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令和2年度 第1回 堺市環境影響評価審査会

更新日:2022年7月11日

日時

令和2年8月21日(金曜) 午後2時~午後4時30分

場所

堺市総合福祉会館 4階 第3会議室

出席委員

犬木 努     大阪大谷大学文学部教授
今西 亜友美   近畿大学総合社会学部准教授
小田 和広    大阪産業大学工学部教授
柏尾 眞津子   大阪人間科学大学教授
木下 進一    大阪府立大学大学院准教授
瀬川 大資    大阪府立大学大学院教授
田中 晃代    近畿大学総合社会学部准教授
中川 智皓    大阪府立大学大学院准教授
中谷 直樹    大阪府立大学大学院教授
橋寺 知子    関西大学環境都市工学部准教授
久末 弥生    大阪市立大学大学院教授

欠席委員

野村 俊之    大阪府立大学大学院教授
平栗 靖浩    近畿大学建築学部准教授
水谷 聡     大阪市立大学大学院准教授
柳原 崇男    近畿大学理工学部准教授

傍聴者

1人

議題

 南海高野線連続立体交差事業(浅香山駅~堺東駅付近)に係る環境影響評価準備書について(事業者説明)

配布資料

議事録

辻尾環境共生課長

 それでは定刻となりましたので、ただいまより、令和2年度第1回堺市環境影響評価審査会を開催させていただきます。
 本日はお忙しいところ、ご出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日の司会を務めさせていただきます、環境共生課長の辻尾でございます。よろしくお願いします。
 今回の審査会は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、オンライン会議形式で開催しております。度重なる日程の調整や接続テストのご参加など、委員の皆様には多大なご協力を賜り、重ねてお礼申し上げます。オンライン会議は初めての試みではありますが、できる限り円滑な会議の進行に努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。
 本日の会議の定数は15人ですが、ただいま会場で2人、オンラインで8人の合計10人の委員にご出席いただいております。なお、木下委員につきましては、現在オンラインでの接続にトラブルが生じた関係で、参加が少し遅れております。最終的には計11人の委員の出席を予定しております。
 従いまして、堺市環境影響評価審査会規則第3条第2項の規定により、本会議は成立しておりますことをご報告申し上げます。
 なお、野村委員、平栗委員、水谷委員、柳原委員につきましては、ご欠席の連絡を頂戴しております。よろしくお願いいたします。
 また、本日の会議は同規則第5条第1項の規定により公開となっております。
 傍聴についてですが、1人の傍聴者が来られておりますことをご報告いたします。
 傍聴者の方へのお願いですが、堺市環境影響評価審査会傍聴要綱の遵守事項をお守り頂きますようお願いいたします。携帯電話をお持ちの方は、電源をお切りになるか、マナーモードにして頂きますようお願いいたします。
 それでは、始めに、環境局長の歌枕よりご挨拶を申し上げます。

歌枕環境局長

 環境局長の歌枕でございます。開催にあたりまして一言、ごあいさつを申し上げます。
 本日は、ご多用のところ、本審査会にご出席を賜り、誠にありがとうございます。
 また、委員の皆様におかれましては、平素から本市の環境行政につきまして多大なご指導・ご協力を賜りまして、この場をお借りして厚くお礼を申しあげます。
 さて、今回の審査会の案件でございますが、南海高野線連続立体交差事業(浅香山駅~堺東駅付近)に係る「環境影響評価準備書」でございます。本事業は、都市計画決定権者が鉄道を連続的に立体化することにより、事業実施区域内にある複数の踏切を除却する事業でございます。本市といたしましては、本事業について適切な環境配慮がなされることを確保するため、今後、皆様方のご尽力を賜りながら審査を進め、適切な市長意見を述べてまいりたいと考えております。
 委員の皆様におかれましては、本事業において適切な環境の配慮がなされるように、それぞれ各分野の専門的・技術的な観点からの活発なご議論をお願い申し上げまして、まことに簡単ではございますが、開会にあたりましてのご挨拶とさせていただきます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

辻尾環境共生課長

 ありがとうございました。
 続きまして、事前にメールにてお送りしております資料の確認をさせていただきます。本日の資料ですが、本日の「次第」、「堺市環境影響評価審査会 委員名簿」、「今後の審議の進め方」及び事業者から提出されております「南海高野線連続立体交差事業(浅香山駅~堺東駅付近)環境影響評価準備書に係る説明資料」となります。
 資料等に漏れなどございませんでしょうか。
 なお、資料につきまして、1箇所誤りございますので訂正させていただきます。
 「委員名簿」の中で、野村委員の役職名につきまして、「准教授」となっておりますが、正しくは「教授」となりますので、訂正させていただきます。大変失礼いたしました。

瀬川会長

 すみません、最後に挙げられた説明資料というのは、「環境影響評価準備書概要」のことですか。

辻尾環境共生課長

 はい、そちらの資料となります。
 ここで議事に入ります前に、オンライン会議においてご留意いただきたい事項につきまして、ご説明させていただきます。
 マイクは基本的にOFFにしていただき、ご発言いただく時にONにしていただきますようお願いします。また、ご発言の際には、最初にお名前を名乗っていただきますようお願いします。

瀬川会長

 会場の方は、この(ワイヤレス)マイクで話せばよろしいですか。

辻尾環境共生課長

 はい、会場の方は備え付けておりますワイヤレスマイクで話していただければ大丈夫です。
 それでは、議事の進行につきましては、瀬川会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

瀬川会長

 はい、こちらこそよろしくお願いします。委員の皆さんもよろしくお願いします。
 それでは、審議に入る前にまず、市からの諮問を受けたいと思います。
 事務局の方、ご準備お願いします。

歌枕環境局長

 堺市環境影響評価審査会会長瀬川大資様、堺市長永藤英機。南海高野線連続立体交差事業(浅香山駅~堺東駅付近)に係る環境影響評価準備書の審査について諮問。令和2年7月27日に都市計画決定権者から提出のあった「南海高野線連続立体交差事業(浅香山駅~堺東駅付近)環境影響評価準備書」について、堺市環境影響評価条例(平成18年条例第78号)第26条の規定に基づき、環境の保全の見地からの専門的な事項に係る貴審査会の意見を求めます。

