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第1回堺市犯罪被害者等支援条例検討懇話会 議事録(発言要約)

更新日:2012年12月13日

日時

平成24年9月13日(木曜)午後2時30分~

場所

堺市役所本館地下1階多目的室

議事内容

  • 開会
  • 部長挨拶

次第1 懇話会設置の目的及びスケジュール

次第2 委員・オブザーバー紹介

次第3 座長、副座長の選出

(奥村座長選出、堀河副座長指名)

次第4 犯罪被害者等支援条例の制定について

  • 犯罪被害者等支援条例の制定について (事務局説明)
  • 大阪府警察における犯罪被害者等支援への取組みについて

林委員

  先般、8月に刑務所から「被害者に報復しに行く」といった葉書を出していたような者が出所してきた。
今後は報復といったことに対する安全の確保というのも必要になってくるのではと思う。

次第5 意見交換

奥村座長

  先ほどは大阪府警による被害者支援についてのご説明がありましたが、ここからは、各委員が所属されている団体等で行われている支援策や課題、またそういったものから見えてくる、市役所に求められる支援策がどういったものなのかについて、忌憚のないご意見をいただきたい。

堀河副座長

 私たちは民間支援団体として、1996年から活動を始めまして2001年にNPO法人アドボカシーセンターとなりました。大阪府公安委員会から犯罪被害者等早期援助団体としての認定を受け、警察との連携のもと支援を行っています。
 警察からの情報に基づく支援と別に電話相談も行っています。また、弁護士会など様々な機関からの支援要請に基づき支援に入っております。
 被害者の方たちは、身体的にも心理的にも経済的にも社会的にも大きな負担や問題を抱えています。その被害を少しでも軽減できるよう、事情聴取への付添い、裁判の代理傍聴なども行っています。直接的な支援とともに、広報活動にも力を入れており、毎年シンポジウムの開催も行っております。
 条例制定にあたり、被害者への支援の充実とともに、支援団体への経済的支援も検討いただきたい。京都市では相談業務の委託という形で民間支援団体への支援もあるようですので、堺市においても検討いただけたらと思います。
 先ほど林委員からお話があった出所者への不安についても、長期にわたる精神的サポートが民間支援団体でできるのではと考えています。
 民間支援団体だけでは支援はできないが、いろいろな支援(点)をつなげて(面)にして広い支援にしていくことが、我々民間支援団体の役割だと感じています。

段林委員

 弁護士会において犯罪被害者支援が始まったのは、今から15年前の平成9年で、弁護士会として何ができるのか、ニーズがあるのかといったことの検討から始まりました。
 そういう動きが出てきた社会的背景には、林委員のような犯罪被害者当事者の会の方々の大きな取組、それを中心とする世論がありました。
検討の結果、恒常的な組織として犯罪被害者支援委員会ができました。
 犯罪被害者委員会に所属している委員は、概ね80人です。
 いくつか基本となる活動をしているが、一つは無料法律相談です。
 次の活動として、法テラスが行っている犯罪被害者問題に精通した弁護士紹介事業への対応。
 3つ目が被害者の方が被害者の立場で参加する際、弁護士をつけたいが資力がない場合、国選で弁護士をつけるという制度、国選被害者参加弁護士名簿の管理です。
 弁護士がやれるのは一部であって、警察や先ほど堀河副座長の説明にあったように民間支援団体など、いろいろなところとの連携による切れ目のない支援が必要だと感じています。
 堺市の各種相談窓口でも弁護士会の相談を紹介していただきたい。

林委員

 (質問)精通弁護士の登録のため、研修を受けなければならないとありましたが、具体的にはどの様な研修を行っているのですか。

段林委員

 基本的な仕組み、犯罪被害者基本法に関する研修、2次被害を与える言動について具体的に事例を挙げて説明など。
 また、委員会では犯罪被害者支援マニュアルを作成し、多くの弁護士が犯罪被害者支援の活動に携わるよう働きかけています。

