このページの先頭です

本文ここから

事業所紹介 有限会社オフィスエイド 三国ヶ丘マッサージ治療院 (堺市障害者雇用貢献企業)

更新日:2022年8月2日

堺市では、市内中小企業における障害者雇用を促進し、経営の安定を図るため、「障害者雇用貢献企業認定制度」を実施しています。
今回は、「あん摩マッサージ指圧師」の国家資格をもつ視覚障害者たちが活躍する「有限会社オフィスエイド」にお話を伺いました。

事業所及び活動概要

  • 取材先

有限会社オフィスエイド 三国ヶ丘マッサージ治療院

  • 所在地

堺市北区百舌鳥赤畑町1丁28-6

  • 代表者

梶原正勝

  • 事業内容

訪問リハビリマッサージ業

  • 総患者数

3053人(カルテベース)

  • 施術師数

30人(うち視覚障害者9人) ※全員が国家資格保有

車移動での訪問マッサージ

 10年前、治療院をオープンした当時は、バイクでの訪問マッサージが主流でした。そこであえて車での移動に踏み切ったのは、社員の身体を保護するためでした。雨の日の二輪移動は大変危険で、転倒などによる怪我のリスクも高くなります。特にマッサージ師は体が資本ですから。
 そこで、大阪市内のビル街では大変かもしれませんが、堺市内であれば車移動でもできるのではないかと考えたのです。さらに、車移動を導入すれば、マッサージ師が視覚障害者の場合でも、ドライバーを付けることで訪問が可能になります。人件費がかさむように思われるかもしれませんが、ドライバーには高齢者を雇用し、短時間勤務のシフト制で働いてもらっています。彼らが業務日報の押印や集金といった事務作業をサポートしてくれることで、マッサージ師が施術に専念でき、訪問の効率が上がるため、一日当たりの訪問件数を増やすことができます。
  積極的に高齢者を雇用することで、少しでも地域への貢献になればという思いもあります。高齢者も障害者もそれぞれの個性を活かし、共存できると信じています。

マッサージ師の地位向上を

 私が約30年前総合病院に勤務していた頃は、まだリハビリテーションルームに理学療法士は少なくマッサージ師が多い時代でした。その中に数名の視覚障害者もいました。当時マッサージ師は、国家資格があるにもかかわらず給与は安かったと記憶しています。しかし実務は、昼食を取る間もなくトイレ休憩もなかなか取れないほどハードなものでした。そのような状況でも、視覚障害者は気おくれすることなく、器用に仕事をこなしていたと思います。そんな姿を間近に見ながら、彼らがもっと公平で正当な評価を得られる方法はないかと考えていました。
 個人事業主で開業していたマッサージ師をサラリーマンとして雇うことで、社会的な保障を与えられることも大事です。住宅ローンなども組みやすくなり、社員は喜んでくれています。

感謝されることをやりがいに

 患者さんの中には、障害をお持ちの方も少なくありません。そういった方々の心に寄り添えることもあって、視覚障害者のマッサージ師は現場で暖かく迎えてもらっています。マッサージ師からも、「喜んでいただけることがうれしい」という声をよく聞きます。
 開院当初は、障害のある社員の中には、「障害年金の枠内で働けたらいいな」という人もいましたが、近年では「年金はいらない」「自分の給料でやっていく」というモチベーションの高い社員ばかりです。事実、月1回のミーティングでは施術数や売り上げの表彰を行うのですが、視覚障害者が上位を占めています。障害を抱える人たちに勇気を与えられるような存在になるべく、彼らは日々熱心に働いているのです。

周囲に良い影響を与える存在

 施術部の佐々木部長曰く、「この職業は私たち(視覚障害者)のものだという信念があります」。それゆえ、彼らは自分たちをサポートしてくれるドライバーを大事にし、新人たちにもやさしく指導しています。

 視覚障害者のマッサージ師とドライバーとの組み合わせは、相性を考慮してシフトを組みます。毎日同じ人でも、毎日違う人でも、大変ですから。昼食を取りながらコミュニケーションを取り、お互いを少しずつ理解してもらっています。そうすることで、細かいところまでフォローが行き届くようになります。
 同時に、マッサージ師たちは日々感謝の気持ちを忘れません。「自分たちはドライバーさんをつけてもらっている」という想いで働いてくれるのです。それは彼らの成績にも反映され、晴眼者の社員たちの刺激にもなっています。
 また、このように視覚障害者が能力を発揮できているのは、彼らと共に働く晴眼者の社員たちの理解があってこそだと思っています。お互いが良い関係で働けることが、何より重要なのです。

後進の育成について

 弊社のマッサージ師は基本的に一人で患者宅を回るため、経験者を採用するようにしています。今後は新卒雇用も積極的に行っていきたいと考え、約4年前に教育研修制度を設けました。
 施術部の社員は、直行直帰。1日12~15軒ほど回ります。症状によって施術の内容も異なるため、入社後3カ月は業務終了後に本社で研修を受けてもらいます。実技面接後、初級・中級に分けて指導しています。
 2025年問題(※)を目前に、これからは在宅医療が医療の現場でも中心になっていくでしょう。その中でも、マッサージ師が主軸となって、ケアマネージャーやヘルパー、主治医らと連携を取っていくことが求められると考えています。在宅に関わる人たちからマッサージ師が重宝される未来も遠くありません。
 先生(担当マッサージ師)に喜んでもらうためにリハビリを頑張る人も多く、「『ほら、ここまで腕が上がるようになったよ』などと、リハビリの成果を自慢されることほど嬉しいことはありません」とは、マッサージ師たちの本音です。

※「2025年問題」…ベビーブーム世代が高齢者になり、2025年に国民の3割が65歳以上となる問題

施術師集合写真

このページの作成担当

産業振興局 産業戦略部 雇用推進課

電話番号:072-228-7404

ファクス:072-228-8816

〒590-0078 堺市堺区南瓦町3番1号 堺市役所高層館7階

このページの作成担当にメールを送る
本文ここまで