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堺市
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平成23年度 堺市里親シンポジウムの報告

更新日:2013年7月1日

 里親支援機関・堺市里親会・堺市の共催で、堺市里親シンポジウムを実施しました。日本女子大学教授林浩康さんの講演と、現役里親さんや児童養護施設職員等をパネラーに迎えたパネルディスカッションを行いました。
 以下里親シンポジウムの報告を掲載しています。

   里親シンポジウム「子どもの幸せを求めて~里親のことを知ってください~」  
   日時:12月3日(土曜日)、午後1時30分から午後4時00分
   場所:堺市民会館 4階 大集会室

プログラム

 

第一部 講演「里親制度の意義と課題」 日本女子大学教授・林 浩康さん

 講師紹介:日本女子大学人間社会学部社会福祉学科教授
        専門は子ども・家庭支援論
        著書 『里親養育と里親ソーシャルワーク』
           (共著)(福村出版)他

第二部 パネルディスカッション

         コーディーネーター  
           日本女子大学教授・林 浩康さん
         パネラー
           里親
           児童養護施設職員
           子ども相談所職員

 その他相談コーナーや、里親さんや里親家庭で暮らす子どもさんの作品等のパネル展示等も行いました。

第1部講演 「里親制度の意義と課題」の要約                                

 日本の里親制度を考えるとき、国民が当事者として社会的養護を考える必要性がある。親子分離を強いられる子どもたちや、その養育上の問題は社会的課題から生み出される。
 例えば、虐待等は親の個人的課題として片づけられることが多いが、その背景は社会の貧困があったりと社会的課題から生み出される場合が多い。
 里親家庭は、社会の代理として子どもを養育する場であり、里親は親子分離を迫られる子どもを社会に代わって養育してくださる方である。従って、社会が一丸となってそうした養育に関心を持ち、支援すべき存在とならなければならない。また里親家庭も社会的養育の担い手としての意識を持つ必要がある。
 里親家庭での養育は、里親だけが担うのでなく、児童相談所、里親支援機関、施設、その他の支援の担い手、国民も含めて協働して養育していくことが大切である。社会的養護全体の質の向上は社会的責務である。

 社会的養護に委託された子どもの国際比較を見ると、オセアニア、欧米諸国ではその大部分が里親のもとで生活しているのに対し、日本では9割が施設に、1割程度が里親家庭に委託されているに過ぎない。日本での里親制度のあり方が、国際的にも問われている。

 日本では、施設で生活している子の中で里親家庭に向いている子とか、限定された形で里親家庭の活用がされているが、本当は親子分離された子ども全ての子どもに家庭は必要である。しかし現状は、「施設での家庭的養育」「家庭体験」の提供で終始する子どもたちが存在する。

 政策動向としては、里親委託率の向上に向け、里親支援機関の設置や施設に里親支援専門相談員を配置したり、親子分離を強いられる子どもに対しては里親委託を優先する施策がとられている。

 何が家庭的なのか、家庭の要件には5本の柱がある。

  (1) 同一の特定の一貫した養育者が継続的に存在することで子どもたちは自尊心を培い、
    生きていく意欲を蓄え、人間としての土台を形成できる。
  (2) 特定の養育者と子どもとが生活基盤を共有すること。
  (3) 同居する人たちとの生活を共有すること。
  (4) 役割・当番、日課、規則、行事、献立表を一定・一律に運用しないこと。
  (5) 地域社会に存在すること。
 しかし、家庭化することにはリスクも存在する。閉鎖化したり、関係性が煮詰まったりすることで暴力が潜在化・継続化・深刻化する場合がある。だからといって家庭化することを問題としてとらえず、それを予防することが重要である。

 里親委託を阻害する要因としては、児童相談所が、「実親・親権者が里親養育を望まない」とか、「里親の要望と子どものニーズに存在する齟齬がある」と捉えられている面があるが、実際には里親への支援体制が不十分であることや市民に社会的養育に参加することへの負担感がある。また里親委託優先の原則の不徹底さがある。

 里親家庭での養育は、子どもが好きという愛情だけでは養育できないところがあり、社会的養護の中の位置づけで、養育を「ひらく」「つながる」という視点を持たねばならない。児童相談所を含めた専門機関、支援機関、施設、里親家庭等から形成されたチームの一員としての意識が必要である。

 里親養育は途中からの養育であり、様々な課題を抱えた社会的養護の子どもたちの養育なのでとても困難を伴うが、チャレンジングな子どもへの対応を通して、養育者として報われる、成長できる場としてとらえていってほしい。完璧な里親などいないという開き直った考えも必要なのではないか。

