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事業所紹介 大裕鋼業株式会社(「堺優良従業員・堺技能功労者表彰」制度 活用企業)

更新日:2022年8月2日

 市と堺商工会議所では、市内事業所等で働く優秀な従業員や功労ある技能者を顕彰するため「堺優良従業員・堺技能功労者表彰」を共催で実施しています。
平成28年度から同表彰を活用され、受賞者の方が活躍する「大裕鋼業株式会社」を訪問しました。

事業所及び活動概要

  • 取材先

大裕鋼業 株式会社

  • 所在地

大阪府堺市堺区大浜西町9番地の2

  • 代表者

代表取締役 社長 井上 浩行

  • 事業内容

各種薄鋼板(酸洗鋼板・冷延鋼板・表面処理鋼板・カラー鋼板・電磁鋼板・ステンレス鋼板等)のレベラーカット・切板・スリット加工販売及び一般鋼材・鋼管の販売

  • 従業員数

136人(2016年度グループ企業含む)

設立50年を迎え、海外市場への進出を推進

 弊社は現会長が昭和33年に創業、会社としての設立は昭和36年になります。鉄鋼メーカーが作るコイルと言われる巨大なロール状の鋼帯(コイル)を加工するコイルセンターと呼ばれる業種です。厚さ3mm未満の鋼帯は薄鋼帯と呼ばれており、普通鋼の他に特殊鋼・電磁鋼板・カラー鋼板などさまざまな種類があり、これらの鋼帯を、納入先のニーズに応じて必要な長さ・巾に切断加工する事業を行っています。取引先は、鋼製家具、建設機械、システムキッチン、エアコンなど業種もさまざまです。
 これまで約50年間事業を行い、独自の技術やサービスを築いてきたこともあり、これらを海外でも活かしたいと考え平成26年にベトナムで新たに会社を設立し、海外進出を果たしました。これは、単に工場を海外に設立したのではなく、これからベトナムで薄鋼帯の需要が伸びると考えてのことです。だから取引先も現地の日本法人より、むしろベトナムの企業を中心に考えています。
 弊社の国内業績は、多少の変化はありますが、概ね安定しており、工場は堺に2カ所、石川県に1カ所あり順調に操業しています。しかし、全国コイルセンター工業会の統計データによると業界全体での取扱い加工量は、減少傾向です。そうしたことが背景にあるからか、弊社の多くの関係企業から、海外展開をして市場を広げたいとよく聞いていました。
 弊社が海外進出すれば、そうした企業のモデルケースになるのではないだろうか。そんな思いがありながら、最終的に海外進出を決定しました。

海外進出は堺市産業振興局から中小機構の紹介を受けてスタート

 ベトナムへの進出を決めたのは、人口が約9,000万人と日本と同じような市場規模、毎年5%以上の経済成長率、そして、若い人が多く活気があり、人も勤勉で真面目な人が多い印象を受けたからです。また街の雰囲気も、日本の高度成長期のようで将来性を感じます。しかし、進出前まで、弊社にとってベトナムはまさに縁もゆかりもないところ。そこで、最初に相談に伺ったのは堺市でした。堺にはベトナム総領事館があったので、紹介してもらおうと思ったのです。堺市産業振興局産業政策課の方にベトナム進出の話をしたところ、中小企業基盤整備機構への紹介を受けました。そこで海外ビジネス戦略支援事業をおこなっていることを知り、F/S(実現事業可能性調査)支援に応募しました。事業社選定に合格し、ベトナムの本格的な調査に取り組むことになったのです。
 その後、現地企業への訪問や営業、ベトナムの地理や気候の把握、ホーチミン市での事務所開設、法人ライセンスの取得、工場の買収、人材確保など、足掛け1年ほどで全てを行い、ベトナム法人での操業開始となったのです。

