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令和元年度第2回堺市博物館協議会 会議録

更新日:2020年6月23日

日時

令和2年2月10日(月曜) 午後2時から4時まで

場所

堺市博物館 地階ホール

出席者

協議会委員

 中村浩会長、岩間香副会長、足立久美子委員、伊藤廣之委員、菅原真弓委員、谷晃委員、土橋ひとみ委員、森範子委員(欠席:山中浩之委員、吉川真一委員)

事務局職員

 須藤館長、志摩副館長、増田課長ほか

会議録

委員・事務局の紹介、館長・会長・副会長あいさつ

司会

 定刻になりましたので、ただ今より令和元年度第2回堺市博物館協議会を開催いたします。
 本日の出席者は委員10人中8人です。過半数の出席をいただいていますので、堺市博物館協議会規則第4条第1項により、協議会が成立していますことをご報告いたします。なお、山中委員及び吉川委員におかれましては、所用のため当協議会をご欠席される旨の連絡を事前に伺っております。
 現在傍聴の希望者が1人おられます。堺市博物館協議会規則第5条第1項により傍聴を認めてよろしいでしょうか。

全委員

 異議なし

司会

 それでは傍聴を認めます。でははじめに、館長の須藤よりご挨拶申し上げます。

須藤館長

 こんにちは。寒い中、ありがとうございます。本日ここに令和元年度第2回堺市博物館協議会を開催させていただきます。開催に当たり中村委員長、岩間副委員長をはじめ、委員の先生方にはご多忙の中ご出席賜り心から感謝申し上げます。
 本協議会は堺市博物館の博物館活動や事業展開の更なる進展・活性化に向けて本館が抱えております色々な課題や活動方針について、各分野の第一線でご活躍なさっておられます委員の先生方から、多角的かつ専門的なご意見やアドバイスを賜ることを目的にしております。前回の協議会では、色々な意見をいただきました。多言語ガイドの利用実態、館内案内の外国語表示、みはら歴史博物館の指定管理者制度移行などに対して色々な意見を伺いました。
 そして、議事でありました本館の茶室「伸庵」の利用については、皆様から積極的に実施すべしというご助言をいただき、前回の協議会以降これまでに9校566人の小学生が、茶の湯体験を実施することができました。
 さて、百舌鳥古市古墳群の世界遺産登録とそのガイダンス建築の中止に伴いまして、本館をガイダンス機能を備えた施設にするという案が持ちあがりました。そして市は、その予算として7500万円を計上しております。来年度に特別展示と、それから古墳関連コーナーのリニューアルを行う予定でおります。リニューアルに関しましては、すでに施工業者も決定され、これから基本設計を検討します。狭い空間ですが、研究成果公開の場という線は譲りません。大胆な展示替えを行い、入館者が巨大古墳の偉大な価値を再発見、あるいは再認識して理解を一層深めることができるような展示にしたいと考えております。
 本日の協議会におきましては、前回同様、堺市の「堺茶の湯まちづくり条例」に伴う本館の茶室の活性化を議事にしまして、皆様からのご意見を賜りたく思っております。後ほど、現在実施しております茶室の利用実態をご説明いたしますので、有効で楽しく茶室を活用できるような、そういうアイデアと方法をお教え願えればと思っております。本日の協議会は、短時間ではありますけれども本館の活動と運営などに関しまして、忌憚のない意見やご批判をお聞かせ願いたいと思っております。先生方からのご意見を今後の本館の企画運営に生かしていきたいと思っております。どうぞ、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

司会

 続きまして、中村会長より一言ご挨拶をお願いいたします。

中村会長

 失礼いたします。令和元年度第2回の堺市博物館協議会を今から開催させていただきます。前回第1回の協議会の時に出ました茶の活性化について、茶室の活性化あるいは茶の湯に関する問題、色々ご意見伺ったわけでございますが、その後、各小学校において茶の湯体験を実施されたようでございます。後でその実施状況もお伺いして、より良き茶室、茶の湯活性化、茶室の活性化に向けて、議論をして参りたいと思います。「茶」ということになりますと、岡倉天心の『茶の本』というのを私ども思い浮かべますが、岡倉天心が、明治の頃に日本というものを意識して、茶を通じてアジアの活性を図った、あるいは日本の活性ですね。日本を認めようということで、やった精神に則って、我々もせいぜい堺市から茶、お茶の活性化、お茶の茶道に対する、普及・啓発を図っていければと思っております。どうぞ忌憚のないご意見を賜りましたらありがたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

司会

 中村会長、どうもありがとうございました。それでは、ここからの議事進行につきまして、会長にお願いいたします。

議事1 報告

中村会長

 それでは、まず、議事1報告(1)「令和元年度第1回堺市博物館協議会ふりかえり」を、ならびに報告(2)「令和元年度展示事業・体験学習事業について」事務局から報告をお願いします。

増田課長

 失礼いたします。学芸課長の増田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、失礼ですが着座にて説明させていただきます。
 まず報告(1)、令和元年度第1回堺市博物館協議会ふりかえりについて説明をいたします。【資料1】をご覧ください。第1回協議会は、昨年の10月23日に行われました。議事としましては、まず、会長・副会長を互選していただき、報告として、(1)平成30年度事業報告と令和元年度の組織体制および事業について、(2)百舌鳥古墳群世界文化遺産登録後の博物館の動向について、(3)常設展示多言語音声ガイドの導入について、(4)みはら歴史博物館の指定管理者制度導入について、を報告させていただきました。
 このうち、常設展示多言語音声ガイドの導入につきまして、委員の皆様から、海外からの来訪者対策として、どこからどれくらいの人が来館しているか分析が必要。早めに対応策を講じる必要がある。多言語化はパンフレットや展示だけでなく、受付やトイレなどでも必要。などの意見をいただきました。どこからどれくらいの人が来館しているかにつきましては、入館者全体のなかで、申し訳ございませんが、把握はできておりませんが、音声ガイドの利用者を見てみますと、10月の導入以降、日本語の利用が339件、英語が50件、中国語が28件、韓国語が9件となっております。館内の施設における多言語化については、展示場内の説明やキャプションの多言語化も含めまして、後でご紹介いたします来年度のリニューアルの中でも、進めていきたいと思っております。
 「百舌鳥古墳群世界文化遺産登録後の博物館の動向について」もご意見をいただきましたが、こちらに関しましては、次の議題でご説明をいたします。
 続きまして、「令和元年度展示事業・体験学習について」ご説明をいたします。博物館の現在までの来館者数は【資料2】をご覧ください。1月末現在で、茶室利用者を含めます全来館者は251,649人となっており、昨年と比べまして約2倍の数となっております。【資料3】をご覧ください。展覧会ごとの観覧者数を記載しております。ここにあります観覧者数は、実際に展示場に入られて観覧された方の数になります。また来館者数は、百舌鳥古墳群シアターの観覧や地階の体験学習コーナーのみをご利用いただいた方も加えた数字となっております。次の【資料4】をご覧ください。【資料4】では体験学習会の参加者数を挙げております。現在までに計13回開催いたしまして、合計1,527人のご参加を得ております。【資料4】裏面には、博物館を出ましたアウトリーチ活動の実績となっております。他の博物館や堺市の施設などで体験学習ブースを設けまして、昨年までの数字ですが、6回開催し165人の参加をいただいております。以上でございます。