第二部 パネルディスカッションの要約

 養育里親の里母の発言の要約

 3人の実子が社会人となり手が離れ、ホッとしたものの寂しさを感じ、「もう一度子育てがしたい」「子どもを抱っこしたい」「困っている子どもさんやお母さんの役に立ちたい」という思いで養育里親を希望しました。
 そして養育里親登録が完了した2カ月後に4歳になったばかりの女の子の里親委託のお話をいただきました。子ども相談所から、子どもの詳しいお話を聞いたときは、期待よりも不安の方が大きくなっていましたが、夫婦で相談して受託することに決めました。施設で面会ができるようになり、子ども相談所の職員と夫と一緒に、子どもに会いに行きました。子どもの無理のないようにと施設の先生と相談しながら泊まる回数を徐々に増やしたり、お出かけに行ったりして関係を深めていき、1カ月後に正式な里親委託となりました。
 里親委託の前後1カ月くらいは、いつでも私にコアラのようにくっついていて、トイレの中まで一緒でしたが、本当におとなしく、「なんて育てやすい子なんだろう!」なんて思っていました。その後は、自分の要求を伝えようとしたり、自我を出す場面も見られ、赤ちゃん返りや大人の嫌がる行動をとるなど、何度か試し行動を繰り返していました。しかし、いつの間にか遠慮なく言い合いのできる親子関係が築けてきたように思います。今でもたまに赤ちゃん返りなどをするときもありますが、どんと受け止めることができるようになり、以前のように気を遣うこともなくなってきました。注意すべきことは注意をして、子どももそれを素直に受けとめることが少しずつできるようになってきています。
 子どもにとって安心してわがままの言える家庭という場はとても大切であり、それが子どもの心身共に健康につながっていると実感しています。委託児童を迎えたことで、私たち家庭にも笑いや会話が増えていきました。

養子縁組が成立した里母の発言の要約

 私たち夫婦は、どちらも子ども好きだったのですが、実子がいないことから養子をもらいたい気持ちが大きくなり、インターネットで養子について検索し、いろいろ調べてみました。
 今思うと恥ずかしいのですが、当初はよそのお子さんを育てさせていただくことよりも、養子を紹介してもらえるところが、実際に本当にあるという安堵感でいっぱいでした。早速行動に移し、里親のための研修も受講しました。研修は落ち込むこともたくさんありましたがとても有意義なものでした。
 そして、堺市の里親登録をする決心がつきました。その2カ月後には無事里親登録も済み、しばらくして子ども相談所の方から委託児童を紹介していただきました。施設での面会や外出を繰り返し、そして週末のお泊まりも順調にいき、いよいよ引き取る段階になりました。
 いざ生活が始まると、想像とはだいぶ違っていました。「抱っこ」とは言っても、夫が肩車をしようとすると、絶対嫌がって、肩に乗ろうとはしません。このときには、まだ信用されてないだけかと思いましたが、その後、愛着障害という言葉を聞いたときは、ほとんど当てはまるので、大ショックでした。やはり、「小さい子どもにとって何でも頼れる特定の大人がいないというのは、後々の成長に大きな影響を及ぼすなぁ」とつくづく感じて、本当に、これからたいへんだと実感しました。そして、危険なことはすぐ注意しましたが、それ以外は悪いことをしてもすぐには叱らずに、何故したのかを聞くことにしていました。怒った後は、スキンシップを欠かしませんでした。だからか、「お母さんが嫌い」とは言われませんでした。
 その後、特別養子縁組の手続きもスムーズにいき、小学校入学前に真実告知をしました。確か、入学を控えた3月だったでしょうか…。テーブルの上に、好きなおもちゃをたくさん並べて、ケーキにジュースも用意して、ご機嫌のときに言いました。お母さんのお腹から生まれたんじゃないこと、「とても大好きで一番大切に思っている家族で、これからもうちの子だからね」ということを話したと思います。どういう反応を示すか怖かったですが、何事もなかったかのように平然で、こちらが物足りないという感じでした。4歳でうちに来たのでわかっていたことだったのかと思ったら、急に、「自分はお母さんのお腹から出てきた」と言ってみたりしましたが、それ以上聞くこともありませんでした。
 小学校には、入学前検診のときに、先生方に事情を説明していたので、担任の先生にも気をつけていただき、今は勉強もそれなりに頑張っています。一番先生に褒められたのは、面倒見がよくて、相手を思いやり、積極的に何でもやることでした。そして、絵を描くのが好きで、賞をいただいたりもしました。こうして今も小学校生活を送っています。
 引き取ってから、早くも4年経ちました。この間、私達にとってもいろいろなことができたと思います。私のことを、お母さんと慕ってくれて、知らないうちに自分にゆとりと自信ができてくれたなぁと思います。表面的には、すっかり普通の8歳、小学3年生に見えるようになりました。普通に遊ぶし、普通に言うことを聞かないし、普通に口答えもしますが、親の言いつけを素直に何でも聞き入れるのも怖いし、これでよいと考えています。
 これから先、どんどん難しい年代になっていくので、今は嵐の前の静けさかもしれません。愛着障害のある子は、反抗期、思春期が何倍もたいへんと聞きますが、事前に色々な情報を知り、できる限りの対策をたてて、備えていきたいと思います。家族になったのだから、乗り越えられると信じています。大人になったとき、思い出として振り返れたらいいなと思います。

