○堺市男女平等社会の形成の推進に関する条例

平成14年3月28日

条例第8号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 基本的施策(第10条―第13条)

第3章 推進体制等(第14条―第17条)

第4章 雑則(第18条)

附則

我が国は、女性差別撤廃条約を軸とした国際的な潮流の中で、21世紀の我が国社会を決定する最重要課題として男女平等社会の実現を位置付けた男女共同参画社会基本法を制定した。

堺市は、他市に先駆け、女性問題行動計画を策定し、男女共同参画宣言都市となるなど男女平等社会の実現に向けて積極的に取り組んできているが、性別による役割分担意識やこれに基づく社会慣行等は依然として根強く、全国的にも女性に対する暴力が社会問題化するなど男女平等の達成にはなお多くの課題が残されている。

こうした現状を踏まえ、豊かで安心できる社会を築いていくには、これまでの固定化された男女の役割にとらわれず、その個性と能力を十分に発揮するとともに、あらゆる分野において男女が対等に参画できる男女平等社会の実現が重要である。

ここに私たちは、堺市の主要政策として、男女平等社会の実現を目指すことを決意し、総合的かつ計画的に男女平等社会の形成の推進を図り、21世紀の「ひとが輝く市民主体の堺」を築くため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市における男女平等社会の形成に関する基本理念を定め、市、市民、事業者及び教育関係者等の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本的事項を定め、これを総合的かつ計画的に推進することにより、男女平等社会を実現することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女平等社会 すべての人が、性別にかかわりなくその個性と能力を十分に発揮する機会が確保されることにより、対等な社会の構成員として自らの意思により職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野(以下単に「社会のあらゆる分野」という。)における活動に参画し、ともに責任を担う社会をいう。

(2) 積極的格差是正措置 社会のあらゆる分野における性別間の格差を是正するため必要な範囲内において、不利な状況にある性に対し、格差是正の機会を積極的に提供することをいう。

(3) 事業者 本市の区域内において、公的であると私的であるとを問わず、及び営利であると非営利であるとを問わず事業を行うものをいう。

(基本理念)

第3条 男女平等社会の形成は、次に掲げる事項を基本理念として推進されなければならない。

(1) 男女が個人としてその尊厳が重んじられ、直接的であると間接的であるとを問わず性別による差別的取扱いを受けることなく、個人として能力を発揮する機会が確保されるべきこと。

(2) 性別による固定的な役割分担等に基づく社会的制度、慣行又は伝統は、あらゆる人の自由な選択に対して影響を及ぼすことのないよう見直されるべきこと。

(3) 市における政策又は民間の団体における方針の立案及び決定に、男女が対等に参画する機会が確保されるべきこと。

(4) 家族を構成する者は、互いに人格を尊重し、相互の協力と社会の支援の下に、子育て、家族の介護その他の家庭生活における活動及び社会生活における活動に均等に責任を分担すること。

(5) 妊娠、出産その他の性と生殖に関しては、自己決定が尊重されること及び生涯を通じた健康な生活を営むことについて配慮されるべきこと。

(6) 男女の性別にとどまらず、性同一性障害を有する人、先天的に身体上の性別が不明瞭である人その他のあらゆる人の人権についても配慮されるべきこと。

(7) 男女平等社会の形成の推進に向けた取組は、国際社会における取組と協調して行うこと。

(市の責務)

第4条 市は、男女平等社会の形成の推進に関する施策(積極的格差是正措置を含む。以下「男女平等推進施策」という。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 市は、男女平等推進施策を実施するに当たり、国、府、市民及び事業者と相互に連携及び協力を図るよう努めるものとする。

(市民の責務)

第5条 市民は、社会のあらゆる分野において、自ら進んで男女平等社会の形成に寄与するよう努めなければならない。

2 市民は、市が実施する男女平等推進施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、男女が職場における活動に対等に参画する機会の積極的確保に努めるとともに、職業生活における活動と家庭生活における活動その他の活動とを両立して行うことができる職場環境を整備するよう努めなければならない。

2 事業者は、市が実施する男女平等推進施策に協力するよう努めなければならない。

(教育関係者等の責務)

第7条 家庭教育、職場教育、学校教育、社会教育その他のあらゆる分野の教育に携わる者は、男女平等の理念に配慮した教育を行うよう努めなければならない。

2 何人も、子どもたちの男女平等教育に関し、自ら積極的に参画するよう努めなければならない。

(性別による権利侵害の禁止)

