭の高架橋の分担する負担率が80%で、残りの後施工杭と直接基礎は10%ずつぐらいです。

澤田委員長

 直接基礎部分にも10%ぐらいしか載っていないということは、パイルド・ラフトになっていない。要するに、摩擦基礎杭の基礎になっているだけで、構造形式としてパイルド・ラフト基礎という形になっていないということですね。
 もう1つは、後施工するスラブの重量と杭以外の構造物の重量の重量比はどれぐらいになっていますか。

事務局

 死荷重でいうと大体半分半分です。

澤田委員長

 暫定時の重量と同じぐらいのものが載るのですね。

事務局

 はい。

澤田委員長

 20ページに前の検討結果との比較があって、上層目地のところを見ると、死荷重で12mm沈下して、完成時に死荷重でプラス2.6mm沈下するということですね。だけど、過年度の参考の完成時が5mmと書いてあるということは、暫定時に2.5mm、完成時に2.5mmぐらい沈下するということですよね。だから、今のパイルド・ラフトの検討と過年度の1柱1杭式の暫定供用時から完成時の沈下量は変わらないというふうに読めますか。
 今の話だと重量が大体倍になるのだから、沈下量でいうと完成時5mmだったら、2.5mm、2.5mmぐらいと。暫定時と完成時で、パイルド・ラフトで2.6mm沈下して、1柱1杭でもやはり2.5mmぐらい沈下するというふうに読めますよね。

事務局

 大きくは変わらないです。

澤田委員長

 沈下量の一番問題は、暫定供用時から完成時にどれだけ沈下するかであって、その数字で見ると、今回のパイルド・ラフトと言わずに摩擦杭の検討と1柱1杭式の完成時とは変わらないというふうに読めませんか。

事務局

 これは列車載荷時の分を載せていますので、傾向的には少し差はあります。

澤田委員長

 そんなに大きな差はないということですね。それこそ地盤の評価で、その誤差に入るぐらいの差ということですか。

事務局

 列車載荷時なので、3.7ミリメートルに対して2.5ミリメートルとか、それぐらいの差になろうかと思います。

澤田委員長

 最初の暫定供用時の死荷重時はどれぐらい沈下するかは、最初からそのつもりでつくればいいのであって、暫定供用時から完成時までの沈下量はそれほど大きく変わらないと思っています。この資料からはそういうふうに読めるかなと思いますけれども。

室野委員

 地盤の特性上杭基礎を使うことは避けられないとなると、断層変位に対しては周面の摩擦をなるべく切りたいということになると思います。こっち側は上がるのだけれども、上がらないほうの杭が引っ張ってしまって、フーチングが損傷するような現象だと思うので、なるべく周面を切りたいと思うのですけれども、一方で揺れに対する耐震性も考えなければいけない。今回の試計算は3ケースやられていますが、揺れに対しては部材の応力や支持力はかなり余っているのですか。

事務局

 暫定供用時については、そこで決定計算をしていまして。

室野委員

 完成時になるとかなり余ってきますか。

事務局

 かなり余ってきます。

室野委員

 杭を施工するときに、通常だとなるべく周面をとりたいので、いい施工を心がけると思うので、底面と周面で複合的に対応しようということになると思いますが、イメージでいくと、杭の施工は何を考えられているのですか。狭隘な箇所でやっていくとなると。

事務局

 TBHを考えています。

室野委員

 周面の地盤に頼らなくて、うまいこと地震時の揺れに対する慣性力に対する性能を担保できるようなものにできると、断層変位に対して3.5mものフーチング厚を要求しなくて済む可能性はあると思います。