中村会長

 はい、ありがとうございました。今のご報告に関して、何かご質問・ご意見ございましたら挙手をお願いいたします。何かございませんか。

岩間副会長

 よろしいですか。館外体験学習という部分で、他所の館に行って何かやっているということですが、これは面白い試みだなと思います。反対に他所の館からもこちらの堺市博物館に来て何かされる、ワークショップをするということはあるのでしょうか。

柿沼係長

 主に泉州・紀北ミュージアムネットワークの連携で、こういったワークショップ中心に行っていますのと、あとは堺商工会議所の関係で、外に出るワークショップを行っていますが、他館からこちらに来ていただいてワークショップを行うというのは今のところ出来ていない状況なのです。今後はこちらから出て行くだけではなくて、できれば泉州・紀北ミュージアムネットワークの連携の中で、今後は他館から来てもらってということも、検討しているところではあります。

岩間副会長

 はい、ありがとうございます。

中村会長

 ほかにございませんか。どうぞ。

菅原委員

 海外からの来訪者に関する質問をさせてください。音声ガイドの利用を元に数値をお示しいただいたのですが、外国人の方へのアンケートはお取りになっていらっしゃいますか。例えば紙ベースであるとか、そうでなくても、サイトで出来るようなアンケートとか。それが多言語化されているのかとか、多言語化というのがテーマですので、それを把握するためにも質問させていただきます。

増田課長

 アンケートは、常時設置はしておりますけれども、残念ながら日本語のアンケートのみですので、海外から来られた方がアンケートにお答えいただくということはしておりません。他館では簡単にどこから来られたのかを、何かボードで書いたりするのは見たことはありますけれども、今のところうちではそういったところまで対応できていないのが現状でございます。以上でございます。

中村会長

 ほかにございませんか。それでは、報告(3)「令和2年度展示事業計画等について」と報告(4)「博物館リニューアルと世界文化遺産ガイダンス機能について」を、事務局の方から説明を願います。

増田課長

 それでは次の議題について、ご説明させていただきます。報告(3)番「令和2年度展示事業計画」について説明をさせていただきます。それでは【資料5】をご覧ください。来年度の、堺市博物館およびさかい利晶の杜での展覧会スケジュール案を挙げております。来年度の特別展は、10月から12月にかけて「海を越えたつながり-倭の五王と東アジア-」という仮称でございますが、韓国からも資料を借用し、古墳時代当時の東アジア情勢の中で行われた交流を、考古資料の数々でご覧いただきたいと考えております。企画展では、5月から8月に、当館の館蔵資料による「博物館には何がある?堺市博物館コレクション展」を開催いたします。当館にも数々の優れた館蔵資料がございますが、意外に当館で展示する機会が少ないものもあり、それらを一堂にご覧いただきたいと考えております。また、30年前ほどに作製しました堺市博物館優品図録1というのが現在絶版となっておりますので、それをリニューアルし、刊行したいとも考えております。9月の「聚楽第行幸図屏風修理報告 豊臣秀吉と堺」は、昨年度に修理をいたしました館蔵の「聚楽第行幸図屏風」について、新たに得た知見がございますので、それを紹介するとともに、改めて秀吉と堺の関係を考える展覧会といたします。令和3年の1月から3月には、いつものように現在も行っております教育普及展「むかしの暮らし」を、また、3月からは平成31年3月に重要文化財に指定されました、「和田家文書」を紹介します企画展「和田家文書からよみとく南北朝期の和泉・河内」を開催いたします。
 さかい利晶の杜では、学芸課の企画展としまして、5月からの没40年「郷土画家岸谷勢蔵-晶子のふるさと堺の風景-」、12月から2月にかけては与謝野晶子の企画展として、晩年の与謝野寛・晶子が情熱を注いで発刊しました雑誌『冬柏』の刊行90年を記念した展覧会を、2月から3月にかけては、堺出身の洋画家、高林和作の絵画・画業をご紹介する展覧会を開催する予定です。
 続きまして、前回の協議会でも、皆様からご意見をいただきました報告(4)「博物館リニューアルと世界文化遺産ガイダンス機能について」は副館長よりご説明をいたします。

志摩副館長

 礼いたします。前回の博物館協議会の際に、仁徳天皇陵古墳拝所横にありますレストラン「いろは」と博物館を、百舌鳥・古市古墳群のガイダンス施設として取り扱うとご報告をさせていただきました。その際に、今日はご欠席ですが山中委員さんから「予算的なことはどうなるんだ」とのご意見をいただきましたが、去年の12月の議会におきまして博物館のリニューアル工事として5,000万円の補正予算を上程することができました。大仙のレストラン跡を含めますと先ほど館長が申しましたように、7千数百万、この額をもちまして、今年度から来年度末までにかけてこの博物館のリニューアルをしていきたいと考えております。ちょうど先般、1月30日にその選定業者を選ぶ選定委員会を行いまして、プロポーザル方式によりまして、トータルメディアさんに決定いたしました。この際、選定委員として、この協議会の会長であります中村先生にも委員として審議をいただいたところでございます。
 今後は次年度に向けた博物館のリニューアルを実施していきますが、年内には構想を策定いたしまして、ちょうど来年の1月くらいから、しばらくこの館を若干閉めるような形になるかもしれませんが、館のリニューアルを図っていきたいと思っております。基本的な考え方ですが、拝所横のレストラン「いろは」につきましては、ガイダンスの導入部分ということで、ここでは学術的な視点から百舌鳥・古市古墳群を紹介していきたいと思っています。
 また、百舌鳥・古市古墳群だけではなく、全国16万基の古墳や、さらには東アジアとの関係も踏まえた展示も行っていきたいと、今思案しているところであります。子どもの方から古墳の知識の豊富な方まで、幅広い層の方に楽しんでいただけるような工夫もして参ります。この進捗状況につきましては次回10月位を予定しております来年度の博物館協議会におきましてご報告をさせていただきたいと思っております。
 次に大仙公園エリア全体の整備に関してですが、これにつきましても、現在副市長を中心としたプロジェクトチームを作っておりまして、大仙公園全体、具体的な内容としましては、この公園にある、いこいの広場、日本庭園など公園内の整備とともに、博物館、中央図書館、また堺市駅にあるミュシャ館なども含めた文化教育施設の将来構想について、現在まとめる作業に入っております。今月中には一定の方向が出るのではないかと聞いております。これにつきましても、資料が公表され次第、各委員の方にもご報告させていただきたいと思います。以上でございます。

