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ノロウイルス感染症と予防指針(改定第二版)

更新日:2019年4月10日

カキのイラスト
発行者:田中智之

はじめに

 近年ノロウイルスによる食中毒や老人保健施設などでの死亡例を含む集団感染事例が多数報告され、ノロウイルス感染の危険性が広く一般社会でも認識されるようになった。そのため医療施設、保育園・学校、宿泊施設などで感染予防対策の徹底が求められている。
 ここではノロウイルスについての知識を高めるため、ウイルス学的特徴などの基礎的概説と伝播防止に必要な感染予防指針を述べる。

ノロウイルスの歴史

初発例

1968年米国オハイオ州ノーウォークの小学校で吐気、嘔吐、下痢、発熱を主症状とする急性胃腸炎の集団感染が発生。

命名

1972年 免疫電子顕微鏡法により原因ウイルスが発見されノーウォークウイルスと命名。国内では暫定的にSRSV(小型球形ウイルス)と呼ばれていたが、平成15年厚生労働省からノロウイルスと呼ぶように、と通達がなされた。

検査法

1990年 ノーウォークウイルスのクローニングが成功し、全塩基配列が決定。RT-PCR法による遺伝子検出法が確立。

分類

2002年 ノーウォークウイルスは第8次国際ウイルス命名委員会により、カシリウイルス科ノロウイルス属に分類されノロウイルスに統一(表1)。

ウイルス学的特徴

大きさ

直径約38nmの1本鎖(+)RNA正二十面体ウイルス。Genogroup1(G1)とGenogroup2(G2)の二つの遺伝子グループが存在する。
G1には1-15, G2には1-18の遺伝子型を持つ多様なウイルスである。

宿主

感染宿主はヒトのみであり試験管内で細胞培養できない。

ヒトにのみ感染 動物に感染しない 培養できないのイラスト

感染様式

主な原因

食中毒はカキなどの二枚貝の生食と食品取扱者の不十分な手洗いなどによる食品汚染に関わるものが多い。

感染力

感染力はきわめて強く少量のウイルス(10から100個)で感染が成立し小腸粘膜で増殖する。

2つの感染様式

ノロウイルス感染は食中毒によるものと、接触感染・飛沫感染など通常の感染症としての二面性を持つ。接触感染と吐物による飛沫感染は、家庭や老人健康保健施設、保育園・学校などの集団発生が多い。

―食中毒型―

―接触・飛沫感染型―

(汚染された衣類や哺乳瓶はこまめに消毒しましょう!)

臨床症状

潜伏期・症状

1から2日の潜伏期の後、吐気、嘔吐、下痢、発熱を主症状として発症するが、時に悪寒、腹痛、頭痛、筋肉痛を伴うこともある。

臨床経過

通常1から2日で改善し予後は良好であるが、乳幼小児や老人では症状の遷延や、合併症による重篤化、稀に吐物による窒息、肺炎などの合併症で死亡することもある。

ウイルスの排泄期間

嘔吐、下痢などの症状が消失しても3から4週間は便中にノロウイルスが排泄される。しかし、免疫の低下した小児や高齢者などでは一ヶ月以上の長期にわたる場合もある。感染源対策に留意すべき点である。

流行疫学

好発時期

通常は11月から3月の冬季であるが近年、初夏の感染事例が多数報告されており、冬季流行ウイルスだけではなく通年感染のウイルスとなりつつある。ノロウイルスの遺伝子変異が全世界で報告され、その変異株が感染拡大に関与していると考えられている。

診断

遺伝子検査

capsid 領域のプライマーを用いたRT-PCR法やリアルタイムPCR法などの遺伝子検査が主流。

酵素抗体法

2005年11月、モノクローナル抗体を用いたELISA法がノロウイルス体外診断薬として厚生労働省から認可された。集団発生時などの多検体検査に優れている。約二時間で診断できる。また、イムノクロマトグラフィー法による迅速且つ簡便なノロウイルス抗原検出法が確立された。便検体の10%乳濁液を作製する必要はない。約15分で結果が目視判定される。厚生労働省より、「3才以下、65才以上」の検査対象者に保険収載が認められた。感染予防対策、感染拡大防止対策に有用である。