瀬川会長

 お受けいたします。

辻尾環境共生課長

 ありがとうございました。環境局長はお席にお戻りください。
 それでは引き続き、瀬川会長よろしくお願いいたします。

瀬川会長

 はい。では、議題の「南海高野線連続立体交差事業(浅香山駅~堺東駅付近)に係る準備書について」に入る前に、この連続立体交差事業の評価手続き全体の確認を、念のためにしておきたいと思いますので、後半に予定されていた「審議の進め方」の前半部分、配布資料で言いますと「今後の審議の進め方」のフローチャートを見ながら、事務局から説明いただきたいと思います。

事務局

 そうしましたら、右上に資料という四角囲いがあります「今後の審議の進め方」というペーパーの裏面、オンラインで参加いただいている委員につきましては、PDFの2枚目のページをご覧ください。環境影響評価手続きのフロー図がございますので、こちらの資料で環境影響評価手続きの概要を説明させていただきます。
 今回審議の対象となっておりますのは、網掛けされております「準備書」の手続きとなります。環境影響評価の手続きは、大きく4つの手続きに分かれておりまして、まず最初に配慮計画書の手続き、こちらは平成30年10月10日に提出された図書になりますが、事業計画の複数案についてそれぞれ予測・評価を行って、その影響の比較を行った図書となります。この配慮計画書につきましては、平成31年1月25日に審査会から答申をいただいております。次の手続きとしまして、環境影響評価方法書の手続きが行われております。こちらは平成31年2月18日に方法書が提出されまして、この方法書というのは、環境影響評価の調査・予測・評価の手法について記載された図書でございます。こちらの審議につきましても、審査会の方でご検討いただきまして、令和元年6月21日に答申をいただいております。そして、本日の審査会でご審議いただきますのが、環境影響評価準備書でございます。こちらは令和2年7月27日に提出を受けておりまして、先ほどの方法書の方で、調査・予測・評価の手法が定められておりますけれども、これに基づいて、また方法書に対する市長意見も踏まえた形で、事業者の方で準備書を作成したものが提出されておりますので、この準備書の内容について、妥当かどうかご審議をいただきたいと考えております。

瀬川会長

 今の全体の手続きに関しまして、ご質問はございませんか。
 それでは、今のことを踏まえまして議題に入りたいと思います。
 では、南海高野線連続立体交差事業の環境影響評価準備書について、事業者様からの説明をお願いしようと思います。
 では事務局の方、事業者のご案内をよろしくお願いします。
 
 
       【事業者入室】
 

瀬川会長

 ではご説明の方、よろしくお願いいたします。

事業者

 本日ご審議いただきます南海高野線連続立体交差事業につきましては、鉄道の連続立体交差化によって10箇所の踏切を除却し、安全で円滑な交通を確保するとともに、堺東駅周辺の整備を進めまして、中心市街地の活性化に寄与する、といった事業でございます。
 昨今の新型コロナウイルス感染症の流行に伴いまして、本年5月に開催予定でありました都市計画審議会が延期され、また本準備書の提出も延期するなどの影響も生じておりましたが、本日ご審議いただく内容の環境影響評価の手続きを進めますとともに、鉄道や側道及び駅前広場の関連事業を対象としました都市計画決定の手続きを進めているところでございます。
 令和元年7月に頂戴しました方法審査書のご意見を踏まえまして、現地調査や予測等を行ってまいりまして、準備書を提出いたしましたので、ご審議の程よろしくお願いします。
 なお、環境影響評価条例第27条に基づく住民説明会につきましては、各ガイドラインに基づきまして十分な感染症対策を講じた上で、本年8月28日、30日、9月1日、5日の計4回に分散しまして、説明会を開催する予定としております。
 それでは、準備書の内容についてご説明差し上げますので、ご審議の程よろしくお願いいたします。

 
   【南海高野線連続立体交差事業に係る準備書について、事業者から説明】
 

瀬川会長

 ご説明ありがとうございました。では事業者の方への委員からの質問を受けたいと思います。まずは会場にいる中谷委員、いかがでしょうか。

中谷副会長

 中谷でございます。
 まずは簡単なところの確認からですが、大気質のところの予測値というのは最大値ですか。また、工事中の建設機械の稼働と工事車両の走行を分けて予測されていますが、複合した場合の影響については考えなくて良いのでしょうか。

事業者

 予測値については最大値を記載しております。また、複合影響についてのご意見につきましては、環境影響評価技術指針に沿って、今回は単体で予測しています。

中谷副会長

 ありがとうございます。騒音も基本的には同じと考えていいですか。

事業者

 はい、結構でございます。

瀬川会長

 では次は、オンラインの委員からということで、手が挙がっている田中先生。ではマイクをONにしてお願いいたします。

田中委員

 近畿大学の田中でございます。
 今回環境要素のところに、「コミュニティの分断」が加わったということで、「コミュニティの分断」について少し伺います。要約書を拝見しますと、75ページから80ページまでかなり詳細なヒアリングをして調査していただいているのですけれども、それに対して評価については若干記述が少ないので、どのように分析されて、今後どのような検討をされていくのかというところを詳しくお伺いしたいと思っております。

事業者

 コミュニティの分断につきましては、地元自治会等にヒアリング等を行っておりまして、自治会館などの近隣施設での現地調査を基に、鉄道の高架化、あるいは側道整備によって交通量に対する影響が出てくるだろうというところに着目し、予測評価をしております。コミュニティ、つまり生活環境への影響、言葉でいうと「分断」になっていますが、実際にご指摘していただいているところはこれまでのコミュニティ、つまり住環境の変化について、主に交通量というところに着目して、安全対策を踏まえて、交通看板の設置ですとか主にそういったところで対策をして、今後の環境保全措置として行ってまいりたい、と考えております。