中村会長

 ありがとうございました。世界文化遺産ガイダンス機能については、今ご説明ありましたようにガイダンス機能と研究機能の分離ということ、そして博物館の中での展示が、古代部門と中世以降の部門が、うまく繋がるようにということなどがプロポーザルの委員会に出されました。その上でトータルメディアが落札業者になったわけでございます。ただ、従来博物館の展示をやっております業者とは違いますので、その点がやや気がかりな部分はございますけれども、その辺りは学芸の方できちんと調整していただいて、より良いものにしていただければと思います。この点につきまして、リニューアルと世界文化遺産ガイダンス施設について何かご質問ございませんか。

岩間副会長

 よろしいですか。さきほどの副館長の話では、考古の辺りを大きく変えるという話だったのですが、トータルメディアが落札業者に決まったと言うことは何か案が出されたと思われます。まあ次回ご説明いただけるということなのですけれども、ざっくりとどんな感じなのか、考古に重点的に変えるのか、それとも全体的にやはり、中世近世の部分も変わるのかと、少しお話いただけたらなと思います。

須藤館長

 はい、リニューアルに伴う展示の改変に関しましては、世界遺産登録というのは大きなモチベーションです。したがいまして、それに応えるにはどうしても考古、古代のコーナーが重点的な展示替えということになると思います。その関連で今、中村会長からありましたように、中世以降のものも視野に入れて展示替えをする必要があるか、その辺は基本設計の中で検討していきたいと思います。とにかく5,000万円という予算ですので、新しいものを大きく取り入れたりは出来ないんじゃないかと思っておりますので、予算との関係でやはり考古の部分をより重点的にしていきたいと、は思っております。

志摩副館長

 ちょっとすみません。先ほど少しご説明が漏れておりました。【資料6】をご覧いただきたいのですけれども、博物館リニューアル工事位置図という、博物館の図面が載っているところですけれども、よろしいでしょうか。この中で今回のリニューアルの対象となる場所は、この少し黒くなっております入口出口の部分、休憩室の部分ですね。それと、地下の学習室の隣なのですが、この無料ゾーンについては、基本的に世界遺産のガイダンス機能を盛り込んでいきたいなと思っております。そのあと、館長が申し上げましたように、常設展示コーナーの古代のコーナー、これについてもあわせて、ガイダンス機能を付加していきたいと思っております。以上です。

中村会長

 他、何かございませんか。

土橋委員

 すみません。

中村会長

 はい、どうぞ。

土橋委員

 報告(4)ではなくて報告(3)の令和2年度の展示事業計画について、お伺いしてもよろしいでしょうか。資料を拝見いたしますと、堺市博物館とコーナー展示とそれから利晶の杜ということで、三本柱になっているのですが、みはら歴史博物館の方は特別展や企画展とかそういうのは今後予定されないということでしょうか。指定管理の制度の中で学芸部門も新しい事業者さんがされるということですから、もうご説明いただいたかもしれないのですが、そこが少しわかりにくくなってしまいましたので、ご説明いただければありがたいです。よろしくお願いします。

志摩副館長

 みはら歴史博物館につきましても、今年の4月からご案内のように指定管理の方で実施させていただきます。ただ、学芸部門につきましては引き続きこの博物館が直接直営で行いたいと思っております。具体的には、みはら歴史博物館には甲冑でありますとか、河内鋳物師の継承でありますとか、文化財としても非常に重要なものがございますので、そういったものの修復とか普及とかいうようなものにつきましては、引き続きこの博物館が行っていきたいと思っております。ホールもありますし、あと館の管理運営については、指定管理者制度の中に入れていきたいと思っております。
 特別展や企画展につきましては、現在のところ開催はしておりません。今後どのようにしていくのかにつきましては、今後の課題であると思っておりますけれども、基本的に所管は博物館で、指定管理者外の業務になると思っております。今後は指定管理者と色々と調整していく中で協力しながら色々と事業をやっていきたいと思いますが、現状におきましてはそういう形で進めていきたいと思っているところです。

中村会長

 他に何かございませんか。

伊藤委員

 先ほどご説明いただきました、博物館の展示関係のリニューアルについてなんですけれども、博物館の閉館の時期も生じるというお話でして、年度が終わっての閉館になるのでしょうか。来年1月くらいから閉館というご説明でしたけれども、やはり長期の閉館ということになるのでしょうか。ちょっとお聞きしたいなと思います。

志摩副館長

 まだこれから具体的には詰めていきたいと思ってはいるのですが、うちの博物館はご存じのように入口と出口が別のところになっておりますし、古代コーナーと無料ゾーンなど、一定の区画がその対象となっております。ちょうど、後ほど今日ご案内させていただきたいと思うのですが、年始めから三月初めまではちょうど「昔の暮らし」という展示やっております。これにつきましては出口付近で展示やっておりますので、今少し考えておりますのは、「むかしの暮らし」をやっている期間くらいにリニューアルをしたいなと。そして「昔の暮らし」の展示が出口付近の展示になりますので、その部分についてのみオープンできないかと、そのように考えております。最終的にどういう風にやっていくことになるかというのは、もう少し詰めていきたいと考えております。完全休館にするつもりはございません。

中村会長

 はい。森委員。

森委員

 博物館自体の中のことということではないのですが、外の喫茶「いろは」ですね。お茶をいただくところが閉館になるということを聞いておりますが、この博物館の中に、くつろぎスペースのようなものは無さそうな感じなので、今後どうなるのかということ。あと、お手洗いのスペースが、現状維持なのでしょうか。あと、この博物館に関連する書籍だとか、ステーショナリーグッズの販売だとか、それも含めて博物館に移行できれば、売り上げも含めて宜しいかと思うのですが、少しソフトの部分が全く見えないというか、私が気づいていないところに密かに隠されているのか、いかがなのでしょうか。