児童養護施設職員の発言の要約

 私は児童養護施設に勤めて12年目になります。学童ホーム時代は、長期入所の子が多かったこともあり、長い見通しを持つ中で、幼児期に何が必要なのかを考え「三つ子の魂百まで」ではありませんが、愛情をたっぷりかけて、ゆっくり関わってあげることと、保護者との関係を築いてあげることを中心に関わっていました。現在では、被虐待児の入所が増え、小さな子どもであっても多くの問題を抱えている子どもたちが増えました。また、短期間に家族や地域と調整し、引き取りになるケースも増えました。
 幼児ホームでは、担当の子どもを決め、担当の職員が外出に連れて行き、買い物の仕方・トイレの使い方など社会生活のルールを学ばせたり、担当職員が勤務の時に特別扱いではありませんが、独占できる機会をつくり、子どもがひと時でも安心できる環境を作れるようにしています。しかし、実際は多くの時間がとれず、日常に流れている状態です。私が最も重要視していることは、固定した職員と出かけることで一対一の愛着関係が結べることとの総合作用で成長につながると考えています。そのため、子どもが求めているときに応えてあげることと、できるだけ多くの子どもにその子に合った機関につなげることを努力しています。
 私は、これまで3人の子どもを里親委託しました。どの子も「よい里親さんに巡り合えて本当によかったなぁ」と思っています。児童養護施設では、ホーム異動があったり、担当の職員が変わったり、子どもの出入りがあったり、全く落ち着くものではありません。いくら同年代で支え合っていても、急にいなくなることはよくあることです。このように、不安の中で生活しています。保護者との関係が築けないのであればタイミングもありますが、できるだけ早い時期に里親委託できればと思います。
 里親さんとの関係を結んでいく中で、できるだけ担当を1本化し、話がぶれないようにすること、その日の疑問はその日のうちに話す機会を設けること、そして、職員は子どもの代弁者になることを心がけました。うまくいかないこともたくさんありました。
 里親さんには最初の段階で伝えたと思っていたことが伝わっておらず、「とても重要なことなので最初に説明しといてもらわないと」と言われ、最初の段階での説明責任を強く感じたこともあります。
 そろそろ外泊を進めようと思って話しても、「まだしません」と言われたこともありました。その時は、里親さんも「かなりの不安を抱えておられたのだろうな」と思っています。
 何度も何度も話す中で、職員と里親さんとの信頼関係もできてきたように思います。そうなると、一緒に子どもを見ているような一体感のような感じが生まれてきたことを思い出します。
 子どもの様子ですが、「子どもって、自分で生き抜く力を持っているなぁ」と、すごく感じました。最初は、里親さんと距離を置いて接していた子どもも、自分から距離を縮めようとしていくのです。そして、最後には決断するのです。「里親さんの元で生活しよう」と。
 ある子どもにお別れの話をしました。少し年齢の高い子でした。最後にみんなに手紙を書くというので書かせました。書きながら「やっぱり行くのいやや」と、何度も泣きながら手を止めるのですが、少しすると自分を取り戻して最後まで手紙を書ききりました。いろんな葛藤の中、自分の進むべき道を見つけたのだと思います。
 里親委託した子の里親さんで、今でも電話や手紙が届き、子どもが伸びた面や伸び悩んでいる面を伝えて下さる方がいます。皆さん、いろんな面から子どもにアプローチし、前向きに育てて下さっているのだと思うと本当に安心します。里親さんも施設職員も子どもから学ぶことはたくさんあります。そんなときに、一緒に考えられる仲間がいれば安心でき、前向きに今の現状を受け止めた上で、次の方法を考えられるのだと思います。今後も可能な限り、里親さんと良いことも悪いことも一緒に分かち合えるようにつながっていきたいと思います。