田中委員

 例えば活動の頻度であるとか、活動の目的であるとか、かなり詳細にヒアリングされている内容を見ますと、時間でいうと朝から晩まで結構活動されているところがあったり、あるいは年でいうと、1年に1回ほど大きなイベントがあったりもしますので、こういったイベントの頻度とか内容によっては、工事車両の通行規制を結構頻繁に行わなければいけない状況になるのではないかという懸念があります。また、令和3年から令和20年までの工事の中で、特に工事が集中する令和12年から16年の5年間については、コミュニティの活動が停滞するような状況になると思います。そうなった時に、例えば今は現状で調査をされているのですけれども、工事が始まるまでに結構時間があり、人口流動等で状況が変わってしまう可能性もあるので、そういったところも考え合わせると、工事車両を頻繁に通行規制したり、あるいは時間的に規制したりするのは、結構大変な気がいたします。そういった意味では、詳細に調査していただいた内容を、もう少し活動の内容や頻度、あるいは時期というところに着目して、工事車両の通行の在り方について、もう少し分析していただければありがたいかな、と思っています。以上です。

瀬川会長

 すみません、立場をどう置いて言えばいいのかわからないのですけれども、田中委員と事業者の意見は違うと思います。今回、このヒアリングでコミュニティの活動状況を調べられた結果、それほど頻度が高くないので影響が少ない、という事業者のご意見だと思いまして、田中委員の思いとは違うのではないかな、と思います。なので、そこから合わないので、両者の意見は合わないのではないかなと思います。

田中委員

 ただ、ヒアリング内容を確認しますと、結構学校、特に小学校などの子どもが関係する活動もありますので、例えば親御さんが後ろに子どもを乗せて自転車を運転しているというような生活状況を想像しますと、結構大きなトラックが通過すると衝突の可能性もあり、安全面でも少し心配があるのかな、という気がいたします。まあ、頻度の問題もあるのですけれども、そこのところについてはもう少し手厚く、どうしていくのかという対策を考えておかないと、何か起こった時に少し問題があるのかな、という気がしました。安全面に配慮していることは重々承知しておりますし、こうやって調べてくださったこと自体がすごくしっかりと考えてくださっている、という意味だと私は前向きには捉えていますが、そこの部分についてはもう少し配慮いただければありがたいです。

瀬川会長

 田中委員には、ぜひこの分厚い準備書本編を見ていただきたいのですが、このヒアリングは、自治会の関係者からどういう活動をしているかを聞いて、それをまとめたものであり、その数字から影響は少ない、という分析をされているように見受けられます。ただ、ご意見が出ているところもあって、そこは確かに気になるところです。
 それから交通に関しては、大通りを工事車両は使い、そこは歩道があるので大丈夫だろう、という(事業者の)ご意見ですが、私は、そうとまでは言い切れないのかなと思います。というのは、事後調査に「安全」の項目がありませんので、そこまで言い切れるのかなと思っています。
 さらに、ヒアリングの対象人数を見て頂きたいのですけれども、1とか2という数字がございまして、これは、非常にいかがなものかなと、最初に見て思いましたので、ぜひご覧いただきたいです。あと、もう一つのヒアリング内容として、(連続立体交差事業を実施した)他の自治体でどういう状況が起こったかということを調査された結果、一部ネガティブだけども(全体では)ポジティブな評価とされています。こちらについても、田中委員のお考えと、そのあたり合うのか合わないのかが、少し気になったところです。
 というように、私は思うのですが、事業者から何かご意見ございましたら、(ご発言は)いかがでしょうか。なかなか意見が合わないのではないかな、と思いますが。

事業者

 特に、ヒアリングの結果と、それを踏まえた今後の工事の際の安全対策のことの大きく2つについてご意見をいただいたかと思うのですが、ヒアリングの結果についてのご指摘は、おっしゃる通りでございます。実際工事の段階に入りましたら、これは連続立体交差事業に限らず公共事業全般に言えることですけれども、当然安全対策については交通管理者である警察と協議しながら、施工業者とも話をしながら、工事車両の通行時等に万全の対策を期して施工したいと考えております。工事の詳細な施工計画はこれからですので、そこは当然安全対策を踏まえながらきちんと進めていきたいと考えております。具体的には、先ほどおっしゃられた歩車分離というのもあるのですが、施工ヤードや現状の鉄道敷き、仮線などの一時的なスペースも上手く使いながら、できるだけ生活環境道路に工事車両が入っていかないように配慮し、周辺環境の住環境に影響を及ぼさないように工事を進めていきたいと考えております。

瀬川会長

 ご説明ありがとうございます。田中委員には、一度このあたりも見ていただいて、もう一度ご検討いただければと思います。
 では次の質問に移ります。他にご質問等ございましたらお願いします。いかがですか。地下水とか、コミュニティも他の面もあるかと思いますし。ございませんでしょうか。
 では、場繋ぎで、私の方からさせていただきたいのですけれども、榎小学校のところの掘割のところですが、立体から地面に繋がる形になるかと思うのですが、立体を作った後の掘割の溝というか谷の部分はどうなるのでしょうか。一部、側道整備等は書かれていたのですけれども、掘割の上に立体を作った後、(事業者説明資料の)5ページ目の図を見ますと、谷底が残る形になっているので、これはなんだろうなということで、ちょっと本筋から外れるのですが、どういうことか教えていただければと思います。と申しますのは、先ほどのコミュニティの話と若干絡むのですが、この図は榎小学校の校区のところかな、と思いますが、ここは周辺よりも少し低い地形で掘割のところですので、それでは(線路を)越えられないことから、少し低い橋が架かっていて、子どもが(学校に)通えるようになっています。これも後で出てくるとは思うのですが、(準備書本編の6.13-45ページの)景観のところの写真等を見ていますと、橋を架けなおして使うことが、ある程度想定されているような絵ですけれども、その絵とこの谷の関係が良く分からないので、教えていただきたいのですが。