志摩副館長

 まず1点目から。くつろぎスペースでございますけれども、いろはさんが無くなるということで、3月末で一応契約が切れますので、それに伴いましてそこをガイダンス施設に改修していくということなのですが、現在この大仙公園内にそういう飲食機能を誘致しようということで動いております。具体的には、まだ、どこに何というのが決定した訳ではありませんが、いろはさんが無くなってそういう飲食がなくなるということなので、別にそういう機能を持たせていきたいなと考えています。ただ、博物館の中につきましては、休憩コーナーというのがその図面の中の池沿いのところにございます。で、なかなかここに飲食というのは置きにくいので、現在博物館の中では自動販売機を置いているだけということで、そこで、くつろいでいただこうかなという風に思っています。
 トイレにつきましては、去年、博物館の展示室内のトイレの改修を行いました。で、今、展示室内と事務棟内、それとここの地下のところにトイレを設置しておりますけれども、これはついても改修したというところであります。
 それから3点目の書籍・グッズの販売についてですが、この先ほどの【資料6】の図を見ていただきますと、ちょうど今のグッズ売り場のところにつきましても今回のリニューアルの対象地、対象場所としております。直接的ガイダンスとの関わりはございませんけれども、そういった機能を付加する上でこのグッズコーナーというのも、もう少し充実できたらなというのも、視野の中には入れております。今後どういう形にしていくかは、業者さんとも相談した上で、うちの職員も一緒になって考えていきたいという風に思っております。

森委員

 はい、ありがとうございました。

中村会長

 他に何かございませんか。一応、今ご報告がありました「令和元年度第1回堺市博物館協議会ふりかえりについて」は、添付されております資料をご覧いただければと思います。「令和元年度展示事業・体験事業」についても併せて、表がございますので、それをご覧いただければと思います。それから「令和2年度事業計画」これは【資料(5)】に書かれております。それから、「博物館リニューアル、世界文化遺産ガイダンス機能について」は、この博物館そのもののリニューアルで、予算5000万で地下のスペース、それから各コーナーを整備するというのはちょっと無理があると思います。せいぜいパネルを作るという程度で終わってしまうのかなと思いますけれども、できるだけ知恵を絞って、学芸の方あるいは職員の方、共々知恵を絞って、できるだけ博物館のリニューアルにふさわしい内容にしていただければと思います。ガイダンス機能についても、全体、これもあくまでもガイダンス施設ということですね。プロジェクトチームの計画が公にならないとコメントしにくいですけれども、くつろぎスペースなども含めて考えていただければと思います。

議事2 案件 茶室の活用について

中村会長

 では、案件2の「茶室の活性化」というところでご意見を賜りたいと思います。前回、賜ったご意見は資料別紙、令和元年度第1回協議会、茶の湯に対する意見ということで各委員からの話がございます。これに加えて、より実効性のあるものにするにはどうしたら良いのかというようなことも含めて、ご議論いただければと思います。その前にこの茶室利用に関して資料がもし事務局にございましたらご披露いただきたいと思います。

増田課長

 それでは案件「茶室の活性化」についてご説明をいたします。【資料7】以降をご覧ください。こちらに関しましては前回の協議会でも取り上げていただきましたが、そこで紹介しました茶の湯体験プログラム、現在までに7校に来ていただいております。【資料7】には、1月までの7校を挙げさせていただいておりますが、その後2月にも4日と5日にもそれぞれ1校ずつ来ていただいておりまして、来週18日にはもう1校来ていただける予定になっておりまして、現在9校来ていただく予定で、あと1校が18日に来ていただきます。この茶の湯体験プログラムは、堺観光コンベンション協会に委託している事業でございまして、堺市茶室伸庵を利用して行います。前回ご覧いただきました茶室伸庵を利用して行います。
 具体的な方法をご紹介いたします。【資料9】をご覧ください。具体的な方法としましてはまず、体験する児童の皆さんには広間ですね、この前見ていただいた大きな部屋、広間に集まっていただきまして、茶室の先生方に茶の湯について簡単なお話していただいた後、お点前の実演を説明しながら見ていただきます。次に2つのグループに分かれて、一方は別の部屋に移動して実際にお茶を点てて運び、お客様役のクラスメイト、もう1つのグループですね、お客様役のクラスメイトにお出しして、また運んで片づける、ということをします。お客様役のグループの方は待っている間に、床の間など茶室について、礼の仕方であるとか、畳の歩き方、お菓子の取り方などの説明を受けて実際にお菓子をいただく、ということになります。そして、そこへ別の部屋で点てられたお茶が運ばれてきてそれ飲む、そしてお茶を飲んだら必ず感想を言うということになっております。それを交代して実施するということになります。アンケートを色々と出させていただいておりますけれども、概ね好評を得ているものと考えております。来年度以降は広く堺市の学校に声がけをして参加校を増やしていきたいと考えております。
 また、【資料8】にございます、こちらの方は現在堺市の他の部局でお茶に関する事業を表にして紹介してございます。ご覧のように、それぞれの担当で、それぞれの施設で様々なお茶に関する事業を開催しているということになります。その中で当館の茶の湯体験プログラムに関しましては、実際の茶室を使ってお茶を点てて飲む、そういったことで好評をいただいているものを考えています。説明は以上でございます。

中村会長

 どうもありがとうございました。前の【資料1】別紙各委員から茶の湯事業に関する意見を伺っていきたいと思います。谷委員、前に居住空間、共有空間、専用空間の話をされましたけれども、それに対しての実施要綱との関連でご意見ありましたら。

谷委員

 今のご質問に直接関係はないかと思いますが、基礎的なことでちょっとお尋ねをしたいのですが、これは、今の説明では堺コンベンション協会へ委託をしているということですが、それはそれとして良いのですが、学芸員はこの事業にどのように関与されているのですか。

柿沼係長

 推進係長の柿沼でございます。よろしくお願いします。学芸員の関与につきましては、茶庭の方のご案内を学芸員が行うということと、あとは2クラス以上になる場合に、1クラスは待ち時間がございますので、博物館の展示の説明をするということで、学芸員の方が関わっています。

谷委員

 ということは、言葉は適当かどうかわかりませんけれども、お手伝いをなさっていると。実質的には。

柿沼係長

 お手伝いと言いますか、この茶の湯のプログラムのその実施要項自体には学芸員が加わっていまして、学校の関連で動いていただいている、教育普及の先生方と一緒に組み立てたものですので、プログラムの全体について学芸員が関与している形にはなります。

谷委員

 実際に、それをされている場合の内容のチェックなどは、学芸員がずっとその場に立ち会われているわけですか。

柿沼係長

 全てではございませんが、立ち会えるときには立ち会って、その進行の方を見ているという形です。だんだん茶室の先生方も進行について慣れてきたところがございますので、ずっと付いているという訳ではございません。