子ども相談所職員の発言の要約

 配属になって5年目です。最初の2年は一時保護所で児童指導員をしておりました。その後、本所の児童福祉司として養育の相談、非行の相談、里親の相談と多岐にわたる相談業務に日々奮闘中です。
 里親担当となったのは今年度からで、まだまだ新米ではありますが、里親家庭が増え、そこで健やかに成長していく子どもの様子を想像しながら、頑張っています。
 児童福祉司となった最初の頃に、担当ケースの子どもが養子縁組を前提とした里親家庭に引き取られていく現場に立ち会うことができました。マッチング(里親さんと子どもとの出会い)から、面会を重ね、外出、外泊。短期間の中で里親さんも、子どもも、緊張の連続でした。里親さん宅にいく最後の説得というか、子どもへの説明のときは施設の先生の協力のもと子どもに伝えに行きましたが、いつもと違う雰囲気を醸し出していた私の様子をすぐさま察知した子どもは、運動場を横断して走り出したので、追いかけたりして、きちんと向き合うことができるタイミング、環境、状態をつかんで、ようやく子どもに説明しました。子どもも納得した感じの表情になってくれ、安心できたことが思い出されてきます。最後のお別れのとき、すっかり里親さんの子どもになっていました。このときは初めての体験でしたが、里親制度は子どもにとって、本当に大切なんだなということが感覚的ではありますが、理解できた瞬間でもありました。
 その後、いくつかのケースで里親委託ケースに携わりましたが、やはり思うのは、特定の大人が関わってくれるという安心感が子どもの成長にはとても必要なんだということです。施設でも子どもに担当の先生はいますが、先生1人に6人の子どもが担当です。24時間365日1人で6人の子どもを見れませんから、何人かで担当するわけです。だいたい3人の先生に18人となりますが、3人の先生が交代で勤務しますから、「行ってらっしゃい」と言った先生が、子どもが帰ってきたときには勤務をあがっていますから、別の先生が「お帰り」ということになります。里親家庭では、家庭ですから特定の大人が見れるわけです。やはりこれだと思います。
 今、堺市には300人を超える子どもたちが、いろいろな事情で保護者と離れて生活しています。そのほとんどは児童養護施設で生活しています。里親さん宅で生活できているのは、ほんの一握りです。国の方針も社会的養護の中で最も優先していくことが里親委託推進と謳っています。しかし、現状では里親委託は進んでいきません。それは、全国的に里親さんの数が少ないからです。まだまだ里親制度というものが社会の中で認知されていないこともあります。しかし今日を機会にここに来ていらっしゃる皆さんは、里親制度の発信源・広告塔になっていただきたいと思います。皆さんが、周囲の方に里親の話題を出してみてください。その話がきっかけになって、里親申請に踏み出される方がいらっしゃるかもしれません。
 このシンポジウムをきっかけに、「私たちでもなれるかな」と思っている方、相談してみてください。里親さんに興味があって今回来てくださった方、ちょっと子どもたちのために力をかしてください。よろしくお願いいたします。

質疑応答

質問 コーディネーター

 試し行動があまりなかったとのお話だが、しんどさは あったのではないか。養育をひらく方法は何であったか?

回答 里親

 委託後は、過食、後追い、夜泣き、感情の爆発等、試し行動すべてあった。委託前の里親研修で聞いていたのでこんなものかと思った。子どもが出すメッセージに、「そうやね、そうやね」と聞いていると、いつの間にかなくなっていた。気持ちが落ち込む中にも、子どもの成長も見られそれを楽しむことができた。児童相談所、里親支援機関からの定期的な訪問があったり、里親サロンの場で先輩里親さんに話をしたり聞いたりでよかったと思う。

質問 コーディネーター

 今後施設に里親専門相談員を置くという話もあるが、施設として里親支援に貢献できることは何か?

回答 児童養護施設職員

 委託後、施設に定期的に子どもが遊びに来ることは、里親さんにとっては複雑な思いだったのではと思うけれど、こちらとしては、子どもの成長が見れたり、話をきけてよかった。今後施設がどこまでできるかについて思うことは、施設時代の小さいころの子どもの様子を里親に伝えることができると思うし、そのことは里親推進にとって大きな力になると思う。

質問 コーディネーター

 児童相談所から委託前は頻繁に連絡があるが、委託後連絡がほとんどないと里親さんからよく聞くが、委託後のフォローについてどのようにしているかお聞きしたい。

回答 児童養護施設職員

 委託後は、里親支援機関と連携しながら家庭訪問をしている。気軽に話ができる児童相談所になればよい。里親と子どもと同じ目線でケアをしていきたい。今後も里親支援機関や里親会と連携して里親家庭の支援をしていきたい。

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子ども青少年局 子ども青少年育成部 子ども家庭課
電話:072-228-7331 ファックス:072-228-8341
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