ブックタイトルSakaist(さかいすと)第6号

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概要

Sakaist(さかいすと)第6号

堺に生き、見てきたものが利休の美意識の原点に天下一の茶人・千利休が堺出身だと知っていますか?人生の大半を過ごした堺は、今も利休の〝おもてなしの心〟が息づくまち。堺観光ボランティア協会理事長・川上浩さんに案内してもらいました。利休が生きた時代、堺は国際貿易都市として栄えていました。生家は堺の商家。子どものころから、堺の港に諸国から届く品々を目にしていたことでしょう。人が好むものはどんなものか、真に美しいものとは何なのか。堺で得た〝美意識〟は、利休の茶に大きな影響を与えたはずです。主が客をもてなし、お互いに心を通わせることを最も大切にしているのが利休の茶。堺では、そんな利休の〝おもてなしの心〟に、今も出会うことができるんです。学校では茶の湯体験をする授業がありますし、まちなかで気軽に呈茶を楽しめる場所もある。お茶席に欠かせない和菓子の店も多く、何百年も続く老舗が今も地元で愛されています。こんなふうに、暮らしの中に茶の湯文化が根付いているのは堺ならではですね。私が利休を語るとき、必ず案内しているのが「千利休屋敷跡」。利休のはじまりの地です。今は〝椿の井戸〟を残すのみとなっていますが、利休の生きた息吹を今に伝える場所なんです。みなさんも、まずはここを訪れ、堺で生まれたお茶の心、おもてなしの気持ちに思いをはせていただきたいと思います。「お互いの心にかなうのは良いけれど、かなおうとして無理に迎合するのは良くない」という茶会での客と亭主の心構え。茶の湯の奥義に達していれば、意識しなくても自然と心地よい状態になるはずだということ。茶会を訪れた人が使う手水(ちょうず)鉢の水について、「いつ入れたのかわからないような水は、気持ちが良くない。客の目前でいかにも潔く、ざっと入れるのが良い」。客を迎えるため深く心がけることの一つだと話したとか。「一期」とは、一生のこと。普段のちょっとした茶会でも、一生に一度の出会いであるという覚悟で臨むよう、心構えを表した言葉。利休の言葉として残っているのは「一期に一度」ですが、のちに井伊直弼が著書「茶湯一会集」のなかで「一期一会」と表現したことで、広く世に知られるようになったそう。夏と冬の茶の心得を聞かれて、「夏はいかにも涼しいように、冬はいかにも暖かいように、炭は湯がわくように、茶は服加減の良いように」と利休。「そんなことは誰でも知っている」と言われると「私が客になって茶会に行き、それがきちんとできていたら、私があなたの弟子になりましょう」と答えたとか。客をもてなす茶室をいかに快適な場にするか…。当たり前のように思えることをきちんと実行することが大切であるという利休の教え。6