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犬・猫を飼う前に考えていただきたいこと

更新日:2021年10月7日

今なお保健所での引取りや殺処分が存在する現状

 日本全国で、平成30年度に収容された犬猫は約9万2千頭。このうち、譲渡や返還の叶わなかった約3万8千頭が殺処分されています。
 収容された犬猫のうち、約1万4千頭が、「飼えなくなった」として飼い主が自分で保健所に引取りを依頼した犬猫です。
 
 堺市でも毎年、犬・猫が飼い主から「もう飼えない」と飼育放棄され、堺市動物指導センターに引き取られています。このうち、譲渡できない犬・猫が致死処分となっています。

参考:飼い主からの犬・猫の引取り数(堺市) 業務概要・統計について

飼いたくて飼ったはずなのに、なぜ飼育放棄することになってしまうのか?

犬や猫が飼育放棄される主な理由は次のようなものです。

  • 離婚することになり、どちらもそのペットを引き取ることができない。
  • 飼い主自身が高齢になり、ペットの世話をすることができなくなった。又は飼い主がペットを残して入院することになったり死亡したが、ペットを引き取れる親族が誰もいない。
  • 仕事、子育て、介護があるため、ペットの毎日の世話まではとてもする余裕がない。その結果、近隣から悪臭や鳴き声で苦情が来ている。
  • 子どもにその動物を原因とするアレルギー症状が出てしまった(予めアレルギーの検査を受けていなかった)
  • 引越しで飼えなくなった。ペット可の物件は借りることはできない。
  • ペット飼育不可の賃貸物件でペットを飼っていたら、突然ペットを手放すよう言われた。
  • ペットの病気や怪我の治療費がこんなに高いと思わなかった。
  • ペットが高齢になり介護が必要になったが、自分自身も高齢のため介護ができない。
  • 猫を外で飼っていたら子猫が産まれ、全部を飼えない。
  • しつけのために犬を叩いていたら犬が咬むようになり、飼う気を無くした。

 犬・猫を手放す事情は様々ですが、最期まで責任を持って飼うという、飼い主として当たり前の責任を果たせなかった結果、多くの尊い命が奪われています。
 飼い主がそのペットを飼う前によく考えてさえいれば、ペットが不幸な生活を送り、手放されることはなかったかもしれません。

どうか、飼いはじめる前に、よく考えてください。

 動物を飼うことは、決して楽しいことばかりではありません。
 飼い始めてから「こんなはずじゃなかった」と後悔しても、一度飼い始めた命は、もう簡単に捨てたり手放したりすることはできません。
 動物を飼うということは、同時に飼い主としての責任が伴うことでもあります。飼い始める前に、以下のことを必ず家族全員でよく確認してください。

1 あなたの家は、持ち家の一戸建ですか?または分譲の集合住宅や借家で「希望するペットを飼える」ということが賃貸契約書や管理規約などに具体的に記載されていますか?

 本当に飼えると書類で確認しないままペットを飼育し、大家さんからペットを手放すように言われる事例は後を絶ちません。
 「他の人も飼っているからたぶん大丈夫だろう」と安易に飼い始めたところ、突然期日を決められ、「手放さないと退去していただく」と言われるのです。
 あなたが本当にペットを飼いたいと思っているのなら、お住いの貸主(分譲のマンションである場合は、管理人など)に、ペット飼育の可否を必ず書面で確認してください。
 ペット飼育可であることが賃貸契約書や管理規約に記載されている場合でも、飼えるペットの種類や頭数や大きさに制限があることがほとんどです。必ず確認しましょう。
 そのお住まいで飼いたいペットが飼えないことが判明したら、隠れて飼うことは決してしないでください。
 どうしても飼いたいのなら、まずペットの飼える住居に引っ越すことから始めてください。
 また、将来に転居や転勤の予定があるなら、転居先もペット可の住宅を確実に選べるかどうか、慎重に判断しておくことが必要です。

2 飼いたいペットの種類や大きさ、生態、特性などを、本などで正しく理解していますか?

