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事業所紹介 フジアルテスタッフサポートセンター株式会社(「堺市女性雇用促進等職場環境整備支援事業補助金」活用企業)

更新日:2022年8月2日

 堺市では、女性の雇用・就労を促進することを目的に、女性の職域拡大につながる環境整備に必要な経費の一部を補助する制度を平成29年度に設立しました。今回は堺市女性雇用促進等職場環境整備支援事業補助金を受けて職場の環境改善に取り組まれた「フジアルテスタッフサポートセンター株式会社」を訪問しました。同社は、「堺市障害者雇用貢献企業」に認定された、堺市で唯一の(平成30年3月9日取材時現在)特例子会社(注1)でもあります。

(注1) 特例子会社制度とは
 障害者雇用率制度において、障害者の雇用機会の確保は個々の事業主ごとに義務付けられている。一方、障害者の雇用の促進及び安定を図るため、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できる制度。

事業及び活動概要

  • 取材先

フジアルテスタッフサポートセンター株式会社

  • 所在地

堺市堺区香ケ丘町3-2-29 第2フジビル

  • 代表者

代表取締役社長  林 秀隆 氏

  • 事業内容

データ入力サービス、スキャニングサービス事業など

  • 従業員数

51人(平成30年3月)

男女差や障害の有無に関係なく、仕事をシェアする会社

 弊社の親会社である「フジアルテ株式会社」は、総合人材サービス、製造アウトソーシング業が主な事業で、大阪に本社を置き、東京をはじめ全国に拠点を有しています。障害者雇用を積極的に進め、自社ビルや不動産物件などの清掃業務を行っていました。
 しかし、親会社の平尾隆志社長は「雇用率をクリアするための障害者雇用ではなく、障害のある人とない人とが共生できる会社を作りたい」という熱い想いを持っていたのです。そこで「義務」を果たしているだけの障害者雇用ではなく、働く人たちの「成長」を重視した会社を平成23年4月堺市内に新たに設立しました。
 それが、「フジアルテスタッフサポートセンター株式会社」です。同年5月31日に特例子会社として認定されました。
 障害のある従業員は5人からスタートし、現在は44人の方が働いています。弊社では、仕事をシェアするという考え方からシェアードサービスを事業とし、手順や対応方法が明確な業務を主として親会社から請負っています。取引先は、親会社の他に外部のお客様も増え、業務内容は主にデータ入力やスキャニング、通信機器のクリーンアップ作業などです。
 また、障害のある方の職業訓練や実習生の受け入れなども行っています。
 時代とともに社会が変わり、障害者の社会参加が進んでいるとはいえ、就労に関してはまだまだ多くの課題が残っていると思います。その解決には、企業や行政などが地域ぐるみで取り組むことが必要ではないでしょうか。弊社では、その一助になることを願って日々業務に取り組んでいますが、企業の微力だけでは困難であると感じます。そのため、官民一体となって、さらなる協力や配慮をお願いしたいと思っています。

個人面談など、労務管理を徹底することで仕事の品質を保つ

 弊社では、採用において障害種別を限定することなくさまざまな障害のある方を雇用しています。通常業務としてデータ入力業務・スキャニング業務・入出荷梱包作業等の仕事を行っていますが、入社後の担当業務は、本人の「得意・不得意・性格・経験・希望」などを総合的に判断し、障害の種別によることなく配置を決めています。そのため、身体・知的・精神・発達の障害のある従業員がそれぞれのチームに混在し、互いに配慮しあう職場となっています。
 しかし、福祉施設ではなく、あくまでも会社ですから、各人が責任感を持って業務に取り組む方針をとっています。その結果、弊社は一般の企業以上にコミュニケーションが必要な職場かもしれません。
 毎日の朝礼では、連絡事項と共に体調を確認し、状況に応じて仕事の調整を図るなど、障害者、健常者の区別なく、各人の様子を互いに気にかけることを前提としています。障害のない人が気配りするだけではなく、障害のある人からも感じていること、思うことなどを気後れせずに周囲の人に伝えるようにと働きかけています。それだけに業務中の声かけレベルから定期的な面談など、さまざまな機会を通じてコミュニケーションを取ることを厭いません。一朝一夕にできたものではなく、色々な事例を経て、試行錯誤しながら独自のノウハウとして作り上げてきました。それは、仕事の品質にもつながっており、おかげさまで順調に経営を続ける事ができています。今後はより多くの企業様とパートナーとしての関係を築いていければと願っております。