ノロウイルス感染予防指針

1.食中毒感染予防

1)食材について

(1)カキなどの二枚貝の生食は控える。
(2)食材は中心温度85~90℃、90秒以上の加熱処理が推奨される。
(3)野菜などの生鮮食材は、十分に水洗する。

2)食品取扱者の対応

(1)調理前、トイレ使用後は厳密な手洗いをする。
(2)嘔吐、下痢などの症状を持つ者は調理に従事しない。
(3)症状消失後も、便中にはウイルスが排泄されているので、感染源になり得ると言う認識を常に持ち、手洗いを励行する。
(4)食器類、まな板、包丁、ふきん等の調理器具類は、十分洗浄したのち熱湯処理または塩素消毒後に再使用する。

2.院内感染、施設内感染予防

1)感染源対策

(1)嘔吐物は乾燥後も感染性を有するため、速やかにペーパータオルで覆い乾燥・拡散を防止する。次にその上から塩素系消毒薬を(原液)を塗布し、10から15分間十分浸した後、ビニール袋で包み込み感染性廃棄物として廃棄する。その後、吐物現場は80%アルコールまたは50から70%プロパノールで清拭する。また、嘔吐物などから室内にウイルス粒子を停滞させないために十分な換気を行う。

(2)院内の汚染区域の設定と同部は1000から5000ppmの塩素で消毒する。

(3)オムツ交換の際は、マスク、グローブを着用しオムツの開放面積を出来るだけ少なくしてビニール袋で包み込み感染性廃棄物として廃棄する。

(4)便器などに飛び散った便には、塩素系消毒液(40倍希釈)を散布し15分間放置した後、洗い流す.

 *上記(1)から(3)の対策を行う場合は、標準予防策を徹底したうえで実施する。また、処理後はセッケンを用いて十分に手指を洗浄する。

2)病室内感染対策

(1)医療従事者は、スタンダード・プリコーションを厳守する。

(2)患者・入居者には、隔離などの処置を適切且つ迅速に行う。

(3)患者入室中のドアノブ、床などの環境表面は、塩素系消毒薬(200倍希釈)で拭き、その後80%アルコールまたは50%から70%プロパノールで清拭する。小児病棟などでは、残留塩素ガスによる目、気道粘膜障害などが生じるため、アルコール清拭の徹底が望まれる。

(4)シーツ、タオルケットなどの汚染リネン類は、家庭用漂白剤(200倍希釈)に1時間浸漬させた後、または熱湯水処理後に洗濯することが望ましい。

(5)患者退室後の病室は、次亜塩素酸ナトリウム(200倍希釈)で清拭した後十分な換気を行う。また、消毒箇所に金属がある場合は、消毒後10分経過してから金属腐食を防止するために水拭きを行う。

(6)患者は症状の消失後3から4週間は便中にノロウイルスを排泄するため、回復後も手洗いの徹底など衛生管理に留意する。

3)隔離解除のめやす

 最終罹患した患者の完全回復後、最低1週間以上新たな患者が確認されない時点(7から14日間)で隔離を解除する。なお、この隔離解除の日程に関しては、施設内の標準予防策の徹底状況に応じてICTが判断する。

4)ノロウイルス感染症の届出

(1)食中毒が疑われる場合
 24時間以内に最寄りの保健所への届出が必要である。

(2)ノロウイルスによる胃腸炎は5類感染症定点把握疾患に該当するため、感染症患者を診察した小児科定点医療機関の医師は翌週の月曜日までに報告する。

まとめ

 ノロウイルス感染は、感染後数日で軽快するself-limiteddisease、限定型急性感染症である。しかし、小児や高齢者などの免疫弱者は症状の遷延や重症化、さらには合併症により致死的となり得る。また、強い感染力により二次感染拡大の危険性も危惧される。特異的な抗ウイルス薬、ワクチンが開発されていない現在、ノロウイルス感染対策としては、接触感染予防策および飛沫感染予防策を徹底することが拡大防止の基本となる。
 この指針が、読者の方々の施設におけるノロウイルス感染予防対策に少しでも役立てれば幸いである。

― ノロウイルス感染予防指針 ―
(初版) 平成17年11月12日
(第二版) 平成18年8月15日
執筆者
田中智之(堺市衛生研究所所長)
位田 忍(大阪府母子保健総合医療センター第一小児内科部長)
武田直和 (国立感染症研究所 ウイルス2部 室長)
編集者
西 功(大阪大学医学部附属病院 臨床検査部主任)
浅利誠志(大阪大学医学部附属病院 感染制御部副部長)
発行者 : 田中智之

このページの作成担当

健康福祉局 健康部 衛生研究所
電話:072-238-1848 ファックス:072-227-9991
〒590-0953 堺市堺区甲斐町東3丁2-8

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