事業者

 この断面図は榎小学校よりも北側を表しておりまして、堺東駅の高架から下ってきている部分ですのでこの絵からは分からないのかなと思います。これよりさらに下ると掘割構造となります。現状、高野線が中央環状線を下越しするようになっているので、中央環状線の手前までには現在の線路と同じ高さに擦り付ける計画でございます。この施工の後には、仮線部分を埋め戻して側道整備を行う予定としているため、また変わった絵になってくるのかなと考えております。

瀬川会長

 これを埋めて側道を作るという感じですか。

事業者

 現段階ではそういう形を予定しています。

瀬川会長

 わかりました。ありがとうございます。
 それでは、委員の方から、ご質問がございましたらお願いします。
 では、犬木委員、マイクをONにして、よろしくお願いします。

犬木委員

 犬木です。よろしくお願いします。
 いくつか質問と確認をさせていただきたいのですが、要約書の96ページ以降の部分については、昨年度に世界遺産登録が正式に行われたということで、付け加えられたのかなと思います。その要約書の98ページのところで、(4)と(5)で、反正天皇陵からの眺望のシミュレーションが行われているのですが、96ページの地図を見ていただければわかると思うのですけれども、百舌鳥古墳群の中で、この反正天皇陵が一番北側に位置しています。もう一つ言うと、南海高野線の東側というか北側に位置するのは唯一反正天皇陵古墳だけでして、考古学的に見ますと、この反正天皇陵と仁徳天皇陵はほぼ同じ時期で、おそらく古墳の配置というのは、お互いの景観とか視認性とかを色々考えて位置していると思うので、できれば、南側の仁徳天皇陵側を見た写真とかシミュレーションとかをお願いしたいところです。まあ、掘割区間なので、あまり影響は無いのかもしれないのですけれども、実際どうなのかというところを検討いただければ、と思っています。とりあえず1件目は以上です。

瀬川会長

 1件目(の内容)ですけれども、反正天皇陵から、地図でいうと南少し西よりを見るということですか。

犬木委員

 そうですね。反正天皇陵の所から、途中、建物は沢山ある訳ですけれども、現状において、見えなくはないと思いますので、それが多少見えなくなるのか、あまり影響を受けないのか、ということも含めて、シミュレーションをお願いしたいと思っております。

瀬川会長

 (4)が西を向いていますけれど、これを南の方向も見たら、ということですかね。

犬木委員

 はい、そういうことになります。

瀬川会長

事業者の方、いかがですか。

事業者

 VRで見ていただければ、と思いますが、基本的に南側を見た時には、視界には、高架物は入ってこない状況でございます。(4)についても、高架がわかるかわからないか、といった景観となっておりますので、大きな影響というのは、基本的にはないのかなと考えてございます。

犬木委員

 (3)~(6)の地点でも、高架構造物が視認されない、ということで採り上げられておられますので、仮に影響がないとしても、そのあたり、検討していただきたいと思います。

事業者

 今、VRの画像が画面上に出ていますでしょうか。これは、おっしゃられていた(4)の地点から、真南を向いている状況でございまして、単純に家の前、住宅が、このように映っている状況でございます。

瀬川会長

 方違(神社)さんとか反正天皇陵から、仁徳天皇陵は見えない、ということですか。

事業者

 そうですね。住宅地なので見えないですね。
 これは反正天皇陵から南を向いている状況で、手前側が反正天皇陵でございます。これを単純に人の目の高さで見ますと、まさしく住宅街の中で、住宅しか見えないというのが現状でございます。そのため、高架後も見えない、という状況でございます。

瀬川会長

 ここは、ちょうど断層の上なので、それがどこまで続いているのか、台地がどこまで続いているのかは、ちょっと認識できていないのですけれども、この方違(神社)さんや反正天皇陵とかは、台地の上にあるという、そういう配置になっていますね。

犬木委員

 良くわかりました。

瀬川会長

 では、犬木委員、2つ目以降をお願いします。

犬木委員

 先ほどの、榎小学校の所の工事のこととも少し絡むのですが、先ほどパワーポイントでご紹介いただいた、スライド5ページ目の榎小学校付近の断面図で、現状、掘割の形で(鉄道が)走っている訳ですけれども、その東側に関しては、法面は、垂直に切り崩していくような形になる、という理解でよろしいのでしょうか。

事業者

 この部分では西側に仮線を作ってまいりますので、仮線部分が現在線に近いところとなっておりますので、その分、東側の方に本線が現状よりも高架が寄ってくるというところになってまいります。そのため、今の法面のままでは当然もちませんので、一旦、垂直的な土留擁壁を施工したうえで、高架化の工事は進めていく予定になってございます。

瀬川会長

 犬木委員のご質問は東側の話ですか、それとも西側の話ですか。この絵で言うと右側なのか左側なのか。

犬木委員

 東側の方ですね。

瀬川会長

 絵で言うと右側ですよね。右の方の杭をどう打つのかとかそのあたりの話。
 この絵では、何というか、土で埋めて杭が立っているという感じですので、真ん中のあたりは、もっと地中深くまで(杭を)打つと思うのですが、そのあたりのことが、この絵では良く分からない、ということですね。いかがでしょうか、犬木委員。

犬木委員

 そうですね。お聞きしたかったのは、法面を削っていく段階で、埋蔵文化財が出てくる可能性というのは、無い訳では無いので、その辺が気になりましたので。あまり削らないで工事を行う予定なのか、あるいはかなり垂直に削ってしまうのかを、少しお聞きしたかったのと、西側の方は少し削っていますが、若干勾配がついた状態で「土留め」と書かれて、残っている絵になっているのですけれども、こちらは、垂直までは削らない、という理解でよろしいのでしょうか。

瀬川会長

 この場合は、波板鋼板を打って工事をするのではないかな、と思いますので、多少削ったり、穴を掘って打ち込んだり、ということになるのではないかと思います。そうなりますと、犬木委員がおっしゃる埋蔵文化財への影響、というのが想定されるけれども、そのあたりを考えているのでしょうか、という質問になるのかと思うのですが、いかがでしょうか。そういった立場で、お答えをお願いします。