第8条 何人も、直接的であると間接的であるとを問わず、性別を理由とする権利侵害及び差別的取扱いを行ってはならない。

2 何人も、地域、職場、学校その他のあらゆる場において、セクシュアル・ハラスメント(相手の意に反する性的な言動により相手方に不利益を与えること又は相手方の生活環境を害することをいう。)を行ってはならない。

3 何人も、個人の尊厳を踏みにじるドメスティック・バイオレンス(配偶者等親しい関係の者からの身体的、性的、心理的又は経済的暴力をいう。)及びこれと相関する児童虐待を行ってはならない。

(公衆に表示する情報に関する留意)

第9条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担及び性的な暴力等を助長し、又は連想させる表現並びに人権を侵害する性的な表現を行わないよう努めなければならない。

第2章 基本的施策

(基本計画)

第10条 市長は、男女平等推進施策並びに市民及び事業者の取組を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。

2 市長は、基本計画の実効性を高めるため、その進行管理に係る適切な手法を導入するものとする。

3 市長は、基本計画を策定するに当たっては、第15条第1項に定める男女平等推進審議会の意見を聴取するとともに、市民の意見を反映することができるよう、適切な措置を講ずるものとする。

4 市長は、基本計画を策定したときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(年次報告)

第11条 市長は、男女平等推進施策の実施状況等について、年次報告を作成し、これを公表するものとする。

(市民及び事業者の理解を深めるための措置)

第12条 市は、男女平等社会の形成の推進について、市民及び事業者の理解を深めるため、広報活動等適切な措置を講ずるものとする。

(審議会等の委員の構成)

第13条 市長その他市の執行機関は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項に規定する附属機関の委員を任命し、又は委嘱するときは、男女いずれか一方の委員の数が、委員の総数の10分の4未満とならないよう努めなければならない。

第3章 推進体制等

(施策の推進体制の整備)

第14条 市は、男女平等推進施策を円滑かつ総合的に企画し、調整し、及び実施するため、必要な体制の整備に努めるものとする。

2 市は、あらゆる施策の策定及び実施に当たっては、男女平等社会の形成の視点をもって取り組むものとする。

3 市は、男女平等社会の形成の推進のため、必要な拠点機能の整備に努めるものとする。

4 市は、基本計画に基づく施策を実施するため、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。

(男女平等推進審議会)

第15条 基本計画その他男女平等社会の形成の推進に関する重要事項を調査審議し、及び意見を述べるため、堺市男女平等推進審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長が任命し、又は委嘱する委員15人以内をもって組織する。

3 市長は、男女いずれか一方の性が委員総数の10分の4未満とならないよう委員を選出しなければならない。

4 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 審議会の組織及び運営について必要な事項は、規則で定める。

(苦情等の処理)

第16条 本市の区域内に住所を有する者又は本市の区域内に所在する学校、事業所等に通学し、又は通勤する者(次条において「市民等」という。)は、市が実施する男女平等推進施策又は男女平等社会の形成の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し苦情その他の意見がある場合は、市長に申し出ることができる。

2 市長は、前項の規定による申出を受けたときは、調査の上次条第2項に定める堺市男女平等相談委員の意見を聴き、必要な措置等を講ずるものとする。

3 市長は、前項の場合において、必要があると認めるときは、審議会の意見を聴かなければならない。

(相談の申出)

第17条 市民等は、第8条に規定する性別による権利侵害その他の男女平等社会の形成を阻害する要因によって人権を侵害された場合には、市長に申し出ることができる。

2 市長は、前項の規定による申出を適切かつ迅速に処理するため、堺市男女平等相談委員(以下この条において「相談委員」という。)を置く。

3 相談委員は、学識経験者その他市長が適当と認める者のうちから市長が委嘱する。

4 相談委員は、必要に応じて関係者に対し資料の提出及び説明を求め、必要があると認めるときは、当該関係者に助言、是正の要望等を行うものとする。

第4章 雑則

(委任)

第18条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成14年4月1日から施行する。ただし、第15条から第17条までの規定は、規則で定める日から施行する。

(平成14年規則第71号で平成14年10月1日から施行)

堺市男女平等社会の形成の推進に関する条例

平成14年3月28日 条例第8号

(平成14年10月1日施行)