林委員

 あすの会は、2000年の1月23日にできたのですが、そのときの設立目的が二つあります。一つは刑事司法に参加する制度をつくってもらうということ。二つ目が被害回復制度です。犯罪被害者給付金制度はありましたが、非常に低額で医療費負担も20年間放置されたままでした。
 私たちは法を変えることで、権利を確立し、そのことが犯罪被害者の支援になる。これが活動の基本です。
 刑事司法は改正されても遡及しないので、法律ができた以降の人のためとなります。まだ被害にあっていない人、あすの被害者のための活動となります。
 経済的支援に関してはいまだ不十分で、私たちとすれば、制度を変えていかなければならない。過去にさかのぼって適用されなければ、今苦しんでいる人が助からない。今苦しんでいる人を助けるために制度設計が必要と考えている。このためには、法律を作っていくことが必要。これは、国の役割であるが、地方公共団体としても責務を果たしていくことが必要。
 国と地方公共団体が連携することで流れるような連携ができてくるのだと思います。
 堺市でこのような懇話会が開かれたことは、堺市民の絶大な応援があったからだと思います。
 私達が署名活動を始めた際、堺市女性団体の委員長の山口さんが先頭に立って、自主的に署名活動を行い、何万人もの署名を集めてくれました。
 また、山口議員が堺市議会に働きかけてくれて、地方自治法第99条に基づく意見書というのを堺市議会が全国で最初に、国へ提出してくれました。今回の条例についても、山口議員が熱心に取組んでくれました。
 いいものができることを願っています。
 あすの会は、全国で約400人の会員がいます。活動するためにはお金が必要ですが、当時の都知事であった石原慎太郎氏、奥田碩経団連会長、瀬戸内寂聴氏、樋口廣太郎アサヒビール社長の4人が発起人となって、様々な企業から募金を集めていただきました。
 また、弁護士や学者の方々が、法律を作るための条文を検討してくれています。この3つであすの会が成り立っています。
 2002年から街頭署名を開始し、2004年に小泉首相とお会いして、被害者の悲惨な現状を伝え、政府として自民党として検討するとの回答を得て、被害者等基本法の制定ができました。ただ、私たちは基本法を作るために活動してきたわけではなく、被害者の参加制度をつくることと、経済的な保障制度をきちんとつくるということを目的として、活動してきました。
 でも、基本法ができたことで、そのほかの施策もスムーズにできて来ました。
 ただ、経済的な保障制度がまだ進んでいません。もう一つ地方公共団体への取り組みの進展というのが、まだあまり進んでいない状況ですが、堺市において条例が制定されることを心強く思っています。

大町委員

 今、林委員のほうからお話しが出ましたが、女性団体では2003年に署名活動のお手伝いをさせていただきました。議会のお話もありましたが、堺市議会がトップを切って、全国へ発信したことから考えると、少し条例制定が遅れたかなと思いますが、その分他市にないすばらしい条例をつくっていただきたいと思います。

奥村座長

 この懇話会は、堺市における犯罪被害者に特化した条例をつくるための懇話会であるわけですが、被害者に対し行政が途切れのない支援を行っていくために、被害者のニーズにかなった、また、地域の特性に合った誇れる条例を制定していただくため、ご意見をいただきたいと思います。

段林委員

 資料に既存施策等が記載されてありますが、ここには記載されていないのですが、例えばDV被害者やストーカー被害者について、住民票の閲覧制限があると思います。
 先ほど林委員がおっしゃった出所者に脅されている場合、被害者の方の住民票の閲覧制限は、DV、ストーカー、虐待だけではなかったでしょうか。それ以外の場合はどうでしょうか。

林委員

 加害者から隠せる仕組みが必要では。また、シェルターや住居も大事だと思います。

段林委員

 政令指定都市ができることできないことがあると思いますが、DV、ストーカー、虐待の閲覧制限の根拠は法律でしたか。それとも通達か何かでしたか。
 堺市だけで対応できるのかどうかわからないが、問題提起しておきたい。

事務局

 次回までに調べておきます。

林委員

 検察庁の通知から新しい住所がばれたということもあるので、国レベルの対応が必要なのかも。

奥村座長

 次回の事務局から条例案が提案される予定とのことですが、何か入れておいたほうがいいというような意見はないですか。

堀河副座長

 一時避難的な住居の提供を検討していただきたい。できるだけ辺鄙なところでない場所が良い。
 もしくは、摂津市のように転居に対する補助金を出すなど、被害者がここなら住めるという場所に転居できるような制度をつくっていただきたい。性被害にあった方々の精神状態を考慮するとそういった制度が望ましいと思う。

佐藤委員

 被害者支援ということで自治体に最も求められるものは何なのか、手厚ければ手厚いほど良いのはわかるが、昨今の厳しい状況の中で何から手をつけるのか。
 例えば見舞金をもっと出すのか、住宅の手当てを手厚くするのか、相談窓口機能を強化するのか、委託によりダイレクトなサポートを強化するのかといった具体的な皆様のご意見を伺いたいと思います。
 もう一つ、堺市が政令市ということで、府下の他の地域と大阪府警の取り扱いが違うのでしょうか。

奥村座長

 まずは2点目の質問について、大阪府警さんどうでしょうか。

大阪府警

 特に府警の施策として、違いはございません。

佐藤委員

 政令市だから、大阪府警としてこの部分はしませんというのがないのであれば、現府警の施策に加えて何をしていくのかといった視点で考えることが重要だと思います。

奥村座長

 第1の点では具体的なイメージがわかないということですが、本日はまだたたき台がないので、具体的な意見が出にくいのかと思います。
 行政機関の役割として、被害者支援にも活用できる現行施策がある中で、よくたらいまわしということがあるが、何度も事件の説明をしなければならなくなり、犯罪被害者にとっては、それが二次被害となります。各課でシームレスな支援が必要だとおもいます。それを行うためにも条例化というのが必要になってくるのではないでしょうか。