事務局

 押し込み側の支持力は増やして、引き抜き側は…。

室野委員

 多分先端でいいと思います。杭としては、先端の支持に重きを置いた杭基礎形式を選んでくると、今3.5mが3mになるとかいう可能性はあるかもしれません。

澤田委員長

 先端支持をやろうと思えば、ある程度埋め込まないといけないので、そこに摩擦がある。支持層が変位しなければいいけれども、支持層が変位するから。

室野委員

 こういったときに、下側がすぽっと抜ければいいのですね。

澤田委員長

 抜けてくれたらいいけれども、それは難しい。先端支持をとれば、引き抜き摩擦も大きくなると思う。

室野委員

 ただ、今の杭は周面も意外ときいているので、施工で何かカットできるようなものがあればいいのですが、私も詳しくは知らないので、探してみると何かあるかもしれません。

澤田委員長

 結局、直接基礎部分でしっかり支える。杭部分に余り頼らずに直接基礎部分で十分支持をすると、そういう問題がなくなります。

室野委員

 一番いいのは、直接基礎にできれば一番いいですけれども。

澤田委員長

 いいけれども、直接基礎だけでは足らないので、パイルド・ラフトが出てきて、直接基礎部分でしっかり支えて、それにプラス、パイルド・ラフト部分の摩擦杭部分が少し付加して性能が出るというのが概念的には一番いいんだけれども、それがうまく成立すればいいけれどもということになっていると思います。今のこの結果だと、結論的にパイルド・ラフトの適用性は低いと書いていますが、私から見るとそうは見えなくて、今の計算条件だとそう見えるけれども、パイルド・ラフトの基礎形式としてちゃんときくように、その性能を発揮するように設計施工すれば、もっと違った結果になるのではないかというふうに思います。
 それから、最後の方の断層変位に対する影響について、せん断力がパイルド・ラフトだと大きいというのがありますが、これも、1つは、耐震性能は真ん中に配置するときかなくて、できるだけ両端に配置するときくので、間隔を等間隔ではなくて、できるだけ両端に配置するようにするのと、もう1つは、真ん中の後施工するものの杭頭をフリーにすることによって曲げモーメントが伝わらなくなって、せん断力に対して余計にかかるということはなくなる可能性もあるので、これも工夫の余地があります。今パイルド・ラフトをいろいろ検討していただきましたけれども、パイルド・ラフトの基礎になっていないので、パイルド・ラフトとしてちゃんと機能するような設計を少し考えていただきたい。適用性は低いと結論するにはまだ早くて、もう少し検討していただいた方がいいと思います。

室野委員

 パイルド・ラフトにしたときに、パイルド・ラフトに何を期待するかで、成立性が少し変わってくると思います。今の検討は、先に施工する杭の長さを減らしたりして、足りない部分をラフトで担保しようという話でこういう形でやったんだけれども、そうすると、暫定時から完成時にどうしても一体化しておかなければいけないので、沈下してくれないとラフトに力がかからないということで、列車のその後の走行性という観点から厳しいと思います。そのラフトを杭が断層変位で壊れたときに初めて発揮されるような位置づけにして、その後破壊が進行していかないためのラフトだということであれば、施工法が多分違うと思います。だから、計算方法を変えていかないとだめかもしれないですね。ラフトに何を期待するかで、少し話が変わってくるかもしれません。

澤田委員長

 被災時の状態も考えた上で設計するということも大事なので。

室野委員

 どっちに重きを置きますかということですね。

澤田委員長

 どっちに重きを置くかは別として、被災時の状態も考えた設計もやってみる必要があって、そのときにラフトがどうきくかとか、杭基礎の場合どうなるかというのも少し考えながらやった方がいいのかなと。何せ断層変位が発生した場合の基礎の設計は今までほとんどやったことがないので、そういう状態も想定した状態で、断層変位が起きた場合はこういう状態になって、そのときは、例えば支持力の負担はこういうふうになって、もし支持力が足らなくなるとしたらこれぐらい足らなくなるとか、何とかもちますとか、そういうのも含めて、基礎形式を決めるときには考えないといけないかなと思っています。

鍬田委員長代理

 今後3径間にするのか1径間にするのかというのも含めて検討されるということですけれども、線路の断面の図面はよく出てきますが、基礎スラブの底面をどこに置くか、Dg-1のところがある程度一定の深さのところにあるのかどうかも含めて検討が必要だと思うので、できれば線路方向の柱状図も次回の委員会のときにそろえていただければと思います。

澤田委員長

 おっしゃるとおりで、パイルド・ラフトの設計をきちんとしようと思うと、直接基礎部分でどれだけ負担させるかというのが問題になって、スラブの下が路線でどう変わっているかはすごく大事な情報になります。それがわからないと、基礎形式も決まらない可能性がある。路線方向の地盤図が全く出てきていないので、そっちのほうも早目に調査していただいて、それも含めて、先ほどの設計を進めていただきたいと思います。

