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おう吐・下痢症の対応と予防
(ノロウイルス感染症について)

1.おう吐・下痢症の原因

おう吐・下痢症の原因として夏場に多いサルモネラ菌、赤痢菌、O-157等の腸管出血性大腸菌などによる細菌性と冬場に多いロタウイルス、ノロウイルスなどによるウイルス性のものがあります。ノロウイルスによるおう吐・下痢症は毎年秋から冬にかけて流行し、春以降は減る傾向にありますが、5月になっても集団感染の事例が多く報告されています。

2.ノロウイルスとは

ノロウイルスによるおう吐・下痢は、火のよく通っていないカキなどの2枚貝を食べると発症することがあります。その後、その感染が家庭や施設内で、ヒトからヒトへと拡がります。その伝播力(感染する力)もきわめて強いことから、施設内での集団発生の事例が多く報告されています。

特に乳幼児や抵抗力の弱っている高齢者などは感染・発症することが多いといわれています。

ノロウイルスは「麻しん(はしか)」や「風しん」のように一度発症すると生涯かからないというものではありません。これはノロウイルスといってもいろいろな種類があることと関係しているといわれています。また年長者や成人では、ノロウイルスに感染しても種類によっては、くしゃみ・咳等の上気道炎症状が主な症状となることや症状がない(ただしウイルス排出し、その人が感染源となることもある。)不顕性感染で終わる場合も多いようです。

3.ノロウイルス感染症の症状

主な症状は、はき気、おう吐および下痢です。血便は通常ありません。発熱があったとしてもあまり高い熱とはならないことが一般的です。子どもではおう吐が多く、成人では下痢が多いことも特徴の1つです。おう吐・下痢は一日数回からひどい時は10回以上の場合もあります。ノロウイルスに感染後、発病までの潜伏期間は平均1〜2日と短く、症状が持続する期間も平均1〜2日と比較的短期間です。しかし、小さな子どもや高齢者は基礎体力の低下や合併症などから症状が長引くこともあります。

※症状がある場合は、早めに医師の診察を受けてください。

症状持続期間は比較的短期間ですが、最も重要なことは水分補給により、脱水症となることを防ぐことです。特に小さなお子さんや高齢者にとっては、脱水は大敵ですので、水分補給は大切です。

4.ノロウイルスの感染経路について

(1)経口感染

経口感染とは、ノロウイルスに汚染された飲料水や食物を飲食することによって感染(食中毒)する場合をいいます。特に生カキを食した後に発症することはよく知られています。またよく火の通っていないカキなどの2枚貝が原因となることもあります。

最近ではノロウイルスに感染している調理従事者や配膳者がよく手を洗わずに汚染された手指で食材を触ることによって、まったく別の食材による感染の事例も報告されています。

(2)接触による感染・飛まつによる感染

接触感染とは、ノロウイルスで汚染された手指、衣服、物品等を触る(接触する)ことによって感染する場合をいいます。この場合も最終的には接触後汚染された手指や物品を口に入れる(なめるなど)ことにより、ノロウイルスが口の中に入ってしまい、感染します。ノロウイルスの感染力は非常に強く、わずかなウイルスが口の中に入るだけで感染します。

飛まつ感染とは、ノロウイルス感染症を発症している患者の吐物や下痢便が床などに飛び散り、その飛まつ(ノロウイルスを含んだ、ごく小さな水滴が1〜2メートル程度飛び散ります。)を吸い込むことによって感染する場合をいいます。おう吐物や下痢便の処理が適切ではなく、そのことが原因で乳幼児施設や小学校、高齢者施設などで集団感染として拡がった事例が報告されています。

最初は経口感染で発病者が出ても、その後は接触感染や飛まつ感染でヒトからヒトに感染が拡がって行く場合がノロウイルスでは非常に多いと思われます。

5.予防方法

(1)手洗い

最も重要で、有効な予防方法は手洗いです。

トイレの後、食事の前、調理の前、おむつ交換の後、おう吐物や下痢便の処理の後等では、流水・石鹸による厳重な手洗いが必要です。また、おう吐・下痢症状のある方とのタオルの共用は避けてください。

※感染しても症状のない大人から子どもが感染し、さらに子どもが通っている施設内への感染につながることがあります。特に小さな子どもがいる家庭では、普段から排便後や食事前の手洗いは厳重に行ってください。

(2)おう吐物・下痢便の処理

ノロウイルス感染症の場合、そのおう吐物や下痢便には、ノロウイルスが大量に含まれています。そしてわずかな量のウイルスが体内に入っただけで、容易に感染しますのでその処理については十分注意が必要です。

ア)発見

ノロウイルスの流行期に吐物や下痢便を発見した場合、できる限り子どもや高齢者の方を遠ざけてください。その場所がトイレであれば処理が終わるまでは使用しないようにしてください。処理の際にウイルスを含んだ飛まつが舞い上がりますので、処理をする人以外は少なくとも3メートルは離れてください。

イ)処理

吐物及び下痢便の処理は、ノロウイルスにある程度抵抗力のある大人の方が行ってください。子どもや高齢者の方はできるだけ処理をしないようにしてください。ただし、放置しておけば感染が拡がり、速やかに処理する必要があります。

マスク・手袋(この場合の手袋は清潔である必要はなく、丈夫であることが必要です)をしっかりと着用し(処理をする方の防御のためです)、雑巾・タオル等で吐物・下痢便をしっかりと拭き取ってください。拭き取った雑巾・タオルはビニール袋に入れて密封し、廃棄してください(廃棄しない場合は、水洗い後しっかりと消毒してください)。拭き取りの際に飛まつが発生しますので、無防備な方は絶対に近づけないでください。その後薄めた塩素系消毒剤(200ppm以上:家庭用漂白剤では200倍程度にうすめたものが最適です。)で吐物や下痢便のあった箇所を中心に広めに消毒を行ってください。

おう吐物、下痢便の付着した衣類は水洗いした後、塩素系漂白剤で消毒してください。もちろん衣類を水洗いした場所も消毒が必要です。

※おう吐物や下痢便が付着した衣類やタオル等を複数の人が使用する水道で洗浄することはできるだけ控えてください。もし水道で洗浄した場合は、その洗浄場所を必ず塩素系消毒剤で消毒しましょう。

(3)家庭での調理について

貝類は充分に加熱して食べてください。また、貝類を調理する際に使用した包丁やまな板は、使用後よく洗った後、熱湯で消毒してください。

(4)症状がおさまった後

症状がおさまった後でも、数日間ウイルスは便などから排出されますのでしばらくは注意が必要です。

(5)発症した場合は

現在、このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。このため、通常、対症療法が行われます。特に、乳幼児、高齢者は脱水症状を起こしたり、体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を充分に行いましょう。脱水症状がひどい場合には病院での治療が必要になります。

止しゃ薬(いわゆる下痢止め薬)は、病気の回復を遅らせることがあるので使用しないことが望ましいでしょう。

また症状がおさまった後でも、数日間ウイルスは便などから排出されますのでしばらくは注意が必要です。

※参考

ノロウイルス食中毒に注意を(保健所食品衛生課)

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