公の表彰を受けることで他の社員へのモチベーションアップ

 弊社では、もともと社員の意見をくみ上げて業務や待遇改善を行う方針をとっており、社内の表彰制度についても、業務に優れた社員や営業目標を達成した社員向けへの報奨制度を作成していました。しかしながら、表彰状を作成して贈ることまでは取り組んでいませんでした。そこで、堺優良従業員表彰、堺技能功労者表彰の制度を知り弊社の社員を推薦しました。公で表彰されることは本人にとって名誉なことであり、また他の社員への模範にもなるからです。幸いにも弊社から堺優良従業員表彰の永年表彰に2人、堺技能功労者表彰に1人の表彰を受けることができました。技能功労者の表彰を受けた向囿隆善さんは勤続36年のベテランで、現在は、若手社員の育成・指導でも力を発揮しています。向囿隆善さんからは「表彰されるのは嬉しいことで、これまで一生懸命仕事をしてきてよかった」との声も聞いています。
 やはり、こうした表彰制度の良さは、社内ではなく社外から評価を受ける点にあると思います。本人やご家族にとっても喜ばしいことでしょう。社内では、他の社員へのモチベーションアップにもつながります。今後は、こうした表彰式をビデオで録画して社員たちに披露すれば、より意識することになり、自分も頑張ろうという動機づけになるかもしれませんね。

業務の円滑な推進につながる再雇用制度や定期採用による人材確保

 弊社の定年は60歳ですが、65歳までの再雇用制度により定年以降も働けるようにしています。また、65歳を超えても、本人の意思があれば、それ以降も働いてもらい、現在も75歳を過ぎても働いている方もいます。今回の堺優良従業員表彰、堺技能功労表彰を受けた3人も、実は全員が再雇用の社員です。技能職は、経験と知識が必要で、一朝一夕になれるものではありません。弊社でもできるだけ長く働いてもらいたいと思っています。やはり社員の方も自分の技術や経験を活かしたいと考えているのでしょう、これまで定年で辞める方よりも再雇用でそのまま働いてくださる方が圧倒的に多くおられます。待遇面でも年金の支給年齢があがっていることもあり、再雇用の場合の賃金の下げ幅を小さくなるように取り組んでいます。
 離職率でいえば、業界の中ではかなり低い方だと思います。これは、定期採用で同じ学校から長年採用していることが理由のひとつに上げられるでしょう。新入社員にとっては、長年働いている先輩がいることで安心にもなりますし、先輩にしても、自分が教えてもらったようにすればいいのですから、社員教育もやりやすい面があります。

ベトナム人と日本人のよいところを互いが学べるような環境づくりへ

 ベトナムの現地法人名はDAIYU STEEL VIETNAM CO.,LTDで日本法人とは別ですが、同じグループ会社ですので、将来的には人材の交流を進めて互いの良い点を学び合えばいいのではないかと考えています。よく日本には物があるけれども夢がないと言われます。ベトナムは、まさに成長期にあり、多くの人が夢に向かって進んでいます。日本ほど物にあふれているわけではないので、いろいろなことで工夫しなければなりません。一方、日本には長年培われたモノづくりのノウハウ、知識があります。日本とベトナムの社員が一緒の職場で働くことができれば、互いの長所を学び合うことができると思うのです。法律の問題もあり、簡単にできることではありませんが、人の交流によって生まれるメリットを会社の中で活かせることができれば、海外市場拡大以上に喜ばしいことだと思っています。現在も、できる範囲で人材交流に取り組んでおり、ベトナムから日本に来て働いているスタッフがいますし、ベトナムへは技術指導などで日本人スタッフが現地で働いています。

日本のブランドには限りない力がある世界のビジネスにも十分通用する

 ベトナムは、海外企業の受け入れに積極的でビジネスコンベンションなども開催されています。現地で、ある展示会を見に行ったときのことです。オランダの会社が出展しており、そこが鉄製の箱を展示していました。弊社の技術が活かせると思い、名刺交換をさせていただき資料を渡して会場をあとにしたのですが、その2時間後にオランダの会社から依頼があったのです。日本では新規取引をはじめるまでサンプルを作成したり、交渉したりして取引開始まで半年以上かかることが普通なのですが、世界にはそんな常識はありません。でも、すぐに受注できたのは、当社だけの力だけではなく、日本の会社は信用できる、良い工業製品を作るというジャパンブランドが世界に浸透しているからではないでしょうか。海外進出は決して大手企業の独壇場ではありません、むしろ技術や経験をもった中小企業にチャンスがあるのだと思います。弊社のベトナム法人も利益が年々増加しており、事業拡大も視野に入り新たな可能性を感じています。

このページの作成担当

産業振興局 産業戦略部 雇用推進課

電話番号:072-228-7404

ファクス:072-228-8816

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