佐藤委員

 総合相談窓口と既存の施策がうまくつながっていく形で、条例として整備していくことは良くわかりますが、それ以上のものというのは何かないのでしょうか。

林委員

 それが全てだと思います。堺市が条例をつくってもらうことで、府下の市町村に広がってほしいと思います。岡山は岡山県と各市が一挙に被害者支援条例をつくりました。大きな政治の力が動いたからです。大阪府下でもそうなってほしいと思います。
 例えば30万円の見舞金というのは、数を考えれば市にとって大きな負担にならないのでは。平行して犯罪をなくす運動をやっていくことで、だんだん予算が減っていくのではないでしょうか。

奥村座長

 具体的な検討は次回のたたき台が出てきたときに、逐条的にご検討いただきたいと思います。

林委員

 一つだけいいですか、私は、今まで住居については殺人事件等だけを考えてきたが、ストーカーやDVなど女性が被害に遭った際への対応が必要かと思います。住居の問題については、事例に応じた決め細やかな対応が必要なのではないかと思います。

伊藤委員

 私は人権擁護委員として、人権協に入っています。人権相談、啓発活動を行っているのですが、少し前に手紙による人権相談に返事を書くことがありました。性被害を受けた中学生女子からの手紙だったのですが、相手が遠縁の未成年者という事例でした。親族間の事件ということで、親はあまり表だてたくないということもあって、私たちもどう対応すればいいのか悩んでいたのですが、子どもの被害に対して、条例に盛り込むというのは何かできないでしょうか。

林委員

 未成年の場合、少年法があるので、犯人の子どもの遊びだったなどという言い訳が通る世界になっている。少年法を変えて、子どもでも罰せられるという社会規範ができてこないといけないと思う。市として対応するのは難しいと思いますがどうでしょうか。

三好課長

 個別の対応、支援というのは難しいと思いますが、未然に防ぐ環境づくりといった形で我々行政は取り組んでいかなければいけないと思う。

伊藤委員

 具体的な方策はあるのでしょうか。

三好課長

 例えば、タバコのポイ捨てや犬のふんを処理しないなど、二十年前は平気で行っている人が多かったが、今は格段と減っている。法律だけでは難しいと思うが、意識啓発等、社会全体がそういう気運になるようにしていくことが必要だと思います。

奥村座長

 私が関わった宇治市の例ですが、児童に対する法教育という項目を条文に盛り込んでいます。
 教育委員会との調整が必要ですが、そういった形で条例に盛り込むのは可能かと思います。

戸松委員

 刑務所入所者の約半数が再犯をしている中で、再犯の防止に取組んでいます。
 犯罪被害者支援は、我々が日ごろ行っている活動とは、反対のことになるので、保護司として意見を言うのはどうかと思うのですが。

奥村座長

 受刑者であるとか社会復帰してきた人に対する支援を行う保護司が、この場で意見をいうのは違和感があるとのことですが、90年台後半くらいから、法務局や特に保護監察官も被害者支援に対して非常に関心を持たれていまして、保護のほうも被害者支援に講じて行くべきということで認識は一致しているものと思います。摂津市の条例制定時においても、保護司の方も入っておられました。

堀河委員

 私たちも啓発活動で、法務省からの矯正教育の中で、刑務所や少年院で社会復帰していく人に対して、被害者の現状を正しく理解しながら社会復帰していただきたいということで話をしていくこともあります。
 被害者の現状を知ってもらうことが、再犯防止につながればと思っています。
 先ほどの人権相談の問題ですが、中学生だから事を荒立てないようにしてしまうということは、少女のこれから先を思うと心がふさがる思いです。性被害というのは魂の犯罪といわれるほど、精神的に深いダメージを与えるものという事を周りの大人も理解していないといけない。
 それを防ぐためには、それを閉じ込めてしまうのではなく、先ほどお話があったように、少年法でもきっちり裁いていく。犯罪であるという認識を持ってもらわないといけない。
 条例の中にも自治体の責務としては、犯罪被害者が置かれている現状が正しく理解され施策にいかされていくということが、条例がつくられていく大きな目的でもあると思います。

段林委員

 他の先進市が条例を制定したことで、どのように変わったかということについてヒアリングしておいてほしい。

奥村座長

 色々とご意見をいただきましたが、どこまで具体化できるかわかりませんが、次回までに先行の条例などを参考にたたき台を事務局で作成いただき、より具体的な議論をしていきたいと思います。
 本日の案件はこれで終了します。

事務局

 ありがとうございました。本日いただいたご意見を参考に庁内の調整等行いまして、次回懇話会までにたたき台をお手元にお届けしたいと思います。
 次回は10月26日午後3時からを予定しております。また別途文書でご案内させていただきます。

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