事業者

 具体的な設計というのは、これからのところでございますが、当然、委員がおっしゃるように、西側に古墳がございますので、ご指摘を踏まえ、当然、文化財課や大阪府等とも協議をしながら、文化財等に影響がないような形で設計し施工を進めてまいりたい、と考えてございます。

犬木委員

 分かりました。適切にご対応いただければ、と思います。
 あと1点だけ、細かいことなのですが、要約書の97ページのところで、やはり今回、加わった部分かと思うのですけれども、「顕著な普遍的価値」や、「独特な葬送習慣の物証」、「儀礼のための使用の物証」など、色々と「」が付いた文言が載っていまして、考古学的には若干違和感のある用語もあるのですけれども、これらは世界遺産の書類の正式な文言を引用等して、それをそのまま使っている、ということでよろしいのでしょうか。

瀬川会長

 要約書の97ページで、「」付きの言葉が散りばめられているのだけれども、その「」付きの言葉の意味は、どういうことでしょうか。

事業者

 要約書97ページで、様々な独特な用語が使われているのですけれども、大阪府が事務局を務めております学術委員会や、イコモスから、世界遺産に対する様々なコメントをいただいておりまして、その中で使われている用語を、そのまま引用させていただいているところでございます。

犬木委員

 わかりました。以上です。

瀬川会長

 よろしいですか。では、次の質問に移りたいと思います。
 では、中川委員、よろしくお願いします。

中川委員

 要約書の111ページあたりに、安全面について書かれているのですけれども、ここでは、歩行者と車道は安全柵や植樹帯等で分けられている、と書いてありますが、基本的に全区間、歩道と車道というのは安全柵や植樹で分けられていると考えてもよろしいのでしょうか。

瀬川会長

 要約書の111ページのことですか。ここで書かれているのは、比較的大きな道路で歩道が整備されているという話のように見えるのですが。

中川委員

 下校中にも全区間にわたって歩道と車道が分離できるのかというところの確認なのですが、いかがでしょうか。

事業者

 要約書の111ページで示させていただいているのは、工事中の工事車両の想定ルートのところでございまして、基本的には、歩道が整備されている幹線道路を使って、工事車両を現地まで導く、という想定になってございますので、今、ここでお示ししている道路につきましては、基本的に、歩車分離されている道路でございます。ですけれども、先ほど、安全対策のところでも申し上げたように、基本的には、生活道路にはできるだけ工事車両は入れない、という形で工事の方は進めてまいりたいと考えてございます。

中川委員

 わかりました。ありがとうございます。

瀬川会長

 要約書110ページの図には「けやき通り」が入っているようなのですが、住民意見で、(工事車両の走行ルートとして)使って欲しくないような意見がありまして、それもなかなか難しいのかな、とは思うのですけれども、そういうことになってくると、工事現場に東側からアプローチしづらくなると思うのですが、そのあたりはいかがですか。

事業者

 繰り返しで申し訳ございませんが、詳細の工事設計はこれからというところもございますので、現段階で使うかどうかの断言はできないのですけれども、ご意見をいただいていることは認識しておりまして、ただ今おっしゃられた通り、東側から堺東付近に寄り付こうとすると、けやき通りが、歩道を有する大きな道路の一つでございますので、少しその辺も踏まえて、今後も検討の方は進めてまいりたいと思います。

瀬川会長

 ありがとうございます。中川委員もよろしいですか。
 では他にご質問があればお願いします。

中谷副会長

 無いようでしたら、私からよろしいですか。副会長の中谷です。
 まずは、騒音のところについてお聞かせいただきたいのですが、(スライド23ページの)「施設等の供用:踏切の除却」について、現況値と予測値が、ほぼほぼ変わらない結果となっています。詳しい計算のところまでは見ていないのですけれども、これは、車両(の交通量)がほとんど変わらない、ということですかね。確か、交通量は少し増えるというお話だったと思うのですけれども、違いましたか。

事業者

 1dB未満で増えているという予測結果でしたので、数字の表示の関係で、同じ数値になるのですけれども、0.いくつかぐらいは増えております。

中谷副会長

 ああ、その程度でしか増えないということなのですね。ただ、数値の関係上、同じになっていると。だから極端に車両の通行状態が変わる訳ではないと。

事業者

 その通りです。

中谷副会長

 後の説明にあった、二酸化炭素排出量は減る、という話は、ストップアンドゴーがなくなるからその分だけ減る、というそういう解釈でよろしいですか。

事業者

 はい、結構でございます。

中谷副会長

 では、次、2点目なのですけれども、低周波の所です。発表スライドだと、31ページのところなのですが、予測値は保全目標を下回っているという予測結果ですけれども、住民の皆さまは、どちらかというと、今と比べてどう変わるか、というところがすごく気になるのではないかなと思っています。実際の基準だけではなくて、そのあたりが、もう少ししっかりと評価した方が良いのではないかなと思うのですが。
 要約書の方だと、61ページに現況値が記載されていますが、現況が60の後半~70ぐらいで、(予測値は)80を超えるという判断になるのですかね。63ページのところの表6.4-5に載っているのは、別の場所の高架事例の調査値だと思うのですが、それと比較すると、あまり変わらないというように見えると思うのですが。やはり住民の皆さまは、今と(比較して)どのぐらい変わっていくのか、というところが気になるのかなと思いますので、そのあたりの見解はどうなのか、教えていただきたい。

事業者

 要約書で言いますと、61ページのところで示しているのが現状の低周波音の数値となっていまして、予測につきましては、南海本線や京阪本線の事例から推定させていただいております。その比較という形にはなるのですけれども、それで申しますと、現状よりは、低周波音というのは大きくはなってくるのですが、ただ、南海本線本線の事例ですとか、京阪本線の事例等からいきますと、予測値は、最大でも87dBぐらいに収まるであろう、というところで評価をしております。その結果、整合を図る基準値は下回っている、というところでございます。

中谷副会長

 基準値である90dBは下回ってはいるものの、結構近い値は取っていますよね。ですので、中には、今までは感じられなかったものが、感じられるようになる、ということが少し懸念されるかなと思うのですけれども。