谷委員

 というのは、茶の湯というのはなかなか複雑なものですので、実際にそれを今の言葉では、お茶の先生、実際に茶をやって、あるいは教えておられる方の、その人たちはいずれかの流儀に属して、点前を十分習得して、そしてそれを伝達しているということをされているわけですね。
 博物館の学芸員としてはそういった方たちとはちょっと違った立場に自ずとあるわけでして、言ってみれば実践と研究あるいは教育ということになるかと思いますが、そういったところで、学芸員が、特に堺の博物館は茶の湯を1つの柱にしたいというようなことを伺っていますし、ですからその学芸員、担当されている学芸員の意向なり考え方が十分に現場に行き届いているのかどうか、ということを少しお尋ねしたかったわけです。

柿沼係長

 この茶の湯プログラムを始めますときには、実施から進行につけてちょっと心配なところもありましたので、学芸員が複数つきまして、進行状況を見ながら、お茶室の先生方と協議しながら、今、9校体験していただいたプログラムは、実践に基づきながらその作っていったというところが実際にはございます。

谷委員

 他のご報告などを伺っていますと、ここの博物館の学芸員大変だなあ、労働過重じゃないかと思うのですが、それで更にこういうプログラムをやっていかれると、負担が増えるわけです。大変は大変なのでしょうが、やはり大変だから、委託先に丸投げするのではなくって、少なくともともに学ぶというような姿勢を貫いていかれることを期待したいと思います。

柿沼係長

 検討していきたいと思います。

中村会長

 ありがとうございました。前回、保護者の参加、あるいは市民の参加、留学生の参加、男性の参加、シニア世代の参加、ということで森委員とそれから土橋委員が発言いただいたのですが、その点今日のご報告をお聞きになって森委員どうでしょうか。

森委員

 ちょっと残念だなと思うのは、お茶を子どもたちや客人になる方たちが楽しまれるのだと思うのですが、例えば器の説明など違った角度から、学芸員の方が更に興味が出るように何か工夫されるのはいかがですか。例えばそのお茶会をする前に何かプレビデオか何かを作っておいて学校で見てもらって、それを学んだ上でこっちに来ていただくとか、何か一工夫は必要かなと思います。ただ、ご案内をされるだけではちょっともったいないかなという気持ちもいたしますので。気持ちが乗ってくるにはどうすれば良いかなというスパイス部分が必要かなと思いました。

土橋委員

 まず子どもたちに、これは学校教育という中での体験だと思うのですが、学芸員の皆様は学芸員の立場から、学校側はやはり学校教育の立場から茶の湯の体験をどう生かしていただくのかと。全て学芸員や博物館の方々とかコンベンション協会の方にお任せではなく、学校側としてもこの茶の湯体験を、どういう風な学校の授業の中に位置づけてもらうのかを一緒になって考えていただいた方が継続的に続けることに繋がります。今回ご協力いただいたのが9校だとのことで、これから広げていかれようと思ったら学校側にもプログラムについてご意見を聞くなり、アンケートは取っておられるのですが、事前の学習も可能であればしていただくとかも含めて、一緒に検討された方が良いのではと思います。学校教育の方も社会に開かれた教育課程ということで、地域の協力を得て学校教育をやっていくということを始めているようです。せっかくの堺にとって貴重な財産ですし。もちろん茶の湯の体験というのもすごく大事だとは思うのですが、1回行って終わりということではなくて、もう少し継続的に、そのご意見を聞かれたら次年度以降さらに充実するのではと思います。それと、前回は色々な方をターゲットに絞ってやって行かれたらっていうことでしたが、子どもたちのこういう活動が今後そういった広がりを作るときの1つのベースにはなるのではないかと思います。新鮮な立場で感覚もフレッシュな子どもたちなので、そういった子どもたちに受け入れられるようなプログラムであれば、例えば年代が違っても、シニアの方でも何か訴えるようなものができるのではないかなと思います。せっかく始められたので、1つ1つのことを掘り下げていかれるようなことも、学校と一緒にやっていかれたらいいんじゃないかなと思います。

中村会長

 ありがとうございます。学校現場との協同ですね。伊藤委員はこの前、いろんな身体的な問題を抱えた方が利用されるんだ、バリアフリーの問題というのを取り上げられているのですが、これについてもうちょっと。

伊藤委員

 新年度から本格実施という位置づけになっているということで拝見しているのですが、色々な支援の学校の方も来られるかもしれないということもありますので、伸庵へのアプローチのところができるだけスムーズな方が良いのかなというお話を前回させていただいたということです。ちょっとお聞きしたかったのはここ本格実施、この表を見ていますと、【資料8】一覧表の中の29番の茶の湯体験プログラム、ここを今ご説明いただいているところですね。300万強の予算で今年度はされてきたということですが、次年度からは何人ぐらいマックスで想定されているのか、ちょっと知りたいなと思いました。

柿沼係長

 予算規模としましては、これよりちょっと少ないくらいの予算になりますが、まだ全体の何校受け入れかというところが、実際に今受けていただいているコンベンション協会の状況も踏まえながら何コマ受けていただけるのかというところを今少し相談しているところでして、令和2年度何校の受け入れ、というところまでは明確に数値は出せてはいないです。

伊藤委員

 【資料7】によると新湊小学校の参加があったようですが、このあたりは特にアプローチは問題が無かったのでしょうか。何かお気づきの点がありましたら教えていただきたいと思います。

柿沼係長

 最初支援学級の受け入れについては、少し心配はしていたのですが、それぞれ茶室の先生あるいは学校の先生、学芸員も付きまして、丁寧に所作とかをお伝えしながら、さほど心配なく進められたというところです。ですから来年度実施に当たりましては、支援学級の方にも積極的にちょっとお声がけをして、利用していただけたらということを考えております。

中村会長

 よろしいでしょうか。足立委員、今までの話聞かれて、何かご質問とか提案とかございませんでしょうか。

足立委員

 やはり、限られた人数の中でいろんなプログラムをこなしていくっていうのは本当に大変だなって思います。今まちづくりの世界でも身の丈にあったまちづくりとか、身の丈にということを最近よく言われます。そういう感覚ってすごく大切だと思います。そういう中で何ができるのかなっていう時に、やはり現場の声ですね。今回このアンケートを見させていただきましたら、(10)のところに、「今回茶室だけではなくて、庭や茶室のことも学べる、社会や学習の場にもなると思ったから」という意見がありました。そして、「また続けますか?」という質問に「はい」と答えられた。多分こういう風な意見をどう吸い上げるかっていうこと。おそらく意識の高い先生が書いておられると思うんですよ。例えばそういう方に直接もっと意見を聞くとか、アンケートをただ取って終わりっていうのではなくて、これをどう活用するかっていうことを考えていくっていうのが、身の丈に合った路線の1つじゃないかと思うんです。こういう声をちゃんと吸い上げて、じゃあどういうことが出来るだろうかということで、それを次回にいかしていく。私はただお茶の体験だけだったら世の中いっぱいあると思うのですよね。でも博物館でということになると、何を学んでいくかっていう、単なるお茶体験だけじゃないところに意味がすごくあると思うのです。1行書いてあるだけのことですけど、やはりここに食いついて、「どういうことなんやろ?」っていうことを考えていくっていう、そんなことを多分繰り返していく中で、ここならではの体験プログラムっていうものが徐々に作りあげられていくと思います。すぐにはできなくても、ゆっくり作り上げていくという気持ちで取り組まれたら良いんじゃないかなと思いました。