  • そのペットは、何年生きますか?
  • 何をどれくらい食べますか?逆に食べてはいけない食べ物はありますか?
  • どのくらい大きくなりますか?
  • 毛はどれくらい伸びて、どれくらい抜けますか?
  • どのくらい吠えやすいですか?
  • どれくらいの運動(散歩)が必要ですか?
  • どんな病気にかかりやすいですか?
  • 年老いたときには、どんな介護が必要ですか?

 動物が幼い時は小さく可愛くても、大人になると思っていたより力強く、大きくなることがあります。また、思っていたより長生きすることもあります。飼い主である自分たちが歳を重ね、動物も年老いた時の世話や介護のことも考えて、種類や大きさを選んでください。
 まず「正確な」情報を調べましょう。正確な根拠や出典元が明らかである「本」で確認するとよいでしょう。
 知人の話やインターネット上の情報などは、経験に基づいたよい情報であることもありますが、根拠や出典の明らかでなく正確な情報でない場合もありますので、ご注意ください。
 「世話が楽である」「簡単に飼える」という話は、あまり信じない方が賢明です。
 「この種類の犬は散歩が必要ない」という人がいますが、原則、犬に運動は必要ですのでご注意ください。

3 そのペットを飼うために、お金がいくらかかるか調べましたか?

 ペットを飼育するためには、購入費用の他に、多大な費用がかかります。
 病気や怪我の治療費や予防費、食費、更に犬の場合は登録、狂犬病予防注射等の費用がかかります。(特に治療費については、ペット用の保険に入っていなければ、一回の通院で数千円から数万円かかることがほとんどです。)
 目安として、適切に飼うためには、犬で年間約36万円(1カ月あたり3万円)、猫で年間約18万円(1カ月あたり1.5万円)前後かかるかもしれません
参考ページ:環境省パンフレット『「飼う前も、飼ってからも考えよう』(環境省ウェブサイト)
 おおよそ、自動車1台を購入して維持する程度のお金が必要だとイメージしておくとよいでしょう。
 飼い始めてから経済的な理由で行き詰らないように、あらかじめ必要な費用を考えておきましょう。
 あまりにもペットにお金をかけないようにしてしまうと、そのペットは病気になっても動物病院に連れて行ってもらえなかったり、暑さや寒さなどから解放された居心地のいい環境が与えてもらえなかったりして、幸せに暮らすことはできません。
 もしも、「ペットにはあまりお金をかけるのはもったいない」と思うのであれば、今はペットは飼わずにおいて、他に愛情をそそぐものを見つけるとよいでしょう。

4 そのペットは、あなたの体力で世話ができるペットですか?家族に動物アレルギーの人はいませんか?

 あなたの体力で世話をできないペットを飼うと、飛びつかれたり引っ張られたりして転倒して骨折したり、毎日休みなく続く世話に疲れ果ててしまったりするかもしれません。
 あなたの体力で世話できるペットなのか、慎重に判断しましょう。
 また、アレルギーがあるのにペットを飼うと、その人のアレルギーが悪化したり、ペットを家の中に入れられない・狭い場所に入れっぱなしにして飼わなければならないなどで、ペットの飼育環境が悪くなってしまったりするかもしれません。
 何らかのアレルギーのある人や小さなお子さんは、病院でそのペットのアレルギーがないかどうか検査を受けておきましょう。
 飼いたいペットのアレルギーを持つ人がいる場合は、そのペットのためにも、飼うことはあきらめましょう。

5 ペットに安全で快適な飼養環境を用意できますか?

 そのペットのために、清潔で、安全で、狭すぎない場所を確保する必要があります。
 特に犬を外で飼いたい場合は注意が必要です。車道や歩道に接しない場所で飼わなくてはなりません。また、雨や風から身を守ることのできる、落ち着くことのできる犬小屋なども必要です。
 猛暑の日や極寒の日、犬が病気にかかった時など、外飼いの犬でも室内に入れる必要のある時は必ずありますので、「何があっても絶対に屋内に入れることはできない」という場合は、犬を飼うのはあきらめることも必要でしょう。

6 毎日欠かさずペットの世話に手間と時間をかけられますか?