瀬川会長

 今のところで、対策として、構造であったり、その後に敷設する軌道であったりとかで、対策を取るように書かれていますが、具体的な候補と言いますか、取り得るような方法というのはあるのですか。

事業者

 鉄道事業者である南海電気鉄道株式会社とも協議を進めておりまして、要約書には載っていないのですが、本編の方の6.4-8ページの、環境保全措置のところに記載しております。
 一般的に、低周波音というのが、鋼構造の桁が発生源になる、と言われておりますので、基本的には、対応可能なところに関しては、ラーメン構造であったり剛性の高い構造であったりを採用できれば、ということを考えていますのと、あとは、防振軌道を採用して、構造物からの低周波音の低減には努めていきたい、というようには考えております。また、低周波音の予測手法があまり確立されていない、ということもございますので、事後調査の方でも、そういったところは調査していきたいと考えております。

中谷副会長

 ありがとうございます。では、今の予測値というのは、そういった対策を加味した予測値では、逆に、無い、ということですよね。

事業者

 今、予測と申し上げてはいたのですけれども、南海本線事業の予測値は、実際に測定した値です。

中谷副会長

 実例からの予測で、実際はこのぐらいになるだろう、という予測だということですね。

事業者

 おっしゃる通りです。

中谷副会長

 わかりました。なるべく、対策は講じていただいた方がよろしいかと思います。

事業者

 承知しました。

瀬川会長

 よろしいですか。では、他に委員の方から、質問ございませんでしょうか。
 では、久末委員、お願いします。

久末委員

 1点確認したいのですが、特に、工期が20年ということで、工学分野、特に環境工学の分野では、SDGsに、何かしら言及するのが、昨今の状況なのですけれども、今回の事業につきましては、言及が、どこかでなされる予定なのか、あるいは触れないのかについて、教えていただきたいです。キーワードとして環境影響評価や都市計画がありますし、堺市としても、(SDGsに)精力的に取り組んでいらっしゃいますので、ゴール11にぴったりだと思うのですけれども、そのあたりいかがでしょうか。

事業者

 今回、環境影響評価というところで、特に、SDGsに基づいて、という記載をさせていただいている訳ではないのですけれども、上位計画として、堺市のSDGsの計画がございまして、そちらの方で南海高野線の事業というものを位置付けております。そちらの計画の中で、色々な方、例えば高齢者やお子様が安全に利用できる交通インフラを作っていきたい、という形で位置付けさせていただいております。

久末委員

 上位計画で言及があるということですね。わかりました、ありがとうございます。

瀬川会長

 久末委員に、今のお話で、お伺いしたいのですけれども、堺市自体は、そういう取り組みをされているということで、標榜されているのですが、こういう事業毎に、(SDGsのゴールに)貢献するということを意思表示した方が良い、というお話ですか。

久末委員

 今回の事業は、まさに、ゴール11(住み続けられるまちづくりを)にぴったり当てはまりますし、むしろSDGsは、積極的にアピールできる部分なので、工期が長いことからも考えますと、長い目で見ると、入れておいても良いのではないのかと思いました。初めの部分とかで、一言言及しても良いのではないかと思ったのですが、どちらでもよろしいかとは思います。

瀬川会長

 ご助言ありがとうございます。
 では、他にご質問等があれば、お願いします。では、少し場繋ぎで、私の方から。
 本日お示しいただいたスライドの34ページなのですが、「(10)-2コミュニティの分断(変化)(施設等の供用:踏切の除却)」の予測結果で、「踏切の除却に合わせて駅前広場等の都市基盤を整備する」とあるのですが、駅の周辺であれば、これは理解できるのですけれども、事業区域には駅以外の場所もありますし、そのあたりこそ、我々が心配しているところとなります。従って、この予測結果は、私には理解できないのですけれども、いかがでしょうか。

事業者

 表現を補足させていただきますと、当然、高架化に合わせまして、関連側道というものを整備させていただきます。この標準幅員は6mですので、2mを歩行者空間、4mを車道空間ということで、整備を計画してございます。合わせまして、駅前広場にも絡むのですが、浅香山の駅前広場からの取付道路であったりとか、あるいは大堀堺線を、高架化に伴って、関連事業として整備してまいります。現状、大堀堺線と大阪和泉泉南線の交差点は、西行き方向の右折レーンがございませんので、また、北側の交差点の、東西方向の横断歩道が無い、という現状もございますが、今回の事業に合わせて、右折レーンの整備であったり、横断歩道の整備であったり、これは警察協議の範疇にはなってまいりますけれども、現状、右折レーンが無いために横断歩道がひけない、というところもありますので、そういった関連事業とあわせながら、今般のところについても安全対策をしっかりと図りまして、コミュニティに影響が無いようにしていきたいと考えてございます。

瀬川会長

 理解はできるのですけれども、関連事業の話まで始めてしまうと、何がなんだか分からなくなってしまいますし、特にこのあたりは、もう少し前の段階の時に、駅前広場についての指摘があった時に、別事業だから、というご回答で収めたところもありますので、この事業の中での話にしていただくように、お願いしたいと思います。その立場で、こちらもご意見申し上げていくつもりですし、そのようにしたいと思いますので、その点、よろしくお願いします。
 では、委員の皆さま、ご意見、ご質問等、ございませんでしょうか。

中谷副会長

 スライドの35ページの、陸域生態系(陸生生物)への影響について、少しお伺いします。

瀬川会長

 簡単に言うと、「自然ではないので影響は無い」ということですね。

中谷副会長

 最終的な評価としては、それほど影響が無い、というのは、その通りだと思いますが、要約書を見た限りでは、それを言うための論理に、問題があるのではないかなと思います。要約書の方では、堺市全体での陸生生物の生息状況が示されていますが、そこから、事業実施区域は人為的な土地利用しかないから大丈夫です、というのは、少し論理が飛躍しているような気がします。せっかく堺市では、生物多様性について色々と取り組まれていらっしゃって、『生きものマップ』などもありますので、そういったものを見た上で、(事業実施区域では)報告事例が少ないとか、高架化すると、東西方向に生息域を分断する可能性はあるのですけれども、分断したとしても、現状では生態系のネットワークが構成されていないので問題無い、というような、そういった評価を、しっかりとされた方が良いのではないかな、と私は思います。