中村会長

 ありがとうございました。菅原委員。

菅原委員

 アンケートを拝見していて、社会科の授業だけではなくて、総合学習の一環、様々な時間を使って来てくださっているというのがわかったのですが、これは事前に学校の方との打ち合わせとかを出前学習みたいな形でされたりとか、してらっしゃるのかなあというところをまず伺いたい。

柿沼係長

 出前学習は行っていないです。ただ学校関連を調整していただいている先生方がお二人いらっしゃいますので、学校とのその事前の調整につきましてはその先生方と行っているというところではあります。

菅原委員

 堺市に居住したり就学している児童の皆さんは、堺の歴史と茶の湯の関係というのは、冊子であるとか学びの教科書というか、独自な教科書で学んでいらっしゃるのですか。

柿沼係長

 「堺スタンダード」という形で、茶の湯については各学校で冊子にて学んでいるというところであります。

菅原委員

 ありがとうございます。私はこれを見ていて先ほど様々な先生方がおっしゃっておられたように、お茶飲んでお菓子食べておしまいではないその背景の部分、先ほど足立委員の方からもあった背景の部分や周辺の部分というのをなるべく取り入れた、少なくとも博物館がやるのであれば、お軸を拝見する場面であるとか、茶器を鑑賞する場面であるとか、そのどこかのお茶室ではなく、博物館のお茶室だっていうのを、まあ本物はなかなか難しいと思うんですけれども、取り入れられるのかなと。そこまで含めての茶事ではないかなあとも思いましたので、博物館ならではのという、そのような美術品の鑑賞、茶器を美術品と言うとお茶事の方では怒られるかもしれませんけれども、そうしたことも含めたものとして、小さな変化かもしれませんが、それを重ねて行かれたら博物館らしいのかなという風に伺っていて思いました。感想ですみません。

中村会長

 ありがとうございました。岩間副会長。

岩間副会長

 もう諸先生方がもうすでに仰ったことの繰り返しになりますが、アンケートの文章を読んでいると、時間をもう少しコンパクトにとか、11時45分には出ないと、のような意見があり、時間が少しきつかったのかなというような気がいたしました。全部で45分ということなのですが、やはり45分というのでは間に合わないことが多いのでしょうか。

柿沼係長

 どうしても学校の正規の時間帯の中に組み込んでいますので、本当に学校はきっちりした時間でないと、昼食の時間に遅れるとか、あと帰る時間があまり遅くなっても、その後の授業とかに響いてきます。そのあたりがちょっと厳しくタイムスケジュールを組んでおられるなというところですので、このプログラムを進めるにあたっても、時間の把握っていうのが結構シビアに考えないと、学校の方にご迷惑がかかるなというところではありました。

岩間副会長

 そうですね、そうすると例えば複数のクラスで来ているところにやはり時間がかかったりするかもしれませんね。例えば4クラスで来てくれている小学校がありますが、少し人数に定員制限を設けるとか、あるいはその森先生が仰ったようにプレビデオで事前学習をしていただくとか、何かこううまく運ぶ工夫が必要かなと思いました。ただそうするとプレビデオは何を使うんだとか、こちらで作るのかという問題があります。大変ではあろうとは思うのですが、少しずつ出来るところからやっていただけたらなと思いました。以上です。

中村会長

 ありがとうございました。谷委員が前に仰ってた畳文化の理解とかそういうことも含めて何かちょっとその畳文化とか昔の文化に触れるというアンケートの結果が出ておりませんので、なんかこういうのをもう少し出せる方法はないでしょうか。

谷委員

 具体的には前回申し上げたように「伸庵」は、茶室として建てられた建物ではなくて、居住空間ということを多分に意識して設計されている建物です。ですから、茶の湯に関してのみの利用というだけでないのであれば、「伸庵」の建物の機能とかそういったものを十全には利用尽くせないところがあるわけです。ですから、その設計者が居住空間として作ったそのところにあるものをくみ取りながらどういうことが出来るかというところを考えることが、前回私が申し上げました茶の湯に限らず畳文化というようなもっと広い視野で利用を考えられたらいかがかというところに結びつくわけです。ただそれは大変難しいことでありますので、まず手始めには、足立先生が仰ったような、単なる茶の湯体験ではなく、それにプラスされたもの、あるいは菅原先生が仰られた博物館ならではのプログラムというものはどういうものがあるかということを考えていけば、自ずと方向性は出来てくるんじゃないかという気がします。ただし、私が感じていることでは、そういったことになってきますとこれは学芸員の負担が非常に増える訳ですね。そして、その専門知識、茶の湯に関するあるいは日本文化、畳文化に関する専門知識を持った学芸員がそういったことを企画したり一緒にしたりということが必要になってくるということになりますので、これはちょっと高望みかもしれませんし、現状では難しいということを言われるかもしれませんが、やはりそういう茶の湯あるいは日本文化という知識を持った学芸員を1人配置される、新規採用の場合にはそういった条件をつけた採用ということを考えられた方が良いんじゃないかという気がします。私は茶の湯文化学会という学会にずっと携わってきましたけど、残念ながらこちらの博物館の学芸員の方でその学会で発表されたり、あるいは機関誌に投稿されたりした学芸員はいないんですね。前からいろんな方存じ上げておりますが、茶の湯に知識をお持ちの方は残念ながらおられない、だからやはりそういった知識・経験を持った方がこういったプログラムを指導というか率いていかれると、より充実したものになるのではないかという気がいたします。