業務に使命感を持った社会人への育成

 障害のある人の特性をひとつのイメージでくくることはできません。例えば挨拶が苦手という人もいますが、挨拶は何においても基本です。弊社ではひとりの社会人として育てることに使命感を持って臨んでいますので、社員教育は、なぜ挨拶が必要なのかというところから始まります。
 障害のある従業員の中には、人生初めての就職先が弊社である方も少なくありません。仕事とプライベートのオンとオフを切り替えるためにも、朝一番は、元気な挨拶がとても大切だと伝えます。
 朝礼では「おはようございます」と全員で声を合わせる事からスタートしており、お客様が来られたときには「いらっしゃいませ」とご挨拶をしています。マナーなどを含め社会人としての基本を身につけることが、その人にとって自分を乗り越えてゆく、あるいは成長するプロセスにもなっていると感じています。

女性がより働きやすい職場にするためにトイレを増設

 弊社のビルは、もともと男女兼用のトイレが各フロアで1カ所ずつ、合計3カ所しかなくトイレの環境改善は課題だと認識しておりましたが、なかなか着手に至りませんでした。この度「堺市女性雇用促進等職場環境整備支援事業補助金」を申請するチャンスをいただき、女性が安心して働ける環境を整えることが、より多くの女性の雇用につながると改めて考え、女性専用トイレを増設しました。
 休憩時間の混雑が緩和され、快適で心を落ち着けられる空間になったと従業員からも喜びの声を聞いています。また、環境改善後あらたな雇用にもつながり、女性従業員が3人増えました。やはり、職場環境における課題は、トイレに限らず男女で感じ方が違います。今回のトイレについても、男性従業員だけでは気づいていなかったかもしれません。男女に関わらず、従業員の声を聞きながら、今後も改善を続け、より働きやすい職場にしたいと考えています。

経営層が意識改革をすることで会社と社会が変わる

 今回の女性トイレの増設を機に、改めて男女の意識の違いについて考えさせられました。
 例えば、営業職は男性の仕事、事務職は女性の仕事、という職業差別が未だに根強く残っている会社もあるかもしれません。これは、特に中小企業などにとって重要な課題ではないでしょうか。私は、長年営業の現場を見てきましたが、女性の方が営業に適していると感じるケースが多々ありました。男女の仕事を分けるというのは、男社会的な発想で、そこに改革の余地はまだまだあることでしょう。
 それは、障害者雇用でも同じだと思っています。十年前に比べると、女性や障害のある方の雇用は、随分進んだように感じますが、雇用の機会において性差や年齢、障害者、健常者などの壁をなくすのは、これからだと認識しています。そのためには、法律だけでなく我々経営者が意識改革をすることが不可欠だと考えます。

仕事の対価は給料だけでなく、自己の成長にもなる

 経営理念において、自社の営利を一番に挙げる企業があるかもしれませんが、弊社は「従業員の幸福(しあわせ)」を第一に掲げています。これは、フジグループ全体の取り決めです。幸福という価値観は、厳密に言えば一人ひとり異なるかもしれません。しかし、自分の人生を有意義で価値あるものにしたいという思いは、誰もがもっているものです。
 確かに給料は、仕事の対価ではあるのですが、お金を得るためだけに人は働くのではありません。やりがいを感じ、成長することにも喜びがあるはずです。日々成長していく従業員から、逆に私自身が多くのことに気づかされ、成長させて頂いていると感じます。さまざまな人が一緒に働くことによって、それぞれに気づきがあり、社会全体もより良い方向へ向かうのではないでしょうか。

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産業振興局 産業戦略部 雇用推進課

電話番号:072-228-7404

ファクス:072-228-8816

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