特別展・ミニ展
平成21年度 秋季特別展 鋳造工人の足跡―堺の鋳物師―
平安時代から室町時代にかけて、堺市美原区とその周辺には、優れた鋳造技術を持つ「河内鋳物師」と呼ばれる専門集団が住み、鋳物をつくっていました。彼らは、諸国往反の自由と課役の免除を受け、各地で鋳造品の製作や販売を行っていましたが、その後各地で定住するようになります。堺は、鎌倉時代には諸国を廻船によって移動し交易した廻船鋳物師の荷揚げ港となっていました。彼らを統括していたのが河内鋳物師の広階氏であったと言われています。その頃には、堺やその周辺の塩穴、石津には隠鋳物師が居住していたことがわかっています。また、土佐国金剛福寺の多宝塔伏鉢や鰐口に陰刻された銘から、応安8年(1375)には河内鋳物師一族の山川助頼が居住していたことがわかります。さらに南北朝から戦国時代にかけて、堺は一大港湾都市として、物資の集散地となって行きます。原材料の調達や製品の販売に便利なことから、多数の鋳物師や鍛冶達の活動の場となったと考えられます。江戸時代に入っても、堺鋳物師による鋳造業は盛んで、鋳物師の名前と居住地が絵図や文書から相当判明しています。その営業範囲は近畿・中国・瀬戸内地方に広がり、各地で梵鐘を製作しています。堺市内の発掘調査でも、鋳物師の活動を裏付ける遺構や遺物がたくさんみつかっています。今回の展示では、堺を中心とした鋳造工人の足跡を堺鋳物師の作品と堺環濠都市遺跡の出土遺物を中心に探ります。
主な展示品
職人歌合絵巻 複製 〈国立歴史民俗博物館蔵〉 ・梵鐘 鎌倉時代(丹治国則作)〈個人蔵〉・河内神社 梵鐘拓本、清凉寺 梵鐘拓本〈奈良文化財研究所飛鳥資料館蔵〉・五具足 江戸時代(唐物屋久兵衛作)〈堺市博物館蔵〉・鐘鋳造銘文之控 江戸時代〈小谷城郷土館蔵〉・堺環濠都市遺跡出土鋳造関連遺物〈堺市教育委員会保管〉・青銅製火縄銃 江戸時代〈堺市博物館蔵〉など
梵鐘 鎌倉時代 〈個人蔵〉
銘 弘長二年 壬戊 十一月□日 大工 丹治国則

堺市内に唯一残る河内鋳物師の作品
銘にある丹治国則は、寛元四年(1246)の高野山大湯屋の釜の修理に関連する資料にも登場する。鎌倉時代における関西の代表的な梵鐘鋳物師である。丹治氏の家柄は、奈良時代に設けられた鋳銭司の長官にまで遡る。銘にある大和国新楽寺は今はなく、もとは秦氏の氏寺であった。新楽寺から奈良県岡寺へ、また、和歌山県根来伝法院に伝えられ、その後個人の手に渡った。
釜鋳型

堺環濠都市遺跡出土 江戸時代
(教育委員会保管)
釜の上部の鋳型と考えられ、内面に笹と松の文様がみえる。
模鋳銭鋳型(もちゅうせんいがた)

堺環濠都市遺跡出土 室町時代
(教育委員会保管)
一枚の銭鋳型に数種類の銭種がある。
会期
平成21年10月24日(土)〜12月6日(日)
午前9時30分〜午後5時15分(入館は4時30分まで)
(休館日 月曜日および祝日の翌日、10月26日・11月2日・4日・9日・16日・24日・30日)
観覧料
一般500(400)円、小・中学生、65歳以上、障害のある方は無料
( )内は20人以上の団体およびJAF会員証提示の方
11月14日(土)・15日は、「関西文化の日」で入館無料
11月21日(土)は、こどもファーストデイ(毎月第3土曜日)は、小・中学生同伴保護者も無料
展示解説
10月24日(土)・11月1日(日)・11月29日(日)午後2時から 展示室