中村会長

 どうもありがとうございました。他に何かこれは重要だから言っておきたいという方おられませんか。森委員、どうぞ。

森委員

 Q&A形式の小さい冊子で、お茶のことを一般の方や子どもたちが、聞くだろうということを推定して、答えを出すみたいな、ものを作っていかれたら良いのかなと思います。ちょっとしたイラストもつければいいかと思いますし、そういう何かミニ冊子があれば、小学校の子たちが聞きたかったことがここに書いてあるね、みたいなのがあれば良いと思います。あとアンケートの取り方がですね、どう思われましたかって書いて、その空白になっていると、書くのって結構面倒がられるじゃないかなと思うんです。だから、出来るだけその言葉を自分でたくさん書かなくてもいいようなアンケート作りも、子どもでも、例えば、とても良かったから悪かったまでの丸がいくつかあって、それを黒塗りしていって、それをなぜですかっていう問いにまたいくつか書いて、それを答えにしていくっていくみたいな感じで、最後のところだけを、これから何かこう期待するところはありますか、やってほしいことはありますかみたいな、ちょっとだけ書くような工夫があれば良いのかなと思います。アンケートってなかなか協力してもらえないところがあると思いますし、あと、アンケートは追跡するのが難しいと思うので、追跡も兼ねてその理由をいくつかの理由を挙げておいてそこを丸してもらうというのが良いかなと思いました。

岩間副会長

 今回ずっと小学校が体験学習に来られたっていうお話があったのですが、それ以外に来年の企画展に関連して茶室を活用するみたいなことはあるんでしょうか。お茶を重要な柱にするというのであれば、1年に1回何かお茶関係の展覧会を考えても良いのかなと、他のあれで見ますと例えば聚楽第となっているのはお茶と関係があるのか無いのか、そういうことを何か考えていらっしゃるのでしょうか。

増田課長

 まだ残念ながら、お茶室を活用したものは今のところ考えておりません。まだ具体的な企画、中身を考えては、これから考えていく段階ですので、また今日のみなさまのご意見を元にちょっと色々投げかけてはみたいなと思っております。ありがとうございます。

中村会長

 他にございませんか。

菅原委員

 谷先生のお話を聞いていて、これはやってくださいというような意味ではないのですが、畳でできることといいましたら、昨日大河ドラマを見ておりましたら、双六をやっておりまして、ちょうどこのお茶という文化が入ってきた頃に入ってきた遊びだったりというのを、紹介したりとか遊んでみたりとか、あるいは何かお香の遊びをするとか、虫聴きをするとか、そういった何というか季節に合わせた遊びというのとその和の空間というのがマッチする、そこで行われていたことが将来的に組み合わせられたら、すごく大変ですからやってくださいというわけでは無いんですけれども、できたら素敵なのかなと、思いました。

中村会長

 お茶を出して接待するというところだけを取り上げると、愛知県の陶磁資料館というのがやっていますね。それから茶会なんかと一緒にしているのは徳川美術館がよくやっていますね。やはり、徳川美術館と陶磁資料館のちょうど中間的な部分というような感じがするんですよね。どっち付かずっていう。

岩間副会長

 堺市はシンプルですね。

中村会長

 1番シンプルですけど、どっちつかずですよね。徳川美術館は本当に真剣に取り組んでいると思います。陶磁資料館の方は来た人がそこの瀬戸の作家の作品を自由に手にとって、そこで一席点ててもらって飲んで帰るという感じですね。だけど、そういうところの意見、近くではそういうところだと思うのです。東京に行ったらもっとたくさんあると思うのですが。近くで、谷先生のところもそうだと思うけども、そのところの実際やっておられる部分をご覧になって参考にされているのですか。

柿沼係長

 実際には学芸員が、かつて色々な美術館や博物館等を、訪れていますので、その際にお茶を提供されているところなどは体験していたりしています。ある程度どういったところでどんな体験が行われているのかは、数は多くはありませんけれども、体験して実感しているというところはございます。

谷委員

 お話を聞いていて、私も気が付かなかったのですが、小学校をターゲットと言いますか、持ちかけられているわけですが、そうするとそのカリキュラムの通りにしなければいけないという制約があるわけなのですよね。ですから時間が45分でないといけないとか、何時までに帰らなければいけないということで、プログラムそのものがそういう制約を受けるということはありますので、大変難しいなという思いをしたのと、もう1つは中村先生が仰った徳川美術館とか、愛知県陶磁美術館といったものがやっているのは、これはあくまで一般対象なんです。児童生徒対象ではない。ですから、ある程度美術館、博物館の意向を優先させることができるわけです。ですから、小学校を対象にするのをやめた方が良いというのではなくて、それとは別に一般対象のプログラムというのを考えられたらというのもあります。あまりにも注文ばかりが過ぎて負担をますます増やすようで申し訳ないのですが、やり方や方向性としてそういったことも考えられるのではないかと思います。

中村会長

 ありがとうございました。今、昔の体験という教育普及展をやっておられますけれども、あれも小学校が主な対象ですよね。小学校の学習指導要領が今年かな、去年からか、すごく大幅に変わりましたよね。で、紀伊風土記の丘でも昔体験やっているのですが、なんとなくその昔の火起こしとか、脱穀とかでなくて、最近の指導要領では「地域の祭り」っていうのがすごく重視されていますね。そうするとやっているほうと乖離が出てくるのですね。その小学校の指導要領の中ではもちろんお茶は出てこないと思うのですが、ただ少なくとも「堺」という地域色で共同学習の中でお茶を取り上げられているのですから、学校のカリキュラムの中で取り上げていく総合学習なり、共同学習なり、社会科なりの中で入れていただけるような格好でやっていく方法がやはり1番良いんじゃないかと思いますが。

志摩副館長

 今、各学校でそういうお茶体験を堺市がみんなやっているということを聞いております。そして博物館で小学生の方に、茶室でというのはやはりこの「伸庵」という空間で、それから谷先生も仰っておられた畳の空間の中でお茶を経験していただきたいなと思って我々今回始めた次第であります。そして、学習指導要領の中で「祭り」というのが言われるということで、実は後ほど「昔の暮らし」の展示を見ていただきたいのですが、今年から「堺まつり」というのが歴代順にずっと並びまして、ちょっとそういう部分も「昔の暮らし」に入れていったというわけであります。この昔の暮らしの期間の2カ月くらいでほぼ堺市の全学区の小学校3年生の生徒さんが来られるということで、それに合わせた形でこの「昔の暮らし」の展示を少しずつ変えています。ちょっとその昔の暮らしがあまりにも昔過ぎているのではないかなというところもありまして、徐々にもうちょっと全体を新しくしていければ良いかなと、そんなことも考えております。
 茶室の活性化ですが、先ほどから堺コンベンション協会に委託という話が出ておりましたが、これはあくまで、コンベンション協会にはお茶の先生が協会の方にいらっしゃいますので、委託というよりもその方と一緒になって、この茶の湯プログラム考えていったということで、決してそこに投げてしまっているということではありません。一から博物館のなかでどういう風にしていくか考えて、ご協力いただいているということで、その点はご理解いただきたいなと思っています。