瀬川会長

 いかがですか。

事業者

ご意見を踏まえまして、検討してまいります。

瀬川会長

 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 他に、委員の皆さまから、ご意見等、ございませんでしょうか。では、少し、私の方から。
 景観のところなのですが、本日、スライドでお示しいただいた景観は、おそらく、一番影響の無い絵を選ばれたように、どうしても、思えてしまうところがございます。準備書本編の6.13-34ページを拝見しますと、(現況の絵は)堺市役所の広場前から東方向を見たところで、堺市駅のマンションが映っているのかなと思うのですが、こう見ると、(現況の絵は)古墳が見えている絵になっておりまして、見えるのかなと思って、本日、堺東駅で下車して、振り返ったところ、すでにペデストリアンデッキの屋根が整備されていて、下の状態(供用後)になっていて、もう隠れて、(古墳が)見えていないという状態でした。そうなると、(現況の絵は)現状を表している訳でもないし、どの段階の状況を表しているのかな、と思ってしまうのですけれども。(ここで示されている通りに)古墳が見えるのなら、良かったのになあと、ちょっと余計なことも考えながらだったのですが、もし、この絵の通りに古墳が見えている状態であれば、ここを高架化したらまずいぞ、と思うのですが、現状ではもう、ペデストリアンデッキの屋根で、(古墳が)見えていない状態になっており、更に、色々家も建っていることから、(古墳は)ほとんど見えないようになっているにも関わらず、変化の大きすぎる絵を出されているように思えます。
 また、その後、ずっと見ていきますと、懸念していたとおり、(6.13-46,47ページの絵を見ると)浅香山から堺東にかけて、非常に大きな高架ができる様子が見受けられて、このあたりは少し気になります。景観と調和するように配慮されていない、ということまでは申し上げませんけれども、やや影響はあるな、というように思えるのですけれども、いかがでしょうか。このあたりは、この後の住民の方々への説明会で、示されるのでしょうか。スライドで示されている絵だけを見せておくと、かえって後々、困ることになるのではないかと、心配しておりますが、ただ一方で、この後の、立ち退き対象の建物が想定されるような、かなり露骨な情報も得られるような絵になっていますので、なかなか、全ての絵をお示しするのは難しいとは思うのですけれども、スライドの写真だけで済ませるのはどうかな、と思います。いかがでしょうか。

事業者

 ご指摘の通り、このスライドの絵だけでは、偏った見え方にもなってしまいますので、説明会の方では、景観の項目で、模型も作成しておりますので、それを直接、会場にお持ちして、様々な見え方についてご覧いただければ、と考えております。

瀬川会長

 (高架構造物が)立派だと思われる方も、もちろんいらっしゃる一方で、少し想定外だったと感じる人もおられ、それが後になればなるほど、困ることになると思います。昨今、こういうことは、早めにオープンにするような状況だと思いますので、是非、よろしくお願いします。
 他に、委員の皆さまから、ご質問等、ございませんでしょうか。では、お願いします。

橋寺委員

 今の、景観のことに絡んだことなのですけれども、景観のところで、「周辺地域の景観と調和するよう配慮するので影響は軽減される」と書かれているのですが、CG(コンピュータグラフィック)の方では、今までの高架線路と、そこまで変わらない図が描かれているのですけれども、これはこれで良いのでしょうか。恐らく、出した時に、どこが配慮されているのか問われるのかな、と思うのですが、いかがでしょうか。

事業者

 今、VRであったり模型であったりで作らせていただいている構造物というのは、構造上、どのような形になるのかを示しているものでありまして、今後、詳細な検討や景観の事前協議、届出を行う中で、鉄道事業者とも協議しながら、景観に配慮したデザインにしていきたいと考えております。

橋寺委員

 ここは、デザインや構造を議論する場ではないと思うのですけれども、結構大きな構造物ですし、多分、色々な意見が出てくるのではないかなと思いますので、そのあたりのご説明をされた方が良いのかなと思いました。
 もう1点ですが、世界遺産の緩衝地帯については、問題ないとは思うのですけれども、古墳群というのは、広いところから見える大きなものですので、視点場というのは、色々な場所があり得ると思います。今回の高架線路も、やはり大きな構造物ですし、予想外のところで、景観上、結構な影響を及ぼすのではないかなと思いますので、そのあたり、慎重に扱っていただければと思います。

瀬川会長

 後半のご意見については、VRを作られていると思うので、それを使って、何かご説明いただけるかなと思うのですが、いかがでしょうか。折角、あそこまで作られているので。コメントでも結構ですが。

事業者

 おっしゃる通り、VRで様々な視点場から確認しておりますが、今、認識している範囲では、大きな影響はないと考えております。ただ、今後の検討の中で、景観が変わったりするようなことがあれば、そういったところも確認していかなければならないと考えております。

瀬川会長

 基本的には、(高架構造物から)少し離れてしまうと見えなくなってしまう程度の高さ、というのが全体的な様子で、これは、随分初期のころから、似たような意見や質問をしたりして、意外と見えないというか目立たないというのは、把握しておりますし、また、(事業者としても)しっかりと調べられているということは、あると思います。ただ、完全に、(見えない)かどうかということは、わからないですし、説明会等で色々な意見をいただくことは、重要かと思います。ただ一方で、間近で見た時は、結構威圧感があるという話で、このあたりも、随分前から、当審査会の方から対応をお願いしております。それは、先ほどの前半のご質問かと思います。ただ他方で、先ほどの低周波(音)の対策として、高架構造をしっかり作るということになりますと、場合によっては、周囲の景観とのバランスが難しくなります。そこで、どちらを選ぶのかということになりますと、おそらく、まずは、基準のある公害対策として、低周波(音)の方が、優先されるということになるのではないかな、と思います。その上で、ですけれども、景観への配慮としてできることが、具体的にあるのでしょうか。言うのは簡単ですが、なかなか難しいような気がするのですが。ここでおっしゃると、やることになってしまうので、そういった言い方をされる必要はないと思うのですけれども、色々な事例があります、ということはあるのでしょうか。