  ペットは生き物ですので、うんちもオシッコもします。家を汚すこともあるでしょう。
 それらの掃除や、犬の場合は散歩も毎日必要です。
 あなたの日々の生活からペットの世話にあてる時間は、どんなに少なくとも毎日1時間は必要だとお考えください。
 子どもが世話するから飼いたいと言っている場合、子どもの進学、就職、転居などで、結局は親が世話をすることになるケースが多々ありますから、そのことも熟慮する必要があります。
 土日祝も、年末年始も、世話を休むことはできません。ペットホテルに預けると、ペットの大きさにもよりますがおおよそ1泊3000~5000円はかかるでしょうから、旅行に行きづらくなるかもしれません。
 ペットが急に病気になったり怪我をしたりした場合は、動物病院にすぐ連れていく必要があります。そのために、あなたは仕事や他の用事を休んだりする必要もあるでしょう。
 癒しやかわいさなど動物から得られるものに期待する一方で、その世話は面倒だと思うなら、ペットを飼い始めるべきではありません。

7 高齢になったペットとの生活がどのようなものになるか調べましたか?

  • 「高齢で認知症になった犬がよく吠えるのでもう飼えない」
  • 「高齢になったペットの治療費がかさむのでもう飼えない」
  • 「高齢になったペットが寝たきりになり、介護に疲れたのでもう飼えない」
  • 「ペットが高齢になったが飼い主も高齢になっていて世話ができない」

 このような理由での高齢犬猫の引取り相談は後をたちません。
 動物によって寿命はまちまちですが、犬は15~17年前後、猫は20年前後は生きるでしょう。
 あなたやあなたの家族の年齢に、その動物の余命を足し算してみてください。
 飼い始めた動物が10年経って、介護が必要になり始めるころには、同じように飼い主も10歳年をとっています。
 長い年月の間、飼い主さんの生活も、変わる転機が必ずあるはずです。
 将来明らかに飼えなくなるのがわかっているのであれば、飼育放棄や殺処分を防ぐためにも、衝動的に飼いはじめるのはやめましょう。

8 地震などの災害時や、万が一あなたが飼えなくなった時、ペットの命を守る方法を考えていますか?

 災害や、飼い主の突然の入院、死亡などの不幸なアクシデントは、誰にでも起こりえます。
 万が一、不幸にもそのような事が起きてしまったときのことを考えておいてください。
 その時にペットが路頭に迷うことのないように、今のうちから代わりに飼ってくれる人を見つけておきましょう。
 また、万が一の時に新しい飼い主を見つけやすいように、誰にでも飼いやすいペットにしつけておくことも必要です。ペットのしつけについても勉強しておきましょう。

9 近隣に迷惑をかけないように配慮できますか?

 特に、鳴き声、臭い、糞の放置、放し飼いは、近隣トラブルの元となっています。近隣に迷惑をかけないように配慮した飼い方をしなくてはなりません。

飼い猫は不妊手術して完全室内飼いを

 特に猫は繁殖力が非常に強く、不妊手術していないと他の猫を妊娠したりさせたりして、2頭が2年で80頭にまで増えることが可能です。
 参考ページ:環境省パンフレット『「ふやさないのも愛』(環境省ウェブサイト)
 オスメスに関わらず、不妊手術を受けさせ、室内飼育できるでしょうか。

10 家族全員がそのペットを飼うことに賛成していますか?

 あなただけでなく、家族全員が、このチェックを行ってみてください。
 家族によっては、違う意見が出ることもあるでしょう。
 「飼えないと思う」という意見が出たら、それは慎重で冷静な、よい意見かもしれません。
 ペットのためにも、家族のためにも、全員が賛成する環境になってから飼いはじめるようにしましょう。

このページの作成担当

健康福祉局 保健所 動物指導センター

電話番号:072-228-0168

ファクス:072-228-8156

〒590-0013 堺市堺区東雲西町1丁8-17

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