中村会長

 土橋委員どうぞ。

土橋委員

 配っていただいた【資料8】に先ほども言っておられましたけれど、堺市の関係事業で、たくさん茶の湯のことを取り上げているとことにびっくりしました。それぞれ、会場は市内各所っていうことでされていたのですが、色々なイベントとセットでそういうのを実施されているんだと思いました。博物館のみなさんも色々なことをやっていかないといけない中で、まずは「茶室の活性化」ということで、子どもたち、小学校対象でということでやっておられるのだと思います。これは可能であればですが、堺市の他の部署の方にもある一定の制約があるかもしれないですが、今まで他の場所でやっていたこともこの茶室を活用してやってみたらどうでしょうか。その辺の事前調整は必要かと思うのですが、この企画自体を持ってきていただいて博物館と一緒に、博物館の要素も加味しながらやっていただいたら、これまでになかったような幅広い方にも知っていただけるのかなと思います。その辺も徐々にご検討いただければと思います。

中村会長

 他に何かありませんか。

岩間副会長

 すいません、【資料8】は堺市内で行われた茶の湯関連事業ということですね。博物館が管理していないものも含めてっていうことですね。

中村会長

 【資料8】は、博物館ではないのですか。

岩間副会長

 博物館のは、どれになるのでしょうか。

須藤館長

 学芸課のは29です。

中村会長

 他に何かご意見ございませんか。どうも意見が出尽くしたような感じでございますけれども、まずまとめると言ってもいろんな多岐にわたった問題がございました。第一に学芸員が如何に関与していくかという問題がありますね。それについても学芸員の自分自身の研修っていうのも大事だと思いますけれども、積極的にいかに関与していくかということですね。それから、アンケートの問題ですけれども、アンケートのとり方、あるいはアンケートの活用っていう問題が出ました。アンケートをとりっぱなしじゃなくて、いかに活かしていくか、あるいは活かしやすいようなアンケートをとるか、ていうのも重要だと思います。アンケートの取り方によっては非常に批判的な意見が羅列される場合もありますし、あるいはその賞賛の意見ばっかりが並ぶ場合もありますので、そのアンケートの取り方あるいはアンケートの取り方っていうものを考えてアンケートを取っていただいて、そのアンケートを如何に生かしていくかということですね。それから、「伸庵」そのものの建物としての利用、これは谷先生からも前回も仰ったんですけれども、お茶だけではなくてね、こういう建物なんだよっていうことを小学生に教えるには1番良い材料だと思いますので、そういう建物の利用ということも含めて考えていただければと思います。お茶だけですとどうしても待ち時間とか出てきますけれども、建物の利用ということを考えると、待ち時間どころか足らんようになってくると思います。その辺も、よろしくお願いします。限られた人数、限られた時間で、ということで、足立委員からもありました「身の丈にあった」ということになるかと思うのですが、実際問題として「身の丈にあった」指導ができる形で博物館の皆さんに頑張っていただきたいと思います。他にも色々な意見がございましたけれども、尽きるとこ、学芸員の関与という問題とアンケートの利用っていうところかなと思います。まとめはこれでよろしいでしょうか。
 最後にその他について、何かございましたら。事務局から何かありますか。

増田課長

 先生方からいただきましたご意見をまとめて色々と考えていきたいと思います。なお、本協議会閉会後、ただいま開催しております、先ほどから何度かご紹介させていただいておりますけれども、教育普及展「むかしの暮らし」を開催しております。その展示品解説を、学芸員が行う予定でございますので、お時間の許す委員の先生方におかれましては、ぜひご参加くださいます様にご案内申し上げます。よろしくお願いをいたします。

中村会長

 それでは司会にマイクをお返しいたします。

閉会にあたって

司会

 委員会の先生方、長時間にわたるご協議、誠にありがとうございました。本日委員の先生方から頂戴いたしましたご意見やご提案をふまえまして、堺市博物館の今後のあり方や茶室の活性化等について、事務局としましても、より良い方向へと進めてまいりたいと考えております。閉会にあたりまして、館長の須藤よりお礼のご挨拶を申し上げます。

須藤館長

 非常にインテンシブな、中身の濃いご意見をいただきありがとうございました。特にリニューアルに関しましては、入館者が今年度は増えております。これが来年、再来年と激減しないようにはどうしたら良いか考えておりますと、やはり展示内容だと思います。仁徳天皇陵古墳に来られた方がうちの博物館に来て、古墳とは何なのかとそういうものを見てわかって帰ってもらえるようなそういう展示、すなわち、学術的に重要なものの断片だけを並べるのではなくて、古墳の全体像がわかるような、色々な埴輪の種類とか、それから石棺の中の構造とかね、そういうものが見てわかるような展示にしたいと思っております。仁徳天皇陵古墳では森や濠の水しか見えないですから、中がどうなっているか分かるような展示を心がけてやっていきたいと思います。
 それから、茶室の利用に関しましても本当にありがとうございました。みなさんの熱意といいますか、茶室の利用の仕方にしろ、茶の湯の子供たちへの影響にしろ、学習し身につけるためにはどうしたら良いかということに、色々なご意見をいただきました。今年度は、9校の子どもたちを相手に試行的に、始めてまだ半年たっていない状況でございます。で、対象も来年度もおそらく小学生に限定したところから進めていかなければいけない、そして45分というカリキュラムの中ではめ込んでいる学校が圧倒的に多いという事実もございます。そういうことから、今日聞いた意見をですね、学校の先生方、学校全体とおそらく交渉というか話し合いもしなければいけないでしょう。谷先生の仰るような茶室の全体像と、それから茶道具とかもどんな意味があるのかということも徐々に教えるようなことをしながら、子どもたちに茶の文化への関心を高めるということを、うちの限られた学芸員の総力の元をあげて進めていくしかないと思っております。一般対象に関しましては、さかい利晶の杜がありますので、そちらを利用していただくような方策を考えていきたいと思います。ここの館としましては小学生をターゲットとしまして、できるだけ茶に親しんで、これからも茶に関心を持ち続けるような刺激を与えたいと考えております。今日は本当に色々理想的な形で進めたいなという意見がありましたけれども、来年度は身の丈ではなくて、ステップバイステップでいきたいと思っております。身の丈のように停滞するのではなく前に進めるような形の茶の湯の活性化と、茶室の有効活用・活性化を進めていきたいと思います。今日は本当にありがとうございました。

司会

 なお、次回の協議会は、令和2年秋頃を予定しております。あらためまして、事務局より日程調整をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。それでは本日は、誠にありがとうございました。

このページの作成担当

文化観光局 歴史遺産活用部 博物館 学芸課

電話番号:072-245-6201

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〒590-0802 堺市堺区百舌鳥夕雲町2丁 大仙公園内 堺市博物館

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