事務局

 路線方向のボーリング調査も、今ご意見をいただいたのを受けまして、調査にあたっては、鉄道敷となるため、南海電鉄にも協力いただきながら、どの程度必要かというところも相談しながら検討したいと考えております。

澤田委員長

 あと1点、今回断層変位の影響で、5ページや7ページで、この断層変位を一通りやっていますが、もう少し厳しいケースも考えられるし、1径間のラーメンの検討もしていただけるということなので、その時も含めて、断層変位の与え方ももう少しバリエーションをつけた状態で検討していただければと思います。必ずしもこれが一番大変というわけではないので、ケースの選び方として、これだけの基準値というのは設計上問題があると思います。

室野委員

 断層の変位の入り方はかなり不確定性が高いというのはわかってきていて、その中でも今回の調査でいろいろわかってきた部分はあると思います。この計算に与えるパラメーターとしては断層の入り方と変位量と2つあると思いますが、どっちも不確定要素が高くて、影響力の大きいほう同士でとってしまうと、かなりシビアな条件になると思います。変位量も平均的なもの、弾塑性の入り方も必ずしも一番厳しいものでない入り方でもって構造計算するんだけれども、仮にそこから外れた場合のことを考えて、何かしら計算に乗らないところでの対応を図るとかというシナリオもあると思いますが、厳しい同士の計算で構造上もつような設計を計算されますか。

澤田委員長

 構造上は必ずしももつ必要はなくて、全てのケースで絶対もつ構造は最初からできない。ただ、どういうケースで、どういうふうに例えば損傷が起きて、その場合にどういうふうに対応するということをちゃんと決めておかないといけない。

室野委員

 シナリオ設定だと思います。

澤田委員長

 その中にはかなり厳しいシナリオも設定しておかないといけないだろうと。全てのケースで絶対もつような構造はできっこないと思います。厳しい同士ケースのときはどうなるということは考えておく必要があります。

室野委員

 それで設計するかどうかは別として、計算上そういうシナリオはあり得るということを把握しておくということですね。

澤田委員長

 そのときはこういうふうに損傷しますというものをちゃんとやっておくということだと思います。
 パイルド・ラフトの設計で、例えばフーチングをちょっと横に張り出すという手もある。要するに、直接基礎部分を大きくして、そっちのほうにもっときかせましょうという手もあると思う。それもDg層の深さや厚みにもよるので、地盤も含めて、先ほどの変位の入り方、変位の量とかも含めて、最もいい形を考えるということだろうと思います。
 あと何かございますか。
ご意見もないようですので、これはまだ中間結果ということで、これからも構造形式の検討を進めていただきたいんですけれども、パイルド・ラフト基礎については、適用性は低いと結論づけずに、パイルド・ラフトとしてちゃんと機能を発揮するような設計施工の方法とかをもう少し考えていただいて、あと、1径間ラーメン等も考えていただいて、そういうオプションを残した状態で検討を進めて、その中から最も構造形式としていいものを見つけるという方針でお願いしたいと思います。もともと3径間もあるラーメンに対して断層変位が発生したときに構造の健全性を保つというのは無理がでてきます。よりいい形の設計がうまく見つかればと思っております。

2.(3)その他について

澤田委員長

 事務局、何かございますか。

事務局

 特にございません。

澤田委員長

 では、まだ始まったばかりですので、この先も地質の検討、構造の検討を進めていただければと思います。
 これで議事を終わらせていただきます。進行を事務局にお返しいたします。

3.閉会

事務局

 委員の皆様、本日は長時間にわたりご議論いただきまして、ありがとうございました。本日先生方からいろいろ貴重な意見をいただきましたので、内容を踏まえまして事務局で作業を進めたいと思います。
 今後の日程でございますが、南ラインの地質調査、コア解析を進めていきたいと考えております。次回につきましては、南ラインの解析結果及び鉄道構造形式の断層変位の解析等の結果が出たころに日程調整をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、第3回の検討委員会をこれで終了したいと思います。本日はどうもありがとうございました。

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