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2.蔵座敷と茶道具蔵

更新日:2012年12月19日

 SKT39(堺市堺区熊野町西2丁)は、1989年に発掘調査を行い、慶長20年(1615)の被災面からは、道路・礎石建物2棟・せん列建物8棟を発見しています。特に隣接するせん列建物SB301とSB302の内部からは多量の茶陶が出土しました。 

 SB301の中央部からは、茶の湯に使用する炉壇(ろだん)が出土しており、礎石配置などから内部に茶室空間をもった蔵座敷(くらざしき)であったと考えられます。ここからは、茶釜や茶陶を中心として陶磁器が約410点出土しました。その組成は、中国染付が約71%、唐津12%、美濃6%、備前6%となり、その他(中国白磁・青磁・赤絵、朝鮮など)5%です。茶碗では唐津・志野・朝鮮など優品が出土していますが、皿や鉢など懐石道具(かいせきどうぐ)の占める割合が全体に高く、破片点数では貿易陶磁器(ぼうえきとうじき)のほうが国産陶器より圧倒的に多く出土しています。 

 また、SB302は3.3メートル×2.7メートルと平面規模の小さい半地下構造の蔵です。建物の内部からは茶の湯に使用する陶磁器などが多数出土しました。茶の湯の道具類を収納した茶道具蔵(ちゃどうぐぐら)と考えられます。半地下という特異な建物構造により被災した出土遺物の残存状況は良好で、割れずに完全な形で出土した陶磁器も多く、茶臼(ちゃうす)、備前湯桶(ゆおけ)・掛花入(かけはないれ)、伊賀煎餅壺(せんべいつぼ)、唐津水指(みずさし)、中国染付蓋付壺、朝鮮壺、青銅製香炉・燭台(しょくだい)、鋳造用金鉗(かなはし)などが出土しました。この他に焼土層からも鉄製五徳(ごとく)、唐津花入、黒織部沓茶碗(くつちゃわん)、瀬戸立鼓形花入、信楽鬼桶(おにおけ)、備前建水(けんすい)など優品が出土しています。

参考文献 : 「堺環濠都市遺跡(SKT39)発掘調査概要報告」 『堺市文化財調査概要報告第15冊』 1991年3月

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