事業者

 事例ということまで踏み込んでこの場で用意はしておりませんが、堺市の方でも景観形成ガイドラインや、景観の審査会的なものもございますので、そういったところの基準やご意見等を参考にいたしまして、これから鉄道事業者の方とすり合わせを行い、どういったことができるか作り上げていくことを考えてございます。

瀬川会長

 橋寺委員、今の話だとあまり期待できないと思いますので、何かもう少し強く言っておいた方が良いと思いますがいかがでしょうか。

橋寺委員

 難しいとは思いますけれども、近景と遠景で比べますと近景の方が影響大きいですし、世界遺産の件で言うと、開発によっては(登録の)取り消しといった世界的な問題にもなったりするので、慎重な検討と色々な対策が必要なのではないかなと思います。

瀬川会長

 よろしくお願いします。
 では、次の質問ですが、田中委員、よろしくお願いします。

田中委員

 同じく景観のことで、少しお伺いしたいのですが、景観のCGを見ていますと、少し、緑の本数が少ないように思います。景観となると、構造物だけではなくて、例えば周辺の植樹であるとか、家屋であるとか、色々な要素があるのですが、家屋は仕方がないにしても、植樹については考慮できるのではないかなと思います。例えば側道においては、構造物を上手く隠して、威圧感を隠せるような植樹の仕方もあると思うのですが、植樹に関して、どのようなことを考えておられているのか、聞かせていただきたいと思います。

瀬川会長

 側道もそうですし、高架下も(同様の問題が)あるかと思います。
 ただ、CGは手間がかかるので、なかなか、CG上で樹を植えるのが難しいのかなと思うのですが、事業者からコメント、お願いします。

事業者

 側道ということで、ご意見をいただいておりますけれども、側道の標準の幅員が、環境保全の観点から6mという規定がございまして、その中で車道空間と歩行空間を、安全の観点から確保した上で考えますと、なかなか、植樹のスペースは難しい、というところがございます。

瀬川会長

 今のは、側道に、緑の空間を用意するだけの、余裕、と言いますか広さは、無い、ということですかね。

事業者

 そうですね。有効幅員というところで、やはり、安全上の観点の方が優先するのかなと考えております。ただし、標準的な6mよりも広さがある場所や、会長がおっしゃっていた、高架下の空間というところもございますので、そういったところの利用については、今後、検討して決定していくところでございますので、今のご意見を踏まえながら検討したいと考えております。

瀬川会長

 他に、委員の皆さまから、ご意見等、ございませんでしょうか。
 それでは、当初の予定の時間になりましたので、ここではこのあたりまでで、質疑応答は一旦、打ち切らせていただいて、その後はメール等で、ご質問を事務局の方に送っていただくという、今後の手続きに入らせていただきたいと思います。それでは、事業者の皆さん、本日は、ご説明及び質問へのご回答、ありがとうございました。ご退席をお願いいたします。

 
             【事業者退室】

 
 それでは、今後の審議の進め方について、事務局からのご説明をお願いいたします。

 
     【今後の審議の進め方について、事務局から説明】
 

瀬川会長

 ご説明、ありがとうございます。今の事務局からのご説明につきまして、委員の皆様から、質問等、ございませんでしょうか。

中谷副会長

 最初の質問事項の整理は、どのぐらいで、我々は、いつぐらいまでに質問を出せば良いのでしょうか。

事務局

 ご質問につきましては、随時いただければ、その度ごとに取りまとめて、事業者の方に投げかけさせていただきますが、検討結果(素案)を、10月に開催する審査会までに作成しなければいけませんので、9月頃までにご質問をいただけましたら、事業者の方から回答をいただき、検討結果(素案)に反映させられると思います。

中谷副会長

 大体で結構なので、目安をいただければありがたいのですが。

事務局

 最初の質問事項につきましては、9月4日頃までにいただけましたら、反映させられると思いますので、一つそちらを目途に、質問をいただければと思います。
 その後に質問いただいても、対応させていただきますので、随時、質問いただければありがたいです。

中谷副会長

 ありがとうございます。

瀬川会長

 今ちょうど、大学院入試と重なっている日程をご案内いただきまして、どうしろという話もありますけれども、あまり遅れない方が良いのですが、気づいたことは、随時、ご質問いただくということで、よろしくお願いします。ご質問がないよりは良いと思いますので、お願いします。
 非常に分厚い準備書ですので、開く気にならない、ということをおっしゃらずに。例えば、この工事の進展に伴って、どこに線ができて、という話が出ていたりします。先ほどの、犬木委員のご質問に相当するようなことも、(図は)かなり小さいのですけれども、あまり削らずに杭を建てるという、本当にこうなるのかはわかりませんが、描いてあります。
 また、仮線を作ることで、騒音の問題がどのように改善できるのかという話も、少し、以前よりは情報が増えております。まあ、パラパラっと見ていただければ。多分、見ていただいて一番びっくりするのは、景観のところだと思うのですけれども、他にもいくつか、気づかれることもあるかと思いますので、是非、お時間を見つけていただいて、この分厚い資料を眺めていただくということを、お願いしたいと思います。
 ご質問、他にございませんでしょうか。よろしいですか。
 それでは、これで、本日の議題は、全て終了ということになります。
 本日全体につきまして、何かコメント、ご質問等、ございませんでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、議事については以上とさせていただきまして、事務局に司会をお戻しいたします。

辻尾環境共生課長

 本日は、瀬川会長を初め、委員の皆様方には、大変お忙しいところ、ご審議を賜りまして、まことにありがとうございました。
 会議終了にあたり、傍聴者の方は、ご退席いただきますようお願いします。
 それでは、これをもちまして、令和2年度第1回堺市環境影響評価審査会を終了させていただきます。本日は、どうもありがとうございました。

以上

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